(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022117216
(43)【公開日】2022-08-10
(54)【発明の名称】錠剤用容器
(51)【国際特許分類】
B65D 47/20 20060101AFI20220803BHJP
【FI】
B65D47/20 210
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021013797
(22)【出願日】2021-01-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】古澤 光夫
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA02
3E084AA12
3E084AA24
3E084AB10
3E084BA01
3E084CA01
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB12
3E084DC03
3E084FA02
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084HA05
3E084HB01
3E084HB04
3E084HC01
3E084HD01
3E084LA15
3E084LA21
3E084LB02
3E084LD01
3E084LE06
(57)【要約】
【課題】所定量の錠剤を容易に取り出すことができる錠剤用容器を提供する。
【解決手段】容器本体10と、円筒状部分21を備えて容器本体10に対して相対回転自在の回動筒体20と、円筒状部分21の内側に設けられた受け皿部30と、円筒状部分21の外周面に設けられ、周壁11の内周面と円筒状部分21の外周面との間に下側切欠き部22から上側切欠き部23にまで延びる移動路28を区画形成する一対の案内面26と、周壁11の内周面に設けられ、上方を向くとともに下側切欠き部22よりも下方側から上側切欠き部23にまで螺旋状に延びる押上げ面15と、を有し、回動筒体20が容器本体10に対して相対回転すると、下側切欠き部22を通して移動路28に進入した錠剤2が押上げ面15に押されて移動路28に沿って上側切欠き部23にまで移動し、受け皿部30に排出されるように構成されている錠剤用容器1。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
錠剤を収納する錠剤用容器であって、
円筒状の周壁と前記周壁の下端を閉塞する底部とを備えた容器本体と、
下端に前記錠剤が通過可能な下側切欠き部が設けられるとともに前記下側切欠き部よりも上方に前記錠剤が通過可能な上側切欠き部が設けられて前記周壁の内側に配置された円筒状部分を備え、前記容器本体に対して軸線を中心とした周方向に相対回転自在の回動筒体と、
前記下側切欠き部と前記上側切欠き部との間において前記円筒状部分の内側に設けられた受け皿部と、
前記円筒状部分の外周面に設けられ、前記周壁の内周面と前記円筒状部分の外周面との間に前記下側切欠き部から前記上側切欠き部にまで延びる前記錠剤の移動路を区画形成する一対の案内面と、
前記周壁の内周面に設けられ、上方を向くとともに前記下側切欠き部よりも下方側から前記上側切欠き部にまで螺旋状に延びる押上げ面と、を有し、
前記回動筒体が前記容器本体に対して前記軸線を中心とした周方向に相対回転すると、前記下側切欠き部を通して前記移動路に進入した前記錠剤が前記押上げ面に押されて前記移動路に沿って前記上側切欠き部にまで移動し、前記上側切欠き部から前記受け皿部に排出されるように構成されていることを特徴とする錠剤用容器。
【請求項2】
前記容器本体にねじ結合により着脱自在に装着され、前記周壁の上端開口を閉塞する蓋体と、
前記蓋体と前記回動筒体との間に設けられ、前記容器本体に対して前記蓋体が締め付け方向へ回転したときに当該回転を前記回動筒体に伝達し、前記容器本体に対して前記蓋体が緩み方向へ回転したときに空回りするように構成されたラチェット機構と、を有する、請求項1に記載の錠剤用容器。
【請求項3】
前記円筒状部分の内周面に、それぞれ前記円筒状部分の下端から上方に向けて延びるとともに周方向に間隔を空けて並べて設けられた複数の円筒状部分側リブと、
前記底部に設けられ、それぞれの前記円筒状部分側リブに周方向から当接可能な容器本体側リブと、を有し、
前記回動筒体が前記容器本体に対して前記軸線を中心とした周方向に相対回転すると前記円筒状部分の下端が振動するように構成されている、請求項1または2に記載の錠剤用容器。
【請求項4】
前記周壁の内周面に前記押上げ面の上端に連ねて設けられ、前記軸線を中心とした周方向に延びるとともに径方向内側に向けて傾斜する傾斜面が設けられている、請求項1~3の何れか1項に記載の錠剤用容器。
【請求項5】
前記受け皿部が、ヒンジにより開閉自在の開閉部を備えている、請求項1~4の何れか1項に記載の錠剤用容器。
【請求項6】
前記底部が、前記軸線を中心として上方に突出するドーム状部を備え、
前記ドーム状部と前記周壁との間にまで一対の前記案内面が延びている、請求項1~5の何れか1項に記載の錠剤用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠剤を収納する錠剤用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば薬剤、サプリメント、ガム、飴玉、菓子等の、錠剤(粒状)に加工された内容物を収納する容器として、円筒状の周壁と周壁の下端を閉塞する底部とを備えた容器本体と、容器本体の口部に装着されたキャップとを有し、キャップを、取出し口を備えた受け皿部と受け皿部を覆う蓋体とを備えた構成としたものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
このような錠剤用容器によれば、蓋体を閉じた状態で容器本体を倒立姿勢として取出し口から受け皿部に錠剤を移動させた後、容器本体を正立姿勢に戻して蓋体を開くことで、受け皿部の上に複数の錠剤を排出させて、これら錠剤を指で摘まんで取り出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の錠剤用容器では、蓋体を閉じた状態で容器本体を倒立姿勢として取出し口から受け皿部に所定量の錠剤を正確に排出させることは困難であるので、受け皿部に取り出された錠剤が足りない場合には再度の取り出し操作を行う必要があり、また、受け皿部に錠剤が余分に取り出された場合には余分な錠剤を取出し口から容器内に戻す作業が必要となるなど、その取扱いが煩雑であるという問題点があった。
【0006】
本発明は、このような課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、所定量の錠剤を容易に取り出すことができる錠剤用容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の錠剤用容器は、錠剤を収納する錠剤用容器であって、円筒状の周壁と前記周壁の下端を閉塞する底部とを備えた容器本体と、下端に前記錠剤が通過可能な下側切欠き部が設けられるとともに前記下側切欠き部よりも上方に前記錠剤が通過可能な上側切欠き部が設けられて前記周壁の内側に配置された円筒状部分を備え、前記容器本体に対して軸線を中心とした周方向に相対回転自在の回動筒体と、前記下側切欠き部と前記上側切欠き部との間において前記円筒状部分の内側に設けられた受け皿部と、前記円筒状部分の外周面に設けられ、前記周壁の内周面と前記円筒状部分の外周面との間に前記下側切欠き部から前記上側切欠き部にまで延びる前記錠剤の移動路を区画形成する一対の案内面と、前記周壁の内周面に設けられ、上方を向くとともに前記下側切欠き部よりも下方側から前記上側切欠き部にまで螺旋状に延びる押上げ面と、を有し、前記回動筒体が前記容器本体に対して前記軸線を中心とした周方向に相対回転すると、前記下側切欠き部を通して前記移動路に進入した前記錠剤が前記押上げ面に押されて前記移動路に沿って前記上側切欠き部にまで移動し、前記上側切欠き部から前記受け皿部に排出されるように構成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明の錠剤用容器は、上記構成において、前記容器本体にねじ結合により着脱自在に装着され、前記周壁の上端開口を閉塞する蓋体と、前記蓋体と前記回動筒体との間に設けられ、前記容器本体に対して前記蓋体が締め付け方向へ回転したときに当該回転を前記回動筒体に伝達し、前記容器本体に対して前記蓋体が緩み方向へ回転したときに空回りするように構成されたラチェット機構と、を有するのが好ましい。
【0009】
本発明の錠剤用容器は、上記構成において、前記円筒状部分の内周面に、それぞれ前記円筒状部分の下端から上方に向けて延びるとともに周方向に間隔を空けて並べて設けられた複数の円筒状部分側リブと、前記底部に設けられ、それぞれの前記円筒状部分側リブに周方向から当接可能な容器本体側リブと、を有し、前記回動筒体が前記容器本体に対して前記軸線を中心とした周方向に相対回転すると前記円筒状部分の下端が振動するように構成されているのが好ましい。
【0010】
本発明の錠剤用容器は、上記構成において、前記周壁の内周面に前記押上げ面の上端に連ねて設けられ、前記軸線を中心とした周方向に延びるとともに径方向内側に向けて傾斜する傾斜面が設けられているのが好ましい。
【0011】
本発明の錠剤用容器は、上記構成において、前記受け皿部が、ヒンジにより開閉自在の開閉部を備えているのが好ましい。
【0012】
本発明の錠剤用容器は、上記構成において、前記底部が、前記軸線を中心として上方に突出するドーム状部を備え、前記ドーム状部と前記周壁との間にまで一対の前記案内面が延びているのが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、所定量の錠剤を容易に取り出すことができる錠剤用容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る錠剤用容器の軸線に沿う断面図である。
【
図2】
図1に示す錠剤用容器の、蓋体を取り外した状態の平面図である。
【
図3】
図1に示す容器本体の軸線に沿う断面図である。
【
図5】
図1に示す回動筒体の軸線に沿う半断面図である。
【
図8】
図1に示す錠剤用容器の、蓋体を取り外し、開閉部を開いた状態の軸線に沿う断面図である。
【
図9】
図1に示す錠剤用容器の変形例の軸線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明をより具体的に例示説明する。
【0016】
図1、
図2に示す錠剤用容器1は、例えば薬剤、サプリメント、ガム、飴玉、菓子等を加工した錠剤2を内容物として収納する用途に用いられるものである。
【0017】
本実施の形態では、錠剤2は、直径よりも厚みが薄い略円柱形のものである。なお、錠剤2は、略円柱状に限らず、例えば球状などの、他の形状のものであってもよい。
【0018】
なお、本明細書及び特許請求の範囲においては、「上」は、
図1に示すように錠剤用容器1を正立姿勢とした状態における上側を意味するものとし、「下」はその反対側を意味するものとする。
【0019】
錠剤用容器1は、錠剤2を収納する収納空間Sを備えた容器本体10を有している。収納空間Sは、多数の錠剤2を収納できる適宜の大きさに形成される。
【0020】
図3、
図4に示すように、容器本体10は、軸線Oを中心とした円筒状の周壁11と、周壁11の下端を閉塞する底部12とを備えている。本実施の形態では、容器本体10は合成樹脂材料の射出成型品となっており、周壁11と底部12は一体に形成されている。
【0021】
底部12は、軸線Oを中心として上方に突出するドーム状部12aを備えた形状とされている。ドーム状部12aは、周壁11に対して軸線Oを中心とした径方向内側に間隔を空けて設けられており、周壁11の内周面とドーム状部12aの側面との間には、錠剤2の厚みよりも僅かに大きい間隔が空けられている。
【0022】
周壁11の外側には円筒状の外側筒体13が一体に連ねて設けられており、周壁11は外側筒体13により覆われている。外側筒体13の上方側部分は一段小径となっており、当該小径部分の外周面には雄ねじ14が一体に設けられている。
【0023】
周壁11の内周面には押上げ面15が設けられている。本実施の形態では、周壁11の内周面に、互いに同一形状となる3つの押上げ面15が、軸線Oを中心とした周方向に等間隔に並べて設けられている。それぞれの押上げ面15は、周壁11の内周面に厚みを相違させて設けられた段差状部分11aの上端に上方を向く面として形成されており、周壁11の下端から所定の高さにまで螺旋状に延びている。なお、それぞれの押上げ面15の径方向の幅は、錠剤2の厚みよりも小さく、錠剤2の厚みの半分程度となっている。
【0024】
また、周壁11の内周面には、それぞれ対応する押上げ面15の上端に連なる3つの傾斜面16が設けられている。それぞれの傾斜面16は、段差状部分11aの上端に設けられており、軸線Oを中心とした周方向に延びるとともに径方向内側に向けて(径方向内側部分が径方向外側部分よりも下方に位置するように)傾斜している。
【0025】
さらに、周壁11の外側筒体13が連なる部分よりも上方側における外周面には、軸線Oを中心とした周方向に延びる環状の係止突起17が一体に設けられている。
【0026】
錠剤用容器1は、容器本体10に装着される回動筒体20を有している。
【0027】
図5、
図6及び
図7に示すように、回動筒体20は、軸線Oを中心とした円筒状の円筒状部分21を備えている。
図1に示すように、円筒状部分21は、周壁11よりも小径となっており、周壁11の内側に配置されて収納空間Sの外周部分を区画している。周壁11の段差状部分11aを除いた部分における内周面と円筒状部分21の外周面との間には、錠剤2の厚みより僅かに広い隙間が設けられている。
【0028】
円筒状部分21の下端には下側切欠き部22が設けられている。本実施の形態では、円筒状部分21の下端に、互いに同一形状の4つの下側切欠き部22が、軸線Oを中心とした周方向に等間隔に並べて設けられている。それぞれの下側切欠き部22は、円筒状部分21の下端から上方に向けて、錠剤2の直径より僅かに大きい幅及び高さで延びる形状となっており、錠剤2が通過可能な大きさとなっている。
【0029】
また、円筒状部分21には、下側切欠き部22よりも上方に位置して、上側切欠き部23が設けられている。本実施の形態では、円筒状部分21に、互いに同一形状の4つの上側切欠き部23が、対応する下側切欠き部22と軸線Oを中心とした周方向の位置を一致させて設けられている。それぞれの上側切欠き部23は、錠剤2の直径より僅かに大きい幅及び高さの貫通孔として形成されており、錠剤2が通過可能な大きさとなっている。
【0030】
なお、下側切欠き部22及び上側切欠き部23の大きさは、錠剤2が一度に1つのみ通過可能な大きさである。
【0031】
上記した押上げ面15は、下側切欠き部22よりも下方側から上側切欠き部23の下端部分に対応する高さにまで延びている。
【0032】
円筒状部分21の上端には装着筒体24が一体に設けられている。装着筒体24の内周面には軸線Oを中心とした周方向に延びる円環状の係止溝25が設けられている。
図1に示すように、装着筒体24は周壁11の上端部分に外側から篏合しており、係止突起17が係止溝25にアンダーカット係合している。これにより、回動筒体20は、容器本体10に対して軸線Oを中心とした周方向に相対回転自在となっている。
【0033】
回動筒体20には受け皿部30が設けられている。受け皿部30は、下側切欠き部22と上側切欠き部23との間において円筒状部分21の内側に設けられており、円筒状部分21の内側部分の全体を覆って収納空間Sの上部開口を閉塞している。
【0034】
本実施の形態では、受け皿部30は、円筒状部分21の内周面に一体に設けられた円環状のフランジ部31と、フランジ部31の一部にヒンジ32を介して一体に連結された開閉部33とを備えた構成となっている。
図8に示すように、開閉部33は、ヒンジ32を支点として上下に回動することで、受け皿部30の一部を開閉することができる。開閉部33により開閉される受け皿部30の開口は錠剤2よりも大きくなっており、開閉部33を開くことで、当該開口から収納空間Sに錠剤2を充填することができる。
【0035】
なお、開閉部33には、開閉操作を容易にするための摘まみ部34が一体に設けられている。
【0036】
図1、
図5、
図6及び
図7に示すように、円筒状部分21の外周面には、一対の案内面26が設けられている。本実施の形態では、円筒状部分21の外周面に、4つの下側切欠き部22及び上側切欠き部23に対応した、4対の案内面26が設けられている。
【0037】
それぞれの案内面26の対は、周壁11の内周面と円筒状部分21の外周面との間において、それぞれ下側切欠き部22から上側切欠き部23にまで延びて設けられている。本実施の形態では、それぞれの案内面26は、円筒状部分21の下端を超えてドーム状部12aと周壁11との間にまで延びている。それぞれの案内面26の円筒状部分21の外周面から径方向外側に向けた突出高さは、錠剤2の厚みよりも小さく、錠剤2の厚みの半分程度となっている。なお、それぞれの案内面26は、対応する下側切欠き部22及び上側切欠き部23の周方向の縁部に連なっている。
【0038】
本実施の形態では、円筒状部分21の外周面に、それぞれ対応する下側切欠き部22及び上側切欠き部23の周方向の両縁部に連なるとともに径方向外側に向けて突出する一対の縦リブ27が一体に設けられ、これら一対の縦リブ27の互いに対向する内側面が、それぞれ案内面26を構成している。
【0039】
一対の案内面26が設けられることにより、周壁11の内周面と円筒状部分21の外周面との間には、下側切欠き部22から上側切欠き部23にまで延びる錠剤2の移動路28が区画形成されている。収納空間Sから下側切欠き部22を通って移動路28に入り込んだ錠剤2は、移動路28を通って上側切欠き部23にまで移動することができる。
【0040】
図1に示すように、容器本体10には蓋体40が装着されている。
【0041】
蓋体40は、天壁41と円筒壁42とを有する有頂円筒状の本体部43と、本体部43の内側に篏合固定された内側部材44とを有している。内側部材44の円筒壁42の内周面に篏合する部分の内周面には雌ねじ45が一体に設けられている。蓋体40は、雌ねじ45が容器本体10の雄ねじ14にねじ結合することにより、容器本体10に着脱自在に装着されている。したがって、蓋体40を容器本体10に装着することで周壁11の上端開口を蓋体40により閉塞することができるとともに、蓋体40を容器本体10から取り外すことで、周壁11の上端開口を開放して受け皿部30を外部に露出させることができる。
【0042】
なお、
図1における符合46は、内側部材44と回動筒体20の上端との間に配置されたシール部材である。
【0043】
蓋体40と回動筒体20との間には、ラチェット機構50が設けられている。ラチェット機構50は、容器本体10に対して蓋体40が締め付け方向(蓋体40を容器本体10に装着する方向)へ回転したときには、当該回転を回動筒体20に伝達して回動筒体20を蓋体40と共回りさせるように作動し、容器本体10に対して蓋体40が緩み方向(蓋体40を容器本体10から取り外す方向)へ回転したときには、蓋体40が回動筒体20に対して空回りして蓋体40のみを回転させるように作動する。したがって、蓋体40を容器本体10に装着する度に、回動筒体20は容器本体10に対して回転するが、蓋体40を容器本体10から取り外す際には、回動筒体20は容器本体10に対して回転しない。
【0044】
より具体的には、ラチェット機構50は、回動筒体20の装着筒体24の外周面に、軸線Oを中心とした周方向に等間隔に並べて設けられた複数の係止凸部51と、蓋体40の内側部材44に設けられた複数(2つ)の弾性爪片52とを備えている。なお、
図1においては、弾性爪片52の形状を示すために、軸線Oに重なる位置に、二点鎖線を用いて弾性爪片52を仮想的に示している。複数の係止凸部51は、それぞれ軸線Oを中心とした周方向の一方側を向く面が当該周方向に垂直な垂直面であるとともに周方向の他方側を向く面が当該周方向に対して90度を超える角度で緩やかに傾斜する傾斜面となっている。それぞれの弾性爪片52は、容器本体10に対して蓋体40が締め付け方向に回転したときに、それぞれの係止凸部51の垂直面に当接して係止凸部51を係止し、蓋体40の回転を回動筒体20に伝達する。一方、それぞれの弾性爪片52は、容器本体10に対して蓋体40が緩み方向へ回転したときには、それぞれの係止凸部51の傾斜面に沿って径方向外側に弾性変形して係止凸部51を乗り越え、蓋体40を回動筒体20に対して空回りさせるようになっている。
【0045】
円筒状部分21の内周面には、それぞれ円筒状部分21の下端から上方に向けて延びるとともに軸線Oを中心とした周方向に等間隔に並べて設けられた複数の円筒状部分側リブ29(
図7においては便宜上1つにのみ符合を付している。)が設けられている。一方、容器本体10の底部12のドーム状部12aの側面には、軸線Oを中心とした周方向に等間隔に並べて容器本体側リブ18が設けられている。本実施の形態では、円筒状部分21の内周面に、軸線Oを中心とした周方向に間隔に並べて28個の円筒状部分側リブ29が設けられ、底部12のドーム状部12aの側面に、軸線Oを中心とした周方向に等間隔に並べて3つの容器本体側リブ18が設けられている。それぞれの容器本体側リブ18は、それぞれの円筒状部分側リブ29に周方向から当接可能となっており、また、それぞれの円筒状部分側リブ29は容器本体側リブ18を乗り越えて容器本体側リブ18に対して周方向に相対移動可能となっている。これにより、回動筒体20が容器本体10に対して軸線Oを中心とした周方向に相対回転すると、円筒状部分側リブ29が容器本体側リブ18を乗り越える際に生じる弾性変形の繰り返しにより、円筒状部分21の下端が振動する。
【0046】
次に、上記構成を有する錠剤用容器1から錠剤2を取り出す手順について説明する。
【0047】
収納空間Sに多数の錠剤2が充填されている錠剤用容器1において、収納空間Sの下方側に収納されている錠剤2は、下側切欠き部22を通して円筒状部分21の外側の移動路28に進入し、移動路28の下端部分に配置された状態となる。
【0048】
この状態において、蓋体40を容器本体10から取り外すために、蓋体40を容器本体10に対して緩み方向に回転させると、蓋体40が回動筒体20に対して空転するとともに、容器本体10から取り外される。その後、取り外された蓋体40を、容器本体10に装着するため、蓋体40を容器本体10に対して締め付け方向に回転させると、当該回転がラチェット機構50を介して回動筒体20に伝達され、回動筒体20が蓋体40とともに容器本体10に対して軸線Oを中心とした周方向に相対回転する。
【0049】
回動筒体20が容器本体10に対して軸線Oを中心とした周方向に相対回転すると、下側切欠き部22を通して移動路28に進入した錠剤2が、移動路28の径方向外側において周方向に移動する押上げ面15に上方に向けて徐々に押され、移動路28に沿って上側切欠き部23にまで移動する。そして、さらに回動筒体20が容器本体10に対して軸線Oを中心とした周方向に相対回転すると、上側切欠き部23にまで移動した錠剤2は押上げ面15に連なる傾斜面16により径方向内側に向けて押されて上側切欠き部23を通して円筒状部分21の内側に設けられた受け皿部30に向けて排出される。その後、蓋体40を容器本体10から取り外すことで、使用者は、上側切欠き部23から排出されて受け皿部30の上に移動した錠剤2を指などで摘まんで取り出すことができる。
【0050】
回動筒体20に4つの下側切欠き部22、上側切欠き部23及び移動路28が設けられるのに対し、容器本体10には3つの押上げ面15のみが設けられているので、容器本体10に蓋体40を装着する度に、1つの上側切欠き部23から1つの錠剤2のみが受け皿部30に向けて順番に排出される。なお、回動筒体20に設ける下側切欠き部22、上側切欠き部23及び移動路28の数や配置、あるいは容器本体10に設ける押上げ面15の数や配置を適宜変更することで、2つ以上の錠剤2が受け皿部30に向けて同時に排出される構成としてもよい。
【0051】
このように、本実施の形態の錠剤用容器1によれば、回動筒体20を容器本体10に対して軸線Oを中心とした周方向に相対回転させるだけの簡単な操作で、受け皿部30に1つの錠剤2を正確に排出させることができる。したがって、錠剤用容器1から所定量の錠剤2を容易に取り出すことができる。
【0052】
特に、本実施の形態の錠剤用容器1では、蓋体40と回動筒体20との間にラチェット機構50を設けるようにしたので、容器本体10に対する蓋体40の着脱操作という簡単な操作で、受け皿部30に1つの錠剤2を正確に排出させることができる。
【0053】
また、本実施の形態の錠剤用容器1では、収納空間Sに収納されている他の錠剤2に触れることなく、所望の量の錠剤2を取り出すことができるので、収納空間Sに収納されている他の錠剤2を衛生的に保つことができる。
【0054】
さらに、本実施の形態の錠剤用容器1では、収納空間Sに収納されている錠剤2を、円筒状部分21の下端に設けられた下側切欠き部22を通して移動路28に進入させるようにしているので、収納空間Sに収納される錠剤2の残量が少なくなった場合であっても、錠剤2を容易に取り出すことが可能である。
【0055】
特に、本実施の形態では、容器本体10の底部12に軸線0を中心として上方に突出するドーム状部12aを設け、ドーム状部12aと周壁11との間にまで一対の案内面26を延ばした構成としたので、収納空間Sに収納される錠剤2の残量が少なくなった場合であっても、残りの錠剤2がドーム状部12aの側部から下側切欠き部22を通して移動路28に確実に進入するようにして、残りの錠剤2を確実に取り出すことができる。
【0056】
さらに、本実施の形態の錠剤用容器1では、周壁11の内周面に押上げ面15の上端に連ねて周方向に延びるとともに径方向内側に向けて傾斜する傾斜面16を設けるようにしたので、上側切欠き部23にまで移動した錠剤2が傾斜面16により径方向内側に向けて押されるようにして、当該錠剤2を確実に上側切欠き部23から受け皿部30に向けて排出させることができる。
【0057】
さらに、本実施の形態の錠剤用容器1では、回動筒体20を容器本体10に対して軸線Oを中心とした周方向に相対回転させると、円筒状部分21の下端に設けた複数の円筒状部分側リブ29と容器本体10の底部12に設けた容器本体側リブ18とが係合と乗り越えを繰り返して円筒状部分21の下端に振動が生じるようにしたので、収納空間Sに収納される錠剤2の残量が少なくなった場合であっても、当該振動により、残りの錠剤2が下側切欠き部22を通して移動路28に確実に進入するようにして、残りの錠剤2を確実に取り出すことができる。
【0058】
全ての錠剤2が取り出された後など、錠剤2の補給が必要な場合には、容器本体10から蓋体40を取り外した状態で開閉部33を開くことで、受け皿部30の一部を開放して当該部分から錠剤2を容易に充填することができる。
【0059】
受け皿部30に排出された錠剤2を取り出した後には、蓋体40を容器本体10に装着することで容器本体10を閉塞することができる。このとき、ラチェット機構50により、蓋体40とともに回動筒体20が回転するので、受け皿部30に向けて次の錠剤2が排出される。
【0060】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0061】
例えば、前記実施の形態では、蓋体40と回動筒体20との間にラチェット機構50を設けるようにしているが、
図9に変形例の錠剤用容器1として示すように、ラチェット機構50を設けない構成とすることもできる。
図9に示す変形例の錠剤用容器1では、容器本体10及び回動筒体20の構成はそのままに、蓋体40の構成のみを変更している。具体的には、蓋体40は、内側部材44を備えておらず、雌ねじ45が円筒壁42の内周面に一体に形成されるとともに、ラチェット機構50を構成する弾性爪片52が設けられない構成とされている。
【0062】
このような変形例の錠剤用容器1においても、蓋体40を容器本体10から取り外した後、使用者が手動で回動筒体20を容器本体10に対して軸線Oを中心とした周方向に相対回転させることで、受け皿部30に1つの錠剤2を正確に排出させることができる。このとき、回動筒体20の装着筒体24に設けられた係止凸部51は、手動操作の滑り止めとして機能する。
【0063】
また、前記実施の形態では、ラチェット機構50として、回動筒体20に設けた係止凸部51と、蓋体40に設けた弾性爪片52とを備えた構成のものを用いているが、蓋体40と回動筒体20との間に設けられて容器本体10に対して蓋体40が締め付け方向へ回転したときに当該回転を回動筒体20に伝達し、容器本体10に対して蓋体40が緩み方向へ回転したときに空回りするように構成されたものであれば、他の構成のものを採用してもよい。
【0064】
さらに、前記実施の形態では、円筒状部分21の下端に複数の円筒状部分側リブ29を設けるとともに容器本体10の底部12に容器本体側リブ18を設けて、回動筒体20が容器本体10に対して軸線Oを中心とした周方向に相対回転すると円筒状部分21の下端に振動が生じるようにしているが、円筒状部分側リブ29及び容器本体側リブ18を設けない構成としてもよい。
【0065】
さらに、前記実施の形態では、周壁11の内周面に押上げ面15の上端に連なる傾斜面16を設けるようにしているが、傾斜面16を設けることなく、当該上端面を上下方向に垂直な面として構成してもよい。
【0066】
さらに、前記実施の形態では、受け皿部30に開閉部33を設けた構成としているが、開閉部33を設けない構成としてもよい。
【0067】
さらに、前記実施の形態では、ラチェット機構50を、容器本体10に対して蓋体40が締め付け方向へ回転したときに当該回転を回動筒体20に伝達し、容器本体10に対して蓋体40が緩み方向へ回転したときに空回りする構成としたが、容器本体10に対して蓋体40が緩み方向へ回転したときに当該回転を回動筒体20に伝達し、容器本体10に対して蓋体40が締め付け方向へ回転したときに空回りする構成とすることもできる。
【符号の説明】
【0068】
1 錠剤用容器
2 錠剤
10 容器本体
11 周壁
11a 段差状部分
12 底部
12a ドーム状部
13 外側筒体
14 雄ねじ
15 押上げ面
16 傾斜面
17 係止突起
18 容器本体側リブ
20 回動筒体
21 円筒状部分
22 下側切欠き部
23 上側切欠き部
24 装着筒体
25 係止溝
26 案内面
27 縦リブ
28 移動路
29 円筒状部分側リブ
30 受け皿部
31 フランジ部
32 ヒンジ
33 開閉部
34 摘まみ部
40 蓋体
41 天壁
42 円筒壁
43 本体部
44 内側部材
45 雌ねじ
46 シール部材
50 ラチェット機構
51 係止凸部
52 弾性爪片
S 収納空間
O 軸線