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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022116838
(43)【公開日】2022-08-10
(54)【発明の名称】感染対策用パーテーション
(51)【国際特許分類】
   G10K 11/28 20060101AFI20220803BHJP
   A47B 96/04 20060101ALI20220803BHJP
   A47B 13/00 20060101ALN20220803BHJP
   A47B 17/00 20060101ALN20220803BHJP
【FI】
G10K11/28
A47B96/04 Z
A47B13/00 Z
A47B17/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021013226
(22)【出願日】2021-01-29
(71)【出願人】
【識別番号】000004008
【氏名又は名称】日本板硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】望月 聡
(72)【発明者】
【氏名】石野 聡
(72)【発明者】
【氏名】金澤 徹
(72)【発明者】
【氏名】中條 将秀
【テーマコード(参考)】
3B053
【Fターム(参考)】
3B053NQ09
3B053NQ10
3B053SE10
(57)【要約】
【課題】空気感染を抑制する効果を持たせつつ、同時にパーテーションが隔てた音声の伝搬を阻害しない感染対策用パーテーションを提供する。
【解決手段】この感染対策用パーテーションは、基材と、基材に設けられ音波を通過させることが可能な貫通孔と、貫通孔に設けられる集音器とを備える。集音器は、貫通孔に下端を有し前記貫通孔から離れるに従って大きくなる開口部を有する第1音波反射部材と、前記開口部において前記貫通孔から所定の距離を空けて配置される第2音波反射部材を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材に設けられ音波を通過させることが可能な貫通孔と、
前記貫通孔に設けられる集音器と
を備え、
前記集音器は、前記貫通孔に下端を有し前記貫通孔から離れるに従って大きくなる開口部を有する第1音波反射部材と、前記開口部において前記貫通孔から所定の距離を空けて配置される第2音波反射部材を備える
感染対策用パーテーション。
【請求項2】
前記第2音波反射部材は、前記基材の法線方向から見た場合に前記貫通孔を隠蔽する大きさを有する、請求項1に記載の感染対策用パーテーション。
【請求項3】
前記基材は、抗菌、除菌、殺菌等の効力を有する塗料を塗布されている、請求項1に記載の感染対策用パーテーション。
【請求項4】
基材と、
前記基材に設けられ音波を通過させることが可能な貫通孔と、
前記貫通孔を覆う布を取り付けるための取付け部と
を備えた、感染対策用パーテーション。
【請求項5】
前記基材は、抗菌、除菌、殺菌等の効力を有する塗料を塗布されている、請求項4に記載の感染対策用パーテーション。
【請求項6】
前記貫通孔の周辺に配置される表示部を備え、
前記表示部は、人間の感情に作用するようなパーツ又は人間を構成する部位を映し出すことが可能に構成された、請求項4に記載の感染対策用パーテーション。
【請求項7】
前記表示部は、ディスプレイ装置である、請求項6に記載の感染対策用パーテーション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感染対策用パーテーションに関する。
【背景技術】
【0002】
新型コロナウィルスが2020年の初頭より世界的に蔓延したことを受けて、各種の感染対策が地域、企業、店舗等で実施されている。多く用いられている簡易感染対策の1つに、隣接する空間にパーテーション(しきい)を設け、空気の流れを簡易的に遮断する方法がある。
【0003】
しかし、従来のパーテーションは、空気の流れを遮断してウィルス等の拡散を防止するのに効果的である一方、音波の伝搬を遮断し、このため、パーテーションを隔てたコミュニケーションを阻害するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3228006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ウィルス、細菌、菌等についての空気感染を抑制する効果を持たせつつ、同時にパーテーションが隔てた音声の伝搬を阻害しない感染対策用パーテーションを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明に係る感染対策用パーテーションは、基材と、前記基材に設けられ音波を通過させることが可能な貫通孔と、前記貫通孔に設けられる集音器とを備える。前記集音器は、前記貫通孔に下端を有し前記貫通孔から離れるに従って大きくなる開口部を有する第1音波反射部材と、前記開口部において前記貫通孔から所定の距離を空けて配置される第2音波反射部材を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ウィルス、細菌、菌等についての空気感染を抑制する効果を持たせつつ、同時にパーテーションが隔てた音声の伝搬を阻害しない感染対策用パーテーションを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】従来において感染対策としてオフィス等で使用されるパーテーションの例について説明する。
図2】従来において感染対策としてオフィス等で使用されるパーテーションの例について説明する。
図3】従来において感染対策としてオフィス等で使用されるパーテーションの例について説明する。
図4】ISO226で示される等ラウドネス曲線を示す。
図5】板厚3mmのガラスの透過損失の周波数特性の一例を示すグラフである。
図6】第1の実施の形態の感染対策用パーテーション3の構成例を示す概略図である。
図7A】パーテーション3及び集音器21の構成の詳細を説明する断面図である。
図7B】パーテーション3及び集音器21の構成の詳細を説明する平面図である。
図7C】パーテーション3及び集音器21の構成の詳細を説明する断面図である。
図8】第2の実施の形態の感染対策用パーテーション3’の構成例を示す概略図である。
図9】第3の実施の形態の感染対策用パーテーション3’’の構成例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本実施形態について説明する。添付図面では、機能的に同じ要素は同じ番号で表示される場合もある。なお、添付図面は本開示の原理に則った実施形態と実装例を示しているが、これらは本開示の理解のためのものであり、決して本開示を限定的に解釈するために用いられるものではない。本明細書の記述は典型的な例示に過ぎず、本開示の特許請求の範囲又は適用例を如何なる意味においても限定するものではない。
【0010】
本実施形態では、当業者が本開示を実施するのに十分詳細にその説明がなされているが、他の実装・形態も可能で、本開示の技術的思想の範囲と精神を逸脱することなく構成・構造の変更や多様な要素の置き換えが可能であることを理解する必要がある。従って、以降の記述をこれに限定して解釈してはならない。
【0011】
(従来のパーテーション)
実施形態の説明の前に、図1を参照して、従来において感染対策としてオフィス等で使用されるパーテーションの例について説明する。パーテーション3は一般に、透明素材(アクリル、プラスチックなどの樹脂、ガラス)を用いて構成され、必要に応じ、その表面に抗菌、除菌、殺菌作用を有する塗料が適宜塗布される。
【0012】
パーテーション3は、例えば、パソコン1の前に座る人の空間と、パソコン2の前に座る人との空間とを出来るだけ分離するため、パソコン1とパソコン2の間の位置(例えば机の上)に配置される。
【0013】
図2は、オフィス等において隣接して又は向かい合わせに配置される4つのデスクにおけるパーテーション3の配置の例を図示している。図2では、田の字型(2行2列)に配置される4つのデスクを仕切る線分5-7、及び8-9に沿ってパーテーション3が配置される。これにより、パーテーション3により仕切られる空間にいる4人の人10~13がパーテーション3により仕切られる。すなわち、交点6を中心として、線分5-7に沿ってパーテーション3が配置されると共に、線分8-9に沿ってパーテーション3が配置されることにより、4つの空間が安全に分離される。
【0014】
図3を参照して、店舗内において、店員と購入者との間に配置されるパーテーションの配置例を説明する。この例では、店員19と購入者18(顧客)との間のカウンタ上に、支持棒14がワイヤ17により天井から懸架され、その支持棒14にパーテーション15が取り付けられている。これにより、店員19の空間と購入者18の空間との間が安全に仕切られる。パーテーション15は、天井から懸架されるだけでなく、その下方に脚部が取り付けられ、脚部によりカウンタ16上に自立可能とされていてもよい。
【0015】
図1図3の従来技術の問題点を以下に示す。いずれの場合にも、パーテーション3で仕切られた2つの空間にいる人の間の会話は、パーテーション3における音波の減衰により著しく阻害される。パーテーション3により、特に約20Hzから20,000Hzの音域に対する音圧減衰量が増大するためである。
【0016】
以下に説明する実施の形態に係る感染対策用パーテーションは、ウィルス、細菌、菌などの人体に有害な空気感染の原因となる物質を遮断しつつ、従来技術で抱えていた音声遮断の原因を解決することを意図している。
【0017】
図4に、ISO226で示される等ラウドネス曲線を示す。この等ラウドネス曲線は、等しい音の大きさと感じる周波数と音圧レベルとの関係を示す曲線である。
【0018】
一方、人間の耳の受信感度には個人差と年齢差が存在するため、オージオグラムを用いた聴覚検査傾向が非常に重要なデータとして扱われる。オージオグラム等に用いられる聴力図では、一般的に最小可聴閾値は、125Hz~8,000Hzの周波数に対して45~55dBとされる。この範囲の中央値50dBを基準値とすると、図4に示す等ラウドネス曲線から、125Hz~8,000Hzで最小可聴閾値50dBを満足するために必要となる音圧レベルは20フォンとなる。したがって、50-20=30フォンであるため、感染対策として用いるパーテーションの上記周波数帯域における許される損失量は30dBという計算になる。
【0019】
しかしながら、最悪の場合を考慮に入れると、上に示した45~55dbの中央値ではなく、45dBという値を基準値として考える必要があり、この時最小可聴閾値は25dBとなることが計算により確認することが出来る。
【0020】
ここで考慮する必要があるのは、聴者の年齢差となる。一般的に、10代、20代、30代の聴覚を損失0dBとして考える際、40代の聴覚損失は5dB、50代は10dB、60代は20dBの損失を2000Hzで持つことが知られている。
【0021】
そのため、ウィルス、細菌、菌などの人体に有害な空気感染の原因となる物質を遮断するためにパーテーションを設置する場合、パーテーションで遮断される例えば125Hz~8,000Hzの周波数の音波に対して、許される損失は少なければ少ない方が良い。
【0022】
仮にパーテーションが20dB程度を減衰させる損失度を該当周波数帯域で持つとき、最小可聴閾値25dBから60代の20dBを減算すると、5dBとわずかに聞こえる程度の音圧となって耳に入力されてしまうことになる。この場合、何度も相手に聞き直すか、又は言い直してもらっても聞こえないことになり、コミュニケーションが著しく阻害される。
【0023】
ここで、板厚3mmのガラスの透過損失の周波数特性の一例を図5に示す。図5において、横軸は周波数であり、縦軸は透過損失(音域遮断特性)を示す。
【0024】
聴覚の要となる最も聞き取りやすい周波数帯は2000~4000Hzと言われている。このガラスは、板厚に依存するコインシデンス効果を除き、35dB程度の損失を持つことが図5のグラフから確認できる。このようなガラスは、10代、20代の聴者でも、最小可聴閾値以上の損失を与えることになる。すなわち、このようなガラスがパーテーション材料として用いられると、音声の伝達を十分に行うことが出来ず、または伝達される音波の音圧レベルが極めて小さいためコミュニケーションを行うことが困難となる。
【0025】
本実施の形態は、このような透過損失を著しく軽減すると共に、ウィルス、細菌、菌などの人体に有害な空気感染の原因となる物質を遮断することができる感染対策用パーテーションを提案するものである。
【0026】
[第1の実施の形態]
第1の実施の形態の感染対策用パーテーション3の構成例を図6に示す。この感染対策用パーテーション3は、一例として、テーブル等を挟んで相対する又は隣り合う人10、11、12、13の空間を分離するため、テーブル上の線分5-7、あるいは線分8-9に沿って設けられる。
【0027】
このパーテーション3は、人10~13が発する音声の音波を通過させるための貫通孔Hを備えている。貫通孔Hの形状、及び配置には特に制限はない。そして、このパーテーション3は、この貫通孔Hに集音器21を備えている。この集音器21を介して、人10~13が発した音声が集音され、パーテーション3の反対側の空間に伝達される。貫通孔H及び集音器21は、線分5-7に沿ったパーテーション3にも設けられるとともに、線分8-9に沿ったパーテーション3にも設けられ得る。なお、後述するように、貫通孔H及び集音器21の一部は、音波の伝搬損失を低減する機構を有している一方、残りの部分は、音波の伝搬損失を低減しないよう構成されていてもよい。一方で、集音器21は、後述するように、ウィルス、細菌、菌等についての空気感染を抑制する機能も備えている。
【0028】
人10~13から発生される音声は、図6に示す通り、大きな指向角を持って拡散される。可聴域に相当する音波は、例えば125kHz~8000kHz程度の低い周波数のため、その指向性は鋭いものではなく広角である。このため、人10~13より発声された可聴帯域周波数の音波は、発声者の正面の貫通孔Haだけでなく、側方にある貫通孔Hsにも伝達され、パーテーション3の反対側の空間に伝搬する。音波の一部は、(1つだけでなく)複数の貫通孔H及び集音器21を通過して伝搬し得る。
【0029】
また、音波の一部は、集音器21を通過するのではなく、集音器21等で反射されて伝搬する。このように、パーテーション3で仕切られた空間には、人10~13から直接発せられた音波(直接波(図6中の実線の矢印))に加え、集音器21を通過又は反射した音波(マルチパス波(図6中の破線の矢印))も含まれる。
【0030】
図7A~Cを参照して、パーテーション3及び集音器21の構成の詳細を説明する。図7Aは、音波の伝搬損失を低減するように構成された集音器21の構成例を示す断面図であり、図7Bは、この集音器21の平面図である。また、図7Cは、音波の伝搬損失を低減させる構成を有していない集音器21の構成を示す断面図である。
【0031】
図7Aに示すように、パーテーション3は、アクリル又はガラスなどの透明部材からなる基材Sbを有し、この基材Sbに貫通孔Hを形成されている。音波の伝搬損失を低減するように構成された集音器21は、支持部22、第1音波反射部材23、第2音波反射部材24、及び梁部25を備えている。また、パーテーション3の基材Sbの表面に、抗菌、除菌、殺菌等の効果の有るコーティング等を塗布することも可能である。
【0032】
支持部22は、貫通孔Hに固定され、後述する第1音波反射部材23を保持する機能を有する。第1音波反射部材23は、図7A及びBに示すように、貫通孔Hに下端を有し、貫通孔Hから離れるに従って大きくなる開口部を有する。一例として第1音波反射部材23は、頂部が基材Sbと相対する半球状の形状を有しており、その半球状部の底部(頂部)に貫通孔Hと一致する貫通孔Hxが設けられる。半球状部の半径は、貫通孔Hの半径よりも十分に大きくされている。これにより、集音器21に到達した音波は、第1音波反射部材23の半球状部の内面を反射して貫通孔Hを通過する。
【0033】
第2音波反射部材24は、貫通孔Hから所定の距離を空けて、第1音波反射部材23の開口部に配置される。第2音波反射部材24は、第1音波反射部材23とは逆に、その頂部が基材Sbとは反対側に位置する半球状の形状を有している。第2音波反射部材24の半球部分の半径は、第1音波反射部材23の半球部分の半径よりも小さい。例えば、第2音波反射部材24は、基材Sbの法線方向から見て、貫通孔Hが隠れる程度の大きさとされるのが好ましい。梁部25は、第1音波反射部材23の一部から延びて第2音波反射部材24に達し、第2音波反射部材24を固定的に保持する。
【0034】
人10~13が発した音波は、大きな指向角で広がって集音器21の第1音波反射部材23に到達して反射し、更に一部は第2音波反射部材24でも二次反射して、貫通孔Hに導かれる。第2音波反射部材24は、第1音波反射部材23よりも小さく、両者の隙間に音波が進入し得る。また、第2音波反射部材24は、正面から見て貫通孔Hを覆う程度の大きさを有しており、これにより、ウィルス、細菌、菌等についての空気感染を抑制する効果を与える。なお、第2音波反射部材24は、全ての集音器21に設けることは必要なく、一部の集音器21においては省略することもできる。
【0035】
また、図7Cに示すように、集音器21の一部は、音波の伝搬損失を低減させる構成を有していない構成とすることもできる。すなわち、頂部に貫通孔Hxを有する第1音波反射部材23に代えて、頂部に貫通孔Hxを有さない第1音波反射部材23’を設けても良い。頂部に貫通孔Hxの無い第1音波反射部材23’を用いた場合でも、音波の一部は、第1音波反射部材23’を所定の伝搬損失を受けた後に通過してパーテーション3の反対側に達することが可能である
【0036】
以上説明したように、この第1の実施の形態の感染対策用パーテーション3によれば、人が発した音声の音波が集音器21に達した場合、その音波は第1音波反射部材23、第2音波反射部材24で反射されて貫通孔Hを通過するので、音波はパーテーション3の反対側に低い伝搬損失で伝搬する一方、空気中のウィルスや細菌、菌は、第1音波反射部材23、及び第2音波反射部材24での反射により、一定の割合で遮断される。従って、第1の実施の形態の感染対策用パーテーションによれば、ウィルス、細菌、菌等についての空気感染を抑制する効果を持たせつつ、同時にパーテーションが隔てた音声の伝搬を阻害しない感染対策用パーテーションを提供することができる。
【0037】
[第2の実施の形態]
本発明の第2の実施の形態の感染対策用パーテーションを、図8を参照して説明する。第2の実施の形態の感染対策用パーテーション3’は、第1の実施の形態の感染対策用パーテーションと同様に、透明材料からなる基材Sbを備えると共に、基材Sbを貫通するように形成された貫通孔Hを備える。なお、図8では、貫通孔Hがマトリクス状に複数個配列されているが、これに限定されるものではなく、例えば、第1の実施の形態の図示の例と同様に、1か所に単一の貫通孔Hが設けられる構成とすることもできる。
【0038】
この第2の実施の形態の感染対策用パーテーション3’は、貫通孔Hに集音器21を有しておらず、代わりに、ウィルス等の通過を抑制する布製部材32が貫通孔Hを覆うように配置可能にされている。布製部材32は、例えば不織布、又は綿、ポリエステルなどの布体により構成され、その両端にゴム紐33を取り付けて構成される。基材Sbの、貫通孔Hの近傍には、一対の支柱34(取付け部)が設けられ、ゴム紐33を懸架することが可能にされている。支柱34は、図8に示すように、貫通孔Hの左右の両側に、ゴム紐33に所定の張力を与える程度の距離に、2カ所設けるのが好適であるが、これに限定されるものではない。支柱34の個数、設置位置、形状は、特定のものに制限されない。支柱34の代わりに、布製部材32を貫通孔Hを覆うように保持可能な他の部材を採用することもできる。また、布製部材32は、一般に市販されている不織布マスクにより代用することも可能である。布製部材32の面積や形状については、特に限定はない。
【0039】
この第2の実施の形態の感染対策用パーテーション3’によれば、人が発した音声の音波が貫通孔Hに達した場合、その音波は貫通孔H及び布製部材32を通過して感染対策用パーテーション3’の反対側の領域に達する。一方、空気中のウィルスや細菌、菌は、布製部材32において一定の割合で遮断される。従って、第2の実施の形態の感染対策用パーテーションによれば、ウィルス、細菌、菌等についての空気感染を抑制する効果を持たせつつ、同時にパーテーションが隔てた音声の伝搬を阻害しない感染対策用パーテーションを提供することができる。
【0040】
[第3の実施の形態]
本発明の第3の実施の形態の感染対策用パーテーション3’’を、図9を参照して説明する。第3の実施の形態の感染対策用パーテーション3’’は、第2の実施の形態の感染対策用パーテーション3’と同様に、ウィルス等の通過を抑制する布製部材32が貫通孔Hを覆うように配置可能にされている。図9において、図8と同一の構成については同一の参照符号を付しているので、以下では重複する説明は省略する。
【0041】
この第3の実施の形態の感染対策用パーテーション3’’は、貫通孔Hの周囲の領域に配置される、画像を表示する表示部40~43を備えて構成される。表示部40~43は、それぞれ貫通孔Hの配置領域の上側、左側、右側、下側に位置しており、一例として、人間の目、耳、頬、顎などの写真、イラスト等を表示可能とされている。写真及びイラストは、表示部40~43に印刷された形で表示されてもよい。又は、表示部40~43を液晶ディスプレイとし、そのような写真やイラストの画像を適宜生成してもよい。各表示部40~43に表示される写真やイラストは、独立して変更可能であり、各表示部40~43が連携して1つのキャラクターを構成することができる。一例として、表示部40に表示する目をまばたきさせたり、涙を流させたりすることも出来る。また、表示部41、422に映し出す人物の頬を赤らめたり、表示部43に映し出す口元を笑顔にしたり、物を食べるしぐさ、舌を出す等の人間の感情に関わる内容を伴わせることもできる。
【0042】
各表示部40~43に表示される写真やイラストは、平面的な画像であってもよいし、立体的な画像であってもよいし、また、画像に加え、嗅覚に訴えるような画像が提示されてもよい。なお、上記のような画像に加え、テキストを表示させることも可能である。
【0043】
この第3の実施の形態の感染対策用パーテーション3’’によれば、第2の実施の形態と同様の効果を得ることができることに加え、貫通孔Hの周囲に、人間の感情に作用するような写真又は図柄を表示することができ、パーテーションを介した人の間でのコミュニケーションをより円滑にすることができる。
【0044】
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、上記以外の様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0045】
3、3’、3’’…感染対策用パーテーション
21…集音器
22…支持部
23、23’…第1音波反射部材
24…第2音波反射部材
25…梁部
32…布製部材
33…ゴム紐
34…支柱
40、41、42、43…表示部
H、Ha、Hs、Hx…貫通孔
Sb…基材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9