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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022116903
(43)【公開日】2022-08-10
(54)【発明の名称】クラッチユニット
(51)【国際特許分類】
   F16D 41/10 20060101AFI20220803BHJP
   F16D 41/06 20060101ALI20220803BHJP
   F16D 41/067 20060101ALI20220803BHJP
   F16D 65/16 20060101ALI20220803BHJP
   F16D 67/02 20060101ALI20220803BHJP
   F16D 121/16 20120101ALN20220803BHJP
   F16D 127/06 20120101ALN20220803BHJP
   F16D 127/10 20120101ALN20220803BHJP
【FI】
F16D41/10
F16D41/06 Z
F16D41/067
F16D65/16
F16D67/02 K
F16D121:16
F16D127:06
F16D127:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021013324
(22)【出願日】2021-01-29
(71)【出願人】
【識別番号】590001164
【氏名又は名称】シロキ工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000102692
【氏名又は名称】NTN株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三笠 訓寛
(72)【発明者】
【氏名】日比 康雅
(72)【発明者】
【氏名】笹沼 恭兵
(72)【発明者】
【氏名】辺 紹ラン
【テーマコード(参考)】
3J058
【Fターム(参考)】
3J058AB21
3J058AB34
3J058BA61
3J058CC07
3J058CC42
3J058CC46
3J058CC73
3J058CD30
3J058FA50
(57)【要約】
【課題】溶接によらずして出力側外輪部材がベースプレートに取り付けられたクラッチユニットを提供する。
【解決手段】クラッチユニット100は、出力側クラッチ60と出力側クラッチ60を収容するハウジング11を有する。出力側クラッチ60は出力側外輪部材62を有する。出力側外輪部材62およびハウジング11には、互いに係合して互いの相対回転を規制する係合構造62s、11sが設けられている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用シートに用いられるクラッチユニットであって、
回転軸線回りに回転可能な操作レバーと、
前記回転軸線回りに回転可能であり、前記操作レバーに入力された操作力を車両用シートに出力する出力軸部材と、
前記操作レバーによって駆動され、前記操作レバーの回転を前記出力軸部材に伝達する入力側クラッチと、
前記入力側クラッチの回転トルクを前記出力軸部材に伝達し、前記出力軸部材から前記入力側クラッチへの回転トルクの伝達を抑制する出力側クラッチと、
少なくとも前記出力側クラッチを収容するハウジングと、を有し、
前記出力側クラッチは、
前記出力軸部材と一体に前記回転軸線回りに回転する出力側内輪部材と、
前記ハウジングに取り付けられる出力側外輪部材と、
前記出力側内輪部材と前記出力側外輪部材との間に回転可能に設けられ、前記出力側内輪部材の回転トルクを前記出力側外輪部材に伝達する出力側中間伝達部材と、を有し、
前記出力側外輪部材および前記ハウジングには、互いに係合して互いの相対回転を規制する係合構造が設けられている、クラッチユニット。
【請求項2】
前記係合構造は、前記出力側外輪部材の外周部から前記回転軸線の径方向外側に延出した係合突起と、前記ハウジングに形成され前記係合突起と係合する係合溝からなる、請求項1に記載のクラッチユニット。
【請求項3】
一対の前記係合突起が前記回転軸線回りに点対称となる位置に設けられている、請求項2に記載のクラッチユニット。
【請求項4】
前記出力側外輪部材には、径方向外側に延出する補助係合突起が設けられ、
前記ハウジングには、前記補助係合突起と係合可能な補助係合溝が設けられている、請求項2に記載のクラッチユニット。
【請求項5】
前記補助係合突起と前記補助係合溝は、前記回転軸線の周方向に隙間を介して向かい合っている、請求項4に記載のクラッチユニット。
【請求項6】
複数の前記補助係合突起が前記出力側外輪部材に設けられている、請求項4に記載のクラッチユニット。
【請求項7】
二対の前記補助係合突起が前記出力側外輪部材に前記回転軸線回りに点対称となる位置にそれぞれ設けられており、
一対の前記係合突起と二対の前記補助係合突起は、前記回転軸線回りに回転対称となる位置に設けられている、請求項4に記載のクラッチユニット。
【請求項8】
前記補助係合突起は、前記係合突起よりも、前記回転軸線の径方向への突出量が少ない、請求項4に記載のクラッチユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クラッチユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1などにより、クラッチユニットが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-32915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のクラッチユニットにおいては、溶接によって出力側外輪部材がハウジング(ベースプレート)に取り付けられている。このような構成においては、溶接時の熱によって出力側外輪部材やベースプレートにひずみが発生する恐れがある。また溶接工程が必要となり工程数が増える。
【0005】
そこで本発明は、溶接によらずして出力側外輪部材がベースプレートに取り付けられたクラッチユニットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかるクラッチユニットは、
車両用シートに用いられるクラッチユニットであって、
回転軸線回りに回転可能な操作レバーと、
前記回転軸線回りに回転可能であり、前記操作レバーに入力された操作力を車両用シートに出力する出力軸部材と、
前記操作レバーによって駆動され、前記操作レバーの回転を前記出力軸部材に伝達する入力側クラッチと、
前記入力側クラッチの回転トルクを前記出力軸部材に伝達し、前記出力軸部材から前記入力側クラッチへの回転トルクの伝達を抑制する出力側クラッチと、
少なくとも前記出力側クラッチを収容するハウジングと、を有し、
前記出力側クラッチは、
前記出力軸部材と一体に前記回転軸線回りに回転する出力側内輪部材と、
前記ハウジングに取り付けられる出力側外輪部材と、
前記出力側内輪部材と前記出力側外輪部材との間に回転可能に設けられ、前記出力側内輪部材の回転トルクを前記出力側外輪部材に伝達する出力側中間伝達部材と、を有し、
前記出力側外輪部材および前記ハウジングには、互いに係合して互いの相対回転を規制する係合構造が設けられている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、クラッチユニットの組み立て時に、出力側外輪部材とハウジングとを溶接する必要がなく、溶接に起因するひずみが生じない。また、出力側外輪部材とハウジングとを係合させてクラッチユニットを組み立てるため、溶接工程が不要になり、クラッチユニットを簡単に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係るクラッチユニットを車両用シートリフタに適用した状態を示す側面図である。
図2】クラッチユニットの分解斜視図である。
図3】中立状態における入力側クラッチを示す図である。
図4】中立状態における出力側クラッチを示す図である。
図5】出力側外輪部材を示す図である。
図6】ハウジングを示す図である。
図7】ハウジングに取り付けられた出力側外輪部材を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係るクラッチユニットの実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、本実施形態に係るクラッチユニットを車両用シートリフタに適用した状態を示す側面図である。図1に示すように、本実施形態に係るクラッチユニット100は、車両用シート40に用いられる。車両用シート40は、着座シート40aと、背もたれ40bと、シートフレーム40cと、を有している。クラッチユニット100は、着座シート40aのシートフレーム40cに固定される。車両用シート40には、車両用シートリフタ41が搭載されている。車両用シートリフタ41は、クラッチユニット100を備えている。
【0011】
車両用シートリフタ41は、セクターギヤ41fと、リンク機構と、を備えている。クラッチユニット100は、正逆に回転操作される操作レバー21を備えている。この操作レバー21によって正逆に回転駆動される出力軸部材30と一体のピニオンギヤ31が、車両用シートリフタ41のセクターギヤ41fと噛み合っている。
【0012】
リンク機構は、略上下方向に延びる第一リンク部材41cと、略上下方向に延びる第二リンク部材41dと、略横方向に延びる第三リンク部材41eと、を備えている。
【0013】
第一リンク部材41cの上部と第二リンク部材41dの上部は、それぞれシートフレーム40cにそれぞれ軸部材41c1,41d1で回転自在に連結されている。第一リンク部材41cの下部と第二リンク部材41dの下部は、それぞれシートスライドアジャスタ41bのスライド可動部材41b1にそれぞれ軸部材41c2,41d2で回転自在に連結されている。
【0014】
第三リンク部材41eの一端は、軸部材41c1よりも上方で軸部材41e1により第一リンク部材41cに連結されている。第三リンク部材41eの他端は、セクターギヤ41fに軸部材41e2で回転自在に連結されている。
【0015】
図1において、操作レバー21を反時計方向(上側)に回転させると、その回転方向の入力トルク(回転力)がピニオンギヤ31に伝達され、ピニオンギヤ31が反時計方向に回転する。すると、ピニオンギヤ31と噛合するセクターギヤ41fが時計方向に回転して、第三リンク部材41eが第一リンク部材41cの上部を上方に引っ張る。その結果、第一リンク部材41cと第二リンク部材41dが共に起立して、着座シート40aの座面が高くなる。着座シート40aの高さHを調整した後、操作レバー21に入力していた力を開放すると、操作レバー21が時計方向に回転して元の位置(以降の説明において、中立位置または中立状態と呼ぶ)に戻る。
【0016】
また、操作レバー21を時計方向(下側)に回転させた場合は、上記とは逆の動作によって、着座シート40aの座面が低くなる。また、高さ調整後に操作レバー21を開放すると、操作レバー21が反時計方向に回転して元の位置(中立位置、中立状態)に戻る。
そして、操作レバー21を開放した状態では、クラッチユニット100によって出力軸部材30(ピニオンギヤ31)の回転にブレーキが掛けられる。このため、着座シート40aに上下方向の力が加わっても着座シート40aの上下方向への移動が阻止される。
【0017】
<クラッチユニット>
次に、本実施形態に係るクラッチユニット100を説明する。以下に説明するクラッチユニット100の構成部品は、特に断らない限り基本的に金属製である。
【0018】
図2は、クラッチユニット100の分解斜視図である。図2に示すように、クラッチユニット100は、操作レバー21と、出力軸部材30と、入力側クラッチ50と、出力側クラッチ60と、ハウジング11と、を備えている。
【0019】
入力側クラッチ50は、操作レバー21によって駆動(作動)して、操作レバー21の回転を出力軸部材30に伝達する。出力側クラッチ60は、着座シート40aに上下方向の力が加わっても出力軸部材30の回転を阻止する。入力側クラッチ50と出力側クラッチ60は、ハウジング11に収容されている。ハウジング11は、操作レバー21の動作時に回転しない部材である。
【0020】
出力軸部材30は、図2の左下から右上に延びる軸部材である。出力軸部材30は、図2における左下から右上に延びる回転軸線X回りに回転可能である。以降の説明において、「回転軸線X方向」とは出力軸部材30の延びる方向を意味する。図2に示したように、出力軸部材30は、図2の左方から右方に向かって、出力側クラッチ60と入力側クラッチ50とをこの順に貫通している。以降の説明において、図2における左下側を出力側、図2における右上側を入力側と呼ぶことがある。また、以降の説明において特に断りがない限り、周方向や径方向とは、この回転軸線Xを中心として定義している。
【0021】
出力軸部材30には、ピニオンギヤ31と、大径円柱部32と、スプライン部33と、小径円柱部34とが、出力側から入力側に向かってこの順に設けられている。
【0022】
ピニオンギヤ31は、出力軸部材30の出力側の端部に設けられている。大径円柱部32は、後述する出力側クラッチ60のカバー部材14に固定されるメタルブッシュ13を貫通している。小径円柱部34は、後述する入力側クラッチ50の入力側内輪部材51および入力側外輪部材52と、ハウジング11とを貫通している。スプライン部33は、後述する出力側クラッチ60の出力側内輪部材61にスプライン結合されている。
【0023】
出力軸部材30の小径円柱部34には、ストッパリング36が装着されている。ストッパリング36は、円筒状の嵌合部36aと、嵌合部36aよりも出力側に位置する円板状のフランジ部36bとを有している。嵌合部36aに出力軸部材30の小径円柱部34が嵌め込まれる。フランジ部36bは、後述する操作板22、ハウジング11、入力側クラッチ50、および出力側クラッチ60が出力軸部材30から抜け出ることを防止する。
【0024】
ハウジング11は、カップ状(有底円筒状)の部材であり、底面11aと筒状部11bとを有している。筒状部11bの出力側の端部に、径方向に突出する2個の固定フランジ11cが形成されている。固定フランジ11cには、固定ボルト挿通孔11dが設けられている。この固定ボルト挿通孔11dに挿し込んだボルト(図示略)をシートフレーム40cのネジ孔にねじ込むことで、ハウジング11がシートフレーム40cに固定される。なお、ハウジング11にかしめ部を設けて、該かしめ部をシートフレーム40cにかしめることで、ハウジング11をシートフレーム40cに固定してもよい。
カップ状のハウジング11の開口はカバー部材14によって閉塞されている。本実施形態において、ハウジング11とカバー部材とによって形成される空間内には、入力側クラッチ50と、出力側クラッチ60とが収容されている。
【0025】
ハウジング11には、バネ係止片11kが設けられている。バネ係止片11kは、入力側へ延びている。
【0026】
底面11aの径方向における中心部には、バーリング加工によって、筒状の軸受11gが形成されている。軸受11gは、底面11aから入力側に向かって延びている。軸受11gは出力軸部材30をハウジング11に対して回転可能に支持している。また、底面11aには、円弧状の長孔からなる3つの窓部11hと、この窓部11hの縁部から出力側に向かって延びる3つの突出片11iとが形成されている。
【0027】
操作レバー21は、例えば、合成樹脂から成形されたもので、後述する操作板22に固定されている。操作レバー21は、操作板22に固定される固定部21aと、固定部21aから径方向における外方へ延びる棒状の把持部21bと、を有している。
【0028】
操作板22は、回転軸線X方向において、ハウジング11と操作レバー21の間に設けられている。操作板22は、操作者が操作レバー21の把持部21bを把持して操作レバー21を回転軸線Xの回りに正逆に回転操作すると、操作レバー21と一体に正逆に回転する。
【0029】
操作板22は、径方向における中央に挿通孔22aを有している。この挿通孔22aには、出力軸部材30の小径円柱部34が挿通されている。また、操作板22は、挿通孔22aの周りに、矩形状の3つの係合孔22bを有している。係合孔22bには後述する操作ブラケット54の爪部54cが挿入され、操作レバー21は操作板22を介して操作ブラケット54とともに回転する。
【0030】
操作板22の外周縁には、操作片部22dが設けられている。操作片部22dは出力側に向かって延びている。
【0031】
ハウジング11の外周には、戻しばね23が設けられている。戻しばね23は、操作レバー21に操作力が加わらないときに、操作レバー21および操作板22を中立位置に復帰させるばねである。戻しばね23は、例えば両自由端部23aを互いに接近させた円弧状をなすつるまきばねである。戻しばね23の両自由端部23aは、ハウジング11のバネ係止片11kと操作板22の操作片部22dとに係止されている。
【0032】
操作者が操作レバー21に操作力を加えない状態(中立状態)では、戻しばね23の一対の自由端部23aが共にバネ係止片11kおよび操作片部22dに当接しており、操作レバー21が中立位置に支持されている。操作者が操作レバー21を回転軸線Xの回りに正逆のいずれかに回転させると、操作レバー21と共に操作板22がハウジング11に対して回転する。すると、一対の自由端部23aのうちの一方の自由端部23aがハウジング11のバネ係止片11kとの係合状態を維持し、他方の自由端部23aが操作板22の操作片部22dに係合し、戻しばね23の弾性復元力に抗して一方の自由端部23aから離反する方向に移動する。したがって、戻しばね23が撓んで中立位置への復帰力が作用した状態となる。
【0033】
<入力側クラッチ>
入力側クラッチ50は、入力側内輪部材51と、入力側外輪部材52と、操作ブラケット54(操作部材の一例)と、入力側クラッチコロ55(入力側伝達部材の一例)と、入力側コロ付勢バネ56を備えている。
【0034】
入力側内輪部材51は、回転軸線X方向に延びる円柱状の部材である。入力側内輪部材51は、中心に出力軸部材30の小径円柱部34が挿通される挿通孔51aを有している。入力側内輪部材51の外周縁には、外方へ膨出する3つの楔カム部51cが等間隔に設けられている。入力側内輪部材51の入力側の面には、3つの突起部51bが形成されている。
【0035】
操作ブラケット54は、板状の部材である。操作ブラケット54は、径方向における中心に出力軸部材30の小径円柱部34が挿通される挿通孔54aを有している。また、操作ブラケット54は、入力側内輪部材51の突起部51bが嵌合される3つの嵌合孔54b(図2参照)を有している。入力側内輪部材51の突起部51bと嵌合孔54bとの嵌合構造によって、それぞれ別体の入力側内輪部材51と操作ブラケット54とは、互いに一体的に回転するように、かつ、回転軸線X方向に相対移動可能に連結されている。
【0036】
操作ブラケット54の外周縁には、3つの爪部54cが設けられている。これらの爪部54cは、ハウジング11の底面11aに形成された窓部11hを貫通し、操作板22の係合孔22bに嵌合されている。これにより、操作ブラケット54は、操作板22と連結されて操作板22と一体的に回転するように構成されている。
【0037】
入力側外輪部材52は皿状の部材である。入力側外輪部材52は、底部52bと、外輪部52cと、固定部52dと、を有している。底部52bは、円板状の部位である。底部52bの径方向における中心に出力軸部材30の小径円柱部34が挿通される挿通孔52aが設けられている。外輪部52cは、底部52bの外縁部から入力側へ延びる円筒状の部位である。外輪部52cの出力側の端部に底部52bが設けられている。固定部52dは、底部52bから出力側へ突出する突起である。固定部52dは、後述する出力側クラッチ60の解除ブラケット64と結合する。
【0038】
図3は、中立状態における入力側クラッチ50を示している。
図3に示すように、入力側外輪部材52の内周面と入力側内輪部材51の外周面との間には、隙間が設けられている。入力側外輪部材52の内周面は円周面である一方で、入力側内輪部材51の外周面には外方へ膨出する3つの楔カム部51cが設けられている。このため、入力側外輪部材52の内周面と入力側内輪部材51の外周面との間の隙間には、
径方向の両端が楔状に先細りになった部分が形成されている。この隙間に、ハウジング11の突出片11iが突出している。操作レバー21によって入力側内輪部材51が回転されると、突出片11iが入力側クラッチコロ55の動きを規制する。
【0039】
入力側クラッチ50は、6個の入力側クラッチコロ55と、3個の入力側コロ付勢バネ56と、を有している。入力側クラッチコロ55および入力側コロ付勢バネ56は、入力側内輪部材51の外周面と、入力側外輪部材52の外輪部52cの内周面との間に配置されている。
【0040】
入力側コロ付勢バネ56は、周方向について、入力側内輪部材51の楔カム部51c同士の間に配置されている。また、入力側クラッチコロ55は、入力側内輪部材51の楔カム部51cの両側に一対ずつ配置されている。一対の入力側クラッチコロ55の間に、ハウジング11の突出片11iが配置されている。つまり入力側内輪部材51と入力側外輪部材52との間の隙間には、反時計回りに、入力側コロ付勢バネ56、入力側クラッチコロ55、突出片11i、入力側クラッチコロ55がこの順に設けられている。
【0041】
<入力側クラッチの動作>
図3に示すように、中立状態において、入力側クラッチ50では、入力側クラッチコロ55が入力側コロ付勢バネ56に接触しており、入力側クラッチコロ55が入力側コロ付勢バネ56によって楔カム部51cの頂部へ向かって付勢されている。このため、中立状態において、入力側クラッチコロ55が入力側内輪部材51と入力側外輪部材52とに食い込んでいる。
【0042】
この中立状態において、例えば操作レバー21が中立位置(無負荷状態の操作レバー21の位置)から操作者が操作レバー21を反時計方向に回転させようとすると、操作レバー21の回転が、操作板22および操作ブラケット54を介して入力側内輪部材51に伝達される。つまり、操作レバー21とともに入力側内輪部材51が反時計方向に回転しようとする。
【0043】
入力側内輪部材51と入力側外輪部材52との間の、時計方向に向かって幅狭となった楔状空間に、入力側クラッチコロ55が設けられている。入力側内輪部材51が反時計方向に回転しようとすると、入力側内輪部材51の外周面は、入力側クラッチコロ55を時計方向に向かって幅狭となった楔状空間に食い込ませようとする力を作用させる。このような力を受けると入力側クラッチコロ55は、入力側外輪部材52の内周面に、径方向の外側に押し付ける成分と反時計方向に押し付ける成分を有する力を作用させる。入力側クラッチコロ55は、入力側外輪部材52に反時計方向に押す力を作用させる。このようにして、入力側内輪部材51が反時計方向に回転すると、入力側クラッチコロ55とともに入力側外輪部材52が反時計方向に回転する。
【0044】
<出力側クラッチ>
図2に戻り、出力側クラッチ60は、出力側内輪部材61と、出力側外輪部材62と、解除ブラケット64と、出力側クラッチコロ65と、出力側コロ付勢バネ66と、を備えている。
【0045】
出力側外輪部材62は、略円筒状の部材である。出力側外輪部材62は、出力軸部材30と同軸に設けられ、出力側内輪部材61に対して相対回転可能である。出力側外輪部材62は、出力側内輪部材61の外周側に配置されている。
【0046】
出力側内輪部材61は、出力軸部材30と同軸に設けられ、出力軸部材30と一体に回転する。出力側内輪部材61は、出力側外輪部材62よりも小径の部材である。
【0047】
出力側内輪部材61の内周面には複数の溝部が設けられ、出力軸部材30のスプライン部33が結合されるスプライン部61aとされている。出力側内輪部材61の入力側の面には、6つの突起部61bが形成されている(図4参照)。なお、図2では突起部61bをプレス加工で形成した時の痕跡である凹みが出力側の面に見えている。出力側内輪部材61の外周部には、外方へ膨出する6つの楔カム部61cが等間隔に形成されている。
【0048】
解除ブラケット64は、略円板状の部材であり、出力側内輪部材61よりも入力側に配置されている。解除ブラケット64は、入力側クラッチ50から付与される力を出力側クラッチコロ65に伝達可能である。解除ブラケット64の外径は、出力側内輪部材61の外径より大きく、かつ、出力側外輪部材62の内径よりも小さく形成されている。解除ブラケット64は、出力側内輪部材61、出力側外輪部材62、入力側内輪部材51、および入力側外輪部材52とは別体の部材である。
【0049】
解除ブラケット64には、複数の第一係合穴64aが形成されている。第一係合穴64aには、入力側外輪部材52の固定部52dが挿入される。これにより、解除ブラケット64は、入力側外輪部材52と共に回転可能とされている。
【0050】
出力側内輪部材61には入力側へ突出する突起部61b(図4参照)が設けられている。解除ブラケット64は、これらの突起部61bがそれぞれ挿入される複数の長孔64bを有している。これらの長孔64bは、それぞれ周方向に延びる長孔である。この長孔64b内で突起部61bが周方向へ僅かに変位可能とされている。つまり、解除ブラケット64と出力側内輪部材61とは、長孔64b内で突起部61bが変位する範囲で相対的に回転可能とされている。
【0051】
解除ブラケット64の外周縁には、出力側に向かって延びる6つの爪部64cが設けられている。爪部64cは一対の出力側クラッチコロ65の間に設けられている。
【0052】
図4は、中立状態における出力側クラッチ60を示している。図4に示すように、出力側外輪部材62の内周面と出力側内輪部材61の外周面との間には、隙間が設けられている。出力側外輪部材62の内周面は円周面である一方で、出力側内輪部材61の外周面には外方へ膨出する楔カム部61cが設けられている。このため、出力側外輪部材62の内周面と出力側内輪部材61の外周面との間の隙間には、径方向の両端が楔状に先細りになった部分が形成されている。これらの部分の隙間に、解除ブラケット64の爪部64cが突出している。解除ブラケット64が回転されると、爪部64cが隙間の内部を移動する。
【0053】
出力側クラッチ60は、12個の出力側クラッチコロ65と、6個の出力側コロ付勢バネ66と、を有している。出力側クラッチコロ65および出力側コロ付勢バネ66は、出力側内輪部材61の外周面と、出力側外輪部材62の内周面との間の隙間に配置されている。出力側クラッチコロ65は、出力側内輪部材61の外周面と出力側外輪部材62の内周面との間に配置されて、出力側内輪部材61と出力側外輪部材62との間で回転力を伝達可能な部材である。円柱状の出力側クラッチコロ65の周面は、解除ブラケット64の爪部64cに当接する。
【0054】
出力側コロ付勢バネ66は、周方向について、出力側内輪部材61の楔カム部61c同士の間に配置されている。また、出力側クラッチコロ65は、出力側内輪部材61の楔カム部61cの両側に一対ずつ配置されている。これらの一対の出力側クラッチコロ65の間に、解除ブラケット64の爪部64cが配置されている。これらの出力側クラッチコロ65は、出力側コロ付勢バネ66によって楔カム部61cの頂部へ向かって付勢されている。出力側内輪部材61と出力側外輪部材62との間の隙間には、反時計回りに、爪部64c、出力側クラッチコロ65、出力側コロ付勢バネ66、出力側クラッチコロ65がこの順で設けられている。
【0055】
<出力側クラッチの動作>
図4は、中立状態における出力側クラッチ60を示している。図4に示すように、中立状態において、出力側クラッチ60では、出力側クラッチコロ65が出力側コロ付勢バネ66によって楔カム部61cの頂部へ向かって付勢されている。これにより、出力側クラッチコロ65が、出力側内輪部材61における楔カム部61cと出力側外輪部材62の内周面との間の楔状の隙間に食い込んでいる。
【0056】
より具体的に、第一出力側クラッチコロ65aと、第一出力側クラッチコロ65aと出力側コロ付勢バネ66を介して時計側に位置する第二出力側クラッチコロ65bを用いて説明する。
第一出力側クラッチコロ65aが位置している隙間は、反時計方向に向かって先細りの楔形状である。第一出力側クラッチコロ65aは、出力側コロ付勢バネ66によって反時計方向に付勢されている。このため、第一出力側クラッチコロ65aは、反時計方向に出力側内輪部材61と出力側外輪部材62とに食い込んでいる。
第二出力側クラッチコロ65bが位置している隙間は、時計方向に向かって先細りの楔形状である。第二出力側クラッチコロ65bは、出力側コロ付勢バネ66によって時計方向に付勢されている。このため、第二出力側クラッチコロ65bは、時計方向に出力側内輪部材61と出力側外輪部材62とに食い込んでいる。
【0057】
ここで出力側外輪部材62は、ハウジング11に対して移動不可能である。また、第一出力側クラッチコロ65aおよび第二出力側クラッチコロ65bは、出力側内輪部材61と出力側外輪部材62の両者に反時計方向および時計方向に食い込んでいる。このため、出力側内輪部材61および出力側外輪部材62は回転できない。この結果、出力側内輪部材61にスプライン結合されている出力軸部材30も回転できない。
【0058】
このように、中立状態では、出力側内輪部材61と出力側外輪部材62とが、回転不能な状態とされているので、車両用シート40側から出力軸部材30に回転力が付与されても出力軸部材30は回転することがない。これにより、車両用シート40は、その高さが保持された状態で固定される。
【0059】
次に出力側クラッチ60が出力軸部材30を回転させる場合を説明する。
操作レバー21が反時計方向に回転されると、上述したように入力側クラッチ50の入力側外輪部材52が反時計方向に回転する。解除ブラケット64の第一係合穴64aには、入力側外輪部材52の固定部52dが挿入されている。このため、操作レバー21が反時計方向に回転されると、解除ブラケット64も反時計方向に回転する。
【0060】
解除ブラケット64は、長孔64bを介して出力側内輪部材61の突起部61bと結合されている。このため、解除ブラケット64は、(1)まず出力側内輪部材61が回転しない状態で反時計方向に回転し、(2)突起部61bが長孔64bの縁に当接した後に出力側内輪部材61とともに反時計方向に回転する。
【0061】
(1)出力側内輪部材61が回転しない状態で解除ブラケット64が反時計方向に回転すると、解除ブラケット64の爪部64cが出力側クラッチコロ65を反時計方向に押す。すると、出力側内輪部材61と出力側外輪部材62との間の時計方向に幅狭となる楔状空間に食い込んでいた出力側クラッチコロ65の出力側内輪部材61と出力側外輪部材62との当接状態が解除される。
また、出力側内輪部材61が反時計方向に回転しようとすると、出力側内輪部材61と出力側外輪部材62との間の反時計方向に幅狭となる楔状空間に食い込んでいた出力側クラッチコロ65は、出力側内輪部材61との間の摩擦力が作用しなくなり、出力側内輪部材61との当接状態が解除される。
このように、出力側クラッチコロ65の出力側内輪部材61と出力側外輪部材62との当接状態が解除された状態では、出力側内輪部材61は出力側外輪部材62に対して相対回転可能になる。
【0062】
出力側内輪部材61が出力側外輪部材62に対して相対回転可能な状態になった後、(2)出力側内輪部材61の突起部61bが解除ブラケット64の長孔64bの縁に当接する。すると、解除ブラケット64とともに出力側内輪部材61が反時計方向に回転する。
【0063】
このように出力側クラッチ60は、中立状態で操作レバー21に操作力が作用しない状態では出力軸部材30を回転させず、操作レバー21に操作力が作用した状態でのみ出力軸部材30を回転させるように構成されている。
【0064】
<出力側外輪部材とハウジング>
上述したように本実施形態のクラッチユニット100は、
車両用シート40に用いられるクラッチユニット100であって、
回転軸線X回りに回転可能な操作レバー21と、
回転軸線X回りに回転可能であり、操作レバー21に入力された操作力を車両用シート40に出力する出力軸部材30と、
操作レバー21によって駆動され、操作レバー21の回転を出力軸部材30に伝達する入力側クラッチ50と、
入力側クラッチ50の回転トルクを出力軸部材30に伝達し、出力軸部材30から入力側クラッチ50への回転トルクの伝達を抑制する出力側クラッチ60と、
少なくとも出力側クラッチ60を収容するハウジング11と、を有する。
さらに、出力側クラッチ60は、
出力軸部材30と一体に回転軸線X回りに回転する出力側内輪部材61と、
ハウジング11に取り付けられ回転が規制された出力側外輪部材62と、
出力側内輪部材61と出力側外輪部材62との間に回転可能に設けられ、出力側内輪部材61の回転トルクを出力側外輪部材62に伝達する出力側中間伝達部材(出力側クラッチコロ65)と、を有している。
【0065】
図5は、出力側外輪部材62を示す図である。図6は、ハウジング11を示す図である。図7は、ハウジング11に取り付けられた出力側外輪部材62を示す図である。
図5から図7に示したように、出力側外輪部材62およびハウジング11には、互いに係合して互いの相対回転を規制する係合構造62s,11sが設けられている。
【0066】
このように本実施形態のクラッチユニット100は、係合構造62s,11sによって出力側外輪部材62がハウジング11に固定されている。本実施形態とは異なり特許文献1のように出力側外輪部材をハウジングに溶接して固定する場合に比べて、本実施形態のクラッチユニット100は組み立て時に溶接工程が不要になる。クラッチユニット100の各部材を用意した後に、溶接を用いずに組み立てることでクラッチユニット100を製造することができるため、製造コストを低減できる。また、クラッチユニット100の製造時において、溶接時に生じる出力側外輪部材62やハウジング11のひずみが生じることがなく、製品の精度を高めることができる。
【0067】
また本実施形態においては、係合構造62s,11sは、出力側外輪部材62に設けられた係合突起62sと、ハウジング11に設けられた係合溝11sとを有する。係合突起62sは、出力側外輪部材62の外周部から回転軸線Xの径方向外側に延出している。係合溝11sは係合突起62sと係合する溝である。
図示の例では、係合突起62sは、出力側外輪部材62の外周面から回転軸線Xの径方向外側に延びる一対の接触面と、これら接触面の径方向先端部同士を接続する先端面とで構成されている。
ハウジング11の筒状部11bの一対の固定フランジ11cと接続される部位に各々の係合溝11sが設けられている。係合溝11sはハウジング11を切り欠いて形成された孔である。係合溝11sは、回転軸線Xの径方向に延びる一対の接触面と、これら一対の接触面の径方向端部同士を接続する接続面から構成されている。係合溝11sの接触面は、係合突起62sの接触面に対応する形状とされている。これら接触面どうしは回転軸線Xの周方向に向かい合い、接触可能とされている。
【0068】
本実施形態のクラッチユニット100において、出力側外輪部材62がハウジング11に対して回転軸線X回りに回転しようとすると、出力側外輪部材62の係合突起62sが係合溝11sの側面に力を作用させる。このとき、係合突起62sは径方向外側に延びているので、回転中心(回転軸線X)から遠い位置で係合突起62sが係合溝11sの側面に力を作用させることができ、係合突起62sと係合溝11sとの接触面に作用する力の大きさを低減できる。このため、係合突起62sおよび係合溝11sに求められる強度を低減できる。
【0069】
本実施形態のクラッチユニット100において、図5に示したように、一対の係合突起62sが回転軸線X回りに点対称となる位置に設けられている。
二つの係合突起62sと係合溝11sとに荷重が分散し、いずれかの係合突起62sと係合溝11sとに荷重が集中することを低減できる。また、係合突起62sが点対称に設けられているので、出力側外輪部材62をハウジング11に組付けやすい。
【0070】
本実施形態のクラッチユニット100において、出力側外輪部材62には、径方向外側に延出する補助係合突起62t,62uが設けられ、
ハウジング11には、補助係合突起62t,62uと係合可能な補助係合溝11t,11uが設けられている。
図示した例においては、二対の補助係合突起62t,62uと、二対の補助係合溝11t,11uとが設けられている。
係合突起62sと係合溝11sとの接触面に作用する力を、補助係合突起62t,62uと補助係合溝11t,11uとの補助接触面にも作用させることができ、各々の接触面に作用する力を低減できる。
【0071】
本実施形態のクラッチユニット100において、補助係合突起62t,62uと補助係合溝11t,11uは、回転軸線Xの周方向に隙間を介して向かい合っている。
換言すれば、ハウジング11には一対の係合溝11sと、一対の第一補助係合溝11tと、一対の第二補助係合溝11uとが設けられている。これらは回転軸線Xの周方向に、係合溝11s、第一補助係合溝11t、第二補助係合溝11uの順番に並んでおり、第一補助係合溝11tと第二補助係合溝11uとの間は、切り抜かれて隙間が形成されている。
クラッチユニット100を組み立てる際には、この周方向の隙間に、第一補助係合溝11tに係合する第一補助係合突起62tと、第二補助係合溝11uに係合する第二補助係合突起62uとを配置することにより、容易に出力側外輪部材62をハウジング11に組み付けることができる。
【0072】
本実施形態のクラッチユニット100において、複数の補助係合突起62t,62uが出力側外輪部材62に設けられている。
係合突起62sと係合溝11sとの接触面に作用する力を、補助係合突起62t,62uと補助係合溝11t,11uとの補助接触面にも作用させることができ、各々の接触面に生じる荷重をさらに低減できる。
【0073】
本実施形態のクラッチユニット100において、二対の補助係合突起62t,62uが出力側外輪部材62に回転軸線X回りに点対称となる位置にそれぞれ設けられており、
一対の係合突起62sと二対の補助係合突起62t,62uは、回転軸線X回りに回転対称となる位置に設けられている。
このような構成によれば、出力側外輪部材62の組付け時に方向性が生じないため、より出力側外輪部材62をハウジング11に組付けやすい。
【0074】
本実施形態のクラッチユニット100において、補助係合突起62t,62uは、係合突起62sよりも、回転軸線Xの径方向への突出量が少ない。
それにより、クラッチユニット100が径方向に大型化することを抑制できる。また、組み立て作業者が、係合突起62sと補助係合突起62t,62uとを識別しやすい。
【0075】
以上、本発明の実施形態について説明をしたが、本発明の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではないのは言うまでもない。本実施形態は単なる一例であって、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【0076】
例えば上述した実施形態においては、係合突起62sおよび係合溝11sを一対ずつ設けた例を説明したが、それぞれ単一あるいは3個以上設けてもよい。また、補助係合突起62t,62uや補助係合溝11t,11uを持たない構成としてもよい。また、係合突起、係合溝の形状や設ける位置は上述したものに限られない。
【符号の説明】
【0077】
11 ハウジング
11a 底面
11j 回り止め孔
11s 係合溝
11t 補助係合溝(第一補助係合溝)
11u 補助係合溝(第二補助係合溝)
21 操作レバー
22 操作板
23 戻しばね
30 出力軸部材
31 ピニオンギヤ
32 大径円柱部
33 スプライン部
34 小径円柱部
36 ストッパリング
40 車両用シート
40a 着座シート
40c シートフレーム
41 車両用シートリフタ
50 入力側クラッチ
51 入力側内輪部材
52 入力側外輪部材
52e 第一係止部
54 操作ブラケット
55 入力側クラッチコロ
56 入力側コロ付勢バネ
57 回止部材
60 出力側クラッチ
61 出力側内輪部材
62 出力側外輪部材
62s 係合突起
62t 補助係合突起(第一補助係合突起)
62u 補助係合突起(第二補助係合突起)
64 解除ブラケット
65 出力側クラッチコロ
66 出力側コロ付勢バネ
100 クラッチユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7