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特開2022-11703ケーブルコネクタ及びモジュールユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022011703
(43)【公開日】2022-01-17
(54)【発明の名称】ケーブルコネクタ及びモジュールユニット
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/52 20060101AFI20220107BHJP
   H01R 24/38 20110101ALI20220107BHJP
   H01R 12/71 20110101ALI20220107BHJP
【FI】
H01R13/52 301E
H01R24/38
H01R12/71
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020113013
(22)【出願日】2020-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000177690
【氏名又は名称】山一電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 隆充
【テーマコード(参考)】
5E087
5E223
【Fターム(参考)】
5E087EE02
5E087EE08
5E087FF04
5E087FF07
5E087FF18
5E087GG06
5E087LL03
5E087LL12
5E087MM02
5E087QQ04
5E087RR12
5E223AA21
5E223AC03
5E223BA12
5E223BA15
5E223BA17
5E223CA13
5E223CB07
5E223CB24
5E223CB26
5E223CC09
5E223CD01
5E223DB08
5E223EB02
5E223GA08
(57)【要約】
【課題】個体差がなく安定的な防水を可能とすることができ、部品点数の削減や組立工数の削減が可能となり、外部導体を分割する必要がないケーブルコネクタ及びモジュールユニットを提供する。
【解決手段】ケーブルコネクタ110は、軸線X1方向に延びる中実の長尺部材とされたコンタクトピン120と、コンタクトピン120が軸線X1方向に挿通されたゴムブッシュ130と、ゴムブッシュ130を内側に密着させて保持した筒状の外部導体160と、外部導体160を内側に保持したケーシング170と、外部導体160とケーシング170との間に介装されたOリング140と、を備えている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線方向に延びる中実の長尺部材とされた内部導体と、
前記内部導体が前記軸線方向に挿通された第1シール部材と、
前記第1シール部材を内側に密着させて保持した筒状の外部導体と、
前記外部導体を内側に保持したケーシングと、
前記外部導体と前記ケーシングとの間に介装された第2シール部材と、
を備えているケーブルコネクタ。
【請求項2】
前記外部導体の内側に保持されるとともに前記内部導体が前記軸線方向に挿通された絶縁部材を備えている請求項1に記載のケーブルコネクタ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のケーブルコネクタと、
前記外部導体が嵌合されるとともに前記内部導体が挿入される基板側コネクタが設けられた、所定のモジュールを駆動するための実装基板と、
該実装基板を収容する筐体と、
を備えているモジュールユニット。
【請求項4】
前記ケーシングは、前記筐体と一体化されている請求項3に記載のモジュールユニット。
【請求項5】
前記基板側コネクタは、挿通された前記内部導体の外周面に対して弾性的に接触する片と、嵌合された前記外部導体の内周面に対して弾性的に接触するバネ部と、を有している請求項3又は4に記載のモジュールユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載カメラに用いられて好適なケーブルコネクタ及びモジュールユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
車載モジュールのコネクタ規格としては、例えば、米国のUSCAR規格やドイツのFAKRA規格がある。この種の車載規格製品には、構造上、車両の外部に取り付けられるため、防水構造が求められる場合がある。
【0003】
例えば、特許文献1には、中空の内部導体において防水性を確保するために、内部導体の内側及び外側に防水手段としての樹脂が注入されたコネクタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-40833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、防水性を確保するために、樹脂を注入して内部導体の内側(中空部分)を樹脂で埋めることとしているが、樹脂を注入する関係で、外部導体を上下方向(内部導体の延在方向)に分割している。このような構成では、部品点数の増加、構造の複雑化、組立工数の増加が懸念される。
【0006】
また、防水性を確保するために樹脂を注入しているが、コネクタ毎で樹脂部分(防水部分)に個体差が生じる可能性があり、コネクタとしての品質の均一化が阻害されるおそれがある。
【0007】
更に、樹脂を挟んで外部導体を分割しているので、導通のために外部導体を保持するシェルを金属製にする必要がある。しかしながら、外観色を指定された場合、金属製のシェルの外観色の変更(例えば、塗料の塗布)にはコストがかかる。また、仕様の変更によってシェルの形状を変更しなければならない場合、ダイカスト成形によるシェルの形状変更は容易でない。
【0008】
そこで、本発明は、個体差がなく安定的な防水を可能とすることができ、部品点数の削減や組立工数の削減が可能となり、外部導体を分割する必要がないケーブルコネクタ及びモジュールユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のケーブルコネクタ及びモジュールユニットは以下の手段を採用する。
すなわち、本発明の一態様に係るケーブルコネクタは、軸線方向に延びる中実の長尺部材とされた内部導体と、前記内部導体が前記軸線方向に挿通された第1シール部材と、前記第1シール部材を内側に密着させて保持した筒状の外部導体と、前記外部導体を内側に保持したケーシングと、前記外部導体と前記ケーシングとの間に介装された第2シール部材と、を備えている。
【0010】
本態様に係るケーブルコネクタは、軸線方向に延びる中実の長尺部材とされた内部導体と、内部導体が前記軸線方向に挿通された第1シール部材と、第1シール部材を内側に密着させて保持した筒状の外部導体と、を備えているので、第1シール部材によって、中実の内部導体と第1シール部材との間、及び、外部導体の内側と第1シール部材との間における防水性を確保できる。また、外部導体を内側に保持したケーシングと、外部導体と前記ケーシングとの間に介装された第2シール部材と、を備えているので、外部導体とケーシングとの間における防水性を確保できる。これらによって、ケーブルコネクタの防水性を簡便な構造によって確保できる。
また、第1シール部材及び第2シール部材として、例えば予め寸法精度が確保されたものを用いれば、個体差がなく安定的な防水を可能とすることができる。
また、1つの外部導体の内部に内部導体及び第1シール部材を収容しているので、部品点数の削減や組立工数の削減が可能となる。
また、外部導体を軸線方向に分割して構成する必要がないので、ケーシングを介して導通させる必要もない。このため、ケーシングの材料が金属に限定されず、例えば樹脂等の成形が容易な材料を選択することができる。
【0011】
また、本発明の一態様に係るケーブルコネクタは、前記外部導体の内側に保持されるとともに前記内部導体が前記軸線方向に挿通された絶縁部材を備えている。
【0012】
本態様に係るケーブルコネクタは、外部導体の内側に保持されるとともに内部導体が前記軸線方向に挿通された樹脂製の絶縁部材を備えているので、絶縁部材によって絶縁性を確保しつつ内部導体を外部導体の内側に安定的に保持できる。
【0013】
また、本発明の一態様に係るモジュールユニットは、上記のケーブルコネクタと、前記外部導体が嵌合されるとともに前記内部導体が挿入される基板側コネクタが設けられた、所定のモジュールを駆動するための実装基板と、該実装基板を収容する筐体と、を備えている。
【0014】
また、本発明の一態様に係るモジュールユニットにおいて、前記ケーシングは、前記筐体と一体化されている。
【0015】
本態様に係るモジュールユニットにおいて、ケーシングは、筐体と一体化されているので、ケーシングを別途の部材として用意する必要がなく部品点数を削減することができる。
【0016】
また、本発明の一態様に係るモジュールユニットにおいて、前記基板側コネクタは、挿通された前記内部導体の外周面に対して弾性的に接触する片と、嵌合された前記外部導体の内周面に対して弾性的に接触するバネ部と、を有している。
【0017】
本態様に係るモジュールユニットにおいて、基板側コネクタは、挿通された内部導体の外周面に対して弾性的に接触する片を有しているので、内部導体を単純な中実の長尺部材としても、弾性変形する片によって内部導体との接触を保つことができる。また、基板側コネクタは、嵌合された外部導体の内周面に対して弾性的に接触するバネ部を有しているので、外部導体に基板側コネクタとの接触を保つための特別な機構を設けることなく、弾性変形するバネ部によって外部導体との接触を保つことができる。
なお、基板側コネクタを単なるピンとした場合、基板側コネクタ(ピン)を挿入するための中空部分を内部導体に形成しなければならない。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、個体差がなく安定的な防水を可能とすることができ、部品点数の削減や組立工数の削減が可能となり、外部導体を分割する必要がないケーブルコネクタ及びモジュールユニットを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施形態に係るケーブルコネクタ、カメラケース及び実装基板を有するモジュールユニットに対して外部ケーブルコネクタを取り付けているときの斜視図が示されている。
図2図1に示す切断線II-IIにおけるモジュールユニットの縦断面図が示されている。
図3】ケーブルコネクタ単体の縦断面図が示されている。
図4】基板側コネクタの斜視図が示されている。
図5図4に示す切断線V-Vにおける基板側コネクタの縦断面図が示されている。
図6】ケーブルコネクタの分解斜視図が示されている。
図7】ケーブルコネクタの分解縦断面図が示されている。
図8】本発明の第2実施形態に係るモジュールユニットの縦断面図が示されている。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1実施形態]
以下では、本発明の第1実施形態に係るケーブルコネクタ及びモジュールユニットについて、図面を用いて説明する。
【0021】
[モジュールユニット及びケーブルコネクタの基本構造]
まず、モジュールユニット及びケーブルコネクタの基本的な構造について説明する。
図1には、ケーブルコネクタ110、カメラケース(筐体)180及び実装基板182を有するモジュールユニット100に対して外部ケーブルコネクタ190を取り付けているときの斜視図が示されている。図2には、図1に示す切断線II-IIにおけるモジュールユニット100の縦断面図が示されている。図3には、ケーブルコネクタ110単体の縦断面図が示されている。
なお、図1は、説明の簡単ために、カメラケース180の一部が省略された状態で描画されている。
【0022】
図1及び図2に示すように、ケーブルコネクタ110は、カメラケース180に収容された実装基板182と、外部ケーブル191が引き出された外部ケーブルコネクタ190と接続するための中継コネクタである。
外部ケーブルコネクタ190は、例えばFAKRA規格のコネクタとされている。外部ケーブル191は、例えば同軸ケーブルとされている。実装基板182とは、例えば車載カメラモジュールを駆動するための基板である。
【0023】
図2及び図3に示すように、ケーブルコネクタ110は、コンタクトピン(内部導体)120と、ゴムブッシュ(第1シール部材)130と、インシュレータ(絶縁部材)150と、外部導体160と、ケーシング170と、Oリング(第2シール部材)140とを有している。
【0024】
軸線X1方向に延在する棒状のコンタクトピン120は、軸線X1方向に沿って、ゴムブッシュ130及びインシュレータ150に挿通されている。このとき、コンタクトピン120の一端側(図2及び図3において上端側)は、インシュレータ150から突出している。また、コンタクトピン120の他端側(図2及び図3において下端側)は、ゴムブッシュ130から突出している。
【0025】
コンタクトピン120が挿通されたゴムブッシュ130及びインシュレータ150は、外部導体160の内側に形成されたシール収容部164に収容・保持されている。このとき、ゴムブッシュ130から突出したコンタクトピン120は、外部導体160の内側に形成され、かつ、シール収容部164の下方に位置する基板側コネクタ嵌合部165まで到達している。この基板側コネクタ嵌合部165には、実装基板182の基板側コネクタ183が挿入される(図2参照)。
【0026】
ゴムブッシュ130及びインシュレータ150が保持された外部導体160は、ケーシング170に収容・保持されている。
【0027】
外部導体160とケーシング170との間には、全周にわたってOリング140が設けられている。
【0028】
以上の通りケーブルコネクタ110が構成されている。なお、ケーブルコネクタ110の詳細な構造については後述する。
【0029】
図1及び図2に示すように、カメラケース180は、上部カメラケース180A及び下部カメラケース180Bから構成され、内部に実装基板182を収容するための空間を形成している。
【0030】
図2に示すように、上部カメラケース180Aの上面には貫通孔181が形成されている。貫通孔181は、実装基板182が収容された空間に連通している。貫通孔181には、ケーブルコネクタ110の下部(詳細には、外部導体160の下部)が挿入される。
【0031】
図4には、基板側コネクタ183の斜視図が示されている。また、図5には、図4に示す切断線V-Vにおける基板側コネクタ183の縦断面図が示されている。
【0032】
図4及び図5に示すように、基板側コネクタ183は、実装基板182に実装された略柱状のコネクタである。
基板側コネクタ183は、柱状の基板側インシュレータ184と、基板側インシュレータ184を包囲している殻状の金属製のシールド(シェル)185と、基板側インシュレータ184の内部に収容された金属製の基板側コンタクトピン186とを有している。
シールド185及び基板側コンタクトピン186は、実装基板182に対して接続されている。
【0033】
シールド185には複数のバネ部185Aが形成されている。バネ部185Aは、無負荷時(基板側コネクタ嵌合部165への非挿入時)において、先端がシールド185の外周面から突出するように弾性的に構成されている。
【0034】
図5に示すように、基板側コンタクトピン186は2つの片が基端側で一体となった略U字形状とされている。基板側コンタクトピン186は、無負荷時(コンタクトピン120の非挿入時)において、2つの片の先端が軸線X1側に傾倒するように弾性的に構成されている。
【0035】
基板側インシュレータ184の上部には、ピン挿入孔187が形成されている。ピン挿入孔187は、基板側コンタクトピン186が収容されている基板側インシュレータ184の内部と基板側インシュレータ184の外部とを連通させている。
ピン挿入孔187には、外部からケーブルコネクタ110のコンタクトピン120が挿入される。挿入されたコンタクトピン120は、基板側インシュレータ184の内部において、基板側コンタクトピン186と接触する。このとき、基板側コンタクトピン186は、コンタクトピン120の外周面に接触する。
【0036】
ここまでモジュールユニット100及びケーブルコネクタ110の基本的な構造について説明した。以下では、ケーブルコネクタ110の詳細な構造について構成部品毎に説明する。
【0037】
[コンタクトピンの詳細構造]
図6には、ケーブルコネクタ110の分解斜視図が示されている。また、図7には、ケーブルコネクタ110の分解縦断面図が示されている。
【0038】
図3図6及び図7に示すように、コンタクトピン120は、軸線X1方向に延びる中実の長尺部材とされている。コンタクトピン120は、導電性を有している。
【0039】
図6に示すように、軸線X1方向に沿ったコンタクトピン120の中間部分には、外側に向かって突出した係止爪121が形成されている。この係止爪121は次のように作用する。すなわち、コンタクトピン120がインシュレータ150に挿通されたとき、係止爪121がインシュレータ150に食い込むことで、コンタクトピン120がインシュレータ150に対して係止される。
【0040】
軸線X1方向に沿ったコンタクトピン120の両端部分(係止爪121の両端部分であって、図6及び図7においてコンタクトピン120の上端部分及び下端部分)は、円柱状とされている。
【0041】
コンタクトピン120は、例えば金属をプレス加工することで容易にその形状を形成することができる。
【0042】
[ゴムブッシュの詳細構造]
図3図6及び図7に示すように、ゴムブッシュ130は、軸線X1方向に延びる柱状の部材とされている。ゴムブッシュ130は、絶縁性及び弾性を有している。
【0043】
ゴムブッシュ130の中心には軸線X1方向に沿った挿通孔131が形成されている。この挿通孔131に、コンタクトピン120が挿通される。このとき、ゴムブッシュ130の弾性によって、挿通孔131とコンタクトピン120とは隙間なく密着するようになっている。これにより、挿通孔131とコンタクトピン120と間における防水性を確保している。
【0044】
図6及び図7に示すように、ゴムブッシュ130の外周面には、全周方向にわたって凸条部132が形成されている。この凸条部132は次のように作用する。すなわち、ゴムブッシュ130が外部導体160の内部に保持されたとき、凸条部132が外部導体160の内壁に対して弾性的に潰れることで(図3参照)、ゴムブッシュ130と外部導体160との密着性を高める。
【0045】
[インシュレータの詳細構造]
図6及び図7に示すように、インシュレータ150は、軸線X1方向に延びる柱状の部材とされている。インシュレータ150は、絶縁性を有している。インシュレータ150は、例えば樹脂製である。
【0046】
インシュレータ150の中心には軸線X1方向に沿った挿通孔151が形成されている。この挿通孔151に、コンタクトピン120が挿通される。前述の通り、コンタクトピン120が挿通孔151に挿通されたとき、係止爪121が挿通孔151を形成するインシュレータ150の内壁に食い込むことで、コンタクトピン120がインシュレータ150に対して係止される。
【0047】
[外部導体の詳細構造]
図3図6及び図7に示すように、外部導体160は、軸線X1方向に延びる中空の筒状部材とされている。外部導体160は、導電性を有している。外部導体160は、例えば亜鉛等の金属を材料とする。
【0048】
図3及び図7に示すように、外部導体160の内部には、ゴムブッシュ130及びインシュレータ150が収容されるシール収容部164が形成されている。また、シール収容部164の下方には、基板側コネクタ183(図2参照)が嵌合される基板側コネクタ嵌合部165が形成されている。シール収容部164は、基板側コネクタ嵌合部165と連通している。
【0049】
図6及び図7に示すように、外部導体160の外周面には、リング溝161及びテーパ面162が形成されている。
リング溝161は、Oリング140を配置するために切り込まれた溝であり、外部導体の全周わたって形成されている。
テーパ面162は、リング溝161の上方に形成された面である。テーパ面162は、リング溝161に近接するに伴って拡径した面であり、外部導体の全周わたって形成されている。
このテーパ面162は、次のように作用する。すなわち、テーパ面162に沿ってOリング140をリング溝161側に押し込むことで、Oリング140をリング溝161に容易に案内できる。
【0050】
[ケーシングの詳細構図]
図3図6及び図7に示すように、ケーシング170は、軸線X1方向に延びる中空の筒状部分とフランジ部分とが一体になった部材とされている。ケーシング170は、絶縁性を有している。ケーシング170は、例えば樹脂製である。樹脂成形とすることで、外観色を容易に変更できたり、仕様に応じて形状を容易に変更できたりする。
【0051】
ケーシング170の内部には、外部導体160が収容・保持される外部導体収容部174が形成されている。
【0052】
ケーシング170の一端側は、外形状が径方向に拡大したフランジ部分とされている。
フランジ部分には、ケーシング170をカメラケース180に固定するためのネジを通す固定用貫通孔171が形成されている。また、フランジ部分の下面には、ケーシング用Oリング189(図2参照)を配置するための円環状のケーシング用リング溝172が形成されている。
【0053】
[ケーブルコネクタの詳細構造]
以上の通り説明した、コンタクトピン120、ゴムブッシュ130、Oリング140、インシュレータ150、外部導体160及びケーシング170等の各部品によって、ケーブルコネクタ110は構成されている。以下、ケーブルコネクタ110の詳細構造について説明する。
【0054】
図3に示すように、軸線X1方向に延在したコンタクトピン120は、軸線X1方向に沿って、ゴムブッシュ130及び筒状のインシュレータ150に挿通されている。
【0055】
コンタクトピン120は、ゴムブッシュ130の弾性によって、挿通孔131に対して隙間なく密着している。これによって、中実のコンタクトピン120とゴムブッシュ130との間における防水性を確保している。
なお、仮にコンタクトピン120が中空の場合はコンタクトピン120の内側が水路となり得るので、コンタクトピン120をゴムブッシュ130に挿通しただけでは防水性を確保できない。
【0056】
コンタクトピン120が挿通されたゴムブッシュ130及び筒状のインシュレータ150は、外部導体160内に形成されたシール収容部164に収容・保持されている。
このとき、ゴムブッシュ130の外周面に形成された凸条部132は、シール収容部164を画定する外部導体160の内壁に対して弾性的に潰れている。これにより、ゴムブッシュ130と外部導体160との密着性が高くなり、ゴムブッシュ130と外部導体160との間における防水性が向上する。
【0057】
ゴムブッシュ130及びインシュレータ150に挿通されたコンタクトピン120は、一端(図3における上端)がインシュレータ150から突出して、他端(図3における下端)がゴムブッシュ130から突出している。
ゴムブッシュ130から突出したコンタクトピン120の他端は、外部導体160内に形成された基板側コネクタ嵌合部165まで到達している。これにより、図2に示すように、基板側コネクタ嵌合部165に嵌合された基板側コネクタ183にコンタクトピン120を挿入できる。
【0058】
図3に示すように、コンタクトピン120が挿通されたゴムブッシュ130及びインシュレータ150を保持した外部導体160は、ケーシング170内に形成された外部導体収容部174に収容・保持される。
このとき、外部導体160の基板側コネクタ嵌合部165が形成されている部分(外部導体160の下部)は、ケーシング170の下面から外部に突出している。
【0059】
外部導体160のリング溝161には、Oリング140が嵌め込まれている。Oリング140は、外部導体160のリング溝161及びケーシング170に密着しており、外部導体160とケーシング170との間における防水性を確保している。
【0060】
以上のように構成されたケーブルコネクタ110は、図1及び図2に示すように、上部カメラケース180Aの上面に設けられる。
このとき、ケーシング170の下面から突出したケーブルコネクタ110の下部(外部導体160の下部)は、上部カメラケース180Aに形成された貫通孔181を介して、実装基板182が収容されカメラケース180内の空間まで挿入されている。
【0061】
図2に示すように、基板側コネクタ嵌合部165の内側には、実装基板182の基板側コネクタ183が嵌合されている。このとき、基板側コネクタ183のシールド185に形成されたバネ部185Aが基板側コネクタ嵌合部165の内周面に弾性的に接触する。これによって、外部導体160がシールド185と接続される。
また、基板側コネクタ183の嵌合と同時に、コンタクトピン120が基板側コネクタ183内に挿入される。このとき、基板側コンタクトピン186がコンタクトピン120の外周面に弾性的に接触する。これによって、コンタクトピン120が基板側コンタクトピン186と接続される。
以上により、ケーブルコネクタ110が基板側コネクタ183と電気的に接続されることになり、結果として、ケーブルコネクタ110が実装基板182と電気的に接続されることになる。
【0062】
ケーシング170のケーシング用リング溝172には、ケーシング用Oリング189が配置されている。ケーシング用Oリング189は、ケーシング用リング溝172及び上部カメラケース180Aの上面に密着しており、ケーシング170と上部カメラケース180Aの間における防水性を確保している。
【0063】
図1に示すように、上部カメラケース180Aに設置されたケーブルコネクタ110は、ネジ等の締結部材によって上部カメラケース180Aに固定される。これにより、ケーブルコネクタ110、カメラケース180及び実装基板182を有するモジュールユニット100が構成される。
【0064】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
ケーブルコネクタ110は、中実のコンタクトピン120と、コンタクトピン120が挿通されたゴムブッシュ130と、ゴムブッシュ130を内側に密着させて保持した筒状の外部導体160と、を備えているので、ゴムブッシュ130によって、中実のコンタクトピン120とゴムブッシュ130との間、及び、外部導体160の内側とゴムブッシュ130との間における防水性を確保できる。
また、外部導体160を内側に保持したケーシング170と、外部導体160とケーシング170との間に介装されたOリング140と、を備えているので、外部導体160とケーシング170との間における防水性を確保できる。これらによって、ケーブルコネクタ110の防水性を簡便な構造によって確保できる。
【0065】
また、ゴムブッシュ130及びOリング140として、例えば予め寸法精度が確保されたものを用いれば、個体差がなく安定的な防水を可能とすることができる。
【0066】
また、1つの外部導体160の内部にコンタクトピン120及びゴムブッシュ130を収容しているので、部品点数の削減や組立工数の削減が可能となる。
【0067】
また、外部導体160を軸線X1方向に分割して構成する必要がないので、ケーシング170を介して導通させる必要もない。このため、ケーシング170の材料が金属に限定されず、例えば樹脂等の成形が容易な材料を選択することができる。
【0068】
また、ケーシング170を樹脂製とすることで、外観色の変更が容易に可能となる。また、ケーシング170の形状変更も容易に可能となる。
【0069】
また、基板側コネクタ183は、挿通されたコンタクトピン120の外周面に対して弾性的に接触する基板側コンタクトピン186を有しているので、コンタクトピン120を単純な中実の長尺部材としても、弾性変形する基板側コンタクトピン186によってコンタクトピン120との接触を保つことができる。
また、基板側コネクタ183は、嵌合された外部導体160の内周面に対して弾性的に接触するバネ部185Aを有しているので、外部導体160に基板側コネクタ183との接触を保つための特別な機構を設けることなく、弾性変形するバネ部185Aによって外部導体160との接触を保つことができる。
【0070】
[第2実施形態]
第1実施形態では、ケーシング170と上部カメラケース180Aとが別部品で構成されているが、これらを一体に成形してもよい。すなわち、カメラケースを、外部導体を保持するケーシングとしても利用してもよい。
【0071】
例えば、図8に示すモジュールユニット200のように、上面に外部導体収容部284が一体に形成されるように上部カメラケース280Aを作製して外部導体260を保持する構成としてもよい。
この場合、Oリング240は、外部導体260及び上部カメラケース280Aの外部導体収容部284に密着しており、外部導体260と上部カメラケース280Aとの間における防水性を確保している。
【0072】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
モジュールユニット200において、上部カメラケース280Aは、外部導体260を保持するケーシングの機能を有しているので、ケーシングを別途用意する必要がなく部品点数を削減することができる。
【符号の説明】
【0073】
100 モジュールユニット
110 ケーブルコネクタ
120 コンタクトピン(内部導体)
121 係止爪
130 ゴムブッシュ(第1シール部材)
131 挿通孔
132 凸条部
140 Oリング(第2シール部材)
150 インシュレータ(絶縁部材)
151 挿通孔
160 外部導体
161 リング溝
162 テーパ面
164 シール収容部
165 基板側コネクタ嵌合部
170 ケーシング
171 固定用貫通孔
172 ケーシング用リング溝
174 外部導体収容部
180 カメラケース(筐体)
180A 上部カメラケース
180B 下部カメラケース
181 貫通孔
182 実装基板
183 基板側コネクタ
184 基板側インシュレータ
185 シールド(シェル)
185A バネ部
186 基板側コンタクトピン
187 ピン挿入孔
189 ケーシング用Oリング
190 外部ケーブルコネクタ
191 外部ケーブル
200 モジュールユニット
240 Oリング
260 外部導体
280A 上部カメラケース
284 外部導体収容部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8