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特開2022-117364頭部電気信号検出用電極装置及び頭部電気信号の検出方法
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  • 特開-頭部電気信号検出用電極装置及び頭部電気信号の検出方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022117364
(43)【公開日】2022-08-10
(54)【発明の名称】頭部電気信号検出用電極装置及び頭部電気信号の検出方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/25 20210101AFI20220803BHJP
   A61B 5/256 20210101ALI20220803BHJP
【FI】
A61B5/04 300J
A61B5/04 300M
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021014022
(22)【出願日】2021-01-29
(71)【出願人】
【識別番号】304030497
【氏名又は名称】株式会社プロアシスト
(74)【代理人】
【識別番号】100102048
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 光司
(74)【代理人】
【識別番号】100146503
【弁理士】
【氏名又は名称】高尾 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】高田 裕司
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127LL08
4C127LL13
(57)【要約】
【課題】 頭部の外耳道内で受信される生体信号を従来とは異なる原理で効率よく検出しうる頭部電気信号検出用電極装置及び頭部電気信号の検出方法を提供すること。
【解決手段】外耳道e12に挿入される挿入電極20と、挿入電極より得られる信号を外部に伝達する導電出力部30とを有し、頭部の外耳道内で受信される生体信号を検出する。挿入電極は少なくとも外耳道との接触部分に変形可能な弾性部材23を有し、さらに当該弾性部材の表面に外耳道の周方向に対する一部の角度位置において外耳道との接触インピーダンスを低下させる良接触部40を有している。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外耳道に挿入される挿入電極と、前記挿入電極より得られる信号を外部に伝達する導電出力部とを有し、頭部の外耳道内で受信される生体信号を検出するための頭部電気信号検出用電極装置であって、前記挿入電極は少なくとも外耳道との接触部分に変形可能な弾性部材を有し、さらに当該弾性部材の表面に前記外耳道の周方向に対する一部の角度位置において前記外耳道との接触インピーダンスを低下させる良接触部を有している頭部電気信号検出用電極装置。
【請求項2】
前記良接触部が導電被膜である請求項1記載の頭部電気信号検出用電極装置。
【請求項3】
耳介に支持され、前記挿入電極をさらに支持する支持部材を有している請求項1又は2記載の頭部電気信号検出用電極装置。
【請求項4】
前記挿入電極は、前記支持部材に支持される軸とこの軸に支持される前記弾性部材とを有しており、前記弾性部材は前記支持部材に対して前記外耳道の周方向回り成分を有する形で相対回転が可能である請求項3に記載の頭部電気信号検出用電極装置。
【請求項5】
前記挿入電極は、前記支持部材との間に前記軸周りでの相対回転位置を示す角度表示手段を有している請求項4に記載の頭部電気信号検出用電極装置。
【請求項6】
前記支持部材と前記弾性部材との間にはこの弾性部材を外耳道奥側に押す付勢体を設けてある請求項3~5のいずれかに記載の頭部電気信号検出用電極装置。
【請求項7】
前記支持部材は前記耳介の形状に沿うように変形して耳介に支持される変形部を有している請求項3~6のいずれかに記載の頭部電気信号検出用電極装置。
【請求項8】
前記支持部材は前記導電出力部が接続された端子または導線を耳外側に露出させて支持し、前記弾性部材及び前記支持部材を貫通して耳外側に連通する音響伝達路を形成してある請求項3~7のいずれかに記載の頭部電気信号検出用電極装置。
【請求項9】
前記良接触部が導電ポリマー、導電塗料または導電ゲルのいずれかよりなる導電被膜であり、前記弾性部材が導電材料を分散させたシリコーンゴムである請求項1~8のいずれかに記載の頭部電気信号検出用電極装置。
【請求項10】
前記頭部電気信号が、脳波、心電、または、呼吸運動、若しくは、顔の筋肉運動に伴う生体信号のいずれかである請求項1~9のいずれかに記載の頭部電気信号検出用電極装置。
【請求項11】
請求項1~10のいずれかに記載の頭部電気信号検出用電極装置を用いた頭部電気信号の測定方法であって、前記良接触部が導電被膜であり、この導電被膜が前記外耳道の周方向に複数個所離隔して配置され、複数の導電被膜のいずれかまたは2以上を選択して前記頭部電気信号を検出する頭部電気信号の検出方法。
【請求項12】
前記導電被膜が2以上選択され、各導電被膜に異なる種類の頭部電気信号の検出を割り付けてある請求項11記載の頭部電気信号の検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭部電気信号検出用電極装置及び頭部電気信号の検出方法に関する。さらに詳しくは、外耳道に挿入される挿入電極と、前記挿入電極より得られる信号を外部に伝達する導電出力部とを有し、頭部の外耳道内で受信される生体信号を検出するための頭部電気信号検出用電極装置及び頭部電気信号の検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
頭部電気信号検出用電極装置としては、例えば次の特許文献1の図2に記載の外耳道挿入型電極が知られている。同電極は、電気刺激装置から感覚刺激電流を印加する前庭電気刺激手法を用いた場合に、ゲルやペーストなしに、効率的に電気刺激を与えうることを目的としている(同文献段落番号0003-0010)。
【0003】
同電極は、同文献段落番号0015-0016に記載の如く、導電層120及び導電性柔軟層130は、同図4ABの記載の如き短冊状のものを重ね合わせて胴部113全体をこれらで覆い、導通面積の最大化を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-217986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
かかる従来の実情に鑑みて、本発明は、頭部の外耳道内で受信される生体信号を従来とは異なる原理で効率よく検出しうる頭部電気信号検出用電極装置及び頭部電気信号の検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る頭部電気信号検出用電極装置は、外耳道に挿入される挿入電極と、前記挿入電極より得られる信号を外部に伝達する導電出力部とを有し、頭部の外耳道内で受信される生体信号を検出するための構成であって、前記挿入電極は少なくとも外耳道との接触部分に変形可能な弾性部材を有し、さらに当該弾性部材の表面に前記外耳道の周方向に対する一部の角度位置において前記外耳道との接触インピーダンスを低下させる良接触部を有することにある。
【0007】
発明者らの実験によれば、図7,8のグラフに示すように、外耳道との接触インピーダンスを低下させる良接触部を設けるにあたり、前記外耳道の周方向に対する全周に設ける場合に比較して、一部の角度位置に設けた方が、前記生体信号をより高強度で受信できることが判明した。また、前記良接触部の角度幅が狭くなると同信号の受信強度が向上することも判明した。
【0008】
上記特徴において、前記良接触部は導電被膜とするとよい。
【0009】
また、耳介に支持され、前記挿入電極をさらに支持する支持部材を有することが望ましい。この場合、前記挿入電極は、前記支持部材に支持される軸とこの軸に支持される前記弾性部材とを有しており、弾性部材は前記支持部材に対して前記外耳道の周方向回り成分を有する形で相対回転が可能とするとよい。これにより、より適切に生体信号を受信できる角度にセットすることができる。そして、前記挿入電極は、前記支持部材との間に前記軸周りでの相対回転位置を示す角度表示手段を有するとよい。
【0010】
さらに、前記支持部材と前記弾性部材との間にはこの弾性部材を外耳道奥側に押す付勢体を設けるとよい。耳介に支持される支持部材に対して付勢されることで、弾性部材が外耳道に押圧されることになり、接触インピーダンスの低下に寄与する。
【0011】
加えて、前記支持部材は前記耳介の形状に沿うように変形して耳介に支持される変形部を有するとよい。同変形部の変形により、支持部材は耳介にフィットして、前記弾性部材をより的確に外耳道に押圧することができる。
【0012】
前記支持部材は前記導電出力部が接続された端子または導線を耳外側に露出させて支持し、前記弾性部材及び前記支持部材を貫通して耳外側に連通する音響伝達路を形成してもよい。同構成によれば、端子または導線を耳外側に露出させて支持してあるので、導線を利用して、電気信号検出装置に接続することができる。また、利用者は計測中でも音響伝達路を介して外部音を聞くことができ、より日常に近い状態での生体信号の計測が可能である。
【0013】
製作にあたっては、前記良接触部が導電ポリマー、導電塗料または導電ゲルのいずれかよりなる導電被膜であり、前記弾性部材が導電材料を分散させたシリコーンゴムとしてもよい。
【0014】
前記頭部電気信号が、脳波、心電、または、呼吸運動、若しくは、顔の筋肉運動に伴う生体信号のいずれかに用いることができる。
【0015】
一方、上記いずれかに記載の頭部電気信号検出用電極装置を用いた頭部電気信号の測定方法は、前記良接触部が導電被膜であり、この導電被膜が前記外耳道の周方向に複数個所離隔して配置され、複数の導電被膜のいずれかまたは2以上を選択して頭部電気信号を検出するとよい。この場合、前記導電被膜が2以上選択され、各導電被膜に異なる種類の頭部電気信号の検出を割り付けるとよい。脳波、心電、または、呼吸運動、若しくは、顔の筋肉運動に伴う生体信号のいずれかをより適切な形で複数同時に検出し、測定することができる。
【発明の効果】
【0016】
上記本発明によれば、頭部の外耳道内で受信される生体信号を従来と異なる原理で効率よく検出しうる頭部電気信号検出用電極装置及び頭部電気信号の検出方法を提供することに至った。
【0017】
本発明の他の目的、構成及び効果については、以下の発明の実施の形態の項から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】耳の部位の説明及び本発明にかかる頭部電気信号検出用電極装置の耳への装着状態を示す図である。
図2】電極装置の耳への装着状態を示す斜視図である。
図3】電極装置の耳への装着状態を示す図1のA-A線断面図である。
図4】電極装置の斜視図である。
図5】電極装置の他の角度からみた斜視図である。
図6】電極装置の装着状態を示す斜視図及び弾性部材の拡大斜視図である。
図7】外耳道との接触インピーダンスを低下させる良接触部を弾性部材の表面に設ける場合において、外耳道の周方向に対する全周に設ける場合と、一部の角度位置(180度)に設ける場合(角度変更)とにおける異なる周波数における信号強度の相対比較を行ったグラフである。
図8図7の条件において一部の角度位置を90度に変更した場合のグラフである。
図9】(a)は図1のA-A線における電極装置の耳への装着状態を示す他の実施例(突起による良接触部)を示す断面図、(b)は(a)のB-B線断面図である。
図10図1のA-A線における電極装置の耳への装着状態を示すさらに他の実施例(角度変更)を示す断面図である。
図11図1のA-A線における電極装置の耳への装着状態を示すさらに他の実施例(良接触部の位置)を示す断面図である。
図12】複数の良接触部を切り替えて検出を行う例を示すシステムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、適宜添付図1~8を参照しながら、本発明の第一実施形態をさらに詳しく説明する。
【0020】
本発明に係る頭部電気信号検出用電極装置(以下、単に電極装置とする)1は、図1~3(右耳),図6(左耳)に示すように耳介Eにおいて外耳道e12に挿入されて使用される。図6の例では、電極装置1は左耳に挿入され、耳の下にリファレンス電極110を取り付け、ケーブルCを介して頭部電気信号検出装置100において信号が検出される。本発明において利用される頭部電気信号は、頭部Hにおいて外耳道e12を介して検出できる全ての信号が対象となりえ、脳波、心電、または、呼吸運動、若しくは、眼球や顎等の顔の筋肉運動に伴う生体信号のいずれかである。生体信号の種類に応じて、リファレンス電極110は頭部Hの他の部分または首より下の身体部分など、適宜変更が可能である。左右両耳に電極装置1を挿入して検出を行うことも可能である。
【0021】
本発明にかかる電極装置1の構造を図3~5を参照しつつ説明する。電極装置1は、外耳道e12に挿入される挿入電極20と、耳介Eに支持され、挿入電極をさらに支持する支持部材10とを備えている。支持部材10は、形状を維持する支持部11と、熱や光(紫外線等)や応力によって自由に変形し、形が定まる変形部12(例えば、熱変形樹脂、柔軟樹脂、ゲル等)とを有している。
【0022】
支持部11は、上輪部11a、下輪部11b及び基礎11cを一体的に積み重ね、溝部11dに上述の変形部12を保持する。また、後述の軸21を挿通させる貫通孔11eを有している。上輪部11aの上面には、例えば三角形状の角度表示手段13を隆起形成してある。
【0023】
挿入電極20は、全体が電気的に導通している中空の軸21、付勢体22、弾性部材23及び良接触部40としての導電被膜41を備えている。また、付勢体22は、導電出力部30を形成する導通片31及び端子32に電気的に接続され、端子32の突起32aを介して電気的に接続されるケーブルを介して信号を検出する。
【0024】
軸21は、内部に貫通孔21cを有し、一端に大フランジ21a,小フランジ21bを有する。弾性部材23は、全体が導電体で形成され、例えば、導電材料を分散させたシリコーンゴムや柔軟樹脂等を用いるとよい。弾性部材23は、キノコの傘状を呈する弾性変形可能で外耳道に押圧接触する押圧部23aと、先の軸21に外嵌する軸部23bを有している。軸部23bは、中間に先の小フランジ21bと嵌合する環状の溝23cを形成して軸21からの抜けを防ぎ、軸部23bの端を大フランジ21aに突き当てて、外耳道への押圧力に耐久する。押圧部23aと軸部23bとの接続部には内開口23dが形成され、軸21の貫通孔21c及び支持部11の貫通孔11eと連携して先の音響伝達路Sを形成してある。
【0025】
支持部11に対して軸21は出退可能に摺動し、付勢体22により外耳道e12側に付勢されている。この付勢体22は、互いに出退可能に摺動し電気的に導通する外ロッド22a及び内ロッド22bと、これらの内部に拡張側に付勢するスプリング、ゴムダンパー等の付勢手段が収納されている。外ロッド22aは軸21の貫通孔21c内に固着され、内ロッド22bは、先の端子32に固着されている導通片31にさらに固着される。端子32は、支持部11の基礎11cに固定されているため、付勢体22及び導通片31を介して軸21及び押圧部23aは支持部材10に付勢状態で支持される。これらの導電部の固着は、たとえば半田付け、導電接着剤等により行うとよい。
【0026】
良接触部40としての導電被膜41は、導電ポリマー、導電塗料または導電ゲルや金属薄膜のいずれかよりなる導電被膜を用いることができる。この導電皮膜41を用いることで、当該部分の外耳道e12との接触インピーダンスを部分的に低下されることができ、外耳道の周方向に対する一部の角度位置での信号検出能を高めている。
【0027】
弾性部材23は軸21の中心軸L周りで符号Rに示すように支持部材10に対して相対回転が可能である。一方、外耳道e12の中心軸は、外耳道e12が屈曲しているため、上記軸21の中心軸Lとは必ずしも一致しない。しかし、上記軸21の中心軸L周りRの回転は、外耳道e12の周方向回り成分を有するため、軸21の中心軸L周りの弾性部材23の回転を許容する本願機構は、支持部材10に対して外耳道の周方向回り成分を有する形で相対回転が可能な機構を実現しているものとみなす。
【0028】
図3~6における導電皮膜41の形成される良接触部範囲Wは、軸21の中心軸L周りRで90度とされている。図7,8では、良接触部範囲Wを変更するとともに、軸21の中心軸L周りRの回転位相を90度ずつ変化させて10Hz,20Hz,30Hzと受信周波数を切り替えて信号の受信共同を測定し、相対強度表示で示した。図7はW=180度、図8はW=90度とし、それぞれ比較としてW=360度(全周)を加えた。左耳での検出であり、時計回りを基準としたため、位相角は、各良接触部の範囲の中心において、Upが0度、Rightが90度、Downが180度、Leftが270度の位置である。
【0029】
図7,8を比較すると次のことが窺える。Wが360度、180度、90度と低下するに従って、信号レベルはより向上する。また、回転位相において、Up(0度)が概ね他より高く、Down(180度)が最低である。これらより、検出強度は、回転位相により異なって方向性を有し、良接触部範囲Wを狭くして方向性を高めた方が受信共同が増すことが窺える。なお、脳波が外耳道e12からみて上方に位置する脳から発生したものと考えると、上記推論が妥当となる。同様に、他の生体信号の発生部位に合わせて回転位相を合わせると、より信号レベルの高い信号を検出することが可能となることが窺える。
【0030】
次に、耳介Eの構造を図1~3を参照しながら説明し、耳介Eへの電極装置1の保持状態について説明する。耳介Eは外周である耳輪e1の下に耳垂e2が一し、前側は耳輪脚e3につながり、耳介Eの輪郭が形成される。耳輪e1上部の内側からはじまる隆起部である対輪脚e4は対耳輪e5につながり、さらに下部の対珠e6を経て、珠間切痕e7を介して耳珠e8に至る。窪みである耳甲介艇e9は、対輪脚e4及び対耳輪e5と耳輪脚e3との間に形成される。他の窪みである耳甲介腔e10は、対耳輪e5、耳輪脚e3、対珠e6及び耳珠e8の間に形成される。耳甲介腔e10の前方にある外耳孔e11を介して外耳道e12に至り、さらに、図示省略する鼓膜に至る。
【0031】
上述のとおり、回転位相が検出信号の検出能に影響を与え、また、Wを限定することでインピーダンス低下範囲が狭まることから、より確実に外耳道e12に良接触部40を押圧接触させることが望ましい。本実施形態では、支持部材10の支持部11において、上輪部11aが下輪部11bより小さいことから、窪みである耳甲介艇e9及び耳甲介腔e10に挿入しやすい。しかも、溝部11dに保持された円弧状またはC型の変形部12が、耳甲介艇e9及び耳甲介腔e10内で変形するので、傾きにくくて抜けにくい。この状態で挿入電極20を付勢体22の付勢力で押し込むので、良接触部40が外耳道e12により確実に接触することとなる。
【0032】
本発明は本来の趣旨を逸脱しない限り種々の改変が可能である。以下に、本発明の別の実施形態を列挙する。なお、上記実施形態と同様の部材には同一の符号を附してある。
【0033】
上記実施形態では良接触部40として導電被膜41を設けた。しかし、図9(a)(b)に示すように、たとえば突起部42を設けて局所的に押圧力を高めて、導電被膜41の代わりに良接触部40としてもよい。なお、図中、符号22cは付勢体の外ロッド22a内に収納された付勢手段としてのスプリングである。
【0034】
上記実施形態では、支持部材10に対する挿入電極20の傾斜角度は一定であった。しかし、図10に示すように、例えば支持部11の貫通孔11eと軸21との間に変形スリーブ14を介在させて、支持部材10に対する挿入電極20の傾斜角度を変更可能としてもよい。同図では、変形スリーブ14にゴムや弾性樹脂等の可撓性部材を用いる他、熱硬化性樹脂等の固化部材を用いて、傾斜角度を変更後保持させるようにしてもよい。同図では断面内の傾斜θのみの変更を表示したが、紙面垂直方向への傾斜変更も可能である。
【0035】
図11に示すように、外耳道e12の屈曲部に沿う位置に導電被膜43等の良接触部40を位置させてもよい。同形態によれば、押圧力と屈曲部への密着とが相まって、接触インピーダンスをより低下させうることが期待できる。
【0036】
図12に示すように、良接触部40を複数位相箇所に設け、これを選択的に利用してもよい。同例では、良接触部として導電被膜41を用い、各導電被膜をW=90度以下の範囲として4つの位相箇所に設けている41a~d。各導電被膜41a~dの間は図示しないが絶縁し、先の軸21は電気信号の絶縁体とし、個別のケーブルでスイッチボックス101に誘導し、スイッチボックス101を切り替えて頭部電気信号検出装置100において選択的に用いてもよい。また、検出装置100は複数100a,00b設け、同時に複数の導電被膜41a~dを選択して計測してもよい。この場合、各導電被膜に異なる種類の頭部電気信号の検出を割り付けてもよい。また、前述のとおり、左右の耳で、各電極装置1,1及び複数の良接触部41a~dを適宜選択し、組合せて検出を行ってもよい。
【0037】
上記実施形態では、端子32を用いてケーブルCを接続した。しかし、端子32を用いずに、例えば導通片31等にケーブルCを直接接続してもよい。
【0038】
良接触部範囲Wは90度、180度に限らず適宜改変が可能である。複数の導電皮膜41を設ける場合は、互いに連通しないように絶縁する必要がある。また、軸21の中心軸L方向に対する導電皮膜41の形成範囲も適宜変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、頭部電気信号検出用電極装置及び頭部電気信号の検出方法として利用することができる。脳波及び脳波以外の筋電も同時に検出できることから、睡眠状態の検査装置等に用いることも可能である。
【符号の説明】
【0040】
1:電極装置(頭部電気信号検出用電極装置)、10:支持部材、11:支持部、11a:上輪部、11b:下輪部、11c:基礎、11d:溝部、11e:貫通孔、12:変形部、13:角度表示手段、14:変形スリーブ、20:挿入電極、21:軸、21a:大フランジ、21b:小フランジ、21c:貫通孔、22:付勢体、22a:外ロッド、22b:内ロッド、22c:スプリング、23:弾性部材、23a:押圧部、23b:軸部、23c:溝、23d:内開口、30:導電出力部、31:導通片、32:端子、32a:突起、40:良接触部、41:導電被膜、42:突起、43:導電皮膜、100:頭部電気信号検出装置、110:リファレンス電極、C:ケーブル、E:耳介、e1:耳輪、e2:耳垂、e3:耳輪脚、e4:対輪脚、e5:対耳輪,e6:対珠、e7:珠間切痕、e8:耳珠、e9:耳甲介艇、e10:耳甲介腔、e11:外耳孔、e12:外耳道、H:頭部、S:音響伝達路、W:良接触部範囲
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12