(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022116878
(43)【公開日】2022-08-10
(54)【発明の名称】加湿装置
(51)【国際特許分類】
F24F 6/00 20060101AFI20220803BHJP
F24F 6/02 20060101ALI20220803BHJP
【FI】
F24F6/00 B
F24F6/02 B
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021013285
(22)【出願日】2021-01-29
(71)【出願人】
【識別番号】591239003
【氏名又は名称】株式会社SANKA
(74)【代理人】
【識別番号】100097065
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 雅栄
(72)【発明者】
【氏名】神子島 岩男
【テーマコード(参考)】
3L055
【Fターム(参考)】
3L055BC01
3L055CA04
3L055DA05
3L055DA20
(57)【要約】
【課題】
十分に冷却された加湿用混合気(加湿蒸気)10をサーキュレーター13で送風飛散させることで、加湿能力が高く、衛生的で、安全性に優れ、短時間にして広範囲に加湿蒸気を飛散させることができ、容易にして万遍なく室内を加湿できる極めて優れた蒸気式の加湿装置を提供すること。
【解決手段】水蒸気発生部6で発生する水蒸気5が混合冷却部9内で外気8と混合されて冷却され、この水蒸気5または水滴を含む加湿用混合気10が蛇行案内路部11により上部の吹き出し部11に蛇行案内誘導されてさらに冷却され、十分に冷却されたこの
加湿用混合気10がサーキュレーター13により送風飛散される蒸気式の加湿装置。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンクから随時補給される加熱用水槽部の水が加熱部により加熱されて水蒸気を発生させる水蒸気発生部と、
この水蒸気発生部で発生する前記水蒸気が装置機体外から導入される外気と混合されて冷却される混合冷却部と、
この混合冷却部で発生する前記水蒸気または水滴を含む加湿用混合気が上部の吹き出し部に蛇行案内誘導されて冷却される蛇行案内路部と、
この蛇行案内路部により蛇行案内誘導される前記加湿用混合気を、前記吹き出し部から外方へ送風飛散させる吹き出し用送風装置と、が備えられている構成であることを特徴とする加湿装置。
【請求項2】
前記装置機体の下部の前記水蒸気発生部の前記加熱用水槽部の上部、またはこの加熱用水槽部と前記蛇行案内路部との間の案内路部、またはこの蛇行案内路部の下部に、前記導入される外気と前記水蒸気とが混合され冷却される前記混合冷却部が設けられ、
前記装置機体に外気導入用送風装置が設けられ、
この外気導入用送風装置により前記外気が前記装置機体内に導入され前記混合冷却部に送風案内誘導されて前記水蒸気と混合されて前記水蒸気が冷却され、この外気と混合され冷却される前記水蒸気または水滴を含む前記加湿用混合気は、前記蛇行案内路部により上部へ蛇行案内誘導されこの間でさらに冷却され、前記吹き出し用送風装置により前記吹き出し部から外方へ送風飛散される構成とされていることを特徴とする請求項1記載の加湿装置。
【請求項3】
前記吹き出し用送風装置は、回転するサーキュレーターファンが送風方向を上側向きにして設けられている構成とされ、この吹き出し用送風装置の周辺部に前記加湿用混合気が案内誘導されこの送風力により上部の前記吹き出し部から外方へ送風飛散させる構成とされていることを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の加湿装置。
【請求項4】
前記水蒸気発生部の前記加熱用水槽部と前記吹き出し部との間に設ける前記蛇行案内路部は、前記装置機体から着脱自在で且つ分解自在な管パーツからなる誘導管で構成され分解掃除自在な構成とされていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の加湿装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気式(スチーム式)の加湿装置(加湿器)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
これまで様々な方式の加湿器が開発されているが、ヒーターで水を加熱して水蒸気を発生させ、この水蒸気や水滴(霧)を含む加湿用混合気(加湿蒸気)を噴出させて室内を加湿する蒸気式加湿器は、その加湿能力が高く好評である。
【0003】
しかし、短時間で万遍なく室内を加湿するには、高出力ヒーターを利用して加湿量を高めなければならず、そのため、加湿蒸気の温度は送風ファンで噴出する間に多少冷却されるもののその噴出温度は80度近い高温となる。
【0004】
このように蒸気式の加湿器は、加湿能力が高く、煮沸消毒効果もあり衛生的であるなどの利点はあるが、噴出する加湿蒸気の温度が高いため設置場所や安全性を確保するための配慮を要することになり、またそのために室内を短時間で万遍なく加湿することは容易ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような問題を解決するもので、水蒸気発生部で多量に生成される高温の水蒸気を外気と混合させ冷却し、さらにこの水蒸気または水滴を含む加湿用混合気(加湿蒸気)を吹き出し部(噴出口)に蛇行案内誘導してその間でさらに冷却し、この十分に冷却された加湿用混合気(加湿蒸気)を吹き出し用送風装置(サーキュレーター)で送風飛散させることで、加湿能力が高く、衛生的で、安全性に優れ、短時間にして広範囲に加湿蒸気を飛散させることができ、容易にして万遍なく室内を加湿できる極めて優れた蒸気式の加湿装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0007】
タンク1から随時補給される加熱用水槽部2の水3が加熱部4により加熱されて水蒸気5を発生させる水蒸気発生部6と、この水蒸気発生部6で発生する前記水蒸気5が装置機体7外から導入される外気8と混合されて冷却される混合冷却部9と、この混合冷却部9で発生する前記水蒸気5または水滴を含む加湿用混合気10が上部の吹き出し部11に蛇行案内誘導されて冷却される蛇行案内路部12と、この蛇行案内路部12により蛇行案内誘導される前記加湿用混合気10を、前記吹き出し部11から外方へ送風飛散させる吹き出し用送風装置13と、が備えられている構成であることを特徴とする加湿装置に係るものである。
【0008】
また前記装置機体7の下部の前記水蒸気発生部6の前記加熱用水槽部2の上部、またはこの加熱用水槽部2と前記蛇行案内路部11との間の案内路部、またはこの蛇行案内路部11の下部に、前記導入される外気8と前記水蒸気5とが混合され冷却される前記混合冷却部9が設けられ、前記装置機体7に外気導入用送風装置14が設けられ、この外気導入用送風装置14により前記外気8が前記装置機体7内に導入され前記混合冷却部9に送風案内誘導されて前記水蒸気5と混合されて前記水蒸気5が冷却され、この外気8と混合され冷却される前記水蒸気5または水滴を含む前記加湿用混合気10は、前記蛇行案内路部11により上部へ蛇行案内誘導されこの間でさらに冷却され、前記吹き出し用送風装置13により前記吹き出し部12から外方へ送風飛散される構成とされていることを特徴とする請求項1記載の加湿装置に係るものである。
【0009】
また前記吹き出し用送風装置13は、回転するサーキュレーターファンが送風方向を上側向きにして設けられている構成とされ、この吹き出し用送風装置13の周辺部に前記加湿用混合気10が案内誘導されこの送風力により上部の前記吹き出し部12から外方へ送風飛散させる構成とされていることを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の加湿装置に係るものである。
【0010】
また前記水蒸気発生部6の前記加熱用水槽部6と前記吹き出し部12との間に設ける前記蛇行案内路部11は、前記装置機体7から着脱自在で且つ分解自在な管パーツ14からなる誘導管で構成され分解掃除自在な構成とされていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の加湿装置に係るものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明は上述のように構成したから、水蒸気発生部で多量に生成される高温の水蒸気を外気と混合させ冷却し、さらにこの水蒸気または水滴を含む加湿用混合気(加湿蒸気)を吹き出し部(噴出口)に蛇行案内誘導してその間でさらに冷却し、この十分に冷却された加湿用混合気(加湿蒸気)を吹き出し用送風装置(サーキュレーター)で送風飛散させることで、加湿能力が高く、衛生的で、安全性に優れ、短時間にして広範囲に加湿蒸気を飛散させることができ、容易にして万遍なく室内を加湿できる極めて優れた蒸気式の加湿装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施例の正面から見た概略構成外観図である。
【
図2】本実施例の正面から見た概略構成外観図であって、この装置機体内の蛇行案内路部の概略構成を点線で示した説明斜視図である。
【
図3】本実施例の背面から見た概略構成外観図である。
【
図6】本実施例の蛇行案内路部を構成する管パーツを示す説明分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の最適な実施形態を図面に基づいて本発明の作用を示し簡単に説明する。
【0014】
装置機体7の水蒸気発生部6で多量の水蒸気5が発生する。すなわち、タンク1から随時補給される水蒸気発生部6の加熱用水槽部2の水3は、たとえば加湿量を高めるため高出力ヒーターを採用した加熱部4で加熱され短時間で多量の水蒸気5が生成され、上部の吹き出し部12へと案内誘導される。
【0015】
この水蒸気発生部6で発生する水蒸気5の噴出量(加湿量)は多量であり高温であるが、混合冷却部9で装置機体7外から引き込み導入される外気8と混合されて冷却され、さらにこの混合冷却部9で発生する多量の前記水蒸気5または水滴(霧)を含む加湿用混合気10(加湿蒸気)は、蛇行案内路部12を介して上部の吹き出し部11に蛇行案内誘導されその間でさらに冷却される。
【0016】
この蛇行案内路部12により蛇行案内誘導された前記加湿用混合気10は、前記外気8との混合と前記蛇行案内により、たとえば案内路長が長くなるだけでなく内面に衝突する蛇行案内誘導により、十分に冷却され(たとえば70度以下の安全な温度に低下した状態となり)、この安全な温度に冷却された加湿用混合気10(加湿蒸気)は、上部の吹き出し部11から吹き出し用送風装置13(サーキュレーター)により装置機体7外方へ送風飛散される。
【0017】
このように短時間で多量の高温の水蒸気が発生するため加湿能力に優れ、衛生的であるとともに、噴出時には十分に温度が低下した加湿蒸気を放出できるため設置場所や安全性の配慮が減じられ、しかもこのように十分に冷却された加湿蒸気を放出できる構成のため、遠方への送風飛散が可能な吹き出し用送風装置13(サーキュレーター)を備えることができ、これにより加湿蒸気を一挙に遠方へ送風飛散させるとともに、室内を撹拌あるいは室内に流動気流を生じさせることができることとなるため、室内を短時間にして広範囲に衛生的な加湿蒸気で加湿でき、室内を容易にして万遍なく加湿できる優れた蒸気式加湿器となる。
【実施例0018】
本発明の具体的な実施例1について図面に基づいて説明する。
【0019】
本実施例では、取り換え補給自在なカートリッジ式タンク1から補給路を介して水3が随時補給される加熱用水槽部2に、この水槽部2内の水3を短時間で加熱して多量の水蒸気を発生させる高出力ヒーターを加熱部4として底部に設けた水蒸気発生部6を装置機体7の下部に設けている。
【0020】
また、この水蒸気発生部6で発生する水蒸気5が装置機体7外から、後述する外気導入用送風装置14により引き込み導入される外気8と混合され冷却される混合冷却部9を、前記水蒸気発生部6の上部に設けている。本実施例では、この混合冷却部9を、前記水蒸気発生部6の前記加熱用水槽部2の上部、すなわちこの加熱用水槽部2と蛇行案内路部11との間の案内路部の下部(蛇行案内路部11の基部ともいえる)に設けた構成としている。
【0021】
具体的には、前記装置機体7の下部の水蒸気発生部6の側部に、前記外気導入用送風装置14を設け、この外気導入用送風装置14により外気8を装置機体7内に引き込むとともに送風して、この外気8が外気案内路を介して水蒸気発生部6の加熱用水槽部2の下部をまわってこの加熱用水槽部2の側部から上部に送風案内誘導されて、前記混合冷却部9に送風排出される構成とし、この混合冷却部9内で送風導入された外気8と前記水蒸気5とが混合撹拌されて、水蒸気5は冷却され、この外気8と混合され冷却された前記水蒸気5または水滴(霧)を含む加湿用混合気10(加湿蒸気)となって、この混合冷却部11を下部とする蛇行案内路部11に送風案内誘導され、上部の吹き出し部12へ案内誘導され、その間でさらに冷却され、上部の吹き出し用送風装置13(サーキュレーター)によりこの吹き出し部12から外方へ送風飛散される構成としている。
【0022】
すなわち、本実施例では、水蒸気発生部6の上部の混合冷却部9で多量に発生させる高温の水蒸気5と外気8とを、この外気8の送風導入により撹拌接触させて冷却するとともに、この水蒸気5または水滴を含む加湿用混合気10(加湿蒸気)を生じさせて、これを蛇行案内路部12により上部の吹き出し部11に蛇行案内誘導させることで、この間でさらに冷却する構成とし、この蛇行案内誘導された前記加湿用混合気10を上部の吹き出し部11から強力な送風力により遠方まで送風飛散できる吹き出し用送風装置13(サーキュレーター)により送風飛散させる構成としている。
【0023】
さらに説明すると、本実施例の前記吹き出し用送風装置13は、回転するサーキュレーターファンの送風方向が上側向きとなるように装置機体7の上面部に設けた構成とし、この吹き出し用送風装置13の周辺部に前記加湿用混合気10が案内誘導されこの上面部の前記吹き出し部12からその強力な送風により遠方まで送風飛散されるとともに、このサーキュレーター送風により室内を撹拌し加湿を万遍に行き渡す気流を生じさせる構成としている。
【0024】
すなわち、このサーキュレーター13によりさらに多量の外気を取り込みながら上方に強力送風することで(送風力は調整可能に構成している)、加湿蒸気10(霧)はさらに冷却されて装置上方に送風拡散され、使用室内の隅々までこの加湿蒸気10を行き届かせる効果を発揮し、スピーディーに適正湿度に到達させることができるように構成している。
【0025】
また、本実施例の前記水蒸気発生部6の前記加熱用水槽部6と前記吹き出し部12との間に設ける前記蛇行案内路部11は、単に上方に案内する直管状とせずに、蛇行あるいは迂回案内する蛇行案内管状に構成し、具体的には加湿蒸気10を横方向に案内したり管路を狭めたりした構成として蛇行部分を形成して加湿蒸気が管内面に衝突するような天面部や傾斜面部を形成して、管路長を長いだけでなくこの内面衝突により温度低下が十分に生じるように構成している。
【0026】
また、本実施例では、このように構成した蛇行案内管状の蛇行案内路部11を、前記装置機体7のパネルを外して内部から着脱取り出し自在で、且つ分解自在な樹脂製管パーツ14からなる樹脂製の誘導管で構成して、これらパーツ分解により分解掃除自在な構成とし、良好に衛生を保てる構成としている。
【0027】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。