(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022116810
(43)【公開日】2022-08-10
(54)【発明の名称】ミシン
(51)【国際特許分類】
D05B 77/00 20060101AFI20220803BHJP
D05B 81/00 20060101ALI20220803BHJP
D05B 83/00 20060101ALI20220803BHJP
【FI】
D05B77/00
D05B81/00
D05B83/00
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021013189
(22)【出願日】2021-01-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-12-22
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 1.2020年2月18日に公開された、ソーシャルワイヤー株式会社のページ(https://www.atpress.ne.jp/news/205266)にて公開されたインターネット公開 2. 2020年2月18日に公開された、株式会社アックスヤマザキのページ(http://www.axeyamazaki.co.jp/,http://www.axeyamazaki.co.jp/products/kosodate/index.html)にて公開されたインターネット公開 3.2020年2月21日に公開された、ソーシャルネットワークサービスInstagram(https://www.instagram.com/p/B80jdIEFS9m/)にて公開されたインターネット公開 4.2020年2月25日に公開された、動画配信サービスYoutube(https://www.youtube.com/watch?v=4dQ6UDGACLM,https://www.youtube.com/watch?v=yOzpBP7FAiY)にて公開されたインターネット公開 5.2020年2月27日に公開された、ソーシャルネットワークサービスInstagram(https://www.instagram.com/p/B9EGZoLFHbc/)にて公開されたインターネット公開 6.2020年2月27日に公開された、動画配信サービスYoutube(https://www.youtube.com/watch?v=NUrUmjzbqQ0,https://www.youtube.com/watch?v=hwIWE7PVC5A,http://youtube.com/watch?v=iNpYYOsQ_3k,https://www.youtube.com/watch?v=rDbTS4834hQ)にて公開されたインターネット公開 7.2020年2月28日に公開された、ソーシャルネットワークサービスInstagram(https://www.instagram.com/p/B9GyUIDFNBt/)にて公開されたインターネット公開 8.2020年2月28日に公開された、動画配信サービスYoutube(https://www.youtube.com/watch?v=IxI8282Q24w)にて公開されたインターネット公開等
(71)【出願人】
【識別番号】598127930
【氏名又は名称】株式会社アックスヤマザキ
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167380
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100161746
【弁理士】
【氏名又は名称】地代 信幸
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 一史
【テーマコード(参考)】
3B150
【Fターム(参考)】
3B150CA00
3B150CE02
3B150CE22
3B150GA16
3B150GA27
(57)【要約】
【課題】ミシン操作中の離席時における針の安全性を向上させ、ミシンの操作の際に手本となる情報を容易に参照できるようにする。
【解決手段】アーム部10と、アーム部10に設けられる上下動自在の針棒1と、アーム部10の下方に位置し針棒1に対向するベッド部20とを含むミシン本体部Aと、ベッド部20上に乗せて水平方向から針棒1の周囲をカバーでき、取り外し可能な針ガードBとを有し、針ガードBは、スマートフォンCを面置き可能である斜面部21を有するミシンとした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アーム部(10)と、前記アーム部(10)に設けられる上下動自在の針棒(1)と、前記アーム部(10)の下方に位置し前記針棒(1)に対向するベッド部(20)とを含むミシン本体部(A)と、
前記ベッド部(20)上に乗せて水平方向から前記針棒(1)をカバーでき、取り外し可能な針ガード(B)とを有し、
前記針ガード(B)は、スマートフォン(C)を面置き可能である斜面部(21)を有する、
ミシン。
【請求項2】
前記針ガード(B)が、
前記斜面部(21)を支える基部(22)と、
前記斜面部(21)の裾部(21a)が立ち上がり前記スマートフォン(C)の一方の端部を支えることが可能な留め部(23)と、
前記基部(22)及び前記斜面部(21)を、前記斜面部(21)の裾部(21a)側から切り欠いた囲み部(24)とを有し、
前記針ガード(B)を前記針棒(1)に対して取り付けると、前記囲み部(24)が前記針棒(1)の三方を囲む、
請求項1に記載のミシン。
【請求項3】
前記針ガード(B)は、
前記囲み部(24)の下端部に、切り欠いた奥(24a)から手前(24b)側に突き出た固定板(25)を有し、
前記固定板(25)は、布地を押える押さえ板(1c)と、前記ベッド部(20)の前記針棒(1)に向かう針板(9)との間に挟むことが可能であり、
前記押さえ板(1c)と前記針板(9)との間に前記固定板(25)を挟んだ際に、前記針棒(1)とそれに繋がる糸とを囲むことができる切欠部(26)が前記固定板(25)を切り欠く形態に形成されてある、
請求項2に記載のミシン。
【請求項4】
前記ミシン本体部(A)又は針ガード(B)のいずれかの表面に、二次元コード(D)を記載し、
前記二次元コード(D)は、前記ミシンに関する情報を掲載したwebページに繋がるアドレス情報を復号可能である、
請求項1乃至3のいずれかに記載のミシン。
【請求項5】
前記ミシンに関する情報が、前記ミシンの取扱説明書を含む請求項4に記載のミシン。
【請求項6】
前記ミシンに関する情報が、前記ミシンを操作する動画情報を含む請求項4又は5に記載のミシン。
【請求項7】
請求項4乃至6のいずれかに記載のミシンと、
前記アドレス情報により指定可能なwebサーバとを備え、
前記webサーバは、前記ミシンに関する情報の更新を受け付ける更新受付手段を有する、ミシンサービスシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ミシンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ミシンの構造は、モータ等の駆動力により上下動する針棒と、その針棒の直下に設けられる針板を備えたベッド部、ベッド部の内部に設けられる釜を備えたものとなっている。釜には下糸を巻いたボビンが収容され、同じくモータ等の駆動力により回転する。針棒と釜は協働し、針棒の先に取り付けた縫針に供給される上糸と、ボビンが供給する下糸とを絡めて、針板上に載置された布に縫目を形成していく。
【0003】
ミシンの上部には横方向に伸びるアーム部が設けられており、そのアーム部内には、上軸が水平な状態で回転可能に支持されている。上軸の右側の端部には駆動プーリが取り付けられており、駆動プーリは、ベルト等の駆動力伝達部材を介してモータ等の駆動源に接続されている。上軸の左側の端部には天秤クランクが取り付けられている。駆動力によって上軸が軸回り回転すると天秤クランクが回転し、その回転が針棒クランク、針棒クランクロッド等を介して針棒に伝達されて、針棒及び縫針は上下動を繰り返す。
【0004】
また、ベッド部内には、下軸が水平な状態で回転可能に支持されている。下軸の右側の端部には、無端状のベルトやシャフト等からなる回転伝達部が接続されている。回転伝達部の上部は上軸に接続されて、上軸の回転が下軸に伝達されるようになっている。また、下軸の左側の端部には釜を回転させるギヤ等が接続されている。駆動力によって上軸が回転すれば、回転伝達部を介して下軸が回転して釜が回転する(例えば、特許文献1,2参照)。
【0005】
ところで、特許文献3には、ミシン頭部から突出する針棒に、針カバーをかぶせることができるミシンが開示されている。針棒周縁のミシン頭部には、針カバーを保持する保持溝が形成されており、この保持溝に針カバーの上端の周縁を係合させることによって針カバーを取りつける。針カバーは、例えば円柱形のものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平3-58273号公報(
図1参照)
【特許文献2】特開平10-137479号公報(
図1参照)
【特許文献3】特開平05-277274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ミシンによる作業中に一旦離席したいが、子供らが針に触れることを防止したいような場合には、特許文献3に記載の針カバーでは一旦糸を切らねばならず好適に利用することができなかった。これが第一の課題である。
【0008】
また、近年のミシンは単機能ではなく、ダイヤルの切り替えや内蔵するコンピュータへの設定変更などによって、様々な縫い方を実現することができるようになっている。そのような多機能になった分、操作はどうしても複雑になり、全ての機能についての利用の仕方をユーザが覚えていることは現実的ではない。どうしても取り扱い説明書や手本が必要になることがある。これが第二の課題である。
【0009】
そこでこの発明は、離席時における針の安全性の向上を第一の課題とし、さらには、ミシンの操作の際に手本となる情報を参照できるようにすることを第二の課題とし、これらを解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、この発明は、アーム部と、前記アーム部に設けられる上下動自在の針棒と、前記アーム部の下方に位置し前記針棒に対向するベッド部とを含むミシン本体部と、
前記ベッド部上に乗せて水平方向から前記針棒をカバーでき、取り外し可能な針ガードとを有し、
前記針ガードは、スマートフォンを面置き可能である斜面部を有するミシンを採用した。
【0011】
すなわち、このミシンが有する針ガードは、スマートフォン置きとして利用可能であり、離席時にはスマートフォンを手に取って不要となったそのスマートフォン置きである針ガードを、ベッド部に乗せて水平方向から針棒の周囲に取り付けることができる。現代において多くの人が肌身離さず携帯する物品となったスマートフォンを、作業中に置いておくスマートフォン置きを針ガードとしても使えるようにすることで、離席する際に必ず針ガードに手が伸びることになり、その針ガードを取り付けて安全を確保しようとする行動への強力な示唆を与えることができる。取り付ける際には糸を切ったりアーム部を下からのぞき込むといった精密な作業をすることなく、針棒を水平方向からカバーするように容易に取り付けるができる。
【0012】
また同時に、単なるスマートフォン置きではなく、斜面部を有してその斜面にスマートフォンを置くことができる。作業時には取り外すことになる針ガードをミシンの横に置き、その針ガードの上に斜めに向けたスマートフォンの画面を作業者に向けて据えることができる。これにより、スマートフォンに表示された取扱説明書のファイルやwebページ、作業の説明を送った人のメールやメッセージ、参考となる動画といった、ミシンを取り扱う上で参考となる有益な情報を表示させて見やすい角度で作業者に見せることができ、作業効率を高めることができる。また、作業中にスマートフォンをこまめに見ることになるため、離席時にスマートフォンのことを失念して忘れることが少なくなる。
【0013】
この発明にかかるミシンは、実施形態として、
前記針ガードが、
前記斜面部を支える基部と、前記斜面部の裾部が立ち上がり前記スマートフォンの一方の端部を支えることが可能な留め部と、前記基部及び前記斜面部を前記斜面部の裾部側から切り欠いた囲み部とを有し、
前記針ガードを前記針棒に対して取り付けると、前記囲み部が前記針棒の三方を囲む形態を採用できる。
【0014】
前記留め部を設けることで、スマートフォンが斜面に沿って滑り落ちてしまうことを防ぐことができる。また、基部及び斜面部を切り欠いた囲み部で囲むことで、針棒の三方を囲むことができ、残る一方向を囲まなくてもその左右方向を囲む部位によって針棒への接触をほぼ防ぐことができる。一方で、針ガードを取り付け、取り外す際にはその囲まれていない一方向を針棒が通過するように動かせばよい。
【0015】
さらにこの発明にかかるミシンは上記の実施形態にさらに加えて、
前記針ガードは、
前記囲み部の下端部に、切り欠いた奥から手前側に突き出た固定板を有し、
前記固定板は、布地を押える押さえ板と、前記ベッド部の前記針棒に向かう針板との間に挟むことが可能であり、
前記押さえ板と前記針板との間に前記固定板を挟んだ際に、前記針棒とそれに繋がる糸とを囲むことができる切欠部が前記固定板を切り欠く形態に形成されてある形態を採用できる。
【0016】
普段は布地を押えるために用いられる押さえ板を降ろして、上から固定板を挟むことで、針ガードを固定して容易にはずれないようにできる。これにより、さらに離席時の安全性を高めることができる。
【0017】
一方で、この発明にかかるミシンは、
前記ミシン本体部又は針ガードのいずれかの表面に、二次元コードを記載し、
前記二次元コードは、前記ミシンに関する情報を掲載したwebページに繋がるアドレス情報を復号可能である形態を採用できる。
このミシンに関する情報としては、ミシンの取扱説明書や、ミシンを操作する動画情報が挙げられる。
【0018】
取扱説明書といったミシンに関する書類は、ミシンの作業中には手の届かない場所に収納しておくことも多い。いざ作業中にミシンについての情報を調べようとしたとき、取扱説明書などを取りに行こうとすると、一旦離席して針ガードを取り付けることになる。この実施形態にかかるミシンでは、ミシン本体部又は針ガードに記載した二次元コードをスマートフォンで読み取り、二次元コードからwebにアクセスしてスマートフォンで表示することで、それらの必要な情報を離席することなく参照し、しかも針ガードに乗せて見やすい状態のままで開いておくことができる。
【0019】
これに対応するwebサーバは、前記ミシンに関する情報の更新を受け付ける更新受付手段を有するようにしておくと、ミシンサービスを適宜追加して利用者に有益な情報を提供し続けることができる。
【発明の効果】
【0020】
この発明にかかるミシンは、離席時における針の安全性を向上させて子供が針に触れてしまい怪我をする状況が起こることを防止しやすくし、なおかつ、ミシンの操作の際に手本となる情報を容易に参照できるようになり、利用者が安心安全かつ便利にミシンを利用できる環境を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図2】この発明の一実施形態を示すミシンの針ガードをスマートフォンの面置き具として設置した利用形態図
【
図4】(a)針ガードの例を示す斜視図、(b)(a)の正面図、(c)(a)の右側面図、(d)(a)の平面図、(e)(a)の背面図
【
図5】(a)針ガードを取り付けた実施形態のミシン背面側から見た図、(b)(a)のミシンの左側面側から見た図
【発明を実施するための形態】
【0022】
この発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。この発明にかかるミシンMは、ミシン本体部Aと、針ガードBとを有する。針ガードBをミシン本体部Aに装着させた形態の斜視図を
図1に、針ガードBをスマートフォンCの面置き具として設置した利用形態図を
図2に示す。
【0023】
ミシン本体部Aは、横方向に突出するとともに突出側の端部に上下動自在の針棒1を備えたアーム部10と、アーム部10の下方に位置し針棒1に対向するベッド部20と、アーム部10の根元部側の端部とベッド部20とを結ぶ脚柱30を有する。針ガードBはミシンMを使用しないときに、
図1のように針棒1を囲むように取り付けて針棒1が折れないように、かつ針棒1に触れて怪我などをしないようにするためのガードとなる。
【0024】
ミシン本体部Aの内部構造の例を
図3に示す。脚柱30の側部には駆動プーリ3aが取り付けられている。駆動プーリ3aからアーム部10の内部へ横方向に延びる上軸3が軸回り回転自在に支持されている。駆動プーリ3aは、ベルト等の駆動力伝達部材を介してモータ等の駆動源(図示せず)に接続されている。上軸3の左側の端部には天秤クランクが取り付けられている。駆動力によって上軸3が軸回り回転すると天秤クランクが回転し、その回転が針棒クランク、針棒クランクロッド等を介して針棒1に伝達されて、針棒1及び縫針1aは上下動を繰り返す。駆動プーリ3aの回転を、針棒1の上下動に変換する天秤クランク、針棒クランク、針棒クランクロッド等の部材を、以下、上部回転変換部2と称する。上部回転変換部2の構成としては、この実施形態に限定されず、周知の構成を採用できる。なお、針棒1の下端には縫針1aが取り付けられる。また、縫針1aの横にはその下端に押さえ板1cを備えた押さえ棒1bが備えられる。アーム部10の側面から突き出た押さえ上下レバー1dを上げ下げすることにより、押さえ棒1b及び押さえ板1cは手動で昇降自在である。
【0025】
ベッド部20は、針棒1の直下に設けられる針板9を備えている。また、針板9の下方には釜6が備えられている。釜6には下糸を巻くボビンが収容されている。また、ベッド部20内には、下軸5が水平な状態で下軸支持部7により回転可能に支持されている。下軸5の右側の端部には回転伝達部4が接続されている。回転伝達部4は、ベッド部20とアーム部10とを上下方向に結んでいる脚柱30の中を通って、その上部がアーム部10内の上軸3に接続されている。これにより、回転伝達部4を介して、上軸3の回転が下軸5に伝達されるようになっている。回転伝達部4の構成は、例えば、上軸3と下軸5にそれぞれ取り付けられたプーリ、及び、そのプーリ間に巻回される無端状のベルトとからなる構成、あるいは、上軸3と下軸5とを結ぶ回転シャフトと、上軸3と回転シャフトとを回転伝達可能に接続する対の傘歯車、下軸5と回転シャフトとを回転伝達可能に接続する対の傘歯車等からなる構成を採用することができる。回転伝達部4の構成としては、上記の例に限定されず、周知の構成を採用できる。
【0026】
また、ベッド部20内において、下軸5の左側の端部には、下軸5の軸回り回転を釜6の回転に変換するためのギヤ等が接続されている。駆動力によって上軸3が回転すれば、回転伝達部4を介して下軸5も回転して、その下軸5の回転によって釜6が回転する。下軸5の回転を、釜6の回転運動に変換するギヤ等の部材を、以下、下部回転変換部8と称する。この下部回転変換部8の構成としては、この実施形態に限定されず、周知の構成を採用できる。針棒1と釜6は協働して作用し、針棒1の先に取り付けた縫針1aに供給される上糸と、釜6内のボビンが供給する下糸とを絡めて、針板9上に載置された布に縫目を形成していく。
【0027】
一方、針ガードBは、取り外し可能な部品である。針板9の上に乗せて、水平方向前方へスライドさせることで、針棒1をカバーする。この針ガードBの斜視図を
図4(a)に示す。取り付け時に前方を向く正面側から見た正面図を
図4(b)に示す。右側面図を
図4(c)に示し、左側面図はそれと左右対称となる。平面図を
図4(d)に示し、取り付け時に手前側となる背面図を
図4(e)に示す。
【0028】
針ガードBは、スマートフォンCを載せることができる斜面部21と、斜面部21を支える基部22と、斜面部21の裾部21aが立ち上がりスマートフォンCの一方の端部を支えることが可能な留め部23と、基部22及び斜面部21を斜面部21の裾部21a側から切り欠いた囲み部24とを有する。また、囲み部24の下端部に、切り欠いた奥24a側から手前24b側に突き出た固定板25を有する。この固定板25は針ガードBの底面の一部を構成する。この固定板25は押さえ板1cの少なくとも一部が乗る。また、固定板25には、裾部21a側(
図4(a)における左手前側、
図1における前方)から切り欠いた切欠部26が形成されている。
【0029】
この針ガードBを、針棒1を囲むように取り付けた実施形態を
図5(a)(b)、
図6(a)(b)に示す。
図5(a)、
図6(a)は針ガードBの正面側、ミシンの背面側から見た針棒1付近の拡大図であり、
図5(b)、
図6(b)はミシンの左側面側から見た針棒1付近の拡大図である。囲み部24が針棒1(又はその先端の縫針1a)の三方を囲むように、ミシンの手前側から針ガードBをスライドさせる。
図5(b)に示すように、押さえ板1cが囲み部24の奥24aに当たるかそれに近いところまで押し込む。このとき、縫針1aが下りていたり、縫針1aの先端に糸が取り付けられていたりするときでも、切欠部26で切り欠いた間に縫針1aが格納されるので、十分に奥まで針ガードBを押し込むことができる。十分に針ガードBを押し込んだら、押さえ上下レバー1dを下ろして、押さえ板1cを下ろす。押さえ板1cは固定板25を上から押さえつけ、針ガードBを固定することができる。ミシンを使い終わった格納時に固定しておくことで、何かが当たって針棒1が曲がったりすることを防ぐことができる。また、ミシンを使用途中に席を立つときには、このように押さえ板1cで針ガードBを固定しておくことで、針棒1より脆弱な縫針1aに何かがあたって縫針1aが折れてしまったり、または子供やペットなどが縫針1aに触れて怪我をするといった事態が発生する可能性を大きく抑制できる。
【0030】
ミシンを使用する際には、押さえ上下レバー1dを上げて押さえ板1cを上げ、針ガードBの固定を解除する。針ガードBをミシン手前側にスライドさせることで針ガードBを容易に取り外すことができる。この取り外した針ガードBは、斜面部21を手前側に向けてミシンの周辺部に据えることで、スマートフォンCの設置具として利用できる。スマートフォンCの背面を斜面部21に乗せ、スマートフォンCの四辺いずれかの縁を留め部23に乗せると、ミシンを操作する利用者にスマートフォンCの画面を向けることができる。これにより、スマートフォンCの画面に、ミシンの取り扱い説明書や利用手順を示すテキスト、図面、動画などを表示させながら、それを参考にしてミシンを操作することができる。
【0031】
この利用形態においてスマートフォンCの画面に役立つ情報を簡便に表示できるように、ミシン本体部Aか針ガードBのいずれかの表面に、二次元コードDを記載しておくと好ましい。この二次元コードDは、この発明にかかるミシンに関する情報を掲載したwebページに繋がるアドレス情報を復号可能であるとよい。スマートフォンCのカメラ機能で二次元コードDを撮影し、スマートフォンCが搭載するソフトウェアによりコードをデコードしてアドレス情報を復号する。このアドレス情報へwebブラウザでアクセスすることで、ミシンに関する様々な情報を手に入れることができる。この情報としては、取扱説明書や、ミシンの操作方法を示す動画情報などが挙げられる。
【0032】
上記二次元コードDはミシンにあらかじめ印刷しておいてもよいし、シールの形でミシンに添付しておき、利用者が使いやすい箇所を選択して貼り付けてもよい。ミシン本体部Aにおいては、手前側か上部に二次元コードDがあると読取しやすい。ベッド部20に二次元コードDが記載されていると、布を掛けて作業している真っ最中に二次元コードDを読み取ろうとしたとき、布地が邪魔をして読み取れなくなるおそれがあるため、アーム部10か脚柱30にあるとよい。針ガードBにおいては、斜面部21に二次元コードDがあると読取しやすい。
【0033】
上記のアドレス情報で指定されるアドレスのwebサーバは、ミシンの製造者や販売者など、ミシンの販売により利益を上げる者が自由に情報をアップロードしておくと好ましい。すなわち、アドレスはPDFファイルや動画などに直接通じるアドレスではなく、それらのファイルや紹介ページ、動画、SNSなどに通じるリンクを有する当該ミシンのポータルサイトのアドレスであると利用者が得られる情報を多様化させることができるので好ましい。
【0034】
また、webサーバは、パソコンやスマートフォンなどの管理用の端末から、ミシンに関する情報の更新を受け付ける更新受付手段を有すると好ましい。具体的にはブログサービスなどを利用したwebページ更新サービスを有しているとよい。
【0035】
上記二次元コードDを有し、スマートフォンCの閲覧用置き場として利用できる針ガードBを有するミシンMと、スマートフォンからアクセスできるwebサーバとを合わせることで、利用者が利用方法について容易に調べて手に入れたり、手本となる動画情報を参照したりしてミシンの様々な利用方法を広く実践できるミシンサービスシステムが構築される。
【符号の説明】
【0036】
1 針棒
1a 縫針
1b 押さえ棒
1c 押さえ板
1d 押さえ上下レバー
2 上部回転変換部
3 上軸
3a 駆動プーリ
4 回転伝達部
5 下軸
6 釜
7 下軸支持部
8 下部回転変換部
9 針板
10 アーム部
20 ベッド部
21 斜面部
21a 裾部
22 基部
23 留め部
24 囲み部
24a 奥
24b 手前
25 固定板
26 切欠部
30 脚柱
A ミシン本体部
B 針ガード
C スマートフォン
D 二次元コード
M ミシン
【手続補正書】
【提出日】2021-08-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アーム部(10)と、前記アーム部(10)に設けられる上下動自在の針棒(1)と、前記アーム部(10)の下方に位置し前記針棒(1)に対向するベッド部(20)とを含むミシン本体部(A)と、
前記ベッド部(20)上に乗せて水平方向から前記針棒(1)をカバーでき、取り外し可能な針ガード(B)とを有し、
前記針ガード(B)は、スマートフォン(C)を面置き可能である斜面部(21)と、
前記斜面部(21)の裾部(21a)が立ち上がり前記スマートフォン(C)の一方の端部を支えることが可能な留め部(23)と、を有する
ミシン。
【請求項2】
前記針ガード(B)が、
前記斜面部(21)を支える基部(22)と、
前記基部(22)及び前記斜面部(21)を、前記斜面部(21)の裾部(21a)側から切り欠いた囲み部(24)とを有し、
前記針ガード(B)を前記針棒(1)に対して取り付けると、前記囲み部(24)が前記針棒(1)の三方を囲む、
請求項1に記載のミシン。
【請求項3】
前記針ガード(B)は、
前記囲み部(24)の下端部に、切り欠いた奥(24a)から手前(24b)側に突き出た固定板(25)を有し、
前記固定板(25)は、布地を押える押さえ板(1c)と、前記ベッド部(20)の前記針棒(1)に向かう針板(9)との間に挟むことが可能であり、
前記押さえ板(1c)と前記針板(9)との間に前記固定板(25)を挟んだ際に、前記針棒(1)とそれに繋がる糸とを囲むことができる切欠部(26)が前記固定板(25)を切り欠く形態に形成されてある、
請求項2に記載のミシン。
【請求項4】
前記ミシン本体部(A)又は針ガード(B)のいずれかの表面に、二次元コード(D)を記載し、
前記二次元コード(D)は、前記ミシンに関する情報を掲載したwebページに繋がるアドレス情報を復号可能である、
請求項1乃至3のいずれかに記載のミシン。
【請求項5】
前記ミシンに関する情報が、前記ミシンの取扱説明書を含む請求項4に記載のミシン。
【請求項6】
前記ミシンに関する情報が、前記ミシンを操作する動画情報を含む請求項4又は5に記載のミシン。
【請求項7】
請求項4乃至6のいずれかに記載のミシンと、
前記アドレス情報により指定可能なwebサーバとを備え、
前記webサーバは、前記ミシンに関する情報の更新を受け付ける更新受付手段を有する、ミシンサービスシステム。