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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022116837
(43)【公開日】2022-08-10
(54)【発明の名称】ヒンジキャップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/08 20060101AFI20220803BHJP
   B65D 55/06 20060101ALI20220803BHJP
【FI】
B65D47/08 110
B65D55/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021013225
(22)【出願日】2021-01-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100186358
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 信人
(74)【代理人】
【識別番号】100191145
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 整博
(72)【発明者】
【氏名】早川 茂
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA02
3E084AA12
3E084AA24
3E084AB01
3E084BA01
3E084CA01
3E084CC03
3E084DC03
3E084EB01
3E084EB02
3E084EC03
3E084FA02
3E084GA08
3E084GB08
3E084KA11
3E084KB01
3E084LA01
3E084LD01
(57)【要約】
【課題】 除去部を有する隔壁を必要とせず、キャップ本体の注出筒を密封するために、上蓋と別体の中栓を設けても、開封したことが簡単に視認できるヒンジキャップを提供すること。
【解決手段】 容器Aに装着するキャップ本体Bと、キャップ本体BにヒンジCを介して連設される上蓋Dとからなるヒンジキャップであって、キャップ本体Bは、容器Aの口部1に装着する装着部5と、装着部5から内方に延設され、口部1の開口を封鎖する上壁6と、上壁6を貫通する注出口7の周囲から立設される注出筒8とを備え、上蓋Dは、頂壁21と、頂壁21の内面から垂設される筒壁23と、筒壁23の内側に開口され、頂壁21を貫通する嵌合穴24と、筒壁23の内側で上下動可能に保持され、注出筒8を密封する中栓Eとを備え、中栓Eは、セット時に嵌合穴24に嵌入する嵌合凸部32を有し、開封時に嵌合穴24から離脱後、回転することを特徴とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に装着するキャップ本体と、キャップ本体にヒンジを介して連設される上蓋とからなるヒンジキャップであって、
キャップ本体は、容器の口部に装着する装着部と、装着部から内方に延設され、口部の開口を封鎖する上壁と、上壁を貫通する注出口の周囲から立設される注出筒とを備え、
上蓋は、頂壁と、頂壁の内面から垂設される筒壁と、筒壁の内側に開口され、頂壁を貫通する嵌合穴と、筒壁の内側で上下動可能に保持され、注出筒を密封する中栓とを備え、
中栓は、セット時に嵌合穴に嵌入する嵌合凸部を有し、開封時に嵌合穴から離脱後、回転することを特徴とするヒンジキャップ。
【請求項2】
中栓は、注出筒内周を密封する密封リングと、下面から密封リングを垂設する中栓基部とを有し、
嵌合凸部は、中栓基部の上面に形成されることを特徴とする請求項1に記載のヒンジキャップ。
【請求項3】
注出筒は、内周に、中栓の回転方向に形成された上り勾配の傾斜突部を有し、
中栓は、外周に注出筒の傾斜突部と摺接する摺動突部を有することを特徴とする請求項1または2に記載のヒンジキャップ。
【請求項4】
筒壁は、内周に、上蓋の嵌合穴に嵌合凸部が嵌入した中栓基部の外周下端と当接する上段係止部と、上蓋の嵌合穴から嵌合凸部が外れた中栓基部の外周下端と当接する下段係止部とを有することを特徴とする請求項2または3に記載のヒンジキャップ。
【請求項5】
中栓は、開封時に、注出筒との密封が外れる前に、中栓基部の外周下端が筒壁の上段係止部を乗り越えることを特徴とする請求項4に記載のヒンジキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の口部に装着されるヒンジキャップに関し、とくに、注出筒を密封するために、上蓋と別体の中栓を備えるヒンジキャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、容器の口部に装着されるキャップ本体と、キャップ本体にヒンジを介して取り付けられる上蓋とを備えるヒンジキャップにおいて、容器の密閉性を確保するために、キャップ本体の開口予定部にプルリングなどを形成した除去部を有する隔壁を設けていた。
しかし、除去部を開封するために、上蓋を開けた後、プルリングなどを引っ張って除去部を開封するという作業が必要となり、面倒であるとともに力の弱い利用者にとっては開封に苦労するという問題があった。
【0003】
このため、除去部を有する隔壁を必要とせず、キャップ本体の注出筒を密封する中栓を上蓋に保持させ、開蓋と同時に中栓が上蓋とともに注出筒から外され、開封するようにしたヒンジキャップは従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-13830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載のヒンジキャップは、プルリングによる抜栓作業を必要としないため、最初の開封が簡単であるが、除去部の有無によって最初の開封であるかを確認できないという問題があった。
このため、上記ヒンジキャップは、不正開封を判別するためにシュリンクラベルや封緘部材等を必要とするという問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題を解決することを課題とし、除去部を有する隔壁を必要とせず、キャップ本体の注出筒を密封するために、上蓋と別体の中栓を設けても、開封したことが簡単に視認できるヒンジキャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するため、ヒンジキャップとして、容器に装着するキャップ本体と、キャップ本体にヒンジを介して連設される上蓋とからなるヒンジキャップであって、キャップ本体は、容器の口部に装着する装着部と、装着部から内方に延設され、口部の開口を封鎖する上壁と、上壁を貫通する注出口の周囲から立設される注出筒とを備え、上蓋は、頂壁と、頂壁の内面から垂設される筒壁と、筒壁の内側に開口され、頂壁を貫通する嵌合穴と、筒壁の内側で上下動可能に保持され、注出筒を密封する中栓とを備え、中栓は、セット時に嵌合穴に嵌入する嵌合凸部を有し、開封時に嵌合穴から離脱後、回転することを特徴とする構成を採用する。
【0008】
ヒンジキャップの実施形態として、中栓は、注出筒内周を密封する密封リングと、下面から密封リングを垂設する中栓基部とを有し、嵌合凸部は、中栓基部の上面に形成されることを特徴とする構成を採用し、また、注出筒は、内周に、中栓の回転方向に形成された上り勾配の傾斜突部を有し、中栓は、外周に注出筒の傾斜突部と摺接する摺動突部を有することを特徴とする構成を採用する。
さらに、ヒンジキャップの具体的実施形態として、筒壁は、内周に、上蓋の嵌合穴に嵌合凸部が嵌入した中栓基部の外周下端と当接する上段係止部と、上蓋の嵌合穴から嵌合凸部が外れた中栓基部の外周下端と当接する下段係止部とを有することを特徴とする構成を採用し、また、中栓は、開封時に、注出筒との密封が外れる前に、中栓基部の外周下端が筒壁の上段係止部を乗り越えることを特徴とする構成を採用する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のヒンジキャップは、上記構成を採用することにより、キャップ本体の注出筒を密封するために、上蓋と別体の中栓を設けても、セット時に上蓋の嵌合穴に嵌入していた中栓が開封時に嵌合穴から離脱することにより、開封したことが簡単に視認できる。
また、本発明のヒンジキャップは、一度開封されると、中栓が上蓋の嵌合穴と位置がずれるために、閉蓋しても中栓が嵌合穴に嵌入して開封前の状態に戻すことができ難くなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施例であるヒンジキャップが装着された容器を開封する前の状態を示す説明図で、(a)は上面図で、(b)は側面断面図である。
図2】本発明の実施例であるヒンジキャップの開蓋状態を示す図で、(a)は上面図、(b)は側面断面図である。
図3】本発明の実施例である中栓を示す図で、(a)は上面図、(b)は側面半断面図、(c)は下面図である。
図4】本発明の実施例であるヒンジキャップが装着された容器の開封を開始した状態を示す断面側面図である。
図5】本発明の実施例であるヒンジキャップが装着された容器の開封途中(中栓の回転時)の状態を示す説明図で、(a)は上面図で、(b)は側面断面図である。
図6】本発明の実施例であるヒンジキャップが装着された容器の開封途中(中栓の回転終了時)の状態を示す説明図で、(a)は上面図で、(b)は側面断面図である。
図7】本発明の実施例であるヒンジキャップが装着された容器の開封後の状態を示す断面側面図である。
図8】本発明の実施例であるヒンジキャップが装着された容器の開封後に閉蓋した状態を示す説明図で、(a)は上面図で、(b)は側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明のヒンジキャップについて、実施例を示した図面を参照して説明する。
なお、以下の説明において、図1(b)でみて、上方向を「上」とし、下方向を「下」とし、左方向を「正面側(ヒンジと反対側)」とし、右方向を「背面側(ヒンジ側)」とする。
【実施例0012】
図1および図2において、Aは内容物を収納する容器、Bは容器Aに装着されるキャップ本体、Cはヒンジ、DはヒンジCを介してキャップ本体Bに開閉自在に連設される上蓋である。
容器Aは、上部に円筒状の口部1を有し、口部1の外周面には、嵌合突条2が設けられている。
【0013】
キャップ本体Bは、容器Aの口部1に装着される装着部5と、装着部5の内縁上端から内方に延設され、口部1の開口を封鎖する上壁6と、上壁6を貫通する注出口7と、上壁6の注出口7の周囲から立設される注出筒8と、注出口7の周囲から下方に設けられた有底の整流筒体Fとを備えている。
【0014】
装着部5は、上壁6の外縁に連設され、上蓋Dと係合する環状の蓋係合部9と、蓋係合部9の内周縁から垂設された内筒10と、蓋係合部9の外周縁から垂設され、外周の背面側の上端部にヒンジCが連設される外周壁部11とから構成されている。
外周壁部11は、内周下部に容器Aの口部1の嵌合突条2と係合する係合突部12が設けられている。
【0015】
注出筒8は、上壁6の中央から正面側寄りに形成され、内周は、下部が縮径され、シール部8aが形成されている。
注出筒8の内周は、シール部8aの上部に、開封時に、後述する中栓Eの外周と係合することにより、中栓Eを回転させるために、中栓Eの回転方向に上り勾配でねじ状に形成された傾斜突部13が設けられている。傾斜突部13の断面形状は、上部の傾斜が緩やかで、下部の傾斜が急に形成されており、最初の閉蓋時に、中栓Eを注出筒8に挿入し易くしている。
本実施例では、傾斜突部13は、正面側を避けて、両側部の周方向にそれぞれ10~20°の円弧角で形成されているが、傾斜突部13は、注出の邪魔にならない位置に少なくとも1個所設ければよい。
【0016】
図2に示すように、外周壁部11は、ヒンジCの左右いずれかの近傍に、外周面に平面視で略V字状の外周切り込み部14が上方から切り込まれ、外周切り込み部14の内周側の上部の薄肉部を隔てた位置を起点として背面側から円周方向に所定の範囲延びるように、スリット溝15が上方から凹設されている。
【0017】
このため、ヒンジキャップは、容器Aの廃棄時に、開蓋した上蓋Dを持ち、ヒンジCを介して引き下げると、外周切り込み部14が縦方向引き裂きライン、スリット溝15が周方向引き裂きラインとなり、外周壁部11は、外周切り込み部14を起点に周方向に破断され、破断された部分の係合突部12と容器Aの口部1との係合が外されていき、簡単にヒンジキャップを容器Aから引き離し、分別して廃棄することができる。
【0018】
整流筒体Fは、上壁6の注出口7の周囲から下方に垂設され、正面側が開口された半円筒状の側壁17と、側壁17の下端部を閉塞するように、一部が正面側に延設された底壁18とから構成され、側壁17は、背面側に後部孔19が開口されている。側壁17の正面側の開口は、内容物を注出する際の注出孔として機能し、背面側に開口された後部孔19は、空気置換孔として機能する。
なお、整流筒体Fは、必ずしも設ける必要がない。
【0019】
上蓋Dは、ヒンジCを介してキャップ本体Bの外周壁部11の外周上端に、回動自在に連結されており、頂壁21と、頂壁21の周縁部から垂設される側周壁22とからなり、頂壁21の内面から、注出筒8より大径の筒壁23が垂設されている。
本実施例では、筒壁23の内径は、注出筒8の外径に比べて2倍程度となっているが、筒壁23の内径は、注出筒8の先端部と干渉しない範囲内で、必要に応じて設定可能である。
【0020】
頂壁21には、筒壁23の内側に開口され、頂壁21を貫通する複数の嵌合穴24が設けられ、それぞれの嵌合穴24の幅は、w1、w2、w3、w4の順に大きくなるように設定されている。また、嵌合穴24は、後述する中栓Eの嵌合凸部32が嵌入し易いように、断面がテーパー状に形成されることが好ましい。
なお、本実施例では、嵌合穴24は、平面視で略四辺形状に形成されているが、形状は、円形状や三角形状など、どのようなものでもよく、さらに、個数は、4個設けられているが、少なくとも1個設けられていればよい。
【0021】
筒壁23は、内周に、嵌合穴24に嵌入した中栓Eの中栓基部30の外周下端と当接して保持する上段係止部25と、嵌合穴24から外れた中栓Eを所定の範囲で上下動および回動可能に保持する下段係止部26とが設けられている。
上段係止部25は、上蓋Dに中栓Eをセットした後に、中栓Eが嵌合穴24から抜け落ちない程度に保持できればよいので、下段係止部26よりも内側への突出寸法が小さく設定されている。
下段係止部26の断面形状は、上部の傾斜が急で、下部の傾斜が緩やかに形成されており、中栓Eを下方から挿入し易くするとともに、一旦挿入された中栓Eを抜け難く保持できるようになっている。
なお、上段係止部25および下段係止部26は、筒壁23の全内周にわたり形成されていても、または間隔をおいて形成されていても構わない。
【0022】
側周壁22の下端部内周には、キャップ本体Bの蓋係合部9の外周側と係合する下方に係合突条を設けた係合凹部27とが形成されている。
さらに、側周壁22の正面側の下端部外周には、摘み部28が円弧状に形成され、本実施例では、側周壁22は、摘み部28が設けられた近傍を薄肉状部22aとしている。
【0023】
図1に示すように、中栓Eは、閉蓋時に注出筒8を密封状態とするもので、キャップ本体Bおよび上蓋Dとは別体の部材として構成されている。
図3に示すように、中栓Eは、フランジ状の中栓基部30と、中栓基部30の下面から垂設され、キャップ本体Bの注出筒8の内周に先端部31aから嵌入する密封リング31とから構成されている。
本実施例では、中栓基部30の外周上端部には、テーパー面30aが形成され、中栓Eを筒壁23の内側に挿入する際に、下段係止部26の前述した緩やかな傾斜を乗り越え易くしている。
【0024】
中栓基部30の上面には、セット時に、上蓋Dの嵌合穴24に嵌入する複数の嵌合凸部32が形成され、嵌合穴24と同様に、それぞれの嵌合凸部32の幅は、w1、w2、w3、w4の順に大きくなるように設定されている。また、図3(b)に示すように、嵌合凸部32は、上蓋Dの嵌合穴24に嵌入し易いように、断面がテーパー状に形成されることが好ましい。
なお、本実施例では、嵌合凸部32は、上蓋Dの嵌合穴24に対応して4個設けられているが、嵌合穴24に対応して少なくとも1個設けられていればよい。
本実施例では、密封リング31は、中栓基部30がフランジ状であるために、上部が解放されているので、下部に閉塞壁33を設けて閉塞しているが、中栓基部30が円板状の場合には、閉塞壁33は、設ける必要がない。
さらに、密封リング31の外周には、注出筒8の傾斜突部13と摺接するねじ状の摺動突部34が突設され、摺動突部34の断面形状は、上部の傾斜が急で、下部の傾斜が緩やかに形成されており、最初の閉蓋時に、中栓Eを注出筒8に挿入し易くしている。
【0025】
次に、本実施例の使用態様と作用効果について説明する。
本実施例のヒンジキャップは、最初に閉蓋する工程の前に、上蓋Dの筒壁23に中栓Eをセットする必要があり、図2に示すように、ヒンジキャップを開蓋した状態で、予め中栓Eの嵌合凸部32を上蓋Dの嵌合穴24に対して位置合わせした後、中栓Eを上蓋Dの筒壁23の内周に押し込むと、中栓基部30の外周面は、筒壁23内周の下段係止部26を乗り越え、さらに押し込むと、中栓Eは、嵌合凸部32が上蓋Dの嵌合穴24に嵌入しながら、中栓基部30の外周面が上段係止部25を乗り越え、上蓋Dに保持される。
この際、嵌合凸部32と嵌合穴24の位置合わせと同時に、注出筒8の傾斜突部13と中栓Eの密封リング31の摺動突部34の位置合わせも必要となるが、図1(a)に示すように、複数の嵌合穴24および嵌合凸部32の幅をw1、w2、w3、w4のように変えることにより、上蓋Dと中栓Eの位置合わせを容易に行なうことができる。
【0026】
次に、開蓋状態から図1に示すように閉蓋する際には、ヒンジCを回動中心として、上蓋Dを閉じていくと、中栓Eの密封リング31は、摺動突部34が注出筒8の傾斜突部13に当接し、さらに上蓋Dを閉じていくと、密封リング31の摺動突部34は、注出筒8の傾斜突部13を乗り越えるとともに、中栓Eの密封リング31の先端部31aは、キャップ本体Bの注出筒8のシール部8aに挿入され、注出筒8を密封する。
【0027】
次に、図1に示すように、ヒンジキャップは、閉蓋した状態で、内容物が充填された容器Aの口部1に打栓して装着される。
打栓工程は、装着部5の内筒10と外周壁部11との間に形成された環状溝部に容器Aの口部1を当てがい、上蓋Dの上から押圧力が加えられ、外周壁部11の係合突部12が口部1の嵌合突条2を乗り越えて係合し、容器Aの口部1が内筒10の外周と外周壁部11の内周、および蓋係合部9とによって挟持されることで装着される。
なお、本実施例では、装着部5は、内筒10の外周と外周壁部11の内周、および蓋係合部9とによって容器Aの口部1を狭持するものとしたが、容器Aの口部1の外周に雄ネジを形成するとともに、外周壁部11の内周に雌ネジを形成することによって螺着するものであってもよい。
【0028】
本実施例のヒンジキャップを開封するには、図1に示す状態から、図4に示すように、上蓋Dの摘み部28を押し上げ、上蓋Dの係合凹部27とキャップ本体Bの蓋係合部9との係合を解除すると、注出筒8のシール部8aと中栓Eの密封リング31との嵌合の方が筒壁23の上段係止部25と中栓Eの中栓基部30との係合よりも強いために、中栓Eは、密封リング31が注出筒8のシール部8aを密封した状態で、中栓基部30が筒壁23の上段係止部25による保持状態から解放されるので、中栓Eは、嵌合凸部32が上蓋Dの嵌合穴24から離脱する。
【0029】
さらに、摘み部28を上方に持ち上げると、上蓋Dの筒壁23は、上昇して下段係止部26が中栓基部30の外周部に当接することにより、中栓Eは、持ち上げられ、キャップ本体Bの注出筒8から密封リング31を外すことができる。
また、中栓Eは、嵌合凸部32が上蓋Dの嵌合穴24から離脱したことにより、中栓基部30が筒壁23の内側で上下動および回転が可能になり、密封リング31は、図5に示すように、上蓋Dの筒壁23によって持ち上げられるのに伴い、摺動突部34が注出筒8の傾斜突部13に摺接しながら回転を始める。
【0030】
さらに、摘み部28を持ち上げると、図6に示すように、中栓Eは、回転を継続することにより、密封リング31の摺動突部34が注出筒8の傾斜突部13から外れ、回転を停止し、この状態のまま上蓋Dを持ち上げ続けると、図7に示すように、ヒンジキャップは、開蓋状態となる。
以上のように、本実施例のヒンジキャップは、一度開封されると、中栓Eの嵌合凸部32が上蓋Dの嵌合穴24から離脱して相互位置がずれるだけでなく、嵌合穴24および嵌合凸部32の大きさがそれぞれ異なることにより、簡単に再セットすることができない。
本実施例のヒンジキャップは、抜栓作業なしに、閉蓋状態から上蓋Dの摘み部28を持ち上げ、上蓋Dとともに、それに連動する中栓Eの密封リング31がキャップ本体Bの注出筒8から外されると、容器Aを傾けただけで、容易に注出筒8から容器A内の内容物を注出することができる。
【0031】
次に、容器A内の内容物を注出し終えた後、上蓋Dを閉じると、中栓Eの密封リング31は、先端部31aが注出筒8のシール部8aを越えて挿入され、中栓Eをキャップ本体Bの注出筒8と一体化させた後、側周壁22の係合凹部27がキャップ本体Bの蓋係合部9に嵌合して、図8に示すように、閉蓋状態に戻る。
この際に、図8(a)に示すように、中栓Eは、開封時に、嵌合凸部32が上蓋Dの嵌合穴24から離脱した後、回転することにより、一度開封されると、中栓Eの嵌合凸部32は、上蓋Dの嵌合穴24と位置がずれるため、上蓋Dは、頂壁21に嵌合穴24が空いたままとなり、開封されたことを容易に視認することができる。
【0032】
また、本実施例のヒンジキャップは、全体を同一の合成樹脂製としてもよいが、中栓Eをキャップ本体Bおよび上蓋Dの合成樹脂より、硬質の合成樹脂とした場合、中栓Eを注出筒8の内周に嵌入しやすくなり、気密性が向上する。
また、中栓Eの色は、キャップ本体Bおよび上蓋Dの色と同じでもよいが、中栓Eの色を変えることにより、開封の前後で変化する上蓋Dの嵌合穴24の視認性が向上する。
さらに、容器Aについては、どのような材質のものでもよく、また、容器A内に収納する内容物も液状に限らず、粉末状、顆粒状などでもかまわない。
本発明によれば、容器A内の内容物を長期にわたって気密に保つことができる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明のヒンジキャップは、キャップ本体の注出筒を密封するために、上蓋と別体の中栓を設けても、セット時に上蓋の嵌合穴に嵌入していた中栓が開封時に嵌合穴から離脱することにより、開封したことが簡単に視認できる。また、一度開封されると、中栓が上蓋の嵌合穴と位置がずれるために、閉蓋しても中栓が嵌合穴に嵌入して開封前の状態に戻すことができ難くなるため、内容物としては、液状の洗浄料、食品、調味料だけでなく、粉末状のものにも適用可能であり、特に気密性の必要な内容物を収納する容器として好適である。
【符号の説明】
【0034】
A 容器
B キャップ本体
C ヒンジ
D 上蓋
E 中栓
F 整流筒体
w1~w4 幅
1 口部
2 嵌合突条
5 装着部
6 上壁
7 注出口
8 注出筒
8a シール部
9 蓋係合部
10 内筒
11 外周壁部
12 係合突部
13 傾斜突部
14 外周切り込み部
15 スリット溝
17 側壁
18 底壁
19 後部孔
21 頂壁
22 側周壁
22a 薄肉状部
23 筒壁
24 嵌合穴
25 上段係止部
26 下段係止部
27 係合凹部
28 摘み部
30 中栓基部
30a テーパー面
31 密封リング
31a 先端部
32 嵌合凸部
33 閉塞壁
34 摺動突部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8