(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022116911
(43)【公開日】2022-08-10
(54)【発明の名称】ダンパ装置および冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 17/08 20060101AFI20220803BHJP
F25D 21/04 20060101ALI20220803BHJP
【FI】
F25D17/08 306
F25D21/04 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021013337
(22)【出願日】2021-01-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】横江 悟
【テーマコード(参考)】
3L345
【Fターム(参考)】
3L345AA02
3L345AA12
3L345CC01
3L345DD05
3L345DD62
3L345KK04
(57)【要約】
【課題】ヒータ用リード線がヒータから離脱することを抑制することのできるダンパ装置および冷蔵庫を提供すること。
【解決手段】ダンパ装置1は、隔壁板20に対して直交する枠部21に開口部210が設けられたフレーム2と、フレーム2に回転可能に支持されたバッフル4と、駆動機構6、隔壁板20との間に駆動機構6が配置される空間を構成するケース部材3とを有している。枠部21にはヒータ9が固定されており、ヒータ9に接続された第1リード線81および第2リード線82は、ケース部材3またはフレーム2に形成されたガイド溝7の内部で延在している。従って、第1リード線81および第2リード線82が引っ張られても、かかる力に対して、ガイド溝7による保持力が抗するので、第1リード線81および第2リード線82がヒータ9から離脱することを抑制することができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
隔壁板に対して直交する枠部に開口部が設けられたフレームと、
前記フレームに回転可能に支持され、前記開口部を開閉するためのバッフルと、
前記バッフルを駆動する駆動機構と、
前記隔壁板に前記枠部とは反対側から被さるように前記フレームと結合され、前記隔壁板との間に前記駆動機構が配置される空間を構成するケース部材と、
前記枠部に固定されたヒータと、
前記ヒータに電気的に接続された複数本のヒータ用リード線と、
を有し、
前記複数本のヒータ用リード線は各々、前記隔壁板の前記枠部側の面に沿って延在する第1延在部と、前記ケース部材または前記フレームの外面に沿って延在する第2延在部と、前記ケース部材から離間して延在する第3延在部と、を含み、
前記第1延在部および前記第2延在部のうちの少なくとも一方は、前記ケース部材または前記フレームに設けられたガイド溝内で延在していることを特徴とするダンパ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のダンパ装置において、
前記第1延在部および前記第2延在部の双方が前記ガイド溝内で延在していることを特徴とするダンパ装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のダンパ装置において、
前記ガイド溝は、前記複数本のヒータ用リード線のうち、第1リード線が延在する第1溝と、前記複数本のヒータ用リード線のうち、第2リード線が延在する第2溝とを含むことを特徴とするダンパ装置。
【請求項4】
請求項3に記載のダンパ装置において、
前記ケース部材または前記フレームには、前記第2延在部と前記第3延在部との間で延在する部分と係合する係合部が設けられていることを特徴とするダンパ装置。
【請求項5】
請求項4に記載のダンパ装置において、
前記係合部は、前記第1リード線および前記第2リード線が纏めて係合していることを特徴とするダンパ装置。
【請求項6】
請求項3から5までの何れか一項に記載のダンパ装置において、
前記ケース部材または前記フレームには、前記第2延在部と前記第3延在部との間で延在する部分を挟んで保持する挟持部が設けられていることを特徴とするダンパ装置。
【請求項7】
請求項6に記載のダンパ装置において、
前記挟持部は、前記第1リード線および前記第2リード線を纏めて保持していることを特徴とするダンパ装置。
【請求項8】
請求項3から7までの何れか一項に記載のダンパ装置において、
前記第1溝と前記第2溝は、前記第2延在部の前記第1延在部とは反対側の端部を収容する部分で繋がっていることを特徴とするダンパ装置。
【請求項9】
請求項1から8までの何れか一項に規定するダンパ装置を備えた冷蔵庫であって、
冷却機と、
前記冷却機で発生した冷気が供給される貯蔵室と、
を有し、
前記ダンパ装置は、前記貯蔵室における冷気取り入れ口に配置されることを特徴とする
冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダンパ装置および冷蔵庫に関するものである。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫の冷気通路等に配置されるダンパ装置は、隔壁板に対して直交する枠部に開口部が設けられたフレームと、フレームに回転可能に支持されたバッフルと、バッフルを駆動する駆動機構と、隔壁板に枠部とは反対側から被さるようにフレームと結合されたケース部材とを備えており、隔壁板とケース部材との間に駆動機構が配置される。また、枠部にはヒータが固定されており、バッフルと枠部とが氷結によって吸着することを防止する。かかるダンパ装置に関し、ヒータから延在するヒータ用リード線をケース部材の外面またはフレームの外面に沿って引き回し、駆動機構の駆動源であるモータ部から延在するモータ用リード線とともに、コネクタに接続した構造が提案されている(特許文献1参照)。また、特許文献1に記載のダンパ装置では、ヒータ用リード線と係合する切り欠き状の係合部をケース部材またはフレームに設け、ヒータ用リード線の弛みを防止することによって、ヒータ用リード線とバッフルとの干渉することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の切り欠き状の係合部にヒータ用リード線を係合させる構成では、ヒータ用リード線を引っ張ったときの力に係合部での係合力が抗することができず、ヒータ用リード線がヒータから離脱するおそれがある。
【0005】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、ヒータ用リード線がヒータから離脱することを抑制することのできるダンパ装置および冷蔵庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係るダンパ装置は、隔壁板に対して直交する枠部に開口部が設けられたフレームと、前記フレームに回転可能に支持され、前記開口部を開閉するためのバッフルと、前記バッフルを駆動する駆動機構と、前記隔壁板に前記枠部とは反対側から被さるように前記フレームと結合され、前記隔壁板との間に前記駆動機構が配置される空間を構成するケース部材と、前記枠部に固定されたヒータと、前記ヒータに電気的に接続された複数本のヒータ用リード線と、を有し、前記複数本のヒータ用リード線は各々、前記隔壁板の前記枠部側の面に沿って延在する第1延在部と、前記ケース部材または前記フレームの外面に沿って延在する第2延在部と、前記ケース部材から離間して延在する第3延在部と、を含み、前記第1延在部および前記第2延在部のうちの少なくとも一方は、前記ケース部材または前記フレームに設けられたガイド溝内で延在していることを特徴とする。
【0007】
本発明では、ケース部材またはフレームには、ヒータ用リード線が延在するガイド溝が形成されており、ヒータ用リード線は、ガイド溝の内側で保持されている。従って、ヒータ用リード線の第3延在部が引っ張られても、かかる力に対して、ガイド溝によるヒータ用リード線の保持力が抗するので、ヒータ用リード線とヒータとの接続部分に大きな力が加わらない。それ故、ヒータ用リード線がヒータから離脱することを抑制することができ
る。
【0008】
本発明において、前記第1延在部および前記第2延在部の双方が前記ガイド溝内で延在している態様を採用することができる。かかる態様によれば、ガイド溝によるヒータ用リード線の保持力を高めることができるので、ヒータ用リード線がヒータから離脱することを抑制することができる。
【0009】
本発明において、前記ガイド溝は、前記複数本のヒータ用リード線のうち、第1リード線が延在する第1溝と、前記複数本のヒータ用リード線のうち、第2リード線が延在する第2溝とを含む態様を採用することができる。
【0010】
本発明において、前記ケース部材または前記フレームには、前記第2延在部と前記第3延在部との間で延在する部分と係合する係合部が設けられている態様を採用することができる。かかる態様によれば、ヒータ用リード線の第3延在部が引っ張られても、かかる力に対して、係合部によるヒータ用リード線の保持力が抗するので、ヒータ用リード線とヒータとの接続部分に大きな力が加わらない。それ故、ヒータ用リード線がヒータから離脱することを抑制することができる。
【0011】
本発明において、前記係合部は、前記第1リード線および前記第2リード線が纏めて係合している態様を採用することができる。
【0012】
本発明において、前記ケース部材または前記フレームには、前記第2延在部と前記第3延在部との間で延在する部分を挟んで保持する挟持部が設けられている態様を採用することができる。かかる態様によれば、ヒータ用リード線の第3延在部が引っ張られても、かかる力に対して、挟持部によるヒータ用リード線の保持力が抗するので、ヒータ用リード線とヒータとの接続部分に大きな力が加わらない。それ故、ヒータ用リード線がヒータから離脱することを抑制することができる。
【0013】
本発明において、前記挟持部は、前記第1リード線および前記第2リード線を纏めて保持している態様を採用することができる。
【0014】
本発明において、前記第1溝と前記第2溝は、前記第2延在部の前記第1延在部とは反対側の端部を収容する部分で繋がっている態様を採用することができる。
【0015】
本発明に係るダンパ装置は冷蔵庫に用いることができ、冷蔵庫は、冷却機と、前記冷却機で発生した冷気が供給される貯蔵室と、を有し、前記ダンパ装置は、前記貯蔵室における冷気取り入れ口に配置される。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、ケース部材またはフレームには、ヒータ用リード線が延在するガイド溝が形成されており、ヒータ用リード線は、ガイド溝の内側で保持されている。従って、ヒータ用リード線の第3延在部が引っ張られても、かかる力に対して、ガイド溝によるヒータ用リード線の保持力が抗するので、ヒータ用リード線とヒータとの接続部分に大きな力が加わらない。それ故、ヒータ用リード線がヒータから離脱することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明を適用したダンパ装置をケース部材の側からみた斜視図。
【
図2】
図1に示すダンパ装置をフレームの側からみた斜視図。
【
図3】
図1に示すダンパ装置からバッフル等を外した状態を示す分解斜視図。
【
図4】
図1に示すケース部材の内部等を示す分解斜視図。
【
図6】
図1に示す隔壁板のケース部材側の構造等を示す分解斜視図。
【
図8】
図1に示すヒータ用リード線に対する係合部等の斜視図。
【
図9】本発明に係るダンパ装置におけるガイド溝の変形例を示す説明図。
【
図10】本発明に係るダンパ装置における挟持部の変形例を示す説明図。
【
図11】
図1に示すダンパ装置を備えた冷蔵庫の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図面を参照して、本発明を適用した冷蔵庫用のダンパ装置について説明する。以下の説明では、バッフル4の回転中心軸線をLとし、回転中心軸線Lに沿う方向をX方向とし、開口部210が向いている方向をZ方向とし、X方向およびZ方向に直交する方向をY方向として説明する。また、X方向の一方側をX1とし、X方向の他方側をX2とし、Y方向の一方側をY1とし、Y方向の他方側をY2とし、Z方向の一方側をZ1とし、Z方向の他方側をZ2として説明する。
【0019】
(全体構成)
図1は、本発明を適用したダンパ装置1をケース部材3の側からみた斜視図である。
図2は、
図1に示すダンパ装置1をフレーム2の側からみた斜視図である。
図3は、
図1に示すダンパ装置1からバッフル4等を外した状態を示す分解斜視図である。
【0020】
図1、
図2、および
図3に示すダンパ装置1は、隔壁板20に対して直交する枠部21に開口部210が設けられたフレーム2と、フレーム2に回転可能に支持されたバッフル4と、隔壁板20に枠部21とは反対側から被さるようにフレーム2と結合されたケース部材3とを有している。フレーム2およびケース部材3は樹脂製である。
【0021】
ケース部材3は、隔壁板20に対して枠部21とは反対側で対向する底板部31と、底板部31から隔壁板20の側に突出した角筒状の筒部32とを有している。筒部32は、Z方向で対向する側板部321、322と、Y方向で対向する側板部323、324とを有している。底板部31および筒部32は、X方向からみたとき、Y方向に長辺が延在し、Z方向に短辺が延在する四角形である。隔壁板20とケース部材3とは隔壁板20のフック部203によって結合されている。
【0022】
フレーム2は、枠部21の外縁からZ方向の他方側Z2に突出した角筒状の胴部22を有している。隔壁板20は、胴部22においてX方向の一方側X1に位置する部分として構成されている。胴部22は、隔壁板20にX方向の他方側X2で対向する側板25を有している。また、フレーム2は、枠部21において開口部210の縁からバッフル4が位置する側に向けて突出した角筒状のシール板部23を備えている。
【0023】
バッフル4は、隔壁板20と側板25との間で回転可能にフレーム2の支持されている。より具体的には、バッフル4のY方向の他方側Y2の端部と隔壁板20との間には第1軸受部11が構成され、バッフル4のY方向の他方側Y2の端部と側板25との間には第2軸受部12が構成されている。従って、バッフル4は、第1軸受部11と第2軸受部12とを結ぶ軸線を回転中心軸線Lとして回転可能にフレーム2に支持されている。
【0024】
第1軸受部11は、隔壁板20からバッフル4に向けて突出した突部24と、突部24が嵌るようにバッフル4に形成された筒状部441とを備えている。筒状部441は、バッフル4の円柱部440の端部から隔壁板20に向けて突出するように構成されている。第2軸受部12は、フレーム2の側板25に形成された軸穴250と、バッフル4の円柱
部450から突出して軸穴250に嵌る軸部451とによって構成されている。
【0025】
バッフル4は、
図4等を参照して後述する駆動機構6によって駆動された際、シール板部23に当接することにより、開口部210を閉状態とし、シール板部23から離間することにより、開口部210を開状態とする。バッフル4は、開口部210よりサイズが大きな樹脂製の開閉板40と、開閉板40の開口部210側の面に貼り付けられた発泡ポリウレタン等からなるシート状の弾性部材49とを有しており、弾性部材49がシール板部23に当接する。第1軸受部11の円柱部440、第2軸受部12の円柱部450、筒状部441、および軸部451は開閉板40に形成されている。
【0026】
ダンパ装置1は、例えば、冷気通路を構成するダクト等の内側に配置される。冷気は、開口部210に対してバッフル4が配置されている側とは反対から開口部210を通って流れる。また、冷気は、開口部210に対してバッフル4が配置されている側から開口部210を通って流れることもある。
【0027】
(駆動機構6の構成)
図4は、
図1に示すケース部材3の内部等を示す分解斜視図である。
図5は、
図4に示す駆動機構6等の斜視図である。
図6は、
図1に示す隔壁板20のケース部材3側の構造等を示す分解斜視図である。
図7は、
図4に示すギヤードモータ60の分解斜視図である。
【0028】
図4および
図5において、ケース部材3において、底板部31は、隔壁板20との間に、駆動機構6が配置される空間30を構成している。ケース部材3において、2つ側板部321、322の内面には、位置決め用の円筒部331、332と、位置決め用の軸部351a、352aが形成された柱状部351、352とが形成されており、側板部323の内面には、軸受用の円筒部34が形成されている。側板部324の内面には2つの係合板部361、362が形成されている。円筒部331、332、柱状部351、352、および係合板部361、362は底板部31と繋がっている。底板部31の内面には、後述するギヤードモータ60の底部が配置される円形の凹部371が形成されている。また、ケース部材3において、筒部32の外面には係合用の突起325が形成されている。
【0029】
図6に示すように、隔壁板20の枠部21と反対側の面20aには、ケース部材3の円筒部331、332に嵌る軸部201、202と、ケース部材3の柱状部351、352の軸部351a、352aが嵌る円筒部205、206と、ケース部材3の軸受用の円筒部34に対してX方向で重なる軸穴204とが形成されている。また、隔壁板20には、ケース部材3の突起325と係合するフック部203と、円環部207と、全開位置を規定する第1ストッパ208と、全閉位置を規定する第2ストッパ209とが形成されている。
【0030】
図4、
図5および
図7を参照して以下に示すように、駆動機構6は、駆動源であるモータ部61と、バッフル4に接続される出力部材69と、モータ部61の回転を出力部材69に伝達する歯車伝達機構65とを備えている。本形態において、駆動機構6では、モータ部61と歯車伝達機構65とが一体化されたギヤードモータ60がモータ軸604を隔壁板20の側に向けてケース部材3に保持されており、ギヤードモータ60において、モータ部61には、先端を隔壁板20とは反対側に向けてコネクタ端子68が保持されている。
【0031】
より具体的には、ギヤードモータ60は、有底円筒形の金属製のモータケース602と、モータケース602の開口端を塞ぐ端板601と、モータケース602の内側に配置された円筒状のステータ603と、ステータ603の内側に配置されたロータ(図示せず)
と、端板601とステータ603との間に配置された地板605とを備えており、モータケース602、ロータおよびステータ603によって、ステッピングモータからなるモータ部61が構成されている。地板605と端板601との間には歯車伝達機構65が形成されており、歯車伝達機構65はモータ部61と一体化されている。
【0032】
ロータにおいて、隔壁板20の側に向いたモータ軸604には、ピニオン64が固定されている。歯車伝達機構65は、ピニオン64と噛み合う第1複合歯車651と、第1複合歯車651と噛み合う第2複合歯車652と、第2複合歯車652と噛み合う第3複合歯車653と、第3複合歯車653と噛み合う第4複合歯車654と、第4複合歯車654と噛み合う歯車656を有する出力車655とを有している。出力車655において、端板601から突出する軸部657には歯車66が連結されている。従って、ロータの回転は、歯車伝達機構65によって減速して歯車66に伝達される。
【0033】
ここで、ステータ603のインシュレータ608には、径方向外側に端子台607が一体に形成されており、端子台607は、モータケース602の切り欠き602aを通って径方向外側に突出している。端子台607には、複数本のコネクタ端子68が先端を隔壁板20とは反対側に向けて保持されており、複数本のコネクタ端子68は、ステータコイル606を構成するコイル線が電気的に接続されている。端子台607の周方向の両側には係合爪609が形成されており、係合爪609は、コネクタ端子68を径方向外側から覆うコネクタハウジング670が一体に形成されたカバー67を保持する。
【0034】
ギヤードモータ60をケース部材3の内側に配置した際、ケース部材3の係合板部361、362が端子台607および係合爪609を周方向の両側から保持する。その結果、ギヤードモータ60は、モータ部61がケース部材3の底板部31に保持される。その際、端板601に形成された穴601a、601bをケース部材3の柱状部351、352の軸部351a、352aに嵌める。
【0035】
出力部材69は、ケース部材3の軸受用の円筒部34に嵌る第1軸部691と、第1軸部691から径方向に張り出した扇形歯車690と、扇形歯車690に対して第1軸部691とは反対側に突出した第2軸部692とを備えており、出力部材69は、ケース部材3の円筒部34を介して底板部31によって回転可能に支持される。
【0036】
従って、ケース部材3に駆動機構6の全てを組み付けることができる。また、ケース部材3に駆動機構6の全てを組み付け終えた後、ケース部材3を隔壁板20に被せると、ケース部材3の突起325と隔壁板20のフック部203が係合し、ケース部材3と隔壁板20とが結合される。その際、隔壁板20の軸部201、201がケース部材3の円筒部331、332に嵌り、隔壁板20の円筒部205、206の内側にケース部材3の軸部351a、352aが嵌る。また、出力車655の軸部657は、隔壁板20の円環部207の内側に位置する。また、出力部材69の第2軸部692は、隔壁板20の軸穴204を貫通する。従って、フレーム2にバッフル4を取り付けておけば、出力部材69の第2軸部692がバッフル4の円柱部440の端面に形成された連結穴に嵌るので、出力部材69とバッフル4とを接続することができる。
【0037】
このように本形態のダンパ装置1では、フレーム2の隔壁板20に枠部21とは反対側から被さるようにフレーム2と結合されたケース部材3にギヤードモータ60が保持されている。このため、フレーム2については、ギヤードモータ60を保持する必要がないので、フレーム2の構造を簡素化することができる。また、ギヤードモータ60を用いたため、ケース部材3においても、歯車伝達機構65の複数の歯車を個別に回転可能な構造とする必要がない。従って、ケース部材3についても構造を簡素化することができる。
【0038】
また、本形態においては、出力部材69がケース部材3に回転可能に支持されている。また、歯車伝達機構65を全てケース部材3の側に設けてあるので、歯車伝達機構65の歯車と出力部材69の扇形歯車690との噛み合いを精度よく行うことができる等の利点がある。
【0039】
(コネクタ挿入口310の構成)
ケース部材3の底板部31には、
図7を参照して説明したコネクタ端子68を隔壁板20とは反対側に向けて露出させるコネクタ挿入口310が設けられている。本形態において、コネクタ挿入口310は、底板部31の端部を切り欠いた構造になっている。
【0040】
コネクタ挿入口310には、複数本のモータ用リード線85の一方の端部851が接続された第1コネクタ16が挿入され、複数本のモータ用リード線85は各々、コネクタ端子68に電気的に接続されている。また、複数本のモータ用リード線85の他方の端部852は、
図1に示す第2コネクタ17に接続されている。従って、第2コネクタ17を上位の制御装置に接続すれば、第2コネクタ17、モータ用リード線85およびコネクタ端子68を介して駆動信号をモータ部61に供給することができる。モータ用リード線85は、導線が絶縁層によって被覆された構造を有する。
【0041】
このように本形態のダンパ装置1において、ケース部材3の底板部31には、モータ部61に給電するためのコネクタ端子68をフレーム2の隔壁板20とは反対側に向けて露出させるコネクタ挿入口310が設けられている。このため、コネクタ挿入口310がケース部材3の側面において底板部31から隔壁板20に向けて遠く離れた位置で開口している態様より、コネクタ挿入口310への第1コネクタ16の挿入が容易である。
【0042】
また、コネクタ端子68は、先端を隔壁板20とは反対側に向けてギヤードモータ60に保持されている。このため、モータ部61とコネクタ端子68とをリード線で接続する必要がないので、リード線を引き回す作業を必要としない。それ故、ダンパ装置1の生産性を高めることができる。
【0043】
また、モータ部61のモータ軸をバッフルに直接、接続した構造と違って、本形態では、モータ部61の回転を歯車伝達機構65および出力部材69を介してバッフル4に伝達するため、モータ部61の位置に対する設計の自由度を高めることができる。従って、モータ部61に保持されたコネクタ端子68の位置についても、設計の自由度を高めることができる。それ故、コネクタ挿入口310を底板部31の端部に設ける等、コネクタ挿入口310を配置する位置への設計の自由度を高めることができる。
【0044】
(ヒータ9等の構成)
図8は、
図1に示すヒータ用リード線80に対する係合部76等の斜視図である。
図4に示すように、フレーム2の枠部21においてバッフル4が位置する側の面には、開口部210を囲むようにヒータ9が取り付けられている。ヒータ9は、2枚のシート96、97の間に形成されたシート状である。ヒータ9は、シート96、97の穴961、971と枠部21の突起215とによって位置決めされた状態で枠部21に固定されている。従って、バッフル4と枠部21とが氷結によって吸着することが防止することができる。ヒータ9の両端の各々には給電部91、92が形成されており、給電部91、92は、ヒータ9の側からZ方向の他方側Z2に突出した端子部910、920を備えている。
図2に示すように、給電部91、92には複数のヒータ用リード線80が接続されている。ヒータ用リード線80は、導線が絶縁層によって被覆された構造を有する。
【0045】
本形態において、ヒータ用リード線80の数は2本であり、複数の複数のヒータ用リード線80は、第1リード線81と第2リード線82とからなる。第1リード線81および
第2リード線82は各々、一方の端部811、821が給電部91、92に接続され、他方の端部812、822は、
図1に示す第2コネクタ17に接続されている。従って、第2コネクタ17を上位の制御装置に接続すれば、第2コネクタ17およびヒータ用リード線80を介してヒータ9に給電することができる。
【0046】
本形態において、第1リード線81および第2リード線は各々、回転中心軸線LからY方向の一方側Y1に離間した位置で、隔壁板20の枠部21側の面に沿って延在する第1延在部816、826と、ケース部材3またはフレーム2の外面に沿って延在する第2延在部817、827と、ケース部材3から離間して延在する第3延在部818、828とを含んでいる。ここで、第1延在部816、826および第2延在部817、827は、ケース部材3またはフレーム2に設けられたガイド溝7内で延在している。本形態において、ガイド溝7は、第1リード線81が延在する第1溝71と、第2リード線82が延在する第2溝72とを含んでいる。
【0047】
図2および
図8に示すように、第1溝71および第2溝72は各々、隔壁板20の枠部21側の面20bで枠部21との境界部分から側板部321との境界部分まで延在する第1部分711、721と、ケース部材3の側板部321において隔壁板20との境界部分から底板部31との境界部分まで斜めに延在する第2部分712、722とを含んでいる。第1溝71において、第1部分711と第2部分712は、隔壁板20の枠部21側の面と側板部321とが形成する角部で繋がっており、第2溝72において、第1部分721と第2部分722は、隔壁板20の枠部21側の面と側板部321とが形成する角部で繋がっている。
【0048】
第1溝71において、第1部分711の内側では第1リード線81の第1延在部816が延在し、第2部分712の内側では第1リード線81の第2延在部817が延在している。第2溝72において、第1部分721の内側では第2リード線82の第1延在部826が延在し、第2部分722の内側では第2リード線82の第2延在部827が延在している。ここで、第1溝71の第2部分712と第2溝72の第2部分722とは、側板部321の底板部31側の端部付近で繋がっており、第1リード線81と第2リード線82において、第2延在部817、827と第3延在部818、828との間で延在する第4延在部815、825、および第3延在部818、828は、2本が纏まって延在している。
【0049】
図8を参照して以下に説明するように、ケース部材3およびフレーム2には、第1リード線81および第2リード線72の第4延在部815、825と係合する係合部76が構成されている。また、ケース部材3およびフレーム2には、第1リード線81および第2リード線72の第4延在部815、825を両側から挟んで保持する挟持部77が構成されている。
【0050】
本形態において、挟持部77は、側板部321の切り欠き部分から露出する底板部31の端部315と、端部315と重なるように側板部321から突出した突出部326とを備えており、第1リード線81および第2リード線82の第4延在部815、825は、第2側板部321と底板部31の端部315との間、および第2側板部321の突出部326と底板部31の端部315との間で挟持されることによって挟持部77に保持されている。本形態では、突出部326が2か所に形成されている。
【0051】
また、係合部76は、底板部31に対して側板部324と隙間を介して対向する突出部317を形成するように底板部31と側板部324との間に隙間を設けることによって構成されている。かかる係合部76では、第1リード線81および第2リード線82の第4延在部815、825のうち、挟持部327によって挟持されている部分と第3延在部8
18、828との間の部分を側板部324の端部と突出部317との間を潜らせることによって、突出部317が第4延在部815、825と係合している。
【0052】
このように本形態のダンパ装置1では、ヒータ用リード線80に含まれる第1リード線81および第2リード線82の第1延在部816、826および第2延在部817、827がケース部材3またはフレーム2に設けられた第1溝71および第2溝72内で延在している。従って、第1リード線81および第2リード線82の第3在部818、828が引っ張られても、かかる力に対して、第1溝71および第2溝72による保持力が抗するので、第1リード線81および第2リード線82のヒータ9との接続部分に大きな力が加わらない。それ故、第1リード線81および第2リード線82がヒータ9から離脱することを抑制することができる。
【0053】
また、第1リード線81および第2リード線82の第4延在部815、825は、係合部76および挟持部77によって保持されている。従って、第1リード線81および第2リード線82の第3在部818、828が引っ張られても、かかる力に対して、係合部76および挟持部77による保持力が抗するので、第1リード線81および第2リード線82のヒータ9との接続部分に大きな力が加わらない。それ故、第1リード線81および第2リード線82がヒータ9から離脱することを抑制することができる。また、係合部76および挟持部77は、第1リード線81および第2リード線82を2本纏めて保持している。このため、第1リード線81および第2リード線82の引き回しを効率よく行うことができるとともに、係合部76および挟持部77の保持力が大きい。
【0054】
(ガイド溝7の変形例)
図9は、本発明に係るダンパ装置1におけるガイド溝7の変形例を示す説明図である。上記実施形態においては、
図2に示すように、隔壁板20の枠部21側の面20bにおいて、第1溝71の第1部分711がバッフル4のY方向の中央より一方側Y1に設けられ、第2溝72の第1部分721がバッフル4のY方向の中央より他方側Y2に設けられていた。これに対して、本形態では、
図9に示すように、第1溝71の第1部分711、および第2溝72の第1部分721の双方がバッフル4のY方向の中央より一方側Y1に設けられている。かかる構成に対応して、
図3に示す端子部910、920もバッフル4のY方向の中央より一方側Y1に設けられている。
【0055】
このため、ヒータ9に対する第1リード線81および第2リード線82の接続が容易である。すなわち、ヒータ9の端子部910、920に第1リード線81および第2リード線82を接続する際には、バッフル4を全閉姿勢から90°回転させた開姿勢とするが、その場合でも、
図2に示す構成では、第2リード線82を端子部92に接続するとき、バッフル4が邪魔になることがある。これに対して、本形態では、第1部分721および端子部92が回転中心軸線Lから遠く離れた位置にあるため、第2リード線82を端子部92に接続するとき、バッフル4が邪魔になりにくい。それ故、第2リード線82を端子部92に容易に接続することができる。また、第2リード線82を端子部92に接続する作業の自動化が可能となる。
【0056】
(挟持部77の変形例)
図10は、本発明に係るダンパ装置1における挟持部77の変形例を示す説明図である。上記実施形態においては、
図8に示すように、挟持部77に2つの突出部326を設けたが、
図10に示すように、挟持部77に1つの突出部326を設けた態様であってもよい。
【0057】
(冷蔵庫の構成)
図11は、
図1に示すダンパ装置1を備えた冷蔵庫100の説明図である。
図9に示す
冷蔵庫100において、冷蔵庫本体110は、複数の貯蔵室111と、複数の貯蔵室111へ冷気を供給する冷気ダクト112とを備えており、冷気ダクト112と貯蔵室111とを連通する冷気取り入れ口113には、本発明を適用したダンパ装置1が設けられている。また、冷蔵庫本体110は、冷気を生成する冷却機114と、冷気ダクト112内に配置されるファン115と、制御装置120とを備えている。制御装置120は、貯蔵室111に設けられたセンサ(不図示)の信号に基づき、ダンパ装置1の開閉動作を制御して、貯蔵室111への冷気の供給タイミングや供給量を調節する。
【0058】
(他の実施の形態)
上記実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の例であるが、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々変形実施可能である。例えば、隔壁板20がフレーム2と別体の場合に本発明を適用してもよい。また、上記実施形態では、第1延在部816、826、および第2延在部817、827の双方をガイド溝7の内側で延在させたが、第1延在部816、826、および第2延在部817、827のいずれか一方のみをガイド溝7の内側で延在させてもよい。また、上記実施形態では、係合部76および挟持部77の双方を設けたが、係合部76および挟持部77のいずれか一方のみを設けた態様や、係合部76および挟持部77の双方を設けない態様であってもよい。また、上述した実施の形態におけるダンパ装置1は、冷蔵庫用であるが、必ずしも、冷蔵庫に用いられるダンパ装置に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0059】
1…ダンパ装置、2…フレーム、3…ケース部材、4…バッフル、6…駆動機構、7…ガイド溝、9…ヒータ、11…第1軸受部、12…第2軸受部、16…第1コネクタ、17…第2コネクタ、20…隔壁板、21…枠部、22…胴部、23…シール板部、24…突部、25…側板、30…空間、31…底板部、32…筒部、40…開閉板、49…弾性部材、60…ギヤードモータ、61…モータ部、65…歯車伝達機構、68…コネクタ端子、69…出力部材、71…第1溝、72…第2溝、76…係合部、77…挟持部、80…ヒータ用リード線、81…第1リード線、82…第2リード線、85…モータ用リード線、91、92…給電部、100…冷蔵庫、110…冷蔵庫本体、111…貯蔵室、112…冷気ダクト、113…冷気取り入れ口、114…冷却機、115…ファン、120…制御装置、310…コネクタ挿入口、317、326…突出部、321、322、323、324…側板部、361、362…係合板部、601…端板、602…モータケース、602a…切り欠き、603…ステータ、604…モータ軸、605…地板、606…ステータコイル、607…端子台、608…インシュレータ、655…出力車、670…コネクタハウジング、690…扇形歯車、691…第1軸部、692…第2軸部、711、721…第1部分、712、722…第2部分、910、920…端子部、L…回転中心軸線