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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022116807
(43)【公開日】2022-08-10
(54)【発明の名称】産業用ロボット
(51)【国際特許分類】
   B25J 9/06 20060101AFI20220803BHJP
【FI】
B25J9/06 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021013182
(22)【出願日】2021-01-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】白木 隆裕
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS24
3C707BS15
3C707HS14
3C707KV12
3C707KX07
3C707MT07
3C707NS13
(57)【要約】
【課題】半導体ウエハ等の搬送対象物を搬送する産業用ロボットにおいて、ハンドの基端部に取り付けられる検知機構によって、産業用ロボットからより離れた位置に配置される搬送対象物を検知することが可能であっても、産業用ロボットが所定の動作を行うときに検知機構が産業用ロボットの動作の支障となるのを防止することが可能な産業用ロボットを提供する。
【解決手段】この産業用ロボットは、先端側に搬送対象物2が搭載されるハンド3と、搬送対象物2を検知するための検知機構10と、検知機構10を回動させる回動機構11とを備えている。検知機構10は、発光部21と受光部22とを備えるとともに、ハンド3の基端部に回動可能に取り付けられている。回動機構11は、発光部21および受光部22がハンド3から遠ざかる検知位置10Aと、発光部21および受光部22がハンド3に近づく退避位置との間で検知機構10を回動させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端側に搬送対象物が搭載されるハンドと、前記搬送対象物を検知するための検知機構と、前記検知機構を回動させる回動機構とを備え、
前記検知機構は、発光部と、前記発光部から射出される光を受光する受光部とを備えるとともに、前記ハンドの基端部に回動可能に取り付けられ、
前記回動機構は、前記発光部および前記受光部が前記ハンドから遠ざかる検知位置と、前記発光部および前記受光部が前記ハンドに近づく退避位置との間で前記検知機構を回動させることを特徴とする産業用ロボット。
【請求項2】
前記発光部と前記受光部とは、水平方向において間隔をあけた状態で配置され、
前記発光部の光軸は、水平方向と平行になっており、
前記回動機構は、前記発光部の光軸と平行な方向を回動の軸方向として、前記検知位置と前記退避位置との間で前記検知機構を回動させることを特徴とする請求項1記載の産業用ロボット。
【請求項3】
前記回動機構は、前記検知位置と前記退避位置との間で前記検知機構を90°回動させることを特徴とする請求項2記載の産業用ロボット。
【請求項4】
前記検知機構は、前記発光部および前記受光部を保持する平板状の保持部材を備え、
前記検知位置に前記検知機構が配置されているときには、前記保持部材の厚さ方向と上下方向とが一致し、
前記退避位置に前記検知機構が配置されているときには、前記保持部材の厚さ方向と水平方向とが一致していることを特徴とする請求項3記載の産業用ロボット。
【請求項5】
前記検知機構は、前記発光部および前記受光部を保持する保持部材と、前記受光部の出力信号を処理する信号処理回路が実装される回路基板を有する信号処理部とを備え、
前記回動機構は、前記保持部材に固定される回動軸と、前記ハンドの基端部に固定されるとともに前記回動軸を回動させる駆動源とを備え、
前記信号処理部は、前記保持部材に取り付けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の産業用ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ等の搬送対象物を搬送する産業用ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウエハを自動搬送する無人搬送車が知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の無人搬送車は、半導体ウエハを移載する移載装置と、半導体ウエハが収容されるバッファカセットとを備えている。バッファカセットには、半導体ウエハの端部が載置される多数段の棚が形成されており、多数枚の半導体ウエハが上下方向において一定のピッチで収容可能となっている。移載装置は、ハンド(移載ハンド)と、第1アームと、第2アームとから構成される移載アームを備えている。上下方向から見たときのハンドの形状は、細長い長方形状となっている。
【0003】
特許文献1に記載の移載装置では、ハンドの先端部に、半導体ウエハを吸着して把持するための吸着穴が形成されている。吸着穴は、上下方向から見たときの形状が細長い長方形状となるハンドの長辺方向の一端部に形成されている。ハンドの、先端部とは反対側の部分となる基端部(すなわち、ハンドの長辺方向の他端部)には、マッピングセンサが取り付けられている。マッピングセンサは、光電センサを備えている。光電センサは、ハンドの基端からハンドの長辺方向の他方側に向かって突出している。特許文献1に記載の移載装置は、マッピングセンサをバッファカセットに近接させた状態でハンドを下降させることで、バッファカセットの各棚の半導体ウエハの有無を光電センサによって検知している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-313876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の移載装置では、ハンドの基端部にマッピングセンサが取り付けられているため、ハンドの先端部にマッピングセンサが取り付けられている場合と比較して、ハンドの先端側部分を薄型化することが可能になる。したがって、この移載装置では、バッファカセットに収容される半導体ウエハの上下方向のピッチが狭くなっても、ハンドの先端側部分をバッファカセットの中に差し込んで、ハンドの先端側部分に半導体ウエハを搭載することが可能である。
【0006】
一方で、特許文献1に記載の移載装置では、マッピングセンサの一部を構成する光電センサが、ハンドの基端からハンドの長辺方向の他方側に向かって突出しているため、たとえば、移載装置の一部の構成がハンドの周囲に配置されていると、移載装置が所定の動作を行うときに光電センサがその構成と干渉して、移載装置の所定の動作に支障を来すおそれがある。移載装置が所定の動作を行うときに光電センサが支障になるのを防止するためには、ハンドの基端からの光電センサの突出量を少なくすれば良い。しかしながら、ハンドの基端からの光電センサの突出量を少なくすると、移載装置からより離れた位置に配置される半導体ウエハをマッピングセンサで検知することは困難になる。
【0007】
そこで、本発明の課題は、半導体ウエハ等の搬送対象物を搬送する産業用ロボットにおいて、ハンドの基端部に取り付けられる検知機構によって、産業用ロボットからより離れた位置に配置される搬送対象物を検知することが可能であっても、産業用ロボットが所定の動作を行うときに検知機構が産業用ロボットの動作の支障となるのを防止することが可能な産業用ロボットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の産業用ロボットは、先端側に搬送対象物が搭載されるハンドと、搬送対象物を検知するための検知機構と、検知機構を回動させる回動機構とを備え、検知機構は、発光部と、発光部から射出される光を受光する受光部とを備えるとともに、ハンドの基端部に回動可能に取り付けられ、回動機構は、発光部および受光部がハンドから遠ざかる検知位置と、発光部および受光部がハンドに近づく退避位置との間で検知機構を回動させることを特徴とする。
【0009】
本発明の産業用ロボットでは、回動機構は、発光部および受光部がハンドから遠ざかる検知位置と、発光部および受光部がハンドに近づく退避位置との間で検知機構を回動させる。そのため、本発明では、検知位置に配置される検知機構の発光部と受光部とによって、産業用ロボットからより離れた位置に配置される搬送対象物を検知することが可能になる。また、本発明では、産業用ロボットが所定の動作を行うときに、発光部および受光部がハンドに近づく退避位置に検知機構を配置しておくことで、産業用ロボットが所定の動作を行うときに検知機構が産業用ロボットの動作の支障となるのを防止することが可能になる。すなわち、本発明では、ハンドの基端部に取り付けられる検知機構によって、産業用ロボットからより離れた位置に配置される搬送対象物を検知することが可能であっても、産業用ロボットが所定の動作を行うときに検知機構が産業用ロボットの動作の支障となるのを防止することが可能になる。
【0010】
本発明において、発光部と受光部とは、水平方向において間隔をあけた状態で配置され、発光部の光軸は、水平方向と平行になっており、回動機構は、発光部の光軸と平行な方向を回動の軸方向として、検知位置と退避位置との間で検知機構を回動させることが好ましい。このように構成すると、退避位置に配置される検知機構の、ハンドの先端から基端に向かう方向におけるハンドからの突出量をより少なくすることが可能になる。したがって、検知機構が産業用ロボットの動作の支障となるのを確実に防止することが可能になる。
【0011】
本発明において、たとえば、回動機構は、検知位置と退避位置との間で検知機構を90°回動させる。この場合には、検知機構の回動範囲を必要最小限の範囲とすることが可能になる。また、この場合には、たとえば、検知機構は、発光部および受光部を保持する平板状の保持部材を備え、検知位置に検知機構が配置されているときには、保持部材の厚さ方向と上下方向とが一致し、退避位置に検知機構が配置されているときには、保持部材の厚さ方向と水平方向とが一致している。
【0012】
本発明において、検知機構は、発光部および受光部を保持する保持部材と、受光部の出力信号を処理する信号処理回路が実装される回路基板を有する信号処理部とを備え、回動機構は、保持部材に固定される回動軸と、ハンドの基端部に固定されるとともに回動軸を回動させる駆動源とを備え、信号処理部は、保持部材に取り付けられていることが好ましい。一般に、信号処理部からハンドに向かって引き出される配線として、受光部と信号処理部とを繋ぐ配線よりも太い配線を使用することが可能であるため、このように構成すると、受光部と信号処理部とを繋ぐ配線よりも太い配線を回動軸に沿って引き回すことが可能になる。したがって、回動軸に沿って引き回される配線が回動軸の回動に伴って繰り返し変形しても、この配線の断線を防止することが可能になる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明では、半導体ウエハ等の搬送対象物を搬送する産業用ロボットにおいて、ハンドの基端部に取り付けられる検知機構によって、産業用ロボットからより離れた位置に配置される搬送対象物を検知することが可能であっても、産業用ロボットが所定の動作を行うときに検知機構が産業用ロボットの動作の支障となるのを防止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態にかかる産業用ロボットの一部分の斜視図である。
図2図1に示すハンド等の平面図である。
図3図2に示す検知機構および回動機構の斜視図である。
図4図2に示す検知機構の動きを説明するための側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0016】
(産業用ロボットの概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる産業用ロボット1の一部分の斜視図である。図2は、図1に示すハンド3等の平面図である。
【0017】
本形態の産業用ロボット1(以下、「ロボット1」とする。)は、搬送対象物である半導体ウエハ2(以下、「ウエハ2」とする。)を搬送するためのロボットである。ウエハ2は、薄い円板状に形成されている。ロボット1は、たとえば、複数枚のウエハ2が上下方向において一定のピッチで収容されるFOUP等のカセット(図示省略)から複数枚のウエハ2を同時に搬出して、半導体製造システム(図示省略)を構成する所定の処理装置の中へカセットから搬出した複数枚のウエハ2を搬入する。また、ロボット1は、複数枚のウエハ2が上下方向において一定のピッチで収容される処理装置から複数枚のウエハ2を同時に搬出して、搬出した複数枚のウエハ2をカセットの中へ搬入する。
【0018】
ロボット1は、ウエハ2が搭載されるハンド3、4と、ハンド3が先端側に回動可能に連結されるアーム5と、ハンド4が先端側に回動可能に連結されるアーム6と、アーム5、6の基端側が回動可能に連結されるアーム支持部7と、アーム支持部7を回動可能に保持する昇降部8と、昇降部8を昇降可能に保持する柱部9とを備えている。また、ロボット1は、ウエハ2を検知するための検知機構10と、検知機構10を回動させる回動機構11とを備えている。
【0019】
アーム5、6は、第1アーム部14と第2アーム部15とから構成されている。第1アーム部14の基端側は、アーム支持部7に回動可能に連結されている。第1アーム部14の先端側には、第2アーム部15の基端側が回動可能に連結されている。第2アーム部15の先端側には、ハンド3、4が回動可能に連結されている。第1アーム部14は、アーム支持部7よりも上側に配置され、第2アーム部15は、第1アーム部14よりも上側に配置されている。ハンド3、4は、第2アーム部15よりも上側に配置されている。
【0020】
ハンド3は、ウエハ2が搭載される複数のブレード16と、複数のブレード16を保持するブレード保持部17とから構成されている。ブレード16は、ハンド3の先端側部分を構成しており、ウエハ2は、ハンド3の先端側に搭載される。ブレード保持部17は、ハンド3の基端側部分を構成しており、ブレード16の基端部は、ブレード保持部17に取り付けられている。本形態のハンド3は、5枚のブレード16を備えている。5枚のブレード16は、上下方向において所定のピッチで配置されている。また、5枚のブレード16は、同じ方向を向いている。ブレード保持部17は、第2アーム部15の先端側に回動可能に連結されている。ブレード保持部17は、5枚のブレード16のピッチを変更するピッチ変更機構(図示省略)を備えている。
【0021】
ハンド4は、ウエハ2が搭載されるとともにハンド4の先端側部分を構成する1枚のブレード(図示省略)と、このブレードを保持するとともにハンド4の基端側部分を構成するブレード保持部18とから構成されている。ブレード保持部18は、第2アーム部15の先端側に回動可能に連結されている。
【0022】
ロボット1は、アーム支持部7に対してアーム5を伸縮させるアーム駆動機構を備えている。このアーム駆動機構は、ハンド3が一定方向を向いた状態で直線的に移動するように、アーム支持部7に対してアーム5を伸縮させる。また、ロボット1は、アーム支持部7に対してアーム6を伸縮させるアーム駆動機構を備えている。このアーム駆動機構は、ハンド4が一定方向を向いた状態で直線的に移動するように、アーム支持部7に対してアーム6を伸縮させる。
【0023】
昇降部8は、昇降部8に対して上下方向を回動の軸方向とするアーム支持部7の回動が可能となるようにアーム支持部7を保持している。柱部9は、上下方向に細長い柱状に形成されており、上述のように、昇降部8を昇降可能に保持している。ロボット1は、昇降部8に対してアーム支持部7を回動させる回動機構と、柱部9に対して昇降部8を昇降させる昇降機構とを備えている。
【0024】
(検知機構および回動機構の構成)
図3は、図2に示す検知機構10および回動機構11の斜視図である。図4は、図2に示す検知機構10の動きを説明するための側面図である。
【0025】
以下の説明では、上下方向(鉛直方向、図3等のZ方向)に直交する図3等のX方向を「前後方向」とし、上下方向と前後方向とに直交する図3等のY方向を「左右方向」とする。また、以下では、説明の便宜上、前後方向の一方側である図3等のX1方向側を「前」側とし、その反対側である図3等のX2方向側を「後ろ」側とする。本形態では、前側は、ハンド3の先端側となっており、後ろ側は、ハンド3の基端側となっている。すなわち、前方向は、ハンド3の基端から先端に向かう方向となっており、後ろ方向は、ハンド3の先端から基端に向かう方向となっている。
【0026】
検知機構10は、上下方向において一定のピッチで複数枚のウエハ2が収容されるカセットや処理装置の各段にウエハ2が存在するのか否かを検知するためのマッピングセンサ(マッピング機構)である。また、検知機構10は、発光部21と、発光部21から射出された光を受光する受光部22とを有する透過型の光学式センサである。発光部21と受光部22とは、水平方向に間隔をあけた状態で配置されており、発光部21の光軸Lは、水平方向と平行になっている。具体的には、発光部21と受光部22とは、左右方向に間隔をあけた状態で配置されており、発光部21の光軸Lは、左右方向と平行になっている。また、発光部21の発光素子と受光部22の受光素子とは左右方向で対向している。
【0027】
検知機構10は、ハンド3の基端部(後端部)に取り付けられている。すなわち、検知機構10は、ブレード保持部17の後端部に取り付けられている。検知機構10は、ハンド3の後端(基端)よりも後ろ側に突出している。検知機構10は、発光部21および受光部22に加えて、発光部21および受光部22を保持する平板状の保持部材23と、回路基板24を有する信号処理部25とを備えている。回路基板24には、受光部22の出力信号を処理する信号処理回路が実装されている。
【0028】
検知機構10は、回動機構11を介してブレード保持部17の後端部に取り付けられており、ハンド3に対して、水平方向を回動の軸方向とする回動が可能となっている。具体的には、検知機構10は、ハンド3に対して左右方向を回動の軸方向とする回動が可能となっている。すなわち、検知機構10は、ハンド3の基端部に回動可能に取り付けられている。
【0029】
検知機構10は、発光部21および受光部22がハンド3から遠ざかる検知位置10Aと、発光部21および受光部22がハンド3に近づく退避位置10B(図4(B)参照)との間で回動可能になっている。より具体的には、検知機構10は、前後方向において発光部21および受光部22がハンド3から遠ざかる検知位置10Aと、前後方向において発光部21および受光部22がハンド3に近づく退避位置10Bとの間で90°回動可能になっている。
【0030】
検知位置10Aに検知機構10が配置されているときには、平板状に形成される保持部材23の厚さ方向と上下方向とが一致している。退避位置10Bに検知機構10が配置されているときには、保持部材23の厚さ方向と水平方向とが一致している。具体的には、退避位置10Bに検知機構10が配置されているときには、保持部材23の厚さ方向と前後方向とが一致している。
【0031】
また、検知機構10は、回動機構11の一部を構成する後述の回動軸28を回動中心にして回動可能となっている。回動軸28は、検知位置10Aに検知機構10が配置されているときの保持部材23の前端部に繋がり、退避位置10Bに検知機構10が配置されているときの保持部材23の下端部に繋がっている。発光部21および受光部22は、検知位置10Aに検知機構10が配置されているときには、保持部材23の後端から後ろ側に突出し、退避位置10Bに検知機構10が配置されているときには、保持部材23の上端から上側に突出している。検知機構10は、退避位置10Bに検知機構10が配置されているときには、ハンド3に対して折り畳まれた状態になっている。
【0032】
回路基板24に実装される信号処理回路は、アナログ信号である受光部22の出力信号の増幅等を行って、受光部22の出力信号を電子信号に変換するとともに、この電子信号を出力する。信号処理部25は、保持部材23に取り付けられている。信号処理部25は、検知位置10Aに検知機構10が配置されているときには、保持部材23の上側に配置され、退避位置10Bに検知機構10が配置されているときには、保持部材23の前側に配置されている。
【0033】
回動機構11は、保持部材23に固定される回動軸28と、回動軸28を回動させる駆動源としてのエアシリンダ29とを備えている。回動軸28は、回動軸28の軸方向と左右方向とが一致するように配置されている。回動軸28の一端部は、保持部材23に固定されている。回動軸28の他端部は、エアシリンダ29に取り付けられている。エアシリンダ29は、揺動型のエアシリンダである。エアシリンダ29は、ブラケット30に固定されている。ブラケット30は、ブレード保持部17の後端部に固定されている。すなわち、エアシリンダ29は、ブラケット30を介してハンド3の基端部に固定されている。
【0034】
回動機構11は、検知位置10Aと退避位置10Bとの間で検知機構10を回動させる。具体的には、回動機構11は、回動軸28を回動中心にして(すなわち、左右方向を回動の軸方向として)、検知位置10Aと退避位置10Bとの間で検知機構10を回動させる。すなわち、回動機構11は、発光部21の光軸Lと平行な方向を回動の軸方向として、検知位置10Aと退避位置10Bとの間で検知機構10を回動させる。また、回動機構11は、検知位置10Aと退避位置10Bとの間で検知機構10を90°回動させる。検知機構10は、カセットや処理装置の各段にウエハ2が存在するのか否かを検知するときに検知位置10Aに配置され、それ以外のときには、退避位置10Bに配置されている。
【0035】
検知機構10によって、たとえば、カセットの各段にウエハ2が存在するのか否かを検知するときには、ロボット1は、発光部21および受光部22がカセット側を向くように、昇降部8に対してアーム支持部7を回動させるとともに、発光部21から受光部22に向かう光が、カセットに収容されるウエハ2によって遮られる位置までアーム支持部7に対してアーム5を伸ばして、発光部21および受光部22をカセットに近づける。この状態で、柱部9に対して昇降部8を昇降させて、検知機構10によってウエハ2の有無を検知する。
【0036】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、回動機構11は、発光部21および受光部22がハンド3から遠ざかる検知位置10Aと、発光部21および受光部22がハンド3に近づく退避位置10Bとの間で検知機構10を回動させている。そのため、本形態では、検知位置10Aに配置される検知機構10の発光部21と受光部22とによって、ロボット1からより離れた位置に配置されるウエハ2を検知することが可能になる。
【0037】
また、本形態では、検知機構10は、カセットや処理装置の各段にウエハ2が存在するのか否かを検知するときに検知位置10Aに配置されるが、それ以外のときには、退避位置10Bに配置されている。そのため、本形態では、検知機構10によるウエハ2の検知動作以外の所定の動作をロボット1が行うときに、たとえば、検知機構10と柱部9とが干渉するのを防止することが可能になる。すなわち、本形態では、検知機構10によるウエハ2の検知動作以外の所定の動作をロボット1が行うときに、検知機構10がロボット1の動作の支障となるのを防止することが可能になる。
【0038】
このように本形態では、ハンド3の基端部に取り付けられる検知機構10によって、ロボット1からより離れた位置に配置されるウエハ2を検知することが可能であっても、ロボット1が所定の動作を行うときに検知機構10がロボット1の動作の支障となるのを防止することが可能になる。また、本形態では、検知機構10によるウエハ2の検知動作以外の所定の動作をロボット1が行うときに、検知機構10が退避位置10Bに配置されているため、アーム5を縮めた状態で昇降部8に対してアーム支持部7が回動するときの最大回動半径を小さくすることが可能になる。
【0039】
本形態では、回動機構11は、発光部21の光軸Lと平行な方向を回動の軸方向として、検知位置10Aと退避位置10Bとの間で検知機構10を回動させている。そのため、本形態では、退避位置10Bに配置される検知機構10の、ハンド3の後端から後ろ側への突出量をより少なくすることが可能になる。したがって、本形態では、検知機構10によるウエハ2の検知動作以外の所定の動作をロボット1が行うときに、検知機構10がロボット1の動作の支障となるのを確実に防止することが可能になる。
【0040】
本形態では、回動機構11は、検知位置10Aと退避位置10Bとの間で検知機構10を90°回動させている。そのため、本形態では、ハンド3の基端部に取り付けられる検知機構10によって、ロボット1からより離れた位置に配置されるウエハ2を検知することが可能であるとともに、検知機構10によるウエハ2の検知動作以外の所定の動作をロボット1が行うときに検知機構10がロボット1の動作の支障となるのを防止することが可能であっても、検知機構10の回動範囲を必要最小限の範囲にすることが可能になる。
【0041】
本形態では、信号処理部25は、保持部材23に取り付けられている。一般に、信号処理部25からハンド3に向かって引き出される配線として、受光部22と信号処理部25とを繋ぐ配線よりも太い配線を使用することが可能であるため、本形態では、受光部22と信号処理部25とを繋ぐ配線よりも太い配線を回動軸28に沿って引き回すことが可能になる。したがって、本形態では、回動軸28に沿って引き回される配線が回動軸28の回動に伴って繰り返し変形しても、この配線の断線を防止することが可能になる。
【0042】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0043】
上述した形態において、退避位置10Bに検知機構10が配置されているときに、保持部材23の厚さ方向が前後方向に対して傾いていても良い。すなわち、上述した形態において、回動機構11は、検知位置10Aと退避位置10Bとの間で検知機構10を90°を超える角度で回動させても良いし、検知位置10Aと退避位置10Bとの間で検知機構10を90°未満の角度で回動させても良い。また、上述した形態において、回動機構11は、上下方向を回動の軸方向として検知機構10を回動させても良いし、前後方向に直交する方向であって上下方向と左右方向とに対して傾いた方向を回動の軸方向として検知機構10を回動させても良い。
【0044】
上述した形態において、検知機構10は、反射型の光学式センサであっても良い。また、上述した形態において、回動軸28を回動させる駆動源は、モータであっても良い。さらに、上述した形態において、信号処理部25は、ブレード保持部17に取り付けられていても良い。また、上述した形態では、検知機構10は、回動機構11を介してハンド3の基端部に回動可能に取り付けられているが、検知機構10は、ハンド3の基端部に直接、回動可能に取り付けられていても良い。
【0045】
上述した形態において、ハンド3が有するブレード16の数は、4枚未満であっても良いし、6枚以上であっても良い。また、上述した形態において、ロボット1は、アーム5、6に代えて、ハンド3、4を直線的に移動させる移動機構を備えていても良い。さらに、上述した形態において、ロボット1は、ハンド4およびアーム6を備えていなくても良い。また、上述した形態において、ロボット1は、ウエハ2以外の搬送対象物を搬送しても良い。
【符号の説明】
【0046】
1 ロボット(産業用ロボット)
2 ウエハ(半導体ウエハ、搬送対象物)
3 ハンド
10 検知機構
10A 検知位置
10B 退避位置
11 回動機構
21 発光部
22 受光部
23 保持部材
24 回路基板
25 信号処理部
28 回動軸
29 エアシリンダ(駆動源)
L 発光部の光軸
図1
図2
図3
図4