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特開2022-117004接触判定装置、接触判定方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022117004
(43)【公開日】2022-08-10
(54)【発明の名称】接触判定装置、接触判定方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/60 20170101AFI20220803BHJP
   G01J 5/48 20220101ALI20220803BHJP
【FI】
G06T7/60 180A
G01J5/48 A
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021013459
(22)【出願日】2021-01-29
(71)【出願人】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100124084
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 久人
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】松下 真矢
(72)【発明者】
【氏名】下沢 智啓
(72)【発明者】
【氏名】下中 淳史
【テーマコード(参考)】
2G066
5L096
【Fターム(参考)】
2G066AC13
2G066BA13
2G066BA14
2G066BC15
5L096AA02
5L096AA03
5L096AA06
5L096BA02
5L096BA08
5L096CA04
5L096CA18
5L096DA02
5L096FA06
5L096FA66
5L096FA69
5L096GA08
5L096GA51
5L096HA02
(57)【要約】
【課題】人及び物体を限定せずに人と物体とが接触したか否かを判定できるようにする。
【解決手段】接触判定装置10は、物体の少なくとも一部を覆っている被写体の画像データを含む撮像画像データを取得する画像データ取得部121と、撮像画像データに基づいて、被写体が物体の少なくとも一部を覆っている領域を含む第1領域と、物体における第1領域と異なる第2領域と、を特定する領域特定部122と、第1領域の温度を示す第1温度データと第2領域の温度を示す第2温度データとを取得する温度情報取得部123と、第1温度データが示す第1領域の温度と第2温度データが示す第2領域の温度との差が閾値以上である場合、被写体が物体と接触したと判定する判定部125と、を有する。
【選択図】図3


【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体の少なくとも一部を覆っている被写体の画像データを含む撮像画像データを取得する画像データ取得部と、
前記撮像画像データに基づいて、前記被写体が前記物体の少なくとも一部を覆っている領域を含む第1領域と、前記物体における前記第1領域と異なる第2領域と、を特定する領域特定部と、
前記第1領域の温度を示す第1温度データと前記第2領域の温度を示す第2温度データとを取得する温度情報取得部と、
前記第1温度データが示す前記第1領域の温度と前記第2温度データが示す前記第2領域の温度との差が閾値以上である場合、前記被写体が前記物体と接触したと判定する判定部と、
を有する接触判定装置。
【請求項2】
前記撮像画像データに基づいて前記被写体が前記第1領域以外の領域に移動したことを検出する移動検出部をさらに有し、
前記判定部は、前記被写体が移動したことを前記移動検出部が検出した後に、前記被写体が前記物体と接触したか否かを判定する、
請求項1に記載の接触判定装置。
【請求項3】
前記領域特定部は、前記物体における前記第1領域と異なる領域である前記第2領域を特定する、
請求項1又は2に記載の接触判定装置。
【請求項4】
前記温度情報取得部は、前記第1領域に含まれる複数の位置それぞれの温度に基づいて算出した統計値である前記第1領域の温度を示す前記第1温度データと、前記第2領域に含まれる複数の位置それぞれの温度に基づいて算出した統計値である前記第2領域の温度を示す前記第2温度データと、を取得する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の接触判定装置。
【請求項5】
前記被写体と前記物体との距離を特定する距離特定部をさらに有し、
前記判定部は、前記距離が閾値以下であることを条件として、前記被写体が前記物体と接触したか否かを判定する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の接触判定装置。
【請求項6】
コンピュータが実行する、
物体の少なくとも一部を覆っている被写体の画像データを含む撮像画像データを取得するステップと、
前記撮像画像データに基づいて、前記被写体が前記物体の少なくとも一部を覆っている領域を含む第1領域と、前記物体における前記第1領域と異なる第2領域と、を特定するステップと、
前記第1領域の温度を示す第1温度データと前記第2領域の温度とを示す第2温度データを取得するステップと、
前記第1温度データが示す前記第1領域の温度と前記第2温度データが示す前記第2領域の温度との差が閾値以上である場合、前記被写体が前記物体と接触したと判定するステップと、
を有する接触判定方法。
【請求項7】
コンピュータに、
物体の少なくとも一部を覆っている被写体の画像データを含む撮像画像データを取得するステップと、
前記撮像画像データに基づいて、前記被写体が前記物体の少なくとも一部を覆っている領域を含む第1領域と、前記物体における前記第1領域と異なる第2領域と、を特定するステップと、
前記第1領域の温度を示す第1温度データと前記第2領域の温度とを示す第2温度データを取得するステップと、
前記第1温度データが示す前記第1領域の温度と前記第2温度データが示す前記第2領域の温度との差が閾値以上である場合、前記被写体が前記物体と接触したと判定するステップと、
を実行させるためのプログラム。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接触判定装置、接触判定方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人が物体と接触したか否かを判定する技術が知られている。特許文献1には、人に印加した電圧の電位の変化に基づいて人と物体との接触を判定する情報処理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開2019/150429号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術を用いた場合、人と物体とが接触したか否かを判定するためには、電圧を印加するための装置を人に装着するか、接触を判定するための装置を物体に付けるかのいずれかを必要とする。その結果、電圧を印加するための装置を装着していない人が物体と接触したり、接触を判定するための装置を付けていない物体に人が接触したりしたとしても人と物体とが接触したと判定できないという問題が生じていた。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、人及び物体を限定せずに人と物体とが接触したか否かを判定できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る接触判定装置は、物体の少なくとも一部を覆っている被写体の画像データを含む撮像画像データを取得する画像データ取得部と、前記撮像画像データに基づいて、前記被写体が前記物体の少なくとも一部を覆っている領域を含む第1領域と、前記物体における前記第1領域と異なる第2領域と、を特定する領域特定部と、前記第1領域の温度を示す第1温度データと前記第2領域の温度を示す第2温度データとを取得する温度情報取得部と、前記第1温度データが示す前記第1領域の温度と前記第2温度データが示す前記第2領域の温度との差が閾値以上である場合、前記被写体が前記物体と接触したと判定する判定部と、を有する。
【0007】
前記撮像画像データに基づいて前記被写体が前記第1領域以外の領域に移動したことを検出する移動検出部をさらに有し、前記判定部は、前記被写体が移動したことを前記移動検出部が検出した後に、前記被写体が前記物体と接触したか否かを判定してもよい。
【0008】
前記領域特定部は、前記物体における前記第1領域と異なる領域である前記第2領域を特定してもよい。
【0009】
前記温度情報取得部は、前記第1領域に含まれる複数の位置それぞれの温度に基づいて算出した統計値である前記第1領域の温度を示す前記第1温度データと、前記第2領域に含まれる複数の位置それぞれの温度に基づいて算出した統計値である前記第2領域の温度を示す前記第2温度データと、を取得してもよい。
【0010】
前記被写体と前記物体との距離を特定する距離特定部をさらに有し、前記判定部は、前記距離が閾値以下であることを条件として、前記被写体が前記物体と接触したか否かを判定してもよい。
【0011】
本発明の第2の態様に係る接触判定方法は、コンピュータが実行する、物体の少なくとも一部を覆っている被写体の画像データを含む撮像画像データを取得するステップと、前記撮像画像データに基づいて、前記被写体が前記物体の少なくとも一部を覆っている領域を含む第1領域と、前記物体における前記第1領域と異なる第2領域と、を特定するステップと、前記第1領域の温度を示す第1温度データと前記第2領域の温度とを示す第2温度データを取得するステップと、前記第1温度データが示す前記第1領域の温度と前記第2温度データが示す前記第2領域の温度との差が閾値以上である場合、前記被写体が前記物体と接触したと判定するステップと、を有する。
【0012】
本発明の第3の態様に係るプログラムは、コンピュータに、物体の少なくとも一部を覆っている被写体の画像データを含む撮像画像データを取得するステップと、前記撮像画像データに基づいて、前記被写体が前記物体の少なくとも一部を覆っている領域を含む第1領域と、前記物体における前記第1領域と異なる第2領域と、を特定するステップと、前記第1領域の温度を示す第1温度データと前記第2領域の温度とを示す第2温度データを取得するステップと、前記第1温度データが示す前記第1領域の温度と前記第2温度データが示す前記第2領域の温度との差が閾値以上である場合、前記被写体が前記物体と接触したと判定するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、人及び物体を限定せずに人と物体とが接触したか否かを判定できるようにするという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】接触判定システムSの構成を示す図である。
図2】接触判定装置10が人と物体との接触を判定する動作を説明するための図である。
図3】接触判定装置10の構成を示す図である。
図4】接触判定装置10の動作の一例を示すフローチャートである。
図5】変形例に係る接触判定装置10の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[接触判定システムSの概要]
図1は、接触判定システムSの構成を示す図である。接触判定システムSは、撮像装置1と、温度測定装置2と、出力装置3と、接触判定装置10と、を備える。接触判定装置10は、例えばHDMI(High Definition Multimedia Interface)(登録商標)ケーブル又はUSB(Universal Serial Bus)ケーブルを介して撮像装置1、温度測定装置2及び出力装置3それぞれと接続されている。接触判定装置10は、例えば有線LAN(Local Area Network)又は無線LAN等のネットワークを介して撮像装置1、温度測定装置2及び出力装置3と接続されていてもよい。
【0016】
接触判定システムSは、人が物体と接触したか否かを判定するためのシステムである。物体は、例えば部屋に設置された椅子若しくは手すり、車両により運送する荷物、又は工場で使用する道具等の複数の人が接触する可能性がある物体である。人は、例えば手、腕、又は足等の特定の部位であってもよい。以下の説明においては、人の手が物体と接触したか否かを判定する場合を例示する。
【0017】
撮像装置1は、例えばRGBカメラである。撮像装置1は、人と物体とを含む領域を撮像して生成した撮像画像データを接触判定装置10に送信する。温度測定装置2は、例えばサーマルカメラである。温度測定装置2は、撮像装置1が撮像した領域の温度を測定することにより生成した温度データを接触判定装置10に送信する。温度データは、例えば測定した領域に含まれる複数の位置それぞれの温度を示すデータである。出力装置3は、例えばディスプレイである。出力装置3は、接触判定装置10が出力した人と物体とが接触したか否かの判定結果を表示する。
【0018】
接触判定装置10は、例えばコンピュータである。接触判定装置10は、単一のコンピュータでもよいし、例えばクラウド型サーバのように複数のコンピュータで構成されていてもよい。接触判定装置10は、例えばECU(Engine Control Unit)であってもよい。接触判定装置10は、撮像装置1が出力した撮像画像データと温度測定装置2が出力した温度データとに基づいて、人と物体とが接触したか否かを判定し、判定結果を出力装置3に出力する。
【0019】
図2は、接触判定装置10が人と物体との接触を判定する動作を説明するための図である。図2において、領域T1は、手Aが物体の少なくとも一部を覆っている領域を含む領域である。領域T1の形状は任意であるが、例えば、手Aが覆っている領域を含む最小の四辺形、又は最小の四辺形に対して所定の割合だけ大きい四辺形により形成される領域である。領域T2は、物体における領域T1と異なる領域であり、例えば領域T1と接しており、かつ領域T1の外側にある領域である。図2(a)は、手Aが物体の少なくとも一部を覆っている状態を示す図である。図2(b)は、手Aが領域T1から移動した状態を示す図である。以下、図2を参照しながら、接触判定装置10の動作の概要を説明する。
【0020】
図2(a)に示すように、接触判定装置10は、物体が手Aに覆われていることに基づいて領域T1及び領域T2を特定する。続いて、図2(b)に示すように、接触判定装置10は、手Aが領域T1の外側に移動したことを検出した場合、領域T1の温度データと領域T2の温度データとの差を算出する。接触判定装置10は、算出した温度の差が閾値以上である場合、手Aと物体とが接触していたと判定する。閾値は、例えば物体の温度と手Aの温度との差であり、手Aと接触することにより物体の温度が上昇したと判定できる温度である。
【0021】
接触判定装置10がこのように動作することで、接触判定装置10は、例えば人又は物体が温度センサ等の接触を判定する装置を取り付けていない場合であっても、人が物体と接触したか否かを判定することができる。その結果、接触判定装置10は、人又は物体を限定せずに人が物体と接触したか否かを判定することができる。
【0022】
[接触判定装置10の構成]
図3は、接触判定装置10の構成を示す図である。接触判定装置10は、記憶部11と、制御部12と、を有する。制御部12は、画像データ取得部121と、領域特定部122と、温度情報取得部123と、移動検出部124と、判定部125と、を有する。記憶部11は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びSSD(Solid State Drive)等の記憶媒体を有する。記憶部11は、制御部12が実行するプログラムを記憶している。
【0023】
制御部12は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部12は、記憶部11に記憶されているプログラムを実行することにより、画像データ取得部121、領域特定部122、温度情報取得部123、移動検出部124及び判定部125として動作する。
【0024】
画像データ取得部121は、撮像装置1が出力した撮像画像データを取得する。画像データ取得部121は、物体の少なくとも一部を覆っている被写体の画像データを含む撮像画像データを取得する。被写体は、例えば図2に示す手Aである。
【0025】
領域特定部122は、撮像画像データに基づいて、被写体が物体の少なくとも一部を覆っている領域を含む第1領域と、物体における第1領域と異なる第2領域と、を特定する。領域特定部122は、例えば物体における第1領域と異なる領域である第2領域を特定する。第1領域は、例えば図2に示す領域T1であり、第2領域は領域T2である。領域特定部122は、例えば撮像画像データに基づいて物体の領域と手Aの領域とを特定し、物体の領域のうち手Aが覆っている領域を含む領域を第1領域として特定し、手Aが覆っていない領域を第2領域として特定する。
【0026】
温度情報取得部123は、温度測定装置2が出力した温度データに基づいて第1領域の温度を示す第1温度データと第2領域の温度を示す第2温度データとを取得する。温度情報取得部123は、例えば温度データが示す複数の位置の温度のうち、領域T1に含まれる一以上の位置の温度を示す第1温度データと、領域T2に含まれる一以上の位置の温度を示す第2温度データとを取得する。
【0027】
温度情報取得部123は、第1領域に含まれる複数の位置それぞれの温度に基づいて算出した統計値である第1領域の温度を示す第1温度データと、第2領域に含まれる複数の位置それぞれの温度に基づいて算出した統計値である第2領域の温度を示す第2温度データと、を取得してもよい。統計値は、例えば複数の位置の温度の平均値又は中央値である。温度情報取得部123は、例えば領域T1及び領域T2それぞれに含まれる複数の位置の温度に基づいて算出した領域T1及び領域T2それぞれの温度の平均値又は中央値を第1温度データ及び第2温度データとして取得してもよい。
【0028】
移動検出部124は、撮像画像データに基づいて被写体が第1領域以外の領域に移動したことを検出する。移動検出部124は、例えば直前の時刻の撮像画像データに基づいて手Aが領域T1の内側にあることを特定し、かつ現在の時刻の撮像画像データに基づいて手Aが領域T1の外側にあることを特定することにより、手Aが領域T1以外の領域に移動したことを検出する。
【0029】
判定部125は、第1温度データが示す第1領域の温度と第2温度データが示す第2領域の温度との差が閾値以上である場合、被写体が物体と接触したと判定する。閾値は、例えば被写体の温度と物体の温度との差であり、被写体と接触することにより物体の温度が上昇したと判定できる温度である。判定部125は、例えば物体のうち手Aが覆っている領域T1の温度と、物体のうち手Aが覆っていない領域T2の温度との差が閾値以上である場合、手Aが物体と接触したと判定する。
【0030】
判定部125は、例えば被写体が移動したことを移動検出部124が検出した後に、被写体が物体と接触したか否かを判定する。判定部125は、例えば手Aが領域T1から領域T1の外側に移動した後の領域T1の温度と領域T2の温度との差が閾値以上の場合、手Aと物体とが接触したと判定する。
【0031】
具体的には、判定部125は、物体と手Aとが接触していた場合、手Aと接触することにより温度が上昇した領域T1の温度と手Aが接触していないことにより温度が上昇していない領域T2の温度との差に基づいて手Aと物体とが接触したと判定する。このように判定部125が動作することで、判定部125は、物体又は人に温度センサ等の接触を判定するための測定装置を取り付けなくても物体と人とが接触したか否かを判定できる。
【0032】
[接触判定装置10のフローチャート]
図4は、接触判定装置10の動作の一例を示すフローチャートである。図4に示すフローチャートは、接触判定装置10が撮像画像データ及び温度データの取得を開始してから人と物体とが接触したか否かを判定するまでの動作を示している。
【0033】
画像データ取得部121は、撮像装置1が出力した撮像画像データの取得を開始する(S11)。温度情報取得部123は、温度測定装置2が出力した温度データの取得を開始する(S12)。領域特定部122は、取得した撮像画像データに含まれる物体の画像データと被写体の画像データとに基づいて第1領域と第2領域とを特定する(S13)。
【0034】
移動検出部124は、被写体が第1領域の外側に移動したことを検出する(S14)。被写体が第1領域の外側に移動したことを移動検出部124が検出していない場合(S14のNO)、移動検出部124は、被写体が第1領域の外側に移動したことを検出する動作を継続する。一方、被写体が第1領域の外側に移動したことを移動検出部124が検出した場合(S14のYES)、温度情報取得部123は、第1温度データと第2温度データとを取得する(S15)。
【0035】
判定部125は、第1温度データが示す第1領域の温度と第2温度データが示す第2領域の温度との差を算出する(S16)。判定部125は、算出した温度の差が閾値以上である場合(S17のYES)、物体と被写体とが接触したと判定する(S18)。一方、算出した温度の差が閾値未満である場合(S17のNO)、判定部125は、物体と被写体とが接触していないと判定する(S19)。
【0036】
接触判定装置10は、処理を終了する操作が行われていない場合(S20のNO)、S14からS20までの処理を繰り返す。処理を終了する操作が行われた場合(S20のYES)、接触判定装置10は、処理を終了する。
【0037】
[変形例]
以上の説明においては、移動検出部124が、被写体が第1領域の外側に移動したことを検出した後に、判定部125が被写体と物体とが接触したか否かを判定する動作を例示したが、判定部125は、被写体と物体との距離にさらに基づいて被写体と物体との接触を判定してもよい。
【0038】
図5は、変形例に係る接触判定装置10の構成を示す図である。図5に示す接触判定装置10は、距離特定部126を有する点で図3に示す接触判定装置10と異なり、他の点において同じである。図5においては、被写体と物体との距離を測定して生成した距離データを出力する距離測定装置4も示されている。距離測定装置4は、例えば測距センサを有する装置である。
【0039】
距離特定部126は、距離測定装置4が出力した距離データに基づいて被写体と物体との距離を特定する。判定部125は、例えば距離特定部126が特定した距離が閾値以下であることを条件として、被写体が物体と接触したか否かを判定する。閾値は、被写体が物体に接触する可能性がある距離であり、例えば人が手を動かすことにより物体に接触する可能性がある距離である。
【0040】
判定部125は、距離特定部126が特定した距離が閾値を超えている場合、手Aと物体とが接触していないと判定する。一方、距離特定部126が特定した距離が閾値以下である場合、判定部125は、領域T1の温度と領域T2の温度との差に基づいて手Aと物体とが接触したか否かを判定する。
【0041】
このように判定部125が動作することで、判定部125は、撮像装置1から物体を撮像すると手Aが物体を覆っているように見えるが、手Aと物体とが接触できない距離である場合、距離特定部126が特定した距離に基づいて手Aと物体とが接触していないと判定できる。その結果、判定部125は、温度データに基づいて手Aと物体とが接触したか否かを判定する動作を省略できるため、判定する時間を短縮できる。さらに、判定部125は、手Aと物体とが接触可能な距離である場合に限り領域T1及び領域T2それぞれの温度の差に基づいて手Aと物体との接触を判定することで、手Aと物体との距離が大きい場合の手Aと物体との接触を判定する時間の短縮と、手Aと物体の距離が小さい場合の判定精度の確保を両立できる。
【0042】
[接触判定装置10の効果]
以上説明したように、接触判定装置10は、撮像画像データに基づいて第1領域と、物体における第1領域と異なる第2領域と、を特定する領域特定部122と、第1領域の温度を示す第1温度データと第2領域の温度を示す第2温度データとを取得する温度情報取得部123と、を有する。そして、判定部125が、第1温度データが示す第1領域の温度と第2温度データが示す第2領域の温度との差が閾値以上である場合、被写体が物体と接触したと判定する。
【0043】
その結果、接触判定装置10は、人又は被写体に温度センサ等の測定装置が取り付けられていない場合であっても人と被写体とが接触したか否かを判定することができるため、人及び物体を限定せずに人と物体とが接触したか否かを判定できるようにすることができる。接触判定装置10のこの特徴は、例えば物体に接触した人の数に応じて物体の除菌回数又は除菌頻度を決定したり、物体を移動させる場合に人が適切な位置を持って移動させたかを判定したりする用途に好適である。
【0044】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0045】
1 撮像装置
2 温度測定装置
3 出力装置
4 距離測定装置
10 接触判定装置
11 記憶部
12 制御部
121 画像データ取得部
122 領域特定部
123 温度情報取得部
124 移動検出部
125 判定部
126 距離特定部
図1
図2
図3
図4
図5