(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022117234
(43)【公開日】2022-08-10
(54)【発明の名称】動作支援装置
(51)【国際特許分類】
B25J 11/00 20060101AFI20220803BHJP
【FI】
B25J11/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021013818
(22)【出願日】2021-01-29
(71)【出願人】
【識別番号】522169210
【氏名又は名称】株式会社アドバンス
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】中野 基輝
(72)【発明者】
【氏名】矢田 崇宜
(72)【発明者】
【氏名】松本 幾代
(72)【発明者】
【氏名】森川 史崇
(72)【発明者】
【氏名】田中 祥太朗
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707KV15
3C707KX08
3C707XK06
3C707XK16
3C707XK24
3C707XK42
3C707XK61
3C707XK63
3C707XK74
3C707XK75
(57)【要約】
【課題】補助力を所望の部位に容易に作用させることができる動作支援装置を提供する。
【解決手段】動作支援装置10は、装着者P1の身体に装着される装着部材34を有し、装着者P1が物体を取り扱う際の装着者P1の動作意図を推定するための意図推定センサ16aと、装着者P1の動作を支援する力を発生するアクチュエータ20aと、装着者P1の身体に装着され、アクチュエータ20aによって発生する力が作用し、意図推定センサ16aとは別体である作用部材18aとを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着者の身体に装着される装着部材を有し、前記装着者が物体を取り扱う際の前記装着者の動作意図を推定するための意図推定センサと、
前記装着者の動作を支援する力を発生するアクチュエータと、
前記装着者の身体に装着され、前記アクチュエータによって発生する力が作用し、前記意図推定センサとは別体である作用部材とを備える、
動作支援装置。
【請求項2】
前記装着部材のうち、前記装着部材が前記装着者に装着されているときに前記装着者と接する面である裏面と前記装着者との間の摩擦係数は、前記裏面とは反対側の面である表面と前記装着部材の上から前記装着者に装着される装着物との間の摩擦係数よりも大きい、
請求項1に記載の動作支援装置。
【請求項3】
前記意図推定センサは、前記装着部材に取り付けられかつ内部空間に流体が充填される袋状の袋部材と、前記流体の圧力を検出する圧力センサとをさらに有する、
請求項1または2に記載の動作支援装置。
【請求項4】
前記装着部材は、前記装着者の指に装着される、
請求項3に記載の動作支援装置。
【請求項5】
前記袋部材は、楕円状の形状を有し、
前記楕円状の形状の長手方向は、前記装着部材が前記装着者の指に装着されているときに当該指の長手方向に沿う、
請求項4に記載の動作支援装置。
【請求項6】
前記意図推定センサは、前記内部空間を密閉した状態で前記袋部材と前記圧力センサとを連結する管状部材をさらに有し、
前記管状部材は、螺旋状または波状の伸縮部を有する、
請求項3から5のいずれか1項に記載の動作支援装置。
【請求項7】
前記作用部材は、前記装着者の手以外に装着される、
請求項1から6のいずれか1項に記載の動作支援装置。
【請求項8】
前記作用部材は、前記装着者の手首に装着される、
請求項7に記載の動作支援装置。
【請求項9】
前記作用部材は、前記装着者の手首に装着されているときに前記装着者の手に向かって漸次縮径する筒状となるように構成される、
請求項8に記載の動作支援装置。
【請求項10】
2つの前記作用部材と2つの前記アクチュエータとを備え、
前記2つの作用部材のうちの一方は、前記装着者の左半身に装着され、
前記2つの作用部材のうちの他方は、前記装着者の右半身に装着され、
前記2つのアクチュエータのうちの一方は、前記2つの作用部材のうちの一方に作用する力を発生し、
前記2つのアクチュエータのうちの他方は、前記2つの作用部材のうちの他方に作用する力を発生する、
請求項1から9のいずれか1項に記載の動作支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、動作支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1には、荷物を把持する把持力を検出する検出部を有し、荷物を吊り上げる吊り上げ力が作用するグローブが開示されている。特許文献1のグローブでは、装着者の手に吊り上げ力を作用させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のグローブでは、吊り上げ力を装着者の手以外の部位に作用させることができず、補助力を所望の部位に容易に作用させることができないという課題がある。
【0005】
そこで、本開示は、補助力を所望の部位に容易に作用させることができる動作支援装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る動作支援装置は、装着者の身体に装着される装着部材を有し、前記装着者が物体を取り扱う際の前記装着者の動作意図を推定するための意図推定センサと、前記装着者の動作を支援する力を発生するアクチュエータと、前記装着者の身体に装着され、前記アクチュエータによって発生する力が作用し、前記意図推定センサとは別体である作用部材とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示の動作支援装置は、補助力を所望の部位に容易に作用させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る動作支援装置を前方から見た図である。
【
図3】
図3は、
図1の動作支援装置の意図推定センサおよび作用部材を示す図である。
【
図4】
図4は、
図1の動作支援装置の意図推定センサの装着部材、袋部材および管状部材を示す図である。
【
図5】
図5は、
図1の動作支援装置の作用部材を表側から見た図である。
【
図6】
図6は、
図1の動作支援装置の作用部材を裏側から見た図である。
【
図7】
図7は、
図1の動作支援装置のアクチュエータを示す図である。
【
図8】
図8は、
図1の動作支援装置のアクチュエータを示す、回転軸に平行な断面図である。
【
図9】
図9は、
図1の動作支援装置のアクチュエータを示す、回転軸に直交する断面図である。
【
図12】
図12は、
図1の動作支援装置が装着者の動作を支援している様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る動作支援装置は、装着者の身体に装着される装着部材を有し、前記装着者が物体を取り扱う際の前記装着者の動作意図を推定するための意図推定センサと、前記装着者の動作を支援する力を発生するアクチュエータと、前記装着者の身体に装着され、前記アクチュエータによって発生する力が作用し、前記意図推定センサとは別体である作用部材とを備える。
【0010】
これによれば、作用部材は意図推定センサとは別体であるので、意図推定センサの装着部位にかかわらず、作用部材を所望の部位に容易に装着できる。したがって、補助力を所望の部位に容易に作用させることができる。
【0011】
また、前記装着部材のうち、前記装着部材が前記装着者に装着されているときに前記装着者と接する面である裏面と前記装着者との間の摩擦係数は、前記裏面とは反対側の面である表面と前記装着部材の上から前記装着者に装着される装着物との間の摩擦係数よりも大きくてもよい。
【0012】
これによれば、装着部材の上から手袋または衣服等(装着物)を着脱する場合に、装着部材が装着者から外れることを抑制できるとともに、手袋または衣服等を着脱しやすくできる。
【0013】
また、前記意図推定センサは、前記装着部材に取り付けられかつ内部空間に流体が充填される袋状の袋部材と、前記流体の圧力を検出する圧力センサとをさらに有してもよい。
【0014】
これによれば、袋部材を装着者と荷物との間に挟むことによる内部空間の圧力の変化を検出することによって、装着者の動作意図を容易に推定できるので、補助力を所望の部位にさらに容易に作用させることができる。
【0015】
また、前記装着部材は、前記装着者の指に装着されてもよい。
【0016】
これによれば、装着者が荷物を持ち上げる際に、袋部材を装着者と荷物との間に容易に挟むことができるので、装着者の動作意図をさらに容易に推定でき、補助力を所望の部位にさらに容易に作用させることができる。
【0017】
また、前記袋部材は、楕円状の形状を有し、前記楕円状の形状の長手方向は、前記装着部材が前記装着者の指に装着されているときに当該指の長手方向に沿っていてもよい。
【0018】
これによれば、装着者が指を曲げることによって、袋部材を装着者と荷物との間にさらに容易に挟むことができるので、装着者の動作意図をさらに容易に推定でき、補助力を所望の部位にさらに容易に作用させることができる。
【0019】
また、前記意図推定センサは、前記内部空間を密閉した状態で前記袋部材と前記圧力センサとを連結する管状部材をさらに有し、前記管状部材は、螺旋状または波状の伸縮部を有してもよい。
【0020】
これによれば、管状部材を伸縮部において伸縮しやすくできるので、袋部材と圧力センサとを所望の位置に配置しやすくなり、補助力を所望の部位にさらに容易に作用させることができる。
【0021】
また、前記作用部材は、前記装着者の手以外に装着されてもよい。
【0022】
これによれば、装着者が手袋を装着する場合に、作用部材が手袋の装着の妨げになることを抑制できる。
【0023】
また、前記作用部材は、前記装着者の手首に装着されてもよい。
【0024】
これによれば、補助力を手首に容易に作用させることができる。
【0025】
また、前記作用部材は、前記装着者の手首に装着されているときに前記装着者の手に向かって漸次縮径する筒状となるように構成されてもよい。
【0026】
これによれば、作用部材が手とは反対側に引っ張られたときに、作用部材がずれることを抑制できるので、補助力を手首にさらに容易に作用させることができる。
【0027】
また、2つの前記作用部材と2つの前記アクチュエータとを備え、前記2つの作用部材のうちの一方は、前記装着者の左半身に装着され、前記2つの作用部材のうちの他方は、前記装着者の右半身に装着され、前記2つのアクチュエータのうちの一方は、前記2つの作用部材のうちの一方に作用する力を発生し、前記2つのアクチュエータのうちの他方は、前記2つの作用部材のうちの他方に作用する力を発生してもよい。
【0028】
これによれば、左腕だけまたは右腕だけに補助力を作用させることができるとともに、左腕および右腕の両方に補助力を作用させることもできる。このように、補助力を所望の部位にさらに容易に作用させることができる。
【0029】
以下、本開示の一態様に係る動作支援装置について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0030】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0031】
(実施の形態)
図1から
図12を用いて、実施の形態に係る動作支援装置について説明する。
【0032】
[構成]
本実施の形態では、装着者P1に動作支援装置10が装着された状態において、装着者P1の身体の左右方向をX軸方向とし、装着者P1の身体の前後方向をY軸方向とし、装着者P1の身体の上下方向をZ軸方向とする。また、装着者P1の身体の左側をX軸方向プラス側とし、装着者P1の身体の右側をX軸方向マイナス側とする。また、装着者P1の身体の前側をY軸方向プラス側とし、装着者P1の身体の後ろ側をY軸方向マイナス側とする。また。装着者P1の身体の上側をZ軸方向プラス側とし、装着者P1の身体の下側をZ軸方向マイナス側とする。なお、各図において、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向のそれぞれを示す矢印が示す方向を、それぞれの方向におけるプラス側とし、矢印とは反対側の方向を、それぞれの方向におけるマイナス側とする。なお、上記のことは、以降の実施の形態でも同様である。
【0033】
図1は、実施の形態に係る動作支援装置10を前方から見た図である。
図2は、
図1の動作支援装置10を後方から見た図である。
【0034】
図1および
図2に示すように、動作支援装置10は、胴体部材12と、2つのハーネス14a,14bと、2つの意図推定センサ16a,16bと、2つの状態センサ17a,17bと、2つの作用部材18a,18bと、2つのアクチュエータ20a,20bと、2つの連結部材22a,22bと、2つの管状部材24a,24bと、2つの保護部材26a,26bと、制御部28(
図11参照)と、2つの電線部材29a,29bとを備えている。
【0035】
胴体部材12は、装着者P1の胴体に装着される部材である。胴体部材12は、装着者P1の胴体の後方つまり装着者P1の背中に装着される背中部30と、装着者P1の腰に装着される腰部32とを有している。背中部30は、装着者P1の背骨に沿って配置され、Z軸方向に長い部材である。背中部30の上部には、2つのアクチュエータ20a,20bが設けられている。腰部32は、X軸方向に長く、かつ装着者P1の腰の側方および後方つまり装着者P1の左側、右側、および後側を覆うように湾曲した形状を有している。腰部32は、背中部30の下端部と接続され、背中部30と一体の構成である。つまり、背中部30および腰部32は、後方から見たときに、逆T字の形状を有する。なお、胴体部材12は、逆T字の形状に限らずに、I字の形状であってもよいし、他の形状であってもよい。
【0036】
胴体部材12は、剛性を有している部材であり、たとえば、アルミニウムなどの軽量金属、硬化樹脂またはカーボンファイバなどの合成素材により構成されている。胴体部材12には、装着者P1側の面にクッションなどの緩衝材が配置されていてもよい。
【0037】
2つのハーネス14a,14bは、胴体部材12を装着者P1の背中に配置するために、胴体部材12に接続されている。2つのハーネス14a,14bは、装着者P1の肩に掛けられることで、装着者P1が胴体部材12を背中に背負った状態(胴体部材12が装着者P1の背中に配置された状態)を維持するための部材である。つまり、2つのハーネス14a,14bは、装着者P1の肩に装着される肩装具の一例である。2つのハーネス14a,14bは、装着者P1の両肩に対応した位置に設けられている一対の部材である。たとえば、2つのハーネス14a,14bは、ナイロン、シリコーンなどの樹脂、金属、革(人工皮革を含む)などにより構成されている。なお、肩装具は、ハーネスに限らずに、装着者P1の肩上に配置される部材であればどのような部材であってもよい。
【0038】
図3は、
図1の動作支援装置10の意図推定センサ16aおよび作用部材18aを示す図である。
図4は、
図1の動作支援装置10の意図推定センサ16aの装着部材34、袋部材36、および管状部材38を示す図である。
図4の(a)は、装着部材34、袋部材36、および管状部材38の断面を示し、
図4の(b)は、装着者P1の指の手のひら側から見た袋部材36を示す。
【0039】
図1から
図4に示すように、2つの意図推定センサ16a,16bのそれぞれは、装着者P1の身体に装着される装着部材34を有し、装着者P1が物体を取り扱う際の装着者P1の動作意図を推定するために用いられるセンサである。意図推定センサ16aの装着部材34は、装着者P1の左半身に装着され、意図推定センサ16bの装着部材34は、装着者P1の右半身に装着されている。この実施の形態では、意図推定センサ16aの装着部材34は、装着者P1の左手の親指に装着され、意図推定センサ16bの装着部材34は、装着者P1の右手の親指に装着されている。なお、装着部材34は、親指以外の指に装着されていてもよい。また、装着部材34は、手の平または脚などに装着可能に構成されてもよく、手の平または脚などに装着されてもよい。2つの意図推定センサ16a,16bのそれぞれは、装着者P1の手と物体との間の圧力を検出する。手と物体との間の圧力を検出することで、装着者P1の動作意図、たとえば装着者P1が手で物体を持ち上げようとしているか否かを推定することができる。
【0040】
意図推定センサ16aは、装着部材34と、袋部材36と、管状部材38と、圧力センサ40とを有している。
【0041】
装着部材34は、装着者P1の身体に装着される部材である。装着部材34のうち、装着部材34が装着者P1に装着されているときに装着者P1と接する面である裏面42と装着者P1との間の摩擦係数は、当該裏面42とは反対側の面である表面44と装着部材34の上から装着者P1に装着されて当該表面44に接触する装着物との間の摩擦係数よりも大きい。たとえば、装着物は、装着者P1に装着されている装着部材34の上から装着者P1に装着される手袋または衣服等である。たとえば、装着部材34を装着者P1の指に装着し、更にその上から手袋を着用する場合、裏面42は装着者P1の指との摩擦係数が高くなるようなゴムなどによって形成され、表面44は手袋との摩擦係数が比較的低い布材料などによって形成されている。装着部材34は、指サック状、言い換えると鞘状であり、装着部材34の内方に指を差し込むことによって、当該指に装着される。なお、装着部材34は、指サック状でなくてもよく、筒状または装着者P1に巻き付けて装着されるベルト状などであってもよい。装着部材34は、可撓性を有している。
【0042】
袋部材36は、装着部材34に取り付けられている。この実施の形態では、袋部材36は、装着部材34の裏面42に取り付けられている。なお、袋部材36は、装着部材34の表面44に取り付けられていてもよい。袋部材36の内部空間46には、流体が充填されている。この実施の形態では、袋部材36の内部空間46には、気体たとえば空気が充填されている。なお、袋部材36の内部空間46には、気体の代わりにたとえば機械油などのような液体が充填されていてもよい。袋部材36は、楕円状の形状を有し、当該楕円状の形状の長手方向は、装着部材34が装着者P1の指に装着されているときに当該指の長手方向(
図4の矢印H参照)に沿って延びている。具体的には、当該指の手のひら側から見たとき、袋部材36は、楕円状の形状を有し、当該楕円状の形状の長手方向は、当該指の長手方向に沿って延びている。つまり、袋部材36の長手方向は、装着者P1の指の長手方向と平行である。なお、袋部材36は、楕円状でなくてもよく、円状などであってもよい。装着部材34は、袋部材36が指の手のひら側つまり腹側に位置するように装着されている。なお、装着部材34は、袋部材36が指の側方に位置するように装着されていてもよい。また、袋部材36は、装着部材34が装着者P1の人差し指に装着された場合、人差し指の第1関節から第2関節を跨ぐように設けられていてもよい。
【0043】
管状部材38は、袋部材36の内部空間46を密閉した状態で袋部材36と圧力センサ40とを連結している。具体的には、管状部材38は、袋部材36の内部空間46と圧力センサ40の圧力を検出するための空間とが密閉された状態で連通するように、袋部材36と圧力センサ40とを連結している。管状部材38は、螺旋状または波状(つづら折り状)の伸縮部48を有しており、伸縮部48において伸縮可能であるとともに屈曲可能である。つまり、管状部材38は、可撓性を有しているカールコード状などである。
【0044】
圧力センサ40は、袋部材36の内部空間46に充填されている流体の圧力を検出する圧力センサである。具体的には、圧力センサ40は、内部空間46の気圧を検出する気圧センサである。圧力センサ40は、作用部材18aの本体部54に着脱可能に取り付けられているコントローラ49aに収容されている。なお、圧力センサ40は、コントローラ49aに収容されていなくてもよく、装着者P1の身体に別途装着される部材に収容されていてもよい。また、圧力センサ40は、内部空間46に液体が充填されている場合には、液体の圧力を検出するセンサであってもよい。たとえば、圧力センサ40は、ピエゾ抵抗方式の気圧センサであってもよいし、他の方式の気圧センサであってもよい。
【0045】
状態センサ17aは、装着者P1の手の姿勢および動作の少なくとも一方である身体の状態を検出するセンサである。たとえば、状態センサ17aは、加速度センサおよびジャイロセンサを含むIMU(Inertial Measurement Unit)を含んで構成されている。なお、状態センサ17aは、加速度センサおよびジャイロセンサのうちの一方のみを含んで構成されてもよい。状態センサ17aは、コントローラ49aに収容されている。なお、状態センサ17aは、コントローラ49aに収容されていなくてもよく、装着者P1の身体に別途装着される部材に収容されていてもよい。また、状態センサ17aは、装着者P1の身体の状態を検出するセンサでなくてもよく、たとえば、カメラ等の画像センサであり装着者P1が把持している荷物の大きさを検出するものであってもよい。
【0046】
上述したように、圧力センサ40は、袋部材36の気圧を検出するために、袋部材36の内部空間46に密閉された状態で接続されている。このため、圧力センサ40は、内部空間46の気圧の上昇を検出することで、袋部材36の内部空間46が潰されることにより小さくなるように変形したことを検出することができる。たとえば、圧力センサ40は、内部空間46の圧力を検出することで、袋部材36が装着者P1の手と物体との間に挟まれて変形したことを検出する。
【0047】
また、圧力センサ40は、袋部材36に管状部材38を介して連結されているため、圧力センサ40を、装着者P1の手と物体との間に挟まれる部位とは離れた位置に配置することができる。このため、圧力センサ40が物体に接触して破損することを低減することができる。また、電力が供給されて動作する圧力センサ40を、装着者P1の手と物体との間に挟まれる部位とは離れた位置に配置することができるため、電気的な安全性を向上させることができる。
【0048】
コントローラ49aは、ボタン50と、発光部52とを有している。ボタン50は、動作支援装置10のモードを変更するための装着者P1による操作を受け付ける。ボタン50を1回押すと、発光部52が青色に発光し、圧力センサ40によって検出された圧力の大きさに応じた力を、作用部材18aに作用させるモードとなる。たとえば、当該モードでは、圧力センサ40によって検出された圧力が大きいほど、作用部材18aに作用する力が大きくなる。
【0049】
さらにボタン50を1回押すと、発光部52が緑色に発光し、圧力センサ40によって検出された圧力にかかわらず、作用部材18aに作用する力をオンオフさせることができるモードとなる。たとえば、当該モードにおいて、袋部材36を1回タッチするとアクチュエータによって発生する力が作用部材18aに常時作用し、袋部材36をさらに1回タッチするとアクチュエータによって発生する力が作用部材18aに作用しない。
【0050】
さらにボタン50を1回押すと、発光部52が紫色に発光し、装着者P1の腰の姿勢を検出するセンサ(図示せず)の検出結果に基づいて作用部材18aに力を作用させるモードとなる。たとえば、当該モードでは、装着者P1が前かがみの姿勢から起き上がっている状態であることを当該センサによって検出した場合に、作用部材18aに力を作用させる。
【0051】
意図推定センサ16bは、意図推定センサ16aと左右対称の構成を有するため、上述した意図推定センサ16aの説明を参照することにより、意図推定センサ16bの詳細な説明を省略する。また、状態センサ17bは、状態センサ17aと左右対称の構成を有し、コントローラ49bは、コントローラ49aと左右対称の構成を有するため、上述した状態センサ17aおよびコントローラ49aの説明を参照することにより、状態センサ17bおよびコントローラ49bの詳細な説明を省略する。
【0052】
図5は、
図1の動作支援装置10の作用部材18aを表側から見た図である。
図6は、
図1の動作支援装置10の作用部材18aを裏側から見た図である。
図1から
図3、
図5、および
図6に示すように、2つの作用部材18a,18bのそれぞれは、装着者P1の身体に装着される。作用部材18aは、装着者P1の左半身に装着され、作用部材18bは、装着者P1の右半身に装着されている。具体的には、作用部材18aは、装着者P1の左手首に装着され、作用部材18bは、装着者P1の右手首に装着されている。
【0053】
作用部材18aは、本体部54と、折り返し具56と、固定具58と、取付ホルダ60とを有している。
【0054】
本体部54は、装着者P1の身体に装着されている。この実施の形態では、本体部54は、装着者P1の左手首に装着されており、装着者P1の手以外の部位に装着されている。なお、本体部54は、手首以外に装着されていてもよく、手または前腕部のうちの手首以外の部位に装着されていてもよい。本体部54には、固定具58などを介して、アクチュエータ20aによって発生する力が作用する。本体部54は、2つの意図推定センサ16a,16bとは別体である。具体的には、本体部54は、2つの意図推定センサ16a,16bのそれぞれの装着部材34とは別体であり、2つの意図推定センサ16a,16bのそれぞれの装着部材34とは異なる部位に装着されている。本体部54は、基部62と、帯状部64と、面ファスナー66とを有している。
【0055】
帯状部64は、帯状であり、基部62の一端部に接続され、基部62と一体的に形成されている。折り返し具56は、基部62の他端部に設けられている。面ファスナー66は、帯状部64に設けられているループ部68とフック部70とを有している。帯状部64を手首に巻き付け、手首に巻き付けられている帯状部64を折り返し具56で折り返し、ループ部68とフック部70とを貼り合わせることによって、装着者P1の手首に本体部54が装着される。このように、作用部材18aは、装着者P1に巻き付けて装着されるベルト状である。
【0056】
作用部材18aは、装着者P1の手首に装着されているときに装着者P1の手に向かって漸次縮径する筒状となるように構成されている。つまり、作用部材18aが装着者P1の手首に装着されているとき、作用部材18aは、筒状であり、作用部材18aの直径は、装着者P1の手に向かって漸次小さくなる。折り返し具56が基部62から突出している方向Aと、帯状部64が基部62から突出している方向Bとがなす角度θは、180度よりも小さい。これによって、作用部材18aは、装着者P1の手首に装着されているときに装着者P1の手に向かって漸次縮径する筒状となる。
【0057】
基部62は、ラミネート部72と、非ラミネート部74とを有している。ラミネート部72は、ラミネート加工されている部分であり、非ラミネート部74よりも高い剛性を有している。ラミネート部72は、折り返し具56と帯状部64との間、折り返し具56と固定具58との間、および帯状部64と固定具58との間に設けられており、略三角形状に設けられている。非ラミネート部74は、ラミネート加工されていない部分である。非ラミネート部74は、ラミネート部72に囲まれており、本体部54が手首に装着されているときに、固定具58よりも装着者P1の手側に位置している。このように、ラミネート部72および非ラミネート部74を設けることによって、装着者P1が手首をひねったときに基部62が伸縮しやすくなり、装着者P1の動作を妨げることを抑制できる。また、本体部54にアクチュエータ20aによって作用する力を作用させたときに基部62が伸縮することを抑制でき、当該力を本体部54に作用させやすくできる。
【0058】
固定具58は、連結部材22aを作用部材18aに固定するための部材である。固定具58は、本体部54が手首に装着されているときに、基部62に対して装着者P1の手とは反対側に位置するように基部62に取り付けられている。
【0059】
取付ホルダ60は、コントローラ49aを着脱可能に取り付けるための部材であり、基部62に設けられている。
【0060】
たとえば、作用部材18aは、ナイロン、シリコーンなどの樹脂、金属、革(人工皮革を含む)などにより構成される。
【0061】
作用部材18bは、作用部材18aと左右対称の構成を有するため、上述した作用部材18aの説明を参照することにより、作用部材18bの詳細な説明を省略する。
【0062】
図7は、
図1の動作支援装置10のアクチュエータ20aを示す図である。
図8は、
図1の動作支援装置10のアクチュエータ20aを示す、回転軸Cに平行な断面図である。
図9は、
図1の動作支援装置10のアクチュエータ20aを示す、回転軸Cに直交する断面図である。
図1および
図7から
図9に示すように、2つのアクチュエータ20a,20bのそれぞれは、装着者P1の動作を支援する力を発生する。アクチュエータ20aは、作用部材18aに作用する力を発生させ、アクチュエータ20bは、作用部材18bに作用する力を発生させる。具体的には、アクチュエータ20aは、連結部材22aの紐状部材88を巻き上げることによって作用部材18aに作用する力を発生させ、アクチュエータ20bは、連結部材22bの紐状部材88を巻き上げることによって作用部材18bに作用する力を発生させる。
【0063】
アクチュエータ20aは、筐体78と、ドラム80と、遊星ギヤ部82と、モータ84とを有している。
【0064】
筐体78は、胴体部材12の一部を構成し、紐状部材88のうちドラム80に巻き取られている部位、およびドラム80などを収容している。
【0065】
ドラム80は、アクチュエータ20aの駆動部位としてのモータ84からの動力を受けて回転することで紐状部材88を巻き取るプーリである。具体的には、ドラム80には紐状部材88の他端部が固定され、ドラム80は、駆動することで紐状部材88を巻き上げ、管状部材24aと作用部材18aとの間の紐状部材88の長さを調整する。ドラム80は、略円錐状であり、ドラム80の巻き取り面86は、回転軸C方向において漸次縮径している。つまり、巻き取り面86の直径は、回転軸C方向において漸次小さくなっている。
【0066】
回転軸Cを中心とする径方向における、巻き取り面86と筐体78との間の隙間の寸法Dは、紐状部材88の直径の2倍の寸法よりも小さい。具体的には、当該径方向における巻き取り面86の最小径部と筐体78との間の隙間の寸法Dは、紐状部材88の直径の2倍の寸法よりも小さく、当該径方向における巻き取り面86の最大径部と筐体78との間の隙間の寸法Dも、紐状部材88の直径の2倍の寸法よりも小さく、巻き取り面86の最小径部から最大径部に亘って、寸法Dは、紐状部材88の直径の2倍の寸法よりも小さい。
【0067】
遊星ギヤ部82は、モータ84の回転をドラム80に伝達する。また、この遊星ギヤ部82の代わりに平ギヤ、ハーモニックギヤなどを用いてもよい。あるいはこの遊星ギヤ部82を省略して、モータ84の動力を減速させなくてもよい。
【0068】
モータ84は、紐状部材88を巻き取るために、ドラム80に動力を与え、ドラム80を回転させる。また、モータ84は、紐状部材88が繰り出されるときに、ドラム80の回転を制動する。胴体部材12は、モータ84に電力を供給するバッテリ(図示せず)を収容している。モータ84は、紐状部材88が繰り出される方向にドラム80が回転することによって、ドラム80とともに回転して発電する。
【0069】
上記のような構成によりアクチュエータ20aは、紐状部材88を巻き取ったり、繰り出したりすることができる。
【0070】
なお、アクチュエータ20aの駆動部位は、モータ84であるとしたが、モータ84に限らずに、人工筋肉、油圧式アクチュエータ、ガス式アクチュエータなどであってもよい。
【0071】
アクチュエータ20bは、アクチュエータ20aと左右対称の構成を有するため、上述したアクチュエータ20aの説明を参照することにより、アクチュエータ20bの詳細な説明を省略する。
【0072】
図1および
図2に示すように、連結部材22aは、アクチュエータ20aと作用部材18aとを連結し、連結部材22bは、アクチュエータ20bと作用部材18bとを連結している。
【0073】
連結部材22aは、紐状部材88と、固定具90とを有している。
【0074】
紐状部材88は、アクチュエータ20aと作用部材18aとを連結する紐状の部材である。紐状部材88の一端部は、固定具90を介して作用部材18aに固定され、紐状部材88の他端部は、ドラム80に固定されている。たとえば、紐状部材88は、樹脂製のワイヤである。なお、紐状部材88は、金属製のワイヤであってもよい。
【0075】
固定具90は、固定具58と着脱可能に係合する。固定具90を固定具58に係合させることによって、連結部材22aはアクチュエータ20aと作用部材18aとを連結する。
【0076】
連結部材22bは、連結部材22aと左右対称の構成を有するため、上述した連結部材22aの説明を参照することにより、連結部材22bの詳細な説明を省略する。
【0077】
管状部材24aは、連結部材22aの紐状部材88が挿通され、紐状部材88をスライド自在な状態で支持している。管状部材24aは、内部が中空のパイプ(チューブ)であり、可撓性を有している。管状部材24aは、ハーネス14aと筐体78とに固定され、装着者P1の左肩の上方において湾曲するように設けられている。
図9に示すように、管状部材24aのアクチュエータ20a側の端部92は、巻き取り面86の接線E方向に開口している。つまり、端部92は、接線E方向から見たとき開口している。接線Eは、回転軸Cに直交する断面と平行な方向に延在している。管状部材24aは、端部92から接線E方向に延在している。端部92は、回転軸Cを中心とする径方向において、巻き取り面86の最大径部と対向している。たとえば、管状部材24aは、オレフィン系、軟質塩化ビニル、シリコーンゴムなどの材料により構成される。
【0078】
管状部材24bは、管状部材24aと左右対称の構成を有するため、上述した管状部材24aの説明を参照することにより、管状部材24bの詳細な説明を省略する。
【0079】
図10は、
図1の動作支援装置10の保護部材26aを示す図である。なお、
図10では、外側部材96を二点鎖線で示している。
図1および
図10に示すように、保護部材26aは、連結部材22aの紐状部材88における管状部材24aと作用部材18aとの間の部位を保護し、保護部材26bは、連結部材22bの紐状部材88における管状部材24bと作用部材18bとの間の部位を保護している。つまり、保護部材26aは、連結部材22aの紐状部材88における管状部材24aよりも作用部材18a側の部位を保護し、保護部材26bは、連結部材22bの紐状部材88における管状部材24bよりも作用部材18b側の部位を保護している。
【0080】
保護部材26aは、内側部材94と、外側部材96とを有している。
【0081】
内側部材94は、連結部材22aの紐状部材88における管状部材24aと作用部材18aとの間の部位を覆っている。外側部材96は、内側部材94および内側部材94を介して当該部位に巻き付けられている電線部材29aを覆っている。電線部材29aは、意図推定センサ16aと制御部28とを電気的に接続しており、たとえば、芯線および芯線を覆う被覆部材などによって構成されている。電線部材29aは、内側部材94を介して、紐状部材88に螺旋状に巻き付けられており、カールコード状である。内側部材94、外側部材96、および電線部材29aは、紐状部材88における管状部材24aと作用部材18aとの間の部位の長さが変化することに伴って伸縮する。
【0082】
制御部28は、胴体部材12に内蔵され、意図推定センサ16aのセンシング結果に基づいてアクチュエータ20aを制御し、意図推定センサ16bのセンシング結果に基づいてアクチュエータ20bを制御する。制御部28の詳細については後述する。
【0083】
図11は、
図1の動作支援装置10の機能構成を示すブロック図である。
【0084】
図11に示すように、制御部28は、2つの意図推定センサ16a,16b、2つの状態センサ17a,17b、および2つのアクチュエータ20a,20bと電気的に接続される。制御部28は、2つの意図推定センサ16a,16bによる検出結果に応じて、装着者P1の動作意図を推定する。たとえば、動作意図は、装着者P1が荷物を持ち上げようとする意図などである。制御部28は、推定した動作意図に応じて2つのアクチュエータ20a,20bへの入力を計算し、計算した入力で2つのアクチュエータ20a,20bを制御する。ここで、2つのアクチュエータ20a,20bへの入力とは、たとえば、2つのアクチュエータ20a,20bを駆動させるための電流値である。制御部28は、計算した入力で2つのアクチュエータ20a,20bを制御することにより、2つのアクチュエータ20a,20bにより発生される力の大きさを変更する。
【0085】
具体的には、制御部28は、意図推定センサ16aにより検出された内部空間46の圧力に応じて、アクチュエータ20aを制御する。制御部28は、意図推定センサ16aにより検出された圧力に応じて、アクチュエータ20aが発生する力の大きさを変更してもよい。つまり、制御部28は、意図推定センサ16aにより検出された圧力が大きいほど、アクチュエータ20aが発生するトルクが大きくなるようにアクチュエータ20aを制御してもよい。これにより、紐状部材88には、より大きな張力がアクチュエータ20aにより付与される。
【0086】
制御部28は、意図推定センサ16aにより所定の閾値より圧力が大きくなったことが検出された場合、または、圧力の上昇が検出された場合、紐状部材88の管状部材24aから作用部材18aまでの長さが短くなる回転方向にアクチュエータ20aを駆動する。これにより、アクチュエータ20aは、紐状部材88に張力を付与し、装着者P1が荷物を持ち上げる動作を補助する。また、制御部28は、意図推定センサ16aにより所定の閾値未満に圧力が小さくなったことが検出された場合、または、圧力の下降が検出された場合、アクチュエータ20aを駆動しなくてもよい。これにより、アクチュエータ20aによる紐状部材88への張力が付与されないため、装着者P1は、腕を伸ばして紐状部材88をアクチュエータ20aから繰り出させることが容易にできる。
【0087】
制御部28は、2つの状態センサ17a,17bの検出結果に応じて装着者P1の状態を推定する。たとえば、装着者P1の状態は、装着者P1の両腕の姿勢などである。制御部28は、状態センサ17a,17bの検出結果に応じてアクチュエータ20a,20bの出力を調整してもよい。たとえば、状態センサ17a,17bによって、操作者P1の上腕が「上を向いている姿勢」を検出した場合、意図推定センサ16a,16bの値によって計算されたアクチュエータ20a,20bの出力を減じてもよい。これにより、高い棚から荷物を引き出す際等に、装着者P1の腕をゆっくりと動かすことができるため、安全性を高めることができる。
【0088】
制御部28は、意図推定センサ16aによって装着者P1に動作意図がないことが推定された場合、アクチュエータ20aを制御して紐状部材88に所定の張力を加える。たとえば、内部空間46の内部の圧力が所定の閾値よりも小さい場合、制御部28は、装着者P1には荷物を持ち上げる動作意図がないと推定し、アクチュエータ20aを制御して紐状部材88に所定の張力を加える。所定の張力は、紐状部材88が緩まない程度の大きさの張力である。たとえば、制御部28は、張力センサ(図示せず)に基づいて、紐状部材88に加わる張力を取得する。
【0089】
制御部28は、紐状部材88が繰り出される方向にドラム80が回転しているとき、モータ84が発電した電力に基づいてモータ84を制御してドラム80の回転を制動させ、ドラム80の回転速度を減速させる。上述したように、紐状部材88が繰り出される方向にドラム80が回転すると、これに伴ってモータ84も回転し、モータ84は発電する。モータ84は、紐状部材88が繰り出される方向にドラム80が回転しているとき、ドラム80とともに回転して発電し、モータ84が発電した電力が供給されて駆動し、ドラム80の回転を制動する。
【0090】
たとえば、制御部28は、メモリに記憶されている所定のプログラムを実行するプロセッサ、および、上記メモリにより構成されていてもよい。また、制御部28は、たとえば、専用回路により構成されていてもよい。つまり、制御部28の機能は、ソフトウェアにより実現されていてもよいし、ハードウェアにより実現されていてもよい。制御部28は、プロセッサおよびメモリの複数セットが組み合わせされることにより構成されてもよい。
【0091】
[使用例]
動作支援装置10は、装着者P1に装着された状態において、装着者P1の腕により物体としての荷物200を持ち上げる動きを支援することで、装着者P1の腕に係る負担を軽減する。次に、装着者P1が荷物を持ち上げるときの動作支援装置10の作用について
図12を用いて説明する。
【0092】
図12は、動作支援装置10を装着した装着者P1の動作を支援している様子を示す図である。具体的には、
図12は、地面に置かれている荷物200を装着者P1が持ち上げている様子を示す図である。
【0093】
図12に示すように、装着者P1が荷物200を掴んだ状態において、意図推定センサ16aの袋部材36が変形することで圧力センサ40により内部空間46の圧力が上昇するため、制御部28によりアクチュエータ20aが駆動され、紐状部材88に対して張力が付与される。
【0094】
具体的には、たとえば装着者P1の指に設けられた袋部材36が荷物200に接触されない場合には、制御部28は、内部空間46の圧力が初期の圧力から変化しておらず、圧力センサ40により所定の閾値未満の圧力が検出されている、または、圧力の上昇が検出されていないため、アクチュエータ20aを動作させない。このため、紐状部材88には、張力は付与されない。
【0095】
一方、意図推定センサ16aの袋部材36が装着者P1と荷物200とに挟まれて変形した場合、制御部28は、圧力センサ40により所定の閾値より圧力が大きくなったことが検出される、または、圧力の上昇が検出される。このため、制御部28は、アクチュエータ20aを圧力センサ40により検出された圧力に応じた力を発生するように動作させる。このため、紐状部材88には、張力が付与される。
【0096】
このように、装着者P1は、袋部材36を荷物200に押しつけることで、アクチュエータ20aに紐状部材88に対して張力を加えさせることができる。このため、装着者P1は、動作支援装置10から容易に補助力を得ることができる。
【0097】
[効果]
本実施の形態に係る動作支援装置10は、装着者P1の身体に装着される装着部材34を有し、装着者P1が物体を取り扱う際の装着者P1の動作意図を推定するための意図推定センサ16aと、装着者P1の動作を支援する力を発生するアクチュエータ20aと、装着者P1の身体に装着され、アクチュエータ20aによって発生する力が作用し、意図推定センサ16aとは別体である作用部材18aとを備える。
【0098】
これによれば、作用部材18aは意図推定センサ16aとは別体であるので、意図推定センサ16aの装着部位にかかわらず、作用部材18aを所望の部位に容易に装着できる。したがって、補助力を所望の部位に容易に作用させることができる。
【0099】
また、動作支援装置10において、装着部材34のうち、装着部材34が装着者P1に装着されているときに装着者P1と接する面である裏面42と装着者P1との間の摩擦係数は、裏面42とは反対側の面である表面44と装着部材34の上から装着者P1に装着される装着物との間の摩擦係数よりも大きい。
【0100】
これによれば、装着部材34の上から手袋または衣服等(装着物)を着脱する場合に、装着部材34が装着者P1から外れることを抑制できるとともに、手袋または衣服等を着脱しやすくできる。
【0101】
また、動作支援装置10において、意図推定センサ16aは、装着部材34に取り付けられかつ内部空間46に流体が充填される袋状の袋部材36と、流体の圧力を検出する圧力センサ40とをさらに有している。
【0102】
これによれば、袋部材36を装着者P1と荷物200との間に挟むことによる内部空間46の圧力の変化を検出することによって、装着者P1の動作意図を容易に推定できるので、補助力を所望の部位にさらに容易に作用させることができる。
【0103】
また、動作支援装置10において、装着部材34は、装着者P1の指に装着されている。
【0104】
これによれば、装着者P1が荷物200を持ち上げる際に、袋部材36を装着者P1と荷物200との間に容易に挟むことができるので、装着者P1の動作意図をさらに容易に推定でき、補助力を所望の部位にさらに容易に作用させることができる。
【0105】
また、動作支援装置10において、袋部材36は、楕円状の形状を有し、当該楕円状の形状の長手方向は、装着部材34が装着者P1の指に装着されているときに当該指の長手方向に沿う。
【0106】
これによれば、装着者P1が指を曲げることによって、袋部材36を装着者P1と荷物200との間にさらに容易に挟むことができるので、装着者P1の動作意図をさらに容易に推定でき、補助力を所望の部位にさらに容易に作用させることができる。
【0107】
また、動作支援装置10において、意図推定センサ16aは、内部空間46を密閉した状態で袋部材36と圧力センサ40とを連結する管状部材38をさらに有し、管状部材38は、螺旋状または波状の伸縮部48を有している。
【0108】
これによれば、管状部材38を伸縮部48において伸縮しやすくできるので、袋部材36と圧力センサ40とを所望の位置に配置しやすくなり、補助力を所望の部位にさらに容易に作用させることができる。
【0109】
また、動作支援装置10において、作用部材18aは、装着者P1の手以外に装着されている。
【0110】
これによれば、装着者P1が手袋を装着する場合に、作用部材18aが手袋の装着の妨げになることを抑制できる。
【0111】
また、動作支援装置10において、作用部材18aは、装着者P1の手首に装着されている。
【0112】
これによれば、補助力を手首に容易に作用させることができる。
【0113】
また、動作支援装置10において、作用部材18aは、装着者P1の手首に装着されているときに装着者P1の手に向かって漸次縮径する筒状となるように構成されている。
【0114】
これによれば、作用部材18aが手とは反対側に引っ張られたときに、作用部材18aがずれることを抑制できるので、補助力を手首にさらに容易に作用させることができる。
【0115】
また、動作支援装置10は、2つの作用部材18a,18bと2つのアクチュエータ20a,20bとを備え、2つの作用部材18a,18bのうちの一方は、装着者P1の左半身に装着され、2つの作用部材18a,18bのうちの他方は、装着者P1の右半身に装着され、2つのアクチュエータ20a,20bのうちの一方は、2つの作用部材18a,18bのうちの一方に作用する力を発生し、2つのアクチュエータ20a,20bのうちの他方は、2つの作用部材18a,18bのうちの他方に作用する力を発生する。
【0116】
これによれば、左腕だけまたは右腕だけに補助力を作用させることができるとともに、左腕および右腕の両方に補助力を作用させることもできる。このように、補助力を所望の部位にさらに容易に作用させることができる。
【0117】
[変形例]
図13は、作用部材の他の例を示す図である。
図13に示すように、作用部材98は、一対の本体部材100,102と、帯状部材104と、揺動部材106と、摺動部材108とを有している。
【0118】
一対の本体部材100,102は、装着者P1の手首を挟んで配置される部材であり、装着者P1の手首に装着されているときに、装着者P1の手に向かって漸次縮径する筒状を形成するように構成されている。帯状部材104は、一対の本体部材100,102を手首に締め付けるための部材である。揺動部材106は、本体部材100に揺動可能に取り付けられており(
図13の矢印F参照)、摺動部材108は、揺動部材106に摺動可能に取り付けられている(
図13の矢印G参照)。揺動部材106には、アクチュエータ(図示せず)と作用部材98とを連結する連結部材(図示せず)が摺動部材108を介して固定される。動作支援装置10は、作用部材18aおよび作用部材18bに代えて作用部材98を備えていてもよい。
【0119】
以上、本開示の一つまたは複数の態様に係る動作支援装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、この実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本開示は、装着者の動作を支援する動作支援装置などとして有用である。
【符号の説明】
【0121】
10 動作支援装置
12 胴体部材
14a,14b ハーネス
16a,16b 意図推定センサ
17a,17b 状態センサ
18a,18b,98 作用部材
20a,20b アクチュエータ
22a,22b 連結部材
24a,24b 管状部材
26a,26b 保護部材
28 制御部
29a,29b 電線部材
30 背中部
32 腰部
34 装着部材
36 袋部材
38 管状部材
40 圧力センサ
42 裏面
44 表面
46 内部空間
48 伸縮部
49a,49b コントローラ
50 ボタン
52 発光部
54 本体部
56 折り返し具
58 固定具
60 取付ホルダ
62 基部
64 帯状部
66 面ファスナー
68 ループ部
70 フック部
72 ラミネート部
74 非ラミネート部
78 筐体
80 ドラム
82 遊星ギヤ部
84 モータ
86 巻き取り面
88 紐状部材
90 固定具
92 端部
94 内側部材
96 外側部材
100,102 本体部材
104 帯状部材
106 揺動部材
108 摺動部材