(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022117166
(43)【公開日】2022-08-10
(54)【発明の名称】ロータ及びモータ
(51)【国際特許分類】
H02K 1/27 20220101AFI20220803BHJP
【FI】
H02K1/27 501M
H02K1/27 501D
H02K1/27 501A
H02K1/27 501K
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021013721
(22)【出願日】2021-01-29
(71)【出願人】
【識別番号】398061810
【氏名又は名称】日本電産テクノモータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】川島 丈典
(72)【発明者】
【氏名】前野 彰利
【テーマコード(参考)】
5H622
【Fターム(参考)】
5H622AA03
5H622CA02
5H622CA07
5H622CA10
5H622PP10
5H622PP20
(57)【要約】 (修正有)
【課題】モータのトルクを向上させることが可能なロータ及びモータを提供する。
【解決手段】ロータは、複数のマグネットと、ロータコアとを有する。複数のマグネットは、上下に延びる中心軸の周囲に周方向に配列される。ロータコアは、鋼板が軸方向に積層された積層体である。ロータコアの少なくとも1つの層は、第1鋼板と、複数の第2鋼板とを有する。第1鋼板は、第1コア中央部SP111aと、第1コア磁極部SP121aとを有する。第1コア磁極部SP121aは、第1コア中央部SP111aの径方向外方に配置される。第2鋼板は、第2コア磁極部SP121bを有する。第2コア磁極部SP121bは、第1コア中央部SP111aの径方向外方において、周方向に配置される。第2鋼板は、第1コア中央部SP111aと間隙を介して配置される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に延びる中心軸の周囲に周方向に配列された複数のマグネットと、
ロータコアと
を有し、
前記ロータコアは、鋼板材が軸方向に積層された積層体であり、
前記ロータコアの少なくとも1つの層は、第1鋼板と、複数の第2鋼板とを有し、
前記第1鋼板は、
第1コア中央部と、
前記第1コア中央部の径方向外方に配置される第1コア磁極部と
を有し、
前記第2鋼板は、前記第1コア中央部の径方向外方において、周方向に配置され、前記第1コア中央部と間隙を介して配置される第2コア磁極部を有する、ロータ。
【請求項2】
前記ロータコアは、前記少なくとも1つの層と異なる層において、第3鋼板と、複数の第4鋼板とを有し、
前記第3鋼板は、
第2コア中央部と、
前記第2コア中央部の径方向外方に配置される第3コア磁極部と
を有し、
前記第4鋼板は、前記第2コア中央部の径方向外方において、周方向に配置され、前記第2コア中央部と間隙を介して配置される第4コア磁極部を有し、
前記第1コア磁極部は、前記第3コア磁極部に対して周方向にずれて配置される、請求項1に記載のロータ。
【請求項3】
前記第1鋼板は、複数の前記第1コア磁極部を有し、
前記複数の第1コア磁極部は、前記第1コア中央部に周方向に等間隔で連結される、請求項1又は請求項2に記載のロータ。
【請求項4】
前記ロータコアは、前記少なくとも1つの層と異なる層において、第5鋼板を有し、
前記第5鋼板は、
第3コア中央部と、
前記第3コア中央部の径方向外方に配置される第5コア磁極部と
を有し、
前記第5コア磁極部の数は、極数と同じであり、
全ての前記第5コア磁極部は、前記第3コア中央部に連結される、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のロータ。
【請求項5】
前記第5鋼板は、前記ロータコアの軸方向両端に配置される、請求項4に記載のロータ。
【請求項6】
前記第1鋼板は、前記第1コア磁極部と前記第1コア中央部とを連結するコア連結部をさらに有する、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のロータ。
【請求項7】
前記第1鋼板は、前記コア連結部から周方向に突出する周方向突出部をさらに有する、請求項6に記載のロータ。
【請求項8】
前記第1鋼板は、前記第1コア中央部から径方向外側に突出する径方向突出部をさらに有する、請求項6に記載のロータ。
【請求項9】
前記第2鋼板の径方向内側の端部は、径方向外側に窪む凹部を有する、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のロータ。
【請求項10】
前記第2鋼板の径方向内側の端部は、前記第1鋼板の前記第1コア磁極部の径方向内側の端部に比べて、径方向外側に配置される、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のロータ。
【請求項11】
前記ロータコアの少なくとも一部及び前記複数のマグネットの少なくとも一部を覆う樹脂部をさらに有する、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のロータ。
【請求項12】
前記ロータコアは、前記第1鋼板及び前記第2鋼板を含む複数の鋼板を有し、
前記複数の鋼板は、前記第1コア磁極部及び前記第2コア磁極部を含む複数のコア磁極部を有し、
前記各コア磁極部は、軸方向に貫通する少なくとも1つの孔を有し、
前記コア磁極部の孔は、軸方向に隣接する他の前記コア磁極部の孔と連続し、
前記孔の内部に前記樹脂部の一部が配置される、請求項11に記載のロータ。
【請求項13】
前記ロータコアの軸方向一端の前記コア磁極部の孔の数は、前記ロータコアの軸方向他端の前記コア磁極部の孔の数とは異なる、請求項12に記載のロータ。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれか1項に記載のロータと、ステータとを有し、
前記ステータは、前記ロータの径方向外方に配置される、モータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータ及びモータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、中心軸の周囲に周方向に配列された複数のマグネットと、ロータコアとを有するロータが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、回転軸に外嵌固定される円柱状のロータコアと、ロータコアに周方向に沿って並んで配置される複数の樹脂マグネットとを備えたロータが記載されている。ロータコアには、複数のマグネット収納孔が形成されている。マグネット収納孔の径方向外側端には、スリットが形成されている。マグネットは、マグネット収納孔の内部に配置され、ロータコアの外周面に露出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のロータでは、マグネットは、マグネット収納孔に充填されている。すなわち、マグネットの径方向内側の端面は、マグネットと回転軸との間に位置するロータコアと接する。従って、マグネットの磁束は、マグネットと回転軸との間のロータコアを流れやすい。マグネットと回転軸との間のロータコアに流れる磁束は、ロータの回転トルクに寄与しない。従って、特許文献1のロータでは、モータのトルクを向上させることが困難である。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、モータのトルクを向上させることが可能なロータ及びモータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の例示的なロータは、複数のマグネットと、ロータコアとを有する。前記複数のマグネットは、上下に延びる中心軸の周囲に周方向に配列される。前記ロータコアは、鋼板材が軸方向に積層された積層体である。前記ロータコアの少なくとも1つの層は、第1鋼板と、複数の第2鋼板とを有する。前記第1鋼板は、第1コア中央部と、第1コア磁極部とを有する。前記第1コア磁極部は、前記第1コア中央部の径方向外方に配置される。前記第2鋼板は、第2コア磁極部を有する。前記第2コア磁極部は、前記第1コア中央部の径方向外方において、周方向に配置される。前記第2鋼板は、前記第1コア中央部と間隙を介して配置される。
【0007】
本発明の例示的なモータは、上記のロータと、ステータとを有する。前記ステータは、前記ロータの径方向外側に配置される。
【発明の効果】
【0008】
例示的な本発明によれば、モータのトルクを向上させることが可能なロータ及びモータを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るロータを有するモータの構造を示す断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態のロータの樹脂部を除いた構造を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態のロータコアの一部の分解斜視図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態の第1板部材の構造を示す平面図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態の第2板部材の構造を示す平面図である。
【
図6】
図6は、本発明の一実施形態の第3板部材の構造を示す平面図である。
【
図7】
図7は、本発明の一実施形態の第3板部材の構造を示す平面図である。
【
図8】
図8は、本発明の一実施形態のロータの構造を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、本発明の一実施形態のロータコア及びマグネットを、下型及び上型を用いて樹脂部で覆った状態を示す断面図である。
【
図10】
図10は、本発明の一実施形態に係るロータの製造方法を説明するための断面図であり、ロータコアを治具に配置した状態を示す図である。
【
図11】
図11は、本発明の一実施形態に係るロータの第1板部材、第2板部材及び第3板部材の部分拡大図である。
【
図12】
図12は、本発明の一実施形態の第1変形例の第2板部材の構造を示す平面図である。
【
図13】
図13は、本発明の一実施形態の第2変形例の第1板部材及び第2板部材の構造を示す平面図である。
【
図14】
図14は、本発明の一実施形態の第3変形例の第1板部材及び第2板部材の構造を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0011】
本明細書では、便宜上、モータの中心軸AX(
図1参照)の方向を上下方向として説明する場合がある。本明細書において、上下方向は、説明の便宜上定めるものであり、鉛直方向に一致する必要はない。また、あくまで説明の便宜のために上下方向を定義したに過ぎず、本発明に係るロータ及びモータの使用時及び組立時の向きを限定しない。さらに、モータの中心軸AXと平行な方向を単に「軸方向AD」と記載し、モータの中心軸AXを中心とする径方向及び周方向を単に「径方向RD」及び「周方向CD」と記載する。また、「平面視」は、軸方向ADから対象物を見ることを示す。なお、本明細書において「平行な方向」は、略平行な方向も含む。また、「軸方向AD上方」は、「軸方向AD一方側」と記載することができ、「軸方向AD下方」は、「軸方向AD他方側」と記載することができる。
【0012】
図1から
図11を参照して、本発明の一実施形態に係るロータ10を有するモータ1について説明する。まず、
図1を参照して、モータ1を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るロータ10を有するモータ1の構造を示す断面図である。なお、
図1、後述する
図9及び
図10では、理解を容易にするために、中心軸AXとコア磁極部121を通過する断面を左側に示し、中心軸AXとマグネット11とを通過する断面を右側に示している。
【0013】
図1に示すように、モータ1は、ロータ10と、ステータ20と、シャフト2と、ケーシング3と、第1カバー部材4と、第1軸受41と、第2カバー部材5と、第2軸受51と、基板6と、を有する。
【0014】
ロータ10は、上下に延びる中心軸AXを中心に回転する。ロータ10は、内部空間Sに収容される。内部空間Sは、ケーシング3と、第1カバー部材4と、第2カバー部材5とに囲まれた空間である。ロータ10の詳細構造については、後述する。
【0015】
ステータ20は、中心軸AXを中心に環状に配置される。ステータ20は、ケーシング3に収容される。ステータ20は、ケーシング3と一体に樹脂によってモールド成型される。ステータ20は、ロータ10の径方向RD外方に配置される。すなわち、本実施形態のモータ1は、インナーロータ型のモータである。
【0016】
ステータ20は、ステータコア21と、インシュレータ22と、複数のコイル23とを有する。ステータコア21は、例えば、鋼板材が軸方向ADに積層された積層体である。ステータコア21を構成する鋼板材は、例えば電磁鋼板である。インシュレータ22は、ロータ10と径方向RDにおいて対向する。インシュレータ22は、例えば、樹脂のような絶縁部材である。インシュレータ22は、少なくともステータコア21のロータ10と対向する面を除いてステータコア21を覆う。コイル23は、インシュレータ22を介して、ステータコア21に巻かれる。コイル23に駆動電流が供給されると、コイル23の周囲に磁束が発生する。そして、ステータ20とロータ10との間の磁気的反発及び吸引の作用によって、周方向CDのトルクが生じる。よって、ロータ10が中心軸AXを中心に回転する。
【0017】
シャフト2は、中心軸AXに沿って延びる。シャフト2は、略円柱状の部材である。シャフト2は、ロータ10に固定され、ロータ10の回転に応じて中心軸AXを中心に回転する。
【0018】
ケーシング3は、ロータ10及びステータ20を収容する。具体的には、ケーシング3は、上下に延びる中心軸AXを中心とする略円筒状である。ケーシング3は、軸方向上側が開口している。第1カバー部材4は、ケーシング3の開口を覆う。ケーシング3は、樹脂を材料として含む。
【0019】
第1カバー部材4は、モータ1の軸方向AD上側部分に配置される。第2カバー部材5は、モータ1の軸方向AD下側部分に配置される。第1カバー部材4は、円筒形状の第1軸受保持部42と、第1軸受保持部42の中央に形成された貫通孔を有する。シャフト2は貫通孔を貫通する。第1軸受保持部42は、第1軸受41を保持する。第2カバー部材5は、円筒形状の第2軸受保持部52を有する。第2軸受保持部52は、第2軸受51を保持する。第1軸受41と、第2軸受51とは、シャフト2を回転可能に支持する。言い換えると、第1軸受41と、第2軸受51とは、ロータ10を回転可能に支持する。第1軸受41と、第2軸受51とは、例えば、転がり軸受である。第1カバー部材4及び第2カバー部材5は、ケーシング3に固定される。
【0020】
基板6は、内部空間Sに収容される。基板6は、軸方向ADに対して略垂直に配置される。例えば、基板6は、配線の印刷されたプリント基板であり、各種電子部品を有する。
【0021】
次に、
図2を参照して、ロータ10の構造について詳細に説明する。
図2は、本実施形態のロータ10の樹脂部12を除いた構造を示す斜視図である。
図2に示すように、ロータ10は、複数のマグネット11と、ロータコア100とを有する。
【0022】
マグネット11は、永久磁石である。マグネット11は、略直方体形状を有する。複数のマグネット11は、中心軸AXの周囲に周方向CDに配列される。複数のマグネット11は、周方向CDに等間隔で配列される。マグネット11の周方向CDの両端面は、磁極面(N極又はS極)である。隣り合うマグネット11は、周方向CDに対向する磁極面同士が同じ極になっている。
【0023】
ロータコア100は、シャフト連結部110と、複数の磁極部120とを有する。シャフト連結部110は、中心軸AXを中心とする略円筒形状を有する。シャフト連結部110は、中心軸AXに沿って貫通する貫通孔110aを有する。貫通孔110aの内部には、シャフト2が配置される。シャフト連結部110は、シャフト2に連結される。従って、ロータコア100が回転することにより、シャフト2が回転する。
【0024】
磁極部120は、平面視略扇形状である。複数の磁極部120は、シャフト連結部110の径方向RD外方に配置される。複数の磁極部120は、中心軸AXの周囲に周方向CDに配列される。複数の磁極部120は、周方向CDに等間隔で配列される。周方向CDに隣り合う磁極部120の間に、マグネット11が位置する。すなわち、磁極部120とマグネット11とは、周方向CDに交互に配置される。
【0025】
次に、
図2及び
図3を参照して、ロータコア100の構造についてさらに詳細に説明する。
図3は、本実施形態のロータコア100の一部の分解斜視図である。
【0026】
図2及び
図3に示すように、ロータコア100は、鋼板材が軸方向ADに積層された積層体である。すなわち、ロータコア100は、複数の層を有する。ロータコア100を構成する鋼板材は、例えば電磁鋼板である。また、シャフト連結部110は、複数の層を有する。また、複数の磁極部120の各々は、複数の層を有する。具体的には、ロータコア100の各層は、中心部に孔111aを有する円形状の1つのコア中央部111と、略扇形状を有する複数のコア磁極部121とを有する。シャフト連結部110は、複数のコア中央部111が積層されることによって構成される。各磁極部120は、複数のコア磁極部121が積層されることによって構成される。
【0027】
本実施形態では、
図3に示すように、ロータコア100の少なくとも1つの層は、第1板部材101と、複数の第2板部材102とを有する。第1板部材101は、コア中央部111と、コア中央部111の径方向RD外方に配置されるコア磁極部121とを有する。第2板部材102は、コア中央部111の径方向RD外方において、周方向CDに配置されるコア磁極部121を有する。第2板部材102のコア磁極部121は、第1板部材101のコア中央部111と間隙を介して配置される。
【0028】
ロータコア100の少なくとも1つの層(
図3の層L2~L5参照)における第1板部材101は、複数のコア磁極部121を有する。また、第1板部材101の複数のコア磁極部121は、コア中央部111に周方向CDに等間隔で連結される。例えば本実施形態では、各第1板部材101は、2つのコア磁極部121を有する。各第1板部材101の2つのコア磁極部121は、コア中央部111に周方向CDに180°間隔で連結される。
【0029】
第1板部材101と複数の第2板部材102とを有する層(
図3の層L2~L5参照)において、第1板部材101のコア磁極部121は、他の層の第1板部材101のコア磁極部121に対して周方向CDにずれて配置される。第1板部材101の積層構造は特に限定されるものではないが、本実施形態では、隣接する第1板部材101のコア磁極部121が周方向CDに1ピッチ(例えば36°)ずつずれるように、第1板部材101が積層される。なお、例えば、コア磁極部121が周方向CDに数ピッチずつずれるように、第1板部材101を複数枚ずつ積層してもよい。
【0030】
ロータコア100は、第1板部材101と複数の第2板部材102とを有する層とは異なる層(
図3の層L1参照)において、第3板部材103を有する。第3板部材103は、コア中央部111と、コア中央部111の径方向RD外方に配置される複数のコア磁極部121とを有する。第3板部材103は、コア中央部111の径方向RD外方に配置される全てのコア磁極部121を有する。また、第3板部材103のコア磁極部121の数は、ロータコア100の磁極部120の数と同じである。言い換えると、第3板部材103のコア磁極部121の数は、マグネット11の数と同じである。さらに言い換えると、第3板部材103のコア磁極部121の数は、ロータ10の極数と同じである。
【0031】
第3板部材103は、ロータコア100のいずれの層に配置されてもよいが、本実施形態では、例えば、ロータコア100の軸方向AD両端に配置される。すなわち、第3板部材103は、ロータコア100の最上層UL及び最下層LL(
図2参照)に配置される。
【0032】
次に、
図4を参照して、第1板部材101の構造についてさらに説明する。
図4は、本実施形態の第1板部材101の構造を示す平面図である。
図4に示すように、第1板部材101は、コア連結部131をさらに有する。コア連結部131は、径方向RDに沿って延びる。コア連結部131は、コア磁極部121とコア中央部111とを径方向RDに連結する。
【0033】
また、第1板部材101は、内側周方向突出部141をさらに有する。本実施形態では、第1板部材101は、1つのコア連結部131に対して2つの内側周方向突出部141を有する。内側周方向突出部141は、コア連結部131から周方向CDに突出する。従って、内側周方向突出部141によってマグネット11の径方向RD内側への移動を規制できる。なお、内側周方向突出部141は、本発明の「周方向突出部」の一例である。
【0034】
また、第1板部材101は、外側周方向突出部151をさらに有する。本実施形態では、第1板部材101は、1つのコア磁極部121に対して2つの外側周方向突出部151を有する。外側周方向突出部151は、コア磁極部121の径方向RD外側の端部から周方向CDに突出する。従って、外側周方向突出部151によってマグネット11の径方向RD外側への移動を規制できる。
【0035】
次に、
図5を参照して、第2板部材102の構造についてさらに説明する。
図5は、本実施形態の第2板部材102の構造を示す平面図である。
図5に示すように、第2板部材102は、第1板部材101と同様、外側周方向突出部151をさらに有する。本実施形態では、第2板部材102は、2つの外側周方向突出部151を有する。第2板部材102の外側周方向突出部151の構造は、第1板部材101の外側周方向突出部151の構造と同様である。
【0036】
次に、
図6を参照して、第3板部材103の構造についてさらに説明する。
図6は、本実施形態の第3板部材103の構造を示す平面図である。
図6に示すように、第3板部材103は、第1板部材101と同様、コア連結部131をさらに有する。第3板部材103のコア連結部131の構造は、第1板部材101のコア連結部131の構造と同様である。
【0037】
また、第3板部材103は、第1板部材101と同様、内側周方向突出部141をさらに有する。本実施形態では、第3板部材103は、1つのコア連結部131に対して2つの内側周方向突出部141を有する。第3板部材103の内側周方向突出部141の構造は、第1板部材101の内側周方向突出部141の構造と同様である。
【0038】
また、第3板部材103は、第1板部材101及び第2板部材102と同様、外側周方向突出部151をさらに有する。本実施形態では、第3板部材103は、1つのコア磁極部121に対して2つの外側周方向突出部151を有する。第3板部材103の外側周方向突出部151の構造は、第1板部材101及び第2板部材102の外側周方向突出部151の構造と同様である。
【0039】
次に、
図2、
図3、
図6及び
図7を参照して、コア磁極部121の構造についてさらに説明する。
図7は、本実施形態の第3板部材103aの構造を示す平面図である。
図2及び
図3に示すように、ロータコア100の各層は、複数のコア磁極部121を有する。本実施形態では、各コア磁極部121は、軸方向ADに貫通する少なくとも1つの孔121aを有する。コア磁極部121の孔121aは、軸方向ADに隣接する他のコア磁極部121の孔121aと連続する。
【0040】
各コア磁極部121の孔121aの数は、特に限定されるものではないが、本実施形態では、各コア磁極部121は、1つ又は2つの孔121aを有する。本実施形態では、例えば、ロータコア100の最下層LLに配置される第3板部材103a(
図7参照)の各コア磁極部121は、1つの孔121aを有する。ロータコア100の最下層LL以外の層の各コア磁極部121は、2つの孔121aを有する。第3板部材103aの構造は、孔121aの数を除き、第3板部材103の構造と同様である。
【0041】
つまり、本実施形態では、ロータコア100の軸方向AD一端のコア磁極部121の孔121aの数は、ロータコア100の軸方向AD他端のコア磁極部121の孔121aの数とは異なる。従って、ロータコア100の上下を容易に識別できる。なお、ロータコア100の軸方向AD一端のコア磁極部121の孔121aの数は、ロータコア100の軸方向AD他端のコア磁極部121の孔121aの数と同じであってもよい。すなわち、例えば、ロータコア100の最下層LLが第3板部材103であってもよい。
【0042】
本実施形態では、ロータコア100の全てのコア中央部111は、同じ形状を有する。しかしながら、全てのコア中央部111が同じ形状を有しなくてもよい。すなわち、コア中央部111同士が若干異なる形状を有してもよい。例えば、異なる層のコア中央部111同士が異なる形状を有してもよい。また、本実施形態では、ロータコア100の全てのコア磁極部121は、同じ形状を有する。しかしながら、全てのコア磁極部121が同じ形状を有しなくてもよい。すなわち、コア磁極部121同士が若干異なる形状を有してもよい。例えば、異なる層のコア磁極部121同士が異なる形状を有してもよい。また、同じ層のコア磁極部121同士が異なる形状を有してもよい。
【0043】
次に、本実施形態のロータコア100についてさらに説明する。
図3に示すように、ロータコア100の層L5の第1板部材101を第1鋼板SP1、層L5の第2板部材102を第2鋼板SP2とする。また、層L4の第1板部材101を第3鋼板SP3、層L4の第2板部材102を第4鋼板SP4とする。また、層L1の第3板部材103を第5鋼板SP5とする。また、第3板部材103aも第5鋼板SP5とする。そして、第1鋼板SP1から第5鋼板SP5を用いてロータコア100について説明する。
【0044】
ロータコア100の少なくとも1つの層(
図3の層L5参照)は、第1鋼板SP1と、複数の第2鋼板SP2とを有する。ロータコア100は、第1鋼板SP1及び第2鋼板SP2を含む複数の鋼板を有する。
【0045】
第1鋼板SP1は、第1コア中央部SP111aと、第1コア磁極部SP121aとを有する。従って、第1コア磁極部SP121aの径方向RDの位置精度を向上できる。また、ロータ10の回転時に第1コア磁極部SP121aに作用する遠心力に耐えるための剛性を確保できる。なお、第1コア中央部SP111aは、第1板部材101のコア中央部111である。第1コア磁極部SP121aは、第1板部材101のコア磁極部121である。すなわち、ロータコア100の複数の鋼板は、第1コア磁極部SP121aを含む複数のコア磁極部121を有する。第1コア磁極部SP121aは、第1コア中央部SP111aの径方向RD外方に配置される。
【0046】
第2鋼板SP2は、第1コア中央部SP111aの径方向RD外方において、周方向CDに配置される第2コア磁極部SP121bを有する。なお、第2コア磁極部SP121bは、第2板部材102のコア磁極部121である。すなわち、ロータコア100の複数の鋼板は、第2コア磁極部SP121bを含む複数のコア磁極部121を有する。第2コア磁極部SP121bは、第1コア中央部SP111aと間隙を介して配置される。従って、マグネット11の磁束が径方向RD内側に漏れにくくなる。その結果、モータ1のトルクを向上できる。
【0047】
また、ロータコア100は、層L5とは異なる層(
図3の層L4参照)において、第3鋼板SP3と、複数の第4鋼板SP4とを有する。
【0048】
第3鋼板SP3は、第2コア中央部SP111bと、第3コア磁極部SP121cとを有する。従って、第3コア磁極部SP121cの径方向RDの位置精度を向上できる。また、ロータ10の回転時に第3コア磁極部SP121cに作用する遠心力に耐えるための剛性を確保できる。なお、第2コア中央部SP111bは、第1板部材101のコア中央部111である。第3コア磁極部SP121cは、第1板部材101のコア磁極部121である。第3コア磁極部SP121cは、第2コア中央部SP111bの径方向RD外方に配置される。
【0049】
第4鋼板SP4は、第2コア中央部SP111bの径方向RD外方において、周方向CDに配置される第4コア磁極部SP121dを有する。なお、第4コア磁極部SP121dは、第2板部材102のコア磁極部121である。第4コア磁極部SP121dは、第2コア中央部SP111bと間隙を介して配置される。
【0050】
第1コア磁極部SP121aは、第3コア磁極部SP121cに対して周方向CDにずれて配置される。従って、コア磁極部121とコア中央部111とを繋げる部分が周方向CDにずれる。すなわち、磁束漏れの生じるコア連結部131が周方向CDにずれる。よって、磁束漏れの生じる部分が軸方向ADに重なることを抑制できる。その結果、コア磁極部121とコア中央部111とを繋げる部分に、磁束が流れることを抑制できる。特に、コア磁極部121とコア中央部111とを繋げる部分の面積が小さいほど磁気飽和が起きやすいため、より磁束の漏れを抑制できる。
【0051】
第1鋼板SP1は、複数の第1コア磁極部SP121aを有する。本実施形態では、第1鋼板SP1は、2つの第1コア磁極部SP121aを有する。第1コア磁極部SP121aは、第1コア中央部SP111aに周方向CDに等間隔で連結される。従って、ロータコア100の磁気特性、位置精度及び剛性に偏りが生じることをより抑制できる。
【0052】
また、第3鋼板SP3は、複数の第3コア磁極部SP121cを有する。本実施形態では、第3鋼板SP3は、2つの第3コア磁極部SP121cを有する。第3コア磁極部SP121cは、第2コア中央部SP111bに周方向CDに等間隔で連結される。従って、ロータコア100の磁気特性、位置精度及び剛性に偏りが生じることをより抑制できる。
【0053】
ロータコア100は、層L5とは異なる層(
図3の層L1参照)において、第5鋼板SP5を有する。
【0054】
第5鋼板SP5は、第3コア中央部SP111cと、第5コア磁極部SP121eとを有する。なお、第3コア中央部SP111cは、第3板部材103のコア中央部111である。第5コア磁極部SP121eは、第3板部材103のコア磁極部121である。第5コア磁極部SP121eは、第3コア中央部SP111cの径方向RD外方に配置される。第5鋼板SP5は、第3コア中央部SP111cの径方向RD外方に配置される全ての第5コア磁極部SP121eを有する。また、第5鋼板SP5の第5コア磁極部SP121eの数は、ロータコア100の磁極部120の数と同じである。言い換えると、第5鋼板SP5の第5コア磁極部SP121eの数は、マグネット11の数と同じである。さらに言い換えると、第5鋼板SP5の第5コア磁極部SP121eの数は、ロータ10の極数と同じである。また、全ての第5コア磁極部SP121eは、第3コア中央部SP111cに連結される。すなわち、全てのコア磁極部121がコア中央部111に連結させた第5鋼板SP5を、ロータコア100の1つの層として用いる。従って、ロータ10の剛性をより強化できる。
【0055】
第5鋼板SP5は、ロータコア100のいずれの層に配置されてもよいが、本実施形態では、例えば、ロータコア100の軸方向AD両端に配置される。すなわち、第5鋼板SP5は、ロータコア100の最上層UL及び最下層LL(
図2参照)に配置される。従って、第5鋼板SP5によって、最上層UL及び最下層LL以外の全ての層を軸方向ADに挟むことができる。その結果、例えばロータ10の製造時にロータコア100を持ち上げたとしても、例えば第2鋼板SP2がロータコア100から落下することを抑制できる。
【0056】
第1鋼板SP1は、コア連結部131をさらに有する。第1鋼板SP1のコア連結部131は、第1コア磁極部SP121aと第1コア中央部SP111aとを連結する。従って、例えば第1コア中央部SP111aの直径を大きくして、第1コア中央部SP111aと第1コア磁極部SP121aとを直接連結する場合に比べて、マグネット11の磁束が径方向RD内側に漏れることを抑制することができる。
【0057】
第3鋼板SP3は、コア連結部131をさらに有する。第3鋼板SP3のコア連結部131は、第3コア磁極部SP121cと第2コア中央部SP111bとを連結する。従って、例えば第2コア中央部SP111bの直径を大きくして、第2コア中央部SP111bと第3コア磁極部SP121cとを直接連結する場合に比べて、マグネット11の磁束が径方向RD内側に漏れることを抑制することができる。
【0058】
第5鋼板SP5は、コア連結部131をさらに有する。第5鋼板SP5のコア連結部131は、第5コア磁極部SP121eと第3コア中央部SP111cとを連結する。従って、例えば第3コア中央部SP111cの直径を大きくして、第3コア中央部SP111cと第5コア磁極部SP121eとを直接連結する場合に比べて、マグネット11の磁束が径方向RD内側に漏れることを抑制することができる。
【0059】
第1鋼板SP1は、内側周方向突出部141をさらに有する。本実施形態では、第1鋼板SP1は、1つの第1コア磁極部SP121aに対して2つの内側周方向突出部141を有する。第1鋼板SP1の内側周方向突出部141は、コア連結部131から周方向CDに突出する。従って、第1鋼板SP1の内側周方向突出部141によってマグネット11の径方向RD内側への移動を規制できる。
【0060】
第3鋼板SP3は、内側周方向突出部141をさらに有する。本実施形態では、第3鋼板SP3は、1つの第3コア磁極部SP121cに対して2つの内側周方向突出部141を有する。第3鋼板SP3の内側周方向突出部141は、コア連結部131から周方向CDに突出する。
【0061】
第5鋼板SP5は、内側周方向突出部141をさらに有する。本実施形態では、第5鋼板SP5は、1つの第5コア磁極部SP121eに対して2つの内側周方向突出部141を有する。第5鋼板SP5の内側周方向突出部141は、コア連結部131から周方向CDに突出する。第3鋼板SP3及び第5鋼板SP5の内側周方向突出部141の効果は、第1鋼板SP1の内側周方向突出部141の効果と同様である。
【0062】
ロータコア100の各層(
図3の層L1から層L5参照)は、複数のコア磁極部121を有する。少なくとも1つの層(
図3の層L5参照)が有する複数のコア磁極部121は、第1コア磁極部SP121a及び第2コア磁極部SP121bを含む。また、各コア磁極部121は、軸方向ADに貫通する少なくとも1つの孔121aを有する。コア磁極部121の孔121aは、軸方向ADに隣接する他のコア磁極部121の孔121aと連続する。孔121aの内部には、後述する樹脂部12の一部が配置される。従って、コア磁極部121の孔121aに樹脂が配置されるため、ロータコア100の各層をより強固に固定することができる。
【0063】
次に、
図8及び
図9を参照して、本発明の一実施形態に係るロータ10の構造についてさらに説明する。
図8は、本実施形態のロータ10の構造を示す斜視図である。
図9は、本実施形態のロータコア100及びマグネット11を、下型310及び上型320を用いて樹脂部12で覆った状態を示す断面図である。
【0064】
ロータ10は、
図8に示すように、樹脂部12をさらに有する。樹脂部12は、ロータコア100の少なくとも一部及び複数のマグネット11の少なくとも一部を覆う。従って、ロータコア100の各層及びマグネット11を固定することができる。例えば、樹脂部12は、ロータコア100の貫通孔110a周辺と、ロータコア100の外周面とを除いて、ロータコア100及び複数のマグネット11を覆う。
【0065】
図8及び
図9に示すように、樹脂部12は、複数の上側孔12aと、複数の上側孔12bとを有する。上側孔12aは、マグネット11の軸方向上方に配置される。従って、マグネット11は、上側孔12aを介して軸方向上方に露出する。上側孔12bは、ロータコア100の磁極部120の軸方向上方に配置される。従って、磁極部120は、上側孔12bを介して軸方向上方に露出する。
【0066】
樹脂部12は、複数の下側孔12cと、複数の下側孔12dとを有する。下側孔12cは、マグネット11の軸方向下方に配置される。従って、マグネット11は、下側孔12cを介して軸方向下方に露出する。下側孔12dは、ロータコア100の磁極部120の軸方向下方に配置される。従って、磁極部120は、下側孔12dを介して軸方向下方に露出する。
【0067】
次に、
図9から
図11を参照して、ロータ10の製造方法について説明する。
図10は、本実施形態に係るロータ10の製造方法を説明するための断面図であり、ロータコア100を治具200に配置した状態を示す図である。
図11は、本実施形態に係るロータ10の第1板部材101、第2板部材102、第3板部材103及び103aの部分拡大図である。
【0068】
まず、打ち抜き金型(図示せず)を用いて鋼板に打ち抜き加工を施すことによって、第1板部材101、第2板部材102、第3板部材103及び103aが得られる。打ち抜き加工後の第1板部材101、第2板部材102、第3板部材103及び103aが、所定位置、所定順序及び所定枚数に積層されることによって、ロータコア100が得られる。なお、第1板部材101、第2板部材102、第3板部材103及び103aには、カシメ部が設けられ、板部材は互いに固定される。
【0069】
図10に示すように、得られたロータコア100が治具200に配置される。治具200は、平板状の台座201と、複数の位置決めピン202とを有する。位置決めピン202は、台座201から軸方向上方に突出する。位置決めピン202は、ロータコア100の孔121aに対応する位置に配置される。位置決めピン202は、各磁極部120に対して1つ配置される。具体的には、位置決めピン202は、コア磁極部121の2つの孔121aのうち、径方向RD外側の孔121aに対応する位置に配置される。言い換えると、第3板部材103a(
図7参照)の孔121aに対応する位置に配置される。そして、ロータコア100は、第3板部材103aを最下層LL(
図2参照)にした状態で、治具200に配置される。このとき、第3板部材103(
図6参照)は、最上層UL(
図2参照)に配置される。また、位置決めピン202は、孔121a内に配置される。
【0070】
ここで、第1板部材101、第2板部材102、第3板部材103及び103aは、打ち抜き加工によって形成されるため、
図11に示すように、第1板部材101、第2板部材102、第3板部材103及び103aには、ダレP1及びカエリP2が生じる。第1板部材101、第2板部材102、第3板部材103及び103aは、ダレP1の向き及びカエリP2の向きが揃えられた状態で積層されている。本実施形態では、例えば、第1板部材101、第2板部材102、第3板部材103及び103aの上部にダレP1が形成され、下部にカエリP2が形成される。マグネット11をロータコア100に取り付ける際に、マグネット11がダレP1側からカエリP2側に向かって挿入されることによって、マグネット11がロータコア100に引っ掛かることを抑制できる。従って、本実施形態では、例えば、
図10に示すように、マグネット11はロータコア100に対して軸方向上方から取り付けられる。
【0071】
すなわち、本実施形態では、ロータコア100の軸方向AD一端のコア磁極部121の孔121aの数(2つ)は、ロータコア100の軸方向AD他端のコア磁極部121の孔121aの数(1つ)とは異なる。従って、ロータコア100の上下を容易に識別できる。よって、ロータコア100の軸方向AD一端の層を上側にして、ロータコア100を治具200に配置できる。その結果、マグネット11をダレP1側からロータコア100に取り付けることができる。よって、マグネット11に欠けが生じることを抑制できる。
【0072】
次に、ロータコア100及びマグネット11が治具200から取り外される。そして、ロータコア100及びマグネット11が下型310(
図9参照)上に配置される。その後、上型320(
図9参照)が下型310に接触するまで下降されることによって、型締めが行われる。
図9に示すように、下型310は、マグネット11の下面を支持する複数の支持ピン311と、ロータコア100の下面を支持する複数の支持ピン312とを有する。支持ピン311は、下側孔12cに対応する位置に配置される。支持ピン312は、下側孔12dに対応する位置に配置される。
【0073】
上型320は、マグネット11の上面を押える複数の押えピン321と、ロータコア100の上面を押える複数の押えピン322とを有する。押えピン321は、上側孔12aに対応する位置に配置される。押えピン322は、上側孔12bに対応する位置に配置される。また、上型320は、ゲート323を有する。ゲート323は、樹脂が注入される注入口である。
【0074】
次に、ゲート323から樹脂が注入される。従って、ロータコア100及びマグネット11の周囲に樹脂部12が形成される。その後、上型320が上昇されるとともに、支持ピン311及び支持ピン312が上昇される。支持ピン311及び支持ピン312の上昇に伴って、樹脂部12に覆われたロータコア100及びマグネット11が下型310から取り出される。すなわち、支持ピン311及び支持ピン311は、エジェクタピンとして機能する。以上のようにして、
図8に示すロータコア100が製造される。
【0075】
以下、
図12から
図14を参照して、本実施形態の第1変形例から第3変形例について説明する。以下では、
図1から
図11で示した本実施形態と異なる点を主に説明する。
【0076】
(第1変形例)
図12を参照して、本発明の実施形態の第1変形例を説明する。
図12は、本実施形態の第1変形例の第2板部材102の構造を示す平面図である。第1変形例では、第2板部材102が凹部121bを有する例について説明する。
【0077】
図12に示すように、本実施形態の第1変形例では、第2板部材102の径方向RD内側の端部は、径方向RD外側に窪む凹部121bを有する。言い換えると、第2鋼板SP2の径方向RD内側の端部は、径方向RD外側に窪む凹部121bを有する。従って、マグネット11の磁束(
図12の矢印)は、凹部121bを避けるように径方向RD外側に流れる。その結果、マグネット11の磁束が径方向RD内側に流れることをより抑制できる。また、凹部121bは、孔121aから離隔する。なお、凹部121bは、孔121aまで延びて孔121aに繋がっていてもよい。
【0078】
(第2変形例)
図13を参照して、本発明の実施形態の第2変形例を説明する。
図13は、本実施形態の第2変形例の第1板部材101及び第2板部材102の構造を示す平面図である。第2変形例では、第2板部材102の径方向RD内側の端部121cが第1板部材101の径方向RD内側の端部121dに比べて径方向RD外側に配置される例について説明する。
【0079】
図13に示すように、本実施形態の第2変形例では、第2板部材102の径方向RDに沿った長さは、第1板部材101の径方向RDに沿った長さに比べて短い。第2板部材102の径方向RD内側の端部121cは、第1板部材101の径方向RD内側の端部121dに比べて、径方向RD外側に配置される。言い換えると、第2鋼板SP2の径方向RD内側の端部121cは、第1鋼板SP1の第1コア磁極部SP121aの径方向RD内側の端部121dに比べて、径方向RD外側に配置される。従って、マグネット11の磁束が第2鋼板SP2の径方向RD内側に流れることをより抑制できる。なお、
図13では、第2板部材102は、凹部121bを有するが、凹部121bを有しなくてもよい。
【0080】
(第3変形例)
図14を参照して、本発明の実施形態の第3変形例を説明する。
図14は、本実施形態の第3変形例の第1板部材101及び第2板部材102の構造を示す平面図である。第3変形例では、コア中央部111に径方向突出部161が形成される例について説明する。
【0081】
図14に示すように、本実施形態の第3変形例では、第1板部材101は、コア中央部111から径方向RD外側に突出する径方向突出部161をさらに有する。言い換えると、第1鋼板SP1は、第1コア中央部SP111aから径方向RD外側に突出する径方向突出部161をさらに有する。従って、径方向突出部161によってマグネット11の径方向RD内側への移動を規制できる。
【0082】
なお、第3変形例では、第1板部材101は、内側周方向突出部141を有しないが、径方向突出部161及び内側周方向突出部141の両方を有してもよい。また、図示しないが、第3鋼板SP3及び第5鋼板SP5も第1鋼板SP1と同様に、径方向突出部161を有してもよい。
【0083】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態(変形例を含む。)について説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。また、上記の実施形態に発明されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。例えば、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質、形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0084】
例えば、
図1から
図14に示した実施形態では、第1板部材101が2つのコア磁極部121を有する例について示したが、本発明はこれに限らない。例えば、第1板部材101は、1つ又は3つ以上のコア磁極部121を有してもよい。言い換えると、例えば、第1鋼板SP1は、1つ又は3つ以上の第1コア磁極部SP121aを有してもよい。また、第3鋼板SP3は、1つ又は3つ以上の第3コア磁極部SP121cを有してもよい。
【0085】
また、
図1から
図14に示した実施形態では、ロータコア100の軸方向AD一端のコア磁極部121の孔121aの数が、ロータコア100の軸方向AD他端のコア磁極部121の孔121aの数とは異なる例について示したが、本発明はこれに限らない。ロータコア100の軸方向AD一端のコア磁極部121の孔121aの数が、ロータコア100の軸方向AD他端のコア磁極部121の孔121aの数と同じであってもよい。
【0086】
また、
図1から
図14に示した実施形態では、ロータコア100が第3板部材103を有する例について示したが、本発明はこれに限らない。例えば、ロータコア100は、第3板部材103を有しなくてもよい。言い換えると、ロータコア100は、第5鋼板SP5を有しなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明は、例えば、ロータ及びモータに利用できる。
【符号の説明】
【0088】
1 :モータ
10 :ロータ
11 :マグネット
12 :樹脂部
20 :ステータ
100 :ロータコア
121 :コア磁極部
121a :孔
121b :凹部
121c :端部(第2鋼板の径方向内側の端部)
121d :端部(第1鋼板の第1コア磁極部の径方向内側の端部)
131 :コア連結部
141 :内側周方向突出部(周方向突出部)
161 :径方向突出部
AD :軸方向
AX :中心軸
CD :周方向
L1~L5 :層
RD :径方向
SP1 :第1鋼板
SP111a :第1コア中央部
SP111b :第2コア中央部
SP111c :第3コア中央部
SP121a :第1コア磁極部
SP121b :第2コア磁極部
SP121c :第3コア磁極部
SP121d :第4コア磁極部
SP121e :第5コア磁極部
SP2 :第2鋼板
SP3 :第3鋼板
SP4 :第4鋼板
SP5 :第5鋼板