(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022117132
(43)【公開日】2022-08-10
(54)【発明の名称】粉体吐出容器
(51)【国際特許分類】
B65D 83/06 20060101AFI20220803BHJP
【FI】
B65D83/06 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021013663
(22)【出願日】2021-01-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(74)【代理人】
【識別番号】100143786
【弁理士】
【氏名又は名称】根岸 宏子
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 浩通
(57)【要約】
【課題】少量の粉体であっても安定的に吐出させることができる粉体吐出容器を提案する。
【解決手段】本発明に粉体吐出容器1は、粉体を収容する収容空間S1に通じる排出口5kを有する容器2と、排出口5kに挿入される栓体部6bを有する操作体6とを備え、栓体部6bは、排出口5kに嵌まる第一閉鎖部6cと、第一閉鎖部6cから離隔して設けられ排出口5kに嵌まる第二閉鎖部6dと、第一閉鎖部6cと第二閉鎖部6dとの間に設けられ収容空間S1の粉体が溜まる計量空間Kaとを有していて、操作体6への操作に伴って、第一閉鎖部6cが排出口5kに嵌まって排出口5kを閉じる閉鎖位置と、計量空間Kaが排出口5kから露出する一方、第二閉鎖部6dが排出口5kに嵌まって排出口5kを閉じる第一排出位置と、第二閉鎖部6dが排出口5kの外側に位置して排出口5kが開く第二排出位置との間で移動する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体を収容する収容空間と、該収容空間に通じる排出口とを有する容器と、
前記排出口に挿入される栓体部を有する操作体と、を備え、
前記栓体部は、前記排出口に嵌まる第一閉鎖部と、該第一閉鎖部から離隔して設けられ該排出口に嵌まる第二閉鎖部と、該第一閉鎖部と該第二閉鎖部との間に設けられ前記収容空間の粉体が溜まる計量空間とを有していて、前記操作体への操作に伴って、該第一閉鎖部が該排出口に嵌まって該排出口を閉じる閉鎖位置と、該計量空間が該排出口から露出する一方、該第二閉鎖部が該排出口に嵌まって該排出口を閉じる第一排出位置と、該第二閉鎖部が該排出口の外側に位置して該排出口が開く第二排出位置との間で移動する、粉体吐出容器。
【請求項2】
前記操作体は、操作時に指を当てるレバー部を有し、前記計量空間は、該レバー部が位置する側の反対側に開口を有する請求項1に記載の粉体吐出容器。
【請求項3】
前記レバー部は、前記容器に向けて押圧可能に構成され、
前記容器及び前記操作体の何れか一方は、弾性変形可能な弾性部を有し、
前記弾性部は、前記閉鎖位置では前記容器及び前記操作体の何れか他方と非接触であり、前記第一排出位置では前記レバー部への押圧に伴って該容器及び該操作体の何れか他方と近接又は接触し、前記第二排出位置では該レバー部への押圧に伴って該容器及び該操作体の何れか他方に押し当たって弾性変形するよう構成される、請求項2に記載の粉体吐出容器。
【請求項4】
前記操作体は、前記レバー部へ力を付与すると前記容器に対してスライドするように構成され、
前記容器及び前記操作体の何れか一方は、係合部を有し、
前記容器及び前記操作体の何れか他方は、前記第一排出位置で前記係合部に係合する第一被係合部と、前記第二排出位置で前記係合部に係合する第二被係合部とを有する、請求項2に記載の粉体吐出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料や医薬品、調味料等の粉体を吐出することができる粉体吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料や医薬品、調味料(例えば塩)等の粉体を収容し、使いたいときに粉体を吐出することができる粉体吐出容器として、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。
【0003】
特許文献1の容器は、キャップが下側を向くように容器を傾倒させ、その状態のまま振出し動作を行って、粉体を適量吐出させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、この種の容器で振り出し動作を行うと、比較的多量の粉体が吐出されることになる。このため、吐出させたい粉体が少量である場合は、傾倒させた状態の容器を指等で軽く叩いて吐出させることが一般的である。しかし、叩き具合によっては、意図した以上の粉体が吐出されてしまうことがある。
【0006】
本発明は、このような問題点を解決することを課題とするものであり、少量の粉体であっても安定的に吐出させることができる粉体吐出容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、粉体を収容する収容空間と、該収容空間に通じる排出口とを有する容器と、
前記排出口に挿入される栓体部を有する操作体と、を備え、
前記栓体部は、前記排出口に嵌まる第一閉鎖部と、該第一閉鎖部から離隔して設けられ該排出口に嵌まる第二閉鎖部と、該第一閉鎖部と該第二閉鎖部との間に設けられ前記収容空間の粉体が溜まる計量空間とを有していて、前記操作体への操作に伴って、該第一閉鎖部が該排出口に嵌まって該排出口を閉じる閉鎖位置と、該計量空間が該排出口から露出する一方、該第二閉鎖部が該排出口に嵌まって該排出口を閉じる第一排出位置と、該第二閉鎖部が該排出口の外側に位置して該排出口が開く第二排出位置との間で移動する、粉体吐出容器である。
【0008】
前記操作体は、操作時に指を当てるレバー部を有し、前記計量空間は、該レバー部が位置する側の反対側に開口を有することが好ましい。
【0009】
前記レバー部は、前記容器に向けて押圧可能に構成され、
前記容器及び前記操作体の何れか一方は、弾性変形可能な弾性部を有し、
前記弾性部は、前記閉鎖位置では前記容器及び前記操作体の何れか他方と非接触であり、前記第一排出位置では前記レバー部への押圧に伴って該容器及び該操作体の何れか他方と近接又は接触し、前記第二排出位置では該レバー部への押圧に伴って該容器及び該操作体の何れか他方に押し当たって弾性変形するよう構成されることが好ましい。
【0010】
前記操作体は、前記レバー部へ力を付与すると前記容器に対してスライドするように構成され、
前記容器及び前記操作体の何れか一方は、係合部を有し、
前記容器及び前記操作体の何れか他方は、前記第一排出位置で前記係合部に係合する第一被係合部と、前記第二排出位置で前記係合部に係合する第二被係合部とを有することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
上記のような構成になる本発明の粉体吐出容器によれば、栓体部が閉鎖位置にある状態で容器を傾ける等して粉体を計量空間に収容し、その後、栓体部を第一排出位置に移動させることで、計量空間に収容された粉体のみを吐出することができる。すなわち、計量空間の容積に対応する少量の粉体を安定的に吐出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係る粉体吐出容器の第一実施形態に関し、(a)は側面視での断面図であり、(b)はA-Aに沿う断面図であり、(c)はB-Bに沿う断面図であり、(d)はC-Cに沿う断面図である。
【
図2】
図1の粉体吐出容器(中栓は外している)に関し、(a)は平面図であり、(b)は側面図であり、(c)は正面図である。
【
図3】
図1の粉体吐出容器から粉体を吐出させる方法について示した図であって、(a)は栓体部が閉鎖位置にある状態を示し、(b)は栓体部が第一排出位置にある状態を示し、(c)は栓体部が第二排出位置にある状態を示す。
【
図4】本発明に係る粉体吐出容器の第二実施形態に関し、(a)はD-Dに沿う断面図であり、(b)は側面視での断面図である。
【
図5】
図4の粉体吐出容器(中栓は外している)に関し、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。
【
図6】
図4の粉体吐出容器から粉体を吐出させる方法について示した図であって、(a)は栓体部が閉鎖位置にある状態を示し、(b)は栓体部が第一排出位置にある状態を示し、(c)は栓体部が第二排出位置にある状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本発明に係る粉体吐出容器の一実施形態について説明する。便宜上、以下においては図面に示した向きに基づいて説明を行う。また以下の説明で正面とは、
図1(a)においてレバー部(符合6f)が位置する側であり、背面とはその逆側である。なお以下の説明において、各部の名称に方向を示す用語を含むことがあるが、係る方向は説明を便宜的に行うために付したに過ぎない。
【0014】
図1~
図3は、本発明に係る粉体吐出容器の第一実施形態である粉体吐出容器1を示している。本実施形態の粉体吐出容器1は、容器2(下側容器3、中栓4、上側容器5で構成される)と、操作体6で構成される。
【0015】
下側容器3は、全体的に軸線Oを中心とする形状で形作られていて、円板状となる底部3aと、底部3aの外縁部から上方に向けて延在する円筒状の胴部3bと、胴部3bよりも小径になる円筒状の口部3cと、口部3cの外周面に設けられる雄ねじ部3dとを備えている。
【0016】
中栓4は、口部3cを覆う円板状の中栓天壁部4aと、中栓天壁部4aの下面に設けられ、口部3cの内周面に接触する中栓環状壁部4bとを備えている。
【0017】
上側容器5は、口部3cを取り囲む環状壁部5aを備えている。環状壁部5aの内周面には、雄ねじ部3dに対応する雌ねじ部5bが設けられている。環状壁部5aの上部には、中空状になるカバー部5cが設けられている。
【0018】
本実施形態のカバー部5cは、
図1(a)に示すように背面は上方に向かうにつれて軸線Oになだらかに近づく形状である一方、正面は複雑に折れ曲がる形状となっている。以下、カバー部5cの正面の形状(
図1(a)に示した側面視での断面における形状)について詳細に説明する。カバー部5cの正面の形状は、環状壁部5aから上方に向けて延在する連結壁部5dと、連結壁部5dから上方に向かうにつれて軸線Oに向けて傾く下側傾斜壁部5eと、下側傾斜壁部5eから上方にむけて延在した後、軸線Oに向けて水平方向に延在する段差壁部5fと、段差壁部5fから上方に向かうにつれて軸線Oに向けて傾く上側傾斜壁部5gと、上側傾斜壁部5gから上方に向けて延在する上側周壁部5hが設けられるように形作られている。なお、カバー部5cにおいて連結壁部5dが位置する部位には、
図1(d)、2(b)に示すように周方向に延在する溝部5nが設けられている。また
図1(c)に示すように、段差壁部5fが位置する部位でのカバー部5cの横断面形状は、背面は円弧状をなしていて正面は軸線Oに向かって凹状になる形状である。そして
図1(b)に示すように、上側周壁部5hが位置する部位でのカバー部5cの横断面形状は、背面は平坦状であって正面は円弧状であり、全体的にD字状になる形状である。
【0019】
そしてカバー部5cの上端部には、水平方向に延在する天壁部5jと、天壁部5jを貫通する排出口5kが設けられている。天壁部5jにおいて、排出口5kが設けられている下面には、上方から下方に向かうにつれて軸線Oから離れる向きに傾く拡径部5mが設けられている。
【0020】
なお上述した中栓4は、流通時において口部3cに取り付けられて下側容器3を密閉する一方、粉体吐出容器1を使用する際は口部3cから取り外されるものである。ここで、中栓4を取り外した後に下側容器3と上側容器5との間に形成される空間を、収容空間S1と称する。収容空間S1には、化粧料や医薬品、調味料等の粉体が収容される。また排出口5kは、収容空間S1に通じている。
【0021】
操作体6は、天壁部5jの上方において水平方向に延在する頂壁部6aを備えている。頂壁部6aの下面には、排出口5kに挿入される棒状の栓体部6bが設けられている。栓体部6bは、頂壁部6aとの連結部において、排出口5kと同形状であって排出口5kに嵌まる第一閉鎖部6cを備えている。第一閉鎖部6cの下方には、第一閉鎖部6cに対して離隔して設けられ、排出口5kと同形状であって排出口5kに嵌まる第二閉鎖部6dが設けられている。第二閉鎖部6dの下面には、上方から下方に向かうにつれて軸線Oに近づく向きに傾く傾斜部6eが設けられている。
【0022】
ここで、第一閉鎖部6cと第二閉鎖部6dとの間に設けられる隙間を計量空間Kaと称する。計量空間Kaは、図示したように背面において開口Kbを備えている。
【0023】
また操作体6は、頂壁部6aの正面に設けられるレバー部6fを備えている。本実施形態のレバー部6fは、
図1(a)に示した側面視での断面において、頂壁部6aとの連結部から下方に向けて延在する上側外壁部6gと、上側外壁部6gの下端部に連結し、上側傾斜壁部5gの外側で円弧状に湾曲した後、下方に向けて延在する中間外壁部6hと、中間外壁部6hの下端部に連結して連結壁部5dの外側に位置する下側外壁部6jが設けられている。そして中間外壁部6hにおいて、円弧状に湾曲する部位と下方に向かう部位との連結部には、軸線Oから離れる向きに突出する突起部6kが設けられている。また中間外壁部6hにおいて突起部6kの下方に位置する外面は、軸線Oに近づく向きに凹むように凹状になっている。なお、レバー部6fにおいて上側外壁部6gが位置する部位は、
図1(b)に示すように、正面においてはカバー部5cを全体的に覆うように円弧状をなし、背面においてはカバー部5cの一部を覆うように突起状になる形状で形作られていて、カバー部5cにスライド可能に保持されている。またレバー部6fにおいて中間外壁部6hが位置する部位は、
図1(c)及び
図2(a)~(c)に示すように正面視で帯状になるように形作られている。そして下側外壁部6jが位置する部位は、
図1(d)及び
図2(a)~(c)に示すように、横断面形状が円弧状(C字状)になるように形作られていて、溝部5nに嵌合している。
【0024】
更に操作体6は、
図1(a)に示すように、中間外壁部6hの裏面から下方に向けて延在する板状の弾性部6mを備えている。弾性部6mは、段差壁部5fの外側に位置していて、段差壁部5fから離れる向きに弾性変形可能である。
【0025】
このような構成になる粉体吐出容器1から粉体を吐出するにあたっては、例えば
図3(a)のようにレバー部6fを上方に向けた状態で容器2を傾ける。このように容器2を姿勢変更することで、収容空間S1の粉体は、天壁部5jに向かって移動して栓体部6bの周囲に溜まるため、その一部は計量空間Kaに入り込む。なお、栓体部6bが
図3(a)に示す位置(閉鎖位置)にある状態においては、第一閉鎖部6cが排出口5kに嵌まって排出口5kは閉じているため、収容空間S1の粉体が排出口5kから溢れることはない。
【0026】
そして、
図3(b)のようにレバー部6fに指を当ててこれをカバー部5cに向けて押圧すると、操作体6は、その全長が伸びるように弾性変形する。中間外壁部6hには突起部6kが設けられ、また中間外壁部6hの外面には凹状になる部位が設けられているため、押圧時における指の滑りが防止される。また操作体6は、
図1(d)及び
図2(a)~(c)に示すように下側外壁部6jが溝部5nに嵌合しているため、レバー部6fの押圧に伴って操作体6の先端部がカバー部5cに対してスライドし、
図3(b)に示すように頂壁部6aが天壁部5jから離れるように移動する。このとき栓体部6bは、計量空間Kaが排出口5kから露出する一方、第二閉鎖部6dが排出口5kに嵌まって排出口5kは閉じる位置(第一排出位置)へ移動する。従って、収容空間S1の粉体が排出口5kから溢れることはなく、計量空間Kaに入り込んだ少量の粉体のみが吐出される。なお、天壁部5jにおいて排出口5kが設けられる部位には拡径部5mが設けられていて、排出口5kと第二閉鎖部6dが接する領域は小さくなるため、粉体が排出口5kと第二閉鎖部6dとの間で噛み込まれて操作体6が動きにくくなる不具合が有効に防止される。
【0027】
図示したようにレバー部6fを上方に向けた状態において、計量空間Kaの開口Kbは下方を向いている。すなわち、この状態でレバー部6fを押圧することで収容空間S1から粉体が落下するため、容器2を振ったり姿勢を変えたりする等の特段の操作を行うことなく粉体を吐出することができる。
【0028】
そしてレバー部6fをより強い力で押圧すると、レバー部6fは
図3(c)に示すように弾性変形し、栓体部6bは、第二閉鎖部6dが排出口5kの外側に位置して排出口5kが開く位置(第二排出位置)へ移動する。従って、開いた排出口5kから収容空間S1の粉体を吐出することができる。
【0029】
なお、
図3(b)に示す状態において、本実施形態の弾性部6mは、段差壁部5fに近接又は接触する状態にある。すなわち、弾性部6mによる弾性力は殆ど生じておらず、
図3(a)に示したレバー部6fを押し始める段階から
図3(b)に示す段階までの間、レバー部6fを押圧する際に指で感じる押圧力は徐々に変化する。一方、
図3(b)に示す段階から
図3(c)に示す段階では、弾性部6mは段差壁部5fに押し当たって弾性変形するため、レバー部6fを押圧する際に指で感じる反発力はその分大きくなる。すなわち、例えば弾性部6mの厚みを適宜変更する等によって、
図3(b)に示す位置の前後で反発力が急に変わるように設定すると、この反発力の変化でもって栓体部6bが第一排出位置の近くへ移動したことを知覚することができる。
【0030】
また
図3(c)に示す状態からレバー部6fへの押圧を緩めると、レバー部6fは、
図3(a)に示す初期の状態に復元する。本実施形態のレバー部6fには、レバー部6f自身の復元力に加えて弾性部6mの弾性力も作用しているため、初期の状態に確実に復元することができる。またレバー部6fが復元するに伴って、排出口5kの外側に位置していた第二閉鎖部6dが排出口5kを通過して収容空間S1に向けて移動する。なお、第二閉鎖部6dには傾斜部6eが設けられているため、栓体部6bが移動する際、排出口5kと第二閉鎖部6dが接する領域は小さくなるため、粉体が排出口5kと第二閉鎖部6dとの間で噛み込まれて操作体6が動きにくくなる不具合が有効に防止される。
【0031】
次に、
図4~
図6を参照しながら本発明に係る粉体吐出容器の第二実施形態(粉体吐出容器11)について説明する。本実施形態の粉体吐出容器11は、容器12(上述した下側容器3、中栓4、及び上側容器15で構成される)と、操作体16で構成される。
【0032】
上側容器15は、口部3cを取り囲む環状壁部15aを備えている。環状壁部15aの内周面には、雄ねじ部3dに対応する雌ねじ部15bが設けられている。環状壁部15aの上部には、中空状になるカバー部15cが設けられている。
【0033】
本実施形態のカバー部15cにおける背面の形状(
図4(b)に示した側面視での断面における形状)は、環状壁部15aから上方に向かうにつれて軸線Oに向けて傾いた後、上方に向けて延在するよう形作られている。一方、カバー部15cにおける正面の形状(
図4(b)に示した側面視での断面における形状)は、環状壁部15aから上方に向かって円弧状に湾曲する湾曲壁部15dと、湾曲壁部15dから上方に向けて延在する中間壁部15eと、中間壁部15eから上方に向かうにつれて軸線Oに向けて傾く上側傾斜壁部15fが設けられるように形作られている。なお、カバー部15cの横断面形状は、
図4(a)に示すように背面は平坦状であって正面は円弧状であり、全体的にD字状になる形状である。
【0034】
中間壁部15eの外面には、中間壁部15eを内側に凹ませた凹部が設けられていて、この凹部における下部には、外側に向けて突出する突起状のストッパー15gが設けられている。またストッパー15gの上方には、凹部から外側に向けて突出する突起状の第一被係合部15hが設けられている。そして第一被係合部15hの上方には、凹部の上面になる第二被係合部15jが設けられている。
【0035】
そしてカバー部15cの上端部には、水平方向に延在する天壁部15kと、天壁部15kを貫通する排出口15mが設けられている。
【0036】
なお中栓4は、本実施形態においても流通時に使用されるものであって、粉体吐出容器11を使用する際は口部3cから取り外されるものである、本実施形態において、中栓4を取り外した後に下側容器3と上側容器15との間に形成される空間を、収容空間S2と称する。
【0037】
操作体16は、天壁部15kの上方において水平方向に延在する頂壁部16aを備えている。頂壁部16aの下面には、排出口15mに挿入される棒状の栓体部16bが設けられている。栓体部16bは、頂壁部16aとの連結部において、排出口15mと同形状であって排出口15mに嵌まる第一閉鎖部16cを備えている。第一閉鎖部16cの下方には、第一閉鎖部16cに対して離隔して設けられ、排出口15mと同形状であって排出口15mに嵌まる第二閉鎖部16dが設けられている。第二閉鎖部16dの下面には、上方から下方に向かうにつれて軸線Oに近づく向きに傾く傾斜部16eが設けられている。そして第一閉鎖部16cと第二閉鎖部16dとの間には、計量空間Kcが設けられている。ここで計量空間Kcは、図示したように背面において開口Kdを備えている。
【0038】
また操作体16は、頂壁部16aの正面に設けられるレバー部16fを備えている。本実施形態のレバー部16fは、
図4(b)に示した側面視での断面において、頂壁部16aにおける正面の端部と連結し、下方に向かうにつれて軸線Oから離れる向きに傾く(上側傾斜壁部15fに沿うように傾く)上側外壁部16gと、上側外壁部16gから下方にむけて延在する(中間壁部15eに沿うように延在する)下側外壁部16hを備えている。下側外壁部16hの下部外面は、図示したように軸線Oに近づく向きに凹むように凹状になっていて、更にこの凹状になる部位の下方には、軸線Oから離れる向きに突出する突起部16jが設けられている。また下側外壁部16hの下部内面には、軸線Oに近づく向きに突出する突起状の係合部16kが設けられている。なおレバー部16fの横断面形状は、
図4(a)に示すように正面においてはカバー部15cを全体的に覆うように円弧状をなし、背面においてはカバー部15cの一部を覆うように突起状になる形状で形作られていて、操作体16は、カバー部15cに対して軸線Oに沿う向きにスライド可能に保持されている。
【0039】
このような構成になる粉体吐出容器11から粉体を吐出するにあたっては、例えば
図6(a)のようにレバー部16fを上方に向けた状態で容器12を傾ける。このように容器12を姿勢変更することで、収容空間S2の粉体を計量空間Kcに入り込ませることができる。なお本実施形態においても、栓体部16bが
図6(a)に示す位置(閉鎖位置)にある状態においては、第一閉鎖部16cが排出口15mに嵌まって排出口15mは閉じているため、収容空間S2の粉体が排出口15mから溢れることはない。またこの状態において、操作体16の係合部16kは、上側容器15のストッパー15gに係合している。従って、操作体16が不用意にスライドすることはない。
【0040】
そして、
図6(b)のようにレバー部16fの突起部16jに指を当て、図示した矢印に沿う向きに力を付与すると、係合部16kがストッパー15gを乗り越えて操作体16は図示した矢印の向きにスライドする。これにより栓体部16bは、計量空間Kcが排出口15mから露出する一方、第二閉鎖部16dが排出口15mに嵌まって排出口15mは閉じる位置(第一排出位置)へ移動する。従って、収容空間S2の粉体が排出口15mから溢れることはなく、計量空間Kcに入り込んだ少量の粉体のみが吐出される。またレバー部16fを上方に向けた状態において、計量空間Kcの開口Kdは下方を向くため、容器2を振ったり姿勢を変えたりする等の特段の操作を行わずとも収容空間S2から粉体を吐出することができる。なおこの状態では、図示したように係合部16kが第一被係合部15hに係合するため、栓体部16bを意図した第一排出位置で停止させることができる。
【0041】
そしてレバー部16fを更にスライドさせると、
図6(c)に示すように栓体部16bは、第二閉鎖部16dが排出口15mの外側に位置して排出口15mが開く位置(第二排出位置)へ移動する。従って、開いた排出口15mから収容空間S2の粉体を吐出することができる。なおこの状態では、図示したように係合部16kが第二被係合部15jに係合するため、栓体部16bを意図した第二排出位置で停止させることができる。
【0042】
栓体部16bが第二排出位置にある状態での粉体の吐出を終えた後は、操作体16を、上述した方向とは逆向きにスライドさせる。本実施形態のレバー部16fは、図示したように下側外壁部16hの外面が凹状になっていて、更にこの凹状になる部位に隣接して突起部16jが設けられているため、この凹部に指を当てつつ突起部16jを利用して力を付与することで、指の滑りを抑えた状態で操作体16を
図6(a)の位置へ戻すことができる。
【0043】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、上記の説明で特に限定しない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。また、上記の実施形態における効果は、本発明から生じる効果を例示したに過ぎず、本発明による効果が上記の効果に限定されることを意味するものではない。
【0044】
例えば
図1~
図3に示した粉体吐出容器1は、操作体6に弾性部6mを設けたが、この弾性部6mは、操作体6に対向する上側容器5に設けてもよい。また
図4~
図6に示した粉体吐出容器11は、操作体16に係合部16kを設けるとともに上側容器15に第一被係合部15hと第二被係合部15jを設けたが、係合部16kを上側容器15に設け、第一被係合部15hと第二被係合部15jを操作体16に設けてもよい。
【0045】
また上述した粉体吐出容器1、11は、雄ねじ部3dと雌ねじ部5bとの螺合を解除して上側容器5から下側容器3を取り外すことができるため、粉体を使い切った後は、取り外した下側容器3に粉体を再充填して詰め替えることができる。また粉体が収容されている新たな下側容器3を上側容器5に取り付ける付け替えを行ってもよい。なお下側容器3と上側容器5とを分離できるようにする構成は、ねじだけに限られず、取り外し可能な他の係合手段を利用してもよい。また下側容器3と上側容器5とは分離不可とする一方、下側容器3や上側容器5に詰め替え用の開口を設けるとともにこの開口を閉鎖するキャップを設けても(例えば下側容器3の底部に開口を設けるともにこの開口を閉鎖するキャップを設けても)よい。
【符号の説明】
【0046】
1:粉体吐出容器
2:容器
3:下側容器
3a:底部
3b:胴部
3c:口部
3d:雄ねじ部
4:中栓
4a:中栓天壁部
4b:中栓環状壁部
5:上側容器
5a:環状壁部
5b:雌ねじ部
5c:カバー部
5d:連結壁部
5e:下側傾斜壁部
5f:段差壁部
5g:上側傾斜壁部
5h:上側周壁部
5j:天壁部
5k:排出口
5m:拡径部
5n:溝部
6:操作体
6a:頂壁部
6b:栓体部
6c:第一閉鎖部
6d:第二閉鎖部
6e:傾斜部
6f:レバー部
6g:上側外壁部
6h:中間外壁部
6j:下側外壁部
6k:突起部
6m:弾性部
11:粉体吐出容器
12:容器
15:上側容器
15a:環状壁部
15b:雌ねじ部
15c:カバー部
15d:湾曲壁部
15e:中間壁部
15f:上側傾斜壁部
15g:ストッパー
15h:第一被係合部
15j:第二被係合部
15k:天壁部
15m:排出口
16:操作体
16a:頂壁部
16b:栓体部
16c:第一閉鎖部
16d:第二閉鎖部
16e:傾斜部
16f:レバー部
16g:上側外壁部
16h:下側外壁部
16j:突起部
16k:係合部
Ka:計量空間
Kb:開口
Kc:計量空間
Kd:開口
O:軸線
S1:収容空間
S2:収容空間