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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022117078
(43)【公開日】2022-08-10
(54)【発明の名称】プレス加工方法及び油圧プレス機
(51)【国際特許分類】
   B21D 22/20 20060101AFI20220803BHJP
   B21D 24/00 20060101ALI20220803BHJP
   B21D 28/16 20060101ALI20220803BHJP
【FI】
B21D22/20 H
B21D24/00 M
B21D28/16
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021013570
(22)【出願日】2021-01-29
(71)【出願人】
【識別番号】591077704
【氏名又は名称】東亜工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107906
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 克彦
(72)【発明者】
【氏名】岩沼 忠士
(72)【発明者】
【氏名】清水 太一
【テーマコード(参考)】
4E048
4E137
【Fターム(参考)】
4E048GA06
4E137AA06
4E137BA01
4E137BB01
4E137CA09
4E137CA26
4E137DA03
4E137EA05
4E137EA23
4E137GA03
4E137HA05
(57)【要約】
【課題】切断刃を抜き上げた状態で、ワークを上下金型の間に挟んだまま安定に冷却保持することができるプレス加工方法を提供する。
【解決手段】高温に加熱されたワークWを下金型6に載置する。次に、加圧プレート2を下動させることより、ワークWを上金型4と下金型6との間に挟んで成形加工するとともに、ピアス刃3でワークWに孔部Hを開ける。次に、加圧プレート2を上動させることによりピアス刃3をワークWの孔部Hから抜き上げる。次に、加圧プレート2の下端面21と上金型4との上端面45の間に隙間に加圧ブロック7を挿入する。そして、加圧プレート2を再び下動させ、加圧ブロック7を介して、上金型4を再加圧することでワークWを上金型4と下金型6との間に挟んで冷却保持する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧シリンダーと、この油圧シリンダーにより上下動される加圧プレートと、この加圧プレートに取り付けられた切断刃と、この加圧プレートに弾性体を介して取り付けられた上金型と、ワークが載置される下金型と、加圧ブロックと、を備える油圧プレス機を用いてワークを加工するプレス加工方法であって、
前記下金型に加熱されたワークを載置する工程と、
前記加圧プレートを下動させて前記上金型を加圧し、前記ワークを前記上金型と前記下金型との間に挟んで成形加工するとともに、前記切断刃で前記ワークを切断加工する工程と、
前記加圧プレートを上動させることにより前記切断刃を前記ワークから抜き上げる工程と、
前記切断刃を前記ワークから抜き上げた後に、前記加圧プレートの下端面と前記上金型との上端面の間に前記加圧ブロックを挿入する工程と、
前記加圧ブロックを介して前記加圧プレートにより前記上金型を再加圧することで前記ワークを前記上金型と前記下金型との間に挟んで冷却保持する工程と、を備えることを特徴とするプレス加工方法。
【請求項2】
油圧シリンダーと、
前記油圧シリンダーにより駆動される加圧プレートと、
前記加圧プレートに取り付けられた切断刃と、
前記加圧プレートに弾性体を介して取り付けられた上金型と、
ワークが載置される下金型と、
前記加圧プレートの下面に取り付けられた加圧ブロックと、
前記上金型の上端面に設けられ、前記加圧ブロックを収納可能な凹部と、
前記加圧ブロックを前記加圧プレートの下端面と前記上金型の前記凹部の外側の上端面との間に挿入するように駆動し、前記加圧ブロックとともに前記凹部に収納可能な駆動手段と、を備えることを特徴とする油圧プレス機。
【請求項3】
前記加圧ブロックは前記凹部の側壁に当接するストッパー部を備えることを特徴とする請求項2に記載の油圧プレス機。
【請求項4】
前記駆動手段は、モーターと、このモーターによって水平方向に駆動される駆動シャフトと、を備え、前記駆動シャフトの先端部は前記加圧ブロックに接続されていることを特徴とする請求項2または3に記載の油圧プレス機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレス加工方法及び油圧プレス機に関する。
【背景技術】
【0002】
熱間プレスを用いて車体部品等の構造体を製造する方法が知られている。熱間プレスでは、鋼板をオーステナイト変態温度以上の高温に加熱し、この鋼板を上下の金型の間に挟んでプレス成形加工を行い、それと同時に金型による冷却保持により鋼板の金属組織をオーステナイトからマルテンサイトに変態せしめることで、鋼板の焼入れを行う。
【0003】
このような熱間プレスで製造された構造体(熱間プレス製品)において、孔開け加工や、トリミング加工をプレス加工で行うと、残留応力による遅れ破壊が発生する懸念がある。
【0004】
そこで、熱間プレス成形加工と同時に金型内において切断刃で孔開け加工や、トリミング加工を行う方法が知られている。この方法によれば、鋼板の温度が高く強度の低い状態での孔開け加工等が可能になることから、残留応力は小さく、遅れ破壊は発生することはない。
【0005】
しかしながら、切断刃が鋼板の孔に挿入されている状態で、鋼板を冷却保持すると、鋼板が収縮して孔が縮径し、切断刃は縮径した孔に拘束される。このため、切断刃を鋼板から分離することが困難となり、切断刃を分離しようとすると鋼板や切断刃が破損するといった問題がある。
【0006】
特許文献1には、熱間プレスを用いる孔開け加工方法であって、切断刃で開けた孔の周囲に、孔を拡径させる凹凸部を形成することにより、冷却により鋼板が収縮しても、切断刃が孔に拘束されることがなく、切断刃を容易に分離することができるようにしたものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2014-18801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載された方法では、孔の周囲に凹凸部が残存するという問題がある。このため、孔の周囲に締結具等の部品を溶接で取り付けるのが困難になる。
【0009】
また、切断刃で孔を開けた直後に切断刃を孔から抜き上げれば、切断刃が孔に拘束されることを防ぐことができる。しかしながら切断刃を抜き上げた状態で鋼板を上下金型の間に挟んだまま冷却保持する必要があるため、それを可能とする方法が必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題に鑑み、本発明のプレス加工方法は、油圧シリンダーと、この油圧シリンダーにより上下動される加圧プレートと、この加圧プレートに取り付けられた切断刃と、この加圧プレートに弾性体を介して取り付けられた上金型と、ワークが載置される下金型と、加圧ブロックと、を備える油圧プレス機を用いてワークを加工するプレス加工方法であって、
前記下金型に加熱されたワークを載置する工程と、前記加圧プレートを下動させて前記上金型を加圧し、前記ワークを前記上金型と前記下金型との間に挟んで成形加工するとともに、前記切断刃で前記ワークを切断加工する工程と、前記加圧プレートを上動させることにより前記切断刃を前記ワークから抜き上げる工程と、前記切断刃を前記ワークから抜き上げた後に、前記加圧プレートの下端面と前記上金型との上端面の間に前記加圧ブロックを挿入する工程と、前記加圧ブロックを介して前記加圧プレートにより前記上金型を再加圧することで前記ワークを前記上金型と前記下金型との間に挟んで冷却保持する工程と、を備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の油圧プレス機は、油圧シリンダーと、前記油圧シリンダーにより駆動される加圧プレートと、前記加圧プレートに取り付けられた切断刃と、前記加圧プレートに弾性体を介して取り付けられた上金型と、ワークが載置される下金型と、前記加圧プレートの下面に取り付けられた加圧ブロックと、前記上金型の上端面に設けられ、前記加圧ブロックを収納可能な凹部と、前記加圧ブロックを前記加圧プレートの下端面と前記上金型の前記凹部の外側の上端面との間に挿入するように駆動し、前記加圧ブロックとともに前記凹部に収納可能な駆動手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、切断刃を抜き上げた状態で、加圧プレートと上金型との間に加圧ブロックを挿入して上金型を再加圧することにより、ワークを上下金型の間に挟んだまま安定に冷却保持することができる。
【0013】
特に、切断刃を抜き上げて油圧シリンダーを停止させた状態では、弾性体の反発力から与えられる冷却保持加圧力に十分に対応できない油圧プレス機であっても、これに十分対応することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係るプレス加工方法の概要を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係るプレス加工方法の工程を示す図である。
図3】本発明の実施形態に係るプレス加工方法の工程を示す図である。
図4】本発明の実施形態に係るプレス加工方法の工程を示す図である。
図5】本発明の実施形態に係る加圧プレートのスライド高さの推移を示す図である。
図6】本発明の実施形態に係るプレス加工方法の工程図である。
図7】比較例に係るプレス加工方法の工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
先ず、本発明の実施形態に係るプレス加工方法の概要を図1に基づいて説明する。図1において、(a)は載置工程、(b)は成形/切断加工工程、(c)はピアス刃抜き上げ/加圧ブロック挿入工程をそれぞれ示す。
【0016】
このプレス加工方法に用いられる油圧プレス機100は、油圧シリンダー1と、この油圧シリンダー1のスライドによりスライド(上下動)される加圧プレート2を備える。この加圧プレート2にはピアス刃3が取り付けられている。ピアス刃3は切断刃の一例であって、加圧プレート2の下端面に固定された円筒状のベース31の先端部に取り付けられ、円形端面を有している。
【0017】
上金型4は、第1の弾性体5を介して加圧プレート2に取り付けられており、加圧プレート2の上下動に伴って可動になっている。第1の弾性体5は例えば、ガススプリングである。
【0018】
下金型6は固定型であり、この上面(成形面)にワークW(鋼板)が載置される。この下金型6は、ピアス刃3の下方に穴部61を備えている。また、加圧ブロック7を加圧プレート2の下端面と上金型4の上端面との間に挿入するように駆動する駆動手段8が設けられている。
【0019】
この場合、上金型4は、金型ベース部41、この金型ベース部41に交換可能に固定された成形金型部42、及び下金型6に載置されたワークWの上面を抑えるパッド43を備えている。パッド43は、第2の弾性体44を介して金型ベース部41に取り付けられている。
【0020】
次に、このプレス機100を用いたプレス加工方法を説明する。先ず、図1(a)に示すように、加圧プレート2を上死点に保持した状態で、予めオーステナイト変態温度以上の高温に加熱されたワークW(鋼板)を下金型6に載置する。
【0021】
次に、図1(b)に示すように、油圧シリンダー1により加圧プレート2(及び上金型4)を下死点まで下動させて上金型4を加圧し、ワークWを上金型4と下金型6との間に挟んで成形加工するとともに、ピアス刃3でワークWに孔部Hを開ける。この時、パッド43はワークWが動かないように、その上面を抑えている。また、ピアス刃3によって孔開けされたワークWの破片Dは穴部61に落とし込まれる。
【0022】
次に、図1(c)に示すように、ピアス刃3でワークWに孔部Hを開けた直後に、加圧プレート2を少し上動させることによりピアス刃3をワークWの孔部Hから抜き上げる。ピアス刃3をワークWから抜き上げると、加圧プレート2の下端面と上金型4との上端面の間に隙間が生じる。そこで、この隙間に加圧ブロック7を挿入する。この場合、加圧ブロック7は駆動手段8により駆動される。
【0023】
そして、加圧プレート2を再び下動させ、加圧ブロック7を介して、加圧プレート2により上金型4を再加圧することでワークWを上金型4と下金型6との間に挟んで冷却保持する。
【0024】
次に、比較例を図7に基づいて説明する。図7において、(a)は載置工程、(b)は成形/切断加工工程、(c)はピアス刃抜き上げ工程をそれぞれ示す。このプレス加工方法に用いられる油圧プレス機100Aは、加圧ブロック7を備えていない。
【0025】
(a)載置工程、(b)成形/切断加工工程については、本発明のプレス加工方法と全く同じである。図7(c)に示すように、油圧シリンダー1のスライドにより、加圧プレート2を上動させることによりピアス刃3をワークWの孔部Hから抜き上げる。そして、ピアス刃3をワークWから抜き上げ、油圧シリンダー1のスライドを途中で停止させた状態で、第1の弾性体5の反発力により上金型4を加圧し、ワークWを上金型4と下金型6との間に挟んで冷却保持する。
【0026】
この場合、油圧プレス機100Aでは、その油圧シリンダー1は第1の弾性体5を介した下金型6からの反力に耐えることができず、第1の弾性体5の必要な反発力を保ったまま、加圧プレート2のスライド高さを維持することは難しい。言い換えれば、油圧シリンダー1を上昇途中で停止させた状態においては、油圧回路を閉じて油圧シリンダー1を停止させているだけなので、そのような状態では油圧シリンダー1は下金型6からの強い反力には耐えられない。このため、油圧プレス機100Aでは、ワークWを安定に冷却保持することができない。
【0027】
プレス機100Aの代わりにサーボ式プレス機を用いれば、どのスライド高さでも自在に上金型4に力をかけることができる為、ピアス抜き高さ(ピアス刃3を抜き上げた状態でのスライド高さ)においても第1の弾性体5の反力に対応可能であるが、投資コストが大きいという問題がある。
【0028】
これに対して、本発明の実施形態によるプレス加工方法によれば、加圧ブロック7を挿入して再加圧することにより、油圧シリンダー1のスライドを途中で停止させた状態では、第1の弾性体5の反発力から与えられる冷却保持加圧力に対応できない油圧プレス機100であっても、ピアス刃3を抜き上げた状態でワークWを安定に冷却保持することができる。また、油圧プレス機100は、サーボ式プレス機に比して安価であるため、投資コストを低減することができる。
【0029】
なお、他の比較例として、サーボ式プレス機に金型冷却保持用に別の油圧駆動ユニットを搭載し、ピアス刃3を抜き上げた状態で金型冷却保持を行うことで、油圧設計次第で金型保持力を自由にコントロールすることができるが、投資コストが非常に高くなるという問題がある。
【0030】
また、もう一つ他の比較例として、サーボプレス機又は油圧プレス機に、ピアス刃3を駆動する別の油圧駆動ユニットを搭載し、プレスによりワークWを下死点で成形してそのまま冷却保持し、別の油圧駆動ユニットでピアス刃3を動作させ孔部Hを開けた直後に、別の油圧駆動ユニットを戻してピアス刃3を抜き上げる方法も考えられる。
【0031】
しかしながら、ピアス刃3が金型内で動作するための摺動機構が必要となる、また、その熱膨張の影響も考慮する必要があるため、孔部Hの精度ばらつきが大きくなるという問題がある。
【0032】
次に、本発明の実施形態に係るプレス加工方法及び油圧プレス機の詳細を図2図6に基づいて説明する。図2において、(a)は載置工程、(b)は成形/切断加工工程、(c)はピアス刃抜き上げ工程をそれぞれ示す。(a’)~(c’)は各工程における加圧ブロック周辺の拡大図である。
【0033】
図3において、(a)は加圧ブロック挿入工程、(b)は再加圧/冷却工程、(c)は型開き工程をそれぞれ示す。(a’)~(c’)は各工程における加圧ブロック周辺の拡大図である。図4において、(a)は加圧ブロックのリターン工程、(a’)はこの工程における加圧ブロック周辺の拡大図である。また、図5は加圧プレート2のスライド高さの推移を示す図である。図6は、本発明の実施形態に係るプレス加工方法の工程図である。
【0034】
このプレス加工方法に用いられる油圧プレス機100では、上金型4の上端面に凹部Cが設けられている。この凹部Cには加圧ブロック7及び駆動手段8が収納可能になっている。
【0035】
駆動手段8は、加圧プレート2の下端面に取り付けられており、加圧ブロック7を加圧プレート2の下端面21と上金型4の凹部Cの外側の上端面45との間に挿入するように水平方向に駆動する。駆動手段8は、モーター81と、このモーター81によって水平方向に駆動される駆動シャフト82を備えている。駆動シャフト82の先端部は加圧ブロック7に接続されている。また、モーター81の代わりにエアーシリンダー等を用いても良い。
【0036】
加圧ブロック7は、駆動手段8により水平移動された時に凹部Cの側壁C1に当接するストッパー部71を備えている。ストッパー部71は、加圧ブロック7の本体から下方に突出している。その他の構成は、上述の油圧プレス機100と同様である。
(加熱工程S1)
熱間プレス加工方法では、先ず、ワークW(鋼板)をオーステナイト変態温度以上の高温(例えば、1000℃)に加熱する。
【0037】
(載置工程S2)
次に、図2(a)に示すように、加圧プレート2を上死点に保持した状態で、加熱されたワークWを下金型6に載置する。この時、(a’)に示すように、加圧ブロック7及び駆動手段8は凹部Cの上方に位置している。
【0038】
(成形/切断加工工程S3)
次に、図2(b)に示すように、油圧シリンダー1のスライドにより加圧プレート2を下死点まで下動させて上金型4を加圧し、ワークWを上金型4と下金型6との間に挟んで成形加工するとともに、ピアス刃3でワークWに孔部Hを開ける。また、ピアス刃3によって孔開けされたワークWの破片Dは穴部61に落とし込まれる。この時、(b’)に示すように、加圧ブロック7及び駆動手段8は上金型4の凹部Cに収納されるので、上金型4と干渉することはない。
【0039】
(ピアス刃抜き上げ工程S4)
次に、図2(c)に示すように、ピアス刃3でワークWに孔部Hを開けた直後に、加圧プレート2を少し上動させることによりピアス刃3をワークWの孔部Hから抜き上げる。この時、(c’)に示すように、加圧ブロック7及び駆動手段8は上金型4の凹部Cから上昇する。
【0040】
(加圧ブロック挿入工程S5)
次に、図3(a)に示すように、ピアス刃3をワークWから抜き上げ、油圧シリンダー1のスライドを途中で停止させた状態では、加圧プレート2の下端面21と上金型4の凹部Cの外側の上端面45に隙間が生じる。そこで、駆動手段8は、この隙間に加圧ブロック7を挿入するように水平方向に駆動する。この時、(a’)に示すように、ストッパー部71が凹部Cの側壁C1に当接して、加圧ブロック7の水平方向の位置決めがなされる。
【0041】
(再加圧/冷却工程S6)
次に、図3(b)に示すように、油圧シリンダー1のスライドにより加圧プレート2を再び下動させ、加圧ブロック7を介して、加圧プレート2により上金型4を再加圧することでワークWを上金型4と下金型6との間に挟んで冷却保持する。これにより、ワークWが焼き入れされる。この時、(b’)に示すように、加圧ブロック7は、ストッパー部71が凹部Cの側壁C1に当接した状態で、加圧プレート2の下端面21と上金型4の凹部Cの外側の上端面45に隙間に嵌合される。
【0042】
(型開き工程S7)
次に、図3(c)に示すように、油圧シリンダー1のスライドにより加圧プレート2を上死点まで上昇させることで、型開きを行う。この時、図(c’)に示すように、加圧ブロック7は挿入されたままである。
【0043】
(加圧ブロック・リターン工程S8)
次に、図4に示すように、加圧プレート2を上死点まで上昇させた状態で、駆動手段8は加圧ブロック7を逆方向に水平移動させ、元の位置に戻す。
【0044】
なお、上述の実施形態においては、ピアス刃3によりワークWの孔開け加工を行っているが、これに限らず、トリム刃を加圧プレート2に取り付けてワークWのトリミング加工を行うこともできる。
【符号の説明】
【0045】
1 油圧シリンダー
2 加圧プレート
3 ピアス刃
4 上金型
5 第1の弾性体
6 下金型
7 加圧ブロック
8 駆動手段
31 ベース
41 金型ベース部
42 成形金型部
43 パッド
44 第2の弾性体
61 穴部
71 ストッパー部
81 モーター
82 駆動シャフト
C 凹部
100,100A,100B 油圧プレス機
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7