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特開2022-117228機械式駐車設備の操作システムとそれを備えた機械式駐車設備
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022117228
(43)【公開日】2022-08-10
(54)【発明の名称】機械式駐車設備の操作システムとそれを備えた機械式駐車設備
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/18 20060101AFI20220803BHJP
【FI】
E04H6/18 601A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021013810
(22)【出願日】2021-01-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】難波 政浩
(72)【発明者】
【氏名】山下 博司
(57)【要約】
【課題】 入出庫時に行う一連の操作を非接触で行うことができる操作システムを提供する。
【解決手段】 第1の認証操作を行って入出庫部での車両の入出庫を開始し、車両の入出庫後に第2の認証操作を行って入出庫を終了する機械式駐車設備の操作システムであって、第1の認証操作および第2の認証操作を行う非接触操作媒体をかざすことで情報を読み取る読取り部と、少なくとも非接触操作媒体が非接触認証媒体である場合に、読取り部が読み取った非接触認証媒体の情報を登録された情報と照合する制御装置と、を備え、第2の認証操作の前または後に行う入出庫部の安全確認操作が、非接触認証媒体または非接触認証媒体と異なる非接触操作媒体を読取り部にかざして情報を読み取らせることで受付けられるようにする。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の認証操作を行って入出庫部での車両の入出庫を開始し、車両の入出庫後に第2の認証操作を行って入出庫を終了する機械式駐車設備の操作システムであって、
前記第1の認証操作および前記第2の認証操作を行う非接触操作媒体をかざすことで情報を読み取る読取り部と、
少なくとも前記非接触操作媒体が非接触認証媒体である場合に、前記読取り部が読み取った該非接触認証媒体の情報を登録された情報と照合する制御装置と、を備え、
前記第2の認証操作の前または後に行う前記入出庫部の安全確認操作が、前記非接触認証媒体または前記非接触認証媒体と異なる非接触操作媒体を前記読取り部にかざして情報を読み取らせることで受付けられるようにする、機械式駐車設備の操作システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記読取り部で前記非接触操作媒体の情報を読み取った後、前記読取り部により前記非接触操作媒体の情報が読み取り不可能となった後で次の操作が受付け可能となるように構成されている、請求項1に記載の機械式駐車設備の操作システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記安全確認操作の際、前記非接触操作媒体が前記読取り部にかざされた時間が所定時間以上続いたことで該操作が行われたと判定するよう構成されている、請求項1または2に記載の機械式駐車設備の操作システム。
【請求項4】
前記第2の認証操作の前または後に行う前記入出庫部の無人確認操作をさらに有し、
前記無人確認操作が、前記非接触認証媒体または前記非接触認証媒体と異なる前記非接触操作媒体を前記読取り部にかざして情報を読み取らせることで受付けられるように構成され、
前記第2の認証操作および、前記無人確認操作および安全確認操作のいずれを受付ける状態であるかを報知する報知部を有している、請求項1~3のいずれか1項に記載の機械式駐車設備の操作システム。
【請求項5】
前記非接触操作媒体を前記読取り部にかざして読み取らせることで前記無人確認操作と前記安全確認操作とが一体操作として受付けられるように構成されている、請求項4に記載の機械式駐車設備の操作システム。
【請求項6】
前記制御装置は、前記入出庫部の出入口扉の閉鎖動作中に前記読取り部で前記非接触操作媒体を検知することで前記出入口扉の閉鎖動作を停止または開放動作させるように構成されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の機械式駐車設備の操作システム。
【請求項7】
前記制御装置は、前記読取り部が読み取った全ての前記非接触操作媒体について、該非接触操作媒体の情報を登録された情報と照合して操作を許可された媒体であるか否かを判別するように構成されている、請求項1~6のいずれか1項に記載の機械式駐車設備の操作システム。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の操作システムを備えている、機械式駐車設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式駐車設備における入出庫操作を非接触で行うことができる機械式駐車設備の操作システムとそれを備えた機械式駐車設備に関する。
【背景技術】
【0002】
機械式駐車設備(この明細書および特許請求の範囲の書類中における「機械式駐車設備」は、箱型循環式、水平循環式、平面往復式、縦横移動パズル式、エレベータ式、垂直循環式、多段式、および平面駐車移動式等、種々の形式の駐車設備を含む)においては、入出庫を行うときの契約者認証として、例えば、暗証番号、ICカードおよびリモコンなどによる認証手段が用いられている。
【0003】
従来、上記契約者認証として、入出庫前に行う認証(以下、「第1の認証」という)と、入出庫後に行う認証(以下、「第2の認証」という)とを上記認証手段で行うものはあるが、第1の認証と第2の認証との間に行われる機械式駐車設備の安全確認、扉閉操作などは、一般的にボタン操作やタッチパネル操作で行われている。
【0004】
例えば、この種の認証に関する先行技術として、入出庫扉を開く前に第1の認証処理を行い、入出庫扉を閉じる前に第2の認証処理を行い、第1の認証処理の認証情報と第2の認証処理の認証情報が一致した後に、操作盤がユーザーによって操作されて扉閉指示が入力されることで入出庫扉を閉じるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、他の先行技術として、乗降室を備える機械式駐車装置において、乗降室の安全確認を、押圧ボタンを2回操作することで行うようにしたものもある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5710042号公報
【特許文献2】特許第6416299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記したいずれの先行技術も、機械式駐車設備において入出庫を行う一連の操作において、安全確認や出入口扉を閉鎖する扉閉操作などを行うときにボタンやタッチパネルなどの機械式駐車設備の構成に人が直接触れて操作する必要がある。このため、感染症対策が難しい。
【0008】
そこで、本発明は、入出庫時に行う一連の操作を非接触で行える機械式駐車設備の操作システムとそれを備えた機械式駐車設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る機械式駐車設備の操作システムは、第1の認証操作を行って入出庫部での車両の入出庫を開始し、車両の入出庫後に第2の認証操作を行って入出庫を終了する機械式駐車設備の操作システムであって、前記第1の認証操作および前記第2の認証操作を行う非接触操作媒体をかざすことで情報を読み取る読取り部と、少なくとも前記非接触操作媒体が非接触認証媒体である場合に、前記読取り部が読み取った該非接触認証媒体の情報を登録された情報と照合する制御装置と、を備え、前記第2の認証操作の前または後に行う前記入出庫部の安全確認操作が、前記非接触認証媒体または前記非接触認証媒体と異なる非接触操作媒体を前記読取り部にかざして情報を読み取らせることで受付けられるようにする。この明細書および特許請求の範囲の書類中における「非接触認証媒体」、「非接触操作媒体」は、ICカード、識別コード(バーコード、2次元コード等)を有するカード、非接触で読み取り可能なICチップを備えた携帯端末、などを含む。また、「かざす」は、非接触認証媒体、非接触操作媒体を読取り部の読み取り可能な位置まで近接させることおよび読取り部に接触させることを含む。また、特に明示せずに「非接触操作媒体」というときは、「非接触認証媒体」を含む。
【0010】
この構成により、機械式駐車設備を操作する利用者の認証操作に非接触認証媒体を使用する構成において、その非接触認証媒体またはその非接触認証媒体と異なる非接触操作媒体を読取り部にかざすことによって安全確認操作を非接触で行うことができる。よって、機械式駐車設備における入出庫時の一連の操作を、利用者が機械式駐車設備の構成に直接触れることなく非接触媒体を用いて非接触で行うことができ、感染症対策を図ることができる。
【0011】
また、前記制御装置は、前記読取り部で前記非接触操作媒体の情報を読み取った後、前記読取り部により前記非接触操作媒体の情報が読み取り不可能となった後で次の操作が受付け可能となるように構成されていてもよい。このように構成すれば、制御装置は、車両の入出庫時に同じ非接触操作媒体を前記読取り部にかざすことで行う複数の操作を、非接触操作媒体が一旦読み取り不可能となることで適切に切り分けて受付けるようにできる。なお、上記の通り、ここでの非接触操作媒体には非接触認証媒体も含んでいる。
【0012】
また、前記制御装置は、前記安全確認操作の際、前記非接触操作媒体が前記読取り部にかざされた時間が所定時間以上続いたことで各操作が行われたと判定するよう構成されていてもよい。このように構成すれば、制御装置は、非接触操作媒体が読取り部に所定時間以上かざされたことで安全確認操作が行われたと判定するようにできる。これにより、利用者の意図に反して非接触操作媒体が読取り部に近づいた場合に、操作が行われたと誤認識することを防止できる。
【0013】
また、前記第2の認証操作の前または後に行う前記入出庫部の無人確認操作をさらに有し、前記無人確認操作が、前記非接触認証媒体または前記非接触認証媒体と異なる前記非接触操作媒体を前記読取り部にかざして情報を読み取らせることで受付けられるように構成され、前記第2の認証操作および、前記無人確認操作および安全確認操作のいずれを受付ける状態であるかを報知する報知部を有していてもよい。この明細書および特許請求の範囲の書類中における「報知」は、文字の表示による報知、光による報知、音声による報知などを含む。このように構成すれば、報知部による報知により、利用者は行うべき操作を適切に認識することができる。
【0014】
また、前記非接触操作媒体を前記読取り部にかざして読み取らせることで前記無人確認操作と前記安全確認操作とが一体操作として受付けられるように構成されていてもよい。このように構成すれば、非接触操作媒体を読取り部にかざすことで無人確認操作と安全確認操作とが一体として行われるようにできる。
【0015】
また、前記制御装置は、前記入出庫部の出入口扉の閉鎖動作中に前記読取り部で前記非接触操作媒体を検知することで前記出入口扉の閉鎖動作を停止または開放動作させるように構成されていてもよい。このように構成すれば、出入口扉の閉鎖動作中に、非接触媒体を読取り部にかざすことで出入口扉の閉鎖動作を停止または開放動作させることができるので、緊急時などに出入口扉の閉鎖動作を非接触で停止または開放動作させることができる。
【0016】
また、前記制御装置は、前記読取り部が読み取った全ての前記非接触操作媒体について、該非接触操作媒体の情報を登録された情報と照合して操作を許可された媒体であるか否かを判別するように構成されていてもよい。このように構成すれば、機械式駐車設備における入出庫時の一連の非接触操作について、読み取った情報を登録された情報と照合し、許可された媒体でないと操作できないようにできる。
【0017】
一方、本発明に係る機械式駐車設備は、前記いずれかの操作システムを備えている。
【0018】
この構成により、機械式駐車設備において車両を入出庫させる一連の操作を、操作システムによって非接触で行うことができる。よって、利用者が機械式駐車設備の構成に直接触れることなく入出庫操作を行うことができ、感染症に感染することの予防対策を図ることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、機械式駐車設備において入出庫時に行う一連の操作を非接触で行うことが可能となる。よって、車両の入出庫操作時に利用者が機械式駐車設備の構成に直接触れることをなくし、感染症に感染する予防対策を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る機械式駐車設備を示す正面図である。
図2図2は、図1に示す機械式駐車設備における運転操作盤の一例を示す図面であり、(a)は正面図、(b)は運転操作盤でICカードを使用する状態の参考図である。
図3図3は、図1に示す機械式駐車設備における入出庫操作の第1実施形態に係るフローチャートである。
図4図4は、図3に示す入出庫操作時における運転操作盤と非接触媒体との距離および制御装置による制御の関係を示す図面である。
図5図5は、図1に示す機械式駐車設備における入出庫操作の第2実施形態に係るフローチャートである。
図6図6は、図1に示す機械式駐車設備における入出庫操作の第3実施形態に係るフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。以下の実施形態では、機械式駐車設備10としてエレベータ式駐車設備を例に説明する。また、非接触操作媒体としてICカード50(例えば、近接型)を例に説明する。非接触操作媒体は、1つの非接触認証媒体であっても、非接触認証媒体と他の異なる非接触操作媒体を組合わせて用いてもよい。以下の実施形態では、非接触認証媒体として用いる非接触操作媒体に、同一のICカード50を用いた例を説明する。なお、無人確認および安全確認・扉閉の操作に用いる非接触操作媒体は、ICチップを備えたICカードなどであれば用いることができる。この明細書および特許請求の範囲の書類中における上下左右方向の概念は、図1に示すように出入口扉12に向かった状態における上下左右方向の概念と一致するものとする。
【0022】
(機械式駐車設備の構成)
図1は、一実施形態に係る機械式駐車設備10を示す正面図である。図2は、図1に示す機械式駐車設備10における運転操作盤20の一例を示す図面であり、(a)は正面図、(b)は運転操作盤20でICカード50を使用する状態の参考図である。
【0023】
図1に示すように、この実施形態の機械式駐車設備10はエレベータ式駐車設備の例であり、車両Vを搭載したパレット(図示略)を格納する駐車塔11の前面に出入口扉12が設けられ、駐車塔11内部の図示しない入出庫部へ利用者や車両Vが出入りできるようになっている。出入口扉12の上方にはひさし13が設けられ、出入口扉12の側方(この例では右方)には運転操作盤20が備えられている。この例では、駐車塔11の内部に制御装置14が備えられており、運転操作盤20と接続されている。
【0024】
制御装置14は、プロセッサ、揮発性メモリ、不揮発性メモリおよびI/Oインターフェース等を有する制御部を備えている。制御装置14は、運転操作盤20における操作に応じて機械式駐車設備10の各構成(パレット、出入口扉12など)の動作を制御する。各構成の動作制御は、不揮発性メモリに保存されたプログラムに基づいてプロセッサが揮発性メモリを用いて演算処理することで実現される。制御装置14には、機械式駐車設備10を利用する契約者に関する情報が登録されている。契約者の認証情報に対応する情報が、ICカード50(図2(b))に記録されている。
【0025】
図2(a)に示すように、この実施形態の運転操作盤20には、表示部21と、非接触操作媒体であるICカード50をかざす読取り部22(以下、「ICカードリーダ22」ともいう)が備えられている。読取り部22の下方には、安全確認・扉閉ボタン25と取消ボタン26とが備えられている。この実施形態では、安全確認操作と扉閉操作とが一体操作となっているが、個別に操作するようになっていてもよい。その場合の報知処理や実行済みか否かの判定は、後述の各実施形態に示すフローチャートにおける、安全確認・扉閉と同様の処理をそれぞれについて行えばよく、非接触操作媒体(非接触認証媒体を含む)で操作できるようにしてよい。安全確認・扉閉ボタン25は、ICカードリーダ22による読み取り不良などを生じたときに使用する。また、後述の第2実施形態における無人確認操作S27の際に読取り不良などを生じたときに使用する、無人確認ボタンをさらに備えるようにしてもよいし、安全確認・扉閉ボタン25をこれに兼用してもよい。取消ボタン26は、操作を取り消したいときに使用する。表示部21の下方には、非常停止ボタン27が備えられている。この実施形態では、表示部21が、利用者が行う操作の案内が報知(表示)される報知部となっている。表示部21には、例えば、後述する「安全確認・扉閉操作」、「第2の認証操作」などの案内が表示される。また、表示部21には、「呼番号」、「待ち時間」などの情報が表示される。表示部21をタッチパネルとして、ICカードリーダ22による読み取り不良などを生じたときやICカード50を所持していない利用者のために、暗証番号を入力するテンキーなどの操作手段を表示するようにしてもよい。読取り部22の側方には、読み取り可能な状態で点灯している緑ランプ23と、ICカード50をかざして読み取りを行った時に点灯する赤ランプ24が設けられている。
【0026】
読取り部22としては、非接触式のICカードリーダ22を用いることができる。また、ICカード50としては、カード内にアンテナコイルとICチップ51(図2(b))を備えたものを用いることができる。ICカード50としては、ICチップ51を備えたスマートフォンなどの携帯端末を含む。
【0027】
図2(b)に示すように、ICカードリーダ22によるICカード50の検知は、ICカードリーダ22から発生している磁界M(図4)の中にアンテナコイルを持つICカード50を近接(接触)させることによりできる。これにより、ICカード50のアンテナコイルに電力が発生し、この電力によってICカード50内の回路が働き、ICカードリーダ22との間で情報の送受信を行うことができる。なお、ICカードリーダ22によるICカード50の読み取り(検知を含む)は、この形式以外であってもよい。
【0028】
なお、読取り部22は図示する形態に限定されない。例えば、運転操作盤20に凹部を設け、凹部内にICカード50を挿入することで情報の送受信が行われる非接触式の読取り部とすることもできる。また、読取り部22は、運転操作盤20とは分離して、乗車した利用者が操作しやすい位置に独立して設けてもよい。この場合、読取り部22に隣接して非常停止ボタンを設けるのが好ましい。この実施形態の運転操作盤20は一例であり、運転操作盤20はこの例に限定されない。
【0029】
(第1実施形態に係る入出庫操作)
図3は、図1に示す機械式駐車設備10における入出庫操作の第1実施形態に係るフローチャートである。
【0030】
図3に示すように、第1実施形態では、開始後、第1の認証操作が実行されたか否か判定される(S1)。第1の認証操作は、ICカード50を運転操作盤20の読取り部22にかざすことで実行できる(図2(b))。よって、利用者は、第1の認証操作を運転操作盤20に直接触れることなく実行できる。
【0031】
第1の認証操作が実行されると(S1)、第1の認証処理として、その第1認証データが登録された契約者の認証データと一致するか否かが判定される(S2)。登録された契約者の認証データと一致しない場合、エラー表示処理がなされて(S3)、第1の認証操作を待つ状態(S1)に戻る。登録された契約者の認証データと一致する場合、内部の機械が動作して搬送呼出処理が行われ(S4)、呼出しパレットが入出庫部まで搬送される。呼出しパレットが入出庫部に到着すると、扉開処理が実行されて(S5)、出入口扉12が自動的に開放される。
【0032】
その後、入庫であれば、利用者は車両Vに乗車して入出庫部に進入し、車両Vを呼出しパレットに搭載した後、利用者は入出庫部から退出する。出庫であれば、利用者が入出庫部に進入し、呼出しパレットの車両Vに乗り込んで入出庫部から退出する。なお、出入口扉12の扉開処理(S5)が実行された後は、少なくとも非常停止の操作以外は受付けない運転操作機能ロック状態とすることができる。これにより、出入口扉12を開放した後の入出庫操作中に、他の人が誤って安全確認操作を行っても無効にすることができる。
【0033】
また、出入口扉12が開放された後、安全確認報知処理がなされる(S6)。安全確認報知処理としては、この実施形態では、安全確認操作と扉閉操作とが一体操作となっているので、報知としては、例えば、「出入口扉を閉操作するには、入出庫部内の安全を確認し、読取り部にICカードをかざして下さい。」、「ICカードによる安全確認・扉閉操作は、パレット呼び出し時の認証情報と一致しているか否かの照合を行いません。」などの報知がなされる。この報知は、表示部21に表示しても、音声によるアナウンスでもよい。この実施形態における「安全確認」は、後述の「無人確認」でもある。
【0034】
そして、安全確認・扉閉操作が実行されたか否かが判定される(S7)。安全確認・扉閉操作は、ICカード50を運転操作盤20の読取り部22にかざすことで実行できる(図2(b))。安全確認・扉閉操作は、契約者の認証情報と照合する必要がないため、認証用のICカード50の他、ICチップを備えた異なる他のICカード、ICチップを備えた携帯端末などを読取り部22にかざすことでも実行できる。これにより、安全確認・扉閉操作も、利用者が運転操作盤20に直接触れることなく実行できる。
【0035】
この安全確認・扉閉操作は利用者の照合を行う必要がないため、読取り部22がICカード50を検知したことのみで操作の受付けを完了することができる。また、安全確認・扉閉操作でICカード50を読取り部22にかざした時に、読取り部22でICカード50内の情報を読出し、操作が許可されたカードか判別するようにしてもよい。例えば、ICカード50の認証情報を第1の認証操作時の認証情報と照合して一致したら操作可とすることもできる。また、例えば、ICカード50がその機械式駐車設備10に登録された(制御装置14に登録された契約者に関する情報のいずれかと一致する)ICカード50であれば操作可とすることもできる。
【0036】
安全確認・扉閉操作が実行されたと判定されると(S7)、扉閉起動のための第2の認証操作を促すアナウンス(報知)がなされる(S8)。第2の認証操作の報知としては、第2の認証操作を行い、その第2認証データが第1の認証操作の第1認証データと一致した場合は出入口扉12の閉鎖が開始されることが報知される。この報知としては、例えば、「読取り部にICカードをかざして第2の認証操作を行って下さい。パレット呼び出し時の認証情報と一致していれば出入口扉を閉鎖することができます。」などの報知がなされる。この報知は、音声によるアナウンスの他、タッチパネル式の表示部21にその旨表示するなど、種々の方法を用いることができる。
【0037】
その後、第2の認証操作が実行されたか否かが判定される(S9)。第2の認証操作は、ICカード50を運転操作盤20の読取り部22にかざすことで実行される(図2(b))。よって、第2の認証操作も、利用者が運転操作盤20に直接触れることなく実行できる。なお、第2の認証操作が行われない状態で所定時間を経過した場合(S10)、安全確認報知処理の状態に戻り(S6)、再び安全確認操作から行うことになる。
【0038】
第2の認証操作が実行されると、第2の認証処理として、第2認証データと第1認証データとが一致するか否かの照合処理がなされる(S11)。第1認証データと第2認証データとが一致しない場合、エラー表示処理がなされて(S12)、安全確認報知処理の状態に戻る(S6)。
【0039】
照合処理(S11)において、第1認証データと第2認証データとが一致した場合、扉閉動作が開始されて(S13)、出入口扉12の閉鎖動作が始まる。その後、この実施形態では、出入口扉12の閉鎖動作中に、出入口扉12の閉鎖動作を中断して扉閉操作するための手段として、運転操作盤20の読取り部22にICカード50がかざされて検知されたか否かの判定がなされる(S14)。この時、運転操作盤20の表示部21に「非常時はICカードリーダにICカードをかざすと出入口扉が開きます」などの報知を行ってもよい。これにより、出入口扉12の閉鎖動作が始まった後、人の再入室や忘れ物に気付いた場合など、出入口扉12の閉鎖動作を停止させ、さらに開放することができる。すなわち、出入口扉12の閉鎖動作中にICカード50の情報が読取り部22で検知されると、扉閉処理は中断され(S15)、扉開処理の前に戻って(S5)、出入口扉12が開放される。この操作も、利用者が運転操作盤20に直接触れることなく実行できる。この場合、ICカード50に記録された契約者の認証情報に対応する情報や第1または第2の認証データと一致するか否かを照合してもよいし、ICカード50とICカードリーダ22との間で情報の送受信が行われたことのみをもって、ICカード50がかざされて検知されたと判定してもよい。
【0040】
出入口扉12の扉閉動作が開始された後(S13)、読取り部22でICカード50が検知されることなく出入口扉12の閉鎖処理が完了すると(S16)、終了する。
【0041】
このような操作システムによれば、機械式駐車設備10において車両Vの入出庫を行う場合、利用者(契約者)が運転操作盤20の読取り部22にICカード50をかざして第1の認証操作をすると、装置が起動し目的のパレットを入出庫部に配置し、出入口扉12が開放される。そして、利用者は車両Vを入出庫させたら、読取り部22にICカード50をかざして安全確認・扉閉操作を行い、その後、読取り部22にICカード50をかざして第2の認証操作をすると出入口扉12が閉鎖される。よって、入出庫時における一連の操作を、非接触操作媒体であるICカード50によって行うことができる。
【0042】
したがって、この操作システムを備えた機械式駐車設備10によれば、契約者の認証および機械式駐車設備10を動作させる一連の操作をICカード50によって非接触で行うことが可能となる。よって、契約者は入出庫操作時に機械式駐車設備10の構成(運転操作盤20)に直接触れることがなく入出庫を行うことができ、運転操作盤20を介して感染症に感染するおそれを低減する予防対策を図ることが可能となる。
【0043】
(非接触操作媒体の検知例)
図4は、図3に示す入出庫操作時における運転操作盤20の読取り部22(ICカードリーダ22)と非接触操作媒体であるICカード50との距離および制御装置14による制御の関係を示す図面である。図4では、ICカードリーダ22の表面Sからの磁界Mと、ICカード50がその磁界Mに入出した時の制御装置14によるデータ通信、表示部21の制御などの関係を示している。ICカードリーダ22の表面SとICカード50の距離の変化を縦軸に示し、横軸は時間経過を示している。
【0044】
図4に基づいて、図3のフローチャートにおいて、安全確認・扉閉操作(S7)と第2の認証操作(S9)の2つの操作を、同じICカードリーダ22にICカード50をかざして続けて行うときの制御(判別)例について説明する。
【0045】
ICカードリーダ22にICカード50をかざすことによる各操作の受付けは、以下のようにICカードリーダ22でICカード50を検出することによって実行される。ICカードリーダ22の表面Sには、所定強度の磁界Mが生じている。そして、ICカード50をICカードリーダ22に近づけて磁界Mに入ると、ICカード50内のアンテナコイルが電力を発生し、その電力によってICカード50内の回路が働き、ICカードリーダ22との間でデータの送受信が行われる。
【0046】
制御装置14は、ICカードリーダ22から離れた位置(図の「a」)のICカード50がICカードリーダ22に近づき、ICカード50を検出したら(図の「m1」の位置)安全確認・扉閉操作を受付けたものとする。そして、ICカードリーダ22がICカード50を検出しなくなるまで(図の「m2」の位置)、次のICカード操作を受付けないようにする。これにより、ICカードリーダ22にかざして検知させたICカード50をICカードリーダ22が検知できない位置まで離さないと次の操作が行えないようにしている。なお、図の「m1」の位置から「m2」の位置まで(図の「b」)、ICカード50とICカードリーダ22との間でデータ通信は可能となる。
【0047】
この安全確認・扉閉操作が行われている状態では、運転操作盤20の表示部21に「出入口扉を閉操作するには、入出庫部内の安全を確認し、読取り部にICカードをかざして下さい。」、「ICカードによる安全確認・扉閉操作は、パレット呼び出し時の認証情報と一致しているか否かの照合を行いません。」などの報知がなされる。これにより、利用者は「安全確認・扉閉操作」と次の「第2の認証操作」のどちらの操作が行われているかを判別することができる。
【0048】
そして、ICカード50がICカードリーダ22で検出されない位置まで離れることで(図の「m2」の位置)、次の第2の認証操作の受付け状態となる。ICカード50は、図の「c」位置にある。この状態では、運転操作盤20の表示部21に「次に第2の認証操作を行って下さい」などの報知がなされる。この状態でICカード50をICカードリーダ22に近づけ、磁界Mに入って検知されると(図の「m3」の位置)、第2の認証操作の第2認証データが第1認証データと一致するか否かの照合が開始される。その後、ICカード50をICカードリーダ22から離すことで検知しなくなり、(図の「m4」の位置)、ICカードリーダ22から離れる(図の「e」)。
【0049】
このようにすることで、安全確認・扉閉操作と第2の認証操作の2つの操作を同じICカード50で続けて行うときでも、安全確認・扉閉操作を行うためにICカード50をICカードリーダ22にかざし、そのまま放置することで次の第2の認証操作が続けて行われないようにできる。
【0050】
また、「安全確認・扉閉操作」と「第2の認証操作」とを判別する他の方法として、ICカードリーダ22がICカード50を検出した(図の「m1」の位置)後、ICカード50を検出しなくなったとき(図の「m2」の位置)に、安全確認・扉閉操作が行われたと受付けるようにできる。このようにしても、各操作ごとに必ずICカード50をICカードリーダ22から離す必要があり、各操作の切り分けができる。なお、「安全確認・扉閉操作」と「第2の認証操作」とを判別する方法は、これらに限定されるものではない。また、「第2の認証操作」においても、ICカードリーダ22がICカード50を検出した(図の「m3」の位置)後、ICカード50を検出しなくなったとき(図の「m4」の位置)に、第2認証データが第1認証データと一致するか否かの照合が開始されるようにしてもよい。
【0051】
さらに、ICカード50による操作後、ICカード50がICカードリーダ22による検知エリア外に確実に離れたことを確認するために、ICカードリーダ22がICカード50を検出しない状態が一定時間保たれるまで、次のICカード50による操作を受付けないようにしてもよい。
【0052】
また、利用者が意図せず間違って一時的にICカード50をICカードリーダ22にかざして誤操作してしまうおそれがあり、特に安全に関する安全確認・扉閉操作は、これを防ぎたい。このため、ICカード50を検出した状態が一定時間以上続いたら(図の「b」の時間;例えば、3秒程度)安全確認・扉閉操作を受付けるようにできる。また、安全確認・扉閉操作は、ICカード50をICカードリーダ22に2回かざして2回検知させるようにして、誤操作を防ぐようにできる。
【0053】
(第2実施形態に係る入出庫操作)
図5は、図1に示す機械式駐車設備10における入出庫操作の第2実施形態に係るフローチャートである。なお、図1,2に示す構成には、図1,2に示す符号を付して説明する。また、図3で説明した運転操作機能ロック、異なるICカードの利用などは同様に可能であり、それらの説明は省略する。第2実施形態に係るフローチャートは、上記第1実施形態における、開始から「扉開処理(S5)」までの間と、「扉閉動作(S13)」から終了までの間は同一ステップであるため、これらのステップについては説明を簡略化する。
【0054】
開始後、第1の認証操作が実行されたか否か判定される(S21)。その後、第1の認証操作の第1認証データが登録された契約者の認証データと一致するか否かが判定され(S22)、一致しない場合はエラー表示処理がなされ(S23)、一致する場合は、内部の機械が動作して搬送呼出処理が行われ、呼出しパレットが入出庫部まで搬送される(S24)。呼出しパレットが入出庫部に到着すると、扉開処理が実行されて(S25)、出入口扉12が自動的に開放される。
【0055】
そして、第2実施形態では、出入口扉12が開放された後、無人確認報知処理がなされる(S26)。この時、例えば、「入出庫部内の無人を確認し、読取り部にICカードをかざして下さい。」などの報知を行うことができる。無人確認操作は、運転操作盤20の読取り部22にICカード50をかざして行われるため(図2(b))、利用者が運転操作盤20に直接触れることなく実行できる。無人確認操作は契約者の認証情報と照合する必要がないため、認証用のICカード50の他、ICチップを備えたICカードを運転操作盤20の読取り部22にかざすことでも実行できる。無人確認操作が実行されると(S27)、安全確認報知処理がなされる(S28)。安全確認報知処理における報知としては、上記第1実施形態と同様であるため、その説明は省略する。なお、この実施形態においては、無人確認操作を、例えば、利用者自らが同乗者などが居残っていないことを確認して入力し、安全確認・扉閉操作を、例えば、利用者または管理人が入出庫部内や周辺の安全を確認して入力することで、安全を多角的に確認することができる。また、この実施形態においても、前述のとおり、安全確認操作と扉閉操作を個別に行うようにすることができる。
【0056】
その後、安全確認・扉閉操作が実行されたか否かが判定される(S29)。安全確認・扉閉操作は、ICカード50を運転操作盤20の読取り部22にかざすことで実行できる(図2(b))。安全確認・扉閉操作は契約者の認証情報と照合する必要がないため、認証用のICカード50の他、ICチップを備えたICカードを運転操作盤20の読取り部22にかざすことでも実行できる。これにより、安全確認・扉閉操作も、利用者が運転操作盤20に直接触れることなく実行できる。安全確認・扉閉操作が所定時間実行されない場合(S30)、無人確認報知処理の状態に戻り(S26)、再び無人確認操作から行うことになる。
【0057】
そして、安全確認・扉閉操作が実行されると(S29)、次に第2の認証操作を行い、その第2の認証操作の第2認証データが第1の認証操作の第1認証データと一致した場合は出入口扉12の閉鎖が開始されることが報知される(S31)。この報知としては、例えば、「読取り部にICカードをかざして第2の認証操作を行って下さい。パレット呼び出し時の認証情報と一致していれば出入口扉を閉鎖することができます。」などの報知がなされる。
【0058】
その後、第2の認証操作が実行されたか否かが判定される(S32)。第2の認証操作は、ICカード50を運転操作盤20の読取り部22にかざすことで実行できる(図2(b))。よって、第2の認証操作も、利用者が運転操作盤20に直接触れることなく実行できる。なお、第2の認証操作が行われない状態で所定時間経過した場合(S33)、無人確認報知処理の状態に戻り(S26)、再び無人確認操作から行うことになる。
【0059】
第2の認証操作が実行されると、第2の認証処理として、第2認証データと第1認証データとが一致するか否かの照合処理がなされる(S34)。第1認証データと第2認証データとが一致しない場合、エラー表示処理がなされて(S35)、安全確認報知処理の状態に戻る(S28)。照合処理(S34)において、第1認証データと第2認証データとが一致した場合、扉閉動作が開始されて(S36)、出入口扉12の閉鎖が始まる。
【0060】
そして、扉閉動作が開始された後、出入口扉12の閉鎖動作中に読取り部22にICカード50がかざされて扉開操作が行われたか否かの判定がなされる(S37)。出入口扉12の閉鎖中にICカード50が読取り部22かざされると扉閉処理は中断され(S38)、読取り部22にICカード50がかざされることなく出入口扉12の閉鎖処理が完了すると(S39)、終了する。
【0061】
なお、この実施形態における「無人確認操作(S27)」と「安全確認・扉閉操作(S29)」と「第2の認証操作(S32)」の3つの操作を同じICカードリーダ22にICカード50をかざして続けて行うときの制御(判別)については、上記図4に示す制御と同様にすることができるため、その説明は省略する。
【0062】
このような操作システムによっても、機械式駐車設備10において車両Vの入出庫を行う場合、利用者(契約者)が運転操作盤20の読取り部22にICカード50をかざして第1の認証操作をすると、装置が起動し目的のパレットを入出庫部に配置し、出入口扉12が開放される。そして、利用者は車両Vを入出庫させたら、読取り部22にICカード50をかざして無人確認操作を行った後、読取り部22にICカード50をかざして安全確認・扉閉操作を行い、その後、読取り部22にICカード50をかざして第2の認証操作をすると出入口扉12が閉鎖される。よって、入出庫時における一連の操作を、非接触媒体であるICカード50によって行うことができる。
【0063】
したがって、この操作システムを備えた機械式駐車設備10によれば、契約者の認証および機械式駐車設備10を動作させる一連の操作をICカード50によって非接触で行うことが可能となる。よって、契約者は入出庫操作時に機械式駐車設備10の構成(運転操作盤20)に直接触れることがなく入出庫を行うことができ、運転操作盤20を介して感染症に感染するおそれを低減する予防対策を図ることが可能となる。
【0064】
(第3実施形態に係る入出庫操作)
図6は、図1に示す機械式駐車設備10における入出庫操作の第3実施形態に係るフローチャートである。なお、図1,2に示す構成には、図1,2に示す符号を付して説明する。また、図3で説明した運転操作機能ロック、異なるICカードの利用などは同様に可能であり、それらの説明は省略する。第3実施形態に係るフローチャートは、上記第1実施形態における、開始から「扉開処理(S5)」までの間と、「扉閉動作(S13)」から終了までの間は同一ステップであるため、これらのステップについては説明を簡略化する。
【0065】
開始後、第1の認証操作が実行されたか否か判定される(S51)。その後、第1の認証操作の第1認証データが登録された契約者の認証データと一致するか否かが判定され(S52)、一致しない場合はエラー表示処理がなされ(S53)、一致する場合は、内部の機械が動作して搬送呼出処理が行われ、呼出しパレットが入出庫部まで搬送される(S54)。呼出しパレットが入出庫部に到着すると、扉開処理が実行されて(S55)、出入口扉12が自動的に開放される。
【0066】
そして、第3実施形態では、出入口扉12が開放された後、安全確認・扉閉操作を許可するための認証操作を行う報知がなされる(S56)。この報知としては、例えば、「読取り部にICカードをかざして第2の認証操作を行って下さい。パレット呼び出し時の認証情報と一致していれば、ICカードによる安全確認・扉閉操作を行って出入口扉を閉鎖することができます。」などの報知がなされる。利用者は、入庫又は出庫を終えて入出庫部から退出した後、この報知に従って第2の認証操作を行う。
【0067】
その後、第2の認証操作が実行されたか否かが判定される(S57)。第2の認証操作は、ICカード50を運転操作盤20の読取り部22にかざすことで実行できる(図2(b))。よって、第2の認証操作も、利用者が運転操作盤20に直接触れることなく実行できる。
【0068】
第2の認証操作が実行されると、第2の認証処理として、第2認証データと第1認証データとが一致するか否かの照合処理がなされる(S58)。第1認証データと第2認証データとが一致しない場合、エラー表示処理がなされて(S59)、安全確認・扉閉操作を許可するための認証操作を行う報知がなされた状態に戻る(S56)。
【0069】
照合処理(S58)において、第1認証データと第2認証データとが一致した場合、安全確認報知処理がなされる(S60)。安全確認報知処理における報知としては、例えば、「出入口扉を閉操作するために、読取り部にICカードをかざして下さい。」などの報知がなされる。
【0070】
その後、安全確認・扉閉操作が実行されたか否かが判定される(S61)。安全確認・扉閉操作は、ICカード50を運転操作盤20の読取り部22にかざすことで実行できる(図2(b))。安全確認・扉閉操作は契約者の認証情報と照合する必要がないため、認証用のICカード50の他、ICチップを備えたICカードを運転操作盤20の読取り部22にかざすことでも実行できる。この実施形態における「安全確認」は、「無人確認」でもある。これにより、安全確認・扉閉操作も、利用者が運転操作盤20に直接触れることなく実行できる。安全確認・扉閉操作が所定時間実行されない場合(S62)、安全確認・扉閉操作を許可するための認証操作を行う報知がなされた状態に戻り(S56)、再び第2の認証操作から行うことになる。安全確認・扉閉操作が実行されると(S61)、扉閉動作が開始される(S63)。
【0071】
そして、扉閉動作が開始された後、出入口扉12の閉鎖動作中に読取り部22にICカード50がかざされて扉開操作が行われたか否かの判定がなされる(S64)。出入口扉12の閉鎖中にICカード50が読取り部22かざされると扉閉処理は中断され(S65)、読取り部22にICカード50がかざされることなく出入口扉12の閉鎖処理が完了すると(S66)、終了する。
【0072】
なお、この実施形態における「第2の認証操作(S57)」と「安全確認・扉閉操作(S61)」の2つの操作を同じICカードリーダ22にICカード50をかざして続けて行うときの制御(判別)例については、上記図4に示す制御と同様にすることができるため、その説明は省略する。
【0073】
このような操作システムによっても、機械式駐車設備10において車両Vの入出庫を行う場合、利用者(契約者)が運転操作盤20の読取り部22にICカード50をかざして第1の認証操作をすると、装置が起動し目的のパレットを入出庫部に配置し、出入口扉12が開放される。そして、利用者は車両Vを入出庫させたら、読取り部22にICカード50をかざして第2の認証操作を行い、その後、読取り部22にICカード50をかざして安全確認・扉閉操作を行うと出入口扉12が閉鎖される。よって、入出庫時における一連の操作を、非接触操作媒体であるICカード50によって行うことができる。
【0074】
したがって、この操作システムを備えた機械式駐車設備10によれば、契約者の認証および機械式駐車設備10を動作させる一連の入出庫操作をICカード50によって非接触で行うことが可能となる。よって、契約者は入出庫操作時に機械式駐車設備10の構成(運転操作盤20)に直接触れることがなく入出庫を行うことができ、運転操作盤20を介して感染症に感染するおそれを低減する予防対策を図ることが可能となる。
【0075】
(その他の変形例)
機械式駐車設備10は、上記した実施形態における構成に限定されない。例えば、箱型循環式、水平循環式、平面往復式、縦横移動パズル式、垂直循環式、多段式、および平面駐車移動式等、種々の形式の駐車設備であっても適用できる。また、パレットを用いずに車両Vを直接搬送する駐車設備であっても適用できる。
【0076】
また、上記実施形態では、第1認証操作および第2認証操作に用いる非接触認証媒体(非接触操作媒体)であるICカード50と、その他の操作に用いる非接触操作媒体であるICカード50とに同一のICカードを用いる例を説明した。しかし、非接触操作媒体は異なる複数枚のICカード50であってもよく、例えば、「認証用ICカード」、「無人確認操作用ICカード」、「安全確認・扉閉操作用ICカード」など、個別の操作に応じたICカードとすることもできる。このようにすれば、利用者は入出庫時に行う一連の操作を明確に意識しながら行うことができる。
【0077】
また、上記実施形態では、入出庫を行う利用者が自らのICカード50を用いて一連の操作を非接触で行う例を説明したが、入出庫を行う利用者が自らのICカード50で一部の操作を行い、一部の操作(例えば、扉閉操作)を管理人が管理人ICカードを用いて行うようにしてもよい。
【0078】
また、上記した実施形態では、非接触媒体であるICカード50によって一連の操作を行う説明をしたが、ICカードリーダ22によってICカード50の読み取り不良などを生じた場合、安全確認・扉閉ボタン25による操作としてもよい。また、ICカード50による読み取り不良に備え、表示部21に数字などを表示しておき、その画面を押すことで入力できるようにすることもできる。
【0079】
また、上記各フローチャートに示す一連の操作順序は一例であり、各フローチャートの順序が入れ替わった例であってもよく、本発明の要旨を損なわない範囲で種々の変更は可能であり、本発明は上記した実施形態に限定されるものではない。
【0080】
(総括)
以上のように、上記機械式駐車設備10によれば、操作システムによって、入出庫操作時における第1の認証操作、第2の認証操作に加えて、安全確認・扉閉操作などを機械式駐車設備10の構成に直接触れることなく非接触で行うことが適切にできる。よって、入出庫操作時に機械式駐車設備10の構成に触れることで感染症に感染することの予防対策が可能となる。
【符号の説明】
【0081】
10 機械式駐車設備
11 駐車塔
12 出入口扉
14 制御装置
20 運転操作盤
21 表示部(報知部)
22 ICカードリーダ(読取り部)
25 安全確認・扉閉ボタン
50 ICカード
51 ICチップ
M 磁界
S 表面
図1
図2
図3
図4
図5
図6