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特開2022-117148衣料用部材及び衣料用部材の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022117148
(43)【公開日】2022-08-10
(54)【発明の名称】衣料用部材及び衣料用部材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A41D 31/00 20190101AFI20220803BHJP
   D04H 1/4374 20120101ALI20220803BHJP
   D04H 3/16 20060101ALI20220803BHJP
   B32B 5/26 20060101ALI20220803BHJP
   A41D 31/02 20190101ALI20220803BHJP
【FI】
A41D31/00 503E
D04H1/4374
D04H3/16
B32B5/26
A41D31/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021013689
(22)【出願日】2021-01-29
(71)【出願人】
【識別番号】306033379
【氏名又は名称】株式会社ワコール
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176245
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】深川 直哉
(72)【発明者】
【氏名】川村 雅樹
(72)【発明者】
【氏名】中小路 哲也
【テーマコード(参考)】
4F100
4L047
【Fターム(参考)】
4F100AK01A
4F100AK01B
4F100AK01C
4F100AK42A
4F100AK42B
4F100AK51B
4F100AK51C
4F100AL09A
4F100AL09C
4F100AT00D
4F100BA04
4F100BA07
4F100BA10C
4F100DD05D
4F100DG01A
4F100DG01B
4F100DG01C
4F100DG06A
4F100DG06B
4F100DG06C
4F100GB72
4F100JA13
4F100JD02
4L047AB02
4L047AB03
4L047AB07
4L047BA09
4L047CA02
4L047CA05
4L047CB08
4L047CC01
(57)【要約】
【課題】部材の特定位置における特性の調整を可能とする衣料用部材及び衣料用部材の製造方法を提供する。
【解決手段】衣料用部材200は、メルトブロー法を用いて、基材50上において常圧条件下で樹脂繊維Fを立体的に堆積させたものであり、樹脂繊維Fが厚み方向に立体的に堆積した構造を有する。
【選択図】図4

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂繊維が厚み方向に立体的に堆積した構造を有する、衣料用部材。
【請求項2】
前記樹脂繊維の繊維間の空隙が維持された状態で前記樹脂繊維が堆積している、請求項1に記載の衣料用部材。
【請求項3】
樹脂繊維の平均繊維径が0.4mm以下10μm以上である、請求項1又は2に記載の衣料用部材。
【請求項4】
0.4kPa・s/m以下の通気性を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の衣料用部材。
【請求項5】
着用者の身体の一部に沿うように第1面側に膨出した形状を有し、第1面の平滑度が、前記第1面の反対側である第2面の平滑度よりも高い、請求項1~4のいずれか一項に記載の衣料用部材。
【請求項6】
前記樹脂繊維の堆積量の違いによって面方向に厚みが変化している、請求項1~5のいずれか一項に記載の衣料用部材。
【請求項7】
樹脂材料の種類、樹脂繊維の直径、及び樹脂繊維の密度の少なくともいずれか一つが異なる複数の樹脂繊維層を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の衣料用部材。
【請求項8】
前記複数の樹脂繊維層が第1層と第2層とを含み、
前記第2層の厚みが前記第1層の厚みよりも大きい、請求項7に記載の衣料用部材。
【請求項9】
前記複数の樹脂繊維層が第3層を更に含み、前記第1層と前記第3層との間に前記第2層が配置されており、
前記第2層の厚みが、前記第1層の厚み及び前記第3層の厚みのいずれかよりも大きい、請求項8に記載の衣料用部材。
【請求項10】
前記第2層における樹脂繊維の密度が、前記第1層における樹脂繊維の密度及び前記第3層における樹脂繊維の密度のいずれかよりも低い、請求項9に記載の衣料用部材。
【請求項11】
メルトブロー法を用い、基材の位置の制御を行い、基材上において常圧条件下で樹脂繊維を立体的に堆積させる、衣料用部材の製造方法。
【請求項12】
前記基材の表面は凹面状の凹面部を有し、
前記基材の凹面部上に前記樹脂繊維を吹き付けて前記樹脂繊維を堆積させる、請求項11に記載の衣料用部材の製造方法。
【請求項13】
前記基材の面方向において、樹脂の吐出圧、前記樹脂繊維の吹付け時間、風量、樹脂繊維の吐出口から前記基材までの距離の少なくともいずれか一つを変化させることにより、前記衣料用部材の厚みを面方向に変化させる、請求項11又は12に記載の衣料用部材の製造方法。
【請求項14】
前記基材の鉛直方向において、樹脂材料の種類、樹脂の吐出圧、前記樹脂繊維の吹付け時間、風量、樹脂繊維の吐出口から前記基材までの距離の少なくともいずれか一つを変化させることにより、前記衣料用部材の特性を厚み方向に変化させる、請求項11又は12に記載の衣料用部材の製造方法。
【請求項15】
樹脂材料の種類、樹脂繊維の直径、及び樹脂繊維の密度の少なくともいずれか一つを異ならせることにより、複数の樹脂繊維層を形成する、請求項11~14のいずれか一項に記載の衣料用部材の製造方法。
【請求項16】
三次元積層造形法により作製された前記基材を準備する工程と、
前記基材を基材位置制御装置の基材ホルダに保持させる工程と、
前記ホルダを移動させながら、メルトブロー法により前記基材上に前記樹脂繊維を堆積させる工程と、を含む、請求項11~15のいずれか一項に記載の衣料用部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣料用部材及び衣料用部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、不織布又は不織構造体の製造方法が種々知られており、そのような不織布又は不織構造体は、衣料用部材として適用され得る。不織布又は不織構造体の製造方法として、例えば、特許文献1~特許文献6に記載された技術が知られている。特許文献1には、靴、服装品、及びスポーツ装具等に使用される不織布に関し、通気性のある基材上に繊維を供給し、基材の通気性部分に圧力差を印加する製造方法が記載されている。製造方法の一例としてメルトブロー法が記載されている。特許文献2には、立体的にして通気性のある成型基材上にメルトブロー法で平均繊維径10μm以下の熱融着型複合極細繊維を吹き付ける成形体の製造方法が記載されている。
【0003】
特許文献3には、支持部に連結された立体型に対しメルトブロー装置から複数本の繊維を吹き付ける装置において、余計な繊維を除去する収集軸を設ける点が記載されている。この装置により、靴、潜水服、マスク、頭巾、防止、女性下着、運動下着、膝サポーター、及び腕サポーター等が製造され得る。特許文献4には、温熱接着性繊維を含む繊維が交絡している不織繊維集合体で構成された緩衝用基材に関し、集合体内部における融着した繊維の接着点が略均一に分布する点が記載されている。この緩衝用基材は、ブラジャーカップ又は靴の中敷用基材等に適用され得る。
【0004】
特許文献5には、原料液を帯電させ、所望の無接合筒体の形状に対応する立体形状を具現する堆積手段にナノファイバを堆積させて、不織布状の布帛を形成する装置が記載されている。この装置により、水着、おむつ、ウェットスーツ、ブラジャー、防止、手袋、靴下、腹巻き、衣服、又はアンダーウェア等が製造され得る。特許文献6には、所望形状の芯材に対して自己接着性繊維を吹き付けて芯材表面を覆い、その後芯材を取り去って身体装着品を製造する製造方法が記載されている。繊維原料には、不織布の製法であるサーマルボンド法、スパンボンド法又はメルトブロー法等に適用される材料が用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-96021号公報
【特許文献2】特開平4-65568号公報
【特許文献3】特開2012-31555号公報
【特許文献4】国際公開第2009/028564号
【特許文献5】特開2009-293168号公報
【特許文献6】特開平5-186949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、ウレタン等を用いたモールド成型体、或いは不織布等の布生地を縫製して作製した衣料用部材等も知られている。上記の不織布又は不織構造体を用いて作製された衣料用部材は、ウレタン等のモールド成型体に比して、通気性に優れると考えられる。また、不織布又は不織構造体を用いて作製された衣料用部材は、不織布等の縫製による衣料用部材に比して、縫製跡(縫製線等)を無くせるため平滑性等の外観性に優れると考えられる。しかしながら、従来のメルトブロー法による不織布又は不織構造体では、特定位置における通気性や平滑性の度合い若しくは厚みや密度等といった部材の諸特性を所望に調整することは難しい。特に、不織構造体を衣料用部材に適用する場合には、部材の特性の調整を可能とする技術が求められる。
【0007】
本発明は、部材の特定位置における特性の調整を可能とする衣料用部材及び衣料用部材の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る衣料用部材は、樹脂繊維が厚み方向に立体的に堆積した構造を有する。
【0009】
この衣料用部材によれば、厚み方向及び/又は面方向において、樹脂繊維を堆積させる密度や高さを適宜に調整することにより、衣料用部材の密度や厚み等といった特性の調整が可能である。特に、衣料用部材の特定位置における特性の調整が可能である。
【0010】
樹脂繊維の繊維間の空隙が維持された状態で樹脂繊維が堆積していてもよい。樹脂繊維の繊維間の空隙(空間)が維持された状態とすることで、衣料用部材の通気性、及び/又は嵩高性を確保することができる。
【0011】
衣料用部材において、樹脂繊維の平均繊維径が0.4mm以下10μm以上であってもよい。樹脂繊維の平均繊維径を小さくする(細くする)ことで、風合いや平滑性を向上できる。
【0012】
衣料用部材が、0.4kPa・s/m以下の通気性を有してもよい。通気性が高められると、衣料用部材としてより好適である。なお、通気性が、例えばKES法(KES-F8通気性試験機による計測)によって測定され、「kPa・s/m」の単位で表される場合には、その値が小さいほど、通気性が高いことになる。
【0013】
衣料用部材が、着用者の身体の一部に沿うように第1面側に膨出した形状を有し、第1面の平滑度が、第1面の反対側である第2面の平滑度よりも高くてもよい。例えば第1面が衣料の外側に位置する場合には、外観性が高められる。
【0014】
衣料用部材において、樹脂繊維の堆積量の違いによって面方向に厚みが変化していてもよい。面方向に厚みが変化することで、面方向の各部におけるクッション性等を自在に調整できる。また、面方向の特定部位において厚みを最小限にする等の調整も可能である。
【0015】
衣料用部材が、樹脂材料の種類、樹脂繊維の直径、及び樹脂繊維の密度の少なくともいずれか一つが異なる複数の樹脂繊維層を有していてもよい。衣料用部材が複数の樹脂繊維層を有することで、衣料用部材としての機能性がより一層高められる。
【0016】
衣料用部材において、複数の樹脂繊維層が第1層と第2層とを含み、第2層の厚みが第1層の厚みよりも大きくてもよい。この場合、第2層によって嵩高性を確保することができる。
【0017】
衣料用部材において、複数の樹脂繊維層が第3層を更に含み、第1層と第3層との間に第2層が配置されており、第2層の厚みが、第1層の厚み及び第3層の厚みのいずれかよりも大きくてもよい。この場合、第1層と第3層のいずれかには、外観に及ぼす影響又は外力によって受ける影響を考慮した特性を持たせ、一方で第2層によって、衣料用部材としての嵩高性を確保することができる。第2層の厚みが、第1層の厚み及び第3層の厚みのいずれ(すなわち両方)よりも大きくてもよい。
【0018】
衣料用部材において、第2層における樹脂繊維の密度が、第1層における樹脂繊維の密度及び第3層における樹脂繊維の密度のいずれよりも低くてもよい。第2層によって、衣料用部材としての嵩高性を確保しつつ、第1層と第3層における繊維密度を比較的高くすることで、表面の平滑性を高めることができ、外観性が高められる。また、衣料が洗濯される際の洗濯耐久性を高めることもできる。
【0019】
本発明の別の態様として、メルトブロー法を用い、基材の位置の制御を行い、基材上において常圧条件下で樹脂繊維を立体的に堆積させる、衣料用部材の製造方法が提供されてもよい。
【0020】
この衣料用部材の製造方法によれば、厚み方向及び/又は面方向において、樹脂繊維を堆積させる密度や高さを適宜に調整することにより、衣料用部材の密度や厚み等といった特性の調整が可能である。また、圧力差を印加する吸引等を行わないため、複雑な形状の基材を用いた複雑な形状の衣料用部材を容易に製造できる。
【0021】
衣料用部材の製造方法において、基材の表面は凹面状の凹面部を有し、基材の凹面部上に樹脂繊維を吹き付けて樹脂繊維を堆積させてもよい。基材の凹面部上に樹脂繊維を吹き付けることにより、圧力差の印加や余計な繊維の除去等を行わなくても、成形性が高められる。また、凹面部に対応して、衣料用部材の膨出する形状の表面が形成される。衣料用部材の表面が衣料の外側に位置する場合には、外観性が高められる。
【0022】
衣料用部材の製造方法において、基材の面方向において、樹脂の吐出圧、樹脂繊維の吹付け時間、風量、樹脂繊維の吐出口から基材までの距離の少なくともいずれか一つを変化させることにより、衣料用部材の厚みを面方向に変化させてもよい。面方向に厚みが変化することで、面方向の各部におけるクッション性等を自在に調整できる。また、面方向の特定位置において厚みを最小限にする等の調整も可能である。
【0023】
衣料用部材の製造方法において、基材の鉛直方向において、樹脂材料の種類、樹脂の吐出圧、樹脂繊維の吹付け時間、風量、樹脂繊維の吐出口から基材までの距離の少なくともいずれか一つを変化させることにより、衣料用部材の特性を厚み方向に変化させてもよい。衣料用部材の特性が厚み方向に変化することで、例えば、複数の樹脂繊維層を有する衣料用部材を製造できる。よって、衣料用部材としての機能性がより一層高められる。
【0024】
衣料用部材の製造方法において、樹脂材料の種類、樹脂繊維の直径、及び樹脂繊維の密度の少なくともいずれか一つを異ならせることにより、複数の樹脂繊維層を形成してもよい。衣料用部材が複数の樹脂繊維層を有することで、衣料用部材としての機能性がより一層高められる。
【0025】
衣料用部材の製造方法が、三次元積層造形法により作製された基材を準備する工程と、基材を基材位置制御装置の基材ホルダに保持させる工程と、ホルダを移動させながら、メルトブロー法により基材上に樹脂繊維を堆積させる工程と、を含んでもよい。基材が三次元積層造形法により作製される場合、基材の形状又は構造における制約が少なく、あらゆる立体形状を実現可能である。例えば、基材ホルダに保持させる部分(被保持部すなわちベース部)、樹脂繊維を堆積させる部分(堆積面部)、及び、これらの中間の連結部等を自在に作製することができる。よって、衣料用部材の形状についても、自由度が高い。また基材位置制御装置によって基材ホルダの位置及び姿勢を変化させることで、基材上の各部に堆積する樹脂繊維の種類や堆積量等も変化させやすい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、衣料用部材の特定位置における特性の調整が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の一実施形態に係る衣料用部材を示す斜視図である。
図2図2(a)は衣料用部材の一例としてのブラジャー用カップの断面図であり、図2(b)は図2(a)のブラジャー用カップの一部を拡大して示す断面図である。
図3】衣料用部材の製造装置を示す図である。
図4図4(a)は一例に係る基材の上に樹脂繊維を吹き付けて堆積させる状態を示す図、図4(b)は他の例に係る基材の上に樹脂繊維を吹き付けて堆積させる状態を示す図である。
図5】一実施例に係る衣料用部材の断面写真である。
図6図6(a)は実施例に係るブラジャー用カップの表面の写真であり、図6(b)は図6(a)のブラジャー用カップの裏面の写真である。
図7図7(a)は実施例に係るブラジャー用カップの表面の電子顕微鏡写真であり、図6(b)は図6(a)のブラジャー用カップの裏面の電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0029】
図1及び図2を参照して、本実施形態の衣料用部材について説明する。衣料用部材200は、衣料の各部を構成するために用いられる部材である。衣料としては、特に限定されないが、例えばブラジャー、キャミソール、ショーツ、ガードル、ブリーフ、トランクス、インナーシャツ等の肌着類(下着類)が挙げられる。衣料は、その他にも、長袖シャツや半袖シャツ等のトップス、又はジャケット等のトップ衣類であってもよい。衣料は、パンティストッキング、レギンス、スパッツ、タイツ、スポーツ用タイツ、水着、レオタード、ボディスーツ、又はパンツ等のボトム衣類であってもよい。衣料用部材は、所定の厚みを有する。衣料用部材は、上記の衣料の少なくとも一部を構成し、例えば着用者のバストを覆うカップ又はパッド等であってもよく、着用者の身体の関節部を覆うパッド(膝パッド又は肩パッド)等であってもよく、着用者の身体の他の一部を覆う部材(ブラジャーのバック、又はボトム衣類の尻パッド)等であってもよい。衣料用部材は、上記の衣料の全体を構成してもよい。衣料用部材が、例えばハーフトップブラジャー又はショーツ等であってもよい。
【0030】
「衣料の全体」とは、「衣料」の全体と、「衣料」の略全体とを含む意味である。衣料が、例えば金属製又はプラスチック製の構造部品(図1に示されるストラップ104のアジャスタ部105、又はバック端部に設けられたフック部106等)又は装飾部品を有する場合に、衣料用部材が、これらの構造部品又は装飾部品を除いた本体部全体であってもよい。
【0031】
以下の説明では、衣料用部材200が、ブラジャー100のカップである場合について説明する。図1及び図2に示されるように、衣料用部材200は、互いに融着した樹脂繊維を含む不織構造体である。衣料用部材200は、例えばメルトブロー法により製造された不織構造体(すなわちメルトブローン不織構造体)である。衣料用部材200は、樹脂繊維が厚み方向に立体的に堆積した構造を有する。衣料用部材200は、縫製又は接着等によって土台103やストラップ104等の他の部材と接合され、ブラジャー100に組み込まれる。ブラジャー100のカップ(又はパッド)のように、一対の部材が左右対称に設けられる場合に、図1に示されるように各カップが別々に製造されてもよく、左右のカップ(又はパッド)が連結されていて、一体に製造されてもよい。衣料用部材200は、着用者のバストを覆うのに適した立体形状(カップ形状)を有する。なお、図1に示されるように、ブラジャー100のバックである略平面状の衣料用部材300に本発明が適用されてもよい。
【0032】
衣料用部材200は、樹脂繊維が厚み方向に立体的に堆積した構造を有する部材であれば何でもよい。すなわち、衣料用部材200は、あらゆる立体成形品である。なお、本明細書において、靴は衣料には含まれない。したがって、靴のインソールは衣料用部材に含まれない。
【0033】
衣料用部材200は、メルトブロー法を用いて、基材50(図3参照)上において常圧条件下(例えば大気圧条件下)で樹脂繊維Fを立体的に堆積させることにより製造される(詳しくは後述)。この製造方法により、衣料用部材200では、樹脂繊維の繊維間の空隙(空間)が維持された状態で、樹脂繊維が堆積している。本明細書において「空隙」とは、例えば、樹脂繊維Fの繊維径の1倍~100倍程度の繊維間距離を有する空間、或いは、空隙率が5%~60%となる空間と定義され得る。従来のメルトブロー法では、基材の片面から吸引圧(圧力差)が付与されることにより、基材上にて樹脂繊維が定着する。しかし、例えば樹脂材料の種類や吹付条件を調整し、常圧条件下でメルトブロー法を行う本実施形態では、吸引圧は付与しないため、装置を簡素化できる。また、吸引圧を付与する場合は、どの位置においてもある程度均一な吸引圧を付与する必要があるため、複雑な形状の基材を使用することは困難であるが、常圧条件下でメルトブロー法を行う本実施形態では、複雑な形状の基材を使用することができる。
【0034】
本実施形態の衣料用部材200は、例えば、0.4kPa・s/m以下の通気性を有する。衣料用部材200が、0.35kPa・s/m以下の通気性を有してもよく、0.3kPa・s/m以下の通気性を有してもよく、0.25kPa・s/m以下の通気性を有してもよい。通気性は、例えばKES法(KES-F8通気性試験機による計測)によって測定され得る。「kPa・s/m」の単位で表される通気抵抗の値が小さいほど、通気性が高いことになる。通気性はJIS L1096 通気性A法(フラジール形法)で計測してもよい。衣料用部材200における樹脂繊維の平均繊維径は、例えば、0.4mm以下10μm以上である。衣料用部材200では、樹脂繊維の繊維間の空隙が維持されているので、メルトブロー装置1の吐出ノズルから吐出される樹脂繊維Fの平均繊維径が、衣料用部材200における樹脂繊維の平均繊維径として維持されている。衣料用部材200における樹脂繊維の平均繊維径が、0.4mm以下30μm以上であってもよく、0.3mm以下10μm以上であってもよい。衣料用部材200における樹脂繊維の平均繊維径が、0.3mm以下30μm以上であってもよい。
【0035】
図2(a)に示されるように、衣料用部材200は、例えば、着用者の身体の一部(バスト等)に沿うように、表面(第1面)201側に膨出した形状を有する。言い換えれば、表面201は膨出面をなし、表面201の反対側である裏面(第2面)202は凹面をなす。衣料用部材200では、樹脂繊維の堆積量の違いによって、面方向に厚みが変化している。例えば、衣料用部材200は、上縁部200aと中央部200bと下縁部200cとを含む。中央部200bの厚みは、上縁部200aの厚みよりも大きく、かつ下縁部200cの厚みよりも大きい。上縁部200aの厚みは、例えば下縁部200cの厚みよりも小さい。衣料用部材200の面方向の各部における厚みは、当該部材が覆う着用者の身体の一部の形状、当該部材に求められる機能、及び/又は衣料の種類等に応じて、適宜に設定され得る。
【0036】
なお、衣料用部材の厚みが、面方向において一定であってもよい。すなわち、衣料用部材が、面方向のすべての部位において均一な厚みを有してもよい。本明細書において、衣料用部材の「厚み」とは、衣料の非着用時における厚みであり、衣料用部材に外力が加えられない場合における厚み(自然な状態における厚み)である。
【0037】
衣料用部材200の表面201における平滑度は、裏面202における平滑度より高くてもよい。平滑度は、例えば、KES法(KES-FB4A表面試験機による計測)によって測定され得る。表裏両面における平滑度の相違は、例えば、後述する製造時における基材50との位置関係によって決まり得る。衣料用部材の表裏両面における平滑度は、当該部材に求められる機能、及び/又は衣料の種類等に応じて、適宜に設定され得る。衣料用部材の第1面が膨出面をなし、第2面が凹面をなす場合において、第1面における平滑度が、第2面における平滑度より低くてもよい。これらの特徴を上位概念的に記述すると、第1面における平滑度が、第2面における平滑度と異なっていてもよい。衣料用部材が平面状の部材すなわち平坦な部材である場合に、第1面における平滑度と第2面における平滑度が異なっていてもよい。その場合に、(図1に示される衣料用部材300等のように)衣料に部材が組み込まれた場合に表面側に位置する面と、裏面側に位置する面とで、平滑度の大小が決定されてもよい。
【0038】
衣料用部材の第1面における平滑度と第2面における平滑度が等しくてもよい。
【0039】
図2(b)に示されるように、衣料用部材200は、樹脂材料の種類、樹脂繊維の直径、及び樹脂繊維の密度の少なくともいずれか一つが異なる複数の樹脂繊維層を有する。図2(b)に示される例では、衣料用部材200は、少なくとも中央部200bにおいて、表面201を含む第1層210と、裏面202を含む第3層230と、第1層210及び第3層230の間に位置する第2層220とを含む。衣料用部材200は、例えば三層構造を有する。衣料用部材200は、中央部200bのみならず、全体にわたって三層構造を有する。衣料用部材200では、例えば、第2層220における樹脂繊維の密度が、第1層210における樹脂繊維の密度及び第3層230における樹脂繊維の密度のいずれよりも低い。すなわち、第1層210及び第3層230は比較的高密度であり、第2層220は比較的低密度である。第1層210における樹脂繊維の密度は、第3層230における樹脂繊維の密度と同程度であってもよい。第1層210における樹脂繊維の密度が、第3層230における樹脂繊維の密度と異なっていてもよい(いずれか一方が他方より高くてもよい)。
【0040】
また別の観点では、第2層220の厚みは、第1層210の厚み及び第3層230の厚みのいずれよりも大きい。すなわち、第1層210及び第3層230は比較的薄い層であり、第2層220は比較的厚い層である。第1層210の厚みは、第3層230の厚みと同程度であってもよい。第1層210の厚みが、第3層230の厚みと異なっていてもよい(いずれか一方が他方より大きくてもよい)。なお、第2層220の厚みが、第1層210の厚み及び第3層230の厚みのいずれか一方のみより大きくてもよい。その場合、第2層220の厚みは、第1層210の厚み及び第3層230の厚みのいずれか他方よりは小さくなる。
【0041】
樹脂材料の種類は、メルトブロー装置1において投入する樹脂材料の種類を堆積中に変更することで、変更可能である。樹脂繊維の直径は、メルトブロー装置1における風量もしくは吐出圧を変更することで、変更可能である。樹脂繊維の密度は、メルトブロー装置1における風量、メルトブロー装置1の吐出口26と基材50の表面51との距離、及び基材ホルダ46の移動速度の少なくとも1つを変更することで、変更可能である。
【0042】
なお、衣料用部材が複数の樹脂繊維層を有する場合において、層の数は、二層であってもよく、四層以上であってもよい。衣料用部材が二層構造である場合に、第2層の厚みが第1層の厚みよりも大きくてもよい。すなわち、各層の厚みが異なってもよい。また衣料用部材が四層以上の構造である場合に、いずれか一層の厚みが他の一層の厚みよりも大きくてもよい。すなわち、いずれか少なくとも二層の厚みが異なってもよい。すべての層の厚みが異なってもよいし、いずれか二層の厚みのみが等しくてもよい。樹脂繊維の密度に関しても、層ごとに、厚みと同様の相違が設けられ得る。厚みの小さい層ほど樹脂繊維の密度が大きくされてもよい。
【0043】
衣料用部材が複数の樹脂繊維層を有する場合において、各層における樹脂繊維の密度、及び、各層の厚みは、当該部材に求められる機能、及び/又は衣料の種類等に応じて、適宜に設定され得る。例えば、衣料用部材200の第1層210(表面側の層)及び第3層230(裏面側の層)は、衣料用部材200の耐久性(例えば、洗濯耐久性)を考慮して、比較的、高密度かつ薄い層とされてもよい。衣料用部材200の第2層220(中間層)は、軽量性及び嵩高性を考慮して、比較的、低密度かつ厚い層とされてもよい。第2層220が、衣料用部材200全体に弾力性を付与するために機能してもよい。
【0044】
続いて、衣料用部材に用いられる樹脂繊維について説明する。本実施形態の衣料用部材は、互いに融着した繊維を含む衣料用部材であって、当該繊維が、A1樹脂:130℃以上の融点を有するポリエステル樹脂、A2樹脂:融点が130℃以上であるポリオレフィン樹脂、A3樹脂:230℃において、2.16kgの荷重を用いて測定したメルトフローレートが20g/10分以上であるスチレン系樹脂、及びA4樹脂:ポリウレタン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種である第1の樹脂と、B1樹脂:130℃未満の融点を有するポリエステル樹脂、及びB2樹脂:融点が120℃以下であるポリオレフィン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種である第2の樹脂と、を含む。このような衣料用部材としては、メルトブロー法により得られるメルトブローン衣料用部材であると好ましい。衣料用部材における繊維の平均径は特に制限されないが、10μm~400μmであってよい。
【0045】
<第1の樹脂>
第1の樹脂は、熱可塑性樹脂であり、熱可塑性エラストマーであると好ましい。なお、本明細書においてエラストマーとは、例えば、示差走査熱量測定(DSC)により測定したガラス転移温度が室温(25℃)よりも低い樹脂を言う。第1の樹脂は、上記A1樹脂~A4樹脂の4種の樹脂のいずれかであればよい。第1の樹脂は、一種の樹脂のみであってもよく、2種以上を併用してもよい。第1の樹脂のショア硬度Aは50以上であると好ましく、60~95であるとより好ましく、65~90であるとより好ましい。なお、ショア硬度Aは、JIS K 6253又はJIS K 7215に記載の方法により、デュロメータで測定したショア硬度Aであってよい。
【0046】
衣料用部材における第1の樹脂の含有量は、衣料用部材の総量100質量%に対して、60質量%以上であると好ましく、65質量%以上であるとより好ましく、70質量%以上であると更に好ましい。衣料用部材における第1の樹脂の含有量の上限は、特に制限はなく、衣料用部材の総量100質量%に対して、例えば、95質量%であってよく、90質量%であってよい。
【0047】
<A1樹脂>
A1樹脂は、130℃以上の融点を有するポリエステル樹脂である。ポリエステル樹脂の融点は、例えば、DSCにより測定したものであってよい。ポリエステル樹脂の融点は、135℃以上であると好ましく、140℃以上であると好ましく、145℃以上であると更に好ましく、150℃以上であると特に好ましい。ポリエステル樹脂の融点の上限は、取り扱い性の観点から、例えば、200℃であってよく、190℃であってよい。
【0048】
ポリエステル樹脂としては、特に制限はないが、芳香族多価カルボン酸に由来する構造単位と、脂肪族多価アルコールに由来する構造単位とを有しているものが挙げられる。芳香族多価カルボン酸としては、テレフタル酸等の芳香族二価カルボン酸であると好ましい。脂肪族多価アルコールとしては、炭素数2~10のアルキレングリコールが挙げられ、エチレングリコール、1,4-ブタンジオールが好ましい。
【0049】
ポリエステル樹脂は、ハードセグメントとソフトセグメントとを有するブロック共重合体であってよい。ハードセグメントは、例えば、芳香族多価カルボン酸に由来する構造単位と、脂肪族多価アルコールに由来する構造単位とを有し、ソフトセグメントは、芳香族カルボン酸に由来する構造単位と、ポリエチレングリコールブロックを有するものであると好ましい。ハードセグメントに構造単位として含まれる脂肪族アルコールとしては、炭素数2~10のアルキレングリコールが挙げられ、エチレングリコール、1,4-ブタンジオールが好ましい。
【0050】
A1樹脂としてのポリエステル樹脂は、衣料用部材の軽量化の観点から、比重(密度)が1.2以下であると好ましく、1.1以下であるとより好ましい。比重は例えば、ASTM D792の方法により、測定することができる。
【0051】
A1樹脂であるポリエステル樹脂としては、市販品を使用することもできる。例えば、上述のハードセグメント及びソフトセグメントを有するポリエステル樹脂としては、ハイトレル(登録商標)3001(東レ・デュポン株式会社製)、ペルプレン(登録商標)P-30B、ペルプレン(登録商標)P-40B、ペルプレン(登録商標)P-40H(いずれも東洋紡株式会社製)等が挙げられる。
【0052】
<A2樹脂>
A2樹脂は、融点が130℃以上であるポリオレフィン樹脂である。ポリオレフィン樹脂の融点は、例えば、DSCにより測定したものであってよい。ポリオレフィン樹脂の融点は、135℃以上であると好ましく、140℃以上であると好ましく、145℃以上であると更に好ましく、150℃以上であると特に好ましい。ポリオレフィン樹脂の融点の上限は、取り扱い性の観点から、例えば、200℃であってよく、190℃であってよい。
【0053】
ポリオレフィン樹脂に含まれるオレフィン単位としては特に制限はなく、エチレン、プロピレン等の炭素数2~10のオレフィンであることが好ましく、炭素数2~5のオレフィンであることがより好ましい。当該オレフィンはα-オレフィンであってよい。ポリオレフィン樹脂に含まれる単位としては、プロピレンが好ましく(つまり、ポリプロピレン樹脂である)ことが好ましい。なお、ポリプロピレン樹脂は、プロピレンのホモポリマーであってもよいが、プロピレンと他の単量体単位を含む共重合体であってもよい。共重合体であるポリプロピレン樹脂は、プロピレンに由来する構造単位を主成分として含み、例えば、ポリプロピレン樹脂の総量100質量%に対して、プロピレンに由来する構造単位の含有量が70質量%以上であってよく、80質量%以上であってよく、90質量%以上であってよい。共重合体としては、エチレンとプロピレンとの共重合体が挙げられる。エチレンとプロピレンとの共重合体におけるエチレンに由来する単位の含有量は、15質量%以下であってよく、10質量%以下であってよい。
【0054】
ポリオレフィン樹脂のメルトフローレートは、5~100g/10分であると好ましく、10~50g/10分であるとより好ましく、15~40g/10分であると更に好ましい。メルトフローレートは、230℃において、2.16kgの荷重を用いて測定した値であってよい。
【0055】
A2樹脂であるポリオレフィン樹脂としては、市販品を使用することもできる。そのようなポリオレフィン樹脂としては、例えば、タフマー(登録商標)PN20300(三井化学株式会社製)、WINTEC(登録商標)WMX03(日本ポリプロ株式会社製)等が挙げられる。
【0056】
<A3樹脂>
A3樹脂は、230℃において、2.16kgの荷重を用いて測定したメルトフローレートが20g/10分以上であるスチレン系樹脂である。メルトフローレートは、40g/10分以上であると好ましく、70g/10分以上であるとより好ましく、100g/10分以上であると更に好ましく、150g/10分以上であるとなおさら好ましく、200g/10分以上であると特に好ましい。なお、A3樹脂に含まれる樹脂は、A2樹脂に含まれないものとする。
【0057】
スチレン系樹脂は、スチレンに由来する構造単位を含む重合体である。スチレン系樹脂としては、スチレンのホモポリマーであってもよいが、スチレンと他の単量体との共重合体であってもよい。スチレン系樹脂が共重合体である場合、スチレンに由来する単位の含有量は、スチレン系樹脂の総量100質量%に対して、10~40質量%であると好ましく、15~30質量%であるとより好ましく、17~25質量%であると好ましい。スチレン系樹脂に含まれるスチレン以外の単量体としては、エチレン、ブチレン等のオレフィンが挙げられる。
【0058】
A3樹脂であるスチレン系樹脂としては、市販品を使用することもできる。そのようなスチレン系樹脂としては、例えば、クレイトン(登録商標)MD1648(Kraton Corporation製)等が挙げられる。
【0059】
<A4樹脂>
A4樹脂はポリウレタン樹脂である。ポリウレタン樹脂の180℃における溶融粘度が、3000Pa・s以下であると好ましく、2000Pa・s以下であるとより好ましい。また、ポリウレタン樹脂の170℃における溶融粘度が、4000Pa・s以下であると好ましく、3000Pa・s以下であるとより好ましく、2000Pa・s以下であると更に好ましい。また、ポリウレタン樹脂の160℃における溶融粘度が、3000Pa・s以下であると好ましく、2000Pa・s以下であるとより好ましい。また、ポリウレタン樹脂の150℃における溶融粘度が、4000Pa・s以下であると好ましく、3000Pa・s以下であるとより好ましい。溶融粘度は、例えば、高化式フローテスターを用いた昇温法により測定することができる。高化式フローテスターとしてはCFT-500(株式会社島津製作所製)を使用することができ、具体的な測定条件としては、荷重:196N、昇温速度:2.5℃/min、及びダイ:Φ1mm×L10mmとすることができる。
【0060】
A4樹脂であるポリウレタン樹脂としては、ウレタン結合を有するハードセグメント及びソフトセグメントを有するブロック共重合体であってもよい。ハードセグメントは、多価イソシアネートに由来する構造単位と、脂肪族ジオールに由来する構造単位を有すると好ましい。ハードセグメントに構造単位として含まれる多価イソシアネートは、脂肪族多価イソシアネートであっても芳香族多価イソシアネートであってもよく、ジイソシアネートであると好ましい。ハードセグメントに構造単位として含まれる脂肪族ジオールは、炭素数2~10(より好ましくは炭素数2~6)のアルキレングリコールであってよい。ソフトセグメントは、多価イソシアネートに由来する構造単位と、ポリエステルポリオールブロック又はポリエーテルポリオールブロックを有すると好ましい。
【0061】
A4樹脂であるポリウレタン樹脂のショア硬度Aは、50以上であると好ましく、60~95であるとより好ましく、65~90であるとより好ましい。なお、ショア硬度Aは、JIS K 6253又はJIS K 7215に記載の方法により、デュロメータで測定したショア硬度Aであってよい。
【0062】
A4樹脂であるポリウレタン樹脂としては、市販品を使用することもできる。例えば、ハードセグメントと、ポリエーテルポリオールブロックを含むソフトセグメントとを有するポリウレタン樹脂としては、例えば、フォルティモ(登録商標)XET-T1475(三井化学株式会社製)、フォルティモ(登録商標)XET-T1480(三井化学株式会社製)等が挙げられる。
【0063】
<第2の樹脂>
第2の樹脂は、熱可塑性樹脂であり、熱可塑性エラストマーであると好ましい。第2の樹脂は、上記B1樹脂及びB2樹脂の少なくとも一方であればよい。第2の樹脂は、一種の樹脂のみであってもよく、2種以上を併用してもよい。
【0064】
衣料用部材における第2の樹脂の含有量は、衣料用部材の総量100質量%に対して、3~30質量%であると好ましく、5~25質量%であるとより好ましく、7~20質量%であると更に好ましい。
【0065】
<B1樹脂>
B1樹脂は、130℃未満の融点を有するポリエステル樹脂である。ポリエステル樹脂は、結晶性ポリエステル樹脂であってよい。ポリエステル樹脂の融点の下限は、室温(25℃)であってよく、例えば、60℃であってよい。
【0066】
B1樹脂であるポリエステル樹脂は、例えば、数平均分子量が8000~50000であると好ましく、15000~45000であると好ましく、25000~40000であるとより好ましい。また、200℃における溶融粘度は、3000~10000dPa・sであると好ましく、4000~8000dPa・sであるとより好ましい。
【0067】
B1樹脂であるポリエステル樹脂としては、市販品を使用することもできる。そのようなポリウレタン樹脂としては、例えば、バイロン(登録商標)GM-913(バイロン株式会社製)が挙げられる。
【0068】
<B2樹脂>
B2樹脂は融点が120℃以下であるポリオレフィン樹脂である。ポリオレフィン樹脂の融点は、例えば、DSCにより測定したものであってよい。ポリオレフィン樹脂の融点は、115℃以下であると好ましく、110℃以下であると好ましく、105℃以下であると更に好ましい。ポリオレフィン樹脂の融点の下限は、室温(25℃)であってよく、例えば、60℃であってよい。
【0069】
このようなポリオレフィン樹脂としては、ポリプロピレン樹脂が好ましい。ポリプロピレン樹脂は、プロピレンのホモポリマーであってもよいが、プロピレンと他の単量体単位を含む共重合体であってもよい。共重合体であるポリプロピレン樹脂は、プロピレンに由来する構造単位を主成分として含み、例えば、ポリプロピレン樹脂の総量100質量%に対して、プロピレンに由来する構造単位の含有量が70質量%以上であってよく、80質量%以上であってよく、90質量%以上であってよい。共重合体としては、エチレンとプロピレンとの共重合体が挙げられる。エチレンとプロピレンとの共重合体におけるエチレンに由来する単位の含有量は、15質量%以下であってよく、10質量%以下であってよい。ポリプロピレン樹脂は、立体規則性が低いものが好ましく、例えば、mmmm分率が20~70%であると好ましく、30~60%であると好ましい。mmmm分率は、核磁気共鳴法(NMR)により測定することができる。
【0070】
ポリオレフィン樹脂は、分子量の分布が狭いものが好ましく、例えば、また、多分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、1.5~2.5のものが好ましい。
【0071】
B2樹脂であるポリオレフィン樹脂としては、市販品を使用することもできる。そのようなポリオレフィン樹脂としては、例えば、Vistamaxx(登録商標)8880(エクソンモービル社製)、Vistamaxx(登録商標)7050BF(エクソンモービル社製)、エルモーデュ(登録商標)S400(出光興産株式会社製)、エルモーデュ(登録商標)S600(出光興産株式会社製)等が挙げられる。
【0072】
第1の樹脂と第2の樹脂とを併用することにより、衣料用部材の形状の自由度及び嵩高性が改善される理由として、本発明者は以下のように考えている。まず、繊維同士が融着した衣料用部材を製造する場合、溶融状態の繊維同士を接触させて融着させることとなる。この際に、樹脂の融点が高いと、樹脂を糸状に成型する際の成形温度との差が小さいため、溶融状態で糸状に成型された樹脂同士が接触する前に樹脂の温度が融点付近まで下がりやすく、繊維同士の接着性が低下する。また、衣料用部材を成形する際の基材との接着性も低下する。特に複雑な構造の成形用基材には、接着力の弱い繊維が定着しにくく、衣料用部材の形状を制御することが困難である。A1及びA2樹脂は、融点が高く、このような樹脂は立体規則性に伴う結晶性が高いため、弾力性にも優れ、製造された衣料用部材は嵩高性に優れる傾向にあるが、上記の理由から単独では自由な形状の衣料用部材を作製しにくい。一方、B1及びB2樹脂は、融点が低いため、第1の樹脂と異なり、接着性に優れる。そのため、第1の樹脂と第2の樹脂とを併用することにより定着性に優れるため衣料用部材の形状を所望の形状とでき、衣料用部材の嵩高性も向上できる。
【0073】
第1の樹脂と第2の樹脂の組み合わせとしては、特に制限はなく、任意の組み合わせを採用できるが、例えば、以下の組み合わせが挙げられる。
(1)第1の樹脂がA1樹脂を含み、第2の樹脂がB1樹脂を含む。
(2)第1の樹脂がA2樹脂を含み、第2の樹脂がB2樹脂を含む。
(3)第1の樹脂がA3樹脂を含み、第2の樹脂がB1樹脂を含む。
(4)第1の樹脂がA3樹脂を含み、第2の樹脂がB2樹脂を含む。
【0074】
また、第1の樹脂を複数種使用する場合、例えば、その組み合わせとしては以下のものが挙げられる。
(I)A1樹脂とA4樹脂
(II)A2樹脂とA3樹脂
(III)A1樹脂とA3樹脂
【0075】
(I)の場合、A1樹脂の含有量は、衣料用部材の総量100質量%に対して、40~80質量%であると好ましく、50~70質量%であるとより好ましい。また、この場合、A1樹脂の含有量は、衣料用部材の総量100質量%に対して、5~30質量%であると好ましく、10~25質量%であるとより好ましい。
【0076】
(II)の場合、A3樹脂の含有量は、衣料用部材の総量100質量%に対して、40~80質量%であると好ましく、50~70質量%であるとより好ましい。また、この場合、A2樹脂の含有量は、衣料用部材の総量100質量%に対して、5~30質量%であると好ましく、10~25質量%であるとより好ましい。
【0077】
(III)の場合、A3樹脂の含有量は、衣料用部材の総量100質量%に対して、40~80質量%であると好ましく、50~70質量%であるとより好ましい。また、この場合、A1樹脂の含有量は、衣料用部材の総量100質量%に対して、5~30質量%であると好ましく、10~25質量%であるとより好ましい。
【0078】
<その他の成分>
衣料用部材を構成する繊維は、第1の樹脂及び第2の樹脂以外の成分を含んでいてもよい。そのような成分としては、着色剤、抗菌剤、保温材、導電材、静電防止材、相溶化剤等が挙げられる。抗菌剤としては、無機系抗菌剤及び有機系抗菌剤のいずれであってもよい。無機系抗菌剤としてはAg-Cu系、Ag系、Ag-Zn系が挙げられ、例えば、バクテキラーBM-102TG(富士ケミカル株式会社製)等が挙げられる。導電材としては、黒鉛が挙げられる。静電防止剤としては、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられ、例えば、レオドール TW-L120(花王株式会社製)等が挙げられる。相溶化剤としては、マレイン酸変性ポリプロピレン(例えば、POLYALLOY INC.社製、商品名「ポリンカ PL2400」)等が挙げられる。そのほかの成分の含有量は、衣料用部材の総量100質量%に対して、0.1~15質量%であると好ましく、1~10質量%であると好ましい。
【0079】
衣料用部材における第1の樹脂及び第2の樹脂の合計量は、衣料用部材の総量100質量%に対して、80質量%以上であると好ましく、90質量%以上であるとより好ましく、95質量%以上であると好ましく、98質量%であると好ましい。
【0080】
続いて、図3を参照して、一実施形態に係る衣料用部材製造システムSについて説明する。衣料用部材製造システムSは、樹脂材料を原料として、メルトブロー法により衣料用部材200を形成するためのシステムである。衣料用部材製造システムSでは、例えば、2種類以上の樹脂材料が用いられる。衣料用部材製造システムSは、樹脂材料を原料として樹脂繊維Fを発生させるメルトブロー装置1と、基材50上において所望の厚み及び形状で衣料用部材200が形成されるように基材50を保持する基材位置制御装置40とを備える。
【0081】
メルトブロー装置1は、樹脂材料を溶融させると共に押し出す押出部10と、樹脂材料を吐出する吐出部20と、吐出部20に対して高温の空気を供給する送風部30とを備える。押出部10、吐出部20及び送風部30の大部分又は全部が、たとえば、筐体2の内部に収容されている。
【0082】
押出部10は、樹脂材料を軸方向に押し出す管状のスクリュー部11と、スクリュー部11のスクリューに回転駆動力を与えるモータ12とを有する。スクリュー部11の上流側(図示左側)の端部には、スクリュー部11内に樹脂材料を投入するためのホッパ4が取り付けられている。ホッパ4は筐体2の上方に突出している。ホッパ4の上方から、例えば異なる2種類の樹脂材料である第1の樹脂材料M1及び第2の樹脂材料M2が同時に投入される。
【0083】
第1の樹脂材料M1及び第2の樹脂材料M2は、それぞれ、例えばペレット状であってもよいし、粉状であってもよい。第1の樹脂材料M1及び第2の樹脂材料M2のいずれか一方がペレット状であり、いずれか他方が粉状であってもよい。また、2種類以上の複数の樹脂を同時にホッパ4に投入してもよい。
【0084】
スクリュー部11には、軸方向の複数の位置において、複数のヒータ14が設けられている。或いは、軸方向に延びる1つの大きなヒータ14が設けられてもよい。ヒータ14はスクリュー部11内の樹脂材料を加熱して溶融させる。すなわち、ホッパ4への投入前において異なる複数種類の樹脂材料であったものが、スクリュー部11内では、溶融して互いに混ざり合っており、均一化されている(混合樹脂材料となっている)。スクリュー部11の軸方向の複数の位置において、溶融された樹脂材料の温度を検出するための複数の温度センサ、例えば、第1温度センサ16、第2温度センサ17、第3温度センサ18及び第4温度センサ19が設けられている。スクリュー部11の下流端に吐出部20が接続されている。
【0085】
吐出部20は、スピニングポンプ21と、ダイ24と、スピニングポンプ21及びダイ24を接続する吐出管部22とを有する。スピニングポンプ21は、例えばスクリュー部11の軸線よりも高い位置に取り付けられており、スクリュー部11内を圧送された樹脂材料を受け入れてダイ24の吐出口側のダイヘッド23に向けて吐出する。ダイヘッド23の下端中央には、樹脂Xを吐出する吐出口26が形成されている。この吐出口26は、メルトブロー装置1における吐出ノズルであり、所定の口径(孔径)を有する複数の孔部を有している。吐出口26の口径(孔径)は、例えば、0.1mm~0.5mmであることが好ましく、0.2mm~0.4mmであることが更により好ましい。吐出口26の口径(孔径)は、一例として、0.3mmである。ダイヘッド23及び吐出口26は、吐出部20の下端に設けられており、下方に設けて複数本の樹脂繊維Fを吐出する。吐出ノズルを通る樹脂材料の温度を検出する吐出温度センサが設けられてもよい。また、吐出管部22の圧力を計測し、調整することにより、吐出部20における樹脂Xの吐出圧が調整可能である。吐出圧は、メルトブロー装置1のスクリュー部11の回転数の制御、スピニングポンプ21の制御等によって調整可能である。吐出圧に代えて、樹脂Xの吐出量を調整することもできる。
【0086】
送風部30は、空気を流通させる送風管31と、送風管31に設けられたブロア33とを有する。送風管31の上流端から空気が吸い込まれ、ブロア33によって圧送される。送風管31の下流側の端部である接続部32は、ダイ24に接続されている。送風部30によって供給された高温の空気は、ダイ24の内部に流入し、樹脂繊維Fを吐出口26から連続的に噴出させる。送風管31の周囲には、1つ又は複数のヒータ34が設けられている。ヒータ34は空気を加熱する。送風管31の適宜の位置において、空気の温度を検出するためのエア温度センサ36が設けられている。また、送風管31には、ブロア33の吐出側において、送風量(空気の流量)を調整するための風量調整弁37が設けられている。送風管31上に風量センサが設けられることで、送風部30における風量を検出可能としてもよいし、例えばブロア33の回転数を検出することで、その回転数に基づいて風量を算出可能としてもよい。
【0087】
衣料用部材製造システムS及びメルトブロー装置1では、樹脂繊維Fにおける所望の繊維径、及び、衣料用部材200における所望の接着性及び嵩高性を実現するため、風量、吐出圧及びノズル温度を含む諸々の運転条件(又は運転パラメータ)が設定されている。樹脂繊維Fにおける所望の繊維径とは、例えば、10μm~0.4mmである。
【0088】
衣料用部材製造システムSは、風量、吐出圧、スクリュー部11における樹脂材料の温度、及び/又は、吐出ノズルを通る樹脂材料の温度を入力すると共にこれらの数値(運転条件又は運転パラメータ)を所定の目標値に調整するためのコントローラ及び操作部(いずれも図示せず)を備えている。具体的な数値については後述する。コントローラは、CPU等のプロセッサと、RAMおよびROM等を含む記憶装置とを備えたコンピュータである。コントローラには、メルトブロー装置1の運転制御を行うためのコンピュータプログラムが格納される。記憶装置又はメモリ(図示せず)には、メルトブロー装置1の各種制御を行うためのプログラムが格納されてもよい。操作部は、例えばタッチパネルディスプレイ等を有してもよい。衣料用部材製造システムSが、メルトブロー装置1の運転状態を示す液晶ディスプレイ又は上記タッチパネルディスプレイ等の表示部を有してもよい。
【0089】
基材位置制御装置40は、基材50を保持すると共に、基材50の位置及び姿勢を吐出口26の下方で自在に変化させることのできるロボットアーム部40Aを備える。基材位置制御装置40は、システムの設置面に設置されたベース45を備え、このベース45の支持部45aにロボットアーム部40Aが取り付けられている。ロボットアーム部40Aは、複数のアーム部を有する。図3に示される例では、ロボットアーム部40Aは、第1アーム部41、第2アーム部42、第3アーム部43、及び基材ホルダ46を有する。第1アーム部41が支持部45aに対して回転可能に取り付けられ、第2アーム部42が第1アーム部41に対して回転可能に取り付けられ、第3アーム部43が第2アーム部42に対して回転可能に取り付けられている。各関節部は、第1回転軸線L1、第2回転軸線L2、第3回転軸線L3、第4回転軸線L4、及び第5回転軸線L5を有する。第1回転軸線L1は、例えば鉛直方向に延び、第5回転軸線L5は、第3アーム部43の延在方向に延びる。第2回転軸線L2、第3回転軸線L3、及び第4回転軸線L4は、第1アーム部41、第2アーム部42、及び第3アーム部43の延在方向に交差する方向に延び、各アーム部の姿勢の変化に伴って向きを変え、移動する。基材ホルダ46は第3アーム部43の先端に取り付けられている。
【0090】
基材位置制御装置40は、上記したアーム部41~43を駆動する駆動機構と、基材ホルダ46の位置及び姿勢を調整するためのコントローラ及び操作部(いずれも図示せず)を備えている。コントローラは、CPU等のプロセッサと、RAMおよびROM等を含む記憶装置とを備えたコンピュータである。コントローラには、基材位置制御装置40の運転制御を行うためのコンピュータプログラムが格納される。より詳細には、記憶装置又はメモリ(図示せず)に、メルトブロー装置1の各種制御を行うためのプログラムが格納される。操作部は、例えばタッチパネルディスプレイ等を有してもよい。アーム部41~43は連動して動く。基材位置制御装置40は、アーム部41~43を駆動制御することにより、基材50の位置及び姿勢を調整自在である。
【0091】
基材位置制御装置40のコントローラは、製造されるべき衣料用部材200の立体形状データ(3Dデータ)を入力及び記憶して、所定の厚み及び形状を有する衣料用部材200が基材50上に形成されるよう、基材50の位置及び姿勢を制御する。本明細書において、「基材50の位置及び姿勢」とは、基材50が停止している状態と、基材50が移動している状態との両方を含む概念である。「基材50の位置及び姿勢」とは、さらに、基材50が停止している場合において、その位置及び姿勢を維持する時間の概念も含み、基材50が移動している場合において、基材50の移動速度、移動態様(直線状か曲線状か、又は、平面状か立体状か等)、及び、それらを維持する時間の概念も含む。
【0092】
図4を参照して、本実施形態の衣料用部材製造システムSで使用され得る基材50について説明する。図4(a)及び図4(b)に示されるように、基材50は、製造されるべき衣料用部材200の形状に応じた表面51を含む。基材50は、定形性を有しており、例えば、三次元積層造形装置(3Dプリンタ)によって製造され得る。基材50は、樹脂製であってもよいし、金属製であってもよい。基材50を形成する材料は、衣料用部材200が基材50上にうまく定着するように(すなわち衣料用部材200が基材50から剥離しないように)、第1の樹脂材料M1及び第2の樹脂材料M2の性状を考慮して決定されてもよい。
【0093】
基材50は、基材ホルダ46に保持させるベース部53(被保持部)と、樹脂繊維を堆積させる堆積面部54(表面51を含む部分)と、これらの中間の連結部55とを含む。ベース部53は、基材ホルダ46に嵌り込む又は把持され得る形状及び大きさを有する。堆積面部54の表面51は凹面状の凹面部を有する。この凹面部上に、樹脂繊維Fが吹き付けられ、樹脂繊維Fが堆積させられる。
【0094】
図4(a)に示されるように、基材50として、孔部が形成されない第1のタイプの基材50Aが用いられてもよい。第1のタイプの基材50Aは、通気性を有していない。このような通気性を有さない基材50Aは、例えば、衣料用部材の表面が基材側となり、表面の平滑性が求められる衣料用部材を製造する場合に有効である。また図4(b)に示されるように、基材50として、多数の孔部52を含む第2のタイプの基材50Bが用いられてもよい。第2のタイプの基材50Bは、通気性を有している。孔部52の孔径は5mm以下であることが好ましく、より小さい方が好ましい。実施例では0.8mmとしている。このような通気性を有する基材50Bは、例えば、定着性の低い樹脂により衣料用部材を製造する場合に有効である。
【0095】
続いて、衣料用部材200の製造方法について説明する。まず、メルトブロー装置1において、風量、吐出圧及びノズル温度を含む諸々の運転条件(又は運転パラメータ)が設定される。また基材位置制御装置40において、基材の移動経路が入力される。また、メルトブロー装置1及び基材位置制御装置40は、大気圧雰囲気下に設置され、基材50に対する圧力差(吸引圧)の付与は行われない。すなわち、本実施形態の衣料用部材200の製造方法は、常圧条件下での、樹脂繊維Fの積層又は樹脂繊維Fの堆積である。この点で、本実施形態の衣料用部材200の製造方法は、不織布製造方法として公知である従来型メルトブロー法とは異なっている。
【0096】
常圧条件とは、例えば、大気圧条件であってもよい。常圧条件とは、大気圧と多少異なる圧力条件であってもよい。常圧条件とは、圧力差(吸引圧)の付与は行わないことを意味する。基材50は、大気中に開放された状態で、吐出口26の下方に配置される。
【0097】
続いて、衣料用部材製造システムSを操作する操作者は、メルトブロー装置1の電源を入れ、メルトブロー装置1の運転開始ボタン等を押す。各ヒータがオンとなることで、メルトブロー装置1の各部が昇温される。操作者は、温度が十分に上昇したことを確認した後、第1の樹脂材料M1及び第2の樹脂材料M2をホッパ4に投入する。押出部10は、第1の樹脂材料M1及び第2の樹脂材料M2を溶融させつつ、スクリュー部11によって送り出す。送風部30より、所定の温度の空気が供給される。
【0098】
吐出部20におけるノズル温度は、樹脂材料の融点よりも100℃程度高いことが好ましい。吐出部20におけるノズル温度は、樹脂材料の種類によって異なり得る。風量は、適宜に設定されてよいが、衣料用部材200における繊維密度を高めたい(密にしたい)場合には風量が大きく設定され、衣料用部材200における繊維密度を低くしたい(粗にしたい)場合には風量が小さく設定される。風量の設定により、衣料用部材200における繊維密度、又は柔らかさが制御可能である。また、吐出圧に関しても、風量と同様に大きく設定したり、小さく設定したりすることで、衣料用部材200における繊維密度、又は柔らかさが制御可能である。なお、吐出口26の口径(孔径)は、上述した通りに決定されるが、口径が大きい(太い)ほど樹脂繊維Fを延伸させ難くなり、また口径が小さい(細い)ほど生産性が低下する。吐出口26の口径(孔径)は、延伸の容易さと生産性の高さの両立性を考慮して決定され得る。
【0099】
ダイヘッド23の吐出口26と基材50の表面51との距離は、例えば150~600mmの範囲とされる。衣料用部材200における繊維密度を高めたい(密にしたい)場合には距離が小さく設定され、衣料用部材200における繊維密度を低くしたい(粗にしたい)場合には距離が大きく設定される。
【0100】
上記のように、衣料用部材製造システムSでは、風量、及び、吐出口26と基材50との距離を調整することによって、衣料用部材200における繊維密度又は柔らかさが調整される。
【0101】
基材50として、第1のタイプの基材50Aを用いるか、第2のタイプの基材50Bを用いるかは、衣料用部材200に応じて適宜に決定されてよい。表面の平滑度を高めるには、第1のタイプの基材50Aが好適に用いられる。
【0102】
基材位置制御装置40の基材ホルダ46によって保持され、所定の位置及び姿勢に調整された基材50に対し、メルトブロー装置1から樹脂繊維Fが吹き付けられる。基材50が移動させられる場合には、例えば、移動距離は150~1000mmの範囲であり、移動速度は0~1500mm/secである(移動速度0mm/secは停止を意味する)。基材50の表面51と樹脂繊維Fの吹付け方向との角度は30~90度に調整される。基材50を停止させると、衣料用部材200を硬くすることができ、構造用部品(部材)としての利用に適する。
【0103】
本実施形態において、衣料用部材200が複数の樹脂繊維層を有する場合には、基材50の面方向において、樹脂繊維Fの吹付け時間、風量、樹脂繊維Fの吐出口26から基材50までの距離の少なくともいずれか一つを変化させることにより、衣料用部材200の厚みを面方向に変化させる。また、樹脂材料の種類、樹脂繊維Fの直径、及び樹脂繊維Fの密度の少なくともいずれか一つを異ならせることにより、複数の樹脂繊維層(図2(b)参照)を形成する。
【0104】
面方向における運転条件の変化に加えて、或いは、面方向における運転条件の変化に代えて、基材50の鉛直方向において、樹脂材料の種類、樹脂の吐出圧、樹脂繊維Fの吹付け時間、風量、樹脂繊維Fの吐出口から基材50までの距離の少なくともいずれか一つを変化させることにより、衣料用部材200の特性を厚み方向に変化させてもよい。基材50の鉛直方向における運転条件の変化により、複数の樹脂繊維層(図2(b)参照)を形成してもよい。基材50の「鉛直方向」とは、基材50の表面51の法線方向である。基材50の表面51が曲面である場合でも平面である場合でも、当該表面51の法線を定義することができる。基材50の表面51の法線方向が、衣料用部材200の厚み方向に対応する。
【0105】
また、本明細書において、「複数の繊維樹脂層」は、図2(b)に示されるように明確な境界面が形成されて各層が明確に区別できる構造と、明確な境界面は形成されず、特性が徐々に変化する等の(グラデーション状の)構造とを含む意味である。すなわち、「複数の繊維樹脂層」は、繊維樹脂層の段階的な変化と、段階的ではない連続的な変化とを含む意である。
【0106】
以上説明した本実施形態の衣料用部材200及び衣料用部材200の製造方法(常圧(非吸引)メルトブロー法)によれば、衣料用部材200の厚み方向及び/又は面方向において、樹脂繊維を堆積させる密度や高さを適宜に調整することにより、衣料用部材の密度や厚み等といった特性の調整が可能である。また、不織構造体からなる衣料用部材200によれば、ウレタン等のモールド成型体に比して、通気性に優れる。不織構造体からなる衣料用部材は、不織布等の縫製による衣料用部材に比して、縫製跡(縫製線等)を無くせるため、外部に響きにくく、平滑性等の外観性に優れる。衣料用部材200の製造方法は、メルトブロー法を用い、基材50の位置の制御を行い、基材50上において常圧条件下で樹脂繊維Fを立体的に堆積させる。基材50の位置の制御は、衣料用部材200の特性の調整を自在にする等の顕著な効果を奏する。また、圧力差を印加する吸引等を行わないため、複雑な形状の基材50を用いた複雑な形状の衣料用部材200を容易に製造できる。
【0107】
本実施形態では、特に、衣料用部材の特定位置における特性の調整が可能である。従来のメルトブロー法では、部材の厚み方向又は面方向の特定位置において、特性の調整を行うことは難しかった。すなわち、不織構造体の密度や厚みを、厚み方向又は面方向において部分的に変更することは難しかった。本実施形態によれば、厚み方向及び/又は面方向における部分的な特性の調整が可能である。
【0108】
樹脂繊維Fの繊維間の空隙が維持された状態で、樹脂繊維Fが堆積している。樹脂繊維Fの繊維間の空隙が維持された状態とすることで、衣料用部材200の通気性、及び/又は嵩高性を確保することができる。
【0109】
樹脂繊維Fの平均繊維径が0.4mm以下10μm以上である。樹脂繊維Fの平均繊維径を小さくする(細くする)ことで、風合いや平滑性を向上できる。
【0110】
衣料用部材200が、0.4kPa・s/m以下の通気性を有する。通気性が高められると、衣料用部材としてより好適である。
【0111】
衣料用部材200が、着用者の身体の一部に沿うように表面201側に膨出した形状を有し、表面201の平滑度が、裏面202の平滑度よりも高い。例えば表面201が衣料の外側に位置する場合には、外観性が高められる。
【0112】
衣料用部材200において、樹脂繊維Fの堆積量の違いによって面方向に厚みが変化している。また衣料用部材200の製造方法では、基材50の面方向において、樹脂の吐出圧、樹脂繊維Fの吹付け時間、風量、樹脂繊維Fの吐出口から基材までの距離の少なくともいずれか一つを変化させることにより、衣料用部材200の厚みを面方向に変化させている。面方向に厚みが変化することで、面方向の各部におけるクッション性等を自在に調整できる。また、面方向の特定部位において厚みを最小限にする等の調整も可能である。
【0113】
また衣料用部材200の製造方法では、基材50の鉛直方向において、樹脂材料の種類、樹脂の吐出圧、樹脂繊維Fの吹付け時間、風量、樹脂繊維Fの吐出口から基材までの距離の少なくともいずれか一つを変化させることにより、衣料用部材200の特性を厚み方向に変化させている。衣料用部材200の特性が厚み方向に変化することで、例えば、複数の樹脂繊維層を有する衣料用部材を製造できる(図2(b)の第1層210、第2層220、及び第3層230等)。よって、衣料用部材200としての機能性がより一層高められる。
【0114】
衣料用部材200が、樹脂材料の種類、樹脂繊維Fの直径、及び樹脂繊維Fの密度の少なくともいずれか一つが異なる複数の樹脂繊維層を有する(図2(b)の第1層210、第2層220、及び第3層230等)。また衣料用部材200の製造方法において、樹脂材料の種類、樹脂繊維Fの直径、及び樹脂繊維Fの密度の少なくともいずれか一つを異ならせることにより、複数の樹脂繊維層を形成している。衣料用部材200が複数の樹脂繊維層を有することで、衣料用部材としての機能性がより一層高められる。
【0115】
衣料用部材200において、第2層の厚みが第1層の厚みよりも大きい。例えば、図2(b)に示される第2層220の厚みは第1層210の厚みより大きい。この場合、第2層220によって嵩高性を確保することができる。
【0116】
衣料用部材200において、第2層の厚みが、第1層の厚み及び第3層の厚みのいずれよりも大きい。例えば、図2(b)に示される第2層220の厚みが、第1層210の厚みより大きく、かつ第3層230の厚みより大きい。この場合、第1層210と第3層230には、外観に及ぼす影響又は外力によって受ける影響を考慮した特性を持たせ、一方で第2層220によって、衣料用部材としての嵩高性を確保することができる。特に、ブラジャー用カップである衣料用部材200において、上縁部200aが薄く形成されているので、カップ上辺が柔らかく、肌なじみに優れる。
【0117】
衣料用部材200において、第2層における樹脂繊維の密度が、第1層における樹脂繊維の密度及び第3層における樹脂繊維の密度のいずれよりも低い。例えば、図2(b)に示される第2層220における樹脂繊維Fの密度が、第1層210における樹脂繊維Fの密度より低く、かつ第3層230における樹脂繊維Fの密度よりも低い。第2層220によって、衣料用部材200としての嵩高性を確保しつつ、第1層210と第3層230における繊維密度を比較的高くすることで、表面201の平滑性を高めることができ、外観性が高められる。また、衣料が洗濯される際の洗濯耐久性を高めることもできる。
【0118】
衣料用部材200の製造方法において、基材50の表面51は凹面状の凹面部を有し、基材50の凹面部上に樹脂繊維Fを吹き付けて樹脂繊維Fを堆積させている。基材50の凹面部上に樹脂繊維Fを吹き付けることにより、圧力差の印加や余計な繊維の除去等を行わなくても、成形性が高められる。また、凹面部に対応して、衣料用部材200の膨出する形状の表面201が形成される。ブラジャー用カップ等、衣料用部材200の表面201が衣料の外側に位置する(露出する)場合には、外観性が高められる。
【0119】
衣料用部材の製造方法が、三次元積層造形法により作製された基材50を準備する工程と、基材50を基材位置制御装置40の基材ホルダ46に保持させる工程と、基材ホルダ46を移動させながら、メルトブロー法により基材50上に樹脂繊維Fを堆積させる工程と、を含む。基材50が三次元積層造形法により作製される場合、基材50の形状又は構造における制約が少なく、あらゆる立体形状を実現可能である。例えば、基材ホルダ46に保持させるベース部53、樹脂繊維Fを堆積させる堆積面部54、及び、これらの中間の連結部55等を自在に作製することができる。よって、衣料用部材200の形状についても、自由度が高い。また基材位置制御装置40によって基材ホルダ46の位置及び姿勢を変化させることで、基材50上の各部に堆積する樹脂繊維Fの種類や堆積量等も変化させやすい。
【0120】
ロボットアーム部40Aの動きによって基材50上に衣料用部材200を造形できるため、3Dデータとの連動が容易である。また、任意の3Dデータに基づいて容易に衣料用部材200を製造可能であり、オーダー品の作製も容易である。
【0121】
基材50上に樹脂繊維Fが堆積することで、衣料用部材200が所定の厚みを有する。基材50上に形成された衣料用部材200は、自然冷却(放熱)されてもよく、場合によって、風に当てることで積極的に冷却されてもよい。
【0122】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られない。例えば、平面状の衣料用部材を製造する場合には、平坦な表面を有する基材が用いられる。またショーツ等の筒状部を含む衣料用部材を製造する場合には、筒状または柱状(人体の一部に相当する外形を有する)基材の周囲に、樹脂繊維Fが吹き付けられる。衣料用部材が形成された後、衣料用部材は、基材から引き剥がされる。
【0123】
衣料用部材が単一層からなる一層構造を有してもよい。その場合に、単一層が、面方向における厚みの変化(分布)を有してもよい。単一層の厚みが均一であってもよい。
【0124】
繊維樹脂層の層数に関しても、上記に開示した製造方法によれば、任意の変形形態を構成可能である。すなわち、衣料用部材が、全体にわたって三層構造を有する構成に限られない。衣料用部材の面方向の一部が三層構造を有し、面方向の他の一部が二層構造を有してもよい。衣料用部材の面方向の一部が二層構造を有し、面方向の他の一部が一層構造を有してもよい。衣料用部材の面方向の一部が三層構造を有し、面方向の他の一部が二層構造を有し、面方向の更に他の一部が一層構造を有してもよい。上記は例示に過ぎず、層数に関して他の組み合わせが適用されてもよい。衣料用部材の面方向の一部と他の一部とで、繊維樹脂層の層数が異なっていてもよい。上記した「面方向の一部」が、中央部200b(図2(a))等の比較的大きな合計厚みを有する部分(厚い部分)であり、「面方向の他の一部」が、中央部200b以外の比較的小さな合計厚みを有する部分(薄い部分)であってもよい。
【0125】
また、上記実施形態では、第1の樹脂及び第2の樹脂をそれぞれホッパ内に投入しているが、第1の樹脂及び第2の樹脂は、ホッパ4内に投入される前に混合された状態(つまり、樹脂ブレンド物)であってもよい。樹脂ブレンド物は、第1の樹脂の粉末と第2の樹脂の粉末とが混合された粉末混合物であってもよく、予め、第1の樹脂を第2の樹脂とを溶融混合して冷却することにより一体化されたものであってもよい。第1の樹脂を第2の樹脂とを予め溶融混合した場合、樹脂ブレンド物としては、バルクの固形物であってもよく、当該固形物を粉体化したものであってもよい。バルクの固形物の形状としては、特に限定されず、柱状、球状、シート上、ペレット状等、いずれの形状であってもよい。上記その他の成分は、樹脂ブレンド物に含まれていてもよいが、ホッパ4に樹脂ブレンド物を導入する際に別途ホッパ4内に投入してもよい。
【0126】
複数の樹脂繊維層が形成される場合に、ある樹脂繊維層と他の樹脂繊維層との間に、別の部材を介在させてもよい。当該別の部材が、メルトブロー法を用いて作製されるものでなくてもよい。メルトブロー法で樹脂繊維Fを堆積されている途中において、別のシート状または板状の樹脂部材等を樹脂繊維層の上に乗せて、さらに介在させた部材上に樹脂繊維Fを吹き付けることで、別の部材を挟み込んだ構造の衣料用部材を製造し得る。
<試験例>
【0127】
上記実施形態の製造方法を用いて、衣料用部材を製造する試験を行った。第1の試験条件は、以下のとおりであった。
製造装置:新和工業株式会社製 MBT-100
樹脂 :ハイトレル(登録商標)3001(東レ・デュポン株式会社製)
バイロン(登録商標)GM-913(バイロン株式会社製)
フォルティモ(登録商標)XET-T1475(三井化学株式会社製)
運転条件:風量=800L/min
吐出圧(吐出管部圧力)=5MPa
ノズル-基材間距離=200mm~400mm
第1層形成時間=20sec
第2層形成時間=60sec
第3層形成時間=20sec
【0128】
図5に示されるように、第1層210、第2層220及び第3層230の全ての樹脂繊維層において、樹脂繊維Fの繊維間の空隙が維持された状態で、樹脂繊維Fが厚み方向に立体的に堆積していることが確認された。繊維同士が溶着しており、繊維の断面形状は多少変化しているが、繊維間の空隙は維持されており、これにより、通気性及び嵩高性が高められていることが確認された。また、第1層210及び第3層230が、比較的、高密度かつ薄い層となっており、第2層220が、比較的、低密度かつ厚い層となっていることが確認された。
【0129】
また第2の試験条件は、以下のとおりであった。
製造装置:新和工業株式会社製 MBT-100
樹脂 :ハイトレル(登録商標)3001(東レ・デュポン株式会社製)
バイロン(登録商標)GM-913(バイロン株式会社製)
フォルティモ(登録商標)XET-T1475(三井化学株式会社製)
運転条件:風量=800L/min
吐出圧(吐出管部圧力)=5MPa
ノズル-基材間距離=200mm~400mm
第1層形成時間=15sec
第2層形成時間=50sec
第3層形成時間=15sec
【0130】
図6(a)及び図7(a)に示されるように、表面201では、樹脂繊維Fによって形成された面の凹凸が小さく、細かい。一方、図6(b)及び図7(b)に示されるように、裏面202では、樹脂繊維Fによって形成された面の凹凸が大きく、粗い。すなわち、表面201における平滑度は、裏面202における平滑度より高くなっていることが確認された。
【符号の説明】
【0131】
1…メルトブロー装置、4…ホッパ、26…吐出口、40…基材位置制御装置、46…基材ホルダ、50…基材、100…ブラジャー(衣料)、200…衣料用部材、201…表面(第1面)、202…裏面(第2面)、210…第1層、220…第2層、230…第3層、300…衣料用部材、F…樹脂繊維、M1…第1の樹脂材料、M2…第2の樹脂材料、S…衣料用部材製造システム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7