(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022117250
(43)【公開日】2022-08-10
(54)【発明の名称】ゾル、ゲル及びシリカ多孔体を製造する装置及び方法
(51)【国際特許分類】
C01B 33/141 20060101AFI20220803BHJP
B01J 31/04 20060101ALI20220803BHJP
C04B 38/00 20060101ALI20220803BHJP
【FI】
C01B33/141
B01J31/04 M
C04B38/00 304Z
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021013842
(22)【出願日】2021-01-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】000006183
【氏名又は名称】三井金属鉱業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【弁理士】
【氏名又は名称】反町 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100172557
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 啓靖
(72)【発明者】
【氏名】大迫 隆男
(72)【発明者】
【氏名】加藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】小林 裕
【テーマコード(参考)】
4G019
4G072
4G169
【Fターム(参考)】
4G019GA04
4G072AA25
4G072AA28
4G072BB01
4G072BB15
4G072CC01
4G072GG04
4G072HH30
4G072JJ11
4G072KK01
4G072MM01
4G072MM22
4G072PP01
4G072PP03
4G072PP05
4G072TT08
4G072UU11
4G072UU15
4G072UU17
4G169AA06
4G169BE08A
4G169BE08B
4G169CB81
(57)【要約】
【課題】本発明は、混合液を効果的に冷却しながら、混合液のゾル化を十分に管理された条件下で進行させ、均質なゾルを工業的に製造すること、ひいては、相分離過程を伴うゾル-ゲル転移を誘起させ、骨格相と溶媒相との共連続構造を有するゲルを製造すること、及び、マクロ孔を有するシリカ多孔体を製造することを可能とする装置及び方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、マクロ孔を有するシリカ多孔体の製造に用いられるゾルを製造するゾル製造装置(1)であって、シリカ前駆体、触媒及びマクロ孔形成剤を含む混合液を調製する混合部(11)と、シリカ前駆体を混合部(11)に供給する第1供給部(12)と、触媒及びマクロ孔形成剤を混合状態で混合器(11)に供給する第2供給部(13A)と、混合部(11)から混合液(M)を排出する排出管(14)と、排出管(14)を流れる混合液(M)を35℃以下に冷却する冷却部(15)とを備える、ゾル製造装置(1)を提供する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マクロ孔を有するシリカ多孔体の製造に用いられるゾルを製造するゾル製造装置であって、
シリカ前駆体、触媒及びマクロ孔形成剤を含む混合液を調製する混合部と、
前記シリカ前駆体を前記混合部に供給する第1供給部と、
前記触媒及び前記マクロ孔形成剤を混合状態で又は別々に前記混合部に供給する第2供給部と、
前記混合部から前記混合液を排出する排出管と、
前記排出管を流れる前記混合液を35℃以下に冷却する冷却部と、
を備える、前記ゾル製造装置。
【請求項2】
前記混合部で調製される前記混合液が、メソ孔形成剤をさらに含み、
前記第2供給部が、前記メソ孔形成剤を、前記触媒及び前記マクロ孔形成剤の一方若しくは両方との混合状態で、又は、前記触媒及び前記マクロ孔形成剤とは別々に、前記混合部に供給する、請求項1に記載のゾル製造装置。
【請求項3】
前記冷却部が冷却媒体を備えており、
前記排出管のうち前記冷却媒体と接触している部分の内径が0.5mm以上200mm以下であり、前記部分の長さが50mm以上10000mm以下である、請求項1又は2に記載のゾル製造装置。
【請求項4】
前記冷却部が、前記排出管を流れる前記混合液を3秒以上冷却する、請求項1~3のいずれか一項に記載のゾル製造装置。
【請求項5】
前記排出管を通じて排出される前記混合液を回収する回収用容器、及び、前記回収用容器に回収された前記混合液を撹拌する撹拌部をさらに備える、請求項1~4のいずれか一項に記載のゾル製造装置。
【請求項6】
マクロ孔を有するシリカ多孔体の製造に用いられるゲルを製造するゲル製造装置であって、
前記ゲル製造装置は、ゾル製造部と、ゲル製造部とを備え、
前記ゾル製造部は、
シリカ前駆体、触媒及びマクロ孔形成剤を含む混合液を調製する混合部と、
前記シリカ前駆体を前記混合部に供給する第1供給部と、
前記触媒及び前記マクロ孔形成剤を混合状態で又は別々に前記混合部に供給する第2供給部と、
前記混合部から前記混合液を排出する排出管と、
前記排出管を流れる前記混合液を35℃以下に冷却する冷却部と、
を備え、
前記ゲル製造部は、前記ゾル製造部により製造されたゾルをゲル化温度に加熱する加熱部を備える、前記ゲル製造装置。
【請求項7】
マクロ孔を有するシリカ多孔体を製造するシリカ多孔体製造装置であって、
前記シリカ多孔体製造装置は、ゾル製造部と、ゲル製造部と、シリカ多孔体製造部とを備え、
前記ゾル製造部は、
シリカ前駆体、触媒及びマクロ孔形成剤を含む混合液を調製する混合部と、
前記シリカ前駆体を前記混合部に供給する第1供給部と、
前記触媒及び前記マクロ孔形成剤を混合状態で又は別々に前記混合部に供給する第2供給部と、
前記混合部から前記混合液を排出する排出管と、
前記排出管を流れる前記混合液を35℃以下に冷却する冷却部と、
を備え、
前記ゲル製造部は、前記ゾル製造部により製造されたゾルをゲル化温度に加熱する加熱部を備え、
前記シリカ多孔体製造部は、前記ゲル製造部により製造されたゲルを焼成する焼成部を備える、前記シリカ多孔体製造装置。
【請求項8】
マクロ孔を有するシリカ多孔体の製造に用いられるゾルを製造する方法であって、
下記工程:
(1A)シリカ前駆体を混合部に供給する工程;
(1B)触媒及びマクロ孔形成剤を混合状態で又は別々に前記混合部に供給する工程;
(1C)前記混合部において、前記シリカ前駆体、前記触媒及び前記マクロ孔形成剤を含む混合液を調製する工程;並びに
(1D)前記混合部に接続された排出管を通じて前記混合部から前記混合液を排出しながら、前記排出管を流れる前記混合液を35℃以下に冷却する工程
を含む、前記方法。
【請求項9】
工程1Cで調製される前記混合液が、メソ孔形成剤をさらに含み、
工程1Bにおいて、前記メソ孔形成剤を、前記触媒及び前記マクロ孔形成剤の一方若しくは両方との混合状態で、又は、前記触媒及び前記マクロ孔形成剤とは別々に、前記混合部に供給する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
工程1Dにおいて、前記排出管を流れる前記混合液を冷却媒体により冷却し、
前記排出管のうち前記冷却媒体と接触している部分の内径が0.5mm以上200mm以下であり、前記部分の長さが50mm以上10000mm以下である、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
工程1Dにおいて、前記排出管を流れる前記混合液を3秒以上冷却する、請求項8~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
工程1Dの後、前記排出管を通じて排出される前記混合液を回収し、撹拌する工程1Eをさらに備える、請求項8~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
マクロ孔を有するシリカ多孔体の製造に用いられるゲルを製造する方法であって、下記工程:
(2A)請求項8~12のいずれか一項に記載の方法によりゾルを製造する工程;及び
(2B)工程2Aで製造された前記ゾルをゲル化温度に加熱し、前記ゲルを製造する工程
を含む、前記方法。
【請求項14】
マクロ孔を有するシリカ多孔体を製造する方法であって、下記工程:
(3A)請求項8~12のいずれか一項に記載の方法によりゾルを製造する工程;
(3B)工程3Aで製造された前記ゾルをゲル化温度に加熱し、ゲルを製造する工程;及び
(3C)工程3Bで製造された前記ゲルを焼成し、前記シリカ多孔体を製造する工程
を含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マクロ孔を有するシリカ多孔体の製造に用いられるゾルを製造する装置及び方法、マクロ孔を有するシリカ多孔体の製造に用いられるゲルを製造する装置及び方法、並びに、マクロ孔を有するシリカ多孔体を製造する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マクロ孔を有するシリカ多孔体(シリカモノリス)は、クロマトグラフィー用分離カラム、酵素担体、触媒担体、吸着材等に広く利用されている。
【0003】
マクロ孔を有するシリカ多孔体は、ポリシロキサンで構成される骨格と、マクロ孔との共連続構造を有する。
【0004】
マクロ孔を有するシリカ多孔体は、例えば、次の方法により製造することができる。まず、シリカ前駆体、触媒、マクロ孔形成剤等の試薬を含む混合液を調製し、加水分解反応及び重縮合反応を進行させる。加水分解反応及び重縮合反応が進行すると、ナノメートルサイズのシロキサンオリゴマー一次粒子が形成され、一次粒子の凝集により二次粒子が形成される。これにより、ゾルが形成される。加水分解反応及び重縮合反応がさらに進行すると、シロキサンポリマーが形成され、相分離過程(典型的にはスピノーダル分解)を伴うゾル-ゲル転移が誘起される。相分離過程を伴うゾル-ゲル転移により、骨格相と溶媒相との共連続構造を有するゲル(湿潤ゲル)が形成される。マクロ孔を有するシリカ多孔体は、骨格相と溶媒相との共連続構造を有するゲルを、必要に応じて乾燥した後、焼成することにより製造することができる。ゲルの骨格相からは、シリカ多孔体の骨格が形成され、ゲルの溶媒相からは、シリカ多孔体のマクロ孔が形成される。
【0005】
しかしながら、加水分解反応は発熱を伴うため、均質なゾルが形成される前に、ゾル-ゲル転移が相分離過程を伴わずに局所的に進行し、ゲルにおける骨格相と溶媒相との共連続構造の形成、ひいては、シリカ多孔体におけるマクロ孔の形成が不均一又は不十分となるという問題点がある。
【0006】
このような問題点を考慮して、特許文献1では、ゾル調製工程において、シリカ前駆体、触媒、マクロ孔形成剤等の各種試薬を含む混合液に氷を添加することにより、混合液の温度上昇を抑制する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の方法を用いてゾルを工業的に製造する場合、混合液が収容される容器のサイズを大きくして混合液の量を増加させること、あるいは、混合液が収容される容器の数を増やして混合液の量を増加させることが必要となる。
【0009】
しかしながら、容器のサイズを大きくして混合液の量を増加させる場合、混合液への氷の添加により混合液の温度上昇を効果的に抑制することは困難である。また、混合液の温度上昇を抑制するためには、大量の氷が必要となる。大量の氷が混合液に添加されると、混合液中の試薬濃度が変化するため、混合液中の試薬濃度を管理することが困難である。
【0010】
一方、容器の数を増やして混合液の量を増加させる場合、容器間で、混合液中の試薬濃度のバラツキが生じるため、混合液中の試薬濃度を管理することが困難である。
【0011】
したがって、特許文献1に記載の方法では、混合液を効果的に冷却しながら、混合液のゾル化(加水分解反応及び重縮合反応)を十分に管理された条件下で進行させ、均質なゾルを工業的に製造すること、ひいては、相分離過程(典型的にはスピノーダル分解)を伴うゾル-ゲル転移を誘起させ、骨格相と溶媒相との共連続構造を有するゲルを製造すること、及び、マクロ孔を有するシリカ多孔体を製造することは困難である。
【0012】
そこで、本発明は、混合液を効果的に冷却しながら、混合液のゾル化を十分に管理された条件下で進行させ、均質なゾルを工業的に製造することができるゾル製造装置及びゾル製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
また、本発明は、上記ゾル製造装置又はゾル製造方法により製造されたゾルを用いて、相分離過程を伴うゾル-ゲル転移を誘起させ、骨格相と溶媒相との共連続構造を有するゲルを製造するためのゲル製造装置又はゲル製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
さらに、本発明は、上記ゲル製造装置又はゲル製造方法により製造されたゲルを用いて、マクロ孔を有するシリカ多孔体を製造するためのシリカ多孔体製造装置及びシリカ多孔体製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、本発明は、以下の装置及び方法を提供する。
[1]マクロ孔を有するシリカ多孔体の製造に用いられるゾルを製造するゾル製造装置であって、
シリカ前駆体、触媒及びマクロ孔形成剤を含む混合液を調製する混合部と、
前記シリカ前駆体を前記混合部に供給する第1供給部と、
前記触媒及び前記マクロ孔形成剤を混合状態で又は別々に前記混合部に供給する第2供給部と、
前記混合部から前記混合液を排出する排出管と、
前記排出管を流れる前記混合液を35℃以下に冷却する冷却部と、
を備える、前記ゾル製造装置。
[2]マクロ孔を有するシリカ多孔体の製造に用いられるゲルを製造するゲル製造装置であって、
前記ゲル製造装置は、ゾル製造部と、ゲル製造部とを備え、
前記ゾル製造部は、
シリカ前駆体、触媒及びマクロ孔形成剤を含む混合液を調製する混合部と、
前記シリカ前駆体を前記混合部に供給する第1供給部と、
前記触媒及び前記マクロ孔形成剤を混合状態で又は別々に前記混合部に供給する第2供給部と、
前記混合部から前記混合液を排出する排出管と、
前記排出管を流れる前記混合液を35℃以下に冷却する冷却部と、
を備え、
前記ゲル製造部は、前記ゾル製造部により製造されたゾルをゲル化温度に加熱する加熱部を備える、前記ゲル製造装置。
[3]マクロ孔を有するシリカ多孔体を製造するシリカ多孔体製造装置であって、
前記シリカ多孔体製造装置は、ゾル製造部と、ゲル製造部と、シリカ多孔体製造部とを備え、
前記ゾル製造部は、
シリカ前駆体、触媒及びマクロ孔形成剤を含む混合液を調製する混合部と、
前記シリカ前駆体を前記混合部に供給する第1供給部と、
前記触媒及び前記マクロ孔形成剤を混合状態で又は別々に前記混合部に供給する第2供給部と、
前記混合部から前記混合液を排出する排出管と、
前記排出管を流れる前記混合液を35℃以下に冷却する冷却部と、
を備え、
前記ゲル製造部は、前記ゾル製造部により製造されたゾルをゲル化温度に加熱する加熱部を備え、
前記シリカ多孔体製造部は、前記ゲル製造部により製造されたゲルを焼成する焼成部を備える、前記シリカ多孔体製造装置。
[4]マクロ孔を有するシリカ多孔体の製造に用いられるゾルを製造する方法であって、
下記工程:
(1A)シリカ前駆体を混合部に供給する工程;
(1B)触媒及びマクロ孔形成剤を混合状態で又は別々に前記混合部に供給する工程;
(1C)前記混合部において、前記シリカ前駆体、前記触媒及び前記マクロ孔形成剤を含む混合液を調製する工程;並びに
(1D)前記混合部に接続された排出管を通じて前記混合部から前記混合液を排出しながら、前記排出管を流れる前記混合液を35℃以下に冷却する工程
を含む、前記方法。
[5]マクロ孔を有するシリカ多孔体の製造に用いられるゲルを製造する方法であって、下記工程:
(2A)[4]に記載の方法によりゾルを製造する工程;及び
(2B)工程2Aで製造された前記ゾルをゲル化温度に加熱し、前記ゲルを製造する工程
を含む、前記方法。
[6]マクロ孔を有するシリカ多孔体を製造する方法であって、下記工程:
(3A)[4]に記載の方法によりゾルを製造する工程;
(3B)工程3Aで製造された前記ゾルをゲル化温度に加熱し、ゲルを製造する工程;及び
(3C)工程3Bで製造された前記ゲルを焼成し、前記シリカ多孔体を製造する工程
を含む、前記方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、混合液を効果的に冷却しながら、混合液のゾル化を十分に管理された条件下で進行させ、均質なゾルを工業的に製造することができるゾル製造装置及びゾル製造方法が提供される。また、本発明によれば、上記ゾル製造装置又はゾル製造方法により製造されたゾルを用いて、相分離過程を伴うゾル-ゲル転移を誘起させ、骨格相と溶媒相との共連続構造を有するゲルを製造するためのゲル製造装置又はゲル製造方法が提供される。さらに、本発明によれば、上記ゲル製造装置又はゲル製造方法により製造されたゲルを用いて、マクロ孔を有するシリカ多孔体を製造するためのシリカ多孔体製造装置及びシリカ多孔体製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、一実施形態に係るゾル製造装置の構成を示す概略図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係るゾル製造部の構成を示す概略図である。
【
図3】
図3は、第2実施形態に係るゾル製造部の構成を示す概略図である。
【
図4】
図4は、第3実施形態に係るゾル製造部の構成を示す概略図である。
【
図5】
図5は、第4実施形態に係るゾル製造部の構成を示す概略図である。
【
図6】
図6は、第5実施形態に係るゾル製造部の構成を示す概略図である。
【
図7】
図7は、第1~第5実施形態に係るゾル製造部の第1変形例を示す概略図である。
【
図8】
図8は、第1~第5実施形態に係るゾル製造部の第2変形例を示す概略図である。
【
図9】
図9は、第1~第5実施形態に係るゾル製造部の第3変形例を示す概略図である。
【
図10】
図10は、混合器において、シリカ前駆体、触媒及びマクロ孔形成剤を含む混合液を調製する工程を説明するための概略断面図である。
【
図11】
図11は、一実施形態に係るゲル製造装置の構成を示す概略図である。
【
図12】
図12は、一実施形態に係るゲル製造部が備える加熱部及びゾル供給部の構成を示す概略図である。
【
図13】
図13は、一実施形態に係るシリカ多孔体製造装置の構成を示す概略図である。
【
図14】
図14は、一実施形態に係るシリカ多孔体製造部の構成を示す概略図である。
【
図15】
図15は、実施例1で作製したシリカモノリスの表面の構造を走査型電子顕微鏡(SEM)で確認したSEM画像である。
【
図16】
図16は、実施例2~5で作製したシリカモノリスの表面の構造を走査型電子顕微鏡(SEM)で確認したSEM画像である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0019】
≪ゾル製造装置≫
以下、
図1に基づいて、本発明の一実施形態に係るゾル製造装置1について説明する。
図1は、ゾル製造装置1の構成を示す概略図である。
【0020】
ゾル製造装置1は、ゾル製造部10と、ゾル製造部10の動作を制御する制御部C1とを備える。
【0021】
ゾル製造部10は、ゾルを製造するための各種処理を行う。ゾル製造部10が行う各種処理については後述する。
【0022】
制御部C1は、例えばコンピュータであり、主制御部と記憶部とを備える。主制御部は、例えばCPU(Central Processing Unit)であり、記憶部に記憶されたプログラム、データ等を読み出して実行することにより、ゾル製造部10の動作を制御する。記憶部は、例えばRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、ハードディスク等の記憶デバイスで構成されており、ゾル製造部10において実行される処理を制御するためのプログラム、データ等を記憶する。プログラムは、コンピュータにより読み取り可能な記憶媒体に記録されたものであってもよいし、記憶媒体から記憶部にインストールされたものであってもよい。記録媒体には、例えば、ゾル製造装置1の動作を制御するためのコンピュータにより実行されたときに、コンピュータがゾル製造装置1を制御して後述するゾル製造方法を実行させるプログラムが記録される。
【0023】
≪ゾル製造部≫
以下、
図2~6に基づいて、ゾル製造部10の実施形態について説明する。
【0024】
<第1実施形態>
以下、
図2に基づいて、第1実施形態に係るゾル製造部10Aについて説明する。
図2は、ゾル製造部10Aの構成を示す概略図である。
図2中の矢印は、液体が流れる方向を示す。
【0025】
ゾル製造部10Aは、シリカ前駆体、触媒及びマクロ孔形成剤を含む混合液Mを調製する混合部11と、シリカ前駆体を混合部11に供給する第1供給部12と、触媒及びマクロ孔形成剤を混合状態で混合部11に供給する第2供給部13Aと、混合部11から混合液Mを排出する排出管14と、排出管14を流れる混合液Mを35℃以下に冷却する冷却部15とを備える。ゾル製造部10Aは、排出管14から排出される混合液Mを回収する回収用容器17を備えていてもよい。
【0026】
第1供給部12は、シリカ前駆体を含む原料液L1を貯留する貯留槽121と、貯留槽121中の原料液L1を混合部11に供給する供給管122と、供給管122に設けられたポンプ123とを備える。
【0027】
第1供給部12は、ポンプ123の吸込力及び吐出力を利用して、貯留槽121中の原料液L1を、供給管122を通じて、混合部11に供給する。こうして、シリカ前駆体は、第1供給部12により、原料液L1の形態で混合部11に供給される。
【0028】
シリカ前駆体は、加水分解性官能基を有するケイ素化合物である。ケイ素化合物が有する加水分解性官能基の数は、1又は2であってもよいが、シロキサン結合(-Si-O-Si-)による高度架橋構造を有するゲルを製造する観点から、3以上であることが好ましく、4であることがより好ましい。ケイ素化合物が有する加水分解性官能基の数が2以上である場合、2以上の加水分解性官能基の種類は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0029】
加水分解性官能基は、加水分解によりヒドロキシ基に変換される官能基である。加水分解性官能基としては、例えば、アルコキシ基、アセトキシ基、ハロゲン化物基、ヒドロシリル基等が挙げられるが、アルコキシ基であることが好ましい。アルコキシ基は、炭素数1~10のアルコキシ基であることが好ましく、炭素数1~5のアルコキシ基であることがより好ましく、メトキシ基、エトキシ基及びプロピル基であることがより一層好ましい。アルコキシ基は、直鎖状であってもよいし、分岐鎖状であってもよい。
【0030】
加水分解性官能基を有するケイ素化合物は、加水分解性官能基以外の官能基を有していてもよい。加水分解性官能基以外の官能基としては、アルキル基、アルケニル基、フェニル基、フェノキシ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、エポキシ基、アルデヒド基、チオール基、アミノ基、アクリロイル基、メタクリロイル基等が挙げられる。アルキル基は、炭素数1~10のアルキル基であることが好ましく、炭素数1~5のアルキル基であることがより好ましく、メチル基、エチル基及びプロピル基であることがより一層好ましい。アルキル基は、直鎖状であってもよいし、分岐鎖状であってもよい。アルケニル基は、炭素数2~10のアルケニル基であることが好ましく、炭素数2~5のアルケニル基であることがより好ましく、ビニル基であることがより一層好ましい。アルケニル基は、直鎖状であってもよいし、分岐鎖状であってもよい。
【0031】
加水分解性官能基を有するケイ素化合物は、アルコキシシランであることが好ましい。アルコキシシランとしては、テトラアルコキシシラン、トリアルコキシシラン、ジアルコキシシラン、モノアルコキシシラン等が挙げられるが、これらのうち、加水分解反応及び重縮合反応を進行させ易くする観点から、テトラアルコキシシラン、トリアルコキシシラン及びジアルコキシシランが好ましく、テトラアルコキシシラン及びトリアルコキシシランがより好ましく、テトラアルコキシシランがより一層好ましい。
【0032】
テトラアルコキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン等が挙げられる。
【0033】
トリアルコキシシランとしては、トリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、トリプロポキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、エチルトリプロポキシシラン等が挙げられる。
【0034】
ジアルコキシシランとしては、例えば、メチルジメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、エチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、エチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン等が挙げられる。
【0035】
モノアルコキシシランとしては、例えば、ジメチルメトキシシラン、ジメチルエトキシシラン等が挙げられる。
【0036】
原料液L1は、溶媒を含んでいてもよい。一実施形態において、溶媒は、水である。別の実施形態において、溶媒は、水と有機溶媒との混合溶媒である。有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、2-プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類等が挙げられる。溶媒として水と有機溶媒との混合溶媒を用いる場合、有機溶媒の含有量は、混合溶媒の質量を基準として、65質量%以下であることが好ましい。
【0037】
シリカ前駆体が常温で液体である場合、原料液L1は、溶媒を含まず、シリカ前駆体単独で構成されていてもよい。
【0038】
供給管122には、供給管122を流れる原料液L1の流量を検出する流量計124が設けられていてもよい。
【0039】
供給管122には、供給管122を流れる原料液L1の流量を調整する流量調整器125が設けられていてもよい。流量調整器125は、例えば、バルブである。流量調整器125は、流量計124により検出された原料液L1の流量に基づいて、供給管122を流れる原料液L1の流量を調整してもよい。
【0040】
なお、
図2には、一実施形態として、ポンプ123、流量計124、流量調整器125が原料液L1の流れ方向に順に並んだ構成が示されているが、例えば、ポンプ123として流量調整機能を兼ね備えたものを用いることにより流量調整器125を省略した設計としてもよいし、流量計124及び流量調整器125の配置順序を逆にした設計としてもよい。以下に説明する各実施形態、各変形例等においても同様の設計変更が可能である。
【0041】
第2供給部13Aは、触媒及びマクロ孔形成剤を含む原料液L2を貯留する貯留槽131と、貯留槽131中の原料液L2を混合部11に供給する供給管132と、供給管132に設けられたポンプ133とを備える。
【0042】
第2供給部13Aは、ポンプ133の吸込力及び吐出力を利用して、貯留槽131中の原料液L2を、供給管132を通じて、混合部11に供給する。こうして、触媒及びマクロ孔形成剤は、第2供給部13Aにより、原料液L2の形態で(すなわち、混合状態で)混合部11に供給される。
【0043】
触媒は、加水分解反応の触媒として機能する。触媒としては、例えば、酸、塩基等が挙げられる。酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸;ギ酸、酢酸、シュウ酸、クエン酸等の有機酸が挙げられる。塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、トリメチルアンモニウム等のアミン類、tert-ブチルアンモニウムヒドロキシド等のアンモニウムヒドロキシド類、ソディウムメトキシド等のアルカリ金属アルコキシド類等が挙げられる。
【0044】
マクロ孔形成剤は、シリカ多孔体におけるマクロ孔の形成に寄与する。マクロ孔形成剤としては、例えば、水溶性ポリマー、界面活性剤等が挙げられるが、これらのうち、水溶性ポリマーが好ましい。水溶性ポリマーは、相分離過程(典型的にはスピノーダル分解)を伴うゾル-ゲル転移を誘起し、ゲルにおける骨格相と溶媒相との共連続構造の形成、ひいては、シリカ多孔体におけるマクロ孔の形成に寄与する。
【0045】
水溶性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコールブロック共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム塩、ポリアリルアミン塩酸塩等が挙げられる。
【0046】
相分離過程(典型的にはスピノーダル分解)を効率的に行う観点から、水溶性ポリマーの重量平均分子量は、8000以上15000以下であることが好ましい。重量平均分子量は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)により測定される。
【0047】
界面活性剤としては、例えば、セチルトリメチルアンモニウムクロリド等の陽イオン性界面活性剤、ドデシル硫酸ナトリウム等の陰イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等の非イオン性界面活性剤等が挙げられる。
【0048】
原料液L2は、溶媒を含んでいてもよい。原料液L1に含まれる溶媒に関する上記説明は、原料液L2に含まれる溶媒にも適用される。
【0049】
原料液L2は、メソ孔形成剤を含んでいてもよい。メソ孔形成剤は、シリカ多孔体におけるメソ孔の形成に寄与する。メソ孔形成剤としては、例えば、窒素化合物等が挙げられる。メソ孔形成剤として使用可能な窒素化合物としては、例えば、尿素、ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等のアミド化合物;ヘキサメチレンテトラミン等の複素環化合物等が挙げられるが、これらのうち、効率的なメソ孔形成の観点から、尿素が好ましい。
【0050】
原料液L2がメソ孔形成剤を含む場合、メソ孔形成剤は、第2供給部13Aにより、原料液L2の形態で(すなわち、触媒及びマクロ孔形成剤との混合状態で)混合部11に供給される。
【0051】
供給管132には、供給管132を流れる原料液L2の流量を検出する流量計134が設けられていてもよい。
【0052】
供給管132には、供給管132を流れる原料液L2の流量を調整する流量調整器135が設けられていてもよい。流量調整器135は、例えば、バルブである。流量調整器135は、流量計134により検出された原料液L2の流量に基づいて、供給管132を流れる原料液L2の流量を調整してもよい。
【0053】
混合部11は、合流部111と、混合器112と、合流部111及び混合器112を接続する接続管113とを備える。
【0054】
合流部111は、供給管122と供給管132とを合流させる部分である。供給管122により供給される原料液L1と、供給管132により供給される原料液L2とは、合流部111で合流する。合流部111は、例えば、T字管、Y字管等により構成してもよいし、スタティックミキサー、ダイナミックミキサー等により構成してもよい。スタティックミキサー及びダイナミックミキサーについては後述する。なお、合流部111に関する上記説明は、後述する第2実施形態~第5実施形態における合流部(合流部130等)にも適用される。
【0055】
混合器112は、混合管112aと、混合管112a内に設けられたミキシング部112bとを備える。混合器112は、一般的にラインミキサー又はインラインミキサーと呼ばれる混合器であり、混合管112aを流れる液体をミキシング部112bにより混合する。
【0056】
接続管113の一端は、合流部111に接続しており、接続管113の他端は、混合管112aの上流側の端部に形成された流入口に接続している。合流部111で合流した原料液L1及びL2は、接続管113及び混合管112aの流入口を通じて、混合管112a内に流入する。なお、接続管113は、合流部111を構成する管及び/又は混合器111の混合管112aと一体であってもよい(すなわち、接続管113並びに合流部111を構成する管及び/又は混合器111の混合管112aは、1つの管で構成されていてもよい)。
【0057】
ミキシング部112bは、混合管112a内に流入し、混合管112a内を下流側に向かって流れる原料液L1及びL2を混合し、シリカ前駆体、触媒及びマクロ孔形成剤を含む混合液Mを調製する。原料液L2がメソ孔形成剤を含む場合、混合液Mは、メソ孔形成剤をさらに含む。
【0058】
混合器112としては、例えば、スタティックミキサー、ダイナミックミキサー等が挙げられる。
【0059】
スタティックミキサーは、動力を利用せずに、原料液L1及びL2を混合し、混合液Mを調製する。スタティックミキサーにおけるミキシング部112bは、例えば、ねじれ羽根状(長方形の板をその長手方向の中心軸を中心として所定のねじり角度でねじった形状)のミキシングエレメントを備える。スタティックミキサーにおけるミキシング部112bは、原料液L1及びL2に対して、分割、再合流、流れの反転等を施すことにより、動力を利用せずに、原料液L1及びL2を混合し、混合液Mを調製する。
【0060】
ダイナミックミキサーは、動力を利用して、原料液L1及びL2を混合し、混合液Mを調製する。ダイナミックミキサーとしては、例えば、ホモジナイザー、ホモミキサー等が挙げられる。ダイナミックミキサーにおけるミキシング部112bは、例えば、シャフトと、シャフトに設けられた撹拌羽根と、シャフトを回転させる駆動部とを備え、駆動部によりシャフト及び撹拌羽根を回転させることにより、原料液L1及びL2を混合し、混合液Mを調製する。
【0061】
ミキシング部112bにより調製された混合液Mは、混合管112a内を下流側に向かって流れ、混合管112aの下流側の端部に形成された流出口から混合管112a外に流出する。
【0062】
混合管112aの流出口には、排出管14の一端が接続されており、混合管112aの流出口から流出する混合液Mは、排出管14を流れ、排出管14の他端から排出される。排出管14の他端から排出される混合液Mは、例えば、回収用容器17で回収される。
【0063】
冷却部15は、冷却槽151と、冷却槽151に収容された冷却媒体152とを備える。
【0064】
排出管14の少なくとも一部は、冷却部15の冷却媒体152と接触しており、排出管14を流れる混合液Mは、冷却媒体152により冷却される。冷却媒体152が冷却水等の液体である場合、排出管14のうち冷却媒体152に浸漬される部分が、冷却媒体152と接触する。
【0065】
排出管14のうち冷却媒体152と接触している部分の形状は、直線状であってもよいし、蛇行状又は螺旋状であってもよい。
【0066】
排出管14を流れる混合液Mが冷却媒体152により冷却される時間(すなわち、混合液Mが、排出管14のうち冷却媒体152と接触している部分を流れるのに要する時間)は、冷却媒体152による冷却効果を向上させる観点から、1秒以上であることが好ましく、3秒以上であることがより好ましい。上限は適宜調整可能であるが、相分離過程(典型的にはスピノーダル分解)を適切に進行させる観点から、50分以下であることが好ましい。
【0067】
排出管14を流れる混合液Mが冷却媒体152により冷却される時間は、排出管14のうち冷却媒体152と接触している部分の内径及び長さ、排出管14を流れる混合液Mの流量等を調整することにより、調整可能である。
【0068】
排出管14のうち冷却媒体152と接触している部分の内径は、冷却媒体152による冷却効果を向上させる観点から、0.5mm以上200mm以下であることが好ましく、0.5mm以上100mm以下であることがより好ましい。
【0069】
排出管14のうち冷却媒体152と接触している部分の長さは、冷却媒体152による冷却効果を向上させる観点から、50mm以上10000mm以下であることが好ましく、50mm以上8000mm以下であることがより好ましい。
【0070】
排出管14を流れる混合液Mの流量は、冷却媒体152による冷却効果を向上させる観点から、5mL/分以上3000mL/分以下であることが好ましく、10mL/分以上500mL/分以下であることがより好ましい。
【0071】
冷却部15は、冷却槽151に冷却媒体152を供給する冷却媒体供給部153と、冷却槽151から冷却媒体152を排出する冷却媒体排出部154とを備えていてもよい。
【0072】
冷却媒体152は、例えば、冷却水等の液体である。冷却媒体152は、気体であってもよい。
【0073】
冷却媒体152は、排出管14の外周面と接触し、排出管14を流れる混合液Mを冷却する。本実施形態では、排出管14の外周面と冷却媒体152とが直接接触しているが、排出管14の外周面と冷却媒体152とは、金属等の熱伝導率が高い材料で構成された部材を介して、間接的に接触していてもよい。例えば、冷却媒体152を流通させた冷却管(不図示)の外周面に、排出管14が巻き付けられていてもよい。
【0074】
冷却部15は、冷却媒体152により、排出管14を流れる混合液Mを35℃以下に冷却する。これにより、混合液Mを効果的に冷却しながら、混合液Mのゾル化を十分に管理された条件下で進行させ、均質なゾルを工業的に製造することが可能となる。また、こうして製造されたゾルを用いて、相分離過程を伴うゾル-ゲル転移を誘起させ、骨格相と溶媒相との共連続構造を有するゲルを製造すること、及び、マクロ孔を有するシリカ多孔体を製造することが可能となる。
【0075】
「35℃以下」という混合液Mの温度は、冷却部15により冷却された直後の混合液Mの温度である。冷却部15により冷却された直後の混合液Mの温度は、例えば、混合液Mが冷却媒体152により冷却された後であって、混合液Mが回収用容器17に回収される前に検出される。
【0076】
排出管14のうち冷却媒体152と接触している部分の下流側には、排出管14を流れる混合液Mの温度を検出する温度計16が設けられていてもよい。
【0077】
冷却部15により冷却された直後の混合液Mの温度は、例えば、温度計16により検出される。
【0078】
冷却部15により冷却された直後の混合液Mの温度は、マクロ孔の適切な形成を可能とする均質なゾルを得る観点から、35℃以下であることが好ましく、30℃以下であることがより好ましい。下限は、混合液Mが凍らない程度の温度であればよく、具体的には1℃又は2℃程度であることが好ましい。
【0079】
冷却媒体152の温度は、排出管14を流れる混合液Mが35℃以下に冷却されるように調整される。冷却媒体152の温度は、冷却媒体152による冷却効果を向上させる観点から、-5℃以上30℃以下であることが好ましく、0℃以上30℃以下であることがより好ましい。
【0080】
冷却部15は、温度計16により検出された混合液Mの温度に基づいて、冷却媒体152の温度を調整してもよい。例えば、冷却部15は、温度計16により検出された混合液Mの温度に基づいて、冷却媒体供給部153により供給される冷却媒体152の温度及び/又は流量、冷却媒体排出部154により排出される冷却媒体152の流量等を調整してもよい。
【0081】
<第2実施形態>
以下、
図3に基づいて、第2実施形態に係るゾル製造部10Bについて説明する。
図3は、ゾル製造部10Bの構成を示す概略図である。
図3中の矢印は、液体が流れる方向を示す。
【0082】
ゾル製造部10Bは、シリカ前駆体、触媒及びマクロ孔形成剤を含む混合液Mを調製する混合部11と、シリカ前駆体を混合部11に供給する第1供給部12と、触媒及びマクロ孔形成剤を混合状態で混合部11に供給する第2供給部13Bと、混合部11から混合液Mを排出する排出管14と、排出管14を流れる混合液Mを35℃以下に冷却する冷却部15とを備える。ゾル製造部10Bは、排出管14を通じて排出される混合液Mを回収する回収用容器17を備えていてもよい。
【0083】
ゾル製造部10Bの構成のうち、ゾル製造部10Aと同一の符号で示されている構成については、別段規定される場合を除き、ゾル製造部10Aに関する上記説明が適用される。以下、ゾル製造部10Bの構成のうち、ゾル製造部10Aと異なる構成について説明する。
【0084】
ゾル製造部10Bは、第2供給部13Bが採用されている点で、ゾル製造部10Aと異なる。
【0085】
第2供給部13Bは、触媒を含む原料液L2aを貯留する貯留槽131aと、貯留槽131a中の原料液L2aを合流部130に供給する供給管132aと、供給管132aに設けられたポンプ133aとを備える。また、第2供給部13Bは、マクロ孔形成剤を含む原料液L2bを貯留する貯留槽131bと、貯留槽131b中の原料液L2bを合流部130に供給する供給管132bと、供給管132bに設けられたポンプ133bとを備える。また、第2供給部13Bは、合流部130で生じる原料液L2a及びL2bの混合液である混合液L2dを混合部11に供給する供給管132dを備える。
【0086】
第2供給部13Bは、ポンプ133aの吸込力及び吐出力を利用して、貯留槽131a中の原料液L2aを、供給管132aを通じて、合流部130に供給する。また、第2供給部13Bは、ポンプ133bの吸込力及び吐出力を利用して、貯留槽131b中の原料液L2bを、供給管132bを通じて、合流部130に供給する。また、第2供給部13Bは、ポンプ133a及び133bの吐出力を利用して、合流部130で生じた混合液L2dを、供給管132dを通じて、混合部11に供給する。こうして、触媒及びマクロ孔形成剤は、第2供給部13Bにより、混合液L2dの形態で(すなわち、混合状態で)混合部11に供給される。
【0087】
合流部130は、供給管132aと供給管132bとを合流させる部分である。供給管132aにより供給される原料液L2aと、供給管132bにより供給される原料液L2bとは、合流部130で合流する。
【0088】
触媒に関する上記説明は、原料液L2aに含まれる触媒にも適用され、マクロ孔形成剤に関する上記説明は、原料液L2bに含まれるマクロ孔形成剤にも適用される。
【0089】
原料液L2a及びL2bは、溶媒を含んでいてもよい。原料液L1に含まれる溶媒に関する上記説明は、原料液L2a及びL2bに含まれる溶媒にも適用される。
【0090】
触媒が常温で液体である場合、原料液L2aは、溶媒を含まず、触媒単独で構成されていてもよい。マクロ孔形成剤が常温で液体である場合、原料液L2bは、溶媒を含まず、マクロ孔形成剤単独で構成されていてもよい。
【0091】
原料液L2a及び/又はL2bは、メソ孔形成剤を含んでいてもよい。メソ孔形成剤に関する上記説明は、原料液L2a及び/又はL2bに含まれるメソ孔形成剤にも適用される。
【0092】
原料液L2a及び/又はL2bがメソ孔形成剤を含む場合、メソ孔形成剤は、第2供給部13Bにより、混合液L2dの形態で(すなわち、触媒及びマクロ孔形成剤との混合状態で)混合部11に供給される。
【0093】
供給管132aには、供給管132aを流れる原料液L2aの流量を検出する流量計134aが設けられていてもよい。
【0094】
供給管132aには、供給管132aを流れる原料液L2aの流量を調整する流量調整器135aが設けられていてもよい。流量調整器135aは、例えば、バルブである。流量調整器135aは、流量計134aにより検出された原料液L2aの流量に基づいて、供給管132aを流れる原料液L2aの流量を調整してもよい。
【0095】
供給管132bには、供給管132bを流れる原料液L2bの流量を検出する流量計134bが設けられていてもよい。
【0096】
供給管132bには、供給管132bを流れる原料液L2bの流量を調整する流量調整器135bが設けられていてもよい。流量調整器135bは、例えば、バルブである。流量調整器135bは、流量計134bにより検出された原料液L2bの流量に基づいて、供給管132bを流れる原料液L2bの流量を調整してもよい。
【0097】
供給管132aと供給管132bとは、合流部130で合流している。供給管132aにより供給される原料液L2aと、供給管132bにより供給される原料液L2bとは、合流部130で合流し、原料液L2a及びL2bの混合液である混合液L2dが生じる。合流部130で生じた混合液L2dは、供給管132dにより混合部11に供給される。
【0098】
混合部11の合流部111は、供給管122と供給管132dとを合流させる部分である。供給管122により供給される原料液L1と、供給管132dにより供給される混合液L2dとは、合流部111で合流する。合流部111で合流した原料液L1及び混合液L2dは、接続管113及び混合管112aの流入口を通じて、混合管112a内に流入する。
【0099】
混合器112のミキシング部112bは、混合管112a内に流入し、混合管112a内を下流側に向かって流れる原料液L1及び混合液L2dを混合し、シリカ前駆体、触媒及びマクロ孔形成剤を含む混合液Mを調製する。原料液L2a及び/又はL2bがメソ孔形成剤を含む場合、混合液Mは、メソ孔形成剤をさらに含む。
【0100】
<第3実施形態>
以下、
図4に基づいて、第3実施形態に係るゾル製造部10Cについて説明する。
図4は、ゾル製造部10Cの構成を示す概略図である。
図4中の矢印は、液体が流れる方向を示す。
【0101】
ゾル製造部10Cは、シリカ前駆体、触媒及びマクロ孔形成剤を含む混合液Mを調製する混合部11と、シリカ前駆体を混合部11に供給する第1供給部12と、触媒及びマクロ孔形成剤を別々に混合部11に供給する第2供給部13Cと、混合部11から混合液Mを排出する排出管14と、排出管14を流れる混合液Mを35℃以下に冷却する冷却部15とを備える。ゾル製造部10Cは、排出管14を通じて排出される混合液Mを回収する回収用容器17を備えていてもよい。
【0102】
ゾル製造部10Cの構成のうち、ゾル製造部10Bと同一の符号で示されている構成については、別段規定される場合を除き、ゾル製造部10Bに関する上記説明が適用される。以下、ゾル製造部10Cの構成のうち、ゾル製造部10Bと異なる構成について説明する。
【0103】
ゾル製造部10Cは、触媒及びマクロ孔形成剤を別々に混合部11に供給する第2供給部13Cが採用されている点で、ゾル製造部10Bと異なる。
【0104】
第2供給部13Cは、触媒を含む原料液L2aを貯留する貯留槽131aと、貯留槽131a中の原料液L2aを混合部11に供給する供給管132aと、供給管132aに設けられたポンプ133aとを備える。また、第2供給部13Cは、マクロ孔形成剤を含む原料液L2bを貯留する貯留槽131bと、貯留槽131b中の原料液L2bを混合部11に供給する供給管132bと、供給管132bに設けられたポンプ133bとを備える。
【0105】
第2供給部13Cは、ポンプ133aの吸込力及び吐出力を利用して、貯留槽131a中の原料液L2aを、供給管132aを通じて、混合部11に供給する。また、第2供給部13Cは、ポンプ133bの吸込力及び吐出力を利用して、貯留槽131b中の原料液L2bを、供給管132bを通じて、混合部11に供給する。こうして、触媒及びマクロ孔形成剤は、第2供給部13Cにより、それぞれ、原料液L2a及びL2bの形態で(すなわち、別々に)混合部11に供給される。
【0106】
原料液L2aがメソ孔形成剤を含む場合、メソ孔形成剤は、第2供給部13Cにより、原料液L2aの形態で(すなわち、触媒との混合状態で)混合部11に供給される。
【0107】
原料液L2bがメソ孔形成剤を含む場合、メソ孔形成剤は、第2供給部13Cにより、原料液L2bの形態で(すなわち、マクロ孔形成剤との混合状態で)混合部11に供給される。
【0108】
混合部11の合流部111は、供給管122と供給管132aと供給管132bと合流させる部分である。供給管122により供給される原料液L1と、供給管132aにより供給される原料液L2aと、供給管132bにより供給される原料液L2bとは、合流部111で合流する。合流部111で合流した原料液L1、L2a及びL2bは、接続管113及び混合管112aの流入口を通じて、混合管112a内に流入する。
【0109】
混合器112のミキシング部112bは、混合管112a内に流入し、混合管112a内を下流側に向かって流れる原料液L1、L2a及びL2bを混合し、シリカ前駆体、触媒及びマクロ孔形成剤を含む混合液Mを調製する。原料液L2a及び/又はL2bがメソ孔形成剤を含む場合、混合液Mは、メソ孔形成剤をさらに含む。
【0110】
<第4実施形態>
以下、
図5に基づいて、第4実施形態に係るゾル製造部10Dについて説明する。
図5は、ゾル製造部10Dの構成を示す概略図である。
図5中の矢印は、液体が流れる方向を示す。
【0111】
ゾル製造部10Dは、シリカ前駆体、触媒、マクロ孔形成剤及びメソ孔形成剤を含む混合液Mを調製する混合部11と、シリカ前駆体を混合部11に供給する第1供給部12と、触媒、マクロ孔形成剤及びメソ孔形成剤を混合状態で混合部11に供給する第2供給部13Dと、混合部11から混合液Mを排出する排出管14と、排出管14を流れる混合液Mを35℃以下に冷却する冷却部15とを備える。ゾル製造部10Dは、排出管14を通じて排出される混合液Mを回収する回収用容器17を備えていてもよい。
【0112】
ゾル製造部10Dの構成のうち、ゾル製造部10Bと同一の符号で示されている構成については、別段規定される場合を除き、ゾル製造部10Bに関する上記説明が適用される。以下、ゾル製造部10Dの構成のうち、ゾル製造部10Bと異なる構成について説明する。
【0113】
ゾル製造部10Dは、触媒、マクロ孔形成剤及びメソ孔形成剤を混合状態で混合部11に供給する第2供給部13Dが採用されている点で、ゾル製造部10Bと異なる。
【0114】
第2供給部13Dは、触媒を含む原料液L2aを貯留する貯留槽131aと、貯留槽131a中の原料液L2aを合流部130に供給する供給管132aと、供給管132aに設けられたポンプ133aとを備える。また、第2供給部13Dは、マクロ孔形成剤を含む原料液L2bを貯留する貯留槽131bと、貯留槽131b中の原料液L2bを合流部130に供給する供給管132bと、供給管132bに設けられたポンプ133bとを備える。また、第2供給部13Dは、メソ孔形成剤を含む原料液L2cを貯留する貯留槽131cと、貯留槽131c中の原料液L2cを合流部130に供給する供給管132cと、供給管132cに設けられたポンプ133cとを備える。また、第2供給部13Dは、合流部130で生じる原料液L2a、L2b及びL2cの混合液である混合液L2eを混合部11に供給する供給管132eを備える。
【0115】
第2供給部13Dは、ポンプ133aの吸込力及び吐出力を利用して、貯留槽131a中の原料液L2aを、供給管132aを通じて、合流部130に供給する。また、第2供給部13Dは、ポンプ133bの吸込力及び吐出力を利用して、貯留槽131b中の原料液L2bを、供給管132bを通じて、合流部130に供給する。また、第2供給部13Dは、ポンプ133cの吸込力及び吐出力を利用して、貯留槽131c中の原料液L2cを、供給管132cを通じて、合流部130に供給する。また、第2供給部13Dは、ポンプ133a、133b及び133cの吐出力を利用して、合流部130で生じた混合液L2eを、供給管132eを通じて、混合部11に供給する。こうして、触媒、マクロ孔形成剤及びメソ孔形成剤は、第2供給部13Dにより、混合液L2eの形態で(すなわち、混合状態で)混合部11に供給される。
【0116】
メソ孔形成剤に関する上記説明は、原料液L2cに含まれるメソ孔形成剤にも適用される。
【0117】
原料液L2cは、溶媒を含んでいてもよい。原料液L1に含まれる溶媒に関する上記説明は、原料液L2cに含まれる溶媒にも適用される。
【0118】
供給管132cには、供給管132cを流れる原料液L2cの流量を検出する流量計134cが設けられていてもよい。
【0119】
供給管132cには、供給管132cを流れる原料液L2cの流量を調整する流量調整器135cが設けられていてもよい。流量調整器135cは、例えば、バルブである。流量調整器135cは、流量計134cにより検出された原料液L2cの流量に基づいて、供給管132cを流れる原料液L2cの流量を調整してもよい。
【0120】
供給管132aと供給管132bと供給管132cとは、合流部130で合流している。供給管132aにより供給される原料液L2aと、供給管132bにより供給される原料液L2bと、供給管132cにより供給される原料液L2cとは、合流部130で合流し、原料液L2a、L2b及びL2cの混合液である混合液L2eが生じる。合流部130で生じた混合液L2eは、供給管132eにより混合部11に供給される。
【0121】
混合部11の合流部111は、供給管122と供給管132eとを合流させる部分である。供給管122により供給される原料液L1と、供給管132eにより供給される混合液L2eとは、合流部111で合流する。合流部111で合流した原料液L1及び混合液L2eは、接続管113及び混合管112aの流入口を通じて、混合管112a内に流入する。
【0122】
混合器112のミキシング部112bは、混合管112a内に流入し、混合管112a内を下流側に向かって流れる原料液L1及び混合液L2eを混合し、シリカ前駆体、触媒、マクロ孔形成剤及びメソ孔形成剤を含む混合液Mを調製する。
【0123】
第2供給部13Dにおいて、供給管132cを、合流部130以外の部分で、供給管132aと合流させてもよい。例えば、供給管132cを、供給管132aのうち合流部130よりも上流側の部分(例えば、流量調整器135aと合流部130との間に位置する部分)で、供給管132aと合流させてもよい。
【0124】
第2供給部13Dにおいて、供給管132cを、合流部130以外の部分で、供給管132bと合流させてもよい。例えば、供給管132cを、供給管132bのうち合流部130よりも上流側の部分(例えば、流量調整器135bと合流部130との間に位置する部分)で、供給管132bと合流させてもよい。
【0125】
第2供給部13Dにおいて、貯留槽131a、供給管132a及びポンプ133aを省略し、触媒を原料液L2bに含ませてもよい。
【0126】
第2供給部13Dにおいて、貯留槽131b、供給管132b及びポンプ133bを省略し、マクロ孔形成剤を原料液L2aに含ませてもよい。
【0127】
<第5実施形態>
以下、
図6に基づいて、第5実施形態に係るゾル製造部10Eについて説明する。
図6は、ゾル製造部10Eの構成を示す概略図である。
図6中の矢印は、液体が流れる方向を示す。
【0128】
ゾル製造部10Eは、シリカ前駆体、触媒、マクロ孔形成剤及びメソ孔形成剤を含む混合液Mを調製する混合部11と、シリカ前駆体を混合部11に供給する第1供給部12と、触媒、マクロ孔形成剤及びメソ孔形成剤を別々に混合部11に供給する第2供給部13Eと、混合部11から混合液Mを排出する排出管14と、排出管14を流れる混合液Mを35℃以下に冷却する冷却部15とを備える。ゾル製造部10Eは、排出管14を通じて排出される混合液Mを回収する回収用容器17を備えていてもよい。
【0129】
ゾル製造部10Eの構成のうち、ゾル製造部10Dと同一の符号で示されている構成については、別段規定される場合を除き、ゾル製造部10Dに関する上記説明が適用される。以下、ゾル製造部10Eの構成のうち、ゾル製造部10Dと異なる構成について説明する。
【0130】
ゾル製造部10Eは、触媒、マクロ孔形成剤及びメソ孔形成剤を別々に混合部11に供給する第2供給部13Eが採用されている点で、ゾル製造部10Dと異なる。
【0131】
第2供給部13Eは、触媒を含む原料液L2aを貯留する貯留槽131aと、貯留槽131a中の原料液L2aを混合部11に供給する供給管132aと、供給管132aに設けられたポンプ133aとを備える。また、第2供給部13Eは、マクロ孔形成剤を含む原料液L2bを貯留する貯留槽131bと、貯留槽131b中の原料液L2bを混合部11に供給する供給管132bと、供給管132bに設けられたポンプ133bとを備える。また、第2供給部13Eは、メソ孔形成剤を含む原料液L2cを貯留する貯留槽131cと、貯留槽131c中の原料液L2cを混合部11に供給する供給管132cと、供給管132cに設けられたポンプ133cとを備える。
【0132】
第2供給部13Eは、ポンプ133aの吸込力及び吐出力を利用して、貯留槽131a中の原料液L2aを、供給管132aを通じて、混合部11に供給する。また、第2供給部13Eは、ポンプ133bの吸込力及び吐出力を利用して、貯留槽131b中の原料液L2bを、供給管132bを通じて、混合部11に供給する。また、第2供給部13Eは、ポンプ133cの吸込力及び吐出力を利用して、貯留槽131c中の原料液L2cを、供給管132cを通じて、混合部11に供給する。こうして、触媒、マクロ孔形成剤及びメソ孔形成剤は、第2供給部13Eにより、それぞれ原料液L2a、L2b及びL2cの形態で(すなわち、別々に)混合部11に供給される。
【0133】
混合部11の合流部111は、供給管122と供給管132aと供給管132bと供給管132cとを合流させる部分である。供給管122により供給される原料液L1と、供給管132aにより供給される原料液L2aと、供給管132bにより供給される原料液L2bと、供給管132cにより供給される原料液L2cとは、合流部111で合流する。合流部111で合流した原料液L1、L2a、L2b及びL2cは、接続管113及び混合管112aの流入口を通じて、混合管112a内に流入する。
【0134】
混合器112のミキシング部112bは、混合管112a内に流入し、混合管112a内を下流側に向かって流れる原料液L1、L2a、L2b及びL2cを混合し、シリカ前駆体、触媒、マクロ孔形成剤及びメソ孔形成剤を含む混合液Mを調製する。
【0135】
第2供給部13Eにおいて、貯留槽131a、供給管132a及びポンプ133aを省略し、触媒を原料液L2bに含ませてもよい。
【0136】
第2供給部13Eにおいて、貯留槽131b、供給管132b及びポンプ133bを省略し、マクロ孔形成剤を原料液L2aに含ませてもよい。
【0137】
<第1変形例>
以下、
図7に基づいて、ゾル製造部10A~10Eの第1変形例について説明する。
図7は、ゾル製造部10A~10Eの第1変形例を示す概略図である。
図7中の矢印は、液体が流れる方向を示す。
【0138】
ゾル製造部10A~10Eの第1変形例は、回収用容器17に収容された混合液Mを撹拌する撹拌部18を備えている。
【0139】
混合液Mの流量が多い場合、マクロ孔の適切な形成を可能とする均質なゾルを調製するために、攪拌部18を設けることが好ましい。具体的には、混合液Mの流量が15mL/分以上である場合、攪拌部18を設けることが好ましい。
【0140】
撹拌部18は、例えば、シャフト181と、シャフト181に設けられた撹拌羽根182と、シャフト181を回転させる駆動部(不図示)とを備え、駆動部によりシャフト181及び撹拌羽根182を回転させることにより、回収用容器17に収容された混合液Mを撹拌する。
【0141】
ゾル製造部10A~10Eの第1変形例は、混合液Mの流速が早い場合に混合液Mの冷却を十分なものとする観点から、回収用容器17に収容された混合液Mを冷却する冷却部19を備えていてもよい。
【0142】
冷却部19は、例えば、回収用容器17の外面に設けられた冷却ジャケット191と、冷却ジャケット191に収容された冷却媒体192とを備え、冷却媒体192により、回収用容器17に収容された混合液Mを冷却する。
【0143】
冷却部19は、冷却ジャケット191に冷却媒体192を供給する冷却媒体供給部193と、冷却ジャケット191から冷却媒体192を排出する冷却媒体排出部194とを備えていてもよい。
【0144】
冷却媒体192は、例えば、冷却水等の液体である。冷却媒体192は、気体であってもよい。
【0145】
<第2変形例>
以下、
図8に基づいて、ゾル製造部10A~10Eの第2変形例について説明する。
図8は、ゾル製造部10A~10Eの第2変形例を示す概略図である。
図8中の矢印は、液体が流れる方向を示す。なお、第2変形例は、排出管14から排出される混合液M又は回収用容器17に収容された混合液Mを第1容器V1、第2容器V2、・・・、第n容器Vnに供給する供給部が設けられた例である。
【0146】
ゾル製造部10A~10Eの第2変形例は、回収用容器17に収容された混合液Mを流路切替部171aに供給する供給管P0と、流路切替部171aに供給された混合液Mをそれぞれ第1容器V1、第2容器V2、・・・、第n容器Vnに供給する供給管P1、P2、・・・、Pnとを備えている。なお、nは2以上の整数である限り特に限定されない。
図8に示す例では、n=3である。
【0147】
供給管P0には、ポンプ172aが設けられており、回収用容器17に収容された混合液Mは、ポンプ172aの吸込力及び吐出力により、流路切替部171aに供給される。
【0148】
供給管P0には、供給管P0を流れる混合液Mの流量を検出する流量計173aが設けられていてもよい。
【0149】
供給管P0には、供給管P0を流れる混合液Mの流量を調整する流量調整器174aが設けられていてもよい。流量調整器174aは、例えば、バルブである。流量調整器174aは、流量計173aにより検出された混合液Mの流量に基づいて、供給管P0を流れる混合液Mの流量を調整してもよい。
【0150】
流路切替部171aは、例えば、流路切替バルブである。流路切替部171aは、例えば、次のように流路を切り替える。まず、流路切替部171aは、混合液Mの流路として、第1容器V1と接続する供給管P1を選択する。これにより、第1容器V1に混合液Mが供給される。第1容器V1に所定量の混合液Mが供給された後、流路切替部171aは、混合液Mの流路を切り換え、混合液Mの流路として、第2容器V2に接続する供給管P2を選択する。これにより、第2容器V2に混合液Mが供給される。第2容器V2に所定量の混合液Mが供給された後、流路切替部171aは、混合液Mの流路を切り換え、混合液Mの流路として、第3容器V3に接続する供給管P3を選択する。これにより、第3容器V3に混合液Mが供給される。同様の工程を繰り返すことにより、第1容器V1、第2容器V2、・・・、第n容器Vnに所定量の混合液Mが供給される。
【0151】
第2変形例は、第1変形例と組み合わせてもよい。
【0152】
第2変形例において、回収用容器17を省略し、排出管14の一端と供給管P0の一端とを接続してもよい。この場合、排出管14及び供給管P0は一体となっていてもよい(すなわち、排出管14及び供給管P0は1つの管で構成されていてもよい)。
【0153】
第2変形例において、第1容器V1、第2容器V2、・・・、第n容器Vnのそれぞれに、第1変形例で説明した攪拌部18及び/又は冷却部19を設けてもよい。
【0154】
<第3変形例>
以下、
図9に基づいて、ゾル製造部10A~10Eの第3変形例について説明する。
図9は、ゾル製造部10A~10Eの第3変形例を示す概略図である。
図9中の矢印は、液体が流れる方向を示す。なお、第3変形例は、排出管14から排出される混合液M又は回収用容器17に収容された混合液Mを第1容器V1、第2容器V2、・・・、第n容器Vnに供給する供給部が設けられた例である。
【0155】
ゾル製造部10A~10Eの第3変形例は、回収用容器17に収容された混合液Mを第1容器V1、第2容器V2、・・・、第n容器Vnに供給するノズルNを備えている。なお、nは2以上の整数である限り特に限定されない。
図9に示す例では、n=4である。
【0156】
ノズルNには、回収用容器17に収容された混合液MをノズルNに供給する供給管Pが接続されている。
【0157】
供給管Pには、ポンプ172bが設けられており、回収用容器17に収容された混合液Mは、ポンプ172bの吸込力及び吐出力により、ノズルNに供給される。
【0158】
供給管Pには、供給管Pを流れる混合液Mの流量を検出する流量計173bが設けられていてもよい。
【0159】
供給管Pには、供給管Pを流れる混合液Mの流量を調整する流量調整器174bが設けられていてもよい。流量調整器174bは、例えば、バルブである。流量調整器174bは、流量計173bにより検出された混合液Mの流量に基づいて、供給管Pを流れる混合液Mの流量を調整してもよい。
【0160】
ノズルNは、ノズル移動機構440により移動可能となっている。ノズル移動機構440は、アーム441と、アーム441に沿って移動可能な駆動機構内蔵型の移動体442と、アーム441を旋回及び昇降させる旋回昇降機構443とを有する。ノズルNは、移動体442に取り付けられている。ノズル移動機構440は、ノズルNを所定の容器の上方に移動させることができる。
【0161】
ノズルNは、例えば、次のようにして、各容器に混合液Mを供給する。ノズル移動機構440は、ノズルNを第1容器V1の上方に移動させる。第1容器V1の上方に移動したノズルNは、第1容器V1に向けて混合液Mを吐出する。これにより、第1容器V1に混合液Mが供給される。第1容器V1に所定量の混合液Mが供給された後、ノズル移動機構440は、ノズルNを第2容器V2の上方に移動させる。第2容器V2の上方に移動したノズルNは、第2容器V2に向けて混合液Mを吐出する。これにより、第2容器V2に混合液Mが供給される。第2容器V2に所定量の混合液Mが供給された後、ノズル移動機構440は、ノズルNを第3容器V3の上方に移動させる。第3容器V3の上方に移動したノズルNは、第3容器V3に向けて混合液Mを吐出する。これにより、第3容器V3に混合液Mが供給される。同様の工程を繰り返すことにより、第1容器V1、第2容器V2、・・・、第n容器Vnに所定量の混合液Mが供給される。
【0162】
第3変形例は、第1変形例と組み合わせてもよい。
【0163】
第3変形例において、回収用容器17を省略し、排出管14の一端と供給管Pの一端とを接続してもよい。この場合、排出管14及び供給管Pは一体となっていてもよい(すなわち、排出管14及び供給管Pは1つの管で構成されていてもよい)。
【0164】
第3変形例において、第1容器V1、第2容器V2、・・・、第n容器Vnのそれぞれに、第1変形例で説明した攪拌部18及び/又は冷却部19を設けてもよい。
【0165】
≪ゾル製造方法≫
以下、ゾル製造装置1により実施されるゾル製造方法について説明する。
【0166】
ゾル製造方法は、下記工程:
(1A)シリカ前駆体を混合部11に供給する工程;
(1B)触媒及びマクロ孔形成剤を混合状態で又は別々に混合部11に供給する工程;
(1C)混合部11において、シリカ前駆体、触媒及びマクロ孔形成剤を含む混合液Mを調製する工程;並びに
(1D)混合部11に接続された排出管14を通じて混合部11から混合液Mを排出しながら、排出管14を流れる混合液Mを35℃以下に冷却する工程
を含む。
【0167】
工程1A~1Dは、ゾル製造部10により実施される。ゾル製造部10の動作は、制御部C1により制御される。すなわち、制御部C1は、ゾル製造部10に、工程1A~1Dを実施させる。
【0168】
<工程1A>
工程1Aは、シリカ前駆体を混合部11に供給する工程である。
【0169】
工程1Aは、例えば、第1供給部12により実施される。第1供給部12は、混合部11に供給されるシリカ前駆体の量、シリカ前駆体が混合部11に供給されるタイミング、シリカ前駆体が混合部11に供給される時間等を調整することができる。したがって、工程1Aが第1供給部12により実施されることにより、シリカ前駆体の供給を十分に管理された条件で行うことができ、混合液Mのゾル化(加水分解反応及び重縮合反応)を十分に管理された条件下で進行させることができる。
【0170】
第1供給部12は、シリカ前駆体を原料液L1の形態で混合部11に供給する。具体的には、第1供給部12は、ポンプ123の吸込力及び吐出力を利用して、貯留槽121中の原料液L1を、供給管122を通じて、混合部11に供給する。
【0171】
第1供給部12は、原料液L1を、所定時間、連続して混合部11に供給する。
【0172】
第1供給部12が原料液L1を連続して供給する時間は、マクロ孔の適切な形成を可能とする均質なゾルが得られるように、供給管122の容量(径及び長さ)、ポンプ123の吸込力及び吐出力等を考慮して適宜調整される。第1供給部12が原料液L1を連続して供給する時間は、例えば、2秒以上である。上限は特に限定されず、製造すべきゾルの量等に応じて適宜調整可能である。
【0173】
第1供給部12が供給する原料液L1の流量は、マクロ孔の適切な形成を可能とする均質なゾルが得られるように、原料液L1の濃度等を考慮して適宜調整される。均質なゾルを効率よく得る観点から、第1供給部12が供給する原料液L1の流量は、3mL/分以上450mL/分以下であることが好ましく、3mL/分以上200mL/分以下であることがより好ましく、3mL/分以上100mL/分以下であることがより一層好ましい。
【0174】
<工程1B>
工程1Bは、触媒及びマクロ孔形成剤を混合状態で又は別々に混合部11に供給する工程である。
【0175】
工程1Cで調製される混合液Mがメソ孔形成剤を含む場合、工程1Bにおいて、メソ孔形成剤を、触媒及びマクロ孔形成剤の一方若しくは両方との混合状態で、又は、触媒及びマクロ孔形成剤とは別々に、混合部11に供給する。
【0176】
工程1Bは、混合部11において、触媒及びマクロ孔形成剤が同時にシリカ前駆体と接触するように行われることが好ましい。
【0177】
工程1Cで調製される混合液Mがメソ孔形成剤を含む場合、工程1Bは、混合部11において、触媒、マクロ孔形成剤及びメソ孔形成剤が同時にシリカ前駆体と接触するように行われることが好ましい。
【0178】
工程1Bは、例えば、第2供給部13A、13B、13C、13D又は13Eにより実施される。第2供給部13A、13B、13C、13D又は13Eは、混合部11に供給されるマクロ孔形成剤及び場合によりメソ孔形成剤の量、マクロ孔形成剤及び場合によりメソ孔形成剤が混合部11に供給されるタイミング、マクロ孔形成剤及び場合によりメソ孔形成剤が混合部11に供給される時間等を調整することができる。したがって、工程1Bが第2供給部13A、13B、13C、13D又は13Eにより実施されることにより、触媒、マクロ孔形成剤及び場合によりメソ孔形成剤の供給を十分に管理された条件で行うことができ、混合液Mのゾル化(加水分解反応及び重縮合反応)を十分に管理された条件下で進行させることができる。
【0179】
工程1Bが第2供給部13Aにより実施される場合、第2供給部13Aは、触媒、マクロ孔形成剤及び場合によりメソ孔形成剤を原料液L2の形態で(すなわち、混合状態で)混合部11に供給する。具体的には、第2供給部13Aは、ポンプ133の吸込力及び吐出力を利用して、貯留槽131中の原料液L2を、供給管132を通じて、混合部11に供給する。
【0180】
第2供給部13Aは、原料液L2を、所定時間、連続して混合部11に供給する。
【0181】
第2供給部13Aが原料液L2を連続して供給する時間は、マクロ孔の適切な形成を可能とする均質なゾルが得られるように、供給管132の容量(径及び長さ)、ポンプ133の吸込力及び吐出力等を考慮して適宜調整される。第2供給部13Aが原料液L2を連続して供給する時間は、例えば、2秒以上である。上限は特に限定されず、製造すべきゾルの量等に応じて適宜調整可能である。
【0182】
なお、第2供給部13Bが混合液L2dを連続して供給する時間、第2供給部13Cが原料液L2a及びL2bを連続して供給する時間、第2供給部13Dが混合液L2eを連続して供給する時間、並びに、第2供給部13Eが原料液L2a、L2b及びL2cを連続して供給する時間も、上記と同様の範囲であることが好ましい。
【0183】
第2供給部13Aが供給する原料液L2の流量は、マクロ孔の適切な形成を可能とする均質なゾルが得られるように、原料液L1の濃度等を考慮して適宜調整される。第2供給部13Aが供給する原料液L2の流量は、マクロ孔の適切な形成を可能とする均質なゾルを効率よく得る観点から、3mL/分以上900mL/分以下であることが好ましく、3mL/分以上400mL/分以下であることがより好ましく、3mL/分以上100mL/分以下であることがより一層好ましい。
【0184】
第2供給部13Aによる原料液L2の供給タイミングは、混合部11において、触媒及びマクロ孔形成剤(原料液L2がメソ孔形成剤を含む場合は、触媒、マクロ孔形成剤及びメソ孔形成剤)が同時にシリカ前駆体と接触するように調整されることが好ましい。例えば、第1供給部12が原料液L1を混合部11に連続して供給している間に、第2供給部13Aも原料液L2を混合部11に連続して供給することにより、混合部11において、触媒及びマクロ孔形成剤(原料液L2がメソ孔形成剤を含む場合は、触媒、マクロ孔形成剤及びメソ孔形成剤)を同時にシリカ前駆体と接触させることができる。
【0185】
工程1Bが第2供給部13Bにより実施される場合、第2供給部13Bは、触媒、マクロ孔形成剤及び場合によりメソ孔形成剤を、原料液L2a及びL2bの混合液である混合液L2dの形態で(すなわち、混合状態で)混合部11に供給する。具体的には、第2供給部13Bは、ポンプ133aの吸込力及び吐出力を利用して、貯留槽131a中の原料液L2aを、供給管132aを通じて、合流部130に供給するとともに、ポンプ133bの吸込力及び吐出力を利用して、貯留槽131b中の原料液L2bを、供給管132bを通じて、合流部130に供給する。そして、第2供給部13Bは、ポンプ133a及び133bの吐出力を利用して、合流部130で生じた、原料液L2a及びL2bの混合液である混合液L2dを、供給管132dを通じて、混合部11に供給する。
【0186】
第2供給部13Bは、混合液L2dを、所定時間、連続して混合部11に供給する。
【0187】
第2供給部13Bが供給する原料液L2a及び2bの流量は、原料液L2a及び2bの濃度等を考慮して適宜調整される。マクロ孔の適切な形成を可能とする均質なゾルを効率よく得る観点から、第2供給部13Bが供給する原料液L2a及び2bの流量は、原料液L2a及び2bの合計流量(=混合液L2dの流量)が1mL/分以上900mL/分以下となるように調整されることが好ましい。
【0188】
なお、第2供給部13Cが供給する原料液L2a及び2bの合計流量、並びに、第2供給部13D又は第2供給部13Eが供給する原料液L2a、2b及び2cの合計流量も、上記と同様の範囲であることが好ましい。
【0189】
第2供給部13Bによる混合液L2dの供給タイミングは、混合部11において、触媒及びマクロ孔形成剤(原料液L2a及び/又はL2bがメソ孔形成剤を含む場合は、触媒、マクロ孔形成剤及びメソ孔形成剤)が同時にシリカ前駆体と接触するように調整されることが好ましい。例えば、第1供給部12が原料液L1を混合部11に連続して供給している間に、第2供給部13Bも混合液L2dを混合部11に連続して供給することにより、混合部11において、触媒及びマクロ孔形成剤(原料液L2a及び/又はL2bがメソ孔形成剤を含む場合は、触媒、マクロ孔形成剤及びメソ孔形成剤)を同時にシリカ前駆体と接触させることができる。
【0190】
工程1Bが第2供給部13Cにより実施される場合、第2供給部13Cは、触媒及びマクロ孔形成剤を、原料液L2a及びL2bの形態で(すなわち、別々に)混合部11に供給する。具体的には、第2供給部13Bは、ポンプ133aの吸込力及び吐出力を利用して、貯留槽131a中の原料液L2aを、供給管132aを通じて、混合部11に供給するとともに、ポンプ133bの吸込力及び吐出力を利用して、貯留槽131b中の原料液L2bを、供給管132bを通じて、混合部11に供給する。
【0191】
原料液L2aがメソ孔形成剤を含む場合、第2供給部13Cは、メソ孔形成剤を原料液L2aの形態で(すなわち、触媒との混合状態で)混合部11に供給する。
【0192】
原料液L2bがメソ孔形成剤を含む場合、第2供給部13Cは、メソ孔形成剤を原料液L2bの形態で(すなわち、マクロ孔形成剤との混合状態で)混合部11に供給する。
【0193】
第2供給部13Cは、原料液L2a及びL2bを、所定時間、連続して混合部11に供給する。
【0194】
第2供給部13Cによる原料液L2a及びL2bの供給タイミングは、混合部11において、触媒及びマクロ孔形成剤(原料液L2a及び/又はL2bがメソ孔形成剤を含む場合、触媒、マクロ孔形成剤及びメソ孔形成剤)が同時にシリカ前駆体と接触するように調整されることが好ましい。例えば、第1供給部12が原料液L1を混合部11に連続して供給している間に、第2供給部13Cも原料液L2a及びL2bを混合部11に連続して供給することにより、混合部11において、触媒及びマクロ孔形成剤(原料液L2a及び/又はL2bがメソ孔形成剤を含む場合、触媒、マクロ孔形成剤及びメソ孔形成剤)を同時にシリカ前駆体と接触させることができる。
【0195】
工程1Bが第2供給部13Dにより実施される場合、第2供給部13Dは、触媒、マクロ孔形成剤及びメソ孔形成剤を混合液L2eの形態で(すなわち、混合状態で)混合器11に供給する。具体的には、第2供給部13Dは、ポンプ133aの吸込力及び吐出力を利用して、貯留槽131a中の原料液L2aを、供給管132aを通じて、合流部130に供給する。また、第2供給部13Dは、ポンプ133bの吸込力及び吐出力を利用して、貯留槽131b中の原料液L2bを、供給管132bを通じて、合流部130に供給する。また、第2供給部13Dは、ポンプ133cの吸込力及び吐出力を利用して、貯留槽131c中の原料液L2cを、供給管132cを通じて、合流部130に供給する。そして、第2供給部13Dは、ポンプ133a、133b及び133cの吐出力を利用して、合流部130で生じた、原料液L2a、L2b及びL2cの混合液である混合液L2eを、供給管132eを通じて、混合部11に供給する。
【0196】
第2供給部13Dは、混合液L2eを、所定時間、連続して混合部11に供給する。
【0197】
第2供給部13Dによる混合液L2eの供給タイミングは、混合部11において、触媒、マクロ孔形成剤及びメソ孔形成剤が同時にシリカ前駆体と接触するように調整されることが好ましい。例えば、第1供給部12が原料液L1を混合部11に連続して供給している間に、第2供給部13Dも混合液L2eを混合部11に連続して供給することにより、混合部11において、触媒、マクロ孔形成剤及びメソ孔形成剤を同時にシリカ前駆体と接触させることができる。
【0198】
工程1Bが第2供給部13Eにより実施される場合、第2供給部13Eは、触媒、マクロ孔形成剤及びメソ孔形成剤をそれぞれ原料液L2a、L2b及びL2cの形態で(すなわち、別々に)混合部11に供給する。具体的には、第2供給部13Eは、ポンプ133aの吸込力及び吐出力を利用して、貯留槽131a中の原料液L2aを、供給管132aを通じて、混合部11に供給する。また、第2供給部13Eは、ポンプ133bの吸込力及び吐出力を利用して、貯留槽131b中の原料液L2bを、供給管132bを通じて、混合部11に供給する。また、第2供給部13Eは、ポンプ133cの吸込力及び吐出力を利用して、貯留槽131c中の原料液L2cを、供給管132cを通じて、混合部11に供給する。
【0199】
第2供給部13Eは、原料液L2a、L2b及びL2cを、所定時間、連続して混合部11に供給する。
【0200】
第2供給部13Eによる原料液L2a、L2b及びL2cの供給タイミングは、混合部11において、触媒、マクロ孔形成剤及びメソ孔形成剤が同時にシリカ前駆体と接触するように調整されることが好ましい。例えば、第1供給部12が原料液L1を混合部11に連続して供給している間に、第2供給部13Eも原料液L2a、L2b及びL2cを混合部11に連続して供給することにより、混合部11において、触媒、マクロ孔形成剤及びメソ孔形成剤を同時にシリカ前駆体と接触させることができる。
【0201】
<工程1C>
工程1Cは、混合部11において、シリカ前駆体、触媒及びマクロ孔形成剤を含む混合液Mを調製する工程である。混合液Mは、メソ孔形成剤を含んでいてもよい。
【0202】
工程1Bが第2供給部13Aにより実施される場合、合流部111で合流した原料液L1及びL2は、接続管113及び混合管112aの流入口を通じて、混合管112a内に流入する。
図10の(A)に示すように、ミキシング部112bは、混合管112a内に流入し、混合管112a内を下流側に向かって流れる原料液L1及びL2を混合し、シリカ前駆体、触媒及びマクロ孔形成剤を含む混合液Mを調製する。原料液L2がメソ孔形成剤を含む場合、混合液Mは、メソ孔形成剤をさらに含む。
【0203】
工程1Bが第2供給部13Bにより実施される場合、合流部111で合流した原料液L1及び混合液L2dは、接続管113及び混合管112aの流入口を通じて、混合管112a内に流入する。
図10の(B)に示すように、ミキシング部112bは、混合管112a内に流入し、混合管112a内を下流側に向かって流れる原料液L1及び混合液L2dを混合し、シリカ前駆体、触媒及びマクロ孔形成剤を含む混合液Mを調製する。原料液L2a及び/又はL2bがメソ孔形成剤を含む場合、混合液Mは、メソ孔形成剤をさらに含む。
【0204】
工程1Bが第2供給部13Cにより実施される場合、合流部111で合流した原料液L1、L2a及びL2bは、接続管113及び混合管112aの流入口を通じて、混合管112a内に流入する。
図10の(C)に示すように、ミキシング部112bは、混合管112a内に流入し、混合管112a内を下流側に向かって流れる原料液L1、L2a及びL2bを混合し、シリカ前駆体、触媒及びマクロ孔形成剤を含む混合液Mを調製する。原料液L2a及び/又はL2bがメソ孔形成剤を含む場合、混合液Mは、メソ孔形成剤をさらに含む。
【0205】
工程1Bが第2供給部13Dにより実施される場合、合流部111で合流した原料液L1及び混合液L2eは、接続管113及び混合管112aの流入口を通じて、混合管112a内に流入する。
図10の(D)に示すように、ミキシング部112bは、混合管112a内に流入し、混合管112a内を下流側に向かって流れる原料液L1及び混合液L2eを混合し、シリカ前駆体、触媒、マクロ孔形成剤及びメソ孔形成剤を含む混合液Mを調製する。
【0206】
工程1Bが第2供給部13Eにより実施される場合、合流部111で合流した原料液L1、L2a、L2b及びL2cは、接続管113及び混合管112aの流入口を通じて、混合管112a内に流入する。
図10の(E)に示すように、ミキシング部112bは、混合管112a内に流入し、混合管112a内を下流側に向かって流れる原料液L1、L2a、L2b及びL2cを混合し、シリカ前駆体、触媒、マクロ孔形成剤及びメソ孔形成剤を含む混合液Mを調製する。
【0207】
いずれの場合も、ミキシング部112bにより調製された混合液Mは、混合管112a内を下流側に向かって流れ、混合管112aの下流側の端部に形成された流出口から混合管112a外に流出する。混合管112aの流出口には、排出管14の一端が接続されており、流出口から流出する混合液Mは、排出管14を通じて、連続して排出される。
【0208】
<工程1D>
工程1Dは、混合部11に接続された排出管14を通じて混合部11から混合液Mを排出しながら、排出管14を流れる混合液Mを35℃以下に冷却する工程である。
【0209】
排出管14を流れる混合液Mは、冷却部15の冷却媒体152により冷却される。
【0210】
排出管14を流れる混合液Mが冷却媒体152により冷却される時間(すなわち、混合液Mが、排出管14のうち冷却媒体152と接触している部分を流れるのに要する時間)は、冷却媒体152による冷却効果を向上させる観点から、1秒以上であることが好ましく、3秒以上であることがより好ましい。上限は適宜調整可能であるが、相分離過程(典型的にはスピノーダル分解)を適切に進行させる観点から、50分以下であることが好ましい。
【0211】
排出管14を流れる混合液Mが冷却媒体152により冷却される時間は、排出管14のうち冷却媒体152と接触している部分の内径及び長さ、排出管14を流れる混合液Mの流量等を調整することにより、調整可能である。
【0212】
排出管14のうち冷却媒体152と接触している部分の内径及び長さ並びに排出管14を流れる混合液Mの流量の好ましい範囲は、上記の通りである。
【0213】
混合液Mは、加水分解反応及び重縮合反応の進行に伴ってゾル化する。
【0214】
加水分解反応では、シリカ前駆体が有する加水分解性官能基が加水分解され、ヒドロキシ基が形成される。重縮合反応では、ヒドロキシ基同士間の脱水縮合反応(下記式(1))、及び、ヒドロキシ基と加水分解されていない加水分解性官能基との間の脱アルコール縮合反応(下記式(2))により、シロキサンオリゴマーが形成される。なお、下記式(2)中、-ORは、加水分解されていない加水分解性官能基を表す。
≡Si-OH + HO-Si≡ → ≡Si-O-Si≡ + H2O・・・(1)
≡Si-OR + HO-Si≡ → ≡Si-O-Si≡ + ROH・・・(2)
【0215】
加水分解反応及び重縮合反応がさらに進行すると、ナノメートルサイズのシロキサンオリゴマー一次粒子が形成され、一次粒子の凝集により二次粒子が形成される。これにより、混合液Mは、ゾル化する。
【0216】
加水分解反応及び重縮合反応は、混合液Mが調製された時点から開始し、混合液Mが混合部11内に存在する間だけでなく、混合液Mが排出管14を流れる間も進行する。加水分解反応及び重縮合反応は、混合液Mが回収用容器17に回収された後も進行する。したがって、混合部11内に存在する混合液M、排出管14を流れる混合液M、及び、回収用容器17に回収された混合液Mは、いずれもゾルに該当するが、ゾル化の程度が異なる。
【0217】
混合液Mがゾル化する過程において、排出管14を流れる混合液Mを35℃以下に冷却することにより、マクロ孔の適切な形成を可能とする均質なゾルが得られる。
【0218】
「35℃以下」という混合液Mの温度は、冷却部15により冷却された直後の混合液Mの温度である。冷却部15により冷却された直後の混合液Mの温度は、例えば、混合液Mが冷却媒体152により冷却された後であって、混合液Mが回収用容器17に回収される前に検出される。冷却部15により冷却された直後の混合液Mの温度は、例えば、排出管14のうち冷却媒体152と接触している部分の下流側に設けられた温度計16により検出される。
【0219】
冷却部15により冷却された直後の混合液Mの温度は、マクロ孔の適切な形成を可能とする均質なゾルを得る観点から、35℃以下であることが好ましく、30℃以下であることがより好ましい。下限は、混合液Mが凍らない程度の温度であればよく、具体的には1℃又は2℃程度であることが好ましい。
【0220】
工程1Dの後、排出管14から排出される混合液Mを回収用容器17で回収してもよい。
【0221】
工程1Dの後、回収用容器17に収容された混合液Mを、撹拌部18により撹拌する工程(以下「工程1E」という。)を実施してもよい。これにより、混合液Mのゾル化を所望の程度まで進行させ、マクロ孔の適切な形成を可能とする均質なゾル均質なゾルを調製することができる。混合液Mの流量が多い場合、工程1Eを実施することが好ましい。具体的には、混合液Mの流量が15mL/分以上である場合、工程1Eを実施することが好ましい。
【0222】
撹拌部18による撹拌時間は、ゾル-ゲル反応を適切に行う観点から、好ましくは1分以上30分以下である。
【0223】
工程1Eにおいて、回収用容器17に収容された混合液Mを冷却部19により冷却しながら、撹拌部18による撹拌を行ってもよい。冷却部19は、回収用容器17に収容された混合液Mを10℃以上30℃以下に冷却することが好ましく、20℃以上30℃以下に冷却することがより好ましい。
【0224】
工程1Dの後又は工程1Eの後、排出管14から排出される混合液M又は回収用容器17に収容された混合液Mを第1容器V1、第2容器V2、・・・、第n容器Vnに供給してもよい。混合液Mの第1容器V1、第2容器V2、・・・、第n容器Vnへの供給は、第2変形例又は第3変形例により行うことができる。第1容器V1、第2容器V2、・・・、第n容器Vnのそれぞれに収容された混合液Mに対して、攪拌部18による攪拌及び/又は冷却部19による冷却を施してもよい。
【0225】
工程1A~1Dを含むゾル製造方法は、冷却部15の冷却媒体152により混合液Mを効果的に冷却しながら、混合液Mのゾル化を十分に管理された条件下で進行させ、均質なゾルを工業的に製造することができる。また、こうして製造されたゾルを用いて、相分離過程を伴うゾル-ゲル転移を誘起させ、骨格相と溶媒相との共連続構造を有するゲルを製造すること、及び、マクロ孔を有するシリカ多孔体を製造することが可能となる。したがって、工程1A~1Dを含むゾル製造方法により製造されたゾルは、マクロ孔を有するシリカ多孔体の製造に用いられるゾルとして有用である。
【0226】
≪ゲル製造装置≫
以下、
図11に基づいて、本発明の一実施形態に係るゲル製造装置2について説明する。
図11は、ゲル製造装置2の構成を示す概略図である。
【0227】
ゲル製造装置2は、ゾル製造部10と、ゲル製造部20と、ゾル製造部10及びゲル製造部20の動作を制御する制御部C2とを備える。ゾル製造部10が行う各種処理は、上記の通りである。
【0228】
ゲル製造部20は、ゲルを製造するための各種処理を行う。ゲル製造部20が行う各種処理については後述する。
【0229】
制御部C2の構成は、制御部C1の構成と同様である。制御部C2は、例えばコンピュータであり、ゾル製造部10及びゲル製造部20の動作を制御する。制御部C2の記憶部は、制御部C1と同様に、ゾル製造部10及びゲル製造部20において実行される処理を制御するためのプログラム、データ等を記憶する。プログラム及びコンピュータにより読み取り可能な記憶媒体に関する上記説明は、制御部C2にも適用される。記録媒体には、例えば、ゲル製造装置2の動作を制御するためのコンピュータにより実行されたときに、コンピュータがゲル製造装置2を制御して後述するゲル製造方法を実行させるプログラムが記録される。
【0230】
≪ゾル製造部≫
ゾル製造装置1におけるゾル製造部10に関する上記説明は、ゲル製造装置2におけるゾル製造部10にも適用される。
【0231】
≪ゲル製造部≫
以下、
図11及び12に基づいて、ゲル製造部20について説明する。
図11は、ゲル製造装置2の構成を示す概略図であり、
図12は、ゲル製造部20が備える加熱部21及びゾル供給部22の構成を示す概略図である。
図11中の破線は、ゾルが搬送される方向を示す。
図12中の矢印は、ゾルが流れる方向を示す。
【0232】
ゲル製造部20は、ゾル製造部10により製造されたゾルをゲル化温度に加熱する加熱部21を備える。
【0233】
ゲル化温度は、所望の孔径を有するマクロ孔を適切に形成させる観点から、好ましくは20℃以上60℃以下、より好ましくは25℃以上40℃以下である。ゲル化温度での加熱時間は、好ましくは4時間以上24時間以下である。
【0234】
加熱部21は、ゾルZを収容するゲル形成用容器211と、ゲル形成用容器211と接触する加熱媒体212と、加熱媒体212を収容する加熱槽213とを備える。
【0235】
加熱部21は、加熱媒体212により、ゲル形成用容器211に収容されたゾルZをゲル化温度に加熱する。
【0236】
加熱媒体212は、例えば、熱水等の液体である。加熱媒体212は、気体であってもよい。加熱媒体212は、ゲル形成用容器211の外表面と接触し、ゲル形成用容器211内のゾルZを加熱する。
【0237】
加熱部21は、加熱槽213に加熱媒体212を供給する加熱媒体供給部214と、加熱槽213から加熱媒体212を排出する加熱媒体排出部215とを備えていてもよい。
【0238】
ゲル形成用容器211には、ゲルを所望の形状に成型するための成型鋳型が含まれていてもよい。成型鋳型の材質としては、例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、シリコーン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の合成樹脂、アルミニウム、ステンレス等の金属等が挙げられる。
【0239】
ゲル製造部20は、ゾル製造部10で製造され、容器W(例えば、回収用容器17、第1容器V1、第2容器V2、・・・、第n容器Vn等)に収容されているゾルZを、ゲル形成用容器211に供給するゾル供給部22を備えていてもよい。
【0240】
ゾル供給部22は、容器W(例えば、回収用容器17、第1容器V1、第2容器V2、・・・、第n容器Vn等)に収容されているゾルZを、ゲル形成用容器211に供給するゾル供給管221と、ゾル供給管221に設けられたポンプ222とを備える。ゾル供給部22は、ポンプ222の吸込力及び吐出力を利用して、容器Wに収容されているゾルZを、ゾル供給管221を通じて、ゲル形成用容器211に供給する。
【0241】
供給管221には、供給管221を流れるゾルZの流量を検出する流量計223が設けられていてもよい。
【0242】
供給管221には、供給管221を流れるゾルZの流量を調整する流量調整器224が設けられていてもよい。流量調整器224は、例えば、バルブである。流量調整器224は、流量計223により検出されたゾルZの流量に基づいて、供給管221を流れるゾルZの流量を調整してもよい。
【0243】
ゲル製造部20は、加熱部21で製造された湿潤ゲルを乾燥する乾燥部を備えていてもよい。乾燥部は、例えば、自然乾燥、加熱乾燥、低表面張力溶媒を用いた乾燥、凍結昇華による乾燥、超臨界乾燥等により、湿潤ゲルを乾燥する。湿潤ゲルの乾燥により、乾燥ゲルが得られる。
【0244】
≪ゲル製造方法≫
以下、ゲル製造装置2により実施されるゲル製造方法について説明する。
【0245】
ゲル製造方法は、下記工程:
(2A)工程1A~1Dを含むゾル製造方法によりゾルを製造する工程;及び
(2B)工程2Aで製造されたゾルをゲル化温度に加熱し、ゲルを製造する工程
を含む。
【0246】
工程2Aは、ゾル製造部10により実施され、工程2Bは、ゲル製造部20により実施される。ゾル製造部10及びゲル製造部20の動作は、制御部C2により制御される。すなわち、制御部C2は、ゾル製造部10及びゲル製造部20に、工程2A及び2Bを実施させる。
【0247】
<工程2A>
工程2Aは、工程1A~1Dを含むゾル製造方法によりゾルを製造する工程である。工程1A~1Dを含むゾル製造方法に関する上記説明は、工程2Aにも適用される。
【0248】
<工程2B>
工程2Bは、工程2Aで製造されたゾルをゲル化温度に加熱し、ゲルを製造する工程である。工程2Bでは、加水分解反応及び重縮合反応がさらに進行してポリシロキサンポリマーが形成され、相分離過程(典型的にはスピノーダル分解)を伴うゾル-ゲル転移が誘起され、ポリシロキサンゲル(湿潤ゲル)が製造される。製造されたポリシロキサンゲルは、骨格相と溶媒相との共連続構造を有する。骨格相は、加水分解反応及び重縮合反応により生じたシロキサンポリマーに富んでおり、溶媒相は、溶媒に富んでいる。骨格相及び溶媒相は、それぞれ、連続した三次元網目構造を有するとともに、互いに絡み合っており、これにより、骨格相と溶媒相との共連続構造が形成されている。
【0249】
工程2Aで製造されたゾルには、必要に応じて、ゲルを所望の形状に成型するための成型鋳型を加えてもよい。
【0250】
工程2Bは、例えば、加熱部21により実施される。加熱部21は、例えば、加熱媒体212により、ゲル形成用容器211に収容されているゾルZをゲル化温度に加熱する。
【0251】
ゲル化温度は、所望の孔径からなるマクロ孔を適切に形成させる観点から、好ましくは20℃以上60℃以下、より好ましくは25℃以上40℃以下である。ゲル化温度での加熱時間は、好ましくは4時間以上24時間以下である。
【0252】
工程2Aの後であって、工程2Bの前に、工程2Aで製造され、容器W(例えば、回収用容器17、第1容器V1、第2容器V2、・・・、第n容器Vn等)に収容されているゾルをゲル形成用容器211に供給する工程を行ってもよい。この工程は、ゾル供給部22により行うことができる。
【0253】
工程2A及び2Bを含むゲル製造方法は、冷却部15の冷却媒体152により混合液Mを効果的に冷却しながら、混合液Mのゾル化を十分に管理された条件下で進行させ、均質なゾルを工業的に製造することができる。また、こうして製造されたゾルを用いて、相分離過程を伴うゾル-ゲル転移を誘起させ、骨格相と溶媒相との共連続構造を有するゲルを製造すること、及び、マクロ孔を有するシリカ多孔体を製造することが可能となる。したがって、工程2A及び2Bを含むゲル製造方法により製造されたゲルは、マクロ孔を有するシリカ多孔体の製造に用いられるゲルとして有用である。
【0254】
工程2A及び2Bを含むゲル製造方法により製造されたゲル(湿潤ゲル)は、骨格相と溶媒相との共連続構造を有する。骨格相は、加水分解反応及び重縮合反応により生じたシロキサンポリマーに富んでおり、溶媒相は、溶媒に富んでいる。骨格相及び溶媒相は、それぞれ連続した3次元の網目構造を有するとともに、互いに絡み合っており、これにより、骨格相と溶媒相との共連続構造が構成されている。
【0255】
工程2Bで製造された湿潤ゲルを乾燥し、乾燥ゲルを得てもよい。乾燥としては、例えば、自然乾燥、加熱乾燥、低表面張力溶媒を用いた乾燥、凍結昇華による乾燥、超臨界乾燥等が挙げられる。
【0256】
≪シリカ多孔体製造装置≫
以下、
図13に基づいて、本発明の一実施形態に係るシリカ多孔体製造装置3について説明する。
図13は、シリカ多孔体製造装置3の構成を示す概略図である。
【0257】
シリカ多孔体製造装置3は、ゾル製造部10と、ゲル製造部20と、シリカ多孔体製造部30と、ゾル製造部10、ゲル製造部20及びシリカ多孔体製造部30の動作を制御する制御部C3とを備える。ゾル製造部10が行う各種処理は、上記の通りである。また、ゲル製造部20が行う各種処理は、上記の通りである。
【0258】
シリカ多孔体製造部30は、シリカ多孔体を製造するための各種処理を行う。シリカ多孔体製造部30が行う各種処理については後述する。
【0259】
制御部C3の構成は、制御部C1と同様である。制御部C3は、例えばコンピュータであり、ゾル製造部10、ゲル製造部20及びシリカ多孔体製造部30の動作を制御する。制御部C3の記憶部は、制御部C1と同様に、ゾル製造部10、ゲル製造部20及びシリカ多孔体製造部30において実行される処理を制御するためのプログラム、データ等を記憶する。プログラム及びコンピュータにより読み取り可能な記憶媒体に関する上記説明は、制御部C3にも適用される。記録媒体には、例えば、シリカ多孔体製造装置3の動作を制御するためのコンピュータにより実行されたときに、コンピュータがシリカ多孔体製造装置3を制御して後述するシリカ多孔体製造方法を実行させるプログラムが記録される。
【0260】
≪ゾル製造部≫
ゾル製造装置1におけるゾル製造部10に関する上記説明は、シリカ多孔体製造装置3におけるゾル製造部10にも適用される。
【0261】
≪ゲル製造部≫
ゲル製造装置2におけるゲル製造部20に関する上記説明は、シリカ多孔体製造装置3におけるゲル製造部20にも適用される。
【0262】
≪シリカ多孔体製造部≫
以下、
図14に基づいて、シリカ多孔体製造部30について説明する。
図14は、シリカ多孔体製造部30の構成を示す概略図である。
図14中の破線は、ゲル又はシリカ多孔体が搬送される方向を示す。
【0263】
シリカ多孔体製造部30は、ゲル製造部20により製造されたゲルを焼成し、シリカ多孔体を製造する焼成部31を備える。
【0264】
焼成部31は、加熱還流部32で処理されたゲル、洗浄部33で処理されたゲル又は乾燥部34で処理されたゲルを焼成し、シリカ多孔体を製造してもよい。
【0265】
焼成部31による焼成温度は、例えば500℃以上1000℃以下であり、焼成部31による焼成時間は、好ましくは1時間以上8時間以下である。焼成部31による焼成は、通常、大気雰囲気下で行われる。
【0266】
シリカ多孔体製造部30は、ゲル製造部20により製造されたゲルと、メソ孔形成剤とを加熱還流条件下で反応させる加熱還流部32を備えていてもよい。ゲル製造部20により製造されたゲルと、メソ孔形成剤とを加熱還流条件下で反応させることにより、ゲルの骨格に細孔(シリカ多孔体におけるメソ孔となる細孔)が形成される。メソ孔形成剤は、ゲル製造部20により製造されたゲルに含まれていてもよいし、加熱還流させる水性媒体(例えば、水)に含まれていてもよいし、これらの両方に含まれていてもよい。
【0267】
加熱還流部32における加熱温度は、例えば50℃以上120℃以下であり、加熱時間と、例えば1時間以上36時間以下である。
【0268】
シリカ多孔体製造部30は、加熱還流部32で処理されたゲルを洗浄する洗浄部33を備えていてもよい。
【0269】
洗浄部33は、例えば、洗浄液中にゲルを浸漬することにより、あるいは、ゲルが収容されたカラムに洗浄液を流すことにより、ゲルを洗浄する。
【0270】
洗浄液としては、例えば、水、有機溶媒、水と有機溶媒との混合溶媒、酸又は塩基を含む水溶液等が挙げられる。有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロパノール、2-プロパノール(IPA)、ブタノール等のアルコールが挙げられる。酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、フッ酸、酢酸、ギ酸、炭酸、クエン酸、リン酸等が挙げられる。塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、水溶性アミン、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。
【0271】
シリカ多孔体製造部30は、洗浄部33により洗浄されたゲルを乾燥する乾燥部34を備えていてもよい。
【0272】
乾燥部34は、例えば、自然乾燥、加熱乾燥、低表面張力溶媒を用いた乾燥、凍結昇華による乾燥、超臨界乾燥等により、ゲルを乾燥する。
【0273】
シリカ多孔体製造部30は、焼成部31へのゲルの搬入、焼成部31からのシリカ多孔体の搬出、加熱還流部32に対するゲルの搬入出、洗浄部33に対するゲルの搬入出、乾燥部34に対するゲルの搬入出等を行う搬送部35を備えていてもよい。
【0274】
シリカ多孔体製造部30は、ゲル製造部20により製造されたゲルを搬送部35に供給するゲル供給部36等を備えていてもよい。
【0275】
≪シリカ多孔体製造方法≫
以下、シリカ多孔体造装置3により実施されるシリカ多孔体製造方法について説明する。
【0276】
シリカ多孔体製造方法は、下記工程:
(3A)工程1A~1Dを含むゾル製造方法によりゾルを製造する工程;
(3B)工程3Aで製造されたゾルをゲル化温度に加熱し、ゲルを製造する工程;及び
(3C)工程3Bで製造されたゲルを焼成し、シリカ多孔体を製造する工程
を含む。
【0277】
<工程3A>
工程3Aは、工程1A~1Dを含むゾル製造方法によりゾルを製造する工程である。
【0278】
工程1A~1Dを含むゾル製造方法に関する上記説明は、工程3Aにも適用される。
【0279】
<工程3B>
工程3Bは、工程3Aで製造されたゾルをゲル化温度に加熱し、ゲルを製造する工程である。
【0280】
ゲル製造方法の工程2Bに関する説明は、工程3Bにも適用される。
<工程3C>
工程3Cは、工程3Bで製造されたゲルを焼成し、シリカ多孔体を製造する工程である。
【0281】
工程3Cは、焼成部31により行うことができる。
【0282】
工程3Cにおいて、焼成温度は、好ましくは500℃以上1000℃以下であり、焼成時間は、好ましくは1時間以上8時間以下である。焼成は、通常、大気雰囲気下で行われる。
【0283】
工程3Bの後であって、工程3Cの前に、工程3Bで製造されたゲルと、メソ孔形成剤とを加熱還流条件下で反応させる工程(以下「加熱還流工程」という。)を行ってもよい。加熱還流工程は、加熱還流部32により行うことができる。工程3Bで製造されたゲルと、メソ孔形成剤とを加熱還流条件下で反応させることにより、ゲルの骨格に細孔(シリカ多孔体におけるメソ孔となる細孔)が形成される。メソ孔形成剤は、工程3Bで製造されたゲルに含まれていてもよいし、加熱還流させる水性媒体(例えば、水)に含まれていてもよいし、これらの両方に含まれていてもよい。
【0284】
加熱還流工程において、加熱温度は、例えば50℃以上120℃以下であり、加熱時間と、例えば1時間以上36時間以下である。
【0285】
加熱還流工程の後であって、工程3Cの前に、加熱還流工程で処理されたゲルを洗浄する工程(以下「洗浄工程」という。)を行ってもよい。洗浄工程は、洗浄部33により行うことができる。
【0286】
洗浄工程の後であって、工程3Cの前に、洗浄工程で洗浄されたゲルを乾燥する工程(以下「乾燥工程」という。)を行ってもよい。乾燥工程は、乾燥部34により行うことができる。
【0287】
工程3Cにおいて、加熱還流工程で処理されたゲル、洗浄工程で処理されたゲル又は乾燥工程で処理されたゲルを焼成し、シリカ多孔体を製造してもよい。
【0288】
シリカ多孔体(シリカモノリス)は、シリカで構成される骨格と、マクロ孔との共連続構造を有する。ゲルの焼成により、ゲルの骨格相からは、シリカ多孔体のシリカ骨格が形成され、ゲルの溶媒相からは、シリカ多孔体のマクロ孔が形成される。シリカ多孔体は、シリカ骨格に形成されたメソ孔を有していてもよい。
【0289】
シリカ多孔体において、シリカ骨格及びマクロ孔は、それぞれ、連続した三次元網目構造を有するとともに、互いに絡み合っており、これにより、シリカ骨格とマクロ孔との共連続構造が形成されている。シリカ多孔体がシリカ骨格とマクロ孔との共連続構造を有することは、シリカ多孔体の表面又は断面を走査型電子顕微鏡(SEM)観察することにより確認することができる。
【0290】
マクロ孔の最頻細孔径は、共連続構造体の強度を維持する観点から、80nm以上7000nm以下であることが好ましく、80nm以上5000nm以下であることがより好ましい。マクロ孔の最頻細孔径の測定方法は、実施例に記載の通りである。
【0291】
メソ孔の最頻細孔径は、比表面積を向上させる観点から、2nm以上50nm以下であることが好ましく、5nm以上30nm以下であることがより好ましい。メソ孔の最頻細孔径の測定方法は、実施例に記載の通りである。
【0292】
シリカ多孔体の比表面積は、シリカ多孔体の吸着体又は触媒としての性能を向上させる観点から、100m2/g以上1000m2/g以下であることが好ましく、100m2/g以上800m2/g以下であることがより好ましい。比表面積の測定方法は、実施例に記載の通りである。
【0293】
本発明により製造されたシリカ多孔体は、ガス(例えば、アルコール、エーテル等の有機溶剤の蒸気、SO2、H2O、CO2等)を吸着するための、或いは、対象物質(例えば、金属及び/又は金属イオン等)を含む液体から対象物質を吸着するための吸着材や、触媒担体、酵素担体、クロマトグラフィー分離用カラム等に好適に用いることができる。
【実施例0294】
以下、実施例に基づいて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は実施例に何ら限定されるものではない。
【0295】
<実施例1>
(1)ゾルの調製
ゾルの調製は、
図2に示すゾル製造部10Aを備えるゾル製造装置1を用いて行った。第1供給部12より供給される原料液L1として、テトラメトキシシランを用いた。原料液L1は、5mL/分の流量で、混合部11に連続して供給した。第2供給部13により供給される原料液L2として、マクロ孔形成剤であるポリエチレングリコール10000(SIGMA-ALDRICH社製)405gと、メソ孔形成剤である尿素405gと、触媒である酢酸2.7gとを、溶液重量が4500gとなるようにイオン交換水で溶解して調製した水溶液を用いた。原料液L2は、10mL/分の流量で、混合部11に連続して供給した。排出管14として、ステンレス管(外径1/8インチ、内径1.01mm)を用いた。混合器112として、スタティックミキサー(ノリタケカンパニーリミテド社製 T3-12-2-PT)を用いた。冷却媒体152として冷却水を用いた。冷却槽151に収容された冷却水の温度は、2℃に設定した。ステンレス管のうち冷却槽151中の冷却水に浸漬されている部分の長さは、2300mmとした。冷却水により冷却された直後の混合液Mの温度を、温度計16により測定した。以下、冷却水により冷却された直後の混合液Mの温度を「冷却後の混合液の温度」という。
【0296】
(2)ゲルの調製
排出管14から排出されるゾル150mLを攪拌しながら回収用容器17に回収し、さらに室温で3分間攪拌した後、回収用容器17内に成形鋳型を投入した。その後、30℃で19時間静置し、ポリシロキサンゲルを調製した。
【0297】
(3)シリカモノリスの作製
1.5M尿素水100mLが入った反応容器に、得られたポリシロキサンゲルを加え、5時間、90℃で加熱還流した。還流終了後、得られたポリシロキサンゲルを水で洗浄し、60℃に設定された乾燥機にて、20時間、乾燥した。乾燥後、空気雰囲気下、600℃で5時間、焼成し、シリカモノリスを作製した。
【0298】
(4)走査型電子顕微鏡による観察
シリカモノリス試料の表面の構造を、走査型電子顕微鏡(SEM)(日本エフイー・アイ社製 XL30SFEG)を使用して観察した。SEM観察では、任意の位置にて3つの画像を取得した。3つの画像のいずれにおいても、連続的な網目構造の形成が観察された場合、「A」と評価した。3つの画像のいずれか一つ以上において、連続的な網目構造の形成が観察されなかったものを「B」と評価した。
なお、実施例1に関しては、3つの画像を
図15に示し、実施例2~5に関しては、1つの画像を
図16に示す。
【0299】
(5)比表面積及びメソ孔の最頻細孔径の測定
比表面積及びメソ孔の最頻細孔径の測定は、マイクロトラック・ベル社製の比表面積・細孔分布測定装置「BELSORP-miniX」を用いて行った。400℃で3時間、減圧脱気したシリカモノリス試料に対して、液体窒素を使用して77Kの温度での窒素吸脱着量を多点法で測定し、吸脱着等温線を求め、吸脱着等温線に基づいて、比表面積及びメソ孔の最頻細孔径を算出した。比表面積は、BET法により算出し、メソ孔の最頻細孔径は、BJH法により算出した。BJH法はBarrett-Joyner-Halendaの標準モデルに従って円筒状と仮定した細孔の直径に対する細孔容積の分布を解析する方法である(詳細はJ.Amer.Chem.Soc.,73,373,1951等を参照)。本発明においては、2~200nmの直径を有する細孔範囲で分析した。
【0300】
(6)マクロ孔の最頻細孔径の測定
マクロ孔の最頻細孔径の測定は、水銀ポロシメーター(Micromeritics社製「AutoPore IV 9520」)を用いて、水銀圧入法により行った。水銀圧入法では、シリカモノリス試料の細孔に圧力を加えて水銀を浸入させ、圧力と圧入された水銀量から細孔容積と比表面積を求め、細孔を円筒と仮定したときの細孔容積と比表面積の関係から細孔直径を算出する。水銀圧入法では、本発明においては、50nm~500μmの直径を有する細孔範囲で分析した。
【0301】
上記(4)~(6)の結果を表1に示す。
【0302】
<実施例2~5及び比較例1>
冷却槽151中の冷却水の温度を5℃、10℃、15℃、24℃又は35℃に変更した点を除き、実施例1と同様の操作を行った。なお、比較例1においては、連続的な網目構造の形成がSEMにより観察されなかったので、比表面積、メソ孔の最頻細孔径及びマクロ孔の最頻細孔径の確認は省略した。結果を表1に示す。
【0303】
【0304】
<実施例6及び7>
ステンレス管のうち冷却槽151中の冷却水に浸漬されている部分の長さを1000mm又は4600mmに変更した点を除き、実施例1と同様の操作を行った。結果を表2に示す。
【0305】
<実施例8>
混合器112をインラインホモジナイザー(回転数10000rpm,IKA Japan T-25インラインホモジナイザー)に変更した点を除き、実施例4と同様の操作を行った。結果を表2に示す。
【0306】
【0307】
<実施例9>
混合部11に供給される原料液L1の流量を10mL/分に、混合部11に供給される原料液L2の流量を20mL/分に変更した点を除き、実施例1と同様の操作を行った。結果を表3に示す。
【0308】
<実施例10>
混合部11に供給される原料液L1の流量を25mL/分に、混合部11に供給される原料液L2の流量を50mL/分に変更した点を除き、実施例1と同様の操作を行った。結果を表3に示す。
【0309】
【0310】
<実施例11>
混合部11に供給される原料液L2の流量を12mL/分に変更した点を除き、実施例1と同様の操作を行った。結果を表4に示す。
【0311】
【0312】
<実施例12>
実施例1と同様にして、ゾルの調製、ゲルの調製及びシリカモノリスの作製を連続的に100回繰り返した。その際の、5、10、25及び50回目における還流工程(メソ孔付与)前の乾燥ゲルの物性値を表5に示す。
【0313】
【0314】
<実施例13>
図2に示すゾル製造部10Aを備えるゾル製造装置1において、
図7に示す撹拌部18及び冷却部19を採用し、ゾルの調製を行った。
【0315】
第1供給部12より供給される原料液L1として、テトラメトキシシランを用いた。原料液L1は、45mL/分の流量で、混合部11に連続して供給した。第2供給部13により供給される原料液L2として、マクロ孔形成剤であるポリエチレングリコール(分子量10000)405gと、メソ孔形成剤である尿素405gと、触媒である酢酸2.7gとを、溶液重量が4500gとなるようにイオン交換水で溶解して調製した水溶液を用いた。原料液L2は、90mL/分の流量で、混合部11に連続して供給した。排出管14として、ステンレス管(外径1/8インチ、内径1.01mm)を用いた。混合器112として、スタティックミキサー(ノリタケカンパニーリミテド社製 T3-12-2-PT)を用いた。冷却槽151に収容された冷却水の温度は、2℃に設定した。ステンレス管のうち冷却槽151中の冷却水に浸漬されている部分の長さは、2300mmとした。
【0316】
撹拌部18では、回収用容器17に回収されたゾルを、冷却部19により15℃に冷却しながら、22分間、撹拌し、ポンプを使用して、収集用容器に、135mL/分の流量で送液した。収集されたゾルを実施例1と同様に静置して、ポリシロキサンゲルを得た。
【0317】
1.5M尿素水8000mLが入った反応容器に、得られたポリシロキサンゲルを加え、100℃、5時間加熱還流した。還流終了後、得られたポリシロキサンゲルを水で洗浄し、60℃に設定された乾燥機にて、20時間、乾燥した。乾燥後、空気雰囲気下、600℃で5時間、焼成し、シリカモノリスを作製した。結果を表6に示す。
【0318】