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特開2022-117139インペラ、ポンプ装置、及びインペラの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022117139
(43)【公開日】2022-08-10
(54)【発明の名称】インペラ、ポンプ装置、及びインペラの製造方法
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/24 20060101AFI20220803BHJP
   F04D 29/22 20060101ALI20220803BHJP
   B23K 26/21 20140101ALI20220803BHJP
   B23K 20/10 20060101ALI20220803BHJP
   B21D 5/01 20060101ALI20220803BHJP
   B21D 53/78 20060101ALI20220803BHJP
【FI】
F04D29/24 G
F04D29/22 C
B23K26/21 N
B23K20/10
B21D5/01 Q
B21D53/78
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021013678
(22)【出願日】2021-01-29
(71)【出願人】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】山下 英吾
(72)【発明者】
【氏名】柳川 英明
【テーマコード(参考)】
3H130
4E063
4E167
4E168
【Fターム(参考)】
3H130AA02
3H130AB12
3H130AB22
3H130AB46
3H130AB62
3H130AB69
3H130AC30
3H130BA22C
3H130BA24C
3H130BA95C
3H130CB01
3H130CB05
3H130CB09
3H130CB11
3H130CB19
3H130EA02C
3H130EA07C
3H130EB04C
3H130EC03C
3H130EC05C
3H130EC13C
3H130EC17C
3H130ED01C
3H130ED04C
4E063AA01
4E063CA02
4E063MA09
4E167AA22
4E167BE00
4E167DA08
4E167DB00
4E168BA05
4E168BA21
4E168BA83
(57)【要約】
【課題】溶接面積を確保しやすい、インペラ、ポンプ装置、及びインペラの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の一形態にかかるインペラは、第1方向に交差して延設するシュラウドと、前記シュラウドの前記第1方向の一方側の面に配置される羽根と、を備え、前記羽根の少なくとも一部が、断面視において、前記第1方向及び前記シュラウドの延設方向または接線方向に対して傾斜または湾曲する羽根片と、前記シュラウドに直交する方向に対する角度が前記羽根片よりも小さくなる方向に延設され前記シュラウドに接合される接合端片と、備える。
【選択図】図6



【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に交差して延設するシュラウドと、
前記シュラウドの前記第1方向の一方側の面に配置される羽根と、を備え、
前記羽根の少なくとも一部が、断面視において、前記第1方向及び前記シュラウドの延設方向または接線方向に対して傾斜または湾曲する羽根片と、前記シュラウドに直交する方向に対する角度が前記羽根片よりも小さくなる方向に延設され前記シュラウドに接合される接合端片と、備える、インペラ。
【請求項2】
前記羽根片は三次元形状を有し、
前記接合端片は前記羽根片の一方側に連続して配され、接合される前記シュラウドの面方向に対して直交する方向に沿って延びる、請求項1に記載のインペラ。
【請求項3】
前記第1方向において前記羽根を挟んで対向配置される一対の前記シュラウドを備え、
前記羽根は前記羽根片の前記第1方向の両端に連続する一対の前記接合端片を有し、
一対の前記接合端片は対向する前記シュラウドの表面に沿う端面を有する、請求項1または2に記載のインペラ。
【請求項4】
一対の前記シュラウドのうち一方は平板状であり、他方は湾曲している、請求項3に記載のインペラ。
【請求項5】
前記シュラウド及び前記羽根は、鋼板がプレス成型されて構成され、レーザ溶接により溶接される、請求項1乃至4のいずれかに記載のインペラ。
【請求項6】
前記シュラウド及び前記羽根は、樹脂成型により構成され、超音波溶着または振動溶着により溶着される、請求項1乃至4のいずれかに記載のインペラ。
【請求項7】
請求項1乃至4のいずれかに記載のインペラと、
前記インペラに固定される回転軸と、
前記インペラを収容するポンプケーシングと、を備えるポンプ装置。
【請求項8】
シュラウドを形成する工程と、
金属板をプレス加工して、少なくとも一部が、断面視において、前記シュラウドの延設方向または接線方向に対して傾斜または湾曲する羽根片と、前記シュラウドと直交する方向に対する角度が前記羽根片よりも小さくなる方向に延びる接合端片と、を備える羽根を形成する工程と、
前記羽根の前記接合端片と前記シュラウドを対向配置させ、前記接合端片の端面を、前記シュラウドの表面に溶接する工程と、
を備える、インペラの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インペラ、ポンプ装置、及びインペラの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液体を圧送する手段として、モータと、モータにより駆動されるポンプと、を備えるポンプ装置が知られている。このようなポンプ装置は、ポンプ室に収容されるインペラをモータにより回転駆動することで、液体を増圧して二次側に圧送する(例えば、特許文献1参照。)ポンプ装置において、インペラとしてプレスインペラを用いることが知られている。プレスインペラの製造方法として、鋼板をプレス加工して形成された主板、羽根、及び側板をレーザ溶接により一体に接合する方法が知られている。プレスインペラの羽根を三次元形状とする場合、主板や側板の形状によっては、溶接の接合面積を確保することが難しく、溶接不良が発生する場合があり、強度低下や、隙間腐食が起こりやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-61983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、溶接面積を確保しやすい、インペラ、ポンプ装置、及びインペラの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一形態にかかるインペラは、第1方向に交差して延設するシュラウドと、前記シュラウドの前記第1方向の一方側の面に配置される羽根と、を備え、前記羽根の少なくとも一部が、断面視において、前記第1方向及び前記シュラウドの延設方向または接線方向に対して傾斜または湾曲する羽根片と、前記シュラウドに直交する方向に対する角度が前記羽根片よりも小さくなる方向に延設され前記シュラウドに接合される接合端片と、備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、溶接面積を確保しやすい、インペラ、ポンプ装置、及びインペラの製造方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の第1実施形態にかかるポンプ装置の構成を一部断面で示す側面図。
図2】同ポンプ装置の構成を示す側面図。
図3】同実施形態にかかるポンプ装置のインペラの構成を示す斜視図。
図4】同インペラの平面図。
図5】同インペラの下面図。
図6】同インペラの構成を示す断面図。
図7】同インペラと比較例としてのインペラを比較して示す説明図。
図8】他の実施形態に係るインペラの構成を示す断面図。
図9】他の実施形態に係るインペラの構成を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態に係るインペラ及びポンプ装置について、図1乃至図8を用いて説明する。図1はポンプ装置の構成を一部断面で示す側面図であり、図2はポンプ装置を他の方向から見た側面図である。図3はインペラの斜視図であり、図4及び図5はインペラの平面図及び下面図である。図6はインペラの断面図であり、図7は本実施形態に係るインペラと比較例についての羽根の形状を比較する説明図である。なお、説明のため、各図において適宜構成を省略して示している。
【0009】
図1に示すように、ポンプ装置1は、例えば、多段のタービンポンプである。ポンプ装置1は、モータ11と、モータ11に接続されたインペラ30を有する1段または複数段のポンプ部12と、を備える。また、ポンプ装置1は、インバータや複数の制御基板を収容する制御盤に接続される。
【0010】
モータ11はケーブルによって制御盤に接続される。モータ11は複数のインバータを介して制御基板に接続され、制御基板に搭載された制御部の制御によって回転数制御される。
【0011】
ポンプ部12は、回転軸21と、ポンプケーシング22と、ポンプケーシング22に収容されるインペラ30と、を備える。
【0012】
回転軸21(主軸)は、モータ11に接続される。回転軸21はポンプ部12のインペラ30を固定可能に構成されている。回転軸21は軸受部材に軸支される。
【0013】
ポンプケーシング22は、ポンプ吸込口及びポンプ吐出口を備えるとともに、複数のインペラ30を収容する。ポンプケーシング22は、例えばステンレス材で構成され、回転軸の先端側に設けられた小径の円筒状の吸込部と、吸込部に連続して設けられた収容部と、収容部の外周から連通して上方向に向かう円筒状の吐出部と、を一体に備えて構成され、所定の流路を形成する。ポンプケーシング22の軸方向基端側にはケーシングカバー23が組み付けられる。このケーシングカバー23にモータ11が固定されている。
【0014】
インペラ30は、例えばクローズドタイプのプレスインペラである。インペラ30は、3次元羽根車であり、例えば羽根の延出方向において断面形状が変化する。例えばインペラ30は、羽根33は、少なくとも一部において、羽根の延設方向に直交するとともに第1方向に沿う断面が、第1方向及びシュラウドの延設方向または接線方向に対して傾斜する、延設方向あるいは接線方向を有する。本実施形態において、羽根33の少なくとも一部の延出方向が第1方向及びシュラウドの延設方向に対して傾斜する。
【0015】
インペラ30は、第1シュラウド31と、第1シュラウド31に対向配置される第2シュラウド32と、一対のシュラウド31,32の間に配された羽根33と、備え、流体を通過可能に形成されている。インペラ30は、鋼板等の金属板をプレス加工し、主板となる第1シュラウド31、側板となる第2シュラウド32、及び羽根33を形成し、形成された第1シュラウド、第2シュラウド、及び羽根33をレーザ溶接により一体に接合して構成されるプレスインペラである。
【0016】
第1シュラウド31は、円板形状に構成される。第1シュラウド31は、第1方向に交差する面に沿って延設される。第1シュラウド31は、平板状であり、例えば第1方向に直交する方向に沿って、延設される。
【0017】
第1シュラウド31の中心部にボス部31aが設けられている。ボス部31aは、シュラウド31の中心部に一体に設けられた円筒状部材であり、第1シュラウド31から軸方向の一方と他方にそれぞれ突出する。ボス部31aの中心部には位置決め用の二面幅形状を有する挿通孔31bが形成されている。この挿通孔31bに、回転軸21が固定される。
【0018】
第2シュラウド32は、第1方向において、第1シュラウド31の一方側に対向配置される。第2シュラウド32は、軸方向に見た平面視の外形が円形に形成されている。第2シュラウド32は、流体を吸込む円形の吸込口32aを有している。シュラウド32の吸込口32aの外周縁部分がポンプケーシング22の内部に、ライナリングを介して回動可能に支持される。
【0019】
第2シュラウド32は、第1方向に沿う断面視において、外周部位が第1方向に直交する面方向に沿って延びるとともに、中心部位の吸込口32aが第1方向に沿って延びる円筒状に形成される。第2シュラウド32の第1方向他方側の表面が、羽根33の端面33eに溶接され、接合される。
【0020】
羽根33は、一対のシュラウド31、32間に一枚または複数枚設けられる。羽根33は、その一方の端部が、シュラウド31、32の中心側に、その他方の端部がシュラウド31、32の外周縁に配置される。
【0021】
羽根33は、第1シュラウド31の一方の主面と第2シュラウド32の他方の主面との間において立設されている。羽根33は、軸方向に見た平面視においてシュラウド31、32の中心、すなわちインペラ30の回転中心からの径が各位置で異なる形状、例えば渦巻形状やインボリュート形状に形成されている。また、羽根33は回転軸方向に沿った断面視において、回転軸21に対して傾斜または湾曲する部位を有する三次元形状に構成されている。羽根33は回転中心に向かうにつれて羽根片33aの第1方向に対する傾斜角度が増加する。羽根33は、インペラ30の回転によって、第2シュラウド32の吸込口32aから吸い込まれた水を外周側の吐出口へ案内する。
【0022】
羽根33は内周側の少なくとも一部において、延設方向あるいはその接線方向が第1方向及び第2方向に対して傾斜する板状に構成された羽根片33aと、第1シュラウド31側に配される接合端片33bと、第2シュラウド32側に配される接合端片33cと、を連続して一体に有する。
【0023】
すなわち、羽根33の内周側の部位は、羽根33の延設方向に直交するとともに第1方向に沿う断面視において、接合端片33b,33cが羽根片33aよりも、第1方向に対する角度が小さくなるように構成されている。すなわち、羽根33は、シュラウド31、32の一方側の面から立設される方向に延びるとともにシュラウド31,32に接合される接合端片33b,33cと、接合端片33b、33cに対して傾斜または曲成される羽根片33aと、備える。
【0024】
羽根片33aは、外周端部においては第1方向に沿って延びており、回転軸に近づくにつれて第1方向に対する傾斜角が増加するように捩れている。羽根片33aの両端にそれぞれ接合端片33b,33cが連続して配される。
【0025】
一対の接合端片33b,33cは対向するシュラウド31,32の表面に沿う端面を有する。すなわち、第1接合端片33b及び第2接合端片33cは対向する第1シュラウド31または第2シュラウド32の表面に沿う接合端面33d,33eを有する。例えば、第1接合端片33b及び第2接合端片33cは対向するシュラウド31,32に対して容易に溶接できる表面形状に構成される。例えば、接合端面33d,33eとシュラウド31,32の間隔が所定の値以内となるように、羽根33の厚さやシュラウド31,32と接合端面33d,33eのなす角が設定される。好ましくは、シュラウド31,32の表面と接合端面33d,33eとの間に形成される隙間の最大値が所定間隔、例えば0.5mm以下、に構成される。
【0026】
羽根33の一方側の接合端片33bの端面33dは第1方向に直交する面に沿って延び、第1シュラウド31の表面に倣う表面を有し、第1シュラウド31に溶接される。羽根33の他方側の接合端片33cの端面33eは、第2シュラウド32の外周部位の表面に倣う表面、すなわち第1方向に直交する面方向に沿って延び、第2シュラウド32に溶接される。
【0027】
本実施形態において一例として、第1接合端片33b及び第2接合端片33cは、第1シュラウド31及び第2シュラウド32の延出方向と直交する方向である軸方向に沿って延出している。
【0028】
例えば本実施形態において羽根片33aは、外周端部においては第1方向に沿って延びており、回転軸に近づくにつれて第1方向に対する傾斜角が増加するように捩れている。
【0029】
インペラ30は、例えば、鋼板をプレス成型することにより別々に形成された第1シュラウド31、第2シュラウド32、及び羽根33を溶接により接合する。本実施形態にかかるインペラの製造方法は、第1シュラウド31と、第2シュラウド32と、羽根33と、をそれぞれ成形する工程と、成形により構成された第1シュラウド31、第2シュラウド32、及び羽根33をレーザ溶接により接合して組付ける工程と、を備える。羽根33は、鋼板をプレス加工することにより、羽根片33aと一対の接合端片33b、33cが一体に連続する所定の形状に構成される。
【0030】
組付け工程において、まず第2シュラウド32に羽根33を溶接し、さらに羽根33を挟んで第1シュラウド31と第2シュラウド32とを対向配置させて、レーザ溶接により接合することで、インペラ30が完成する。このとき、第2シュラウド32の一方側に突出する羽根33の一方側の端面33dが、第1シュラウド31の表面に対向して当接し、溶接により接合される。
【0031】
ポンプ装置1において、モータ11の回転によりインペラ30が回転することで、各インペラ30は吸込口32aから流体を吸込み、羽根33と第1シュラウド31と第2シュラウド32との間に形成される流路に沿って流体を案内し、インペラ30の外周側に形成される吐出口から流体を吐出する。最も一次側のインペラ30はポンプ吸込口を経て吸込口32aから流体を吸い込む。各インペラ30の吐出口から流出した流体は、ポンプケーシング22によって二次側に配されるインペラ30の吸込口32aに案内される。最も二次側に配されるインペラ30から吐出した流体は、ポンプ吐出口から排出される。
【0032】
本実施形態にかかるインペラ30、ポンプ装置1及びインペラ30の製造方法によれば、羽根33の少なくとも一部が、断面視において、第1方向及びシュラウド31の延設方向または接線方向に対して傾斜または湾曲する羽根片33aと、シュラウド31に直交する方向に対する傾斜角度が羽根片33aよりも小さくなる方向に延設されシュラウド31に接合される接合端片33bと、備える構成により、羽根片33aの形状によらず、シュラウド31,32に接合される接合端片33b,33cの溶接面積を確保しやすく、製造が容易となる。
【0033】
例えば図7に示す比較例にかかるインペラ1030は、シュラウド1031,1032に対して斜めに延びる形状の羽根1033を備える構成であり、端部をシュラウド1031,1032に溶接する場合、端面部がシュラウド1031,1032に対して傾斜し、シュラウド1031,1032の表面に対して羽根1033の接合面を大きくとることが難しくなるが、本実施形態によれば、図7に示すように、羽根の形状によらず接合端片33b,33cのシュラウド31,32に対する接合面積の確保が容易となる。
【0034】
したがって、例えば主軸方向に対して傾斜部、湾曲部、あるいは捩れを有する3次元形状の羽根であっても、シュラウドに接合される接合端部のシュラウドに直交する方向と成す角度を小さくすることで、レーザ溶接が容易となる。また、端面をシュラウドに沿う形状とすることで溶接面積を確保できる。特に鋼板をプレス加工して羽根を形成する場合にあって、羽根の端部の延出方向をシュラウドから立設する方向に加工するだけで、羽根の形状によらず容易に接合面を確保できる。したがって、シュラウド側に特別な加工をする必要がないため、例えばシュラウドに溝を形成して溶接面積を確保する構成と比べシュラウドの設計の制約が少ない。したがって、製造時の加工数が少なく、またシュラウドの形状の制約もないため汎用性が高い。したがって、他の型のインペラと同じシュラウドを兼用できる。さらに、シュラウドの厚さの制約も緩和されるため、設計の自由度が高い。したがってシュラウドを薄肉とすることができるため、溶接のエネルギー容量の低減も可能となる。
【0035】
また、上記実施形態においては、接合端片を主軸に沿って延出しており、二次元的な形状としたことにより、溶接装置及び溶接治具も既存の装置及び治具を用いることができ、メンテナンスも容易となる。例えば羽根片の形状を三次元形状とした場合にも接合端片を主軸に沿って延出する二次元的な形状とすることで、羽根を固定する溶接治具が不要であり、製作が容易である。
【0036】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記第1実施形態において、一例として一対のシュラウドが主軸と直交する方向に延びる平板状であるとともに、一対のシュラウドに接合される一対の接合端片を有する構成を例示したが、これに限られるものではない。例えば他の実施形態として図8図9に示すように、羽根片の傾斜角度や接合端片の数等適宜変更して実施可能である。
【0037】
例えば図8は、側板である第2シュラウド32が湾曲するとともに、第2シュラウド32の接合部の接線が羽根片33aの一方の端面に沿う形状であり、羽根片33aの一端面が第2シュラウドに溶接される例を示す。この場合にあっても、第1シュラウド31に接合される第1の接合端片33bを、羽根片33aよりも第1シュラウドに直交する方向との成す角度が小さくなるように延出する構成としたことにより、上記実施形態と同様に、溶接面積の確保が容易となる。
【0038】
一方、図9は、主板である第1シュラウドが湾曲し、第1シュラウド31の接合部の接線が羽根片33aの一方の端面に沿う形状であり、羽根片の一方側の端面が第1シュラウドに溶接される例を示す。この場合にあっても、第2シュラウド32に接合される接合端片33cが羽根片33aよりも第1シュラウドに直交する方向との成す角度が小さくなるように延出する構成としたことにより、上記実施形態と同様に、溶接面積の確保が容易となる。
【0039】
また、一対のシュラウドのうち一方は平板状であり、他方は湾曲している構成であって、両シュラウドにそれぞれ接合される接合端片を備える構成としてもよい。この場合、平板状のシュラウドの延設方向に直交する方向に対して、羽根片よりも、平板状のシュラウドに接合される接合端片の傾きが小さければ、上記と同様の効果を得られる。また、湾曲したシュラウドの接線方向に直交する方向に対して、羽根片よりも湾曲した接合端片の傾きが小さければ、上記と同様の効果を得られる。
【0040】
さらに、両方のシュラウドが湾曲面を構成し、羽根片の両側に、両シュラウドにそれぞれ接合される接合端片を備える構成としてもよい。この場合、湾曲したシュラウドの接線方向に直交する方向に対して、羽根片よりも接合端片の傾きが小さければ、上記と同様の効果を得られる。
【0041】
上記実施形態において、インペラ30は、鋼板をプレス成型することにより1シュラウド31と、第2シュラウド32と、羽根33と、をそれぞれ形成し、レーザ溶接する例を示したが、これに限られるものではなく、例えば樹脂製としてもよい。例えば樹脂成型により、1シュラウド31と、第2シュラウド32と、羽根33と、をそれぞれ形成し、第1シュラウド31、第2シュラウド32、及び羽根33を超音波溶着または振動溶着により接合して組付けることでインペラを構成してもよい。
【0042】
また、上記実施形態では多段のポンプ装置を例示したが、インペラの数は上記に限られるものではない。例えば単段であってもよい。また、インペラに設けられる羽根の数も何枚であってもよい。また、タービンポンプを例示したが、これに限られるものではなく、種々のポンプ装置に適用可能である。
【0043】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0044】
1…ポンプ装置、11…モータ、12…ポンプ部、21…回転軸、22…ポンプケーシング、23…ケーシングカバー、30…インペラ、31…シュラウド、31a…ボス部、31b…挿通孔、32…シュラウド、32a…吸込口、33…羽根、33a…羽根片、33b…接合端片、33c…接合端片、33d…接合端面、33e…接合端面。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9