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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022116938
(43)【公開日】2022-08-10
(54)【発明の名称】管理システム及び通信装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20220803BHJP
   G06F 13/00 20060101ALI20220803BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20220803BHJP
【FI】
H04N1/00 127B
G06F13/00 353C
B41J29/38 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021013368
(22)【出願日】2021-01-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】野川 英樹
【テーマコード(参考)】
2C061
5B089
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP04
2C061AP07
2C061HK05
2C061HN05
2C061HN15
5B089GA12
5B089GA13
5B089GA21
5B089GB01
5B089JA35
5B089JB10
5B089JB14
5B089KA11
5B089KB04
5B089KG02
5C062AA05
5C062AA13
5C062AA25
5C062AA35
5C062AA37
5C062AB02
5C062AB08
5C062AB20
5C062AB25
5C062AB38
5C062AB41
5C062AB42
5C062AB43
5C062AB44
5C062AC02
5C062AC04
5C062AC22
5C062AC39
(57)【要約】
【課題】汎用的な中間装置を介して、第一の通信装置から第二の通信装置にタスクを要求するシステムにおいて、タスクの実行状況を容易に把握可能な技術を提供する。
【解決手段】第一の通信装置2は、タスクの実行を要求する要求データをクラウドストレージ93に書き込むように構成される。第二の通信装置3,5は、クラウドストレージを繰返し参照して、クラウドストレージに要求データが書き込まれた場合に、要求データに従うタスクを実行する、又は、第三の通信装置4との通信を通じて第三の通信装置4にタスクを実行させるように構成される。第二の通信装置は更に、タスクの実行状況を説明する状況データを、クラウドストレージに書き込むように構成される。一方、第一の通信装置は、クラウドストレージを繰返し参照して、クラウドストレージ内の状況データに基づき、タスクの実行状況を説明する画面を表示装置13に表示させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラウドストレージにアクセス可能に構成され、タスクの実行を要求する要求データを前記クラウドストレージに書き込むことを含む、前記クラウドストレージに関する第一の処理を実行するように構成される第一の通信装置と、
前記クラウドストレージにアクセス可能に構成され、前記クラウドストレージに関する第二の処理を実行するように構成される第二の通信装置と、
を備え、
前記第二の処理は、
前記クラウドストレージを繰返し参照して、前記クラウドストレージに前記要求データが書き込まれた場合に、前記要求データに従うタスクを実行する、又は、第三の通信装置との通信を通じて前記第三の通信装置に前記タスクを実行させることと、
前記タスクの実行状況を説明する状況データを、前記クラウドストレージに書き込むことと、
を含み、
前記第一の処理は、
前記クラウドストレージを繰返し参照して、前記クラウドストレージ内の前記状況データに基づき、前記タスクの実行状況を判別することと、
前記タスクの実行状況を説明する画面を表示装置に表示させ、判別された前記タスクの実行状況に基づき前記画面を更新することと、
を更に含む管理システム。
【請求項2】
前記第一の通信装置は、前記要求データ及び前記状況データを含む統合データであって、前記状況データによって前記タスクが実行要求の状態にあることを説明する統合データを前記クラウドストレージに書き込むことによって、前記要求データを前記クラウドストレージに書き込み、
前記第二の通信装置は、前記タスクの実行状況が変化する度に、前記クラウドストレージに書き込まれた前記統合データ内の前記状況データを更新することによって、新しい状況データを前記クラウドストレージに書き込み、
前記第一の通信装置は、前記統合データ内の前記状況データを参照することにより、前記タスクの実行状況を判別する請求項1記載の管理システム。
【請求項3】
前記第三の通信装置は、前記第二の通信装置が管理する複数の通信装置であり、
前記第二の通信装置は、前記複数の通信装置と通信して、前記要求データに従うタスクの実行を前記複数の通信装置に指示する請求項1又は請求項2記載の管理システム。
【請求項4】
前記第二の通信装置は、
前記複数の通信装置に前記タスクの実行を指示するときに、前記状況データとして、前記タスクが実行中であることを説明するデータを、前記クラウドストレージに書き込み、
前記タスクの実行が終了したときに、前記状況データとして、前記タスクが終了したことを説明するデータを、前記クラウドストレージに書き込む請求項3記載の管理システム。
【請求項5】
前記第二の通信装置は、前記第三の通信装置と通信して、前記要求データに従うタスクの実行を前記第三の通信装置に指示し、前記要求データに従って前記第三の通信装置に前記タスクの実行を指示するときに、前記状況データとして、前記タスクが実行中であることを説明するデータを、前記クラウドストレージに書き込み、
前記第三の通信装置は、前記タスクの実行指示に従って、自装置の設定値を変更するタスクを実行し、
前記第二の通信装置は、前記第三の通信装置において前記設定値が前記タスクの実行指示に従って変更されたことを、前記第三の通信装置に対する前記設定値の問い合わせにより判別し、前記第三の通信装置において前記設定値が変更されたと判別したことを条件に、前記状況データとして、前記タスクが終了したことを説明するデータを、前記クラウドストレージに書き込む請求項1~請求項4のいずれか一項記載の管理システム。
【請求項6】
前記要求データには、タスクの実行に必要なデータファイルの格納先情報が含まれ、
前記第二の通信装置は、
前記クラウドストレージに前記要求データが書き込まれた場合に、前記要求データに含まれる前記格納先情報に基づき、前記タスクの実行に必要なデータファイルを格納する別のクラウドストレージから、前記データファイルを取得し、更には、
前記第三の通信装置と通信して、前記要求データに従うタスクの実行を前記第三の通信装置に指示し、更には、前記第三の通信装置に前記データファイルを転送し、前記要求データに従って前記第三の通信装置に前記タスクの実行を指示するときに、前記状況データとして、前記タスクが実行中であることを説明するデータを、前記クラウドストレージに書き込み、
前記第二の通信装置は、前記第三の通信装置に対する指示及び前記データファイルの転送が完了したときに、前記状況データとして、前記タスクが終了したことを説明するデータを、前記クラウドストレージに書き込む請求項1~請求項4のいずれか一項記載の管理システム。
【請求項7】
前記要求データには、タスクの実行要求対象を指定する情報が含まれ、
前記第二の通信装置は、前記クラウドストレージに前記要求データが書き込まれた場合であって、前記要求データにおいて、前記第二の通信装置が管理する通信装置が前記実行要求対象として指定されている場合に、前記第三の通信装置として、前記実行要求対象として指定された通信装置と通信して、前記要求データに従うタスクの実行を前記第三の通信装置に指示する請求項1~請求項6のいずれか一項記載の管理システム。
【請求項8】
前記第三の通信装置は、前記第二の通信装置と同じローカルエリアネットワークに属する通信装置である請求項1~請求項7のいずれか一項記載の管理システム。
【請求項9】
前記第二の通信装置は、
前記クラウドストレージに前記要求データが書き込まれた場合に、前記要求データに従うタスクを実行し、
前記タスクの実行を開始するときに、前記状況データとして、前記タスクが実行中であることを説明するデータを、前記クラウドストレージに書き込み、
前記タスクの実行が終了したときに、前記状況データとして、前記タスクが終了したことを説明するデータを、前記クラウドストレージに書き込む請求項1又は請求項2記載の管理システム。
【請求項10】
前記第一の通信装置は、前記タスクが実行される前には、前記画面として、前記タスクが実行待機状態にあることを説明する画面を前記表示装置に表示させ、前記タスクの実行中であるときには、前記タスクが実行中であることを説明するように前記画面を更新する請求項1~請求項9のいずれか一項記載の管理システム。
【請求項11】
クラウドストレージにアクセス可能な通信部と、
前記クラウドストレージに関する処理を実行するように構成される処理部と、
を備え、
前記クラウドストレージに関する処理は、
前記通信部を介して前記クラウドストレージを繰返し参照して、前記クラウドストレージにタスクの実行を要求する要求データが書き込まれた場合に、前記要求データに従うタスクを実行することと、
前記タスクの実行が終了する前後で、前記タスクの実行状況を説明する状況データを、前記クラウドストレージに複数回書き込むことによって、前記タスクの実行状況を段階的に前記タスクの実行要求元に通知することと、
を含む通信装置。
【請求項12】
クラウドストレージにアクセス可能であり、更にはローカルエリアネットワーク内の一つ以上の管理対象装置と通信可能に構成される通信部と、
前記クラウドストレージに関する処理を実行するように構成される処理部と、
を備え、
前記クラウドストレージに関する処理は、
前記通信部を介して前記クラウドストレージを繰返し参照して、前記クラウドストレージにタスクの実行を要求する要求データが書き込まれた場合に、前記ローカルエリアネットワーク内の前記一つ以上の管理対象装置と通信して、前記要求データに従うタスクを、前記一つ以上の管理対象装置に実行させることと、
前記一つ以上の管理対象装置において前記タスクの実行が終了する前後で、前記タスクの実行状況を説明する状況データを、前記クラウドストレージに複数回書き込むことによって、前記タスクの実行状況を段階的に前記タスクの実行要求元に通知することと、
を含む通信装置。
【請求項13】
クラウドストレージにアクセス可能な通信部と、
前記クラウドストレージに関する処理を実行するように構成される処理部と、
を備え、
前記クラウドストレージに関する処理は、
前記通信部を介してタスクの実行を要求する要求データを前記クラウドストレージに書き込むことと、
前記クラウドストレージを繰返し参照して、前記要求データに従う処理を実行する装置から前記クラウドストレージに書き込まれる前記タスクの実行状況を説明する状況データに基づき、前記タスクの実行状況を判別することと、
前記タスクの実行状況を説明する画面を表示装置に表示させ、判別された前記タスクの実行状況に基づき、前記画面を更新することと、
を含む通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、管理システム及び通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
サーバ装置が、画像形成装置の設定用の設定情報を管理装置から取得し、取得した設定情報を画像形成装置からの問合せに応じて画像形成装置へ提供するシステムが既に知られている。このシステムによれば、画像形成装置の設定部は、サーバ装置から送信される設定情報を取得し、取得した情報を用いて画像形成装置の設定を行う(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-148957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来システムでは、サーバ装置が能動的に動作することで、管理装置から画像形成装置への設定に係る円滑な機能を実現する。しかしながら、こうした技術では、専用のサーバ装置を構築しなければならず、サーバ装置の運用コストが高い。
【0005】
一方、専用のサーバ装置に代えて、汎用的な中間装置を用いる場合には、専用のサーバ装置を用いることで実現可能な用途に応じた多様な機能を、中間装置において実現することができない。
【0006】
そこで、本開示の一側面によれば、汎用的な中間装置を介して、第一の通信装置から第二の通信装置にタスクの実行を要求するシステムにおいて、管理者がタスクの実行状況を容易に把握可能な技術を提供できることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一側面に係る管理システムは、第一の通信装置と、第二の通信装置とを備える。第一の通信装置及び第二の通信装置は、クラウドストレージにアクセス可能に構成される。第一の通信装置は、クラウドストレージに関する第一の処理を実行するように構成される。第二の通信装置は、クラウドストレージに関する第二の処理を実行するように構成される。
【0008】
第一の処理は、タスクの実行を要求する要求データをクラウドストレージに書き込むことを含む。
【0009】
第二の処理は、クラウドストレージを繰返し参照して、クラウドストレージに要求データが書き込まれた場合に、要求データに従うタスクを実行する、又は、第三の通信装置との通信を通じて第三の通信装置にタスクを実行させることを含む。第二の処理は、タスクの実行状況を説明する状況データを、クラウドストレージに書き込むことを更に含む。
【0010】
第一の処理は、クラウドストレージを繰返し参照して、クラウドストレージ内の状況データに基づき、タスクの実行状況を判別することを更に含む。第一の処理は、タスクの実行状況を説明する画面を表示装置に表示させ、判別されたタスクの実行状況に基づき画面を更新することを更に含む。
【0011】
本開示の一側面によれば、汎用的な中間装置であるクラウドストレージを介して、第一の通信装置から第二の通信装置にタスクの実行を要求するシステムにおいて、管理者は、表示装置に表示される画面を通じてタスクの実行状況を容易に把握可能である。
【0012】
本開示の一側面によれば、管理システムを実現するための通信装置が提供され得る。本開示の一側面に係る通信装置は、クラウドストレージにアクセス可能な通信部と、クラウドストレージに関する処理を実行するように構成される処理部と、を備える。クラウドストレージに関する処理は、通信部を介してクラウドストレージを繰返し参照し、クラウドストレージにタスクの実行を要求する要求データが書き込まれた場合に、要求データに従うタスクを実行することを含む。
【0013】
クラウドストレージに関する処理は、タスクの実行が終了する前後で、タスクの実行状況を説明する状況データを、クラウドストレージに複数回書き込むことによって、タスクの実行状況を段階的にタスクの実行要求元に通知することを更に含む。
【0014】
こうした通信装置を用いて管理システムを構成すれば、タスクの実行要求元は、タスクの実行状況を、汎用的な中間装置であるクラウドストレージを介して詳細に把握することができ、例えば管理者に対する実行状況の表示によって、管理者に実行状況を詳細に伝えることができる。
【0015】
本開示の一側面に係る通信装置は、クラウドストレージにアクセス可能な通信部と、クラウドストレージに関する処理を実行するように構成される処理部と、を備える。通信部は、更にローカルエリアネットワーク内の一つ以上の管理対象装置と通信可能に構成される。
【0016】
クラウドストレージに関する処理は、通信部を介してクラウドストレージを繰返し参照して、クラウドストレージにタスクの実行を要求する要求データが書き込まれた場合に、ローカルエリアネットワーク内の一つ以上の管理対象装置と通信して、要求データに従うタスクを、一つ以上の管理対象装置に実行させることを含む。
【0017】
クラウドストレージに関する処理は、一つ以上の管理対象装置においてタスクの実行が終了する前後で、タスクの実行状況を説明する状況データを、クラウドストレージに複数回書き込むことによって、タスクの実行状況を段階的にタスクの実行要求元に通知することを更に含む。
【0018】
こうした通信装置を用いて管理システムを構築すれば、仮に管理対象装置がクラウドストレージに直接アクセスできない場合でも、タスクの実行要求元は、それらの管理対象装置に、タスクの実行を要求することができ、更には、管理者に対する実行状況の表示によって、管理者に実行状況を詳細に伝えることができる。
【0019】
本開示の一側面に係る通信装置は、クラウドストレージにアクセス可能な通信部と、クラウドストレージに関する処理を実行するように構成される処理部と、を備える。クラウドストレージに関する処理は、通信部を介してタスクの実行を要求する要求データをクラウドストレージに書き込むことを含む。
【0020】
クラウドストレージに関する処理は、クラウドストレージを繰返し参照して、要求データに従う処理を実行する装置からクラウドストレージに書き込まれるタスクの実行状況を説明する状況データに基づき、タスクの実行状況を判別することを更に含む。クラウドストレージに関する処理は、タスクの実行状況を説明する画面を表示装置に表示させ、判別されたタスクの実行状況に基づき、画面を更新することを更に含む。
【0021】
こうした通信装置によれば、汎用的な中間装置であるクラウドストレージを介して、外部装置にタスクの実行を要求することができると共に、タスクの実行状況を把握することができ、実行状況の表示によって、管理者に実行状況を詳細に伝えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】管理システムの全体構成を表すブロック図である。
図2図2Aは、マスタの構成を表すブロック図であり、図2Bは、クライアントの構成を表すブロック図であり、図2Cは、第1種端末装置の構成を表すブロック図である。
図3図3Aは、第2種端末装置の構成を表すブロック図であり、図3Bは、クラウドサーバの構成を表すブロック図である。
図4】管理システムの動作に関する概略シーケンス図である。
図5図5Aは、スケジュールタスクテーブルの構成を表す図であり、図5Bは、インスタントタスクテーブルの構成を表す図である。
図6】クラウドコネクタに対するファイル送信タスク及び設定タスクの作成時におけるマスタ及びクラウドコネクタの動作を説明したシーケンス図である。
図7】クラウドコネクタが実行するインスタントタスク関連処理を表すフローチャートである。
図8】第1種端末装置に対するファイル送信タスクの作成時におけるマスタ、クライアント、及び第1種端末装置の動作を説明したシーケンス図である。
図9】第1種端末装置に対する設定タスクの作成時におけるマスタ、クライアント、及び第1種端末装置の動作を説明したシーケンス図である。
図10】クライアントの制御部が実行するインスタントタスク中継処理を表すフローチャートである。
図11】インスタントタスクに関するマスタの機能を示す機能ブロック図である。
図12】マスタの制御部が実行する作成登録処理を表すフローチャートである。
図13図13Aは、マスタの制御部が繰返し実行する取得更新処理を表すフローチャートであり、図13Bは、マスタの制御部が繰返し実行する表示制御処理を表すフローチャートである。
図14図14A及び図14Bは、タスク管理画面の構成を例示する図である。
図15】マスタの制御部が実行する画面更新処理を表すフローチャートである。
図16】詳細画面の構成を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本開示の例示的実施形態を、図面を参照しながら説明する。
[全体構成]
本開示の例示的実施形態に係る管理システム1は、マスタ2及びクライアント3の協働により、複数拠点に配置された端末装置4,5を、クラウドサーバ6を介して管理するように構成されたネットワークシステムである。
【0024】
図1に例示されるマスタ2は、第1拠点に設置された端末装置4とローカルエリアネットワークを介して通信可能に構成される。マスタ2は、さらに、広域ネットワークを介してクラウドサーバ6と通信可能に構成される。
【0025】
クライアント3は、第2拠点に設置された端末装置4とローカルエリアネットワークを介して通信可能に構成される。クライアント3は、さらに、広域ネットワークを介してクラウドサーバ6と通信可能に構成される。第3拠点に設置された端末装置5は、広域ネットワークを介してクラウドサーバ6と通信可能に構成される。
【0026】
ローカルエリアネットワークは、例えば、無線LAN及び有線LANのうち少なくとも一方を含んでいてもよい。広域ネットワークは、例えば、インターネットを含んでいてもよい。第3拠点には、ローカルエリアネットワークが構築されていてもよい。この場合、端末装置5は、第3拠点内のローカルエリアネットワークを介して広域ネットワークに接続されてもよい。
【0027】
端末装置4は、クラウドサーバ6によって提供されるクラウドサービスを利用する能力を有しない。換言すれば、各端末装置4は、クラウドサーバ6と通信を行う機能を有しない。以下では、この端末装置4のことを、特に第1種端末装置4と表現する。一方、端末装置5は、クラウドサーバ6によって提供されるクラウドサービスを利用する能力を有する端末装置である。換言すれば、端末装置5は、クラウドサーバ6と通信する機能を有する。以下では、この端末装置5のことを、特に第2種端末装置5と表現する。
【0028】
第2拠点に設置された第1種端末装置4は、クライアント3及びクラウドサーバ6を介して、マスタ2により管理される。第3拠点に設置された第2種端末装置5は、クライアント3を介さずクラウドサーバ6を介して、マスタ2により管理される。
【0029】
マスタ2によって管理される端末装置4,5は、例えば、企業などの一組織で管理される端末装置の一群であり得る。この場合、各拠点は、組織の活動拠点であり得る。一例によれば、マスタ2が存在する第1拠点は、組織の管理部門を有するオフィスであり得る。それ以外の第2拠点及び第3拠点は、第1拠点から離れた組織のブランチオフィスであり得る。
【0030】
端末装置4,5の例には、プリンタ、スキャナ、及び、それらの機能が統合されたディジタル複合機などが含まれる。マスタ2及びクライアント3は、例えば、パーソナルコンピュータに専用のコンピュータプログラムがインストールされて構成される。
【0031】
[装置構成]
図2Aに示すマスタ2は、制御部11と、通信部12と、表示部13と、入力部14と、記憶部15とを備える。制御部11は、CPU21と、メモリ22とを備える。プロセッサとしてのCPU21は、記憶部15に記憶されたコンピュータプログラムに従う処理を実行する。メモリ22は、上記処理の実行時に、ワークメモリとして使用される。
【0032】
記憶部15は、例えばソリッドステートドライブ(SSD)及びハードディスクドライブ(HDD)等のストレージを含み、各種のコンピュータプログラム及びデータを記憶する。記憶部15には、主管理プログラム15aが記憶される。主管理プログラム15aは、マスタ2により実現されるべき管理機能を、CPU21に実現させるためのコンピュータプログラムである。以下において説明される制御部11を主体とした処理は、CPU21がコンピュータプログラムに従って実行する処理により実現されると理解されてよい。
【0033】
通信部12は、当該マスタ2が存在する拠点のローカルエリアネットワークに接続され、更には、広域ネットワークに接続される。通信部12は、図示しないルータを介して広域ネットワークに接続されてもよい。表示部13は、マスタ2を操作するユーザ向けの各種画面を表示するように構成される。表示部13の例には、液晶ディスプレイが含まれる。各種画面の例には、管理対象の端末装置4,5のログ情報及びステータス情報を表示するための画面、及び、ユーザからの操作信号に従って端末装置4,5を遠隔操作するための画面が含まれる。
【0034】
入力部14は、例えばキーボード及びポインティングデバイス等の、マスタ2を操作するユーザからの操作信号を入力するための一つ以上の入力デバイスを備える。制御部11は、入力部14を通じて入力される操作信号に従って、動作する。
【0035】
図2Bに示すクライアント3は、制御部31と、通信部32と、表示部33と、入力部34と、記憶部35とを備える。制御部31は、CPU41及びメモリ42を備える。プロセッサとしてのCPU41は、記憶部35が記憶するコンピュータプログラムに従う処理を実行する。
【0036】
記憶部35には、副管理プログラム35aが記憶される。副管理プログラム35aは、クライアント3により実現されるべきマスタ2の管理機能に関連する機能を、CPU41に実現させるためのコンピュータプログラムである。以下において説明される制御部31を主体とした処理は、CPU41がコンピュータプログラムに従って実行する処理により実現されると理解されてよい。
【0037】
通信部32は、当該クライアント3が存在する拠点のローカルエリアネットワークに接続され、更には、広域ネットワークに接続される。通信部32は、図示しないルータを介して広域ネットワークに接続されてもよい。表示部33は、例えば液晶ディスプレイを含み、クライアント3を操作するユーザ向けの各種画面を表示するように構成される。入力部34は、クライアント3を操作するユーザからの操作信号を入力するための一つ以上の入力デバイスを備える。制御部31は、入力部34を通じて入力される操作信号に従って、動作する。
【0038】
図2Cに示す第1種端末装置4は、制御部51と、通信部52と、表示部53と、入力部54とを備える。第1種端末装置4がディジタル複合機であるとき、第1種端末装置4は更に、印刷部55と、読取部56とを備えることができる。第1種端末装置4は、印刷部55及び読取部56のうちのどちらか一方のみを備えていてもよい。
【0039】
制御部51は、CPU61と、メモリ62とを備える。メモリ62は、RAMの他、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性メモリを備えることができ、不揮発性メモリに、コンピュータプログラム及び設定データ等を記憶することができる。
【0040】
プロセッサとしてのCPU61は、メモリ62に記憶されたコンピュータプログラムに従う処理を実行することにより、第1種端末装置全体を統括制御する。以下において説明される制御部51を主体とした処理は、CPU61がコンピュータプログラムに従って実行する処理により実現されると理解されてよい。
【0041】
通信部52は、当該第1種端末装置4が存在する拠点のローカルエリアネットワークに、そこに存在するマスタ2又はクライアント3と通信可能であるように接続される。表示部53は、例えば液晶ディスプレイを含み、第1種端末装置4を操作するユーザ向けの各種画面を表示するように構成される。入力部54は、ユーザからの操作信号を入力するために、例えば液晶ディスプレイ上のタッチパネル等の一つ以上の入力デバイスを備える。
【0042】
印刷部55は、制御部51に制御されて、シートに画像を印刷するように構成される。印刷部55の例には、インクジェットプリンタ及びレーザプリンタが含まれる。本実施形態によれば、色材の残量等のステータス情報や印刷枚数等のログ情報が、後述する方法で、第1種端末装置4からクライアント3及びクラウドサーバ6を通じてマスタ2に提供される。読取部56は、制御部51に制御されて、印刷物等の読取対象を読み取るように構成される。
【0043】
図3Aに示す第2種端末装置5は、制御部71と、通信部72と、表示部73と、入力部74とを備える。第2種端末装置5がディジタル複合機であるとき、第2種端末装置5は更に、印刷部75と、読取部76とを備えることができる。第2種端末装置5は、印刷部75及び読取部76のうちのどちらか一方のみを備えていてもよい。
【0044】
制御部71は、CPU81と、メモリ82とを備える。メモリ82は、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリを備えることができ、不揮発性メモリに、コンピュータプログラムや設定データ等を記憶することができる。
【0045】
プロセッサとしてのCPU81は、メモリ82に記憶されたコンピュータプログラムに従う処理を実行することにより、装置全体を統括制御する。メモリ82には、通信プログラム82aが記憶される。通信プログラム82aは、クラウドサーバ6によって提供されるクラウドサービスを利用するためのプログラムである。以下において説明される制御部71を主体とした処理は、CPU81がコンピュータプログラムに従って実行する処理により実現されると理解されてよい。
【0046】
通信部72は、クラウドサーバ6と通信可能であるように、広域ネットワークに接続される。第3拠点にローカルエリアネットワークが構築されている場合、通信部72は、そのローカルエリアネットワークを介して広域ネットワークに接続されてもよい。表示部73は、例えば液晶ディスプレイを含む。入力部74は、ユーザからの操作信号を入力するための一つ以上の入力デバイスを備える。
【0047】
印刷部75は、制御部71に制御されて、シートに画像を印刷するように構成される。本実施形態によれば、色材の残量等のステータス情報や印刷枚数等のログ情報が、後述する方法で、第2種端末装置5からクラウドサーバ6を通じてマスタ2に提供される。読取部76は、制御部71に制御されて、印刷物等の読取対象を読み取るように構成される。
【0048】
図3Bに示すクラウドサーバ6は、制御部91と、通信部92と、第1ストレージ93と、第2ストレージ94とを備える。制御部91は、CPU101と、メモリ102とを備える。
【0049】
プロセッサとしてのCPU101は、メモリ102が記憶するコンピュータプログラムに従う処理を実行する。CPU101が実行する処理には、当該クラウドサーバ6をクラウドストレージとして機能させるための処理が含まれる。以下において説明される制御部91を主体とした処理は、CPU101がコンピュータプログラムに従って実行する処理により実現されると理解されてよい。
【0050】
上記クラウドストレージは、テーブルストレージ及びオブジェクトストレージを含む。制御部91による上記処理の実行により、第1ストレージ93は、テーブルストレージとして機能し、第2ストレージ94は、オブジェクトストレージとして機能する。
【0051】
例示的な第1ストレージ93は、NoSQLデータストアとして機能し、スキーマレスのエンティティの一群を構成要素とするテーブルを格納可能に構成される。テーブルにおける各エンティティは、プロパティのセットで構成され、各プロパティは、キー及び値(すなわちバリュー)のペアで構成される。
【0052】
例示的な第2ストレージ94は、オブジェクトとして、任意のテキストファイル及びバイナルファイルを、HTTP/HTTPSプロトコルを用いて、外部から読込及び書込可能なオブジェクトストレージとして機能する。
【0053】
上述したテーブルストレージ及びオブジェクトストレージを提供するクラウドサービスとしては、マイクロソフト社のAzure(登録商標)が知られている。クラウドサーバ6は、このようなクラウドサービスと同様に動作し得る。
【0054】
[シーケンス概略]
続いて、管理に関する動作シーケンスを、図4を用いて概略的に説明する。準備段階では、マスタ2に主管理プログラム15aがインストールされる。主管理プログラム15aに従う処理が、マスタ2の制御部11により実行され、クラウドプロファイルが設定される(S01)。
【0055】
クライアント3及び第2種端末装置5においては、後述するように、クラウドサーバ6に対するポーリング動作及びクラウドサーバ6に保持される情報の更新動作が実行される。クラウドプロファイルの設定(S01)は、クラウドパラメータを設定することを含む。クラウドパラメータは、ポーリング動作の周期(以下、「ポーリング周期」と称する)及び情報の更新動作の周期(以下、「情報更新周期」と称する)を含む。クラウドプロファイルの設定(S01)は、さらに、クラウドサービスを利用するための共有アクセス署名(SAS:Shared Access Signature)を設定することを含む。
【0056】
クラウドプロファイルの設定は、例えば、マスタ2のユーザである主管理者の入力部14を通じた設定操作に従って行われる。SASは、第1ストレージ93及び第2ストレージ94のそれぞれ、すなわち、テーブルストレージ及びオブジェクトストレージのそれぞれに対して個別に設定される。
【0057】
続いて、設定されたクラウドプロファイルに従うクラウドパラメータが、マスタ2からクラウドサーバ6の第1ストレージ93にアップロードされ(S02)、第1ストレージ93に書き込まれる(S03)。ポーリング周期及び情報更新周期を含むクラウドパラメータは、テーブルのエンティティとして、第1ストレージ93に書き込まれる。
【0058】
更に、クラウドプロファイルの少なくとも一部が、クライアントプロファイル、即ちクライアント3での読込用データとして、マスタ2からエクスポートされる(S04)。クライアントプロファイルは、例えば、上述のクラウドパラメータを含んでいてもよい。
【0059】
エクスポートされたクライアントプロファイルは、クライアント3に提供される。クライアントプロファイルは、どのような方法でクライアント3に提供されてもよい。例えば、マスタ2からクライアント3へ、電子メールその他の方法でクライアントプロファイルが送信されてもよい。また例えば、主管理者により、クライアント3のユーザである副管理者にクライアントプロファイルが提供されてもよい。より具体的には、例えば、主管理者が、自身の所持する情報処理端末にクライアントプロファイルを格納し、そのクライアントプロファイルを、副管理者が所持する別の情報処理端末へ送信することにより、副管理者がその別の情報処理端末からクライアント3へクライアントプロファイルを転送できるようにしてもよい。主管理者は、自身の情報処理端末からクライアント3へクライアントプロファイルを送信してもよい。また例えば、主管理者は、クライアントプロファイルを所定のストレージに格納し、そのストレージを副管理者へ提供することにより、副管理者がそのストレージからクライアント3へクライアントプロファイルを転送できるようにしてもよい。
【0060】
副管理者は、クライアント3を操作して、クライアント3に副管理プログラム35aをインストールする(S06)。この際、副管理者の操作によりマスタ2から提供されたクライアントプロファイルがインポートされて、クライアントプロファイルに従うクラウドパラメータ及びSASがクライアント3に設定される(S05)。
【0061】
上記のインストール及び設定を経て、クライアント3は、クラウドサーバ6を利用可能に構成される。これにより、クライアント3は、クラウドサーバ6を介してマスタ2と情報伝達可能に構成される。具体的には、クライアント3は、マスタ2から第1種端末装置4へのタスクの実行指示及び第1種端末装置4からマスタ2へのログ情報及びステータス情報の伝達などの、マスタ2と第1種端末装置4との間の中継動作を、クラウドサーバ6を介して実行可能に構成される。
【0062】
一方、第2種端末装置5には、第2種端末装置5の管理者である装置管理者による入力操作により、SASが登録される(S07)。SASの登録された第2種端末装置5の制御部71は、通信プログラム82aに従う処理を実行する。通信プログラム82aに従う処理を実行している制御部71のことを、以下、「クラウドコネクタ」と称する。クラウドコネクタは、クラウドサーバ6の第1ストレージ93内の、マスタ2により書き込まれたクラウドパラメータを参照する(S08)。クラウドコネクタは、このクラウドパラメータを取得して自装置に設定する(S08)。
【0063】
上述のクラウドパラメータ及びSASの設定を含む、クライアント3及び第2種端末装置5(クラウドコネクタ)の初期設定(S05~S08)が完了すると、クライアント3及び第2種端末装置5では、設定された情報更新周期に従って、定期的に、クラウドサーバ6の第1ストレージ93内に格納された情報を更新するスケジュールタスクが実行される。
【0064】
スケジュールタスクは、デバイス情報を第1ストレージ93に登録することから始まる(S09,S10)。第1ストレージ93は、テーブルの一つとして、スケジュールタスクテーブルを備える。図5Aに示すように、スケジュールタスクテーブルは、第1キー、第2キー、リクエストパラメータ、レスポンスパラメータ、通知元、進捗状況、及びデバイスIDのプロパティを含むエンティティの一群から構成される。
【0065】
スケジュールタスクテーブルは、端末装置4,5のそれぞれについて、「ログ」「ステータス」「登録」に関する3つのエンティティを備え、エンティティ内の情報は、対応する第1種端末装置4を管理するクライアント3、又は対応する第2種端末装置5のクラウドコネクタによって更新される(S09,S10)。
【0066】
エンティティ内の「通知元」のプロパティは、エンティティの更新者を示し、エンティティがクライアント3により更新されるとき、「通知元」のプロパティは、値「クライアント」に更新され、エンティティがクラウドコネクタにより更新されるとき、「通知元」のプロパティは、値「デバイス」に更新される。
【0067】
「ログ」に関するエンティティは、第1キーの値「ログ」を有するログエンティティであり、第2キーの値として記載されるデバイスIDに対応する端末装置4,5の一つのログ情報を、レスポンスパラメータに記述する。デバイスIDは、端末装置4,5のそれぞれにユニークなIDである。
【0068】
ログ情報は、対応する端末装置がプリンタ又はディジタル複合機であるとき、対応する端末装置の総印刷枚数の情報を含み得る。ログ情報は、印刷履歴として、印刷ジョブ毎に、印刷指令元のユーザ及び印刷枚数の情報を含み得る。
【0069】
図5A下段に例示されるように、レスポンスパラメータは、例えばJSONデータを含むことができる。例えば、ログ情報は、対応するパラメータの管理情報ベース(MIB)で用いられるオブジェクト識別子(OID)と、その値とを関連付けるようにして、JSON形式で記述され得る。図5A下段における記載”x.x.x.x.x ・・・・・・・・・・・”,”y.y.y.y.y ・・・・・・・・・・”は、オブジェクト識別子の抽象表現に対応する。更新される前の初期状態のレスポンスパラメータは、オブジェクト識別子に初期値が関連付けられたリクエストパラメータとして存在し得る。図5A下段の例示によれば、OID”y.y.y.y.y ・・・・・・・・・・”に関連付けられた初期値”%MIB(y.y.y.y.y ・・・・・・・・・・)%”が、更新により、値”4”に書き換えられている。
【0070】
「ステータス」に関するエンティティは、第1キーの値「ステータス」を有するステータスエンティティであり、第2キーの値として記載されるデバイスIDに対応する端末装置4,5の一つのステータス情報を、レスポンスパラメータに記述する。ステータス情報は、対応する端末装置がプリンタ又はディジタル複合機であるとき、対応する端末装置の色材の残量情報や紙詰まり等のエラー情報を含み得る。ステータスエンティティにおいてもログエンティティと同様に、レスポンスパラメータは、JSON形式で記述され得る。
【0071】
「登録」に関するエンティティは、第1キーの値「登録」を有する登録エンティティであり、第2キーの値として記載されるデバイスIDに対応する端末装置4,5の一つのデバイス情報を、レスポンスパラメータに記述する。レスポンスパラメータには、デバイス情報として、デバイスの基本構成を説明する複数の項目値が記述される。
【0072】
スケジュールタスクテーブルにおいて、第2種端末装置5のクラウドコネクタのエンティティは、当該クラウドコネクタによって更新される(S09)。第1種端末装置4のエンティティは、第1種端末装置4と同一のローカルエリアネットワークに接続されたクライアント3によって更新される(S10)。すなわち、クライアント3によって、クライアント3配下の第1種端末装置4毎のエンティティが更新される。第1種端末装置4の登録エンティティには、第1種端末装置4を配下におくクライアント3の識別情報が、デバイス情報の一部として書き込まれる。
【0073】
クライアント3は、副管理プログラム35aに従う制御部31の処理によって、ローカルエリア内の各第1種端末装置4と通信し、各第1種端末装置4から、デバイス情報の更新に必要な情報を取得して、対応する第1種端末装置4の登録エンティティを更新することができる(S10)。
【0074】
クライアント3は、定期的に、配下の各第1種端末装置4とローカルエリア内で通信して、対応するログ情報及びステータス情報を取得し、クラウドサーバ6の第1ストレージ93内の各第1種端末装置4のログエンティティ及びステータスエンティティを更新することができる(S10)。
【0075】
第2種端末装置5のクラウドコネクタは、定期的にクラウドサーバ6にアクセスし、自己のログ情報及びステータス情報を更新するように第1ストレージ93における自己のログエンティティ及びステータスエンティティを更新することができる(S09)。
【0076】
マスタ2は、クライアント3としての機能を兼ね備える。即ち、マスタ2は、第1拠点の第1種端末装置4に対して、クライアント3として機能すると理解してよい。具体的には、マスタ2は、クライアント3と同様、クラウドサーバ6の第1ストレージ93内における、配下の第1種端末装置4それぞれの登録エンティティ、ログエンティティ及びステータスエンティティを更新することができる。
【0077】
マスタ2は、さらに、定期的にクラウドサーバ6にアクセスして、第1ストレージ93における端末装置4,5のそれぞれのログエンティティ、ステータスエンティティ、及び登録エンティティを参照し、これらの参照に基づき、各端末装置4,5のログ情報、ステータス情報、及び、デバイス情報を、記憶部15に記憶する処理を実行することができる(S11)。
【0078】
更に、マスタ2は、入力部14を通じたユーザからの操作信号に従って、表示部13の画面に、上記登録された端末装置4,5のリストを表示したり、端末装置4,5のログ情報及びステータス情報を表示したりすることができる(S11)。このように、管理システム1は、複数拠点で使用される端末装置4,5の状態を、マスタ2の設置された一拠点で遠隔から監視可能に構成される。
【0079】
この他、管理システム1によれば、スケジュールタスク以外の非定期のタスクであるインスタントタスクが、マスタ2からの要求に基づき、端末装置4,5により実行される。マスタ2は、第1ストレージ93に、インスタントタスクのエンティティを登録することにより、インスタントタスクの実行を、対応する端末装置4,5に要求する(S13)。例えば、端末装置4,5におけるファームウェアの更新が、インスタントタスクの一つとして実現される。
【0080】
マスタ2は、入力部14を通じたユーザからの操作信号に従って、マスタ2のユーザからインスタントタスクの実行要求操作を受け付け(S12)、該当エンティティを登録することができる(S13)。
【0081】
第1ストレージ93は、図5Bに示すインスタントタスクテーブルを備える。インスタントタスクテーブルは、スケジュールタスクテーブルと同様に、第1キー、第2キー、リクエストパラメータ、レスポンスパラメータ、通知元、進捗状況、及びデバイスIDのプロパティを含むエンティティの一群から構成される。
【0082】
インスタントタスクテーブルのエンティティ(以下、インスタントタスクエンティティという)は、第1キーの値として、「インスタントタスク」が記載されたエンティティである。インスタントタスクエンティティにおける、第2キーのプロパティは、トランザクションIDを値に有する。トランザクションIDは、同時期に発生するインスタントタスクのそれぞれに対してユニークなIDであり、同時期に発生する複数のインスタントタスクのそれぞれのエンティティを区別するために用いられる。
【0083】
インスタントタスクエンティティにおけるデバイスIDのプロパティには、インスタンスタスクの要求先である端末装置4,5のデバイスIDが値として記述される。クライアント3配下の複数の第1種端末装置4に対してインスタントタスクが要求されるとき、デバイスIDのプロパティには、複数の第1種端末装置4のそれぞれのデバイスIDが記述される。
【0084】
インスタントタスクエンティティにおけるリクエストパラメータは、インスタントタスクとして実行すべき処理の内容を説明するデータを値として含む。処理内容は、例えば、JSONデータとして記述される。
【0085】
マスタ2が実行を要求するインスタントタスクが端末装置4,5におけるファームウェアの更新である場合には、マスタ2は、ファームウェアの更新ファイルを、オブジェクトストレージとして機能する第2ストレージ94に格納する(S14)。この場合、リクエストパラメータには、ファームウェアの更新ファイルの格納先URLが記述される。
【0086】
第2種端末装置5のクラウドコネクタは、設定されたポーリング周期で、クラウドサーバ6の第1ストレージ93にアクセスし、インスタントタスクテーブル内に、自己で実行すべきインスタントタスクの新規エンティティが登録されているかを判別する(S15)。
【0087】
新規エンティティが登録されている場合、クラウドコネクタは、第1ストレージ93内の対応するインスタントタスクエンティティの進捗状況のプロパティの値を「要求」から「進行中」に更新することにより、インスタントタスクの要求の受取をマスタ2に伝達する(S15)。
【0088】
マスタ2は、状況確認として、第1ストレージ93におけるインスタントタスクエンティティを定期的に参照する(S18)。マスタ2は、定期参照により、進捗状況のプロパティの値が更新されたことに基づいて、インスタントタスクの要求が受け取られたことを確認することができる。
【0089】
第2種端末装置5のクラウドコネクタは、インスタントタスクの実行に際して、インスタントタスクエンティティのリクエストパラメータを参照する(S15)。クラウドコネクタは、参照したリクエストパラメータに基づき、インスタントタスクの実行に必要なデータファイルが第2ストレージ94内に存在する場合には、リクエストパラメータに記載された格納先URLに基づいて、第2ストレージ94からデータファイルをダウンロードし(S16)、インスタントタスクを実行する。
【0090】
第2種端末装置5のクラウドコネクタは、インスタントタスクが終了すると、進捗状況のプロパティの値を「進行中」から「完了」に変更し、レスポンスパラメータとして処理結果を書き込むように、第1ストレージ93内の対応するインスタントタスクエンティティを更新する(S17)。
【0091】
クライアント3も、第2種端末装置5のクラウドコネクタと同様に、設定されたポーリング周期で、クラウドサーバ6の第1ストレージ93にアクセスし、インスタントタスクテーブル内に、配下の第1種端末装置4に実行させるべきインスタントタスクの新規エンティティが登録されているか否かを判別する(S19)。以下、配下の第1種端末装置4のうちインスタントタスクテーブルにおいてインスタントタスクの実行対象に設定されている1つ以上の第1種端末装置4(つまりデバイスIDのプロパティにデバイスIDが記述されている1つ以上の第1種端末装置4)のそれぞれを、「インスタントタスク実行対象」と称する。
【0092】
新規エンティティが登録されている場合、クライアント3は、進捗状況のプロパティの値を「要求」から「進行中」に更新するように、第1ストレージ93内の対応するインスタントタスクエンティティを更新する(S19)。クライアント3は更に、リクエストパラメータの参照により、必要に応じて第2ストレージ94からインスタントタスクに実行に必要なデータファイルを取得する(S20)。
【0093】
その後、クライアント3は、ローカルエリアネットワークを通じて、インスタントタスク実行対象に、インスタントタスクの実行を指示する(S21)。この際、第2ストレージ94から取得した上記実行に必要なデータファイルを、各インスタントタスク実行対象に転送する(S21)。
【0094】
クライアント3は、全てのインスタントタスク実行対象においてインスタントタスクの実行が完了すると、進捗状況のプロパティの値を「進行中」から「完了」に変更し、レスポンスパラメータとして処理結果を書き込むように、第1ストレージ93内の対応するインスタントタスクエンティティを更新する(S22)。このエンティティの更新により、クライアント3は、クラウドサーバ6の第1ストレージ93を介して、マスタ2に、インスタントタスク実行対象におけるインスタントタスクの実行経過及び処理結果を通知する(S22)。
【0095】
マスタ2は、状況確認として、第1ストレージ93におけるインスタントタスクエンティティを参照し、進捗状況のプロパティの値が「完了」に更新されたことを知ることにより、インスタントタスクが完了したことを確認し、処理結果を記憶部15に書き込む(S23)。
【0096】
マスタ2は更に、処理結果を表示部13の画面に表示することができる。マスタ2は、登録したインスタントタスクが対象の端末装置4,5全てで完了したこと、換言すればそのインスタントタスクが不要になったことを確認すると(S24)、その不要になったインスタントタスクエンティティを、第1ストレージ93から削除し(S25)、インスタントタスクに供された第2ストレージ94内のデータファイル(例えばファームウェアの更新ファイル)を削除する(S26)。
【0097】
このように、管理システム1は、クラウドサーバ6の第1ストレージ93におけるインスタントタスクエンティティの登録及び更新により、更には第2ストレージ94を介したデータファイルの転送により、複数拠点で使用される端末装置4,5を、マスタ2の設置された一拠点で遠隔から制御可能に構成される。
【0098】
[インスタントタスクの詳細説明]
続いて、インスタントタスクの詳細を説明する。インスタントタスクには、上述したファームウェアの更新タスクの他、ファイル送信タスク、及び、設定タスクが含まれる。
【0099】
ファイル送信タスクは、マスタ2が指定されたデータファイルを端末装置4,5に送信し、端末装置4,5が、マスタ2からのデータファイルを受信し保存するタスクである。設定タスクは、端末装置4,5が、マスタ2から提供された設定ファイルに従って、自装置における動作パラメータの設定値を変更するタスクである。
【0100】
ファイル送信タスク及び設定タスクに関して、第2種端末装置5、換言すればクラウドコネクタは、図6に示すように動作する。
【0101】
マスタ2は、入力部14を通じたユーザからの指示に基づき、ファイル送信タスク又は設定タスクを作成する。その後、マスタ2は、クラウドサーバ6にアクセスして、対応するインスタントタスクエンティティを、第1ストレージ93のインスタントタスクテーブルに登録する共に、第2ストレージ94に、タスクの実行に必要なデータファイルをアップロードする。
【0102】
タスクの実行要求先が第2種端末装置5である場合、インスタントタスクエンティティのデバイスIDのプロパティには、実行要求先の第2種端末装置5のデバイスIDが記述される。リクエストパラメータには、実行すべきタスクの内容がJSON形式で記載されると共に、タスクの実行に必要なデータファイルの格納先URLが記載される。
【0103】
アップロードにより第2ストレージ94に格納されるデータファイルは、ファイル送信タスクの場合、送信対象のデータファイルであり、例えばユーザから指定されたマスタ2の記憶部15内のデータファイルである。設定タスクの場合に格納されるデータファイルは、タスクの実行要求先において設定されるべき各動作パラメータの設定値を説明した設定ファイルである。
【0104】
クラウドサーバ6は、汎用的なストレージ機能を広域ネットワーク上で提供するサーバであることから、マスタ2により新規インスタントタスクエンティティが第1ストレージ93に登録されても、このことがクラウドサーバ6から能動的に端末装置4,5に伝えられることはない。新規インスタントタスクエンティティの登録は、クラウドコネクタで定期的に実行されるポーリング動作によって把握される。
【0105】
クラウドコネクタ(制御部71)は、ポーリング動作を含む図7に示すインスタントタスク関連処理を、マスタ2から事前にクラウドパラメータとして設定されたポーリング周期で、定期的に実行する。
【0106】
インスタントタスク関連処理を開始すると、クラウドコネクタは、予め設定された第1ストレージ93用のSASを用いてクラウドサーバ6の第1ストレージ93にアクセスして、第1ストレージ93内のインスタントタスクテーブルを参照し、タスク情報を取得する(S110)。タスク情報の取得は、インスタントタスクテーブル内のインスタントタスクエンティティの一群を、第1ストレージ93から取得することに対応する。
【0107】
続いて、クラウドコネクタは、上記取得したタスク情報に基づき、処理すべき自己宛の新規インスタントタスクエンティティが存在するかを判別する(S120)。クラウドコネクタは、自己宛の新規インスタントタスクエンティティとして、進捗状況の値が「要求」であり、デバイスIDのプロパティに、自装置のデバイスIDが記載されたインスタントタスクエンティティが、インスタントタスクテーブル内に存在するかを判別する。新規インスタントタスクエンティティは、進捗状況としてタスクが実行要求状態であることを示す「要求」が記述された状態で、インスタントタスクテーブルに登録される。
【0108】
クラウドコネクタは、自己宛の新規インスタントタスクエンティティが存在しないと判別すると(S120でNo)、インスタントタスク関連処理を終了する。この場合、クラウドコネクタは、次のポーリングタイミングが到来した時点で、再度、インスタントタスク関連処理を実行する。
【0109】
一方、自己宛の新規インスタントタスクエンティティが存在すると判別すると(S120でYes)、クラウドコネクタは、第1ストレージ93における対象エンティティの進捗状況の値を、「要求」から「進行中」に変更する(S130)。この変更は、要求が受け付けられ、実行要求先で対応する処理が開始されたことマスタ2に通知するために行われる。
【0110】
ここでいう対象エンティティは、S120で存在すると判別された自己宛の新規インスタントタスクエンティティである。ここでは、対象エンティティが一つの新規インスタントタスクエンティティであることを前提に、S130以降の処理を説明する。但し、対象エンティティには、場合により、複数の新規インスタントタスクエンティティが含まれ得る。複数の新規インスタントタスクエンティティが含まれる場合には、以下で説明されるS130以降における一つの新規インスタントタスクエンティティに関する処理が、複数の新規インスタントタスクエンティティのそれぞれに対して、実行されると理解されてよい。
【0111】
S130の処理に続いて、クラウドコネクタは、第1ストレージ93から取得したタスク情報に基づき、対象エンティティがファイル送信タスクのエンティティであるかを判別する(S150)。
【0112】
対象エンティティがファイル送信タスクのエンティティであると判別した場合(S150でYes)、クラウドコネクタは、対象エンティティのリクエストパラメータに記載されたデータファイルの格納先URLに基づき、クラウドサーバ6の第2ストレージ94に格納された該当データファイルをダウンロードして取得する(S160)。ダウンロードには、第2ストレージ94用のSASが使用される。
【0113】
その後、クラウドコネクタは、ダウンロードしたデータファイルを、自装置のメモリ82に保存する(S160)。更に、クラウドコネクタは、第1ストレージ93における対象エンティティの進捗状況の値を、「進行中」から「完了」に変更する。クラウドコネクタは更に、タスクの処理結果を対象エンティティのレスポンスパラメータにJSON形式で書き込むことにより、対象エンティティを更新する(S165)。その後、インスタントタスク関連処理を終了する。
【0114】
一方、対象エンティティがファイル送信タスクのエンティティではなく設定タスクのエンティティであると判別すると(S150でNo及びS170でYes)、クラウドコネクタは、対象エンティティのリクエストパラメータに記載されたデータファイルの格納先URLに基づき、クラウドサーバ6の第2ストレージ94に格納された設定ファイルをダウンロードして取得する(S181)。
【0115】
その後、クラウドコネクタは、取得した設定ファイルに基づいて、自装置の動作パラメータの設定値を変更する(S185)。設定変更が完了すると、クラウドコネクタは、第1ストレージ93内の対象エンティティの進捗状況の値を「進行中」から「完了」に変更し、更には、処理結果をレスポンスパラメータにJSON形式で書き込むことにより、対象エンティティを更新する(S189)。
【0116】
S189での更新は、クラウドサーバ6を通じて、タスクが完了したこと、及び、その処理結果をマスタ2に通知するために行われる。その後、クラウドコネクタは、インスタントタスク関連処理を終了する。
【0117】
対象エンティティがファイル送信タスク及び設定タスクのいずれでもない場合(S170でNo)、クラウドコネクタは、対象エンティティのリクエストパラメータに応じた処理を実行し(S190)、当該インスタントタスク関連処理を終了する。
【0118】
また、第1種端末装置4に対するタスクの実行要求は、クライアント3により次のように処理される。図8には、ファイル送信タスクに関するクライアント3の動作が示される。図9には、設定タスクに関するクライアント3の動作が示される。
【0119】
マスタ2は、ファイル送信タスク又は設定タスクを作成すると、対応するインスタントタスクエンティティを、第1ストレージ93のインスタントタスクテーブルに登録する共に、第2ストレージ94に、タスクの実行に必要なデータファイルをアップロードする。
【0120】
このとき、インスタントタスクエンティティには、進捗状況として「要求」が記載される。インスタントタスクエンティティのデバイスIDのプロパティには、タスクの実行要求先の第1種端末装置4のデバイスIDが記述される。記述されるデバイスIDは、複数であり得る。すなわち、マスタ2は、入力部14からのユーザ操作に従って、一つのクライアント3が管理する複数の第1種端末装置4の全部又は一部を実行要求先に指定するように、全部又は一部の第1種端末装置4のデバイスIDを、一つのインスタントタスクエンティティに記述することができる。
【0121】
複数の第1種端末装置4のデバイスIDが記述された設定タスクに関するインスタントタスクエンティティは、複数の第1種端末装置4を一括設定するタスクのエンティティと解釈することができる。リクエストパラメータは、上述した第2種端末装置5に対するファイル送信タスク及び設定タスクと同様に、タスクの実行に必要なデータファイルの格納先URLを含んだタスクの内容を説明するJSONデータとして記述される。
【0122】
マスタ2による上述の動作により登録されたインスタントタスクエンティティを処理するために、クライアント3は、ポーリング動作を含む図10に示すインスタントタスク中継処理を定期的に実行する。インスタントタスク中継処理の実行周期は、マスタ2からクラウドパラメータとして設定されたポーリング周期に対応する。
【0123】
インスタントタスク中継処理を開始すると、クライアント3の制御部31は、S110の処理と同様に、第1ストレージ93用のSASを用いて、第1ストレージ93内のインスタントタスクテーブルを参照し、タスク情報を取得する(S210)。
【0124】
続いて、制御部31は、上記取得したタスク情報に基づき、処理すべき自己宛の新規インスタントタスクエンティティが存在するかを判別する(S220)。制御部31は、自己宛の新規インスタントタスクエンティティとして、進捗状況の値が「要求」であり、デバイスIDのプロパティに、自装置が管理する第1種端末装置4の全部又は一部のデバイスIDが記載されたインスタントタスクエンティティが、インスタントタスクテーブルに存在するかを判別することができる。
【0125】
制御部31は、自己宛の新規インスタントタスクエンティティが存在しないと判別すると(S220でNo)、図10に示すインスタントタスク中継処理を終了し、次のポーリングタイミングが到来するまで待機する。制御部31は、次のポーリングタイミングが到来した時点で、再度、インスタントタスク中継処理を実行する。
【0126】
一方、自己宛の新規インスタントタスクエンティティが存在すると判別すると(S220でYes)、制御部31は、第1ストレージ93における対象エンティティの進捗状況の値を、「要求」から「進行中」に変更する(S230)。S130の処理に関連して説明したように、ここでいう対象エンティティは、S220で存在すると判別された自己宛の新規インスタントタスクエンティティである。ここでも、対象エンティティが一つの新規インスタントタスクエンティティであることを前提に、後続の処理内容を説明する。但し、対象エンティティには、場合により、複数の新規インスタントタスクエンティティが含まれ得る。
【0127】
S230での処理に続いて、制御部31は、第1ストレージ93から取得したタスク情報に基づき、対象エンティティがファイル送信タスクのエンティティであるかを判別する(S250)。
【0128】
対象エンティティがファイル送信タスクのエンティティであると判別した場合(S250でYes)、制御部31は、対象エンティティのリクエストパラメータに記載された格納先URLのデータファイルを、クラウドサーバ6の第2ストレージ94からダウンロードして取得する(S261)。ダウンロードに際しては、第2ストレージ94用のSASが使用される。
【0129】
更に、制御部31は、上記取得したデータファイルを、当該データファイルを保存するタスクの実行指示と共に、対象端末装置に対して、ローカルエリアネットワークを通じて送信する(S263)。ここでいう対象端末装置は、上述したインスタントタスク実行対象に対応し、対象エンティティのデバイスIDのプロパティに、デバイスIDが記載された一つ又は複数の第1種端末装置4である。
【0130】
第1種端末装置4のそれぞれは、クライアント3との通信に必要なコンピュータプログラムを、メモリ62に備えることができ、第1種端末装置4の制御部51は、このコンピュータプログラムに従って、クライアント3と通信し、クライアント3からの指示に基づく処理を実行することができる。
【0131】
制御部31は、対象端末装置へのデータファイルの送信が完了すると、第1ストレージ93における対象エンティティの進捗状況の値を、「進行中」から「完了」に変更する(S265)。制御部31は更に、レスポンスパラメータに処理結果を書き込むことにより、対象エンティティを更新する(S265)。
【0132】
対象端末装置に複数の第1種端末装置4が含まれるとき、S265における対象エンティティの更新は、対象端末装置に該当する全ての第1種端末装置4へのデータファイルの送信が完了したときに実行される。このとき、制御部31は、対象端末装置に該当する第1種端末装置4毎の処理結果をレスポンスパラメータに書き込むように、対象エンティティを更新する。
【0133】
例えば、対象端末装置に該当する第1種端末装置4の一群のうちの一部に対するデータファイルの転送に失敗した場合には、制御部31は、対応するエラー情報を処理結果としてレスポンスパラメータに書き込むことができる。データファイルの転送の失敗は、第1種端末装置4のシャットダウンや通信異常などに起因して起こり得る。
【0134】
このようにデータファイルの転送に失敗するケースでは、制御部31は、リトライによるデータファイルの転送を断念した時点で、対応する第1種端末装置4へのデータファイルの送信が完了したと形式的に判別することができる。
【0135】
制御部31は、対象エンティティがファイル送信タスクのエンティティではなく設定タスクのエンティティであると判別すると(S250でNo及びS270でYes)、対象エンティティのリクエストパラメータに記載された格納先URLに基づき、クラウドサーバ6の第2ストレージ94に格納された設定ファイルをダウンロードして取得する(S281)。
【0136】
その後、制御部31は、設定ファイルを対象端末装置に送信する前に、ローカルエリアネットワークを通じた通信により、対象端末装置との間の設定ファイルの送信に関するネゴシエーションを行う(S283)。
【0137】
対象端末装置に複数の第1種端末装置4が含まれるとき、ネゴシエーションは、これら複数の第1種端末装置4のそれぞれに対して、個別に行われる。行われるネゴシエーションは、第1種端末装置4に対する設定ファイルの送信方式に関する取り決めである。例えば、制御部31は、対応する第1種端末装置4がサポートするファイル形式を確認し、第1種端末装置4がサポートするファイル形式で設定ファイルを送信することを第1種端末装置4との間で取り決めるように、ネゴシエーションを行うことができる。
【0138】
その後、制御部31は、設定ファイルに従って動作パラメータを設定するタスクの実行指示と共に、クラウドサーバ6から取得した設定ファイルを、ネゴシエーションによる事前の取り決めに基づいて、対象端末装置にローカルエリアネットワークを通じて送信する(S285)。
【0139】
対象端末装置に複数の第1種端末装置4が含まれる場合、制御部31は、複数の第1種端末装置4のそれぞれに対して、設定ファイルを送信する。制御部31は、複数の第1種端末装置4のそれぞれに対して、設定ファイルを、個別のネゴシエーションで取り決められたファイル形式で送信することができる。
【0140】
設定ファイルの送信後、制御部31は、対象端末装置に対する問い合わせにより、対象端末装置での設定が完了したかを判別する(S287)。対象端末装置に複数の第1種端末装置4が含まれる場合、制御部31は、対象端末装置に対応する複数の第1種端末装置4の全てにおける設定が完了したときに、対象端末装置での設定が完了したと判別することができる。
【0141】
制御部31は、対象端末装置に複数の第1種端末装置4が含まれるときには、第1種端末装置4のそれぞれに対して、動作パラメータの設定値の問い合わせを行い、設定値が、設定ファイル通りに変更されているかを判別することにより、対象端末装置での設定が完了したかを判別することができる。
【0142】
制御部31は、対象端末装置での設定が完了するまで待機し、設定が完了したと判別すると(S287でYes)、第1ストレージ93内の対象エンティティの進捗状況の値を「進行中」から「完了」に変更し、更には、レスポンスパラメータに処理結果を書き込むことにより、対象エンティティを更新する(S289)。
【0143】
対象端末装置に複数の第1種端末装置4が含まれるとき、S289における対象エンティティの更新は、対象端末装置に対応する全ての第1種端末装置4に設定ファイルが示す設定値が反映されたときに実行される。このとき、制御部31は、レスポンスパラメータに対象端末装置に該当する第1種端末装置4毎の処理結果を書き込むように、対象エンティティを更新する。
【0144】
但し、制御部31は、対象端末装置に該当する第1種端末装置4の一群のうちの一部での設定に失敗した場合には、リトライによる設定を断念した時点で、対応する第1種端末装置4での設定が完了したと形式的に判別することができる。また、制御部31は、設定に失敗した第1種端末装置4に関する処理結果として、エラー情報を書き込むように、対象エンティティを更新することができる。その後、制御部31は、インスタントタスク中継処理を終了する。
【0145】
この他、対象エンティティがファイル送信タスク及び設定タスクのいずれのエンティティでもない場合、制御部31は、対象エンティティのリクエストパラメータに応じた処理を実行し(S290)、当該インスタントタスク中継処理を終了する。
【0146】
続いて、インスタントタスクに関係するマスタ2の処理動作を、図11-16を用いて説明する。マスタ2の制御部11は、主管理プログラム15aに従う処理の実行により、インスタントタスクに関連する機能として、図11に示すタスク登録部11A、情報取得部11B、及び、表示制御部11Cとして機能する。メモリ22には、表示制御部11Cによる表示部13を介した情報表示に必要なデータを記憶するための内部テーブル11Dが作成され、内部テーブル11Dには、クラウドサーバ6の第1ストレージ93におけるインスタントタスクテーブルの更新ログが記録される。
【0147】
タスク登録部11Aは、入力部14を通じたユーザからのインスタントタスクの実行要求操作に従って、図12に示す作成登録処理を実行する。タスク登録部11Aは、操作に従って、ファイル送信タスクや設定タスクなどのインスタントタスクを作成する(S410)。
【0148】
タスクの作成は、実行要求先のデバイスIDを含むタスクの内容を決定し、インスタントタスクテーブルに登録するためのインスタントタスクエンティティを作成することに対応する。
【0149】
実行要求先の端末装置4,5は、マスタ2を操作するユーザによりデバイスリストから指定される。制御部11は、予め第1ストレージ93のスケジュールタスクテーブルを参照することにより、管理システム1に登録された端末装置4,5を把握し、それらの端末装置4,5を列挙したデバイスリストを作成し、表示部13に表示させることができる。
【0150】
続くS420において、タスク登録部11Aは、第1ストレージ93用のSASを用いてクラウドサーバ6の第1ストレージ93にアクセスし、第1ストレージ93のインスタントタスクテーブル内に、作成したインスタントタスクエンティティを新規登録する。
【0151】
S420において、タスク登録部11Aは、タスクの実行に必要なデータファイルがある場合、クラウドサーバ6の第2ストレージ94に、第2ストレージ94用のSASを用いてアクセスし、該当するデータファイルをアップロードする。アップロードされるデータファイルの格納先URLは、そのアップロードの前又は後において、登録されるインスタントタスクエンティティのリクエストパラメータに記載される。
【0152】
S420において、タスク登録部11Aは更に、インスタントタスクエンティティの登録を、更新ログとして、内部テーブル11Dに記録する。例えば、内部テーブル11Dには、更新ログとして、クラウドサーバ6のインスタントタスクテーブルに登録されたインスタントタスクエンティティが、登録日時と共に記録される。その後、タスク登録部11Aは、作成登録処理を終了する。
【0153】
情報取得部11Bは、予め定められた参照周期で、定期的に図13Aに示す取得更新処理を実行する。取得更新処理において、情報取得部11Bは、第1ストレージ93のインスタントタスクテーブルを参照して、タスク情報を取得する。タスク情報は、上述の通り、インスタントタスクテーブルに登録されたエンティティの一群である(S510)。
【0154】
その後、情報取得部11Bは、取得したタスク情報に基づいて、内部テーブル11Dを更新する。情報取得部11Bは、タスク情報と内部テーブル11Dの記録とに基づいて、インスタントタスクテーブルにおいて情報更新がなされたインスタントタスクエンティティの一群を検出し、検出したインスタントタスクエンティティの更新ログを、内部テーブル11Dに記録する(S520)。
【0155】
例えば、情報取得部11Bは、インスタントタスクエンティティの進捗状況を判別し、進捗状況が「要求」から「進行中」に更新されたとき、及び、「進行中」から「完了」に更新されたときのインスタントタスクエンティティを、更新ログとして、更新日時と共に内部テーブル11Dに記録することができる。このようにして、クラウドサーバ6のインスタントタスクテーブルにおけるエンティティの情報は、更新ログとして、マスタ2の内部テーブル11Dで記憶保持され得る。
【0156】
表示制御部11Cは、表示部13において表示されるタスク管理画面の更新のために図13Bに示す表示制御処理を繰返し実行する。タスク管理画面は、図14A及び図14Bに例示される。
【0157】
表示制御処理を繰返し実行することにより、表示制御部11Cは、内部テーブル11Dを参照し(S610)、内部テーブル11Dに記録されたインスタントタスクエンティティの更新ログに基づいて、タスク管理画面における表示内容を更新する(S620)動作を繰り返す。
【0158】
図14Aに示すように、タスク管理画面は、カレントタスク表示領域と、タスクログ表示領域と、を含む。タスクログ表示領域は、既に完了した過去のタスクを表示する領域である。タスクログ表示領域には、過去の所定期間に完了したタスク毎に、タスクの処理結果を説明する行データが配列されたテーブルが表示される。
【0159】
タスクログ表示領域に表示されるテーブル内の各行データは、「タスクタイプ」「ステータス」「開始時刻」「終了時刻」「対象」のフィールドを有する。「タスクタイプ」のフィールドには、例えば「ファイル送信」及び「設定」等のタスクの種類を表す文字列が表示される。
【0160】
「ステータス」のフィールドには、タスクの処理結果として、「エラー」又は「OK」との文字列が表示される。「OK」は、タスクの実行に成功したことを示し、「エラー」は、タスクの実行に少なくとも部分的に失敗したことを示す。
【0161】
「開始時刻」のフィールドには、タスクの実行開始時刻が表示され、「終了時刻」のフィールドには、タスクの実行終了時刻が表示される。「対象」のフィールドには、タスクの実行要求先に指定された端末装置4,5の数が表示される。
【0162】
カレントタスク表示領域には、現在未完了のタスク毎に、対応するタスクを説明する行データが配列されたテーブルが表示される。カレントタスク表示領域に表示されるテーブル内の各行データは、「タスクタイプ」、「ステータス」「開始時刻」「対象」のフィールドを有する。「タスクタイプ」「開始時刻」「対象」のフィールドには、タスクログ表示領域の行データと同様の情報が表示される。「ステータス」のフィールドには、対応するタスクの実行状況が表示される。
【0163】
表示制御部11Cは、このようなタスク管理画面の更新のために、上述のS620において、図15に示す画面更新処理を実行することができる。画面更新処理を開始すると、表示制御部11Cは、内部テーブル11Dの更新ログに基づき、新規タスクが作成されたかを判別する(S710)。
【0164】
新規タスクが作成されたと判別すると(S710でYes)、表示制御部11Cは、カレントタスク表示領域に、新規タスクの行データの表示が開始されるように、タスク管理画面を更新する(S711)。画面更新によって、カレントタスク表示領域には、新規タスクの、「タスクタイプ」「ステータス」「開始時刻」「対象」が記述された行データが追加表示される。
【0165】
新規タスクに対応するインスタントタスクエンティティが、進捗状況として「要求」を示す場合、カレントタスク表示領域における新規タスクの「ステータス」のフィールドには、タスクの実行状況として「待機中」との文字列が表示される。このときタスクの実行は開始されていないことから、「開始時刻」のフィールドは、空の状態で表示される。
【0166】
表示制御部11Cは更に、内部テーブル11Dの更新ログに基づき、インスタントタスクテーブル内に、進捗状況が「要求」から「進行中」に変更されたインスタントタスクエンティティが存在するかを判別する(S720)。
【0167】
該当するインスタントタスクエンティティが存在すると判別すると(S720でYes)、表示制御部11Cは、進捗状況が「要求」から「進行中」に変更されたインスタントタスクエンティティに対応するタスクに関して、カレントタスク表示領域内の対応するタスクの行データにおける「ステータス」のフィールドに、タスクの実行状況として「実行中」との文字列が表示されるように、タスク管理画面を更新する(S721)。
【0168】
表示制御部11Cは更に、内部テーブル11Dの更新ログに基づき、インスタントタスクテーブル内に、進捗状況が「進行中」から「完了」に変更されたインスタントタスクエンティティが存在するかを判別する(S730)。
【0169】
該当するインスタントタスクエンティティが存在すると判別すると(S730でYes)、表示制御部11Cは、進捗状況が「進行中」から「完了」に変更されたインスタントタスクエンティティに対応するカレントタスク表示領域上のタスクの行データを削除し(S731)、代わりに、タスクログ表示領域において、このタスクの行データを追加するように、タスク管理画面を更新する(S735)。図14Bは、図14Aに示されるカレントタスク表示領域の行データが削除され、対応する行データが、タスクログ表示領域に追加された後のタスク管理画面を例示している。
【0170】
S735において、表示制御部11Cは、内部テーブル11Dに記録された、対応するインスタントタスクエンティティのレスポンスパラメータを参照して、対応するタスクの実行要求先の全ての端末装置4,5において、タスクの実行に成功しているか、すなわち、レスポンスパラメータにエラー情報が存在しない状態であるかを判別する。
【0171】
表示制御部11Cは、エラー情報が存在しないと判別した場合、「タスクタイプ」「開始時刻」「対象」については、カレントタスク表示領域から削除された行データと同じ値を表示し、「ステータス」として「OK」を表示し、「終了時刻」に現在時刻を表示した行データを、タスクログ表示領域に追加するように、タスク管理画面を更新する。表示制御部11Cは、エラー情報が存在すると判別した場合、「ステータス」として「エラー」を表示した行データを、タスクログ表示領域に追加するように、タスク管理画面を更新する。
【0172】
この他、表示制御部11Cは、タスク管理画面の表示中に、入力部14を通じて、タスクログ表示領域において表示された行データの一つに対する詳細表示指示が入力されると(S740でYes)、タスク管理画面に代えて、詳細画面を表示部13に表示させる(S741)。
【0173】
詳細画面は、図16に示すように、詳細表示指示がなされた行データに対応するタスクの実行要求先毎の処理結果が記述された画面である。対応するタスクが、第2種端末装置5を実行要求先とするタスクであった場合、詳細画面には、実行要求先の第2種端末装置5におけるタスクの処理結果が表示される。対応するタスクが、クライアント3配下の複数の第1種端末装置4を実行要求先に指定するタスクであった場合、詳細画面には、第1種端末装置4毎の処理結果が表示される。
【0174】
詳細画面には、実行要求先毎に、例えば、対応する端末装置のノード名、製品モデル名、ステータス、及び、その他の詳細情報が表示される。詳細画面において、各端末装置のステータスには、対応する端末装置がタスクの実行に成功している場合、成功を示す「コンプリート」との文字列が表示される。エラーが発生している場合には、例えば「接続エラー」及び「パスワードエラー」等の、エラー内容を示す文字列が表示される。
【0175】
表示制御部11Cは、入力部14を通じて表示終了操作がなされるまで詳細画面を表示部13に表示させ(S745でNo)、表示終了操作がなされると(S745でYes)、詳細画面を閉じて、代わりに、タスク管理画面を表示部13に表示させる(S749)。この際、表示制御部11Cは、並列動作する情報取得部11Bによりバックグラウンドで更新された内部テーブル11Dの最新の更新ログに基づいて、現在のタスクの実行状況を記したタスク管理画面を表示部13に表示させる。
【0176】
以上に説明した本実施形態の管理システム1は、次の効果を奏する。本実施形態の管理システム1によれば、専用のサーバではなく、汎用的なクラウドストレージを用いて、広域ネットワークを介したタスクの実行要求が行われる。
【0177】
実行要求先からは進捗状況がクラウドストレージに書き込まれる。従って、実行要求元のマスタ2は、遠隔で実行されるタスクの実行状況を把握し、マスタ2を操作するユーザに対して画面を通じてタスクの実行状況を伝えることができる。従って、本実施形態の管理システム1は、汎用的なクラウドストレージを介した管理対象装置の遠隔での制御及び監視に関して、優れた効果を発揮する。
【0178】
本実施形態では特に、タスクの要求データに対応するリクエストパラメータと、タスクの状況データに対応する進捗状況のプロパティと、を含む統合データに対応するインスタントタスクエンティティが、マスタ2からクラウドストレージに書き込まれる。このインスタントタスクエンティティが実行要求先に対応するクライアント3又はクラウドコネクタにより更新される。
【0179】
このインスタントタスクエンティティの登録及び更新によれば、クラウドストレージを効率的に利用して、タスクの実行要求及び実行状況の伝達を実現することが可能である。
【0180】
更に言えば、クライアント3及びクラウドコネクタは、要求に応じたタスクが終了する前及び後において、タスクの実行状況を、インスタントタスクエンティティの進捗状況を更新することにより、クラウドストレージに複数回書き込む。これにより、クライアント3及びクラウドコネクタは、タスクの実行状況を、その実行状況が変化する度に、段階的にタスクの実行要求元であるマスタ2に通知する。
【0181】
従って、マスタ2は、画面を通じて、ユーザがタスクの終了だけでなく、その終了前の状況も適切に把握することができるように、タスクの実行状況を段階的に表示することができる。
【0182】
更にクライアント3及びクラウドコネクタは、自己宛の新規インスタントタスクエンティティを認識して、対応する処理を開始するとき、進捗状況を「進行中」に変更し、タスクが終了したときに、進捗状況を「完了」に変更する。
【0183】
マスタ2は、インスタントタスクエンティティに記載された進捗状況の判別に基づいて、最新のタスク実行状況が表示されるように表示部13に表示される画面の更新を行う。ファイル送信タスクでは、ファイル送信が完了したことに基づいて進捗状況が更新され、設定タスクでは、設定が反映されたことに基づいて進捗状況が更新される。
【0184】
このように、本実施形態では、タスクの種類に応じて、エンティティ内の進捗状況を更新する条件を切り替えるため、複数種類のタスクに関して、各種類のタスクの実行状況を、その種類の応じた適切なタイミングで、マスタ2のユーザに伝えることができる。
【0185】
本開示が、上述の例示的実施形態に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができることは言うまでもない。例えば、上述の実施形態では、タスクの進捗状況は、「要求」「進行中」「完了」の三段階で表されるが、例えば、「進行中」の段階は、更に細分化された複数段階で表現されてもよい。
【0186】
例えば、複数の第1種端末装置4を配下に有するクライアント3は、実行要求先が複数の第1種端末装置4であるタスクに関して、複数の第1種端末装置4のうちの所定割合においてタスクが完了した段階で、「進行中(残り〇割)」などの表現で、タスクの未完了分を表すように、インスタントタスクエンティティの進捗状況を更新してもよい。マスタ2は、この進捗状況に基づいて、タスクの実行状況を表示するように構成されてもよい。
【0187】
クライアント3は、実行要求先が複数の第1種端末装置4であるタスクに関して、第1種端末装置4のそれぞれが、タスクを完了する度に、インスタントタスクエンティティの進捗状況を更新するように動作してもよい。
【0188】
この他、上記実施形態における1つの構成要素が有する機能は、複数の構成要素に分散して設けられてもよい。複数の構成要素が有する機能は、1つの構成要素に統合されてもよい。上記実施形態の構成の一部は、省略されてもよい。上記実施形態の構成の少なくとも一部は、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換されてもよい。特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0189】
1…管理システム、2…マスタ、3…クライアント、4,5…端末装置、6…クラウドサーバ、11,31,51,71,91…制御部、11A…タスク登録部、11B…情報取得部、11C…表示制御部、11D…内部テーブル、12,32,52,72,92…通信部、13,33,53,73…表示部、14,34,54,74…入力部、15,35…記憶部、15a…主管理プログラム、21,41,61,81,101…CPU、22,42,62,82,102…メモリ、35a…副管理プログラム、55,75…印刷部、56,76…読取部、82a…通信プログラム、93…第1ストレージ、94…第2ストレージ。
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16