(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022011713
(43)【公開日】2022-01-17
(54)【発明の名称】CO2供給装置およびCO2供給システム
(51)【国際特許分類】
A01G 9/18 20060101AFI20220107BHJP
【FI】
A01G9/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020113030
(22)【出願日】2020-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100203862
【弁理士】
【氏名又は名称】西谷 香代子
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 和則
【テーマコード(参考)】
2B029
【Fターム(参考)】
2B029JA03
(57)【要約】
【課題】適温に調整され、且つ、作物等の育成に十分な濃度に調整されたCO
2を含む燃焼ガスを栽培室内に供給することが可能なCO
2供給装置およびCO
2供給システムを提供する。
【解決手段】CO
2供給装置10は、燃焼によりCO
2を含む燃焼ガスを発生させる燃焼器111と、燃焼ガスと熱媒との間で熱交換を行い、燃焼ガスを冷却する1次熱交換器130と、1次熱交換器を通過した燃焼ガスと熱媒との間で熱交換を行い、燃焼ガスを冷却して潜熱を回収する2次熱交換器140と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
栽培室内にCO2を供給するCO2供給装置であって、
燃焼によりCO2を含む燃焼ガスを発生させる燃焼器と、
前記燃焼ガスと熱媒との間で熱交換を行い、前記燃焼ガスを冷却する1次熱交換器と、
前記1次熱交換器を通過した前記燃焼ガスと熱媒との間で熱交換を行い、前記燃焼ガスを冷却して潜熱を回収する2次熱交換器と、
を備えることを特徴とするCO2供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載のCO2供給装置において、
前記1次熱交換器を通過した前記燃焼ガスは、前記2次熱交換器を通過することにより80℃以下に冷却される、
ことを特徴とするCO2供給装置。
【請求項3】
栽培室内にCO2を供給するCO2供給装置と、
前記CO2供給装置との間で熱媒が循環する放熱器と、
を備えるCO2供給システムであって、
前記CO2供給装置は、
燃焼によりCO2を含む燃焼ガスを発生させる燃焼器と、
前記燃焼ガスと前記熱媒との間で熱交換を行い、前記燃焼ガスを冷却する1次熱交換器と、
前記1次熱交換器を通過した前記燃焼ガスと前記熱媒との間で熱交換を行い、前記燃焼ガスを冷却して潜熱を回収する2次熱交換器と、を備え、
前記放熱器は、
前記1次熱交換器および前記2次熱交換器で前記燃焼ガスから熱を吸収した前記熱媒に対して放熱を行う、
ことを特徴とするCO2供給システム。
【請求項4】
請求項3に記載のCO2供給システムにおいて、
前記燃焼器で発生した前記燃焼ガスは、前記1次熱交換器を通過した後に前記2次熱交換器を通過し、
前記熱媒は、前記放熱器から前記2次熱交換器に向かって流れ、前記2次熱交換器を通過する間に前記燃焼ガスの熱を吸収した後、さらに、前記1次熱交換器を通過する間に前記燃焼ガスの熱を吸収し、前記放熱器に供給されて放熱される、
ことを特徴とするCO2供給システム。
【請求項5】
請求項3または4に記載のCO2供給システムにおいて、
前記放熱器に空気を供給するためのファンを、さらに備え、
前記放熱器は、
前記ファンによって供給される空気と前記熱媒との間で熱交換を行う、少なくとも2つの単位放熱器と、
少なくとも2つの前記単位放熱器を連結する管と、を含む、
ことを特徴とするCO2供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温室、ビニールハウス等の栽培室内にCO2を供給するCO2供給装置およびCO2供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、温室、ビニールハウス等の栽培室内に、作物の育成を促進する目的でCO2を供給するCO2供給装置が知られている。たとえば、このようなCO2供給装置の一例として、特許文献1には、温室の外に小屋を設け、この小屋の中で炭酸ガス発生装置を動作させて燃焼ガスを発生させ、この燃焼ガスを小屋内で大気と混合させて温室内に供給するようにした構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】公開実用新案昭52-161753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成では、燃焼ガスが空気と混ざり合った状態で温室内に供給されるため、燃焼ガスの温度が低下する。しかしながら、燃焼ガスに空気が含まれている分、燃焼ガス中に含まれるCO2の濃度が低下する。このため、ユーザが期待するほどに作物の育成を促進させることが困難となり得る場合がある。一方、冷却しないままの燃焼ガスが温室内に送り込まれた場合、二酸化炭素の濃度は希釈されないが、高温であるため、作物や作業者に害を与えてしまう。
【0005】
そこで、本発明の目的は、適温に調整され、且つ、作物等の育成に十分な濃度に調整されたCO2を含む燃焼ガスを栽培室内に供給することが可能なCO2供給装置およびCO2供給システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、栽培室内にCO2を供給するCO2供給装置に関する。この態様に係るCO2供給装置は、燃焼によりCO2を含む燃焼ガスを発生させる燃焼器と、前記燃焼ガスと熱媒との間で熱交換を行い、前記燃焼ガスを冷却する1次熱交換器と、前記1次熱交換器を通過した前記燃焼ガスと熱媒との間で熱交換を行い、前記燃焼ガスを冷却して潜熱を回収する2次熱交換器と、を備える。
【0007】
上記の構成によれば、熱媒は1次熱交換器と2次熱交換器とを通過するときに、燃焼ガスから熱を吸収するため、燃焼ガスは冷却される。つまり、燃焼ガスは、1次および2次熱交換器によって2回冷却される。このため、燃焼ガスは、燃焼器で発生した当初は非常に高温であるが、1次および2次熱交換器の通過により強く冷却されて、所定の温度(露点温度)まで低下する。
【0008】
また、上記のとおり、燃焼ガスの温度を大きく低下させることができるため、温度を低下させるために燃焼ガスに空気を混合させずに済み、あるいは、空気を混合するとしても格段に少なくて済む。このため、燃焼ガス中のCO2濃度の希釈が抑制される。よって、高濃度のCO2を含んだ燃焼ガスを栽培室内に供給することができる。したがって、この構成によれば、作物の育成を促進できるとともに、作物や作業者が高温環境下に曝される危険性を大いに低減できる。
【0009】
また、燃焼ガスが2次熱交換器を通過して冷却されると、燃焼ガスは露点温度以下となる。このとき、2次熱交換器は燃焼ガスの潜熱を回収する。すなわち、燃焼ガスに含まれる水が凝縮し(凝縮水)、この凝縮水が外部へ排出されることにより、燃焼ガスは除湿された状態で2次熱交換器から排出される。このように、栽培室内に供給される燃焼ガスは、水分量の少ない乾燥した状態である。このため、栽培室内の飽差を適切に調整しやすくなる。
【0010】
本態様に係るCO2供給装置において、前記1次熱交換器を通過した前記燃焼ガスは、前記2次熱交換器を通過することにより80℃以下に冷却されるような構成とされ得る。
【0011】
上記の構成によれば、燃焼器で発生した当初の燃焼ガスは非常に高温であるが、燃焼ガスが1次および2次熱交換器を通過して熱媒に熱が吸収されると、燃焼ガスの温度は80℃以下にまで低下する。このため、栽培室内に供給するための適切な温度にまで冷却する場合に必要な空気の量が少量で済む。よって、燃焼ガス中のCO2濃度の希釈化を抑制することができるため、高濃度のCO2を含む燃焼ガスを栽培室内に供給することができる。
【0012】
本発明の第2の態様は、栽培室内にCO2を供給するCO2供給システムに関する。本態様に係るCO2供給システムは、栽培室内にCO2を供給するCO2供給装置と、前記CO2供給装置との間で熱媒が循環する放熱器と、を備える。前記CO2供給装置は、燃焼によりCO2を含む燃焼ガスを発生させる燃焼器と、前記燃焼ガスと前記熱媒との間で熱交換を行い、前記燃焼ガスを冷却する1次熱交換器と、前記1次熱交換器を通過した前記燃焼ガスと前記熱媒との間で熱交換を行い、前記燃焼ガスを冷却して潜熱を回収する2次熱交換器と、を備える。前記放熱器は、前記1次熱交換器および前記2次熱交換器で前記燃焼ガスから熱を吸収した前記熱媒に対して放熱を行う。
【0013】
上記の構成によれば、第1の態様と同様の効果を奏する。
【0014】
本態様に係るCO2供給システムにおいて、前記燃焼器で発生した前記燃焼ガスは、前記1次熱交換器を通過した後に前記2次熱交換器を通過し、前記熱媒は、前記放熱器から前記2次熱交換器に向かって流れ、前記2次熱交換器を通過する間に前記燃焼ガスの熱を吸収した後、さらに、前記1次熱交換器を通過する間に前記燃焼ガスの熱を吸収し、前記放熱器に供給されて放熱されるような構成とされ得る。
【0015】
上記の構成によれば、燃焼ガスが1次熱交換器を通過するとき、1次熱交換器を流れる熱媒によって燃焼ガスの熱が吸収される。これにより、燃焼ガスが冷却されて、燃焼器で発生した当初の燃焼ガスの温度から幾分低下する。このような状態の燃焼ガスが2次熱交換器を通過するとき、2次熱交換器を流れる熱媒によってさらに熱が吸収されることにより、燃焼ガスが冷却されてさらに温度が低下する。熱媒は放熱器から2次熱交換器へと流れた後、1次熱交換器を通過して放熱器に戻り、放熱器で冷却されて再び2次熱交換器へと流れる。このため、2次熱交換器を通過するときの熱媒は、放熱器で充分に冷却された状態である。よって、燃焼ガスは2次熱交換器によって熱媒と効率よく熱交換されて、所定の温度にまで冷却される。
【0016】
このように、この構成では、熱媒が放熱器、2次熱交換器、1次熱交換器の順に流れるように熱媒を循環させている。このため、燃焼ガスを1次および2次熱交換器で効率よく所定の80℃まで冷却することができる。
【0017】
本態様に係るCO2供給システムにおいて、前記放熱器に空気を供給するためのファンを、さらに備え得る。前記放熱器は、前記ファンによって供給される空気と前記熱媒との間で熱交換を行う、少なくとも2つの単位放熱器と、少なくとも2つの前記単位放熱器を連結する管と、を含むような構成とされ得る。
【0018】
上記の構成によれば、放熱器は少なくとも2つの単位放熱器を含み、これら単位放熱器を通過する度に熱媒から放熱される。このため、放熱器は熱媒を冷却する能力が向上し、熱媒を効率よく冷却することができる。これにより、2次熱交換器を通過するときに、熱媒は、燃焼ガスの熱を効率よく吸収し、燃焼ガスを冷却することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上のとおり、本発明によれば、適温に調整され、且つ、作物等の育成に十分な濃度に調整されたCO2を含む燃焼ガスを栽培室内に供給することが可能なCO2供給装置およびCO2供給システムを提供することができる。
【0020】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る、CO
2供給システムが設置された栽培室を模式的に示す図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る、CO
2供給システムの構成を示す図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係る、CO
2供給システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0023】
なお、各図には、便宜上、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸が付記されている。X-Y平面は水平面に平行で、Z軸方向は鉛直方向である。Z軸正側が上方であり、Z軸負側が下方である。
【0024】
図1は、CO
2供給システム1が設置された栽培室2を模式的に示す図である。
【0025】
CO2供給システム1は、温室、ビニールハウス等の栽培室2に設置され、栽培室2内で育成される農作物等の植物にCO2(二酸化炭素)を供給し、植物の光合成を促進させる。CO2供給システム1は、燃焼式のCO2供給装置10と、空冷式の放熱機20とを備える。CO2供給装置10は栽培室2内に設置され、放熱機20は栽培室2の外、即ち屋外に設置される。CO2供給装置10は、植物の近くへと延びる供給ダクト31を有し、この供給ダクト31により、植物の近くにCO2が導かれる。
【0026】
なお、
図1の例では、栽培室2は、植物が栽培される部屋とCO
2供給装置10が設置される部屋とに区切られていない。しかしながら、栽培室2は、上記2つの部屋に区切られていてもよい。この場合、CO
2供給装置10が設置された部屋から植物が栽培される部屋へと供給ダクト31が延びることになる。
【0027】
図2は、CO
2供給システム1の構成を示す図である。
【0028】
CO2供給装置10は、本体部11と、ダクトユニット12と、据付台13と、を備える。本体部11は、据付台13に支持される。また、本体部11の天面にダクトユニット12が設けられる。
【0029】
本体部11は、燃焼ユニット110と、給気ダクト120と、1次熱交換器130と、2次熱交換器140と、排気集合筒150と、中継タンク160と、リザーブタンク170と、中和器180と、を備える。これらは全て、筐体100内に配置される。
【0030】
燃焼ユニット110は、筐体118の上部に収容される。筐体118内に配置される燃焼器111には、供給管112が接続される。供給管112は、筐体118および筐体100の外に出て、燃料、たとえば灯油が貯留された燃料タンク(図示せず)に繋がる。供給管112には、供給ポンプ113が設けられる。また、燃焼ユニット110には、気化ヒータ114とイグナイタ115とが設けられる。
【0031】
筐体118内には、燃焼器111の上方に、燃焼ファン116と、燃焼ファン116を回転させるモータ117とが配置される。
【0032】
給気ダクト120は、筐体118の上部に形成された連通口118aに繋がる。給気ダクト120の天面は、筐体100の天面100aから突出する。給気ダクト120の天面には、給気口120aが形成される。また、給気ダクト120は、天面部分が後述するダクトフード30に覆われる。
【0033】
1次熱交換器130は、筐体118内において、燃焼器111の下部に配置される。1次熱交換器130は、冷却槽131と、熱交換パイプ132と、燃焼室133と、を含む。冷却槽131は、筐体118の下部に配置される。冷却槽131内に、上下方向に延びる熱交換パイプ132が2つ配置される。燃焼室133は、筐体118内において、燃焼器111の下方に広がる空間である。
【0034】
2つの熱交換パイプ132の上端は、筐体118の底面に形成される連通口118bに連通する。冷却槽131には、熱媒が収容され、2つの熱交換パイプ132を燃焼器111で発生する燃焼ガスが流れる。熱媒は、たとえば、不凍液である。
【0035】
なお、
図2では、2つの熱交換パイプ132が冷却槽131に設けられているが、熱交換パイプ132は1つでもよく、3つ以上であってもよい。また、1次熱交換器130の熱交換パイプ132は、たとえば、銅から構成される。
【0036】
2次熱交換器140は、筐体118および1次熱交換器130に隣接するように配置される。2次熱交換器140は、筐体141と、熱交換チューブ142と、を含む。筐体141は、上下方向に長い筒状を有する。筐体141の上部は筐体100の天面100aから突出する。また、筐体141の上端には、排気口141aが形成される。熱交換チューブ142は、蛇腹状に折り畳まれた状態で筐体141内に収容される。この熱交換チューブ142を熱媒が流れる。熱交換チューブ142は、たとえば、ステンレス鋼(SUS:Steel Use Stainless)から構成される。筐体141の底部には、管330が接続される。
【0037】
排気集合筒150は、1次熱交換器130および2次熱交換器140の下部に配置される。具体的には、排気集合筒150と1次熱交換器130とが連通口150aを介して連結される。排気集合筒150は、筐体100内の下部で折り返されて2次熱交換器140側へと延び、筐体141の下方で上部に折り返された後に上方へと延び、連通口150bを介して筐体141に繋がる。
【0038】
中継タンク160は、燃焼器111および1次熱交換器130に隣接して配置される。中継タンク160内には、略満杯の状態で熱媒が収容される。中継タンク160の内壁には、中継タンク160内の熱媒(不凍液)の水位を検出するための水位センサ161が設置される。中継タンク160の上部には、圧力調整弁162が設けられる。また、中継タンク160の上部には、圧力調整弁162を覆うように受け部163が設けられる。
【0039】
さらに、中継タンク160には、リザーブタンク170に繋がる2つの管320、321と、冷却槽131の上部と接続されるバイパス管322とが接続される。管320は、圧力調整弁162に接続される。管321は、受け部163の底部に設けられる連通口163aに接続される。
【0040】
リザーブタンク170は、中継タンク160に隣接して配置される。リザーブタンク170には、熱媒が貯留されており、筐体100の外に出て熱媒を補給するための配管が接続される。
【0041】
上記したように、中継タンク160とリザーブタンク170とは、2つの管320、321で接続される。リザーブタンク170内において、管321の端部は熱媒に浸されていないが、管320の端部は熱媒に浸されている。
【0042】
中和器180は、2次熱交換器140の下方に配置される。中和器180と2次熱交換器140とは、管330で接続される。また、中和器180には、ドレン水を排出するための管331が接続される。管331は、筐体100の外側へ延びる。
【0043】
中和器180は、2次熱交換器140で発生する酸性のドレン水を中和する。ドレン水は、管330を通って中和器180に流入し、中和器180で中和され、管331を通って外部へと排出される。
【0044】
ダクトユニット12は、ダクトフード30と、供給ダクト31とを含む。ダクトフード30は、箱型形状であり、給気口120aと排気口141aとを覆うように筐体100の天面100aに設置される。ダクトフード30の側壁のうち、給気口120aに近い側壁に孔30aが形成され、排気口141aに近い側壁に孔30bが形成される。
【0045】
ダクトフード30には、給気口120aと排気口141aとを仕切る仕切板32が設けられる。仕切板32は、孔30aに対向する位置に備えられる側壁と、給気口120aの上方に配置された天壁とで構成されており、X軸方向から見た場合、L字状に形成される。
【0046】
供給ダクト31は、ダクトフード30の天壁に設けられる。ダクトフード30の天壁には、排気口141aの上方に位置するように出口30cが設けられ、この出口30cに供給ダクト31が接続される。
【0047】
供給ダクト31は、その途中の部位に供給ファン33を備える。供給ファン33は、ファン34と、ファン34を回転させるモータ35とを含む。また、供給ダクト31には、栽培室2内の植物に対応する位置に複数の放出口36が形成される。
【0048】
また、供給ダクト31の内壁には、出口30cの近傍に、燃焼ガスの温度を測定するための温度センサ37が設けられる。
【0049】
放熱機20は、筐体200内に、第1放熱器210と、第2放熱器220と、第1放熱器210および第2放熱器220を冷却するための冷却ファン230と、第1放熱器210と第2放熱器220とを繋ぐ管240と、を備える。第1放熱器210と第2放熱器220とは、冷却ファン230の正面に並ぶ。冷却ファン230は、ケーシング231と、ケーシング231内に配置されるファン232と、ファン232を回転させるモータ233とを含む。
【0050】
CO2供給システム1では、上記の1次熱交換器130、2次熱交換器140、第1放熱器210、第2放熱器220、および中継タンク160を熱媒が循環できるよう、往き管301、302と戻り管311、312とが設けられる。なお、1次熱交換器130、2次熱交換器140、第1放熱器210、第2放熱器220、中継タンク160、往き管301、302および戻り管311、312により、熱媒が循環する循環路が構成される。
【0051】
往き管301は、第1放熱器210に接続され、放熱機20の外に出て筐体100内に延び、冷却槽131に接続される。往き管302は、冷却槽131と熱交換チューブ142の一端とに接続される。戻り管311は、第2放熱器220に接続され、放熱機20の外に出て筐体100内に延び、中継タンク160に接続される。戻り管312は、中継タンク160に接続され、冷却槽131の外周を横切り、熱交換チューブ142の他端(往き管302が接続されなかった方の端)に接続される。戻り管312には、循環ポンプ313が設けられる。
【0052】
図3は、CO
2供給システム1の構成を示すブロック図である。
【0053】
CO
2供給装置10は、
図2の構成の他、制御部401と、記憶部402と、燃焼ファン駆動部403と、供給ポンプ駆動部404と、ヒータ駆動部405と、イグナイタ駆動部406と、循環ポンプ駆動部407と、供給ファン駆動部408と、を備える。
【0054】
制御部401は、CPU(Central Processing Unit)等の演算回路を備える。制御部401は、記憶部402に記憶されたプログラムに従って、燃焼ファン駆動部403、供給ポンプ駆動部404、ヒータ駆動部405、イグナイタ駆動部406、循環ポンプ駆動部407、および供給ファン駆動部408を制御する。記憶部402は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)やハードディスク等の記憶媒体を備え、制御部401の制御プログラムを記憶し、また、制御部401の制御処理の際にワーク領域として利用される。
【0055】
燃焼ファン駆動部403は、制御部401からの制御信号に従って、燃焼ファン116(モータ117)を駆動する。供給ポンプ駆動部404は、制御部401からの制御信号に従って、供給ポンプ113を駆動する。ヒータ駆動部405は、制御部401からの制御信号に従って、気化ヒータ114を駆動する。イグナイタ駆動部406は、制御部401からの制御信号に従って、イグナイタ115を駆動する。循環ポンプ駆動部407は、制御部401からの制御信号に従って、循環ポンプ313を駆動する。供給ファン駆動部408は、制御部401からの制御信号に従って、供給ファン33を駆動する。
【0056】
放熱機20は、
図2の構成の他、制御部501と、記憶部502と、ファン駆動部503と、を備える。
【0057】
制御部501は、CPU(Central Processing Unit)等の演算回路を備える。制御部501は、記憶部502に記憶されたプログラムに従って、ファン駆動部503を制御する。記憶部502は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)やハードディスク等の記憶媒体を備え、制御部501の制御プログラムを記憶し、また、制御部501の制御処理の際にワーク領域として利用される。
【0058】
ファン駆動部503は、制御部501からの制御信号に従って、冷却ファン230(モータ233)を駆動する。たとえば、ファン駆動部503は、モータ233に供給する電流を調整する。
【0059】
CO2供給システム1では、CO2供給装置10の制御部401と放熱機20の制御部501が協働してCO2供給運転に係る制御処理を実行する。このため、制御部401と制御部501は、CO2供給運転に関して、1つの制御部を構成するということができる。
【0060】
次に、CO
2供給システム1によるCO
2供給運転について
図2および
図3を参照して説明する。CO
2供給システム1を稼働させると、CO
2供給装置10においてCO
2を含む燃焼ガスが発生するとともに、CO
2供給装置10と放熱機20との間で熱媒が循環する。
【0061】
CO2供給システム1の使用を開始するにあたり、CO2供給装置10において、熱媒が1次熱交換器130、2次熱交換器140、中継タンク160、往き管301、302、および戻り管311、312に満たされる。このとき、熱媒が満たされる1次熱交換器130等の内部に残っている空気は、冷却槽131に設けられている微小な孔131aを通じてバイパス管322を通り、中継タンク160へと流れる。この場合、中継タンク160は、大気圧開放された状態であり、中継タンク160へと流れてきた空気は、中継タンク160から外部へ排出される。こうして、1次熱交換器130等の内部の空気が除去されるため、熱媒は円滑に循環路を循環できる。
【0062】
また、熱媒は、中継タンク160から連通口163aを通じて管321を流れて、リザーブタンク170へ流れ込む。このようにして、リザーブタンク170にも熱媒が貯留される。
【0063】
なお、CO2供給運転中では、熱媒が上記の孔131aおよびバイパス管322を通って中継タンク160へと流れることになる。このとき、多量の熱媒が中継タンク160に一気に流れ込まないように、バイパス管322において孔131aの近傍にオリフィス164が設けられる。これにより、冷却槽131から中継タンク160へと流れる熱媒の流量が調整される。
【0064】
CO2供給システム1に設けられた運転開始ボタン(図示せず)が操作されると、CO2供給運転が開始される。CO2供給運転が開始されると、制御部401は、CO2を発生させるため、燃焼ファン116を作動させる。CO2供給装置10において、燃焼ファン116が作動すると、孔30aを通じてダクトフード30の仕切板32に囲まれた空間に外部から空気が取り込まれる。この空気は、給気口120aを通じて給気ダクト120内に取り込まれて、連通口118aを通り筐体118内の燃焼器111に供給される。
【0065】
また、制御部401は、供給ポンプ113、気化ヒータ114、およびイグナイタ115を作動させる。燃料タンクから供給管112を通じて燃料が供給され、供給された燃料が気化ヒータ114により気化される。イグナイタ115による点火が行われ、燃焼器111が着火して燃焼する。このようにして、燃焼器111でCO2を含む高温の燃焼ガスが発生する。
【0066】
燃焼ガスは、筐体118内の下方、すなわち、1次熱交換器130の燃焼室133へ流れ、連通口118bを通じて熱交換パイプ132を流れる。冷却槽131には、熱交換パイプ132の外周を取り囲むように熱媒が満たされている。このため、熱交換パイプ132を流れる燃焼ガスと冷却槽131を流れる熱媒との間で熱交換が行われて、燃焼ガスが冷却される(1次冷却)。このときの燃焼ガスは、たとえば、200℃に冷却される。
【0067】
1次冷却された燃焼ガスは、熱交換パイプ132を通過すると、連通口150aを通じて排気集合筒150に流れ込む。燃焼ガスは、排気集合筒150内を2次熱交換器140へ向かって流れ、連通口150bを通じて2次熱交換器140の筐体141内に流れ込む。
【0068】
筐体141内に設けられる熱交換チューブ142には、熱媒が流れる。このため、筐体141を流れる燃焼ガスと熱交換チューブ142を流れる熱媒との間で熱交換が行われて、燃焼ガスがさらに冷却される(2次冷却)。このときの燃焼ガスは、たとえば、80℃(露点温度以下)に冷却される。2次冷却された燃焼ガスは、筐体141内を上方へ流れ、排気口141aからダクトフード30内へ排出される。また、燃焼ガスが2次熱交換器140で冷却されると、燃焼ガスの潜熱が回収される。これにより、燃焼ガスは除湿された状態で、2次熱交換器140からダクトフード30内に排出される。この2次熱交換器140における燃焼ガスの潜熱回収に関しては、追って説明する。
【0069】
放熱機20では、CO2供給運転が開始されると、制御部501は、冷却ファン230を作動させる。1次熱交換器130および2次熱交換器140で燃焼ガスと熱交換されて温まり、往き管302、301を流れてきた熱媒は、第1放熱器210から管240を通って第2放熱器220へと流れる。冷却ファン230が動作し、冷却風が第1放熱器210および第2放熱器220に送られる。冷却風は、第2放熱器220、第1放熱器210の順に、第2放熱器220および第1放熱器210を通り抜け、外部へ放出される。第1放熱器210および第2放熱器220を熱媒が通過するときに、熱媒と冷却風との間で熱交換が行われ、熱媒が冷却される。冷却された熱媒は、戻り管311を通ってCO2供給装置10へと戻る。
【0070】
放熱機20における熱媒の具体的な経路について説明する。第1放熱器210に熱媒が流れ込むとき、往き管301の端部から図示されない4股に分かれた管のそれぞれに熱媒が流れ込む。つまり、熱媒は、第1放熱器210内を4つの組に分かれて流れる。そして、それぞれの組に分かれた状態で第1放熱器210から第2放熱器220へ移動して、第2放熱器220内を流れ、戻り管311に流れ込む直前に4組に分かれていた熱媒が合流する。そして、熱媒は戻り管311へと流れる。
【0071】
ダクトフード30内へ排出された燃焼ガスは、供給ダクト31に流入する前に、さらに冷却される。具体的には、燃焼ガスは、孔30bを通じてダクトフード30内に取り込まれた空気と混ざり合うことで、温度がさらに低下する(3次冷却)。
【0072】
3次冷却された燃焼ガスは、ダクトフード30の天壁に設けられている出口30cから供給ダクト31に流入し、放出口36から植物の周囲に放出される。これにより、燃焼ガスに含まれるCO2が植物に供給される。このとき、制御部401は、供給ファン駆動部408により供給ファン33を作動させる。これにより、供給ダクト31で供給ファン33が動作するため、ダクトフード30内に排出された燃焼ガスが供給ダクト31内に取り込まれやすくなり、放出口36から放出されやすくなる。
【0073】
なお、栽培室2には、複数の畝が設けられ、各畝に植物が植えられ得る。よって、各畝の植物にCO2が行き渡るよう、供給ダクト31は、複数のダクトに分岐し、分岐したダクトが各畝に配置されるとよい。この場合、供給ファン33は、供給ダクト31における分岐位置よりも上流側(ダクトフード30側)に設けられ、分岐したダクトに放出口36が形成される。
【0074】
また、3次冷却されたときの燃焼ガスの温度は、60℃である。3次冷却された後の燃焼ガスの温度が60℃より高い場合、栽培室2内が高温状態となり、植物や作業者への影響が懸念される。このため、3次冷却されたときの燃焼ガスの温度が60℃となるように、供給ファン33によって供給ダクト31内に空気が取り込まれて、燃焼ガスが冷却される。
【0075】
また、3次冷却された燃焼ガスが出口30cを通じて供給ダクト31に流れ込むとき、温度センサ37によって燃焼ガスの温度が測定される。燃焼ガスの温度が60℃より高い場合、供給ファン33に不具合が生じており、供給ダクト31内に空気が取り込まれていない可能性がある。このため、温度センサ37により燃焼ガスの温度が60℃より高い温度であることが検出されると、制御部401は、CO2供給運転を中止するため、燃焼ファン116、供給ポンプ113、燃焼器111および供給ファン33を停止させる。これにより、栽培室2内に高温の燃焼ガスが排出されることがないため、植物や作業者の安全を管理することができる。
【0076】
このように、1次熱交換器130および2次熱交換器140で燃焼ガスと熱媒との熱交換が行われると、熱媒の温度が変化する。特に、1次熱交換器130では、燃焼器111で発生した燃焼ガスそのものに対して熱交換が行われるため、冷却槽131内の温度が上昇し内圧が上昇する。この場合、冷却槽131の内圧を下げるために、冷却槽131の圧力を、バイパス管322を通じて中継タンク160に逃がす。これにより、中継タンク160の内圧が上昇する。そこで、圧力調整弁162の加圧弁が開かれ、中継タンク160から溢れた熱媒が管320を通ってリザーブタンク170に移動する。
【0077】
これに対し、熱媒が低温となり、中継タンク160の内圧が下がると、圧力調整弁162の負圧弁が開かれ、リザーブタンク170内の熱媒が管320を通り、中継タンク160に補充される。このようにして、冷却槽131および中継タンク160の内圧が調整される。
【0078】
また、たとえば、高温環境下でCO2供給システム1を使用し続けると、中継タンク160内の熱媒が蒸発する場合がある。このような場合、圧力調整弁162の負圧弁が開き、リザーブタンク170の熱媒が管320を通じて中継タンク160内に補充される。これにより、中継タンク160内の熱媒が枯渇することなく、熱媒は1次熱交換器130と2次熱交換器140との間を円滑に循環できる。
【0079】
また、水位センサ161によって中継タンク160内における熱媒の水位が所定の水位以下であることが検出されると、熱媒が円滑に循環路を流れることができないため、制御部401は、燃焼ファン116、供給ポンプ113、燃焼器111および供給ファン33を停止させて、CO2供給運転を中止する。
【0080】
続いて、2次熱交換器140における潜熱回収について説明する。一般に、農作物等の植物を良好に育成するために、栽培室内の温度や湿度、CO2の濃度を調整することは重要であるが、上記の温度等に加えて、「飽差」も重要な指標として知られている。飽差とは、1m3当たりの空気に含まれる水蒸気量を示す。飽差が高い空気は、水蒸気を多く含むことができ、飽差が低い空気は、水蒸気を少量しか含むことができない。このような空気中の水蒸気量は、植物の蒸散と密接に関連しており、さらに、植物の蒸散は植物の光合成の効率に影響する。すなわち、「飽差」は、植物の光合成の効率を示す指標である。したがって、栽培室内の飽差を適切に調整することにより、植物は効率よく光合成を行うことができる。
【0081】
CO2供給システム1において、栽培室2内に供給された燃焼ガスの飽差が低い、つまり、水分を多く含む燃焼ガスであった場合、栽培室2内における飽差を適切に調整するため、栽培室2内で燃焼ガスを除湿する必要がある。このような作業は、除湿を行うための器具等を備える必要があるため、作業者にとって煩雑である。
【0082】
これに対し、本実施形態では、上記のとおり、2次熱交換器140を燃焼ガスが通過するときに、燃焼ガスは200℃から80℃(露点温度)まで冷却される。そして、2次熱交換器140は燃焼ガスの潜熱を回収する。すなわち、、2次熱交換器140を通過して燃焼ガスの温度が露点温度以下となると、燃焼ガスに含まれる水が凝縮する。この凝縮した水が、上記したドレン水である。ドレン水は、筐体141内に設けられる図示されない経路を通り、管330を経て中和器180へと流れ、中和器180で中和された後に外部へ排出される。よって、CO2供給システム1では、2次冷却されて排気口141aから排出される燃焼ガスは、除湿された状態である。このため、放出口36から放出される燃焼ガスは、水分量が少ない乾燥した状態である。
【0083】
つまり、CO2供給システム1では、栽培室2内に供給される燃焼ガスの飽差が高い。栽培室2内における飽差を適切に調整する場合、たとえば、栽培室2内に水を撒くことにより、燃焼ガス中の水分量を増加させることができる。このような作業は、上記したような除湿を行う作業に比べて簡単である。
【0084】
このように、本実施形態では、2次熱交換器140を通過する間に、燃焼ガスに対して除湿が行われるため、燃焼ガスが栽培室2内に供給された後に、飽差を適切に調整しやすい。
【0085】
<実施の形態の効果>
本実施の形態によれば、以下の効果が奏され得る。
【0086】
一般的に、栽培室内にCO
2を含む燃焼ガスが供給される際、作物や作業者が高温の環境下に曝されることを防止するため、燃焼ガスは適切な温度まで冷却される。
図2に示すように、上記の構成では、1次熱交換器130および2次熱交換器140によって燃焼ガスは2回冷却される。この燃焼ガスの温度を栽培室2内に供給可能な温度(60℃)にまでさらに低下させるために、本実施形態ではダクトフード30内で燃焼ガスに空気を混合して燃焼ガスを冷却する。
【0087】
一方、燃焼器111で発生した燃焼ガスの温度を下げる方法として、高温の燃焼ガスに対して空気を混合することにより、燃焼ガスを所定の温度まで冷却させる方法もある。たとえば、燃焼器111で発生した燃焼ガスの量が、6.7kg/L(外気温度20℃において発生する最大量)であった場合、1次熱交換器130および2次熱交換器140を設けていない従来のCO2供給システムでは、供給ダクト31に流れ込むときの燃焼ガスの温度は約200℃である。このような高温の燃焼ガスは、栽培室2内に供給可能な温度(60℃)まで冷却するために多量の空気と混合される。その結果、燃焼ガスが放出口36から放出されるとき、燃焼ガスに含まれるCO2の濃度は、約1200ppmである。
【0088】
これに対し、
図2に示すように、1次熱交換器130および2次熱交換器140を備える本実施形態のCO
2供給システム1の場合、燃焼器111で発生した燃焼ガスの量が、6.7kg/L(外気温度20℃において発生する最大量)であった場合、燃焼器111で発生したときの燃焼ガスの温度は約200℃であるが、1次熱交換器130および2次熱交換器140により燃焼ガスが冷却されるため、排気口141aを通過するときの温度は80℃に冷却されている。このような燃焼ガスを60℃まで低下させるため、供給ダクト31内に空気が取り込まれる。このときに必要な空気の量は、80℃の燃焼ガスを60℃に下げることが可能な量で足りるため、従来のCO
2供給システムよりも燃焼ガスに含まれる空気の量が格段に少ない。このため、本実施形態では、燃焼ガスが放出口36から放出されるとき、燃焼ガスに含まれるCO
2の濃度は、約8000ppmとなり、従来のCO
2供給システムよりもCO
2の濃度が高い。
【0089】
このように、本実施形態のCO2供給システム1では、燃焼ガス中のCO2濃度の希釈を抑制することができるため、高濃度のCO2を含んだ燃焼ガスを栽培室2内に供給することができる。これにより、作物の育成を促進できるとともに、作物や作業者が高温環境下に曝されることを防止できる。
【0090】
また、燃焼ガスが1次熱交換器130を通過するとき、1次熱交換器130で熱交換が行われて、燃焼器111で発生したときの燃焼ガスの温度(200℃)から幾分低下する。このような状態の燃焼ガスは、さらに2次熱交換器140で熱交換されて温度が低下する。2次熱交換器140を流れるときの熱媒は、第1放熱器210および第2放熱器220で充分に冷却された状態である。よって、燃焼ガスは2次熱交換器140によって熱媒と効率よく熱交換されて、所定の温度(80℃)にまで冷却される。
【0091】
このように、CO2供給システム1では、熱媒が2次熱交換器140、1次熱交換器130、第1放熱器210、および第2放熱器220の順に流れるように循環する。このため、燃焼ガスを1次熱交換器130および2次熱交換器140で効率よく80℃まで冷却することができる。
【0092】
また、
図2に示すように、CO
2供給システム1は、放熱機20に第1放熱器210および第2放熱器220を含み、これら第1放熱器210および第2放熱器220を通過する度に熱媒から放熱される。このため、放熱機20における熱媒を冷却する能力が向上し、熱媒を効率よく冷却することができる。これにより、熱媒は、1次熱交換器130および2次熱交換器140を流れると、燃焼ガスの熱を効率よく吸収し、燃焼ガスを冷却することができる。特に、熱媒の流れの下流側の第2放熱器220に最初に冷却風が当てられるので、より効果的に熱媒の温度を低下させることができる。
【0093】
<変更例>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
【0094】
また、上記実施形態では、往き管301から第1放熱器210へ流れ込むとき、第1放熱器210内において、熱媒は4つの組に分かれて第1放熱器210および第2放熱器220を流れ、第2放熱器220を通過した後に合流して、戻り管311に流れ込んでいた。
【0095】
しかしながら、熱媒が4つの組に分けられることなく、第1放熱器210および第2放熱器220を流れるように構成されてもよい。このような構成により、第1放熱器210および第2放熱器220の構成を簡素化できる。
【0096】
また、上記実施形態では、温度センサ37の検出温度が60℃を超えると、燃焼器111が停止された。しかしながら、たとえば、検出温度が60℃を超えると、供給ファン33の回転数が増加され、それでも検出温度が60℃を超える状態が続いたときに、燃焼器111が停止されるような構成とされてもよい。また、検出温度が60℃を超えると、スピーカからのビープ音や音声、表示部での表示による報知が行われるようにしてもよい。
【0097】
このような検出温度が60℃を超えたときの異常に対する所定の処理として、燃焼器111の停止の他、種々の動作が行われてもよい。
【0098】
さらに、上記実施形態では、燃焼器111の燃料が灯油等の液体燃料であったが、プロパンガスなどの気体燃料であってもよい。
【0099】
なお、本発明の実施形態に係るCO2供給システム1は、供給ダクト31と供給ファン33とがダクトユニット12に含まれていたが、本発明の実施形態に係るCO2供給システム1は、供給ダクト31と供給ファン33とを含まない構成としてもよい。
【0100】
さらに、上記実施形態では、放熱機20が、第1放熱器210と第2放熱器220の2つの単位放熱器からなる放熱器が備えられた。しかしながら、放熱機20に、3つ以上の単位放熱器からなる放熱器が備えられてもよい。さらには、放熱機20は、1つの放熱器を備える構成とされてもよい。
【0101】
さらに、上記実施形態では、放熱機20において、冷却風が第2放熱器220、第1放熱器210の順に流れるように、冷却ファン230が配置されていた。しかしながら、放熱機20において、冷却風が第1放熱器210、第2放熱器220の順に流れるように冷却ファン230が配置されてもよい。
【0102】
さらに、上記実施の形態では、ダクトフード30において、燃焼ガスが、孔30bから取り込まれた空気と混合された。しかしながら、1次熱交換器130および2次熱交換器140による冷却能力が、上記実施形態より高くなるような構成とされ、ダクトフード30内に排出される燃焼ガスの温度が約60℃まで低下する場合は、ダクトフード30に孔30bが設けられず、燃焼ガスに空気が混合されないような構成とされてもよい。
【0103】
さらに、上記実施形態では、熱媒として、不凍液が用いられたが、その他の液体が用いられてもよい。また、気体の熱媒が用いられてもよい。
【0104】
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に記載の範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0105】
1 CO2供給システム
2 栽培室
10 CO2供給装置
20 放熱機
111 燃焼器
130 1次熱交換器
140 2次熱交換器
210 第1放熱器(単位放熱器、放熱器)
220 第2放熱器(単位放熱器、放熱器)
230 冷却ファン(ファン)
240 管