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特開2022-117077電気機器用筐体及び該電気機器用筐体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022117077
(43)【公開日】2022-08-10
(54)【発明の名称】電気機器用筐体及び該電気機器用筐体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/02 20060101AFI20220803BHJP
   H05K 5/03 20060101ALI20220803BHJP
   F16B 5/04 20060101ALI20220803BHJP
【FI】
H05K5/02 M
H05K5/03 B
F16B5/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021013569
(22)【出願日】2021-01-29
(71)【出願人】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(74)【代理人】
【識別番号】100158702
【弁理士】
【氏名又は名称】岡野 卓也
(72)【発明者】
【氏名】舛金 秀秋
【テーマコード(参考)】
3J001
4E360
【Fターム(参考)】
3J001FA02
3J001GA01
3J001GB01
3J001HA02
3J001HA07
3J001JD04
3J001KA07
4E360AB02
4E360AB14
4E360AB33
4E360AB51
4E360AD01
4E360BA08
4E360BB12
4E360BC03
4E360BD05
4E360EA11
4E360EA18
4E360ED06
4E360ED08
4E360GA11
4E360GA23
4E360GA51
4E360GA52
4E360GB92
4E360GB94
4E360GC02
(57)【要約】
【課題】見栄えが良く外観品質に優れる電気機器用筐体を提供する。
【解決手段】正面に開口部を有する直方体形状の本体と、前記開口部を開閉する蓋体と、を備え、前記蓋体が前記本体にヒンジ結合される電気機器用筐体において、前記蓋体は、1枚の金属板で構成される蓋部と側部を有し、前記蓋部は矩形状であり、前記側部は前記蓋部の周縁部分を折り曲げて形成されてなり、前記蓋部の隣り合う二辺であって一辺側に形成される側部は、前記一辺に連設される第1側片と、他辺に連設される第2側片の前記一辺側の端部に連設される第3側片を、前記二辺の交差部k1を起点として端面同士を突き合わせることで面一状に構成されており、前記第1側片と前記第3側片の端面同士の突き合わせ部分の内面側には、前記第1側片と前記第3側片のいずれかの側に連設される重合用側片が折り曲げられて重合されていることを特徴とする。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面に開口部を有する直方体形状の本体と、前記開口部を開閉する蓋体と、を備え、前記蓋体が前記本体にヒンジ結合される電気機器用筐体において、
前記蓋体は、1枚の金属板で構成される蓋部と側部を有し、前記蓋部は矩形状であり、前記側部は前記蓋部の周縁部分を折り曲げて形成されてなり、
前記蓋部の隣り合う二辺であって一辺側に形成される側部は、前記一辺に連設される第1側片と、他辺に連設される第2側片の前記一辺側の端部に連設される第3側片を、前記二辺の交差部を起点として端面同士を突き合わせることで面一状に構成されており、
前記第1側片と前記第3側片の端面同士の突き合わせ部分の内面側には、前記第1側片と前記第3側片のいずれかの側に連設される重合用側片が折り曲げられて重合されていることを特徴とする電気機器用筐体。
【請求項2】
前記蓋体は、さらにフランジ部を有し、前記フランジ部は前記各側部の先端側部分を内側へ折り曲げて前記蓋部と略平行に形成されてなり、
前記蓋部の前記隣り合う二辺であって前記一辺側に形成される第1フランジ部は、前記第1側片の先端側に連設される第1フランジ片と、前記第3側片に連設される第3フランジ片を、前記第1側片と前記第3側片の前記突き合わせ部分に連続して端面同士を突き合わせることで面一状に構成される一方、
前記第1フランジ部と前記他辺側に形成される第2フランジ部は、前記第3フランジ片と、前記第2側片に連設される第2フランジ片を、前記一辺側に形成される側部と前記他辺側に形成される側部のそれぞれ先端側に形成される隣り合う二つの稜線の交差部を起点として端面同士を突き合わせることで面一状に構成され、
前記第1フランジ片と前記第3フランジ片の端面同士の突き合わせ部分、及び前記第3フランジ片と前記第2フランジ片の端面同士の突き合わせ部分の内面側には、前記第1フランジ片と前記第3フランジ片のいずれかの側に連設される重合用フランジ片が折り曲げられて重合されており、
前記第1側片と前記第3側片の端面同士の突き合わせ部分の内面側には、前記重合用フランジ片の先端側に連設される前記重合用側片が折り曲げられて重合されている請求項1に記載の電気機器用筐体。
【請求項3】
前記第1フランジ片と前記第3フランジ片の端面同士の突き合わせ部分、及び前記第3フランジ片と前記第2フランジ片の端面同士の突き合わせ部分の内面側には、前記第1フランジ片の先端側に連設される前記重合用フランジ片が折り曲げられて重合されており、
前記第1フランジ部と前記第2フランジ部は、前記第2フランジ片と前記重合用フランジ片の重合部分を締結部として締結手段により締結されている請求項2に記載の電気機器用筐体。
【請求項4】
正面に開口部を有する直方体形状の本体と、前記開口部を開閉する蓋体と、を備え、前記蓋体が前記本体にヒンジ結合される電気機器用筐体において、
前記本体は、1枚の金属板で構成される断面矩形状の本体胴部と、前記本体胴部の背面側を塞ぐ本体背面部と、を備え、
前記本体胴部は、正面側の前板部、側板部及び背面側フランジ板部を有し、前記前板部は中央に開口を有する矩形状であり、前記側板部は前記前板部の周縁部分を折り曲げて形成され、前記背面側フランジ板部は前記各側板部の背面側部分を内側へ折り曲げて前記前板部と略平行に形成される一方で、
前記本体背面部は、前記本体胴部の前記背面側フランジ板部の背後に固定されてなり、
前記前板部の隣り合う二辺であって一辺側に形成される側板部は、前記一辺に連設される第1側板片と、他辺に連設される第2側板片の前記一辺側の端部に連設される第3側板片を、前記二辺の交差部を起点として端面同士を突き合わせることで面一状に構成されており、
前記第1側板片と前記第3側板片の端面同士の突き合わせ部分の内面側には、前記第1側板片と前記第3側板片のいずれかの側に連設される重合用側板片が折り曲げられて重合されていることを特徴とする電気機器用筐体。
【請求項5】
前記一辺側に形成される側板部は、前記第1側板片の前記第3側板片側の端部に連設される第1側板締結片と、前記第3側板片の前記第1側板片側の端部に連設される第2側板締結片を、それぞれ前記第1側板片と前記第3側板片の前記突き合わせ部分に連続して内側へ折り曲げることで面一状に構成されるとともに、前記第1側板締結片と前記第2側板締結片が内面側において柱状に重合されており、
前記第1側板片と前記第3側板片は、前記第1側板締結片と前記第2側板締結片の重合部分を締結部として締結手段により締結されており、
前記第1側板片と前記第3側板片の前記突き合わせ部分の内面側には、前記第2側板締結片の端部側に連設される前記重合用側板片が折り曲げられて重合されている請求項4に記載の電気機器用筐体。
【請求項6】
前記本体背面部は、前記本体の背面を構成する背面板を有し、前記背面板の内側面には電気機器を組み付けるために必要な作業情報が加工表示されている請求項4又は5に記載の電気機器用筐体。
【請求項7】
請求項4乃至6のいずれかに記載の電気機器用筐体の製造方法であって、
前記本体胴部を構成する金属板には、予め切り欠き部と繋ぎ部により構成される切り離し部分が形成されており、
前記金属板を曲げ加工して前記側板部及び前記背面側フランジ板部を形成した後に前記切り離し部分を取り除き、前記前板部に前記開口を形成することを特徴とする電気機器用筐体の製造方法。
【請求項8】
請求項4乃至6のいずれかに記載の電気機器用筐体の製造方法であって、
前記本体背面部は、前記本体の背面を構成する背面板を有しており、
前記金属板を曲げ加工して成形した前記本体胴部の前記背面側フランジ板部の背後に、前記背面板の内側面に事前に電気機器を組み付けた前記本体背面部を固定することを特徴とする電気機器用筐体の製造方法。
【請求項9】
正面に開口部を有する直方体形状の本体と、前記開口部を開閉する蓋体と、を備え、前記蓋体が前記本体にヒンジ結合される電気機器用筐体において、
前記本体は、1枚の金属板で構成される背板部、側板部及び正面側フランジ板部を有し、前記背板部は矩形状であり、前記側板部は前記背板部の周縁部分を折り曲げて形成され、前記正面側フランジ板部は前記各側板部の先端側部分を内側へ折り曲げて前記背板部と略平行に形成されてなり、
前記背板部の隣り合う二辺であって一辺側に形成される側板部は、前記一辺に連設される第1側板片と、他辺に連設される第2側板片の前記一辺側の端部に連設される第3側板片を、前記二辺の交差部を起点として端面同士を突き合わせることで面一状に構成されており、
前記第1側板片と前記第3側板片の端面同士の突き合わせ部分の内面側には、前記第1側板片と前記第3側板片のいずれかの側に連設させる重合用側板片が折り曲げられて重合されていることを特徴とする電気機器用筐体。
【請求項10】
前記一辺側に形成される側板部は、前記第1側板片の前記第3側板片側の端部に連設される第1側板締結片と、前記第3側板片の前記第1側板片側の端部に連接される第2側板締結片を、それぞれ前記第1側板片と前記第3側板片の前記突き合わせ部分に連続して内側へ折り曲げることで面一状に構成されるとともに、前記第1側板締結片と前記第2側板締結片が内面側において柱状に重合されており、
前記第1側板片と前記第3側板片は、前記第1側板締結片と前記第2側板締結片の重合部分を締結部として締結手段により締結されており、
前記第1側板片と前記第3側板片の前記突き合わせ部分の内面側には、前記第2側板締結片の端部側に連設される前記重合用側板片が折り曲げられて重合されている請求項9に記載の電気機器用筐体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配電盤、分電盤、制御盤などの電気機器を収納するための電気機器用筐体、及び前記電気機器用筐体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、制御盤などの電気機器を収納するための筐体が周知である(特許文献1を参照。)。
【0003】
特許文献1に記載された制御盤筐体は、左右の側板、天板、底板及び背面板からなる筐体本体と、前記筐体本体の前面開口部を開閉する蓋部材とを備え、前記筐体本体は、前記各板の縁部に形成されるフランジを互いに重ね合せてリベットで締結されている。
【0004】
しかしながら、前記制御盤筐体は、前記筐体本体や前記蓋部材の各板端部の板厚(端面)が外観に露出するなど見栄えが劣る問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-336946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、見栄えが良く外観品質に優れる電気機器用筐体、及び前記電気機器用筐体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、
正面に開口部を有する直方体形状の本体と、前記開口部を開閉する蓋体と、を備え、前記蓋体が前記本体にヒンジ結合される電気機器用筐体において、
前記蓋体は、1枚の金属板で構成される蓋部と側部を有し、前記蓋部は矩形状であり、前記側部は前記蓋部の周縁部分を折り曲げて形成されてなり、
前記蓋部の隣り合う二辺であって一辺側に形成される側部は、前記一辺に連設される第1側片と、他辺に連設される第2側片の前記一辺側の端部に連設される第3側片を、前記二辺の交差部(交点)k1を起点として端面同士を突き合わせることで面一状に構成されており、
前記第1側片と前記第3側片の端面同士の突き合わせ部分の内面側には、前記第1側片と前記第3側片のいずれかの側に連設される重合用側片が折り曲げられて重合されていることを特徴とする。
【0008】
本発明は、
前記第1側片と前記第3側片の端面同士の突き合わせ部分の内面側には、前記第1側片の先端側に連設される前記重合用側片が折り曲げられて重合されていることが好ましい。
【0009】
本発明は、
前記蓋体が、さらにフランジ部を有し、前記フランジ部は前記各側部の先端側部分を内側へ折り曲げて前記蓋部と略平行に形成されてなり、
前記蓋部の前記隣り合う二辺であって前記一辺側に形成される第1フランジ部は、前記第1側片の先端側に連設される第1フランジ片と、前記第3側片に連設される第3フランジ片を、前記第1側片と前記第3側片の前記突き合わせ部分に連続して端面同士を突き合わせることで面一状に構成される一方、
前記第1フランジ部と前記他辺側に形成される第2フランジ部は、前記第3フランジ片と、前記第2側片に連設される第2フランジ片を、前記一辺側に形成される側部と前記他辺側に形成される側部のそれぞれ先端側に形成される隣り合う二つの稜線の交差部(交点)k2を起点として端面同士を突き合わせることで面一状に構成され、
前記第1フランジ片と前記第3フランジ片の端面同士の突き合わせ部分、及び前記第3フランジ片と前記第2フランジ片の端面同士の突き合わせ部分の内面側には、前記第1フランジ片と前記第3フランジ片のいずれかの側に連設される重合用フランジ片が折り曲げられて重合されており、
前記第1側片と前記第3側片の端面同士の突き合わせ部分の内面側には、前記重合用フランジ片の先端側に連設される前記重合用側片が折り曲げられて重合されていることが好ましい。
【0010】
本発明は、
前記第1フランジ片と前記第3フランジ片の端面同士の突き合わせ部分、及び前記第3フランジ片と前記第2フランジ片の端面同士の突き合わせ部分の内面側には、前記第1フランジ片の先端側に連設される前記重合用フランジ片が折り曲げられて重合されており、
前記第1フランジ部と前記第2フランジ部は、前記第2フランジ片と前記重合用フランジ片の重合部分を締結部として締結手段により締結されていることが好ましい。
【0011】
本発明は、
前記締結手段がリベットであり、前記第3フランジ片は前記リベットの頭部で前記重合用フランジ片に押圧されることが好ましい。
【0012】
また、上記目的を達成するため、本発明は、
正面に開口部を有する直方体形状の本体と、前記開口部を開閉する蓋体と、を備え、前記蓋体が前記本体にヒンジ結合される電気機器用筐体において、
前記本体は、1枚の金属板で構成される断面矩形状の本体胴部と、前記本体胴部の背面側を塞ぐ本体背面部と、を備え、
前記本体胴部は、正面側の前板部、側板部及び背面側フランジ板部を有し、前記前板部は中央に開口を有する矩形状であり、前記側板部は前記前板部の周縁部分を折り曲げて形成され、前記背面側フランジ板部は前記各側板部の背面側部分を内側へ折り曲げて前記前板部と略平行に形成される一方で、
前記本体背面部は、前記本体胴部の前記背面側フランジ板部の背後に固定されてなり、
前記前板部の隣り合う二辺であって一辺側に形成される側板部は、前記一辺に連設される第1側板片と、他辺に連設される第2側板片の前記一辺側の端部に連設される第3側板片を、前記二辺の交差部(交点)k3を起点として端面同士を突き合わせることで面一状に構成されており、
前記第1側板片と前記第3側板片の端面同士の突き合わせ部分の内面側には、前記第1側板片と前記第3側板片のいずれかの側に連設される重合用側板片が折り曲げられて重合されていることを特徴とする。
【0013】
本発明は、
前記一辺側に形成される側板部が、前記第1側板片の前記第3側板片側の端部に連設される第1側板締結片と、前記第3側板片の前記第1側板片側の端部に連設される第2側板締結片を、それぞれ前記第1側板片と前記第3側板片の前記突き合わせ部分に連続して内側へ折り曲げることで面一状に構成されるとともに、前記第1側板締結片と前記第2側板締結片が内面側において柱状に重合されており、
前記第1側板片と前記第3側板片は、前記第1側板締結片と前記第2側板締結片の重合部分を締結部として締結手段により締結されており、
前記第1側板片と前記第3側板片の前記突き合わせ部分の内面側には、前記第2側板締結片の端部側に連設される前記重合用側板片が折り曲げられて重合されていることが好ましい。
【0014】
本発明は、
前記締結手段がリベットであることが好ましい。
【0015】
本発明は、
前記本体背面部が、前記本体の背面を構成する背面板を有し、前記背面板の内側面には電気機器を組み付けるために必要な作業情報が加工表示されていることが好ましい。
【0016】
上記目的を達成するため、本発明は、
請求項4乃至6のいずれかに記載の電気機器用筐体の製造方法であって、
前記本体胴部を構成する金属板には、予め切り欠き部と繋ぎ部により構成される切り離し部分が形成されており、
前記金属板を曲げ加工して前記側板部及び前記背面側フランジ板部を形成した後に前記切り離し部分を取り除き、前記前板部に前記開口を形成することを特徴とする。
【0017】
また、上記目的を達成するため、本発明は、
請求項4乃至6のいずれかに記載の電気機器用筐体の製造方法であって、
前記本体背面部は、前記本体の背面を構成する背面板を有しており、
前記金属板を曲げ加工して成形した前記本体胴部の前記背面側フランジ板部の背後に、前記背面板の内側面に事前に電気機器を組み付けた状態の前記本体背面部を固定することを特徴とする。
【0018】
また、上記目的を達成するため、本発明は、
正面に開口部を有する直方体形状の本体と、前記開口部を開閉する蓋体と、を備え、前記蓋体が前記本体にヒンジ結合される電気機器用筐体において、
前記本体は、1枚の金属板で構成される背板部、側板部及び正面側フランジ板部を有し、前記背板部は矩形状であり、前記側板部は前記背板部の周縁部分を折り曲げて形成され、前記正面側フランジ板部は前記各側板部の先端側部分を内側へ折り曲げて前記背板部と略平行に形成されてなり、
前記背板部の隣り合う二辺であって一辺側に形成される側板部は、前記一辺に連設される第1側板片と、他辺に連設される第2側板片の前記一辺側の端部に連設される第3側板片を、前記二辺の交差部(交点)k4を起点として端面同士を突き合わせることで面一状に構成されており、
前記第1側板片と前記第3側板片の端面同士の突き合わせ部分の内面側には、前記第1側板片と前記第3側板片のいずれかの側に連設させる重合用側板片が折り曲げられて重合されていることを特徴とする。
【0019】
本発明は、
前記一辺側に形成される側板部が、前記第1側板片の前記第3側板片側の端部に連設される第1側板締結片と、前記第3側板片の前記第1側板片側の端部に連接される第2側板締結片を、それぞれ前記第1側板片と前記第3側板片の前記突き合わせ部分に連続して内側へ折り曲げることで面一状に構成されるとともに、前記第1側板締結片と前記第2側板締結片が内面側において柱状に重合されており、
前記第1側板片と前記第3側板片は、前記第1側板締結片と前記第2側板締結片の重合部分を締結部として締結手段により締結されており、
前記第1側板片と前記第3側板片の前記突き合わせ部分の内面側には、前記第2側板締結片の端部側に連設される前記重合用側板片が折り曲げられて重合されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明の電気機器用筐体は、前記蓋体が、1枚の金属板で構成される蓋部と側部を有し、前記蓋部は矩形状であり、前記側部は前記蓋部の周縁部分を折り曲げて形成されてなり、前記蓋部の隣り合う二辺であって一辺側に形成される側部は、前記一辺に連設される第1側片と、他辺に連設される第2側片の前記一辺側の端部に連設される第3側片を、前記二辺の交差部(交点)k1を起点として端面同士を突き合わせることで面一状に構成されているので、前記蓋体の側部上に板材端部の板厚(端面)が外観として現れることがないため見栄えが良く外観品質に優れる。
【0021】
また、本発明の電気機器用筐体は、前記第1側片と前記第3側片の端面同士の突き合わせ部分の内面側には、前記第1側片と前記第3側片のいずれかの側に連設される重合用側片が折り曲げられて重合されているので、前記突き合わせ部分の隙間を内側から塞いだ状態となり気密性が向上する。
【0022】
さらに、本発明の電気機器用筐体は、前記一辺側に形成される側部が少なくとも他辺側の端部において二重壁構造となり強度が向上するため、前記金属板の板厚を薄くすることで前記蓋体を軽量化することができる。
【0023】
本発明の電気機器用筐体は、前記蓋体が、さらにフランジ部を有し、前記フランジ部は前記各側部の先端側部分を内側へ折り曲げて前記蓋部と略平行に形成されてなり、前記蓋部の前記隣り合う二辺であって前記一辺側に形成される第1フランジ部は、前記第1側片の先端側に連設される第1フランジ片と、前記第3側片に連設される第3フランジ片を、前記第1側片と前記第3側片の前記突き合わせ部分に連続して端面同士を突き合わせることで面一状に構成される一方、前記第1フランジ部と前記他辺側に形成される第2フランジ部は、前記第3フランジ片と、前記第2側片に連設される第2フランジ片を、前記一辺側に形成される側部と前記他辺側に形成される側部のそれぞれ先端側に形成される隣り合う二つの稜線の交差部(交点)k2を起点として端面同士を突き合わせることで面一状に構成されるものであれば、前記蓋体のフランジ部上においても板材端部の板厚(端面)が外観として現れることがないため見栄えが良く外観品質に優れる。
【0024】
また、本発明の電気機器用筐体は、前記第1フランジ片と前記第3フランジ片の端面同士の突き合わせ部分、及び前記第3フランジ片と前記第2フランジ片の端面同士の突き合わせ部分の内面側には、前記第1フランジ片と前記第3フランジ片のいずれかの側に連設される重合用フランジ片が折り曲げられて重合されており、前記第1側片と前記第3側片の端面同士の突き合わせ部分の内面側には、前記重合用フランジ片の先端側に連設される前記重合用側片が折り曲げられて重合されているものであれば、前記各突き合わせ部の隙間を内側から塞いだ状態となり気密性が向上する。
さらに、本発明の電気機器用筐体は、前記フランジ部が少なくとも隅角部において二重壁構造となり、前記一辺側に形成される側部が少なくとも他辺側の端部において二重壁構造となるため強度が向上し、前記金属板の板厚を薄くすることで前記蓋体を軽量化することができる。
【0025】
本発明の電気機器用筐体は、前記第1フランジ片と前記第3フランジ片の端面同士の突き合わせ部分、及び前記第3フランジ片と前記第2フランジ片の端面同士の突き合わせ部分の内面側には、前記第1フランジ片の先端側に連設される前記重合用フランジ片が折り曲げられて重合されており、前記第1フランジ部と前記第2フランジ部は、前記第2フランジ片と前記重合用フランジ片の重合部分を締結部として締結手段により締結されているものであれば、前記締結部が前記蓋体の内面側に位置しリベット等の締結手段が外観に露出しないため見栄えが良く外観品質に優れる。
【0026】
本発明の電気機器用筐体は、前記締結手段がリベットであり、前記第3フランジ片が前記リベットの頭部で前記重合用フランジ片に押圧されるものであれば、前記第3フランジ片333の浮き上がりを防止することができる。
【0027】
本発明の電気機器用筐体は、前記本体が、1枚の金属板で構成される断面矩形状の本体胴部と、前記本体胴部の背面側を塞ぐ本体背面部と、を備え、前記本体胴部は、正面側の前板部、側板部及び背面側フランジ板部を有し、前記前板部は中央に開口を有する矩形状であり、前記側板部は前記前板部の周縁部分を折り曲げて形成され、前記背面側フランジ板部は前記各側板部の背面側部分を内側へ折り曲げて前記前板部と略平行に形成される一方で、前記本体背面部は、前記本体胴部の前記背面側フランジ板部の背後に固定されてなり、前記前板部の隣り合う二辺であって一辺側に形成される側板部は、前記一辺に連設される第1側板片と、他辺に連設される第2側板片の前記一辺側の端部に連設される第3側板片を、前記二辺の交差部(交点)k3を起点として端面同士を突き合わせることで面一状に構成されているので、前記本体胴部の側板部上に板材端部の板厚(端面)が外観として現れることがないため見栄えが良く外観品質に優れる。
【0028】
また、本発明の電気機器用筐体は、前記第1側板片と前記第3側板片の端面同士の突き合わせ部分の内面側には、前記第1側板片と前記第3側板片のいずれかの側に連設される重合用側板片が折り曲げられて重合されているので、前記突き合わせ部分の隙間を内側から塞いだ状態となり気密性が向上する。
さらに、本発明の電気機器用筐体は、前記一辺側に形成される側板部が少なくとも前記他辺側の端部において二重壁構造となり強度が向上するため、前記金属板の板厚を薄くすることで前記本体胴部を軽量化することができる。
【0029】
そして、本発明の電気機器用筐体は、前記本体背面部が、前記本体胴部の前記背面側フランジ板部の背後に固定されているので、固定部が本体の裏面側に位置し固定手段が外観に現れないため見栄えが向上する。
【0030】
本発明の電気機器用筐体は、前記一辺側に形成される側板部が、前記第1側板片の前記第3側板片側の端部に連設される第1側板締結片と、前記第3側板片の前記第1側板片側の端部に連設される第2側板締結片を、それぞれ前記第1側板片と前記第3側板片の前記突き合わせ部分に連続して内側へ折り曲げることで面一状に構成されるとともに、前記第1側板締結片と前記第2側板締結片が内面側において柱状に重合されており、前記第1側板片と前記第3側板片は、前記第1側板締結片と前記第2側板締結片の重合部分を締結部として締結手段により締結されているものであれば、前記本体胴部21は前記柱状の締結部によりねじれに対する強度が向上する。
また、本発明の電気機器用筐体は、前記締結部が前記本体胴部21の内面側に位置しリベット等の締結手段が外観に露出しないため見栄えが良く外観品質に優れる。
【0031】
本発明の電気機器用筐体は、前記本体背面部が、前記本体の背面を構成する背面板を有し、前記背面板の内側面には電気機器を組み付けるために必要な作業情報が加工表示されているものであれば、作業者は図面を見ながら電気機器の組み付け作業を行う必要がなく作業性が向上する。
【0032】
本発明の電気機器用筐体の製造方法は、前記本体胴部を構成する金属板には、予め切り欠き部と繋ぎ部により構成される切り離し部分が形成されており、前記金属板を曲げ加工して前記側板部及び前記背面側フランジ板部を形成した後に前記切り離し部分を取り除き、前記前板部に前記開口を形成するので、前記本体胴部の折り曲げ成形を容易に行えるとともに、前記切り離し部分を人手で取り除くことで前記開口を簡単に形成することができる。
【0033】
本発明の電気機器用筐体の製造方法は、前記本体背面部が、前記本体の背面を構成する背面板を有しており、前記金属板を曲げ加工して成形した前記本体胴部の前記背面側フランジ板部の背後に、前記背面板の内側面に事前に電気機器を組み付けた状態の前記本体背面部を固定するので、前記電気機器を組み付ける中板が不要となり作業工程が簡素化されるとともに、前記中板を前記本体の内部に正面側の開口部から装着する場合に比べ前記背面板の表面を広く活用できるため多数の電気機器を組み付けることができる。
【0034】
本発明の電気機器用筐体は、前記本体が、1枚の金属板で構成される背板部、側板部及び正面側フランジ板部を有し、前記背板部は矩形状であり、前記側板部は前記背板部の周縁部分を折り曲げて形成され、前記正面側フランジ板部は前記各側板部の先端側部分を内側へ折り曲げて前記背板部と略平行に形成されてなり、前記背板部の隣り合う二辺であって一辺側に形成される側板部は、前記一辺に連設される第1側板片と、他辺に連設される第2側板片の前記一辺側の端部に連設される第3側板片を、前記二辺の交差部(交点)k4を起点として端面同士を突き合わせることで面一状に構成されているので、前記本体の側板部上に板材端部の板厚(端面)が外観として現れることがないため見栄えが良く外観品質に優れる。
【0035】
また、本発明の電気機器用筐体は、前記第1側板片と前記第3側板片の端面同士の突き合わせ部分の内面側には、前記第1側板片と前記第3側板片のいずれかの側に連設させる重合用側板片が折り曲げられて重合されているので、前記突き合わせ部分の隙間を内側から塞いだ状態となり気密性が向上する。
さらに、本発明の電気機器用筐体は、前記一辺側に形成される側板部が少なくとも前記他辺側の端部において二重壁構造となり強度が向上するため、前記金属板の板厚を薄くすることで前記本体を軽量化することができる。
【0036】
本発明の電気機器用筐体は、前記一辺側に形成される側板部が、前記第1側板片の前記第3側板片側の端部に連設される第1側板締結片と、前記第3側板片の前記第1側板片側の端部に連接される第2側板締結片を、それぞれ前記第1側板片と前記第3側板片の前記突き合わせ部分に連続して内側へ折り曲げることで面一状に構成されるとともに、前記第1側板締結片と前記第2側板締結片が内面側において柱状に重合されており、前記第1側板片と前記第3側板片は、前記第1側板締結片と前記第2側板締結片の重合部分を締結部として締結手段により締結されているものであれば、前記本体は前記柱状の締結部によりねじれに対する強度が向上する。
また、本発明の電気機器用筐体は、前記締結部が前記本体の内面側に位置しリベット等の締結手段が外観に露出しないため見栄えが良く外観品質に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明の実施態様1における電気機器用筐体の全体斜視図である。
図2図1の電気機器用筐体において蓋体を開放した状態の説明図である。
図3図1の電気機器用筐体の蓋体の展開図である。
図4図3の展開図を折り曲げて蓋体を製作する手順の説明図である。
図5】蓋体の隅部における重合部分の説明図である。
図6図1の電気機器用筐体の本体胴部の展開図である。
図7図6の展開図を折り曲げて本体胴部を製作する手順の説明図である。
図8】本体胴部の隅部における重合部分の説明図である。
図9】本体胴部の内面における締結部の説明図である。
図10】本発明の実施形態2における電気機器用筐体の全体斜視図である。
図11図10の電気機器用筐体において蓋体を開放した状態の説明図である。
図12図10の電気機器用筐体の本体の展開図である。
図13】本体の内面における締結部の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
<実施形態1>
図1は本発明の実施形態1における電気機器用筐体の全体斜視図を示す。図2図1の電気機器用筐体において蓋体を開放した状態の説明図を示す。ここでは、説明の都合上、筐体の背面側を下方、正面側を上方に向けた状態を示している。
本発明の実施態様1における電気機器用筐体1は、正面に開口部を有する直方体形状の本体2と、前記開口部を開閉する蓋体3を備える。
前記蓋体3の表面には開閉のための取っ手12が設けられ、前記蓋体3は蝶番13により前記本体2にヒンジ結合されており、前記蓋体3はパチン錠14により前記本体2に固定可能とされている。
【0039】
前記本体2は、1枚の金属板で構成される断面矩形状の本体胴部21と、他の1枚の金属板で構成され前記本体胴部21の背面側を塞ぐ本体背面部22を備える。
前記本体胴部21は、正面側の前板部211、側板部212及び背面側フランジ板部213を有し、前記前板部211は中央に開口を有する矩形状であって前記開口の内周縁にはパッキン15が装着され、前記側板部212は前記前板部211の周縁部分を折り曲げて形成され、前記背面側フランジ板部213は前記側板部212の背面側部分を内側へ折り曲げて前記前板部211と略平行に枠状に形成される。
前記本体背面部22は、前記本体胴部21の前記背面側フランジ板部213の背後に固定される。
【0040】
前記蓋体3は、1枚の金属板で構成される蓋部31と側部32を有し、前記蓋部31は矩形状であり、前記側部32は前記蓋部31の周縁部分を折り曲げて形成される。
また、前記蓋体3はフランジ部33を有し、前記フランジ部33は前記各側部32の先端側部分を内側へ折り曲げて前記蓋部31と略平行に枠状に形成される。
【0041】
[蓋体]
図3図1の電気機器用筐体の蓋体の展開図を示す。
前記蓋体3の展開図において、前記蓋部31の対向する二辺311,311には第1側片321が連設され、前記蓋部31の他の対向する二辺312,312には第2側片322が連設され、前記各第2側片322の両側端部には第3側片323が連設される。
【0042】
また、前記各第1側片321には第1フランジ片331が連設され、前記各第2側片322には第2フランジ片332が連設され、前記各第3側片323には第3フランジ片333が連設される。
【0043】
さらに、前記各第1フランジ片331には第4フランジ片3312が連設され、前記各第2フランジ片332には第5フランジ片3322が連設される。
そして、前記各第4フランジ片3312には第4側片3212が連設される。
【0044】
ここで、前記蓋体3の展開図において、前記各第1側片321と前記各第3側片323の間には、前記対向する二辺311,311の側の第1側部32Aを形成するにあたり前記蓋部31の隅角部(四隅)であって隣り合う二辺311,312の交差部(交点)を起点として互いの端面同士が当接する形状に切り欠いた部分を設けることとし、ここではV字形の切欠部34が形成されている。
【0045】
また、前記各第4側片3212は、前記各第1側片321と前記各第3側片323の端面同士が当接する部分の内側に重合するように形成されている。
【0046】
なお、前記蓋部31には、前記取っ手12を形成するための取っ手用開口35が設けられている。
【0047】
図4図3の展開図を折り曲げて蓋体を製作する手順の説明図を示す。ここでは、一つの隅部における曲げ加工の様子を示す。なお、図中のr1~r8は折り曲げ線を示す。
前記蓋体3は、例えば以下の手順で折曲げ装置により曲げ加工され成形される。
(手順1、2)
前記蓋部31の他の対向する二辺312,312の側において、第5フランジ片3322を折り曲げ線r1に沿って内側へ折り曲げ、第2フランジ片332上に折り込む。
(手順3)
前記第2フランジ片332を折り曲げ線r2に沿って内側へ折り曲げるとともに、第3フランジ片333を折り曲げ線r3に沿って内側へ折り曲げる。
【0048】
(手順4、5)
前記蓋部31の対向する二辺311,311の側において、第4フランジ片3312及び第4側片3212を折り曲げ線r4に沿って内側に折り曲げ、第1フランジ片331及び第1側片321上に折り込む。
(手順6)
前記第1フランジ片331及び前記第4フランジ片3312を折り曲げ線r5に沿って内側に折り曲げる。
(手順7)
前記第1側片321を折り曲げ線r6に沿って内側へ折り曲げるとともに、第3側片323を折り曲げ線r7に沿って内側へ折り曲げる。
【0049】
(手順8)
前記蓋部31の他の対向する二辺312,312の側において、第2側片322を折り曲げ線r8に沿って内側へ折り曲げる。
【0050】
図5は蓋体の隅部における重合部分の説明図であって、図4の手順8において第2側片を曲げ加工する前後の状態を示す。
図5に示すように、前記蓋部31の隣り合う二辺311,312であって一辺311の側に形成される第1側部32Aは、前記一辺311に連設される第1側片321と、他辺312に連設される第2側片322のさらに前記一辺側の側端部に連設される第3側片323を、前記二辺311,312の交差部(交点)k1を起点として端面同士を突き合わせ当接させて面一状に構成される。
したがって、前記蓋体3は、各側部32上に板材端部の板厚(端面)が外観として現れることがないため見栄えが良く外観品質に優れる。
【0051】
また、前記蓋体3は、前記第1側片321と前記第3側片323の端面同士の突き合わせ部分の内面側に第4側片3212を重合させるので、前記突き合わせ部分の隙間を内側から塞いだ状態となり気密性が向上する。
さらに、前記蓋体3は、前記一辺311の側に形成される前記第1側部32Aが、前記第1側片321と前記第4側片3212の二重壁構造となり強度が向上するため、前記金属板の板厚を薄くすることで軽量化することができる。
【0052】
図5に示すように、前記蓋部31の隣り合う二辺311,312であって前記一辺311の側に形成される第1フランジ部33Aは、前記第1側片321の先端に連設される第1フランジ片331と、前記第3側片323に連設される第3フランジ片333を、前記第1側片321と前記第3側片323の端面同士の突き合わせ部分に連続して端面同士を突き合わせ当接させて面一状に構成される一方で、前記第1フランジ部33Aと前記他辺312の側に形成される第2フランジ部33Bは、前記第3フランジ片333と、前記第2側片322の先端に連設される第2フランジ片332を、前記第1側部32Aと前記他辺312の側に形成される第2側部32Bの両先端部分に形成される隣り合う二辺(ニ稜線)の交差部(交点)k2を起点として端面同士を突き合わせ当接させて面一状に構成される。
そのため、前記蓋体3は、前記各フランジ部33上においても板材端部の板厚(端面)が外観として現れることがないため見栄えが良く外観品質に優れる。
【0053】
また、前記蓋体3は、前記第1フランジ片331と前記第3フランジ片333の端面同士の突き合わせ部分、及び前記第3フランジ片333と前記第2フランジ片332の端面同士の突き合わせ部分の内面側に、前記第4フランジ片3312を重合させるので、前記各突き合わせ部の隙間を内側から塞いだ状態となり気密性が向上する。
さらに、前記蓋体3は、前記第1フランジ部33Aが前記第1フランジ片331と前記第4フランジ片3312、前記第2フランジ部33Bが前記第2フランジ片332と前記第5フランジ片3322の二重壁構造となり強度が向上するため、前記金属板の板厚を薄くすることで軽量化することができる。
【0054】
図5に示すように、前記第4フランジ片3312には第1締結孔381、前記第2フランジ片332には第2締結孔382がそれぞれ形成されており、前記蓋体3は、前記第2フランジ片332と前記第4フランジ片3312の重合部分を締結部として前記第1フランジ部33Aと前記第2フランジ部33Bをリベット等の締結手段により締結することができる。その際、前記第3フランジ片333は前記締結手段の頭部で前記第4フランジ片3312に押圧固定することができる。
前記蓋体3は、前記第1フランジ部33Aと前記第2フランジ部33Bが、前記第2フランジ片332と前記第4フランジ片3312の重合部分を締結部としてリベット等の締結手段により締結されるので、前記締結部が前記蓋体3の内面側に位置しリベット等の締結手段が外観に露出しないため見栄えが良く外観品質に優れる。
【0055】
[本体]
図6図1の電気機器用筐体の本体胴部の展開図を示す。
前記本体胴部21の展開図において、前記前板部211の対向する二辺2111,2111には第1側板片2121が連設され、前記前板部211の他の対向する二辺2112,2112には第2側板片2122が連設され、前記各第2側板片2122の両側端部には第3側板片2123が連設される。
【0056】
また、前記各第1側板片2121の両側端部には第1側板締結片2141が連設され、前記各第1側板締結片2141の側端部には折込片215が連設される。
さらに、前記各第3側板片2123の側端部には第2側板締結片2142が連設され、前記各第2側板締結片2142の側端部には第3側板締結片21422が連設され、前記各第3側板締結片21422の側端部には第4側板片21232が連設される。
【0057】
他方、前記各第1側板片2121には第1背面側フランジ板片2131が連設され、前記各第2側板片2122には第2背面側フランジ板片2132が連設される。
【0058】
ここで、前記本体胴部21の展開図において、前記各第1側板片2121と前記各第3側板片2123の間には、前記対向する二辺2111,2111の側の第1側板部212Aを形成するにあたり前記前板部211の隅角部(四隅)であって隣り合う二辺2111,2112の交差部(交点)を起点として互いの端面同士が当接する形状に切り欠いた部分を設けることとし、ここではV字形の切欠部24が形成されている。
【0059】
また、前記各第4側板片21232は、前記各第1側板片2121と前記各第3側板片2123の端面同士が当接する部分の内側に重合するように形成されている。
【0060】
図7図6の展開図を折り曲げて本体胴部を製作する手順の説明図を示す。ここでは、一つの隅部における曲げ加工の様子を示す。なお、図中のt1~t9は折り曲げ線を示す。
前記本体胴部21は、例えば以下の手順で折曲げ装置により曲げ加工され成形される。
(手順1)
前記本体胴部21の対向する二辺2111の側において、第1背面側フランジ板片2131を折り曲げ線t1に沿って内側へ折り曲げる。
(手順2、3)
第3側板締結片21422及び第4側板片21232を折り曲げ線t2に沿って内側へ折り曲げ、第3側板片2123及び第2側板締結片2142上に折り込む。
(手順4)
前記第3側板締結片21422及び前記第2側板締結片2142を折り曲げ線t3に沿って内側へ折り曲げる。
【0061】
(手順5、6)
折込片215を折り曲げ線t4に沿って内側へ折り曲げ、第1側板締結片2141上に折り込む。
(手順7)
前記第1側板締結片2141を折り曲げ片t5に沿って内側へ折り曲げる。
(手順8)
第1側板片2121を折り曲げ線t6に沿って内側へ折り曲げるとともに、前記第3側板片2123を折り曲げ線t7に沿って内側へ折り曲げる。
(手順9)
第2背面側フランジ板片2132を折り曲げ線t8に沿って内側へ折り曲げる。
(手順10)
第2側板片2122を折り曲げ線t9に沿って内側へ折り曲げる。
【0062】
図8は本体胴部の前板部側の隅部における重合部分の説明図であって、図7の手順10において第2側板片を曲げ加工する前後の状態を示す。また、図9は本体胴部の内面における締結部の説明図であり、左側には正面側を上方に向けた状態の本体胴部の斜視図、右側にはA部拡大図を示す。
図8に示すように、前記本体胴部21における前記前板部211の隣り合う二辺2111,2112であって一辺2111の側に形成される第1側板部212Aは、前記一辺2111に連設される第1側板片2121と、他辺2112に連設される第2側板片2122のさらに前記一辺側の側端部に連設される第3側板片2123を、前記二辺2111,2112の交差部(交点)k3を起点として端面同士を突き合わせ当接させて面一状に構成される。
したがって、前記本体胴部21は、各側板部212上に板材端部の板厚(端面)が外観として現れることがないため見栄えが良く外観品質に優れる。
【0063】
また、前記本体胴部21は、前記第1側板片2121と前記第3側板片2123の端面同士の突き合わせ部分の内面側に、前記第3側板片2123の側端部の側に連設される第4側板片21232を重合させるので、前記突き合わせ部分の隙間を内側から塞いだ状態となり気密性が向上する。
さらに、前記本体胴部21は、前記一辺2111の側に形成される前記第1側板部212Aが、前記他辺2112側の端部において二重壁構造となり強度が向上するため、前記金属板の板厚を薄くすることで軽量化することができる。
【0064】
図9に示すように、前記本体胴部21は、前記第1側板部212Aの内面側に、前記第1側板片2121の側端部に連設される前記第1側板締結片2141と、前記第3側板片2123の側端部に連設される第2側板締結片2142及び前記第2側板締結片2142の側端部に連設される第3側板締結片21422を折り曲げ重合してなる二重締結片を柱状に重合させる。そして、前記第1側板締結片2141には第1締結孔281、前記二重締結片には第2締結孔282がそれぞれ形成されており、前記柱状の重合部分を締結部として前記第1側板片2121と前記第3側板片2123をリベット等の締結手段により締結する。
そのため、前記本体胴部21は、前記柱状の締結部によりねじれに対する強度が向上する。
また、前記本体胴部21は、前記締結部が内面側に位置しリベット等の締結手段が外観に露出しないため見栄えが良く外観品質に優れる。
【0065】
ここで、前記本体背面部22は、前記蓋体3と同様の構成であり、1枚の金属板の曲げ加工により構成することができる。
そして、前記本体胴部21と前記本体背面部22は、前記本体胴部21の前記背面側フランジ板部213と前記本体背面部22のフランジ部を重合させた重合部分を締結部としてリベット等の締結手段により締結することができる。
前記本体2は、前記本体胴部21の前記背面側フランジ板部213と前記本体背面部22のフランジ部との締結部が内面側に位置し前記締結手段が外観に露出しないため見栄えが良く外観品質に優れる。
【0066】
前記本体背面部22は、筐体1の背面を構成する背面板221を有し、前記本体背面部22の展開板を切り抜き加工等により作成する際、前記背面板221の内側表面に電気機器の組み付け位置や前記電気機器の名称等、電気機器を組み付けるために必要な作業情報を加工し表示することができる。
前記背面板221に電気機器を組み付けるために必要な作業情報が予め加工表示されていれば、作業者は図面を見ながら電気機器の組み付け作業を行う必要がなく作業性が向上する。
【0067】
また、前記本体背面部22を前記本体胴部21の前記背面側フランジ板部213に固定するに先立ち、前記背面板221に電気機器を組み付けることができる。
前記背面板221の内側面に電気機器を組み付けた後に前記本体背面部22を前記本体胴部21の前記背面側フランジ板部213の背後に固定することとすれば、前記電気機器を組み付ける中板が不要となり作業工程が簡素化されるとともに、前記中板を前記本体2の内部に正面側の開口部から装着する場合に比べ前記背面板221の表面を広く活用できるため多数の電気機器を組み付けることができる。
【0068】
前記本体胴部21は、展開板の作成時に前記前板部211の開口を形成することに代えて、前記前板部211に開口部として取り除く部分を、切り欠き部と繋ぎ部により切り離し可能に一体に形成しておくことができる。
前記本体胴部21を構成する金属板の略中央部分に、予め切り欠き部と繋ぎ部により構成される切り離し部分が形成されており、前記金属板を曲げ加工して前記側板部212及び前記背面側フランジ板部213を形成した後に前記切り離し部分を取り除き、前記前板部211に前記開口を形成することとすれば、前記本体胴部21の折り曲げ成形を容易に行えるとともに、前記切り離し部分を人手で取り除くことで前記開口を簡単に形成することができる。
【0069】
なお、上記本発明の実施形態において、前記本体背面部22は、前記蓋体3と同様の構成であり、1枚の金属板の曲げ加工により構成するものとしたが、矩形状の1枚の金属板で構成することもできる。
その場合も、前記本体2は、前記本体胴部21の前記背面側フランジ板部213と前記本体背面部22との締結部が裏面側に位置し締結手段が外観に現れないため見栄えが向上する。
【0070】
<実施形態2>
図10は本発明の実施形態2における電気機器用筐体の全体斜視図を示す。図11図10の電気機器用筐体において蓋体を開放した状態の説明図を示す。ここでは、説明の都合上、筐体の背面側を下方、正面側を上方に向けた状態を示している。
本発明の実施態様2における電気機器用筐体5は、正面に開口部を有する直方体形状の本体6と、前記開口部を開閉する蓋体7を備える。
前記蓋体7の表面には開閉のための取っ手52が設けられ、前記蓋体7は蝶番53により前記本体6にヒンジ結合されており、前記蓋体7はパチン錠54により前記本体6に固定可能とされている。
【0071】
前記本体6は、1枚の金属板で構成される背板部61、側板部62、及び正面側フランジ板部63を有し、前記背板部61は矩形状であり、前記側板部62は前記背板部61の周縁部分を内側へ折り曲げて形成され、前記正面側フランジ板部63は前記側板部62の先端側部分を内側へ折り曲げて前記背板部61と略平行に枠状に形成される。
前記本体6は、前記正面側フランジ板部63の内側に開口を有し、前記開口の内周縁にはパッキン55が装着される。
なお、前記蓋体7は、実施形態1と同様であり、ここでの説明は省略する。
【0072】
図12図10の電気機器用筐体の本体の展開図を示す。図13は本体の内面における締結部の説明図であって、左側に本体の斜視図、右側にB部拡大図を示す。
本発明の実施形態2において、前記本体6は、実施形態1の本体胴部21における正面側を背面側とするものであり、背面側を正面側とするものである。そのため、図13に示す説明図は、実施形態1において図9に示す説明図の正面側と背面側を逆にしたものに相当する。
【0073】
図12に示すように、前記本体6の展開図において、前記背板部61の対向する二辺611,611には第1側板片621が連設され、前記背板部61の他の対向する二辺612,612には第2側板片622が連設され、前記各第2側板片622の両側端部には第3側板片623が連設される。
【0074】
また、前記各第1側板片621の両側端部には第1側板締結片641が連設され、前記各第1側板締結片641の側端部には折込片65が連設される。
さらに、前記各第3側板片623の側端部には第2側板締結片642が連設され、前記各第2側板締結片642の側端部には第3側板締結片6422が連設され、前記各第3側板締結片6422の側端部には第4側板片6232が連設される。
【0075】
他方、前記各第1側板片621には第1正面側フランジ板片631が連設され、前記各第2側板片622には第2正面側フランジ板片632が連設される。
【0076】
ここで、前記本体6の展開図において、前記各第1側板片621と前記各第3側板片623の間には、前記対向する二辺611,611の側の第1側板部62Aを形成するにあたり前記背板部61の隅角部(四隅)であって隣り合う二辺611,612の交差部(交点)を起点として互いの端面同士が当接する形状に切り欠いた部分を設けることとし、ここではV字形の切欠部66が形成されている。
【0077】
また、前記各第4側板片6232は、前記各第1側板片621と前記各第3側板片623の端面同士が当接する部分の内側に重合するように形成されている。
【0078】
図12に示すように、前記本体6の展開図は、実施形態1において図6に示す本体胴部21の展開図とほぼ同様の構成であり、図12に示す展開図を折り曲げて本体を製作する手順も、実施形態1において図7に示す本体胴部を製作する手順と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0079】
本発明の実施態様2において、前記本体6は、実施形態1の本体胴部21と同様、前記背面部61の隣り合う二辺611,612であって一辺611の側に形成される第1側板部62Aが、前記一辺611に連設される第1側板片621と、他辺612に連設される第2側板片622のさらに前記一辺側の側端部に連設される第3側板片623を、前記二辺611,612の交差部(交点)k4を起点として端面同士を突き合わせ当接させて面一状に構成される。
したがって、前記本体6は、各側板部62上に板材端部の板厚(端面)が外観として現れることがないため見栄えが良く外観品質に優れる。
【0080】
また、前記本体6は、実施形態1の本体胴部21と同様、前記第1側板片621と前記第3側板片623の端面同士の突き合わせ部分の内面側に、前記第3側板片623の側端部の側に連設される第4側板片6232を重合させるので、前記突き合わせ部分の隙間を内側から塞いだ状態となり気密性が向上する。
さらに、前記本体6は、実施形態1の本体胴部21と同様、前記一辺611側に形成される第1側板部62Aが前記他辺612側の端部において二重壁構造となり強度が向上するため、前記金属板の板厚を薄くすることで軽量化することができる。
【0081】
図13に示すように、前記本体6は、実施形態1の本体胴部21と同様、前記第1側板部62Aの内面側に、前記第1側板片621の側端部に連設される前記第1側板締結片641と、前記第3側板片623の側端部に連設される第2側板締結片642及び前記第2側板締結片642の側端部に連設される第3側板締結片6422を折り曲げ重合してなる二重締結片を柱状に重合させる。そして、前記第1側板締結片641には第1締結孔、前記二重締結片には第2締結孔がそれぞれ形成されており、前記柱状の重合部分を締結部として前記第1側板片621と前記第3側板片623をリベット等の締結手段により締結する。
そのため、前記本体6は、前記柱状の締結部によりねじれに対する強度が向上する。
また、前記本体6は、前記締結部が内面側に位置しリベット等の締結手段が外観に露出しないため見栄えが良く外観品質に優れる。
【0082】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものでなく、発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、その構成を適宜変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明の電気機器用筐体は、見栄えが良く外観品質に優れるものであり、極めて有用である。
【符号の説明】
【0084】
1 電気機器用筐体
2 本体
21 本体胴部
211 前板部
212 側板部
212A 第1側板部
212B 第2側板部
2121 第1側板片
2122 第2側板片
2123 第3側板片
21232 第4側板片(重合用側板片)
213 背面側フランジ板部
2131 第1背面側フランジ板片
2132 第2背面側フランジ板片
2141 第1側板締結片
2142 第2側板締結片
21422 第3側板締結片
215 折込片
22 本体背面部
221 背面板
24 切欠部
281 第1締結孔
282 第2締結孔
3 蓋体
31 蓋部
32 側部
32A 第1側部
32B 第2側部
321 第1側片
322 第2側片
323 第3側片
3212 第4側片(重合用側片)
33 フランジ部
33A 第1フランジ部
33B 第2フランジ部
331 第1フランジ片
332 第2フランジ片
333 第3フランジ片
3312 第4フランジ片(重合用フランジ片)
3322 第5フランジ片
34 切欠部
381 第1締結孔
382 第2締結孔
5 電気機器用筐体
6 本体
61 背板部
62 側板部
62A 第1側板部
62B 第2側板部
621 第1側板片
622 第2側板片
623 第3側板片
6232 第4側板片(重合用側板片)
63 正面側フランジ板部
631 第1正面側フランジ板片
632 第2正面側フランジ板片
641 第1側板締結片
642 第2側板締結片
6422 第3側板締結片
65 折込片
66 切欠部
7 蓋体
k1~k4 交差部
r1~r8 折り曲げ線
t1~t9 折り曲げ線

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13