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特開2022-117154ゴム部材成型方法及びゴム部材成型装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022117154
(43)【公開日】2022-08-10
(54)【発明の名称】ゴム部材成型方法及びゴム部材成型装置
(51)【国際特許分類】
   B29D 30/30 20060101AFI20220803BHJP
【FI】
B29D30/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021013703
(22)【出願日】2021-01-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076314
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 正人
(74)【代理人】
【識別番号】100112612
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲士
(74)【代理人】
【識別番号】100112623
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 克幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163393
【弁理士】
【氏名又は名称】有近 康臣
(74)【代理人】
【識別番号】100189393
【弁理士】
【氏名又は名称】前澤 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100203091
【弁理士】
【氏名又は名称】水鳥 正裕
(72)【発明者】
【氏名】毛利 尚暉
(72)【発明者】
【氏名】中谷 圭佑
【テーマコード(参考)】
4F215
【Fターム(参考)】
4F215AH20
4F215VA01
4F215VD09
4F215VK34
4F215VL03
4F215VL11
4F215VL13
4F215VM07
4F215VP11
4F215VP35
(57)【要約】
【課題】成型ドラムに巻き付けた後のゴムストリップの切断を容易に行うことができる方法を提供する。
【解決手段】押し出し機13からゴムストリップ12を押し出しながら成型ドラム11を回転させることにより、所定長さのゴムストリップ12を成型ドラム11の表面に連続的に貼り付けた後、押し出し機13からのゴムストリップ12の押し出し及び成型ドラム11の回転を停止し、保持部材20でゴムストリップ12を保持して成型ドラム11を回転させてゴムストリップ12を切断する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴムストリップを回転体の表面に貼り付けてゴム部材を成型するゴム部材成型方法において、
前記ゴムストリップの先端を前記回転体の表面に貼り付けるステップと、
前記ゴムストリップを供給ししながら前記回転体を回転させることにより、所定長さの前記ゴムストリップを前記回転体の表面に連続的に貼り付けるステップと、
前記先端から前記所定長さの位置で前記ゴムストリップを切断するステップと、を有し、
前記ゴムストリップを切断するステップにおいて、
前記回転体の回転を停止し、前記ゴムストリップを保持可能な保持部材で前記ゴムストリップを保持して、前記回転体を回転させて前記ゴムストリップを切断することを特徴とする、ゴム部材成型方法。
【請求項2】
前記ゴムストリップを切断するステップにおいて、
前記保持部材の一部又は前記保持部材に設けられた切断部材を前記ゴムストリップに当てて前記回転体を回転させて前記ゴムストリップを切断する、請求項1に記載のゴム部材成型方法。
【請求項3】
前記ゴムストリップを切断するステップにおいて、
前記保持部材が前記回転体に対する姿勢を変えることにより前記切断部材を前記ゴムストリップに当てる、請求項2に記載のゴム部材成型方法。
【請求項4】
ゴムストリップを供給する供給装置と、前記供給装置から供給されたゴムストリップが張り付けられる回転体とを有するゴム部材成型装置において、
前記ゴムストリップを保持可能な保持部材と、
前記供給装置、前記回転体及び前記保持部材を制御する制御装置が設けられ、
前記制御装置が、
前記供給装置から供給された前記ゴムストリップの先端を前記回転体の表面に貼り付けるステップと、
前記供給装置から前記ゴムストリップを供給しながら前記回転体を回転させることにより、所定長さの前記ゴムストリップを前記回転体の表面に連続的に貼り付けるステップと、
前記先端から前記所定長さの位置で前記ゴムストリップを切断するステップと、を実行し、
前記ゴムストリップを切断するステップにおいて、
前記回転体の回転を停止し、前記保持部材で前記ゴムストリップを保持して、前記回転体を回転させて前記ゴムストリップを切断するよう制御することを特徴とする、ゴム部材成型装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はゴム部材成型方法及びゴム部材成型装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、タイヤ用のゴム部材の製造方法として、未加硫の長いゴムストリップを円筒状の成型ドラムに螺旋状に巻き付ける方法が知られていた(例えば特許文献1参照)。この方法によれば、ゴムストリップの巻き付け位置や巻き付け量を変更することにより、様々な断面形状のゴム部材を製造することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-302668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記の方法では、ゴムストリップを成型ドラムに巻き付け終わった時点でゴムストリップを切断し、成型ドラムに巻き付け終わったゴムストリップと後続のゴムストリップとを分離する必要がある。切断部は、成型ドラムに巻き付けたゴムストリップの後端部であるとともに、次に成型ドラムに巻き付けるゴムストリップの始端部でもあるため、裂け等のない綺麗な状態になる必要がある。
【0005】
この切断を作業者が行うのは手間である。しかし、ゴムストリップを切断するための大がかりな装置を成型ドラム付近に設けることは、設備全体の複雑化を招き、メンテナンス等の点で好ましくない。
【0006】
そこで本発明は、成型ドラムに巻き付けた後のゴムストリップの切断を容易に行うことができる方法及び装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態のゴム部材成型方法は、ゴムストリップを回転体の表面に貼り付けてゴム部材を成型するゴム部材成型方法において、前記ゴムストリップの先端を前記回転体の表面に貼り付けるステップと、前記ゴムストリップを供給しながら前記回転体を回転させることにより、所定長さの前記ゴムストリップを前記回転体の表面に連続的に貼り付けるステップと、前記先端から前記所定長さの位置で前記ゴムストリップを切断するステップと、を有し、前記ゴムストリップを切断するステップにおいて、前記回転体の回転を停止し、前記ゴムストリップを保持可能な保持部材で前記ゴムストリップを保持したまま前記回転体を回転させて前記ゴムストリップを切断することを特徴とする。
【0008】
また、実施形態のゴム部材成型装置は、ゴムストリップを供給する供給装置と、前記供給装置から供給されたゴムストリップが張り付けられる回転体とを有するゴム部材成型装置において、前記ゴムストリップを保持可能な保持部材と、前記供給装置、前記回転体及び前記保持部材を制御する制御装置が設けられ、前記制御装置が、前記供給装置から供給された前記ゴムストリップの先端を前記回転体の表面に貼り付けるステップと、前記供給装置から前記ゴムストリップを供給しながら前記回転体を回転させることにより、所定長さの前記ゴムストリップを前記回転体の表面に連続的に貼り付けるステップと、前記先端から前記所定長さの位置で前記ゴムストリップを切断するステップと、を実行し、前記ゴムストリップを切断するステップにおいて、前記回転体の回転を停止し、前記保持部材で前記ゴムストリップを保持したまま前記回転体を回転させて前記ゴムストリップを切断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
実施形態のゴム部材成型方法及びゴム部材成型装置によれば、成型ドラムに巻き付けた後のゴムストリップの切断を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ゴム部材成型装置の正面図。
図2】保持部材の断面図。
図3】制御装置を中心とするブロック図。
図4】ゴム部材成型方法のフロー図。
図5】ゴムストリップを成型ドラムに巻き始めたときの様子を示す図。
図6】ゴムストリップをほぼ巻き終え、成型ドラムが停止したときの様子を示す図。
図7】保持部材がゴムストリップを保持したときの様子を示す図。
図8】保持部材の成型ドラムに対する姿勢が変わったときの様子を示す図。
図9】成型ドラムが回転してゴムストリップが切断され、保持部材が後退したときの様子を示す図。
図10】円盤に対してゴムストリップを貼り付けるときの様子を示す図。
図11】グリーンタイヤに対してゴムストリップを貼り付けるときの様子を示す図。
図12】刃が設けられた変更例の保持部材の正面図。
図13】刃が設けられた変更例の保持部材の正面図。保持部材の姿勢が変わる前の図。
図14】刃が設けられた変更例の保持部材の正面図。保持部材が成型ドラムの接線方向に対して立ち上がった姿勢に変わったときの図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施形態について図面に基づき説明する。なお、以下で説明する実施形態は一例に過ぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更されたものについては、本発明の範囲に含まれるものとする。
【0012】
図1に示すように、本実施形態のゴム部材成型装置は、回転体としての成型ドラム11と、ゴムストリップ12の押し出し機13と、押し出し機13から押し出されたゴムストリップ12を成型ドラム11に貼り付ける貼り付け装置10とを有している。ゴムストリップ12は、未加硫の長尺状のゴム部材である。また、押し出し機13は、ゴムストリップ12を成型ドラム11に向かって供給する供給装置である。
【0013】
貼り付け装置10は成型ドラム11と押し出し機13との間に配置されている。以下の説明において、成型ドラム11のある方を前、押し出し機13のある方を後ろとする。押し出し機13の前方かつ貼り付け装置10の下には、ゴム部材成型装置の一部として、上下一対の成形ローラ14が配置されている。
【0014】
押し出し機13は、ゴムの押し出し機としての一般的な構造を備えたものである。押し出し機13はゴムストリップ12を水平方向に押し出す。また、上下一対の成形ローラ14は、押し出し機13から押し出されたゴムストリップ12を回転しながら上下から挟み、それによってゴムストリップ12の形を整えるものである。
【0015】
貼り付け装置10は、押し出し機13から押し出され上下一対の成形ローラ14の間を通過して前方へ出てきたゴムストリップ12を受け取り、さらに前方にある成型ドラム11の表面に貼り付けるための装置である。成型ドラム11の表面では、ゴムストリップ12が螺旋巻きされて成型される円筒状のゴム部材、又は、ゴムストリップ12が1周巻かれて成型される環状のゴム部材が成型される。そのようなゴム部材として、例えばサイドウォールゴムやドレッドゴム等が挙げられる。
【0016】
成型ドラム11の回転軸は、前後方向(押し出し機13からのゴムストリップ12の押し出し方向でもある)に対して直交し、かつ水平方向に延びている。成型ドラム11は、貼り付け装置10と対向する場所において、下から上へ上る方向に回転する。
【0017】
貼り付け装置10は、ゴムストリップ12を保持するための保持部材20と、成型ドラム11上のゴムストリップ12を成型ドラム11に対して押し付けるための圧着ローラ30とを備えている。待機位置にあるときの保持部材20は、成型ドラム11と間隔を開けて、成型ドラム11の表面(外周面)と対向する位置にある。また、圧着ローラ30は、保持部材20よりも成型ドラム11の回転方向の場所に配置されている。待機位置にあるときの圧着ローラ30は、成型ドラム11と間隔を開けて、成型ドラム11の表面と対向する位置にある。
【0018】
図2に示すように、保持部材20は、中空で成型ドラム11の方へ開口した長方形の箱形部21を有している。箱形部21の開口部には、通気性のある弾性部材としてウレタンスポンジ22が嵌まっている。
【0019】
ウレタンスポンジ22の一部が箱形部21の開口部から外へ出ている。ウレタンスポンジ22の表面のうち、箱形部21の外に出て成型ドラム11に対向する1つの面が、ゴムストリップ12を吸着する吸着面23である。ウレタンスポンジ22は、吸着面23を1つの面とする直方体である。吸着面23と辺を共有し吸着面23に対して垂直になっている側面24は、加熱や塗料の塗布等の処理によって目潰しされ、通気性のない面、又は他の面と比べて通気性が悪い面となっている。一方、吸着面23と、吸着面23の反対側の面(裏面25)とは、同等の通気性が確保されている。そのため、吸着面23から裏面25まで空気が通過できる。
【0020】
箱形部21の開口部と反対側には、箱形部21の壁部を貫通する吸引孔26が形成されている。吸引孔26には吸引ホース27が接続され、吸引ホース27の先には吸引ポンプ28(図3参照)が接続されている。吸引ポンプ28が稼働すると、ウレタンスポンジ22の吸着面23から吸引された空気が、ウレタンスポンジ22の裏面25、箱形部21の内部、吸引孔26及び吸引ホース27を通過して吸引ポンプ28に吸引される。このような仕組みのため、吸引ポンプ28の稼働によりウレタンスポンジ22の吸着面23にゴムストリップ12を吸着することができる。
【0021】
ウレタンスポンジ22の吸着面23には、ゴムが粘着しにくい処理、例えば粘着防止剤の塗布がなされていることが好ましい。また、ウレタンスポンジ22自体が、ゴムの粘着しにくいように元素が添加されたものであっても良い。
【0022】
図1に示すように、貼り付け装置10は、位置が固定されたベース部材31と、ベース部材31の上面に固定された第1シリンダ32と、第1シリンダ32のロッド33に固定された第1可動部材34と、第1可動部材34の上面に固定された第2シリンダ35と、第2シリンダ35のロッド36に固定された第2可動部材37と、第2可動部材37に固定された第3シリンダ38とを備えている。
【0023】
第1可動部材34の前方部分には、上下一対の首振り用シリンダ40、42が設けられている。上側の首振り用シリンダ40のロッド41は、保持部材20の上部に連結されている。また、下側の首振り用シリンダ42のロッド43は、保持部材20の下部に連結されている。そして、上下の首振り用シリンダ40、42のロッド41、43の前方への進出距離の調整により、上下方向に対する保持部材20の吸着面23の角度が変更可能となっている。
【0024】
第3シリンダ38のロッド39は成型ドラム11へ向かって斜め下に進退可能である。ロッド39の先端に圧着ローラ30が設けられている。そのため、第3シリンダ38のロッド39の進退により、圧着ローラ30も進退する。圧着ローラ30はフリーローラで、回転している成型ドラム11に押し付けられると、成型ドラム11の回転方向とは反対方向に回転する。
【0025】
このような構造において、第1シリンダ32のロッド33が進退することにより、第1可動部材34が進退し、保持部材20及び圧着ローラ30が一緒に前進したり後退したりする。また、第2シリンダ35のロッド36が進退することにより、第2可動部材37が進退し、圧着ローラ30が成型ドラム11に向かって進出たり後退したりする。
【0026】
保持部材20は、上下一対の首振り用シリンダ40、42の進退により、全体として前方へ前進したり後方へ後退したりする。さらに、保持部材20は、上下一対の首振り用シリンダ40、42の進退により、上記の通り上下方向に対する角度が変わる。第1シリンダ32のロッド33及び首振り用シリンダ40、42のロッド41、43が前方へ進出したときに、保持部材20が成型ドラム11に接触可能となる。
【0027】
また、上記の通り、第3シリンダ38のロッド39の進退により、圧着ローラ30が成型ドラム11に対して進退する。第1シリンダ32のロッド33及び第2シリンダ35のロッド36が前方へ進出し、第3シリンダ38のロッド39が斜め下に進出したときに、圧着ローラ30が成型ドラム11に接触可能となる。
【0028】
図3に示すように、押し出し機13、上下一対の成形ローラ14、成型ドラム11、吸引ポンプ28、各シリンダ32、35、38、40、42等が、制御装置15に接続されている。例えば、制御装置15は、押し出し機13、成形ローラ14及び成型ドラム11の稼働や回転を同期させて行い、成型ドラム11の回転による巻き取り長さに相当するゴムストリップ12を、成形ローラ14から繰り出す。制御装置15は次に説明するゴム部材成型方法を実行する。
【0029】
ゴム部材成型方法について図4に基づき説明する。ゴム部材成型方法の開始時には、保持部材20及び圧着ローラ30は成型ドラム11から離れた待機位置にある。
【0030】
ゴム部材成型方法では、まず、制御装置15が押し出し機13を稼働させ、上下一対の成形ローラ14の回転を開始する(S1)。それにより、押し出し機13から押し出され成形ローラ14を通過したゴムストリップ12が前方へ進出してくる。
【0031】
次に、成形ローラ14を通過したゴムストリップ12の先端を、作業者又は保持部材20が、成型ドラム11の所定の位置に貼り付ける(S2)。ゴム部材の1回目の成型のときは、作業者がゴムストリップ12の先端を成型ドラム11に貼り付ける。ゴム部材の2回目以降の成型のときは、後述するように保持部材20がゴムストリップ12の先端を成型ドラム11に貼り付ける。
【0032】
次に、制御装置15が成型ドラム11の回転を開始する(S3)。それにより、ゴムストリップ12の成型ドラム11への貼り付けが始まる。成型ドラム11が少し回転し、ゴムストリップ12の先端が圧着ローラ30による圧着位置に到達すると、制御装置15は圧着ローラ30を進出させて成型ドラム11上のゴムストリップ12に押し当てる。それにより、圧着ローラ30によるゴムストリップ12の圧着が始まる。そのときの様子を図5に示す。
【0033】
その後、制御装置15は、押し出し機13からゴムストリップ12を押し出しながら成型ドラム11を回転させることにより、ゴムストリップ12を成型ドラム11の表面に連続的に貼り付けていく。ゴムストリップ12を成型ドラム11へ螺旋状に巻き取ろうとする場合は、ゴムストリップ12が成型ドラム11へ上手く螺旋状に巻き取られるように、成型ドラム11に近接する不図示のガイド部材が使用されても良い。ガイド部材が、ゴムストリップ12をガイドしつつ成型ドラム11の軸方向に少しずつ移動することにより、ゴムストリップ12の成型ドラム11への巻き付け位置を成型ドラム11の軸方向に少しずつ移動させる。それにより、ゴムストリップ12が綺麗な螺旋状に巻き取られる。
【0034】
ゴムストリップ12が成型ドラム11の表面に連続的に貼り付けられている間、圧着ローラ30が成型ドラム11上のゴムストリップ12を成型ドラム11に向かって押し付けている。
【0035】
予め定められた所定長さのゴムストリップ12が成型ドラム11に貼り付けられると(S4のYes)、制御装置15が押し出し機13からのゴムストリップ12の押し出し並びに成型ドラム11及び成形ローラ14の回転を停止させる(S5)。成型ドラム11の回転が停止したときの様子を図6に示す。
【0036】
次に、制御装置15が、図7に示すように保持部材20でゴムストリップ12を保持する(S6)。詳細には、まず制御装置15が、保持部材20を成型ドラム11へ向かって進出させ、ゴムストリップ12のうち成型ドラム11に巻き付けられる直前の部分に保持部材20を当てる。このとき、制御装置15は、保持部材20の前端部20a(図6参照)をゴムストリップ12の切断しようとする位置に当てる。切断しようとする位置は、ゴムストリップ12の先端から予め定められた所定長さの位置である。保持部材20の前端部20aの位置において、ゴムストリップ12は成型ドラム11側(ゴムストリップ12における成型ドラム11に先に貼り付けられた部分の上又は成型ドラム11)に貼り付いている。
【0037】
次に、制御装置15が、吸引ポンプ28による吸引を開始して保持部材20にゴムストリップ12を吸着させる。これにより保持部材20がゴムストリップ12を保持した状態となる。
【0038】
次に、制御装置15が、下側の首振り用シリンダ42のロッド43を後退させる。それにより、保持部材20が成型ドラム11の接線方向に対して立ち上がった姿勢となる(S7)。詳細には、図8に示すように、保持部材20の前端部20aを支点として、保持部材20の後端部20bが成型ドラム11から離れる方向に持ち上がる。これにより、保持部材20の角部である前端部20aがゴムストリップ12に押し当てられ、ゴムストリップ12に傷又は折り目が付く。このように立ち上がった姿勢においても、保持部材20の吸着面23の全面にゴムストリップ12が吸着されている。
【0039】
次に、制御装置15は、保持部材20の立ち上がった姿勢を保ったまま、かつ保持部材20でゴムストリップ12を保持したまま、成型ドラム11の回転を再開する。すると、保持部材20の前端部20aによって付けられた傷又は折り目を起点にゴムストリップ12が引きちぎられるようにして切断される(S8)。ゴムストリップ12の切断された部分近傍の、成型ドラム11に巻き取られた方の部分は、圧着ローラ30によって成型ドラム11側に圧着される。これにより、成型ドラム11におけるゴム部材の成型が完了する。
【0040】
次に、制御装置15は、図9に示すように、保持部材20を成型ドラム11から後退させる(S9)。制御装置15は、成型ドラム11の回転を再開させてから所定時間(ゴムストリップ12が切断されるのに要する時間)後に保持部材20を後退させても良いし、ゴムストリップ12が切断されたことをセンサで検出して保持部材20を後退させても良い。保持部材20は後退した後もゴムストリップ12を保持し続けている。制御装置15は、保持部材20を後退させた後、圧着ローラ30も後退させる。その後、成型ドラム11からゴム部材が取り外される。
【0041】
次に、必要な数のゴム部材の成型が終わっていない場合(S10のNo)は、2個目のゴム部材の成型が行われる。
【0042】
2個目のゴム部材の成型を開始する時、保持部材20は既にゴムストリップ12を保持している。そこで、制御装置15は、保持部材20を前進させて、成型ドラム11の所定位置にゴムストリップ12の先端を貼り付ける(S2)。ゴムストリップ12が成型ドラム11に貼り付いたら、制御装置15は吸引ポンプ28による吸引を終了し、ゴムストリップ12を離して後退する。その後、制御装置15はS3~S9のステップを再び行う。
【0043】
制御装置15は、S2~S10のステップを繰り返し行い、必要な数のゴム部材の成型が終わると(S10のYes)、制御を終了する。成型されたゴム部材は後工程へ運ばれタイヤの一部として使用される。
【0044】
以上のように、本実施形態の方法では、制御装置15が、押し出し機13からゴムストリップ12を押し出しながら成型ドラム11を回転させることにより、所定長さのゴムストリップ12を成型ドラム11の表面に連続的に貼り付ける。そして、制御装置15が、ゴムストリップ12を切断するときに、押し出し機13からのゴムストリップ12の押し出し及び成型ドラム11の回転を停止し、保持部材20でゴムストリップ12を保持し、成型ドラム11を再び回転させてゴムストリップ12を切断する。このようにして、特別な装置を用いることなく、ゴムストリップ12の切断を容易に行うことができる。
【0045】
また、本実施形態の方法では、制御装置15が、保持部材20の一部である前端部20aをゴムストリップ12に当てて成型ドラム11を回転させることにより、ゴムストリップ12を切断する。これにより、前端部20aを起点にしてゴムストリップ12を切断することができ、綺麗な切断面を得ることができる。押し出し機13から押し出されて間もないゴムストリップ12は変形しやすく、切断したときに切断部が伸びたり変形したりしやすいが、この方法により切断部が伸びたり変形したりすることを防ぐことができる。
【0046】
ここで、保持部材20の前端部20aをゴムストリップ12に当てる方法として、保持部材20の成型ドラム11に対する姿勢を変更する方法が採用されているため、容易に前端部20aをゴムストリップ12に当てることができる。
【0047】
また、本実施形態の貼り付け装置10では、制御装置15が、押し出し機13からゴムストリップ12を押し出しながら成型ドラム11を回転させることにより、所定長さのゴムストリップ12を成型ドラム11の表面に連続的に貼り付けた後、押し出し機13からのゴムストリップ12の押し出し及び成型ドラム11の回転を停止し、保持部材20でゴムストリップ12を保持したまま成型ドラム11を回転させてゴムストリップ12を切断するよう制御する。そのため、貼り付け装置10により、ゴムストリップ12の切断を容易に行うことができる。
【0048】
以上の実施形態に対し様々な変更を行うことができる。以下では実施形態の変更例について説明する。
【0049】
<変更例1>
図10に示す変更例では、貼り付け装置10が、成型ドラム11ではなく平面状の円盤111にゴムストリップ12を貼り付ける。円盤111はゴムストリップ12の押し出し方向に対して垂直に立っている。円盤111は回転可能であるが、その回転軸112は、ゴムストリップ12の押し出し方向に平行である。
【0050】
このような円盤111にゴムストリップ12を貼り付けるときも、貼り付け装置10は上記実施形態のときと同様に動作する。ただし、保持部材20がゴムストリップ12の先端を円盤111に貼り付ける時は、保持部材20が円盤111に対して平行になることが好ましい。
【0051】
そのために、首振り用シリンダ40、42の少なくともいずれか一方のロッド41、43に、C形のリング113が嵌められている。そして、ロッド41、43が後退するとリング113がいずれかの場所(例えば第1可動部材34のような、ロッド41、43とは別の場所)に当たって、ロッド41、43がそれ以上後退できなくなり、そのとき保持部材20が円盤111に対して平行になるようになっている。この構成により、保持部材20を円盤111に対して容易に平行にすることができる。
【0052】
<変更例2>
図11に示す変更例では、貼り付け装置10が、サイドウォールゴムが貼り付けられる前のグリーンタイヤ114の側面に、ゴムストリップ12を貼り付ける。それによって、グリーンタイヤ114の側面にサイドウォールゴムを成型する。
【0053】
サイドウォールゴムの成型中、グリーンタイヤ114は保持装置によって内径側から保持されている。保持装置としては、グリーンタイヤ114の内面形状もしくは完成品タイヤの目標内面形状をしたコア部材、エアー供給により膨張する風船、成型ドラム、シェーピングドラム等が使用可能である。
【0054】
この変更例においても、変更例1と同じくC形のリング113が使用されても良い。
【0055】
<変更例3>
図12図14に示すように、保持部材20の前端部20a側に、ゴムストリップ12を切断するための切断部材としての刃100が設けられていても良い。刃100は、吸着面23側に向かうほど薄くなった刃であり、未加硫ゴムからなるゴムストリップ12よりも十分に硬い。また、刃100は、未加硫ゴムが粘着しにくい素材、例えばフッ素系樹脂からなることが好ましい。
【0056】
ゴムストリップ12の切断の際、上記実施形態と同様に、制御装置15がゴムストリップ12に向かって保持部材20を進出させ、ゴムストリップ12を保持部材20に吸着させる(図13)。次に、制御装置15が、保持部材20を成型ドラム11の接線方向に対して立ち上がった姿勢に変更する(図14)。保持部材20の姿勢が変わることによって、刃100の先端がゴムストリップ12に当たり、ゴムストリップ12に傷が付く。
【0057】
その後、制御装置15が、保持部材20の姿勢を保ったまま、かつ保持部材20でゴムストリップ12を保持したまま、成型ドラム11を回転させる。すると、刃100によって付けられた傷を起点にゴムストリップ12が引きちぎられるようにして切断される。
【0058】
なお、保持部材20の姿勢が変わった時点で、刃100がゴムストリップ12に深く入り込みゴムストリップ12を切断しても良い。保持部材20の姿勢を大きく変更すればそれが可能である。
【0059】
いずれにしても、保持部材20の姿勢が変わった時に刃100がゴムストリップ12に当たるように、刃100の先端の位置が設定される。刃100の先端の位置は、吸着面23に対して垂直な方向に、吸着面23よりも成型ドラム11から離れた位置である。刃100の先端と吸着面23との、吸着面23に対して垂直な方向への距離L1(図12参照)は、ゴムストリップ12の厚みの0.5~3倍が好ましい。また、刃100の先端と保持部材20の前端部20aとの、吸着面23に対して平行な方向への距離L2(図12参照)は、刃100の最大厚みの0.5~3倍が好ましい。
【0060】
この変更例のように、保持部材20に設けられた刃100をゴムストリップ12に当てて成型ドラム11を回転させることにより、ゴムストリップ12を綺麗に切断することができる。
【0061】
<変更例4>
保持部材20に設ける通気性のある弾性部材として、ウレタンスポンジ22以外のスポンジや、厚みのある繊維素材等が適用可能である。
【0062】
<変更例5>
保持部材20の上下方向に対する角度を変更する首振り用シリンダは1つだけでも良い。例えば、上記実施形態における上下の首振り用シリンダ40、42の一方だけ残し、他方は保持部材20の上部又は下部を支持するだけの支持部材に変更しても良い。その場合でも、残された一方の首振り用シリンダの作用によって、保持部材20の上下方向に対する角度を変更することができる。
【0063】
<変更例6>
押し出し機から押し出されたゴムストリップが、ボビンと呼ばれる巻き取り筒に一旦巻き取られ、その巻き取り筒から成型ドラムに向かってゴムストリップが供給されても良い。巻き取り筒は、モータによって回転可能な筒であり、一方向へ回転することによってゴムストリップを巻き取り、前記一方向とは反対方向へ回転することによってゴムストリップを繰り出すことのできるものである。このような巻き取り筒が、この変更例におけるゴムストリップの供給装置となる。
【符号の説明】
【0064】
10…貼り付け装置、11…成型ドラム、12…ゴムストリップ、13…押し出し機、14…成形ローラ、15…制御装置、20…保持部材、20a…前端部、20b…後端部、21…箱形部、22…ウレタンスポンジ、23…吸着面、24…側面、25…裏面、26…吸引孔、27…吸引ホース、28…吸引ポンプ、30…圧着ローラ、31…ベース部材、32…第1シリンダ、33…ロッド、34…第1可動部材、35…第2シリンダ、36…ロッド、37…第2可動部材、38…第3シリンダ、40…首振り用シリンダ、41…ロッド、42…首振り用シリンダ、43…ロッド、100…刃、111…円盤、112…回転軸、113…リング、114…グリーンタイヤ
図1
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図12
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図14