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  • 特開-吊り下げ支持装置 図1
  • 特開-吊り下げ支持装置 図2
  • 特開-吊り下げ支持装置 図3
  • 特開-吊り下げ支持装置 図4
  • 特開-吊り下げ支持装置 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022116944
(43)【公開日】2022-08-10
(54)【発明の名称】吊り下げ支持装置
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/02 20060101AFI20220803BHJP
   F16F 15/06 20060101ALI20220803BHJP
   F16F 7/00 20060101ALI20220803BHJP
【FI】
F16F15/02 N
F16F15/06 A
F16F7/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021013374
(22)【出願日】2021-01-29
(71)【出願人】
【識別番号】000001890
【氏名又は名称】三和テッキ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 均
【テーマコード(参考)】
3J048
3J066
【Fターム(参考)】
3J048AA01
3J048BC06
3J048CB21
3J048DA07
3J048EA38
3J066AA22
3J066AA26
3J066BA01
3J066BB04
3J066BD07
3J066BE05
(57)【要約】
【課題】 支持対象の微振動を軽減する一方、支持対象にかかる過大な荷重を緩和して,支持対象や付属機器を保護する吊り下げ支持装置を提供する。
【解決手段】 吊り下げ支持装置6は、構造物など固定される引手8aを備えた枠板8の下部に間隔を置いて平行に複数の固定受圧板9を設けたホルダ7を備える。固定受圧板9の上部に可動受圧板13をそれぞれ平行に対向させ、固定受圧板9の中央に吊りロッド12を直交方向に固定し、固定受圧板9を摺動自在に貫通して突出させ、先端部に配管Pのような支持対象を支持させる。固定受圧板9と可動受圧板13との間にエラスティックメッシュ14を挟ませ、吊りロッド12の軸線方向下方への荷重により圧縮変形させる。エラスティックメッシュ14は、配管Pの微振動を吸収し、また配管系に生じる急激な過大荷重の発生を抑制する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端部を支持体に取り付けられる取付部材と、この取付部材の下部に間隔を置いて平行に固定される固定受圧板とを備えたホルダと、
前記固定受圧板の上部に平行に対向する可動受圧板と、
前記可動受圧板の中央に固定され、前記固定受圧板を摺動自在に貫通して下方へ突出し、先端部に支持対象の吊り下げ用の支持部材に連結する吊りロッドと、
前記固定受圧板と前記可動受圧板との間に挟まれ、前記吊りロッドの軸線方向下方への荷重により圧縮変形し、支持対象に加わる微振動及び過大な荷重を吸収するエラスティックメッシュとを具備することを特徴とする吊り下げ支持装置。
【請求項2】
前記固定受圧板、前記可動受圧板及びエラスティックメッシュは、吊りロッドの軸線方向に複数層具備することを特徴とする請求項1に記載の吊り下げ支持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管等の支持対象を構造物等の支持体に吊り下げ支持し、鉛直下方への荷重を受けると共に、配管系等に生じる微振動の低減や、突発的に生じる支持対象に加わる過大な荷重を緩和する吊り下げ支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、非特許文献1に掲載の吊り下げ支持装置が公知であり、これをさらに詳細に図5に示す。吊り下げ支持装置1は、上端面に取付用引手2aを備えた上下方向の軸線を有する円筒状ケース2に、この上下端面と対面するよう挿入される円形の可動板4の中心に吊りロッド3を固定して円筒状ケース2の下端面を出入り自在に貫通させ、円筒状ケース2内の吊りロッド3周りにコイルばね5を同芯状に環装し可動板4と円筒状ケース2の下端面との間に介在させている。吊りロッド3の下端部には、円筒状ケース2を構造物等に取り付けた状態で、支持対象の配管Pを把持するパイプクランプCをアイボルトBを介して吊り下げ支持する。この吊り下げ支持装置1は、吊りロッド3を引っ張る配管Pの荷重を、圧縮変形するコイルばね5に受けて、配管Pを弾性的に吊り下げ支持する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】三和テッキ株式会社ホームページ内電子カタログ (https://www.tekki.co.jp/products/list/p_p/product_pp04/)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の配管支持装置においては、コイルばねのばね定数がほぼ一定のため、配管系に微振動が生じた場合、コイルばねが振動に応じて伸縮を長期にわたって繰り返し、配管系に取り付けられた装置に微振動が継続的に加わり、振動により装置の部品に摩耗や破損を生じるおそれがある。また、配管系に突発的に過大な荷重が負荷された場合には、コイルばねが密着するまで収縮してしまい、固着し弾性を失って配管系に過大な応力が加わることにより、配管系やこれに接続された付属機器等に衝撃が加わるなどの悪影響を及ぼすことが懸念される。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであって、支持対象の微振動を軽減する一方、支持対象にかかる過大な荷重を緩和して,支持対象や付属機器を保護する吊り下げ支持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の吊り下げ支持装置は、構造物などの支持体に固定される引手8aを備えた枠板8などの取付部材と、取付部材の下部に間隔を置いて平行する固定受圧板9とを備えたホルダ7と、固定受圧板9の上部に平行に対向する可動受圧板13と、可動受圧板13の中央に固定され固定受圧板9を摺動自在に貫通して突出し、先端部に配管Pのような支持対象の吊り下げ用の支持部材に連結する吊りロッド12と、固定受圧板9と可動受圧板13との間に挟まれ、吊りロッド12の軸線方向下方への荷重により圧縮変形し、支持対象に加わる微振動及び過大な荷重を吸収するエラスティックメッシュ14とを具備させた。
【発明の効果】
【0006】
本発明においては、支持対象に微振動が生じた場合に、エラスティックメッシュにより微振動を軽減し、配管系やこれに取り付けられた付属機器の振動による摩耗や破損を防止することができ、また支持対象に突発的に過大な荷重が加わった場合に、配管系に過大な応力を与えることなく、配管や付属機器への機能阻害を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る吊り下げ支持装置の正面図である。
図2図1の吊り下げ支持装置の一部を切り欠いた底面図である。
図3】荷重が加わった状態の吊り下げ支持装置の正面図である。
図4】エラスティックメッシュの荷重-変位特性を示すグラフである。
図5】従来の吊り下げ支持装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に本発明の実施の一形態を図面に基づいて説明する。
図1及び図2において、吊り下げ支持装置6は、図示しない構築物等の支持体に取り付けるための取付部材である引手8aを備えた方形の枠板8と、枠板8の下方に所定間隔をおき、さらに相互に所定間隔おいて平行に順次連なる複数の方形の固定受圧板9と、これらの四隅をもろとも貫通し、螺合するナット11で固定するボルト軸10とで組まれる略直方形状のホルダ7を備える。枠板8及び固定受圧板9は鋼板で形成される。
【0009】
ホルダ7には、固定受圧板9の中央を吊りロッド12が摺動自在に貫通する。吊りロッド12の基端及び途上には、所定間隔をおいて固定受圧板9との間でエラスティックメッシュ14を挟むように複数の可動受圧板13が固定されている。吊りロッド12の下端には、支持対象である図示しない配管をパイプクランプにより把持してアイボルトを介して支持する。吊りロッド12は鋼製棒材で、可動受圧板13は鋼板で形成される。
【0010】
エラスティックメッシュ14は、ステンレス鋼の細線を編み込んだ金属クッション材であり、吊りロッド12周りに厚みをもって環状に形成される。エラスティックメッシュ14は、固定受圧板9と可動受圧板13との間で配管を支持する吊りロッド12を通じて圧縮荷重を受けて弾性変形する。エラスティックメッシュ14は、図4に示すように、荷重の増加に従ってばね定数が高くなるハードスプリング特性を有するが、圧縮、引っ張りの方向により特性が異なり、その差分に相当するグラフの囲み面積が弾性変形の際のメッシュ間の摩擦エネネギーとなって振動エネルギーを吸収する。また、エラスティックメッシュ14は、荷重の増加に従ってばね定数が高くなる特性のため、配管系に生じる急激な過大荷重の発生を抑制する。
【0011】
この吊り下げ支持装置6においては、配管を支持した状態でエラスティックメッシュ14が固定受圧板9と可動受圧板13との間で圧縮荷重を受けて,図3に示すように弾性変形する。流体の移動等により配管系に微振動が生じると、エラスティックメッシュ14は振動エネルギーを吸収し、微振動を軽減する。また、構造物に地震等により比較的大きな揺れが生じと、構造物と配管との間で突発的に過大な荷重がかかると、エラスティックメッシュ14が荷重を緩和して、配管や付属機器、装置類の破損や機能の阻害を抑止する。
【符号の説明】
【0012】
1 吊り下げ支持装置
2 ケース
2a 引手
3 吊りロッド
4 可動板
5 コイルばね
6 吊り下げ支持装置
7 ホルダ
8 枠板
8a 引手
9 固定受圧板
10 ボルト軸
11 ナット
12 吊りロッド
13 可動受圧板
14 エラスティックメッシュ
B アイボルト
C パイプクランプ
P 配管
図1
図2
図3
図4
図5