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特開2022-116921ジェットファン取付用ターンバックル及びジェットファンの取付工法
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  • 特開-ジェットファン取付用ターンバックル及びジェットファンの取付工法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022116921
(43)【公開日】2022-08-10
(54)【発明の名称】ジェットファン取付用ターンバックル及びジェットファンの取付工法
(51)【国際特許分類】
   E21F 1/00 20060101AFI20220803BHJP
【FI】
E21F1/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021013349
(22)【出願日】2021-01-29
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 第37回業務研究発表論文集 第61~64頁 西日本高速道路エンジニアリング中国株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】505398963
【氏名又は名称】西日本高速道路株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】596053585
【氏名又は名称】西日本高速道路エンジニアリング中国株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132964
【弁理士】
【氏名又は名称】信末 孝之
(74)【代理人】
【識別番号】100074055
【弁理士】
【氏名又は名称】三原 靖雄
(72)【発明者】
【氏名】藤井 伸也
(72)【発明者】
【氏名】萩原 優太郎
(72)【発明者】
【氏名】川手 修
(57)【要約】
【課題】側部支持部材の位置が異なる複数の種類のジェットファンを取り付ける場合に、長さ調整や製造が容易で部品の共通化が可能なジェットファン取付用ターンバックルと、迅速な取り替えが可能なジェットファンの取付工法を提供する。
【解決手段】トンネル天井壁に設けられた側部吊部材とジェットファンの側面に設けられた側部支持部材とを連結するジェットファン取付用ターンバックル10であって、側部吊部材及び側部支持部材に各々取り付けられる2つのシャックル11,11と、2つのシャックル11,11を繋ぐ調整ボルト12とを有し、調整ボルト12の両端には外ネジ13,13が形成されており、2つのシャックル11,11の各々には外ネジ13,13に螺合する内ネジ14,14が形成されており、調整ボルト12を回転させてターンバックル10の全長を調整する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル天井壁に設けられた側部吊部材とジェットファンの側面に設けられた側部支持部材とを連結するジェットファン取付用ターンバックルであって、
前記側部吊部材及び前記側部支持部材に各々取り付けられる2つのシャックルと、前記2つのシャックルを繋ぐ調整ボルトとを有し、
前記調整ボルトの両端には外ネジが形成されており、前記2つのシャックルの各々には前記外ネジに螺合する内ネジが形成されており、前記調整ボルトを回転させてターンバックルの全長を調整することを特徴とするジェットファン取付用ターンバックル。
【請求項2】
請求項1に記載のジェットファン取付用ターンバックルを用いたジェットファンの取付工法であって、
既設のジェットファンを取り外す工程と、既設のジェットファンとは側部支持部材の位置が異なる新設のジェットファンを取り付ける工程とを有し、
既設のターンバックルの調整ボルトを回転させてターンバックルの全長を調整することを特徴とするジェットファンの取付工法。
【請求項3】
請求項1に記載のジェットファン取付用ターンバックルを用いたジェットファンの取付工法であって、
既設のジェットファンを取り外す工程と、既設のジェットファンとは側部支持部材の位置が異なる新設のジェットファンを取り付ける工程とを有し、
既設のターンバックルの調整ボルトを取り替えてターンバックルの全長を調整することを特徴とするジェットファンの取付工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路のトンネル内において、換気及び火災時の排煙を行うために上部から吊り下げられて設置されるジェットファンに関するものであり、詳細にはジェットファン取付用ターンバックル及びジェットファンの取付工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、道路のトンネル内には、換気及び火災時の排煙を行うために上部からジェットファンが吊り下げられて設置されている。図4はジェットファンの取付構造を示す正面図(トンネル出入口方向から見た図)、図5はジェットファンの取付構造を示す側面図である。
【0003】
図4に示すように、トンネル6内のトンネル天井壁7には、上部からジェットファン1が吊り下げられて設置されている。ジェットファン1は、円筒状のケーシングの内部にファン本体を備えており、トンネル軸方向(車両の進行方向)に空気を吹き出して、トンネル内の換気及び火災時の排煙を行うようになっている。
【0004】
図4及び図5に示すように、ジェットファン1の円筒状のケーシングの側面の4か所には、逆U字状の側部支持部材2が設けられている。側部支持部材2は、ジェットファン1の側面の両側に各々2つ、所定の間隔を空けて設けられている。一方、トンネル天井壁7の4か所には、ジュットファン1を吊り下げるための側部吊部材8が固定されている。側部吊部材8は、ジェットファン1に設けられた4か所の側部支持部材2の各々に対応して、斜め上方に位置している。4つの側部吊部材8と4つの側部支持部材2とは、それぞれ4本の連結部材100により連結されている。以上により、ジェットファン1は、トンネル天井壁7から4点支持により吊り下げられて設置されている。
【0005】
なお、図5において本来、ジェットファン1の後側にある側部吊部材8は見えないが、本図面においては説明の都合上実線で記載している。また、図5におけるジェットファン1の左右上端部には、頂部支持部材5,5が設けられており、トンネル天井壁7に固定された頂部吊部材3,3と連結部材4,4により連結されている。これらは、ジェットファン1の稼働時における方向性安定のために設けられているものであって、ジェットファン1の荷重支持を目的とするものではない。
【0006】
ところで、ジェットファンは、複数のファンメーカーにより製造されているが、各メーカーによりファン本体(電動機、羽根車)の形状や重量は異なる。そのため重量バランスを考慮する結果、円筒状のケーシングが同じ大きさであっても、ジェットファンを取り付けるための側部支持部材2の位置はメーカー毎に異なっている。
【0007】
図5は、側部支持部材2の位置が異なるジェットファンを取り付けた状態を示しており、1つの側部支持部材2について3か所の点が示されている。3か所の点は、側部支持部材2の位置に応じて連結部材100の下端部が接続される位置(以下、「吊点位置」という。)であり、図5の点線で示すように、吊点位置が異なると、側部吊部材8と側部支持部材2とを連結する連結部材100の長さや角度が変動することになる。
【0008】
一方、ジェットファンは5~10年毎に工場で分解整備が行われるため、その間は現場から撤去されて、工場整備の完了後に再設置されるのが通常である。その場合トンネル内のジェットファンの台数不足をできるだけ避けるために、整備期間の短縮が余儀なくされることから、整備上の品質低下が問題となる。
【0009】
そこで、同一のジェットファンに替えて吊点位置が異なるジェットファンを設置することが考えられるが、連結部材100の向きが変化することにより、側部吊部材8との接続部分に金属疲労等の強度的な問題が生じることや、トンネル横断面方向と縦断面方向の吊角度のバランスが変化して側部吊部材8への荷重の偏重により過荷重や金属疲労が進行しやすいという問題が生じる。そのため、吊点位置に適合した側部吊部材8の新規設計、製作、アンカー打設が必要となり、コストが増加する。
【0010】
これに対して、特許文献1には、側部吊部材を変更することなく、側部支持部材の位置が異なる複数の種類のジェットファンを取り付けることの可能なジェットファンの取付構造及び取付工法に関する発明が記載されている。引用文献1に記載された発明のジェットファンの取付構造では、側部支持部材の位置が異なる複数の種類のジェットファンを取り付けた場合に、各々のジェットファンの荷重に対して予め定めた強度を満たすように側部吊部材の強度計算が行われている。また、連結部材の上端部を中心として連結部材がトンネル軸方向に回動可能となっている。
【0011】
図6は、図5のX部拡大図であり、連結部材100の上端部を中心として連結部材100をトンネル軸方向に回動可能とした構造の一例であり、連結部材100の向きが変化しても、側部吊部材8との接続部分に金属疲労等の強度的な問題が生じるのを抑制するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2014-12973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、側部支持部材2の位置が異なると連結部材100の向きが変化するが、それだけではなく、側部吊部材8と側部支持部材2との距離が変化するため連結部材100の長さも変化する。引用文献1に記載された発明は、側部支持部材2の位置が異なる複数の種類のジェットファン1を取り付ける場合に側部吊部材8の変更を不要としたものであるが、連結部材100については対応していない。
【0014】
図7及び図8は、連結部材100として使用されている従来のターンバックル(以下、同一符号100を付す。)を示す図である。図7は、ターンバックル100を示す正面図(一部断面図)であり、図8は、ターンバックル100を示す分解図である。
【0015】
ターンバックル100は、2つのジョーボルト101,101及びパイプネジ102から構成されている。ジョーボルト101は、二股状の本体部101aの基端部に、外ネジ104が形成された棒状部101bが接合されており、本体部101aの先端部に形成された孔を貫通するようにピン105が取り付けられている。そして、ピン105を介して側部吊部材8又は側部支持部材2に取り付けるようになっている。また、パイプネジ102は筒状の本体部102aを有し、本体部102aの両端部に内ネジ103が形成されたネジ部102bが接合されている。
【0016】
そして、ジョーボルト101の棒状部101bを、外ネジ104と内ネジ103を螺号させながらパイプネジ102の内部に挿通させて、ジョーボルト101とパイプネジ102を連結するようになっている。また、パイプネジ102には、回転用孔106が形成されており、棒状の治具を差し込んで回転させることにより、ターンバックル100の長さ調整ができるようになっている。
【0017】
しかしながら、上記従来のターンバックル100を使用して、側部支持部材2の位置が異なる複数の種類のジェットファン1を取り付けようとすると以下のような問題がある。まず、側部支持部材2の位置の違いによるターンバックル100の長さの変化が上記調整範囲内であれば調整可能ではあるが、設置後6~7年以上を経過するとネジ部分の腐食のため長さ調整が困難になり、ターンバックル全体を新しいものに更新する必要がある。
【0018】
さらに、ジョーボルト101の本体部101aと棒上部101bとの間、パイプネジ102の本体部102aとネジ部102bとの間は、それぞれ溶接9による接合されており、新しいターンバックルの製造期間は、材料手配~切削加工~開先加工~溶接~冷却~メッキ処理~出荷の工程を見込むと、通常は約1か月を要する。ターンバックルの製造をジェットファンの整備工程と平行的に行う場合は問題ないが、故障等による緊急時の他のジェットファンへの転用が必要となった場合、メッキ処理工程を除いても最低10日を要するため、在庫保管をするしかなく、過剰製作によるコスト悪化や保管場所などの問題が生じる。
【0019】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、側部支持部材の位置が異なる複数の種類のジェットファンを取り付ける場合に、長さ調整や製造が容易で部品の共通化が可能なジェットファン取付用ターンバックルと、迅速な取り替えが可能なジェットファンの取付工法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記課題を解決するため、本発明のジェットファン取付用ターンバックルは、トンネル天井壁に設けられた側部吊部材とジェットファンの側面に設けられた側部支持部材とを連結するジェットファン取付用ターンバックルであって、前記側部吊部材及び前記側部支持部材に各々取り付けられる2つのシャックルと、前記2つのシャックルを繋ぐ調整ボルトとを有し、前記調整ボルトの両端には外ネジが形成されており、前記2つのシャックルの各々には前記外ネジに螺合する内ネジが形成されており、前記調整ボルトを回転させてターンバックルの全長を調整することを特徴とする。
【0021】
また本発明のジェットファンの取付工法は、本発明のジェットファン取付用ターンバックルを用いたジェットファンの取付工法であって、既設のジェットファンを取り外す工程と、既設のジェットファンとは側部支持部材の位置が異なる新設のジェットファンを取り付ける工程とを有し、既設のターンバックルの調整ボルトを回転させてターンバックルの全長を調整することを特徴とする。
【0022】
また本発明のジェットファンの取付工法は、本発明のジェットファン取付用ターンバックルを用いたジェットファンの取付工法であって、既設のジェットファンを取り外す工程と、既設のジェットファンとは側部支持部材の位置が異なる新設のジェットファンを取り付ける工程とを有し、既設のターンバックルの調整ボルトを取り替えてターンバックルの全長を調整することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明のジェットファン取付用ターンバックルは、トンネル天井壁に設けられた側部吊部材とジェットファンの側面に設けられた側部支持部材とを連結するジェットファン取付用ターンバックルであり、側部吊部材及び側部支持部材に各々取り付けられる2つのシャックルと、2つのシャックルを繋ぐ調整ボルトとを有している。調整ボルトの両端には外ネジが形成されており、2つのシャックルの各々には外ネジに螺合する内ネジが形成されており、調整ボルトを回転させてターンバックルの全長を調整することができる。また調整ボルトは、両端に外ネジが形成された単純な構造であるため製造が容易である。さらに、調整ボルトを取り替えることで広範囲の長さ調整が可能であり、2つのシャックルを交換することなく共通化することができる。
【0024】
また本発明のジェットファンの取付工法は、本発明のジェットファン取付用ターンバックルを用いたジェットファンの取付工法であって、既設のジェットファンを取り外す工程と、既設のジェットファンとは側部支持部材の位置が異なる新設のジェットファンを取り付ける工程とを有し、既設のターンバックルの調整ボルトを回転させてターンバックルの全長を調整するようになっている。従って、側部吊部材と側部支持部材との距離の変化が調整ボルトによる調整範囲内であれば、ターンバックルを取り替えることなく新設のジェットファンを迅速に取り付けることができる。
【0025】
また本発明のジェットファンの取付工法は、本発明のジェットファン取付用ターンバックルを用いたジェットファンの取付工法であって、既設のジェットファンを取り外す工程と、既設のジェットファンとは側部支持部材の位置が異なる新設のジェットファンを取り付ける工程とを有し、既設のターンバックルの調整ボルトを取り替えてターンバックルの全長を調整するようになっている。従って、側部吊部材と側部支持部材との距離の変化が調整ボルトによる調整範囲外であれば、ターンバックルのうちシャックルを取り替えることなく新設のジェットファンを迅速に取り付けることができる。
【0026】
このように、本発明によれば、側部支持部材の位置が異なる複数の種類のジェットファンを取り付ける場合に、長さ調整や製造が容易で部品の共通化が可能なジェットファン取付用ターンバックルと、迅速な取り替えが可能なジェットファンの取付工法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の実施形態に係るジェットファン取付用ターンバックルを示す正面図である。
図2】ジェットファン取付用ターンバックルを示す分解図である。
図3】シャックルを示す(A)正面図、(B)側面図)、(C)底面図である。
図4】ジェットファンの取付構造を示す正面図である。
図5】ジェットファンの取付構造を示す側面図である。
図6図5のX部拡大図である。
図7】従来のターンバックルを示す正面図(一部断面図)である。
図8】従来のターンバックルを示す分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、図1乃至図3を参照して、本発明の実施形態に係るジェットファン取付用ターンバックル及びジェットファンの取付工法について説明する。なお、本実施形態におけるジェットファンを取り付けるトンネル6、トンネル天井壁7、側部吊部材8、ジェットファン1、側部支持部材2については、図4乃至図6に示す従来例と同一であり詳細な説明を省略する。
【0029】
図1は、本実施形態に係るジェットファン取付用ターンバックル10を示す正面図であり、図2は、ジェットファン取付用ターンバックル10を示す分解図である。ターンバックル10は、トンネル天井壁7に設けられた側部吊部材8と、ジェットファン1の側面に設けられた側部支持部材2とを連結するものである。また図3は、ターバックル10を構成するシャックルを示す(A)正面図、(B)側面図)、(C)底面図である。
【0030】
ターンバックル10は、2つのシャックル11,11及び調整ボルト12から構成されている。2つのシャックル11,11は、一方が側部吊部材8に取り付けられ、他方が側部支持部材2に取り付けられる。そして、調整ボルト12が2つのシャックル11,11を繋ぐようになっている。
【0031】
調整ボルト12は棒状部材であり、両端には外ネジ13,13が形成されており、それぞれに締付ナット17,17が取り付けられている。また、調整ボルト12の長手方向の略中央には回転用ナット16が固定されており、スパナ等を使用して調整ボルト12を回転させることができるようになっている。また、調整ボルト12は、丸棒にネジ切り加工を施すのみであるため製造が極めて容易である。
【0032】
シャックル12は、対向する2つの直立部11a,11aと、直立部11a,11aの基端部を接続する底部11bとで平面視コ字状に形成されており、直立部11a,11aの先端部に形成された孔を貫通するようにピン15が取り付けられている。そして、ピン15を介して側部吊部材8又は側部支持部材2に取り付けるようになっている。
【0033】
シャックル12の底部11bには貫通孔が開けられており、貫通孔の内壁に調整ボルト12の両端に形成された外ネジ13,13に螺合する内ネジ14が形成されている。また、シャックル12の直立部11a,11aの先端部は面取り加工されており、直立部11a,11aの基端部と底部11bの両端部との接続部も面取り加工されている。これらの面取り加工はシャックル12の軽量化を目的としたものである。
【0034】
ターンバックル10を組み立てる際には、調整ボルト12の両端をシャックル11,11の底部11bの貫通孔に挿入し、外ネジ13と内ネジ14とを螺合させる。そして、調整ボルト12の回転用ナット16を介して調整ボルト12を一定方向に回転させることにより、調整ボルト12の両端がシャックル12,12へ挿入される方向に移動し、反対方向に回転させることにより、シャックル12,12から取り出される方向に移動するので、ターンバックル10全体の長さを調整することができる。長さ調整が完了したら、締付ナット17,17で締め付ける。
【0035】
このとき、調整ボルト12の両端は、2つのシャックル11,11の各々の内側に進入可能になっている。すなわち、調整ボルト12の両端が、シャックル11の底部11bを貫通して、対向する直立部11a,11aの間に進入できるようになっている。従って、直立部11a,11aを長くすれば、調整ボルト11の進入長さが長くなるので、ターンバックル10全体の長さを、より短縮することができる。ただし、重量や強度の面から直立部11a,11aが長すぎてもよくない。調整ボルト11の進入長さは、例えば約50mm程度とすることが好ましい。
【0036】
一方、ターンバックル全体の長さ調整は、調整ボルト11を取り替えることで、より広範囲に行うことができる。調整ボルト11は、複数の長さのものを在庫として準備しておくこともできるし、製造自体が容易であるため必要に応じて都度製造することもできる。先頃、トンネル内の建築限界高さが、従来の4500mmから4800mmに変更となり、これに伴いジェットファンも従来より300mm以上高く設置する必要がある。そのため、今後求められるターンバックル長さは、より短くなるものと思われる。調整ボルト11は、基本寸法を短くするとともに外ネジの加工代を短くすれば、ターンバックル全体の長さを大幅に短縮することが可能である。
【0037】
シャックル11及び調整ボルト12の材質としては、SS400やSTK400等の一般鋼材とすることができるが、より降伏点や引張強度に優れるS45Cとすることが好ましい。また、シャックル11及び調整ボルト12は、溶接なしの鍛造加工や削り出し加工により製造できるため、品質上のムラがない。
【0038】
次に、本実施形態に係るジェットファンの取付工法について説明する。まず、既存のジェットファン1を取り外す。次に、既存のジェットファン1とは側部支持部材2の位置が異なる新設のジェットファン1´を取り付ける。このとき、側部支持部材2の位置が異なることから、側部吊部材8と側部支持部材2との距離が変化するため連結部材であるターンバックル10の全長を調整しなければならない。
【0039】
必要な調整量が調整ボルト12による調整範囲内であれば、ターンバックル10を取り替えることなく、調整ボルト12を回転させて調整する。この場合、ターンバックル10はそのまま使用可能である。
【0040】
一方、必要な調整量が調整ボルト12による調整範囲外であれば、ターンバックル10のうちシャックル11,11を取り替えることなく、調整ボルト12を長いもの又は短いものに取り替えてから回転させて調整する。この場合、ターンバックル10のうちシャックル11,11はそのまま使用可能である。
【0041】
このように、本実施形態に係るジェットファンの取付工法では、少なくともシャックル11,11を共通化することが可能であり、長さの異なる調整ボルト12を在庫として準備しておくだけでよい。さらに、準備がなくても前述したように調整ボルト12は製造が極めて容易であり、緊急時にも対応しやすい。
【0042】
本実施形態に係るジェットファン取付用ターンバックル10は、トンネル天井壁7に設けられた側部吊部材8とジェットファン1の側面に設けられた側部支持部材2とを連結するジェットファン取付用ターンバックルであり、側部吊部材8及び側部支持部材2に各々取り付けられる2つのシャックル11,11と、2つのシャックル11,11を繋ぐ調整ボルト12とを有している。調整ボルト12の両端には外ネジ13,13が形成されており、2つのシャックル11,11の各々には外ネジに螺合する内ネジ14,14が形成されており、調整ボルト12を回転させてターンバックル10の全長を調整することができる。また調整ボルト12は、両端に外ネジ13,13が形成された単純な構造であるため製造が容易である。さらに、調整ボルト12を取り替えることで広範囲の長さ調整が可能であり、2つのシャックル11,11を交換することなく共通化することができる。
【0043】
また本実施形態に係るジェットファンの取付工法は、ジェットファン取付用ターンバックル10を用いたジェットファンの取付工法であって、既設のジェットファン1を取り外す工程と、既設のジェットファン1とは側部支持部材2の位置が異なる新設のジェットファン1´を取り付ける工程とを有し、既設のターンバックル1の調整ボルト12を回転させてターンバックル10の全長を調整するようになっている。従って、側部吊部材8と側部支持部材2との距離の変化が調整ボルト12による調整範囲内であれば、ターンバックル10を取り替えることなく新設のジェットファン1´を迅速に取り付けることができる。
【0044】
また本実施形態に係るジェットファンの取付工法は、ジェットファン取付用ターンバックル10を用いたジェットファンの取付工法であって、既設のジェットファン1を取り外す工程と、既設のジェットファン1とは側部支持部材2の位置が異なる新設のジェットファン1´を取り付ける工程とを有し、既設のターンバックル10の調整ボルト12を取り替えてターンバックル10の全長を調整するようになっている。従って、側部吊部材8と側部支持部材2との距離の変化が調整ボルト12による調整範囲外であれば、ターンバックル10のうちシャックル11,11を取り替えることなく新設のジェットファン1´を迅速に取り付けることができる。
【0045】
このように、本実施形態に係るジェットファン取付用ターンバックルは、側部支持部材の位置が異なる複数の種類のジェットファンを取り付ける場合に、長さ調整や製造が容易で部品の共通化が可能であり、また本実施形態に係るジェットファンの取付工法はジェットファンの迅速な取り替えが可能である。
【0046】
以上、本実施形態に係るジェットファン取付用ターンバックル及びジェットファンの取付工法について説明したが、本発明は上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。
【0047】
例えば、上記実施形態では、2つのシャックルの大きさや形状を同一としたが、異なっていてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 ジェットファン
2 側部支持部材
3 頂部吊部材
4 連結部材
5 頂部支持部材
6 トンネル
7 トンネル天井壁
8 側部吊部材
9 溶接
10 ターンバックル
11 シャックル
12 調整ボルト
13 外ネジ
14 内ネジ
15 ピン
16 回転用ナット
17 締付ナット
100 ターンバックル
101 ジョーボルト
102 パイプネジ
103 内ネジ
104 外ネジ
105 ピン
106 回転用孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8