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特開2022-116963情報提供装置、情報提供システム、情報提供方法、及び、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022116963
(43)【公開日】2022-08-10
(54)【発明の名称】情報提供装置、情報提供システム、情報提供方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20220803BHJP
   A47J 31/44 20060101ALI20220803BHJP
   B65D 25/20 20060101ALI20220803BHJP
   B65D 51/24 20060101ALI20220803BHJP
   G09F 19/00 20060101ALN20220803BHJP
【FI】
H04Q9/00 311J
A47J31/44 510
B65D25/20 Z
B65D51/24 200
G09F19/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021013400
(22)【出願日】2021-01-29
(71)【出願人】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】グローバル・アイピー東京特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】平田 和也
(72)【発明者】
【氏名】植田 良行
【テーマコード(参考)】
3E062
3E084
4B104
5K048
【Fターム(参考)】
3E062AA09
3E062AA10
3E062AB02
3E062BA20
3E062BB10
3E062DA07
3E084AA12
3E084AB01
3E084AB10
3E084BA01
3E084CA01
3E084DA01
3E084DB12
3E084GA01
3E084GB01
3E084JA20
3E084LB07
4B104AA11
4B104BA82
4B104CA13
4B104DA56
4B104DA57
4B104EA20
5K048BA34
5K048DC01
5K048EB10
5K048FB09
5K048HA01
5K048HA02
(57)【要約】
【課題】飲用物を消費する消費者の消費状況に応じた情報を提供できるようにする。
【解決手段】飲料用容器と前記容器に入れられる飲用物が収容された収容容器とに取り付けられた複数の無線タグを検出する検出部と、検出部により得られた複数の無線タグの検出結果に基づいて、飲用物を消費する消費者の消費状況を分析する分析部と、分析部により分析された結果に基づいて、消費者に情報を提供する提供部とを有する、情報提供装置である。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料用容器と前記容器に入れられる飲用物が収容された収容容器とに取り付けられた複数の無線タグを検出する検出部と、
前記検出部により得られた複数の無線タグの検出結果に基づいて、前記飲用物を消費する消費者の消費状況を分析する分析部と、
前記分析部により分析された結果に基づいて前記消費者に情報を提供する提供部と、を有する、
情報提供装置。
【請求項2】
前記複数の無線タグは、
前記収容容器の本体部の外面に取り付けられた第1無線タグと、前記収容容器の蓋部に取り付けられた第2無線タグと、前記飲料用容器の外面に取り付けられ、温度センサを有する第3無線タグと、を含み、
前記分析部は、前記蓋部が前記本体部から取り外された第1時刻から、前記温度センサに基づいて決定された前記飲料用容器の外面に所定の温度変化が生じた第2時刻までの時間が所定値よりも短い場合に、前記第2時刻が前記飲用物の消費開始時刻であると判断する、
請求項1に記載された情報提供装置。
【請求項3】
前記分析部は、
前記検出部による前記温度センサの検出結果に基づいて、前記飲料用容器の外面の温度に前記所定の温度変化が生じてから前記外面の温度が所定の温度範囲内にある時間を取得する、
請求項2に記載された情報提供装置。
【請求項4】
前記分析部は、
前記検出部による前記第1無線タグ及び前記第2無線タグの検出結果に基づいて、所定時間内に前記蓋部が前記本体部から取り外された回数を取得する、
請求項2又は3に記載された情報提供装置。
【請求項5】
前記検出部は、
前記第3無線タグと無線通信可能であって第1エリアに配置された第1無線装置、又は、第2エリアに配置された第2無線装置のいずれかを介して前記第3無線タグを検出し、
前記分析部は、
前記検出部が前記第3無線タグを前記第1無線装置及び前記第2無線装置のうちいずれの無線装置を介して検出したかに基づいて、前記飲用物が消費されるエリアの情報を取得する、
請求項2から4のいずれか一項に記載された情報提供装置。
【請求項6】
前記提供部は、
前記飲用物が消費されるエリアが前記第1エリアである場合と前記第2エリアである場合とで異なる情報を前記消費者に提供する、
請求項5に記載された情報提供装置。
【請求項7】
前記複数の無線タグの各々は、前記複数の無線タグに共通の共通コードと、無線タグごとに異なる個別コードと、を含む固有の識別情報を記憶し、
前記検出部は、各無線タグの識別情報を取得した場合に無線タグを検出したと判断する、
請求項1から6のいずれか一項に記載された情報提供装置。
【請求項8】
前記複数の無線タグの各々は、周囲の電波からエネルギーを得て動作するタグである、
請求項1から7のいずれか一項に記載の情報提供装置。
【請求項9】
情報提供装置と、
前記情報提供装置と通信可能であって飲用物を消費する消費者が所持する消費者端末と、を含む情報提供システムであって、
前記情報提供装置は、
飲料用容器と前記飲用物が収容された収容容器とに取り付けられた複数の無線タグを検出する検出部と、
前記検出部により得られた複数の無線タグの検出結果に基づいて、前記飲用物を消費する消費者の消費状況を分析する分析部と、
前記分析部により分析された結果に基づいて前記消費者に情報を提供する提供部と、を有し、
前記消費者端末は、
前記情報提供装置から提供される前記情報を表示部に表示させる表示制御部を有する、
情報提供システム。
【請求項10】
情報提供装置と、前記情報提供装置と通信可能であって飲料用の飲用物を消費する消費者が所持する消費者端末と、の間の情報提供方法であって、
前記情報提供装置が、飲料用容器と前記飲用物が収容された収容容器とに取り付けられた複数の無線タグを検出し、
前記情報提供装置が、前記複数の無線タグの検出結果に基づいて、前記飲用物を消費する消費者の消費状況を分析し、
前記情報提供装置が、分析した結果に基づいて、前記消費者端末に情報を提供し、
前記消費者端末が、前記情報提供装置から提供された前記情報を表示部に表示させる、
情報提供方法。
【請求項11】
コンピュータに、所定の方法を実行させるプログラムであって、
前記方法は、
飲料用容器と前記容器に入れられる飲用物が収容された収容容器とに取り付けられた複数の無線タグを検出し、
前記複数の無線タグの検出結果に基づいて、前記飲用物を消費する消費者の消費状況を分析し、
分析した結果に基づいて、前記消費者に情報を提供することを含む、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提供装置、情報提供システム、情報提供方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来からコーヒー等の飲料を作成する飲料製造機をネットワークに接続することが提案されている。例えば特許文献1には、対応するコーヒーメーカーおよびコーヒー飲料を淹れる手段で使用する構成部材を検知するよう構成および配置されるセンサと、遠隔設備と連動することを可能とするよう構成および配置される外部ネットワークインターフェースとを備えたコーヒー抽出装置が記載されている。このコーヒー抽出装置において、センサは、コーヒーメーカーが使用する構成部材検知し、それによって、構成部材が有効な品質保持期限を過ぎているかどうか、構成部材が実際にコーヒーメーカーでの使用に用いられる予定であるかどうか、構成部材の量がそれらに関する推奨制限値より少ない、または推奨制限値より多いかどうか、などを特定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-012189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のネットワークに接続されたコーヒー抽出装置では、消費者がどのようにコーヒーを消費しているのかという家庭の消費状況を把握できないため、消費状況に応じた情報を消費者に提供できないという課題がある。このような課題は、コーヒーに限られず、緑茶、紅茶、中国茶等の様々な茶やココアなどの他の飲用物についても当てはまる。
【0005】
そこで、本発明の目的は、飲用物を消費する消費者の消費状況に応じた情報を提供できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、飲料用容器と前記容器に入れられる飲用物が収容された収容容器とに取り付けられた複数の無線タグを検出する検出部と、前記検出部により得られた複数の無線タグの検出結果に基づいて、前記飲用物を消費する消費者の消費状況を分析する分析部と、前記分析部により分析された結果に基づいて、前記消費者に情報を提供する提供部とを有する、情報提供装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明のある態様によれば、飲用物を消費する消費者の消費状況に応じた情報を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態の消費者動向把握システムのシステム構成を概略的に示す図である。
図2】収容容器の一構成例を説明する図である。
図3】収容容器の別の構成例を説明する図である。
図4】一実施形態の消費者動向把握システムのシステム構成を概略的に示す図である。
図5】一実施形態の消費者動向把握システムの各装置の内部構成を示すブロック図である。
図6】IoTタグから送信されるアドバタイジングパケットの構成を示す図である。
図7】会員データベースのデータ構成例を示す図である。
図8】タグデータベースのデータ構成例を示す図である。
図9】コンテンツデータベースのデータ構成例を示す図である。
図10】消費動向データベースのデータ構成例を示す図である。
図11】一実施形態の消費者動向把握システムの動作を示すシーケンスチャートである。
図12】一実施形態の消費者動向把握システムのシステム構成を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示において「無線タグ」とは、飲料用容器や飲用物が収容された収容容器に取り付けられる電子的なタグである。無線タグは、内部に格納された情報が外部の通信装置から無線通信により読み取ることが可能となるように構成されていればよく、タグの内部にバッテリを備えてもよいし、備えていなくてもよい。無線タグと外部の通信装置との通信プロトコルや通信可能範囲は限定されず、用途に応じて適宜変更若しくは調整可能である。
本開示において「通信可能」とは、直接的に通信が可能である場合に限られず、間接的に通信が可能である場合も含まれる。例えば、「A装置とC装置が通信可能である」とは、A装置とC装置が直接的に通信を確立してデータの送信若しくは受信を行う場合に限られず、A装置とC装置がB装置を介してデータの送信若しくは受信を行う場合も含まれる。
【0010】
以下、情報提供システムの一実施形態である消費者動向把握システム1について図面を参照して説明する。
消費者動向把握システム1は、例えば飲用物等を消費する消費者の消費動向を把握することを目的に構築されたシステムである。消費者が飲用物を消費する場所は限定しないが、例えば、自宅や職場等である。以下では、消費者が自宅で飲用物としてインスタントコーヒーを消費する場合を例に挙げる。
【0011】
先ず、図1を参照して消費者動向把握システム1のシステム構成について説明する。図1は、消費者動向把握システム1の一利用形態を示す図であり、例えば、消費者の自宅のキッチンにおいて消費者がインスタントコーヒーの粉が含まれたカップ7に湯を注いでいる様子を示している。
【0012】
消費者動向把握システム1では、例えば飲用物等を消費する消費者の動向を把握するために、カップ7、及び、カップ7に入れられるインスタントコーヒーの粉(飲用物の一例)が収容された収容容器6にIoT(Internet of Things)タグを取り付ける。図1に示す例では、収容容器6の本体部61と蓋部62にそれぞれIoTタグT1,T2が取り付けられ、カップ7にIoTタグT3が取り付けられている。
なお、以下の説明では、IoTタグT1,T2,T3について共通の事項に言及するときには、タグ又はタグTと表記することがある。
後に詳述するが、IoTタグは、周囲環境の電波からエネルギーを得て動作する環境発電型の装置であり、バッテリを備えていない。当該タグは、バッテリがなくても半永久的に動作が可能であるため、長期間に亘って消費者の消費状況を分析するのに都合が良い。
【0013】
消費者動向把握システム1では、消費者の自宅内の通信機器を介して複数のIoTタグから読み取った情報がアプリケーションサーバ5に集められ、消費者によるインスタントコーヒーの消費状況が分析される。一実施形態では、図1に示すように、消費者が所持する消費者端末2がタグと無線通信を行い、タグから取得する情報をネットワークNWを経由してアプリケーションサーバ5に通知するが、その限りではない。自宅内に無線ルータ等のネットワーク機器がある場合には、タグの情報が当該ネットワーク機器を介してアプリケーションサーバ5に通知されるように構成してもよい。
ネットワークNWは、LAN(Local Area Network)、移動体通信網、インターネット等、あるいはこれらの組合せである。
【0014】
消費者端末2は、例えば、タブレット端末やスマートフォン等の携帯端末、あるいは、デスクトップコンピュータ装置、ゲートウェイ機器やスマートスピーカー等の固定端末である。
一実施形態では、消費者端末2には、インスタントコーヒー(コーヒー豆の抽出液を乾燥させて粉末状に加工したインスタント食品)等の飲料の消費に関連するアプリケーションプログラム(以下、適宜、「消費者用アプリケーション」という。)がインストールされている。その場合、消費者用アプリケーションを起動すると、消費者端末2が周囲のタグと無線通信を開始してタグの情報を取得するように構成される。すなわち、消費者端末2は、タグTから信号(パケット)を受信し、当該パケットから得られる情報をアプリケーションサーバ5に送る。
【0015】
タグT1~T3(それぞれ第1無線タグ、第2無線タグ、第3無線タグの一例)は、低電力消費の無線通信を行うように構成されており、通信プロトコルの例としては、Bluetooth(登録商標) Low Energy (以下、BLE)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)等が挙げられる。以下では、BLEによる通信を行う場合を例として説明する。
タグT1~T3は、BLEの規格に準拠する場合、ブロードキャスト通信を行う。具体的には、タグT1~T3は、アドバタイジングパケット(後述する)をブロードキャストし、消費者端末2がアドバタイジングパケットを受信する。このブロードキャスト通信では、タグT1~T3から消費者端末2に向けて一方向のデータ送信のみが可能である。
【0016】
各タグから送信されるパケットには、タグに固有の識別情報であるタグIDが含まれる。本開示では、消費者端末2が所定のタグIDを含むパケットを受信し、消費者端末2を介してアプリケーションサーバ5がタグIDを取得したことは、システムが当該タグIDに対応するタグを検知したことを意味する。
【0017】
各タグには、消費者の消費状況をより詳細に分析可能とするために、センサを備えていることが好ましい。タグがセンサを備えている場合、当該タグから送信されるパケットには、当該タグのタグIDと、センサによって検出されたデータ(センサデータ)とが含まれる。
一実施形態では、センサは、温度センサである。例えば、カップ7に取り付けられたタグT3が温度センサを備えている場合、当該温度センサによってカップ7の温度を検出することができる。
【0018】
消費者端末2は、消費者が所持する情報処理端末であり、限定しない例として、例えば、ラップトップ型のパーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォンが挙げられる。消費者端末2は、ネットワークNWを介してアプリケーションサーバ5と通信可能である。
【0019】
アプリケーションサーバ5(情報提供装置の一例)は、例えば消費者に対して飲用物等に関連するサービスを提供するネットワークサーバであり、ネットワークNWを介して消費者端末2と通信可能である。限定しない例では、アプリケーションサーバ5と消費者端末2との通信がHTTPやHTTPS等により行われる。
アプリケーションサーバ5は、消費者端末2から取得する各タグの情報の有無(つまり、各タグを検知したか否か)、及び、各タグの情報を基に、消費者の消費状況を分析するとともに、分析された結果に基づいて消費者に所定の情報等を提供するように構成されている。
【0020】
次に、図2及び図3を参照して例示的な収容容器6について説明する。
先ず図2を参照すると、図1の収容容器6の一例である収容容器6Aが示される。図2Aは、収容容器6Aの分解斜視図である。図2Bは、収容容器6Aの蓋部の周辺の拡大断面図の一部である。
収容容器6Aは、例えばインスタントコーヒーの粉(以下、適宜「飲用物」という。)が入れられる本体部61Aと、本体部61Aに取り付けられる蓋部62Aとを含む。図2Aに示すように、本体部61Aは、例えば有底の円筒形状をなしており、その外周面にはタグT1が例えば接着材等で取り付けられている。なお、タグT1はスペーサ等を介して取り付けられても良い。その場合、スペーサは、タグT1のアンテナ性能に影響を与えないように絶縁体とすることが好ましい。
【0021】
蓋部62Aは、中蓋621及び外蓋622を含む。中蓋621は、本体部61Aの開口部分を密封するための樹脂製の密封部材624(パッキン)を有する。図2Bに示すように、密封部材624は、例えば本体部61Aに取り付けられたときに本体部61A内の飲用物Cに面する。密封部材624において外蓋622側の面には、電波吸収体65が接着されている。電波吸収体65は、例えば電波吸収シートであり、電波強度を低減できれば如何なる部材でもよい。
図2Bに示すように、外蓋622の内周面にはねじ切り形状が形成されてあり、本体部61Aの外周面と嵌合するように構成されている。外蓋622の内側の面には、タグT2が例えば接着材等で取り付けられている。
蓋部62Aが閉められた状態の収容容器6Aから消費者が飲用物を取り出すためには、先ず外蓋622を回転させて取り外し、次にパッキンを取り外す。
【0022】
本体部61Aに取り付けられたタグT1は、収容容器6Aが存在することを検知するために設けられている。つまり、消費者端末2を介してタグT1から固有のタグIDを取得(検知)することができれば、特定の飲用物(つまり、特定のインスタントコーヒーの粉)を含む収容容器6Aが、消費者端末2を所持する消費者の自宅に存在することがわかる。
【0023】
外蓋622に取り付けられたタグT2は、消費者がインスタントコーヒーを飲むために蓋部62Aを取り外したか否かを検知するために設けられている。蓋部62Aが本体部61Aから取り外されていない場合には、図2Bに示すように、タグT2と電波吸収体65が近接した状態となるため、タグT2が発信する電波が消費者端末2に伝達されない。他方、蓋部62Aが本体部61Aから取り外された場合には、タグT2が取り付けられている外蓋622が中蓋621と分離されるため、電波吸収体65の影響がなくなるか、若しくは弱められ、タグT2が発信する電波が消費者端末2に伝達される。そのため、タグT2からの電波を検知できるか否かの検知状況に基づいて、蓋部62Aが取り外されたか否かがわかる。
【0024】
次に図3を参照すると、図1の収容容器6の一例である収容容器6Bが示される。図3Aは、収容容器6Bの蓋部62Bの斜視図である。図3Bは、収容容器6Bの本体部61Bの斜視図である。
収容容器6Bは、飲用物が入れられる本体部61Bと、本体部61Bに取り付けられる蓋部62Bとを含む。収容容器6Bには、収容容器6Aと異なり中蓋はない。
収容容器6Aと同様に、本体部61Bの外周面にはタグT1が例えば接着材等で取り付けられており、蓋部62Bの内側の面にはタグT2が例えば接着材等で取り付けられている。なお、タグT1はスペーサ等を介して取り付けられても良い。
図3Aに示すように、蓋部62Bには、タグT2と対向するようにして半円板状の電波吸収体の第1部分651が取り付けられている。図3Bに示すように、本体部61Bの開口部の周縁には、半円板状の電波吸収体の第2部分652が取り付けられている。蓋部62Bが本体部61Bに取り付けられた場合には、第1部分651と第2部分652によって円板状の電波吸収体を形成するように構成される。
【0025】
すなわち、蓋部62Bが本体部61Bに取り付けられている場合には、第1部分651と第2部分652によって形成される円板状の電波吸収体がタグT2と近接した状態となるため、タグT2が発信する電波が消費者端末2に伝達されない。他方、蓋部62Bが本体部61Bに取り付けられていない場合には、第1部分651と第2部分652が分離されるため、電波吸収体の影響がなくなるか、若しくは弱められ、タグT2が発信する電波が消費者端末2に伝達される。そのため、タグT2からの電波を検知できるか否かの検知状況に基づいて、蓋部62Bが取り外されたか否かがわかる。
【0026】
アプリケーションサーバ5は、消費者端末2がタグT1を検知したことで特定の種類のインスタントコーヒーの粉を飲用物として含む収容容器6が特定の消費者の自宅にあることがわかる。
アプリケーションサーバ5は、消費者端末2によるタグT1,T2の検知有無に基づいて、収容容器6の蓋部62が取り外されたか否かわかる。つまり、アプリケーションサーバ5は、収容容器6の蓋部62が取り外された時刻(取り外し時刻)がわかるため、特定の消費者がいつ特定の種類のインスタントコーヒーを消費するか等について把握することができる。
【0027】
図1に示したように、タグT3は、例えばカップ7の外面に取り付けられる。前述したように、タグT3は、好ましくは温度センサを備え、カップ7内のコーヒーの温度を検出する。
タグT3が取り付けられた位置よりも高い位置まで湯が注がれている場合であってもタグT3が電波をより適切に送信可能となるように、タグT3とカップ7の外面との間に薄い非導体のスペーサを設けるとよい。スペーサを設けた場合には、カップ7の実際の温度に対してタグT3の温度センサにより検出される温度が低くなるが、実用上問題ない。例えば、スペーサのカップ7側の面の温度とスペーサのタグT3側の面の温度との相関関係を示すデータ(相関関係データ)を予め取得しておき、タグT3から取得した温度を、相関関係データを基にカップ7の温度に変換すればよい。
【0028】
図4は、消費者動向把握システム1の別の利用形態を示す図であり、例えば、消費者の自宅のリビングにおいて消費者がカップ7内のインスタントコーヒーを消費している様子を示している。
ここで、アプリケーションサーバ5は、消費者端末2によってタグT3から取得されるカップ7の温度を基に、特定の消費者が飲用物を消費するときの消費開始時刻や消費時間等を認識できる。例えば、消費開始時刻は、カップ7の温度が比較的急速に上昇した時刻として認識される。また、消費時間は、カップ7の温度が所定の温度範囲内にある時間として認識される。カップ7内のインスタントコーヒーを飲み終わったり、あるいはカップ7を洗浄したりする場合にはカップ7の温度が低下することから、カップ7の温度が所定の温度範囲内にある間は消費者がインスタントコーヒーを消費中であると考えられる。
なお、タグT3を検知する場所の変化によって、インスタントコーヒーを飲み終わったこと(つまり、消費終了時刻)を検知することも可能である。後述するように、消費者の各部屋にネットワーク機器が設けられている場合には、アプリケーションサーバ5がタグT3のタグIDを受信するときに経由した機器に基づいて、カップ7の位置の変化の有無がわかる。カップ7の位置の変化を検出した場合には、消費者が消費後の行動を行った(例えば、カップ7を台所に戻した、別の部屋で今までと異なることを行った等)と判断し、消費者がインスタントコーヒーを飲み終わったと判断することもできる。
【0029】
次に、図5図10を参照して、本実施形態の消費者動向把握システム1の各装置の構成を説明する。
図5は、本実施形態の消費者動向把握システム1の各装置の内部構成を示すブロック図である。図6は、タグTから送信されるアドバタイジングパケットの構成を示す図である。
【0030】
図5を参照すると、タグTは、制御部11、アンテナ12、ハーベスティング部13、電圧制御部14、RFトランシーバ15、および、センサ16を含む。
タグTの全体の形態は図示しないが、例えば、アンテナ12とセンサ16が形成される所定のパターンの導電性金属箔と、当該金属箔に接続されるICチップとを含む薄膜状の部材である。ICチップ内に、制御部11、ハーベスティング部13、および、電圧制御部14、RFトランシーバ15が実装される。
【0031】
制御部11はマイクロプロセッサとメモリ111を有し、IoTタグTの全体を制御する。メモリ111は、RAM(Random Access Memory)又はROM(Read Only Memory)であり、マイクロプロセッサによって実行されるプログラムのほか、タグTに固有の識別情報であるタグID、センサ16が出力するセンサデータを記憶する。
【0032】
ハーベスティング部13は、周囲環境の電波(例えば周囲の無線通信による電波)に基づいて環境発電を行い、発電により得られた電力を内部のエネルギーストレージ131に貯蔵する。一実施形態では、ハーベスティング部13は、例えばアンテナ12が受信した無線信号を直流電圧に変換し、エネルギーストレージ131に貯蔵する。エネルギーストレージ131は、例えばキャパシタである。キャパシタの場合には、半導体チップ上に構成されたもの(つまりオンダイ(on-die)型のキャパシタ)でもよい。
【0033】
ハーベスティング部13が環境発電に使用する電波は、広範囲の複数の異なる周波数帯の電波が使用可能である。例えば、いわゆる3G~5G等の移動体通信システムで採用されている周波数帯の無線通信による電波、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)等の通信規格で採用されている周波数帯の無線通信による電波、ZigBee(登録商標)やThread等の通信プロトコルに代表される2.4GHz帯の無線通信による電波、RFIDで採用されている周波数帯(例えば、900MHz帯、13.56MHz帯)の無線通信による電波等が挙げられる。
ここに例示したような電波は、一般に、ほとんどすべての家庭において適用可能である。タグTは、周囲環境の電波を基にしてハーベスティング部13による環境発電で得られる電力で動作する。そのため、タグTにバッテリを搭載する必要がなく、システムコストを抑制することができる。また、バッテリを搭載する必要がないことから、バッテリの交換作業を行わずに済むため、タグが存在するにもかかわらずタグIDを取得できないという不具合が生じない。
【0034】
電圧制御部14は、制御部11およびRFトランシーバ15に動作電圧を供給するとともに、エネルギーストレージ131の電圧をモニタしており、モニタ結果に応じて電力モードを切り替える。エネルギーストレージ131の電圧が所定の閾値以下である場合には、電力モードを最小限の回路のみを動作させる第1モードとし、このとき制御部11およびRFトランシーバ15では、後述するパケットの生成や無線信号の送信等が行われない。エネルギーストレージ131の電圧が所定の閾値以上まで充電された場合には、電力モードを通常の処理ルーチンを実行する第2モードとし、このとき制御部11およびRFトランシーバ15ではパケットの生成、無線信号の送信を含む各種の処理が行われる。
なお、制御部11は、例えば電力モードが第1モードの場合であってもエネルギーストレージ131の電圧が所定の閾値以上に充電された場合には、センサ16により検出されたセンサデータを、検出時刻のデータとともにメモリ111に格納してもよい。その場合、制御部11は、電力モードが第1モードから第2モードに切り替えられた時点で、メモリ111に格納していたセンサデータおよび検出時刻のデータを含むパケットを生成し、送信してもよい。それによって、エネルギーストレージ131の充電電圧が比較的低い期間におけるタグの情報を、消費者端末2を介してアプリケーションサーバ5に提供できる。
【0035】
センサ16は、例えば温度センサである。温度センサは、ICチップに実装することができる。
【0036】
制御部11は、電力モードが第2モードの場合に、BLEのプロトコルに従ってアドバタイジングパケットを生成する。
アドバタイジングパケットは、BLEにおいてブロードキャスト通信を実現するためにアドバタイジングチャネルを利用して送信されるパケットであり、図6に示すパケット構成を有する。アドバタイジングパケットは、以下では適宜、単に「パケット」という。
【0037】
図6においてプリアンブル及びアドレスアクセスは、それぞれが所定の固定値である。CRCは巡回検査符号であり、パケットペイロード(つまり、アドバタイジングチャネルPDU(protocol data unit))を対象として所定の生成多項式を用いて算出される検査データである。
アドバタイジングチャネルPDU(以下、単に「PDU」という。)は、ヘッダとペイロードとからなり、当該ペイロードは、ADVアドレスとADVデータとからなる。ADVアドレスはアドバタイザー(つまり、報知する主体であるIoTタグT)のアドレスであるが、送信元を特定しないように送信の都度に設定されるランダムな値でもよい。ADVデータはアドバタイザーのデータ(ブロードキャストデータ)であり、本実施形態では、タグID、および、センサ16によって出力されるセンサデータを含む。
【0038】
制御部11は、PDUを暗号化することが好ましい。暗号化方法は限定しないが、例えば鍵長128ビットのAES(Advanced Encryption Standard)を利用することができる。
【0039】
RFトランシーバ15は、送信するパケット(ベースバンド信号)に対して所定のデジタル変調(例えばGFSK(Gaussian Frequency Shift Keying))を行った後に直交変調を行い、高周波信号(BLEの場合、2.4GHzの周波数帯の信号)をアンテナ12に送出する。
【0040】
アンテナ12は、送信アンテナと発電用アンテナを含む。
送信アンテナは、RFトランシーバ15によって送出される高周波の無線信号(パケット)を送信する。他方、発電用アンテナは、例えば周囲環境の電波を受信し、ハーベスティング部13と協働してレクテナとして機能する。
【0041】
図5に示すように、消費者端末2は、制御部21、ストレージ22、操作入力部23、表示部24、第1通信部25、および、第2通信部26を備える。なお、消費者端末2は、図示のスマートフォンに限られず、スマートスピーカーでもよい。
制御部21は、マイクロプロセッサを主体として構成され、消費者端末2の全体を制御する。例えば、制御部21は、消費者用アプリケーションを実行することでタグと通信を行うように第1通信部25を制御し、タグからパケットを受信した場合には、当該パケットに含まれるタグIDとセンサデータとをアプリケーションサーバ5に送信する。
また、制御部21は、消費者用アプリケーションを実行することでアプリケーションサーバ5から飲用物に関する情報を取得して表示部24に表示する。飲用物に関する情報は、例えば、飲用物に関連する画像又は映像のコンテンツである。なお、消費者端末2をスマートスピーカーとする場合には、制御部21は、飲用物に関する情報として音声コンテンツを再生する。
ストレージ22は、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置であり、消費者用アプリケーションの実行結果や消費者用アプリケーションの実行に必要となるデータ(例えば、認証データ)等を格納する。
【0042】
操作入力部23は、各種のプログラムを実行するために店員から操作入力を受け付ける入力インタフェースであり、表示部24の表示パネルに設けられるタッチパネル入力部であってもよい。
表示部24は、例えばLCD(Liquid Crystal Panel)等の表示パネルと、表示パネルの駆動回路とを含み、消費者用アプリケーションの実行結果を表示する。
第1通信部25は、例えば、第2通信部26よりも狭い通信範囲で対象物と無線通信を行うものであり、例えば各タグからBLEプロトコルに従って送信されるパケットを受信するように構成されている。
第2通信部26は、アプリケーションサーバ5と通信を行うための通信インタフェースである。通信プロトコルは限定しないが、例えばHTTPやHTTPS等である。
【0043】
図5に示すように、アプリケーションサーバ5は、制御部51、ストレージ52、および、通信部53を備える。
制御部51は、マイクロプロセッサを主体として構成され、アプリケーションサーバ5の全体を制御する。マイクロプロセッサがサーバプログラムを実行することで、消費者端末2の消費者用アプリケーションから取得するデータの処理や、消費者端末2に対する情報(例えば後述するコンテンツ)の提供を行う。
【0044】
ストレージ52は、例えばHDD(Hard Disk Drive)の大規模記憶装置を備え、会員データベース、タグデータベース、コンテンツデータベース、及び、消費動向データベースを格納する。なお、各データベースについては後述する。
通信部53は、消費者端末2との間で通信を行うための通信インタフェースとして機能する。
【0045】
制御部51は、サーバプログラムを実行することで、以下の検出部、分析部、及び、提供部として機能する。なお、タグT1~T3の検出は、各消費者の消費者端末2を介して行われる。
(i)カップ7と、カップ7に入れられる飲用物が収容された収容容器6とに取り付けられた複数のタグT1~T3を検出する検出部
(ii)検出部により得られた複数のタグT1~T3の検出結果に基づいて、飲用物を消費する消費者の消費状況を分析し、分析結果を消費動向データベースに記録する分析部
(iii)分析部により分析された結果に基づいて、コンテンツデータベースを参照し、消費者に対して飲用物に関連するコンテンツ(情報の一例)を提供する提供部
【0046】
図7に会員データベースのデータ構成例を示す。
図7に示す会員データベースは、1レコードに対して、例えば「会員コード」、「氏名」、「性別」、及び、「住所」の各フィールドの値を含むデータベースである。「氏名」、「性別」、及び、「住所」の各フィールドは単に例示に過ぎず、適宜変更可能である。
アプリケーションサーバ5のサーバプログラムは、会員コードを識別して消費者用アプリケーションとセッションを確立するため、消費者用アプリケーションから得られるタグの情報を基に会員コードに対応する消費者ごとの消費状況を分析することができる。
【0047】
図8にタグデータベースのデータ構成例を示す。
タグデータベースは、消費者端末2から取得するタグIDがどこに取り付けてあるタグであるのかサーバプログラムが認識できるようにするためのデータベースである。そのため、タグデータベースでは、図8に示すように、収容容器及びカップと、タグIDとが対応付けられている。
収容容器については、収容容器に入れられた飲用物(例えば、インスタントコーヒーa)と、当該収容容器の本体部に取り付けられたタグ(図1のタグT1)のタグIDと、当該収容容器の蓋部に取り付けられたタグ(図1のタグT2)のタグIDとが対応付けられて記述されている。
カップについては、カップを所持する消費者の会員コードと、当該カップに取り付けられたタグ(図1のタグT3)のタグIDとが記述されている。消費者が複数のカップを所持している場合には、単一の会員コードに対して複数のタグIDにカップが対応付けられてもよい。
【0048】
ここで、図8に示すように、特定の収容容器においてペアとなる本体部と蓋部に取り付けられるタグのタグIDは、共通の固有のシリアル番号(共通コードの一例)と互いに異なる枝番(個別コードの一例)とからなることが好ましい。同一のシリアル番号は、同一の収容容器に取り付けられたタグに対応することを意味する。図8の例では、本体部に「00」の枝番が設定され、蓋部に「01」の枝番が設定されているが、その限りではない。このようにシリアル番号と枝番とでタグIDを構成することで、アプリケーションサーバ5によるタグの管理がしやすいという利点がある。
【0049】
例えば、同一のシリアル番号であって枝番違いのタグの検知有無に基づいて、収容容器の状態を容易に把握することができる。具体的には、枝番が「00」のタグのみが検知できる状態から、枝番が「00」と枝番が「01」の両方のタグが検知できる状態になった場合には、収容容器の蓋部が取り外されたことがわかる。枝番が「00」と枝番が「01」の両方のタグが検知できる状態から、枝番が「00」のタグのみが検知できる状態になった場合には、収容容器の本体部が閉鎖されたことがわかる。枝番が「00」のタグが検知できず、枝番が「01」のタグのみが検知できる状態である場合には、蓋部のみが存在していることがわかる。また、シリアル番号が異なる枝番「00」のタグと枝番「01」のタグが検知できる状態と、検知できない状態とが続くことで、本来ペアとなるべき本体部とは異なる本体部に蓋部がセットされていること(つまり、組合せの誤り)が分かる。
なお、特定の収容容器においてペアとなる本体部と蓋部に取り付けられるタグのタグIDを共通のシリアル番号と互いに異なる枝番とで構成することは必須ではない。ペアとなる本体部と蓋部に取り付けられるタグのタグIDを互いに関連付けて管理することもできる。
【0050】
図9にコンテンツデータベースのデータ構成例を示す。
図9に示す例では、飲用物とコンテンツとが対応付けられている。ここで、コンテンツは、例えば画像や映像のコンテンツであり、対応する飲用物に関連するものであれば如何なるコンテンツであってもよい。例えば、コンテンツは、対応する飲用物の販促を図るコマーシャル映像であってもよいし、対応する飲用物の推奨する飲み方を説明する画像であってもよいし、対応する飲用物の効能等を説明する映像であってもよい。
コンテンツを各消費者の消費者用アプリケーションに提供するタイミングは、適宜設定され得る。例えば、アプリケーションサーバ5は、消費者が特定の飲用物を消費していることを認識したときに、当該飲用物に対応するコンテンツを当該消費者の消費者用アプリケーションに提供する。
なお、消費者端末2がスマートスピーカーである場合には、コンテンツデータベースにおいて各飲用物に対応する音声コンテンツが含まれてもよい。その場合、制御部51は、スマートスピーカーである消費者端末2に対して音声コンテンツを提供する。
【0051】
図10に消費動向データベースのデータ構成例を示す。
消費動向データベースは、会員コードによって規定される各消費者の消費状況の分析結果が記録されるデータベースである。図10に例示する消費動向データベースは、会員コードごとに、「飲用物」、「消費開始時刻」、「消費時間」、「場所」、「頻度」の各フィールドの値からなる1以上のレコードを含む。
「飲用物」フィールドの値は、対応する消費者が消費した飲用物を示す。「場所」フィールドの値は、対応する飲用物を消費者が消費した場所を示す。「頻度」フィールドの値は、対応する飲用物を消費者が消費した頻度を示す。
これらの各フィールドは例示に過ぎず、システムの分析対象に応じて適宜設定、変更してもよい。
【0052】
次に、図11を参照して、消費者動向把握システム1の動作を説明する。図11は、消費者動向把握システム1の動作を示すシーケンスチャートである。
なお、図11では、消費者端末2の消費者用アプリケーションとアプリケーションサーバ5の間でセッションが確立しており、消費者用アプリケーションに対応する会員コードを認識していることを想定している。
【0053】
消費者の自宅では、例えば自宅に設置されてある無線LAN等のネットワーク機器が発信する電波を基に、タグT1~T3が環境発電を行い、パケットをブロードキャスト送信している。このパケットは、ブロードキャスト送信されるアドバタイジングパケットである。
消費者端末2は、各タグから送信されるパケットを認識して受信した場合には(ステップS2)、当該パケットに含まれるタグID及びセンサデータをアプリケーションサーバ5に送信する(ステップS4)。
アプリケーションサーバ5は、受信した各タグIDの認証を行う(ステップS6)。タグIDの認証は、例えば、外部の認証サーバに問合せを行うことで得られる認証結果に基づいてなされる。
【0054】
タグIDの認証が成功するとアプリケーションサーバ5は、ステップS4で受信したタグID及びセンサデータに基づいて、対象となる会員コードの消費者による消費状況の分析を行う(ステップS8)。
消費状況の分析内容は限定しないが、例えば、以下の内容のうち少なくともいずれかの内容が含まれる。
分析(i):自宅内のいずれかの収容容器の蓋部が取り外されたか否か判定する。蓋部が取り外された収容容器がある場合、当該収容容器に入っている飲用物を特定する。
分析(ii):消費者が飲用物の消費を開始した場合、その飲用物を特定する。
分析(iii):分析(ii)で特定された飲用物の消費時間を取得する。
分析(iv):カップの温度を検知して分析する。
分析(v):飲用物の消費頻度を算出する。
【0055】
分析(i)は、収容容器においてペアとなるタグの検知有無に基づいて行われる。ペアとなるタグとは、同一の収容容器の本体部と蓋部にそれぞれ取り付けられたタグ(例えば図1のタグT1,T2)を意味する。ステップS4において、タグIDを受信した場合、そのタグIDに対応するタグが検知できたことを示している。例えば図8に示したように、ペアとなるタグのタグIDを同一のシリアル番号と異なる枝番とにより構成した場合、シリアル番号が収容容器に入れられている飲用物に対応する。そして、ステップS4の受信結果に基づき、枝番が「00」のタグのみが検知できる状態から、枝番が「00」と枝番が「01」の両方のタグが検知できる状態になった場合には、収容容器の蓋部が取り外されたことがわかる。
【0056】
分析(ii)において、飲用物の消費開始時刻は、消費者が所持するカップに取り付けられたタグ(例えば図4のタグT3)からのセンサデータに基づき、カップの温度が比較的急速に上昇した時刻として認識することができる。例えば、所定時間内に検出された温度の変化量が所定値より大きい場合に、湯等が注がれてカップの温度が比較的急速に上昇したと判断することができる。
【0057】
また、消費されている飲用物は、以下のようにして特定できる。
分析(i)において収容容器の蓋部が取り外された取り外し時刻(第1時刻の一例)から、カップの温度上昇に基づく消費開始時刻(第2時刻の一例)までの時間が所定値よりも短い場合に、当該カップに含まれている飲用物は、当該収容容器に入れられている飲用物であると判断する。すなわち、収容容器から飲用物を取り出してカップに入れて湯を注ぐ、という一連の作業を想定した場合、カップの温度が上昇した時刻(つまり、消費開始時刻)を基準にして過去の所定時間内に蓋部が取り外された収容容器から、飲用物がカップに移されたと考えられる。
【0058】
一実施形態では、飲用物の消費量を算出することで、消費者の自宅内の飲用物の残量を算出することもできる。上述したように、蓋部の取り外し時刻と消費開始時刻とから、消費された飲用物を特定することができる。ここで、特定された飲用物の1個のカップに対する消費量は既知とすることができるため、当該消費量と、温度が上昇したカップの個数とを掛け合わせることで、特定された飲用物の全体の消費量がわかる。開封前の収容容器に入れられた飲用物の量(初期量)は既知であるため、飲用物の初期量から飲用物を消費する度に消費量を減算することで、消費者の自宅内の飲用物の残量を算出することができる。
別の実施形態では、消費開始時刻の直前に蓋部が取り外された収容容器に入れられている飲用物を、消費されている飲用物として特定してもよい。
【0059】
分析(iii)では、消費開始時刻を起点としてカップの温度が所定の温度範囲内にある時間として取得される。カップの温度が所定の温度範囲内にある場合には、カップ内に飲用物が残留しており、消費者が飲用物を消費中であると考えられる。
分析(iii)を行うことで、消費者が特定の飲用物をどの程度長く味わっているのかについての消費実態を把握できる。
【0060】
分析(iv)では、消費開始時刻を起点としてカップの温度が逐次取得される。例えば、カップの温度が、飲用物を消費するのに適した温度になると、消費者端末2に通知される。
【0061】
分析(v)では、分析(i)において蓋部が取り外された収容容器に入っている飲用物として特定された頻度、又は、分析(ii)において消費された飲用物として特定された頻度に基づいて行われる。飲用物の消費頻度を把握することで消費者の飲用物ごとの嗜好等を把握できる。
【0062】
アプリケーションサーバ5は、ステップS8の消費状況の分析の結果、消費動向データベース(図10)の更新を行う必要がある場合には、消費動向データベースを更新する(ステップS10)。
次いで、ステップS8の分析の結果、コンテンツ送信イベントが発生した場合には(ステップS12:YES)、コンテンツデータベース(図9参照)を参照してコンテンツを消費者端末2の消費者用アプリケーションに送信する(ステップS14)。消費者用アプリケーションは、コンテンツを受信すると、当該コンテンツを表示部24に表示させる(ステップS16)。
【0063】
ここで、コンテンツ送信イベントとは、飲用物に関連するコンテンツを消費者に提供するイベントを意味する。コンテンツ送信イベントは適宜設定してよいが、例えば、消費開始時刻になった場合に、コンテンツ送信イベントが発生するようにしてもよい。その場合、アプリケーションサーバ5は、消費者が実時間で消費している飲用物に対応するコンテンツをコンテンツデータベースから読み出す。コンテンツは、例えば、消費対象の飲用物に関連する画像や動画のコンテンツ等である。このようなコンテンツを消費者用アプリケーションに送信することで、消費者が飲用物を消費しているタイミングに当該飲用物に対応する有用な情報を消費者に提供することができる。
アプリケーションサーバ5は、消費開始時刻になった場合に、定期的に(例えば、10秒毎に)カップの温度の情報をコンテンツに含めて消費者端末2に送信してもよい。それによって、消費者は概ね飲用物の温度変化がわかるため、消費するタイミングを認識することができる。
【0064】
消費対象の飲用物の消費頻度が少ない場合に、コンテンツ送信イベントが発生するようにしてもよい。その場合、アプリケーションサーバ5は、コンテンツとして、例えば消費対象の飲用物の効能等の画像若しくは動画を送信し、より頻繁に消費するように促すことができる。
消費対象の飲用物の消費時間が所定値以上である場合に、コンテンツ送信イベントが発生するようにしてもよい。その場合、アプリケーションサーバ5は、コンテンツとして、消費対象の飲用物の新たな飲み方の提案を示す画像若しくは動画を送信してもよい。
収容容器に含まれる飲用物の残量に応じて(例えば、残量が所定量より少ない場合に)、コンテンツ送信イベントが発生するようにしてもよい。その場合、アプリケーション5は、コンテンツとして、飲用物の購入を促す画像若しくは動画を送信してもよい。
【0065】
一実施形態では、消費状況の分析において飲用物を消費する場所の情報が取得される。
その場合、例えば図12に示すように、消費者の各部屋にネットワーク機器が設けられる。ネットワーク機器は、例えば、無線LANや無線ルータ等であり、タグT3から受信したパケットをネットワークNWを介してアプリケーションサーバ5に提供するように構成される。
図12では、消費者の書斎(第1エリアの一例)にネットワーク機器8a(第1無線装置の一例)が設けられ、消費者のリビング(第2エリアの一例)にネットワーク機器8b(第2無線装置の一例)が設けられる例が示される。この例では、ネットワーク機器8a,8bがそれぞれ、タグT3から受信したパケットからタグID及びセンサデータを抽出し、自身の装置IDとともにアプリケーションサーバ5に送信する。そのため、アプリケーションサーバ5は、タグT3のタグIDを受信するときにいずれの部屋のネットワーク機器経由で受信したのか認識できる。
【0066】
アプリケーションサーバ5は、上記分析(ii)において消費対象の飲用物を特定した場合に、カップに取り付けられたタグ(図12のタグT3)のタグIDの通信経路に基づいて、消費者が消費する場所(図12の例では、書斎又はリビング)を特定し、消費動向データベースを更新する。
消費者が特定の飲用物を消費する場所を認識することで、消費実態を的確に把握することができる利点がある。
【0067】
コンテンツを消費者用アプリケーションに送信する場合(図11のステップS14を参照)、アプリケーションサーバ5は、消費者が飲用物を消費している場所に応じて異なるコンテンツを選択してもよい。例えば、消費者がリビングで飲用物を消費している場合には、書斎で消費している場合と比較して、消費者をよりリラックスさせる内容のコンテンツを選択する。飲用物を消費している場所に応じて消費者に提供するコンテンツを異ならせることで、仕事をしているか寛いでいるか等の消費者の状況に応じてより適切なコンテンツを提供することができる。
【0068】
以上説明したように、消費者動向把握システム1では、消費者の自宅のカップと飲用物の収容容器に複数のタグが取り付けられ、アプリケーションサーバ5が消費者端末2を介して各タグを検出し、検出結果に基づいて飲用物消費する消費者の消費状況を分析する。アプリケーションサーバ5はさらに、分析された結果に基づいて消費者に情報としてコンテンツを提供する。
【0069】
そのため、飲用物を消費する消費者の消費状況に応じた情報を消費者に提供できるという利点がある。従来は、消費者の自宅内での消費実態を把握することができなかったため、消費者に消費実態に応じた適切な情報を消費者に提供できなかったが、このような従来の課題が解消される。
消費者動向把握システム1は、消費者及び飲用物製造者(あるいは飲用物の流通業者)の双方に利点がある。消費者は、自身の消費状況に合った情報が提供されるため、飲用物を消費する時間をより有益な時間、心地よい時間に変えることができる。他方、飲用物製造者にとっては、消費者の消費実態を把握できるため、消費実態に応じた効果的な販促活動を採ることが可能となる。それによって、継続的に自社の飲用物の商品を購入してもらうことが期待される。
【0070】
以上、情報提供装置、情報提供システム、情報提供方法、及び、プログラムの実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。
【0071】
例えば、無線タグとして周囲環境の電波からエネルギーを得て動作する環境発電型のIoTタグが適用される場合について説明した。IoTタグが適用される場合、従来のパッシブタグとは異なり、周囲環境に存在する電波によって給電されて動作するため、常に近くに給電のためにリーダライタを固定配置させる必要がないという利点があるが、IoTタグを適用しなくてもよい。
バッテリを内蔵したアクティブ型のRFIDタグ(アクティブタグ)やバッテリを内蔵しないパッシブ型のRFIDタグ(パッシブタグ)にセンサを組み合わせた装置を無線タグとして適用してもよい。その場合、例えば消費者の家庭内にリーダライタを設置し、RFIDタグが記憶するタグID及びセンサデータをリーダライタが読み、アプリケーションサーバに通知する。
【0072】
また、無線タグとしてBLEタグを適用してもよい。BLEタグは、上記IoTタグと同様にBLE通信を行うが、バッテリが内蔵されている点でIoTタグとは異なる。BLEタグについてもセンサを内蔵させることができる。BLEタグの場合もIoTタグと同様に、タグID及びセンサデータを含む電波のブロードキャスト等をして、消費者端末2が電波を受信して上述した処理を行うことが可能である。
本開示において「飲用物」は、例えば牛乳、ジュース、ココア、ヨーグルト等の液体、スープ等の粉末の他、茶(例えば、緑茶、紅茶、中国茶等)の茶葉、ティーパック、その他固形物等も含む。茶、コーヒー等は、液体、粉末のいずれの形態も含まれる。
【0073】
上述した実施形態において、アプリケーションサーバ5の機能の一部を消費者端末2によって実現するように、消費者用アプリケーションを構成してもよい。例えば、アプリケーションサーバ5における分析部の機能の少なくとも一部を消費者用アプリケーションにおいて実現できるようにしてもよい。例えば、消費者端末2がカップに取り付けられたタグから送信されるパケットからセンサデータを取得した場合、当該センサデータに基づいて時刻の経過に応じたカップの温度推移を表示してもよい。また、消費者端末2がセンサデータに基づいて飲用物の消費時間を算出して表示してもよい。すなわち、アプリケーションサーバ5の機能の一部をネイティブアプリケーションとして実現することもできる。
【0074】
消費者に提供するコンテンツは、飲用物に関連するコンテンツに限られない。飲用物に関連しない宣伝用画像又は映像を提供してもよい。
図2A及び図3Aでは、蓋部の内側の面にタグを取り付ける場合について例示したが、その限りではない。蓋部の外側の上面にタグを取り付けてもよい。例えば、蓋部の外側の上面にタグを取り付けた場合、蓋部を本体部から取り外した後に、例えば鉄板の上にタグが鉄板側を向くように蓋部を置くとタグを検知できなくなるため、タグが検知できなくなったことで蓋部が取り外されたと判断することができる。
【符号の説明】
【0075】
1…消費者動向把握システム
T1,T2,T3…IoTタグ
11…制御部
111…メモリ
12…アンテナ
13…ハーベスティング部
131…エネルギーストレージ
14…電圧制御部
15…RFトランシーバ
16…センサ
2…消費者端末
21…制御部
22…ストレージ
23…操作入力部
24…表示部
25…第1通信部
26…第2通信部
5…アプリケーションサーバ
51…制御部
52…ストレージ
53…通信部
6(6A,6B)…収容容器
61(61A,61B)…本体部
62(62A,62B)…蓋部
621…中蓋
622…外蓋
624…密封部材
65…電波吸収体
651…第1部分
652…第2部分
7…カップ
8a,8b…ネットワーク機器
C…飲用物
NW…ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12