(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022117377
(43)【公開日】2022-08-10
(54)【発明の名称】情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 13/00 20060101AFI20220803BHJP
G06F 3/0481 20220101ALI20220803BHJP
G06F 15/00 20060101ALI20220803BHJP
【FI】
G06F13/00 650A
G06F3/0481
G06F15/00 440Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021060961
(22)【出願日】2021-03-31
(31)【優先権主張番号】P 2021013496
(32)【優先日】2021-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000534
【氏名又は名称】弁理士法人真明センチュリー
(72)【発明者】
【氏名】中村 正樹
(72)【発明者】
【氏名】柚木 涼子
【テーマコード(参考)】
5B084
5E555
【Fターム(参考)】
5B084AA01
5B084AA16
5B084AB01
5B084AB06
5B084AB14
5B084AB18
5B084AB31
5B084BB12
5B084CA07
5B084CB06
5B084CB15
5B084CB22
5B084CB23
5B084CF02
5B084CF12
5B084DB08
5B084DC02
5B084DC03
5B084DC06
5B084DC27
5B084EA47
5E555AA67
5E555BA13
5E555BB13
5E555BC18
5E555BD06
5E555CB44
5E555CC03
5E555CC11
5E555DB03
5E555DB41
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】複数のデータを一括編集するときの応答性の低下を抑制できる情報処理プログラム及び情報処理システムを提供すること。
【解決手段】複数のオブジェクト45の編集をまとめてサーバ1へ指示する一括編集の対象として指定されたオブジェクト45の数が取得される。この取得されたオブジェクト45の数が所定の第1上限数を超えると判断された場合は、対象に指定されたオブジェクト45の一括編集が禁止される。このように、一括編集の対象となるオブジェクト45の数が多い場合に、その一括編集が禁止されるので、一括編集に伴うサーバ1の処理負荷の増大を抑制できる。よって、端末2で一括編集を入力してから、編集されたオブジェクト45を含む共有画面41が同一グループ内の複数の端末2で共有されるまでの応答性の低下を抑制できる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グループ内で共有された共有画面を表示する表示部と、その表示部に表示された前記共有画面に含まれるオブジェクトに対する編集の指示を入力する入力部と、を有する複数の端末と、その端末からの指示に基づき前記オブジェクトの編集の処理を実行して編集後のオブジェクトを含む前記共有画面を同一グループ内の前記端末に共有させるサーバと、を備える情報処理システムにおいて、複数の前記端末のうち1の端末で実行される情報処理プログラムであって、
複数の前記オブジェクトの編集をまとめて前記サーバへ指示する一括編集の対象として複数の前記オブジェクトを指定する指定ステップと、
その指定ステップにより指定された前記オブジェクトの数を取得するオブジェクト数取得ステップと、
そのオブジェクト数取得ステップで取得された前記オブジェクトの数が所定の第1上限数を超えるかを判断する第1上限判断ステップと、
その第1上限判断ステップで前記第1上限数を超えると判断された場合は、前記指定ステップで指定された複数の前記オブジェクトの前記一括編集を禁止する禁止ステップと、
を備えていることを特徴とする情報処理プログラム。
【請求項2】
前記共有画面を共有する同一グループ内の前記端末の数を取得する端末数取得ステップを備え、
前記第1上限数は、その端末数取得ステップで取得した数に基づいて設定されることを特徴とする請求項1記載の情報処理プログラム。
【請求項3】
前記第1上限数は、前記端末数取得ステップで取得した数と、前記サーバで前記一括編集の処理が可能な前記オブジェクトの数に応じた処理可数と、に基づいて設定されることを特徴とする請求項2記載の情報処理プログラム。
【請求項4】
前記一括編集の対象として既に許可された選択済みのオブジェクト以外から、前記一括編集の対象として新たに前記オブジェクトを選択する選択ステップと、
その選択ステップで新たに選択された前記オブジェクトの数と、前記選択済みのオブジェクトの数との合計数が前記第1上限数以下であると前記第1上限判断ステップによって判断された場合に、前記選択ステップで新たに選択された前記オブジェクトを前記選択済みのオブジェクトとする許可ステップと、
を備え、
前記禁止ステップは、前記第1上限判断ステップによって前記合計数が前記第1上限数を超えると判断された場合に、前記選択ステップにより新たに選択された前記オブジェクトの選択を無効にすることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の情報処理プログラム。
【請求項5】
前記オブジェクトの種類として、第1種と、その第1種よりもデータ容量が大きい第2種とを有し、
前記オブジェクト数取得ステップで取得された前記第2種のオブジェクトの数が、前記第1上限数よりも少ない第2上限数を超えるかを判断する第2上限判断ステップを備え、
前記禁止ステップは、その第2上限判断ステップによって前記第2上限数を超えると判断された場合に、前記指定ステップで指定された複数の前記オブジェクトの前記一括編集を禁止することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の情報処理プログラム。
【請求項6】
前記禁止ステップは、前記第1上限判断ステップで前記第1上限数を超えると判断された場合に、前記一括編集の対象となる前記オブジェクトの数が前記第1上限数以下になるように、前記指定ステップによる複数の前記オブジェクトの少なくとも一部の指定を無効にすることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の端末を管理サーバにインターネットを介して接続し、同一グループ内の端末で共有画面を共有することによって、それらの端末の利用者同士でコミュニケーションを図るウェブサービスシステムが記載されている。この共有画面は、ホワイトボード上にカード等の複数のオブジェクトが配置されたものである。端末でオブジェクトに対する編集の指示を入力すると、その指示に基づいてオブジェクトの編集の処理がサーバで実行され、編集されたオブジェクトを含む共有画面が複数の端末で共有される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術において、複数のオブジェクトの編集をまとめてサーバへ指示する一括編集を端末で入力したとき、その一括編集の対象となるオブジェクトの数が多い程に一括編集に伴うサーバの処理負荷が増大してしまう。すると、端末で一括編集を入力してから、編集されたオブジェクトを含む共有画面が複数の端末で共有されるまでの応答性が低下するという問題点がある。
【0005】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、複数のオブジェクトを一括編集する場合の応答性の低下を抑制できる情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために本発明の情報処理プログラムは、グループ内で共有された共有画面を表示する表示部と、その表示部に表示された前記共有画面に含まれるオブジェクトに対する編集の指示を入力する入力部と、を有する複数の端末と、その端末からの指示に基づき前記オブジェクトの編集の処理を実行して編集後のオブジェクトを含む前記共有画面を同一グループ内の前記端末に共有させるサーバと、を備える情報処理システムにおいて、複数の前記端末のうち1の端末で実行されるものであって、複数の前記オブジェクトの編集をまとめて前記サーバへ指示する一括編集の対象として複数の前記オブジェクトを指定する指定ステップと、その指定ステップにより指定された前記オブジェクトの数を取得するオブジェクト数取得ステップと、そのオブジェクト数取得ステップで取得された前記オブジェクトの数が所定の第1上限数を超えるかを判断する第1上限判断ステップと、その第1上限判断ステップで前記第1上限数を超えると判断された場合は、前記指定ステップで指定された複数の前記オブジェクトの前記一括編集を禁止する禁止ステップと、を備えている。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の情報処理プログラムによれば、複数のオブジェクトの編集をまとめてサーバへ指示する一括編集の対象として複数のオブジェクトが指定ステップで指定され、指定されたオブジェクトの数がオブジェクト数取得ステップで取得される。この取得されたオブジェクトの数が所定の第1上限数を超えると第1上限判断ステップによって判断された場合は、指定ステップで指定されたオブジェクトの一括編集が禁止ステップにより禁止される。このように、一括編集の対象となるオブジェクトの数が多い場合に、その一括編集が禁止されるので、一括編集に伴うサーバの処理負荷の増大を抑制できる。よって、端末の入力部で一括編集を入力してから、編集されたオブジェクトを含む共有画面が同一グループ内の複数の端末で共有されるまでの応答性の低下を抑制できるという効果がある。
【0008】
請求項2記載の情報処理プログラムによれば、請求項1記載の情報処理プログラムが奏する効果に加え、次の効果を奏する。端末数取得ステップによって、共有画面を共有する同一グループ内の端末の数が取得される。第1上限数は、この取得した数に基づいて設定される。これにより例えば、同一グループ内の端末の数が増え、複数の端末で略同時に一括編集が入力され易くなっても、第1上限数を少なくすることで、同時に一括編集されるオブジェクトの数を抑制できる。その結果、端末の数に応じてサーバでの一括編集の処理負荷が増大し過ぎるのを抑制でき、端末の数に応じた応答性の低下を抑制できるという効果がある。
【0009】
請求項3記載の情報処理プログラムによれば、請求項2記載の情報処理プログラムが奏する効果に加え、次の効果を奏する。第1上限数は、端末数取得ステップで取得した数と、サーバで一括編集の処理が可能なオブジェクトの数に応じた処理可数と、に基づいて設定される。これにより例えば、端末の数が増えても、処理可数を基準に第1上限数を少なくすることで、端末の数に応じてサーバでの一括編集の処理負荷が増大し過ぎるのを抑制でき、端末の数に応じた応答性の低下をより抑制できるという効果がある。
【0010】
請求項4記載の情報処理プログラムによれば、請求項1から3のいずれかに記載の情報処理プログラムが奏する効果に加え、次の効果を奏する。選択ステップでは、一括編集の対象として既に許可された選択済みのオブジェクト以外から、一括編集の対象として新たにオブジェクトが選択される。その選択ステップで新たに選択されたオブジェクトの数と、選択済みのオブジェクトの数との合計数が第1上限数以下である場合には、許可ステップによって、選択ステップで新たに選択されたオブジェクトを選択済みのオブジェクトとする。
【0011】
一方、それらの合計数が第1上限数を超える場合には、禁止ステップによって、選択ステップにより新たに選択されたオブジェクトの選択を無効にする。これらの結果、第1上限数を超えないで選択済みになった複数のオブジェクトを一括編集でき、第1上限数を超えた後に一から複数のオブジェクトを選択し直す手間を省くことができる。よって、オブジェクトの選択時の操作性を向上できるという効果がある。
【0012】
請求項5記載の情報処理プログラムによれば、請求項1から4のいずれかに記載の情報処理プログラムが奏する効果に加え、次の効果を奏する。オブジェクトの種類として、第1種と、その第1種よりもデータ容量が大きい第2種とを有す。オブジェクト数取得ステップで取得された第2種のオブジェクトの数が、第1上限数よりも少ない第2上限数を超えると第2上限判断ステップによって判断された場合には、指定ステップで指定された複数のオブジェクトの一括編集が禁止ステップによって禁止される。これにより、サーバでの個々の処理負荷が比較的増大し易い第2種のオブジェクトを一括編集する場合でも、サーバでの処理負荷が増大し過ぎるのを抑制できるので、その処理に伴う応答性の低下をより抑制できるという効果がある。
【0013】
請求項6記載の情報処理プログラムによれば、請求項1から5のいずれかに記載の情報処理プログラムが奏する効果に加え、次の効果を奏する。禁止ステップは、第1上限判断ステップで第1上限数を超えると判断された場合に、一括編集の対象となるオブジェクトの数が第1上限数以下になるように、指定ステップによる複数のオブジェクトの少なくとも一部の指定を無効にすることで、無効にしたオブジェクトの一括編集を禁止する。これにより、一括編集の対象を指定するときに、その指定数を第1上限数以下にできるので、禁止ステップにより禁止されない第1上限数以下まで指定数を減らす作業を不要にできる。よって、一括編集の対象を指定するときの操作性を向上できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】(a)は、第1実施形態における情報処理システムの概略図であり、(b)は、端末に表示されるウインドウを表す図である。
【
図2】(a)は、ウインドウに頻出語リストを表示した状態を表す図であり、(b)は、オブジェクトデータを模式的に表す図である。
【
図3】(a)は、複数のオブジェクトを選択操作するときの状態を表す図であり、(b)は、複数のオブジェクトの選択操作が無効となりエラーメッセージが表示された状態を表す図である。
【
図4】情報処理システムの電気的構成を示すブロック図である。
【
図6】端末のクリック処理のフローチャートである。
【
図7】端末のドラッグ処理のフローチャートである。
【
図8】端末の選択数判定処理のフローチャートである。
【
図9】サーバのメイン処理のフローチャートである。
【
図10】(a)は、第2実施形態において1のオブジェクトを選択したときの状態を表す図であり、(b)は、複数のオブジェクトを選択したときの状態を表す図である。
【
図11】第2実施形態における端末のクリック処理のフローチャートである。
【
図12】第2実施形態における端末のドラッグ処理のフローチャートである。
【
図13】第2実施形態における端末の編集制限処理のフローチャートである。
【
図14】第3実施形態における端末のメイン処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、好ましい実施形態について添付図面を参照して説明する。
図1(a)は、情報処理システムSの概略図である。情報処理システムSは、サーバ1と、そのサーバ1にインターネットNを介して接続される複数の端末2とで構成される。情報処理システムSは、サーバ1に接続された複数の端末2間でグループを作成し、そのグループ内で共同作業を行うためのシステムである。
【0016】
サーバ1は、端末2から入力される文字や音声、静止画、動画等の各種の入力データを蓄積し、端末2からの指示に応じた処理を実行する情報処理装置である。端末2は、ユーザによるマウス27やキーボード28等の入力部からの入力に基づき、各種の入力データの作成および編集をサーバ1へ指示する処理などを実行する情報処理装置であり、パーソナルコンピュータが例示される。
【0017】
なお、端末2はパーソナルコンピュータに限られず、例えば、スマートフォンやタブレット端末等の他の情報処理装置でも良い。端末2をスマートフォンやタブレット端末で構成する場合は、マウス27やキーボード28の代わりにタッチパネルを入力部とすれば良い。また、端末2に設けたマイク29(
図4参照)を入力部とし、マイク29を介して入力された音声により各種の操作をしても良い。
【0018】
次に
図1(b)及び
図2(a)を参照し、端末2のLCD(Liquid Crystal Display)26に表示されるウインドウ40を説明する。
図1(b)は、端末2に表示されるウインドウ40を表す図である。また、
図2(a)は、ウインドウ40に頻出語リスト46を表示した状態を表す図である。
【0019】
図1(b)に示すように、ウインドウ40は、共有画面41の表示領域を構成するものである。共有画面41は、上記した入力データに基づくオブジェクト45が貼り付けられる台紙(ホワイトボード)である。共有画面41は、サーバ1で生成され、サーバ1から受信した同一グループ内の各端末2でそれぞれ表示される。ウインドウ40の上側にはメッセージ表示エリア42が、ウインドウ40の左側にはメニューバー43がそれぞれ表示される。
【0020】
メッセージ表示エリア42には、端末2の操作に伴う警告メッセージ(
図3(a)参照)やエラーメッセージ(
図3(b)参照)等が表示される。警告メッセージやエラーメッセージは、警告やエラーの起因となる操作が行われた端末2のメッセージ表示エリア42に表示される。
【0021】
メニューバー43には、共有画面41を編集するための複数種類のアイコンが表示される。具体的に、メニューバー43には、上から順に、選択アイコン43a、付箋アイコン43b、図形アイコン43c、頻出語リストアイコン43d、表作成アイコン43e、その他アイコン43fが表示されている。
【0022】
選択アイコン43aをクリックすると、選択アイコン43aの右側に「オブジェクトの選択」アイコン43g及び「全選択」アイコン43hが表示される。「オブジェクトの選択」アイコン43gをクリックすると、マウスカーソル47はオブジェクト45の選択操作が可能な状態になる。「全選択」アイコン43hをクリックすると、共有画面41上の全ての選択可能なオブジェクト45が選択操作される。
【0023】
なお、本実施形態における「選択操作」とは、オブジェクト45を選択しようとする操作(入力)のことをいう。即ち、その操作後に必ずしもオブジェクト45が選択済みにされる訳ではない。また、「選択操作の無効」とは、オブジェクト45を選択しようとしたが、そのオブジェクト45を選択済みにできなかったことをいう。
【0024】
オブジェクト45は、選択操作されて選択済みになると、マウス27やキーボード28の入力に基づき編集可能な状態になる。自分の端末2とは別の端末2でオブジェクト45が選択済みになっている場合、共有画面41には、そのオブジェクト45が別の端末2で選択中であることを示す選択通知表示44が表示される。選択通知表示44には、選択しているユーザ名が表示される。これにより、自分の端末2では、別の端末2で選択中のオブジェクト45に対する選択操作が抑制される。
【0025】
付箋アイコン43bは、テキストが入力される矩形の枠である付箋のオブジェクト45を作成するためのアイコンである。図形アイコン43cは、多角形や円形などの図形のオブジェクト45を作成するためのアイコンである。表作成アイコン43eは、複数のオブジェクト45を整理する表を作成するためのアイコンである。その他アイコン43fは、静止画や動画、矢印などのオブジェクト45を作成するためのアイコンである。
【0026】
図2(a)に示すように、頻出語リストアイコン43dは、クリックによって頻出語リスト46を共有画面41上に表示するためのアイコンである。頻出語リスト46は、所定時間内(例えば過去10分間)に、付箋のオブジェクト45に記載されたテキストや、後述するビデオチャット中の発言の音声認識結果から抽出された単語を出現する頻度が多い順に並べたものであり、サーバ1で生成される。
【0027】
頻出語リスト46の各単語の左側には、その単語を選択するためのチェックボックスが表示される。このチェックボックスをクリックしてチェックを入れ、「関連付箋の一括選択」アイコン46aをクリックすると、チェックを入れた単語(頻出語)を含む選択可能な付箋のオブジェクト45が一括して選択操作される。
【0028】
次に、
図2(b)を参照し、共有画面41上にオブジェクト45を表示するための各種データが設定されるオブジェクトデータDBを説明する。
図2(b)は、オブジェクトデータDBを模式的に表す図である。オブジェクトデータDBには、オブジェクト45毎に、番号、種類、共有画面41上での座標、端末2による選択状況、色、テキスト等の各種データが設定される。オブジェクトデータDBは、サーバ1に記憶されている。
【0029】
オブジェクトデータDBのうちの番号、種類、座標、選択状況によって抽出オブジェクトデータDEが構成される。この抽出オブジェクトデータDEは、オブジェクトデータDBが更新される毎にサーバ1から端末2へ送信され、受信した端末2に記憶される。端末2では、抽出オブジェクトデータDEを用いることで、サーバ1を介さずにオブジェクト45の選択が可能となる。
【0030】
なお、オブジェクト45の編集とは、オブジェクトデータDBの各種データを編集することである。具体的にオブジェクト45の編集として、移動(座標の変更)、色やテキスト等の変更が挙げられる。更にオブジェクト45の編集には、オブジェクト45の削除と、既存のオブジェクト45から新たなオブジェクト45を複製するコピー&ペーストとを含む。
【0031】
オブジェクト45の種類には、上記した付箋、図形、静止画、動画、矢印、テキストボックス、これらを囲む線などが挙げられる。この種類毎に、オブジェクトデータDBに設定される各種データの内容が異なる。
【0032】
例えば、静止画および動画のオブジェクト45の各種データには、色およびテキストに関するデータがなく、代わりに図示しない画像データがある。この画像データは、解像度などにもよるが他のデータと比べてデータ容量が大きく、特に動画のデータ容量は大きくなり易い。
【0033】
なお、静止画および動画の内容を示す文字列によるタグや、動画の字幕の文字列を、オブジェクトデータDBのテキスト欄に編集の対象として記憶しても良い。また同様に、静止画および動画に外枠を設け、その外枠の色をオブジェクトデータDBの色の欄に編集の対象として記憶しても良い。
【0034】
オブジェクト45の選択状況には、そのオブジェクト45が選択されているか否か、選択済みの場合はどのユーザが操作する端末2で選択されたかが記憶される。具体的に、選択状況には、いずれの端末2でも選択されていない場合に「未選択」が、ユーザAの端末2で選択された場合に「ユーザA」が、ユーザBの端末2で選択された場合に「ユーザB」が記憶される。
【0035】
各端末2では、「未選択」のオブジェクト45しか新たに選択できず、同一のオブジェクト45を別の端末2で選択できない。これは、同じオブジェクト45を別々の端末2で同時に編集することで、1のユーザの編集内容が反映される一方で、他のユーザの編集内容が反映されなくなるのを抑制するためである。なお、同じオブジェクト45が別々の端末2で略同時に選択された場合には、選択の情報をサーバ1で受信したタイミングが遅かった方の選択を無効にする。
【0036】
次に
図3を参照し、ドラッグによるオブジェクト45の選択操作を説明する。
図3(a)は、ウインドウ40上で複数のオブジェクト45を選択操作するときの状態を表す図であり、
図3(b)は、ウインドウ40上での複数のオブジェクト45の選択操作が無効となりエラーメッセージが表示された状態を表す図である。
【0037】
図3(a)に示すように、共有画面41のうちオブジェクト45が無い背景部分を始点にドラッグすると、始点とマウスカーソル47とが対角の位置とされる矩形状の選択範囲48が共有画面41上に表示される。ドラッグ操作を終了すると、選択範囲48が確定され、その選択範囲48内に収まっている選択可能な複数のオブジェクト45が選択操作される。
【0038】
図3(b)に示すように、選択範囲48が確定したとき、選択操作されたオブジェクト45の数が第1上限数(例えば100個)を超えている場合には、メッセージ表示エリア42に「一度に100個を超えて選択できません」とエラーメッセージが表示され、その選択操作が無効になる。一方、選択範囲48が確定したとき、その選択範囲48内の選択可能なオブジェクト45が第1上限数以下である場合には、それらのオブジェクト45が選択済みとされる。
【0039】
なお、選択範囲48の設定によるオブジェクト45の選択時だけでなく、上記した全選択時や「関連付箋の一括選択」アイコン46aによる一括選択時も同様に、選択操作されたオブジェクト45の数が第1上限数を超える場合には選択操作が無効になり、第1上限数以下である場合にはオブジェクト45が選択済みになる。また、クリックによってオブジェクト45を1個ずつ追加して選択操作していくときも同様である。
【0040】
複数のオブジェクト45を選択済みにした状態で、それらの編集を端末2で入力すると、選択済みの複数のオブジェクト45の編集をまとめてサーバ1へ指示する一括編集が行われ、その指示に基づいて選択済みのオブジェクト45に対する編集の処理がサーバ1上で実行される。その後、編集されたオブジェクト45を含む共有画面41がサーバ1で生成され、同一グループ内の各端末2へサーバ1から送信される。そして、受信した共有画面41が各端末2のLCD26に表示される。
【0041】
このようにして、一括編集が可能なオブジェクト45の数が第1上限数以下に抑制される。即ち、一括編集の対象に指定しようとしたオブジェクト45の数が第1上限数よりも多い場合に、その一括編集が禁止されるので、一括編集に伴う処理負荷がサーバ1で増大し過ぎるのを抑制できる。その結果、複数のオブジェクト45の一括編集を端末2で入力してから、サーバ1で編集されたオブジェクト45を含む共有画面41が同一グループ内の各端末2に共有されるまでの応答性の低下を抑制できる。
【0042】
特に、一括編集の対象に指定するためにオブジェクト45を選択操作したときに、対象に指定されたオブジェクト45の数が第1上限数よりも多ければ、その選択操作が無効にされるので、一括編集が禁止されない第1上限数以下まで選択済みのオブジェクト45の数を減らす作業を不要にできる。よって、一括編集の対象となるオブジェクト45の選択時の操作性を向上できる。
【0043】
図3(a)に戻って説明する。選択範囲48が未確定のとき、その選択範囲48内の選択可能なオブジェクト45が100個を超えている場合、メッセージ表示エリア42には「選択数を100個以下にしてください」と警告メッセージが表示される。これにより、このまま選択範囲48を確定した場合に、その選択操作が無効になってしまうことを事前にユーザへ通知できる。その結果、オブジェクト45の無駄な選択操作をユーザにさせ難くできるので、選択時の操作性をより向上できる。
【0044】
次に、
図4を参照して、情報処理システムSの電気的構成を説明する。
図4は、情報処理システムSの電気的構成を示すブロック図である。まずサーバ1の電気的構成を説明する。
【0045】
サーバ1は、CPU10と、ハードディスク・ドライブ(以下「HDD」と略す)11と、CPU10のプログラムの実行時に各種のワークデータやフラグ等を書き換え可能に記憶するためのメモリであるRAM12とを有し、これらはバスライン13を介して入出力ポート14にそれぞれ接続されている。入出力ポート14には、更に、表示部としてのLCD15と、入力装置16と、通信装置17とが接続されている。
【0046】
CPU10は、バスライン13により接続された各部を制御する演算装置である。HDD11は、CPU10により実行されるプログラムや各種データ等を格納した書き換え可能な不揮発性のメモリであり、サーバ制御プログラム11aと、上記したオブジェクトデータDBが記憶されるオブジェクトデータ11bとが設けられる。CPU10によってサーバ制御プログラム11aが実行されると、
図9のメイン処理が実行される。
【0047】
入力装置16は、サーバの管理者からの指示を入力する装置であり、マウスやキーボードが例示される。通信装置17は、外部の機器と情報を送受信するための装置である。通信装置17はインターネットNに接続され、そのインターネットNには複数の端末2が接続される。
【0048】
次に端末2の電気的構成を説明する。端末2は、CPU20と、HDD21と、RAM22とを有し、これらはバスライン23を介して入出力ポート24にそれぞれ接続されている。入出力ポート24には、更に、上記したLCD26、マウス27及びキーボード28と、インターネットNを介してサーバ1や別の端末2に接続される通信装置25と、マイク29と、ビデオカメラ30とが接続されている。
【0049】
グループ内の端末2間では、マイク29及びビデオカメラ30を用いることで、共有画面41を共有しながら、ビデオチャットを行うことができる。このビデオチャット中の発言をマイク29で収集し、その発言の音声認識結果のテキストを付箋のオブジェクト45に入力しても良い。また、その音声認識結果をサーバ1へ送信して、上記した頻出語リスト46を生成しても良い。
【0050】
CPU20は、バスライン23により接続された各部を制御する演算装置である。HDD21は、CPU20により実行されるプログラムや各種データ等を格納した書き換え可能な不揮発性のメモリであり、端末制御プログラム(情報処理プログラム)21aが記憶される。CPU20によって端末制御プログラム21aが実行されると、
図6のメイン処理が実行される。更に、マウス27をクリックすると
図6のクリック処理が、ドラッグすると
図7のドラッグ処理がそれぞれ割り込み処理として実行される。
【0051】
RAM22は、CPU20が端末制御プログラム21aの実行時に各種のワークデータやフラグ等を書き換え可能に記憶するためのメモリであり、上記した抽出オブジェクトデータDEが記憶されるオブジェクトメモリ22aと、選択操作されたオブジェクト45の番号が記憶される選択対象メモリ22bと、同一の共有画面41を共有しているグループ内の端末2の数が記憶される端末数メモリ22cと、処理可数メモリ22dと、上記したエラーメッセージを表示するための情報が記憶されるエラー内容メモリ22eとが設けられる。
【0052】
処理可数メモリ22dは、サーバ1で一括編集の処理が可能なオブジェクト45の数に応じた処理可数が記憶されるメモリである。処理可数メモリ22dの値を端末数メモリ22cの値で除算されることで、上記した第1上限数が算出される。
【0053】
なお、サーバ1における複数のオブジェクト45の一括編集の処理は、端末2から指示された個々のオブジェクト45を編集する処理に加え、その処理結果をグループ内の各端末2へ送信する処理を含むため、端末2の数が増える程に増大する。この増大を加味しつつ、端末数メモリ22cの値で除算されることを前提に、サーバ1の処理負荷が増大し過ぎない程度の値が処理可数として設定される。
【0054】
次に
図5~8を参照して、端末2のCPU20で実行される処理を説明する。
図5は、端末2のメイン処理のフローチャートである。端末2のメイン処理は、マウス27等を介してユーザから端末制御プログラム21aを実行する指示が入力された場合に実行される処理である。
【0055】
端末2のメイン処理はまず、オブジェクト45を含む共有画面41と、抽出オブジェクトデータDEとをサーバ1から受信し(S10)、受信した共有画面41をLCD26に表示する(S11)。この共有画面41は、同一グループ内の各端末2で共有される。
【0056】
S11の処理の後、S10の処理で受信した抽出オブジェクトデータDEをオブジェクトメモリ22aに保存する(S12)。この抽出オブジェクトデータDEには、オブジェクト45の選択の処理に用いる種類、座標、選択状況のデータが含まれているので、サーバ1側の処理を介さずに端末2でオブジェクト45の選択の処理を実行できる。
【0057】
S12の処理の後、同一の共有画面41を共有中の端末2の数をサーバ1から受信し、その端末2の数を端末数メモリ22cに保存する(S13)。この端末数メモリ22cの値は、後述する
図8の選択数判定処理において、一括編集が可能なオブジェクト45の数の上限を示す第1上限数の算出に用いられる。
【0058】
S13の処理の後、選択済みのオブジェクト45が編集操作されたかを確認する(S14)。即ち、オブジェクトメモリ22aに記憶された抽出オブジェクトデータDEの選択状況において、自身の端末2で選択済みとなっているオブジェクト45が有る場合に、マウス27やキーボード28を介してユーザから編集の入力が有ったかを確認する。
【0059】
S14の処理において、選択済みのオブジェクト45が編集操作された場合は(S14:Yes)、選択済みのオブジェクト45の編集の指示をサーバ1へ送信する(S15)。選択済みのオブジェクト45が複数有る場合には、それらのオブジェクト45の編集をまとめてサーバ1へ指示する一括編集が実行される。
【0060】
詳細は
図9を用いて後述するが、サーバ1では、この編集の指示に基づきオブジェクトデータDBが更新(編集)され、その更新結果に基づいた共有画面41と、オブジェクトデータDBの一部である抽出オブジェクトデータDEと、が各端末2へ送信される。それらをS10の処理で受信すると、S11の処理によって端末2の共有画面41が更新され、オブジェクト45が編集された状態になる。更に、S12の処理によって端末2のオブジェクトメモリ22aに記憶された抽出オブジェクトデータDEも更新され、最新のオブジェクト45の状態に基づいて選択の処理を実行できるようになる。
【0061】
このように、オブジェクト45の編集をサーバ1に指示してから、その編集が同一グループ内の端末2に反映されて共有されるまでの応答性が低下すると、共有画面41を用いた共同作業が滞ってしまう。特に、複数のオブジェクト45を一括編集するときに応答性が低下し易いため、一括編集に伴う応答性の低下の抑制が求められている。
【0062】
S15の処理の後、その他の処理を実行し(S16)、S10以下の処理を繰り返す。また、S14の処理において、選択済みのオブジェクト45の編集操作が無い場合は(S14:No)、S15の処理をスキップしてS16の処理を実行し、S10以下の処理を繰り返す。なお、S16の処理としては、現在のグループとは別のグループの端末2に接続する処理や、新たな共有画面41を作成する処理などが挙げられる。
【0063】
次にオブジェクト45を選択操作するときの処理について説明する。上述した通り、端末2のメイン処理の実行中にマウス27をクリックすると、
図6のクリック処理がCPU20で割り込み処理として実行される。ここで、
図6を参照してこのクリック処理を説明する。
【0064】
図6は、クリック処理のフローチャートである。クリック処理はまず、選択可能なオブジェクト45、即ちオブジェクトメモリ22aの選択状況が未選択であるオブジェクト45がクリックされたかを確認する(S21)。
【0065】
S21の処理において、選択可能なオブジェクト45がクリックされた場合は(S21:Yes)、そのクリックされたオブジェクト45を選択対象として選択対象メモリ22bに保存する(S22)。具体的なS22の処理としては、クリックされたオブジェクト45の番号をオブジェクトメモリ22aから取得し、その取得した番号を選択対象メモリ22bに保存する。後述するS25,S27及び
図7のS41の処理でも同様の処理が実行される。
【0066】
なお、「選択対象」とは、編集の対象として指定するために選択操作されたオブジェクト45であって、未だに選択済みになったものでなく編集の対象として許可されたものではない。一方、選択済みのオブジェクト45は編集の対象として許可されている。
【0067】
S22の処理の後、処理可数メモリ22dに処理可数として「1000」を保存する(S23)。この処理可数は、上述した通り、グループ内の端末2の数で除算されることを前提に、端末2の数に応じて増大するサーバ1での編集処理の処理負荷が増大(応答性が低下)し過ぎない程度の値である。このS23の処理で保存する値は、サーバ1の処理能力や、サーバ1の管理者などが所望する応答性の程度に応じて適宜変更しても良い。
【0068】
S23の処理の後、選択数判定処理を実行する(S29)。選択数判定処理S29は、詳細は
図8で説明するが、選択対象メモリ22bに記憶された選択対象を選択済みとした場合に、一括編集に伴う応答性が低下し過ぎないかを判定する処理である。選択数判定処理S29では、応答性の低下が懸念される場合に、その原因となるエラー内容がエラー内容メモリ22eに保存される。
【0069】
S29の処理の後、エラー内容メモリ22eにエラー内容が有るかを確認する(S30)。エラー内容が有る場合は(S30:Yes)、そのエラー内容に応じたエラーメッセージをLCD26に表示し(S31)、選択対象メモリ22bの内容をクリアする(S33)。
【0070】
このように、選択数判定処理S29で応答性の低下が懸念される場合には、選択対象メモリ22bに記憶された選択対象のオブジェクト45を選択済みにしない、即ち選択操作を無効にすることで、そのオブジェクト45に対する編集操作を禁止できる。このように、一括編集の対象となるオブジェクト45の数を制限することで、その一括編集の処理負荷の増大を抑制でき、一括編集に伴う応答性の低下を抑制できる。
【0071】
更に、一括編集の対象となるオブジェクト45の数を制限するために、その対象を指定する選択操作を無効にしているので、上述した通り、一括編集が禁止されない数まで選択済みのオブジェクト45の数を減らす作業を不要にできる。よって、一括編集の対象となるオブジェクト45の選択時の操作性を向上できる。
【0072】
S33の処理の後、その他の処理を実行し(S34)、クリック処理を終了する。なお、その他の処理としては、例えば、選択済みのオブジェクト45をクリックしてその選択を解除する処理や、メニューバー43の各アイコン43a~43hをクリックしたときの処理が挙げられる。
【0073】
一方、S30の処理において、エラー内容が無い場合は(S30:No)、選択対象メモリ22bに記憶された選択対象のオブジェクト45を選択済みにし、サーバ1のオブジェクトデータDBの当該部分を選択済みにする指示をサーバ1へ送信する(S32)。このS30の処理の後、S33,S34の処理を実行し、クリック処理を終了する。
【0074】
また、S21の処理において、選択可能なオブジェクト45がクリックされなかった場合は(S21:No)、「全選択」アイコン43h(
図2(a)参照)がクリックされたかを確認する(S24)。「全選択」アイコン43hがクリックされた場合は(S24:Yes)、共有画面41上の全ての選択可能なオブジェクト45を選択対象として選択対象メモリ22bに保存し(S25)、S23以下の処理を実行してクリック処理を終了する。
【0075】
S24の処理において、「全選択」アイコン43hがクリックされなかった場合は(S24:No)、頻出語リスト46の「関連付箋の一括選択」アイコン46a(
図2(b)参照)がクリックされたかを確認する(S26)。「関連付箋の一括選択」アイコン46aがクリックされた場合は(S26:Yes)、頻出語リスト46上でチェックを入れた頻出語を含む選択可能な付箋のオブジェクト45を選択対象として選択対象メモリ22bに保存する(S27)。
【0076】
S27の処理の後、一括編集可能なオブジェクト45の数を決めるための処理可数として「1500」を処理可数メモリ22dに保存し(S28)、S29以下の処理を実行してクリック処理を終了する。S28の処理で処理可数メモリ22dに保存される値は、オブジェクト45又は「全選択」アイコン43hをクリックしたときのS23の処理で保存される値よりも大きい。
【0077】
これにより、頻出語リスト46から複数のオブジェクト45を一括して選択操作したときは、他の選択操作の方法と比べて多くのオブジェクト45を一括編集できる。これは、同じ頻出語を含んでいて互いに関連性が高い複数のオブジェクト45を一括編集し易くするためである。即ち、複数のオブジェクト45同士の関連性が高い場合には、それらの一括編集時の応答性をいくらか犠牲にしてでも一括編集可能にすることで、各端末2間での共同作業を円滑にできる。
【0078】
また、頻出語を含む複数のオブジェクト45は、共有画面41上にまとまって配置されているとは限らないので、それらを一括選択(まとめて選択)または一括編集できなかった場合に、個別に選択や編集する作業が手間になる。しかし、S28の処理によって、一括選択可能および一括編集可能な数を他の選択方法と比べて多くできるので、一括編集の対象となるオブジェクト45の選択時の操作性を向上できる。
【0079】
S26の処理において、「関連付箋の一括選択」アイコン46aがクリックされなかった場合には(S26:No)、クリックがオブジェクト45の選択操作ではないので、S34の処理を実行し、クリック処理を終了する。
【0080】
以上説明したクリック処理に限らず、
図7のドラッグ処理においてもオブジェクト45が選択操作される。上述した通り、端末2のメイン処理の実行中に、マウス27をドラッグすると、ドラッグ処理がCPU20で割り込み処理として実行される。ここで、
図7を参照してこのドラッグ処理を説明する。
【0081】
図7は、ドラッグ処理のフローチャートである。ドラッグ処理はまず、背景のドラッグによる選択範囲48(
図3(a)参照)の設定であるかを確認する(S40)。選択範囲48の設定でない場合には(S40:No)、ドラッグがオブジェクト45の選択操作ではないので、その他の処理を実行し(S49)、ドラッグ処理を終了する。その他の処理としては、選択済みのオブジェクト45を移動させる編集操作や、選択済みのオブジェクト45のサイズを変更する編集操作などが挙げられる。
【0082】
一方、S40の処理において、選択範囲48の設定であった場合は(S40:Yes)、選択範囲48内に収まっている選択可能なオブジェクト45を選択対象として選択対象メモリ22bに保存する(S41)。次いで、オブジェクト45又は「全選択」アイコン43hをクリックしたときと同様に、処理可数メモリ22dに処理可数として「1000」を保存し(S42)、選択数判定処理S29を実行する。
【0083】
選択数判定処理S29の後、ドラッグの終了によって選択範囲48が確定したかを確認する(S43)。選択範囲48が確定した、即ち選択範囲48内のオブジェクト45が選択操作された場合は(S43:Yes)、
図6のクリック処理と同様にS30~S33の処理を実行し、S49の処理を実行してドラッグ処理を終了する。
【0084】
一方、S43の処理において、選択範囲48が確定していない場合は(S43:No)、エラー内容メモリ22eにエラー内容が有るかを確認する(S44)。エラー内容が有る場合は(S44:Yes)、このまま選択範囲48を確定した場合に選択操作が無効になってしまうことをユーザへ通知するために、エラー内容に応じた警告メッセージをLCD26に表示し(S45)、S41以下の処理を繰り返す。この警告メッセージの表示によって、オブジェクト45の無駄な選択操作をユーザにさせ難くできるので、選択時の操作性を向上できる。
【0085】
一方、エラー内容が無い場合は(S44:No)、S45の処理をスキップしてS41以下の処理を繰り返す。これは、このまま選択範囲48を確定した場合に、選択範囲48内の選択可能なオブジェクト45を選択済みにでき、警告メッセージを表示する必要がないためである。
【0086】
次に、
図8を参照し、
図6のクリック処理および
図7のドラッグ処理で実行される選択数判定処理S29について説明する。
図8は、選択数判定処理S29のフローチャートである。
【0087】
選択数判定処理S29はまず、選択操作の方法に応じて
図6のS23,S28又は
図7のS42の処理で保存された処理可数メモリ22dの値を、
図5のS13の処理で保存された端末数メモリ22cの値で除して、第1上限数を算出する(S50)。
【0088】
このように、一括編集可能なオブジェクト45の数を示す第1上限数が、同一の共有画面41を共有中の端末2の数に基づいて設定される。これにより、その端末2の数が増え、複数の端末2で略同時に一括編集が操作され易くなっても、第1上限数を少なくでき、同時に一括編集されるオブジェクト45の数を抑制できる。その結果、端末2の数に応じた一括編集時の応答性の低下を抑制できる。
【0089】
更に、第1上限数は、上記した端末2の数と、サーバ1で一括編集の処理が可能なオブジェクト45の数に応じた処理可数と、に基づいて設定される。処理可数は、端末2の数の増減とは無関係に設定されている。よって、端末2の数が増えても、処理可数を基準に第1上限数を少なくでき、端末2の数に応じた一括編集時の応答性の低下をより一層抑制できる。
【0090】
次いで、この第1上限数との比較対象として、選択対象のオブジェクト45の数を種類毎に取得する(S51)。具体的なS51の処理は、選択操作の方法に応じて
図6のS22,S25,S27又は
図7のS41の処理で選択対象メモリ22bに保存された選択対象のオブジェクト45の番号と、オブジェクトメモリ22aに記憶された抽出オブジェクトデータDEにおけるオブジェクト45の番号および種類と、を照らし合わせ、選択対象のオブジェクト45の数を種類毎に取得する。
【0091】
S51の処理の後、抽出オブジェクトデータDEにおけるオブジェクト45の種類および選択状況から、自身の端末2で選択済みのオブジェクト45の数を種類毎に取得する(S52)。これらのS51,52の処理では、一括編集の対象として指定されたオブジェクト45の数が取得される。
【0092】
次いで、S51の処理で取得した選択対象のオブジェクト45における全種類の数と、S52処理で取得した選択済みのオブジェクト45における全種類の数との合計数が、S50の処理で算出した第1上限数を超えているかを確認する(S53)。即ち、選択対象のオブジェクト45が選択済みになった場合に、選択済みの複数のオブジェクト45を一括編集すると、上記した応答性の低下が懸念されるかを確認する。
【0093】
S53の処理において、全種類の合計数が第1上限数を超えている場合は(S53:Yes)、オブジェクト45の種類に関係なくオブジェクト45の数が多過ぎることにより応答性の低下が懸念されるので、この原因である「オブジェクト数」をエラー内容としてエラー内容メモリ22eに保存する(S54)。
【0094】
このS54の処理で選択数判定処理S29を終了し、
図6,7の処理に戻る。「オブジェクト数」のエラー内容が保存された状態で
図6,7のS30の処理が実行されると、S31の処理によって選択対象のオブジェクト45の数が多過ぎることを示すエラーメッセージが表示され、S33の処理で選択操作が無効となる。その結果、一括編集の対象となるオブジェクト45の数が多過ぎることによる応答性の低下を抑制できる。
【0095】
なお、本実施形態では、一括編集の対象に指定しようとしたオブジェクト45の数が第1上限数を超えた場合に、その対象として未許可の選択対象のオブジェクト45に対する選択操作を無効にするだけで、一括編集の対象として既に許可されている選択済みのオブジェクト45は選択が解除(無効に)されない。これにより、第1上限数を超えないで選択済みになった複数のオブジェクト45を一括編集でき、第1上限数を超えた後に一からオブジェクト45を選択し直す手間を省くことができる。よって、オブジェクト45の選択時の操作性を向上できる。
【0096】
S53の処理において、全種類の合計数が第1上限数以下である場合は(S53:No)、S51の処理で取得した選択対象のオブジェクト45のうち静止画の数と、S52の処理で取得した選択済みのオブジェクト45のうち静止画の数との合計数が、S50の処理で算出した第1上限数に0.2を乗じた値(第2上限数)を超えているかを確認する(S55)。
【0097】
静止画のオブジェクト45は、付箋や図形、矢印などのオブジェクト45と比べてデータ容量が大きい。そのため1個の静止画を編集する場合、その編集内容によっては、比較的データ容量が小さい1個のオブジェクト45を編集する場合と比べて、サーバ1での処理負荷が増大する。よって、複数のオブジェクト45を一括編集する場合、全種類のオブジェクト45の数が第1上限数以下でも、個々の処理負荷が比較的増大し易い静止画の数が多ければ、応答性の低下が懸念される。
【0098】
S55の処理において、静止画の合計数が第2上限数を超えている場合は(S55:Yes)、一括編集の対象となる静止画が多過ぎることにより応答性の低下が懸念されるので、この原因である「静止画数」をエラー内容としてエラー内容メモリ22eに保存する(S56)。
【0099】
S56の処理で選択数判定処理S29を終了し、
図6,7の処理に戻る。「静止画数」のエラー内容が保存された状態で
図6,7のS30の処理が実行されると、S31の処理によって選択対象のオブジェクト45のうち静止画の数が多過ぎることを示すエラーメッセージが表示され、S33の処理で選択操作が無効となる。その結果、データ容量が大きい静止画が一括編集の対象に含まれていても、第2上限数の設定により応答性の低下を抑制できる。
【0100】
S55の処理において、静止画の合計数が第2上限数以下である場合は(S55:No)、S51の処理で取得した選択対象のオブジェクト45のうち動画の数と、S52の処理で取得した選択済みのオブジェクト45のうち動画の数との合計数が、S50の処理で算出した第1上限数に0.1を乗じた値(第3上限数)を超えているかを確認する(S57)。
【0101】
動画のオブジェクト45は、静止画のオブジェクト45と比べてデータ容量が大きくなり易い。そのため、複数のオブジェクト45を一括編集するとき、全種類のオブジェクト45の数が第1上限数以下で、静止画の数が第2上限数以下でも、個々の処理負荷が比較的増大し易い動画の数が多ければ、応答性の低下が懸念される。
【0102】
S57の処理において、動画の合計数が第3上限数を超えている場合は(S57:Yes)、一括編集の対象となる動画が多過ぎることにより応答性の低下が懸念されるので、この原因である「動画数」をエラー内容としてエラー内容メモリ22eに保存する(S58)。
【0103】
S58の処理で選択数判定処理S29を終了し、
図6,7の処理に戻る。「動画数」のエラー内容が保存された状態で
図6,7のS30の処理が実行されると、S31の処理で、選択対象のオブジェクト45のうち動画の数が多過ぎることを示すエラーメッセージが表示され、S33の処理で選択操作が無効となる。その結果、データ容量がより大きくなり易い動画が一括編集の対象に含まれていても、第3上限数の設定により応答性の低下を抑制できる。
【0104】
S57の処理において、動画の合計数が第3上限数以下である場合は(S57:No)、エラー内容が無いとしてエラー内容メモリ22eをクリアし(S59)、選択数判定処理S29を終了して
図6,7の処理に戻る。上述した通り、エラー内容が無ければ、選択操作されたオブジェクト45が選択済みとなり編集可能となる。
【0105】
次に
図9を参照して、サーバ1のCPU10で実行される処理を説明する。
図9は、サーバ1のメイン処理のフローチャートである。サーバ1のメイン処理は、サーバ1の電源投入後に実行される処理である。
【0106】
サーバ1のメイン処理はまず、同一の共有画面41を共有している端末2の数が変化したかを確認する(S60)。この端末2の数が変化した場合には(S60:Yes)、その共有画面41を共有している全ての端末2へ、変化後の端末2の数を送信する(S61)。端末2では、この最新の端末2の数を用いて算出した第1上限数に基づき、一括編集の対象となるオブジェクト45の数を制限できる。
【0107】
S61の処理の後、オブジェクト45に対する編集、選択または作成の指示を端末2から受信したかを確認する(S62)。また、S60の処理において、同一の共有画面41を共有している端末2の数が変化しなかった場合は(S60:No)、S61の処理をスキップし、このS62の処理を実行する。なお、端末2からは、
図5のS15の処理で編集の指示が、
図6,7のS32の処理で選択の指示がそれぞれサーバ1へ送信される。
【0108】
オブジェクト45に対する指示を受信した場合は(S62:Yes)、その指示に応じてオブジェクトデータDBの該当部分を更新する(S63)。次いで、更新したオブジェクトデータDBに基づく共有画面41を生成し(S64)、その共有画面41と、オブジェクトデータDBの一部である抽出オブジェクトデータDEとを、その共有画面41を共有中の全ての端末2へ送信する(S65)。これにより、1の端末2で編集が入力された内容を複数の端末2で共有でき、端末2を操作するユーザ同士の共同作業が可能となる。
【0109】
なお、サーバ1では、端末2から複数のオブジェクト45の一括編集の指示を受けた場合に、これらS63~S65の処理負荷が増大し、応答性の低下が懸念される。しかし、端末2上で、一括編集の対象となるオブジェクト45の数が制限されているので、応答性の低下を抑制できる。
【0110】
S65の処理の後は、その他の処理を実行し(S66)、S60以下の処理を繰り返す。また、S62の処理において、オブジェクト45に対する指示を受信しなかった場合は(S62:No)、このS66の処理を実行し、S60以下の処理を繰り返す。なお、S66の処理としては、上記した頻出語リスト46を作成する処理や、共有画面41を共有するグループを設定する処理などが挙げられる。
【0111】
次に、
図10(a)から
図13を参照して第2実施形態を説明する。上記した第1実施形態では、第1上限数を超えた数のオブジェクト45が一括編集されることを禁止するために、その編集の対象を指定する選択操作を無効にした。これに対して第2実施形態では、オブジェクト45の選択操作を無効にすることなく、編集の対象として指定された選択済みのオブジェクト45の数に基づき、上限数を超えた数のオブジェクト45が一括編集されることを禁止する。第1実施形態と同一の部分については同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0112】
図10(a)は、第2実施形態において1のオブジェクト45を選択済みにしたときの状態を表す図である。この
図10(a)では、選択済みの1のオブジェクト45を破線で示している。
図10(b)は、複数のオブジェクト45を選択済みにしたときの状態を表す図である。この
図10(b)では、選択範囲48内に収まっているオブジェクト45を選択済みのものとする。
【0113】
図10(a)に示すように、オブジェクト45が選択済みにされると、それを編集するための編集メニュー50が共有画面41上に表示される。編集メニュー50には、左から順に、オブジェクト45の色を変更する色変更アイコン50a、ロックアイコン50b、オブジェクト45をコピー(コピー&ペーストの一部の操作)するコピーアイコン50c、オブジェクト45を削除する削除アイコン50dが表示されている。なお、ロックアイコン50bとは、選択済みのオブジェクト45の移動の禁止と、その解除とを切り換えるためのアイコンである。
【0114】
一方、
図10(b)に示すように、選択済みのオブジェクト45の数が多いと、メッセージ表示エリア42に「コピー及び移動はできません」とエラーメッセージが表示され、コピーアイコン50cにバツ印が表示される。この状態で選択済みのオブジェクト45に対してコピーや移動の一括編集の入力をしても、その編集の入力が無効となる。即ち、選択済みのオブジェクト45に対する一括編集のうちコピー&ペースト及び移動が禁止される。
【0115】
複数のオブジェクト45を一括してコピー&ペーストや移動する処理は、他の編集の処理と比べて処理負荷が増大し易い。これはコピーしたものをペーストする場合、サーバ1上のオブジェクトデータDBの一部を上書きする処理ではなく、オブジェクトデータDBに新たなオブジェクト45として書き込む処理を行うためである。また、移動の場合は、その移動に伴うアニメーションを表示する処理を行うことがあるためである。
【0116】
なお、詳細は後述するが、この状態から選択済みのオブジェクト45の数が増えると、選択済みのオブジェクト45に対する全ての一括編集が禁止される。このように、複数のオブジェクト45に対する一括編集のうち、特に処理負荷が増大し易いものから段階的に禁止することで、編集内容に応じた応答性の低下を抑制できる。
【0117】
次に
図11を参照して、第2実施形態における端末2のクリック処理を説明する。
図11は、第2実施形態における端末2のクリック処理のフローチャートである。
【0118】
このクリック処理はまず、S21の処理によって選択可能なオブジェクト45をクリックした場合は(S21:Yes)、そのオブジェクト45を選択済みにし、サーバ1のオブジェクトデータDBの当該部分を選択済みにする指示をサーバ1へ送信する(S71)。次いで、編集制限処理を実行し(S74)、S33の処理を実行してクリック処理を終了する。なお、編集制限処理S74は、
図12を参照して後述する。
【0119】
S21の処理によって選択可能なオブジェクト45がクリックされずに(S21:No)、S24の処理によって「全選択」アイコン43hがクリックされた場合は(S24:Yes)、共有画面41上の全ての選択可能なオブジェクト45を選択済みにし、選択済みにする指示をサーバ1へ送信する(S72)。次いで、S74以下の処理を実行する。
【0120】
S24の処理によって「全選択」アイコン43hがクリックされずに(S24:No)、S26の処理によって「関連付箋の一括選択」アイコン46aがクリックされた場合は(S26:Yes)、頻出語リスト46上でチェックを入れた頻出語を含む選択可能な付箋のオブジェクト45を選択済みにし、選択済みにする指示をサーバ1へ送信する(S73)。次いで、S74以下の処理を実行する。
【0121】
次に
図12を参照して、第2実施形態における端末2のドラッグ処理を説明する。
図12は、第2実施形態における端末2のドラッグ処理のフローチャートである。
【0122】
このドラッグ処理はまず、S40の処理において選択範囲48の設定であった場合に(S40:Yes)、S43の処理において選択範囲48が確定するまで待つ。選択範囲48が確定すると(S43:Yes)、選択範囲48内に収まっている選択可能な複数のオブジェクト45を選択済みにし、その選択済みにする指示をサーバ1へ送信する(S76)。次いで、S74及びS49の処理を実行し、ドラッグ処理を終了する。
【0123】
以上のように、第2実施形態では、一括編集の対象に指定したオブジェクト45の選択操作が無効にされず、選択操作されたものが選択済みにされる。上述した通り、その選択済みのオブジェクト45の数に応じて一括編集は禁止されるが、選択済みのオブジェクト45に対する編集以外の操作などは禁止されない。例えば、選択済みのオブジェクト45から所定条件と一致するものを検索することや、選択済みのオブジェクト45をソート表示すること等は、そのオブジェクト45の数に関わらず実行できる。
【0124】
次に
図13を参照して、
図11のクリック処理および
図12のドラッグ処理で実行される編集制限処理S74を説明する。
図13は、この編集制限処理S74のフローチャートである。
【0125】
編集制限処理S74ではまず、端末数メモリ22cに記憶されている端末2の数Xを確認する(S81)。同一の共有画面41を共有している端末2の数Xが10以下であれば(S81:X≦10)、上限数を400に設定する(S82)。
【0126】
また、端末2の数Xが10より大きく20以下であれば(S81:10<X≦20)、上限数を200に設定する(S83)。端末2の数Xが20より大きければ(S81:X>20)、上限数を100に設定する(S84)。なお、上限数とは、第1実施形態における第1上限数と略同義のものであり、一括編集されるオブジェクト45の数を制限するためのものである。
【0127】
このように第1実施形態と同様に、同一の共有画面41を共有中の端末2の数Xに基づいて上限数が設定されるので、同時に一括編集されるオブジェクト45の数を抑制でき、端末2の数Xに応じた一括編集時の応答性の低下を抑制できる。
【0128】
特に、第2実施形態では、端末2の数Xに応じて上限数が段階的に変更されるので、上限数の頻繁な変更を抑制できる。その結果、ユーザは、上限数以下になるようにオブジェクト45を選択し易く、選択時の操作性を向上できる。また、複数のオブジェクト45の一括編集を連続して行う場合に、途中で上限数が変わって一括編集が禁止されることを抑制できる。その結果、一括編集時の操作性を向上できる。
【0129】
S82~S84の処理の後、オブジェクト45の選択状況が記憶されているオブジェクトメモリ22aから、自身の端末2で選択済みのオブジェクト45の数を取得する(S85)。次いで、この選択済みのオブジェクト45の数を、S82~S84の処理で設定した上限数で除して算出した値Yを確認する(S86)。
【0130】
S86の処理において、値Yが0.5以下であった場合は(S86:Y≦0.5)、一括編集の対象となる選択済みのオブジェクト45の数が上限数と比べて十分に少ないので、全ての編集操作を許可する(S87)。
【0131】
S86の処理において、値Yが0.5よりも大きく1以下であった場合は(S86:0.5<Y≦1)、選択済みのオブジェクト45の一括編集のうちコピー及び移動の操作を禁止する(S88)。これは、一括編集の対象となる選択済みのオブジェクト45の数が上限数以下であるが、他の編集操作と比べて処理負荷が増大し易いコピー及び移動を禁止することで、編集内容に応じた応答性の低下を抑制するためである。言い換えると、編集内容に応じて上限数を変更することによって、編集内容に応じた応答性の低下を抑制できる。
【0132】
S86の処理において、値Yが1を超えた場合は(S86:Y>1)、選択済みのオブジェクト45の数が上限数を超えたため、選択済みのオブジェクト45に対する全ての編集操作を禁止する(S89)。これにより、応答性の低下を抑制できる。
【0133】
次に、
図14を参照して第3実施形態を説明する。上記した第1,2実施形態では、第1上限数(上限数)を超えた数のオブジェクト45に対する一括編集の入力(操作)を禁止した。これに対して第3実施形態では、上限数を超えた数のオブジェクト45に対する一括編集の入力を可能にしつつ、上限数を超えた数のオブジェクト45に対する一括編集の処理を禁止する。第1,2実施形態と同一の部分については同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0134】
なお、第3実施形態におけるクリック処理は、第2実施形態における
図11のクリック処理から編集制限処理S74を除いたものである。同様に、第3実施形態におけるドラッグ処理は、第2実施形態における
図12のドラッグ処理から編集制限処理S74を除いたものである。
【0135】
図14は、第3実施形態における端末2のメイン処理のフローチャートである。このメイン処理はまず、S11~S14の処理を実行する。S14の処理によって選択済みのオブジェクト45が編集操作された場合は(S14:Yes)、オブジェクト45の選択状況が記憶されているオブジェクトメモリ22aから、自身の端末2で選択済みのオブジェクト45の数を取得する(S91)。
【0136】
S91の処理の後、上限数を固定値の「100」に設定する(S92)。上限数は、一括編集のサーバ1での処理が可能なオブジェクト45の数の上限である。これにより、段階的に上限数が変更される第2実施形態よりも、選択時の操作性を向上できる。
【0137】
S92の処理の後、S91の処理で取得した選択済みのオブジェクト45の数が上限数を超えるかを確認する(S93)。選択済みのオブジェクト45の数が上限数を超えない場合には(S93:No)、一括編集されるオブジェクト45の数を制限する必要はないので、選択済みのオブジェクト45に対する一括編集の指示をサーバ1へ送信する(S15)。その後、S16の処理を実行してS11以下の処理を繰り返す。
【0138】
一方、選択済みのオブジェクト45の数が上限数を超えた場合には(S93:Yes)、選択済みのオブジェクト45のうち、編集の指示をサーバ1へ未送信のオブジェクト45から上限数以下のオブジェクト45を抽出する(S94)。次いで、この抽出したオブジェクト45に対する一括編集の指示をサーバ1へ送信する(S95)。
【0139】
S94の処理で抽出したオブジェクト45の数は、上限数以下に制限されているので、それらの一括編集に伴うサーバ1の処理負荷を抑制でき、応答性の低下を抑制できる。
【0140】
S95の処理の後、抽出したオブジェクト45に対する一括編集の処理の完了をサーバ1から受信したかを確認する(S96)。一括編集の処理の完了をサーバ1から受信していない場合(S96:No)、サーバ1は、次の一括編集の処理が可能な状態になっていないので、それを受信するまで待つ。
【0141】
一方、一括編集の処理の完了をサーバ1から受信した場合は(S96:Yes)、選択済みのオブジェクト45のうち編集の指示が未送信のものが無いかを確認する(S97)。未送信のものが有る場合は(S97:Yes)、サーバ1は既に次の一括編集の処理が可能な状態になっているので、S94以下の処理を繰り替えし、次に抽出したオブジェクト45の一括編集の処理をサーバ1で実行させる。
【0142】
S94からS97の処理を繰り替えして未送信のものが無くなった場合(S97:No)、S16の処理を実行し、S11以下の処理を繰り返す。このように、上限数を超えた数のオブジェクト45に対する一括編集の指示および処理を禁止することで応答性の低下を抑止しつつ、それらのオブジェクト45に対する一括編集の操作を端末2上で許可することでユーザの操作性を向上できる。
【0143】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、上記形態で例示した処理可数や各上限数などの数値を適宜変更しても良い。
【0144】
上記実施形態では、端末2の端末制御プログラム21aによって一括編集可能なオブジェクト45の数を制限したが、これに限られない。サーバ1上で一括編集可能なオブジェクト45の数を制限しても良い。例えば、端末2で選択操作したことをサーバ1が受信したとき、選択操作されたオブジェクト45の数が第1上限数を超えていた場合に、上記第1実施形態のように選択操作されたオブジェクト45を選択できない旨の指示を端末2へ送信する。当然、サーバ1において上記第2,3実施形態のように一括編集を制限しても良い。
【0145】
上記実施形態では、サーバ1と複数の端末2とが接続される情報処理システムSについて説明したが、これに限られない。複数の端末2の少なくとも一部にサーバ1の機能を持たせても良い。
【0146】
上記実施形態では、抽出オブジェクトデータDEが記憶されたオブジェクトメモリ22aを有する端末2において、選択操作されたオブジェクト45を選択済みにし、その選択済みにしたことをサーバ1へ送信したが、これに限られない。端末2のオブジェクトメモリ22aを省略して、端末2でオブジェクト45を選択操作したとき、その選択が可能かをサーバ1上で判断し、その判断結果を端末2に送信するようにしても良い。
【0147】
上記実施形態では、一括編集の対象となるオブジェクト45の数が第1上限数(上限数)を超えた場合に、全ての編集を禁止したが、これに限られない。その数が第1上限数(上限数)を超えた場合に、一部の編集のみを禁止して、その他の編集を許可しても良い。これにより、共有画面41上の表示が変化しない編集(例えばオブジェクト45の移動の禁止および解除の切換)等、処理負荷が増大し難い編集を許可することで、応答性の低下を抑制しつつ編集の操作性を向上できる。
【0148】
上記第1実施形態では、選択操作の方法に応じて処理可数を異ならせたが、これに限られない。選択操作の方法に関わらず処理可数を同一にしても良い。また、サーバ1の処理状況に応じ、サーバ1から端末2へ処理可数を変更するように指示しても良い。さらに、端末2で処理可数を変更する操作を可能にし、一括編集の操作性と応答性とのバランスを調整可能にしても良い。
【0149】
同様に、各実施形態の第1上限数(上限数)をサーバ1の処理状況に応じて変更しても良い。また、各実施形態の第1上限数(上限数)を端末2で変更可能にし、一括編集の操作性と応答性とのバランスを調整可能にしても良い。
【0150】
上記第1実施形態では、一括編集可能な静止画のオブジェクト45の数を制限するために、第1上限数に0.2を乗じた第2上限数を用い、一括編集可能な動画のオブジェクト45の数を制限するために、第1上限数に0.1を乗じた第3上限数を用いたが、これに限られない。第1上限数に乗じる数を適宜変更しても良い。また、動画の数を制限する値を第2上限数、静止画の数を制限する値を第3上限数とそれぞれ称しても良い。第2上限数および第3上限数を第1上限数とは無関係の固定値などにしても良い。
【0151】
上記実施形態では、「関連付箋の一括選択」アイコン46aをクリックすると、頻出語リスト46上でチェックを入れた頻出語を含む選択可能な付箋のオブジェクト45が選択操作されたが、これに限られない。付箋のオブジェクト45以外にも、テキストのデータを有するオブジェクト45が選択操作されるようにしても良い。また、「関連付箋の一括選択」アイコン46aのクリック時に、頻出語に関連する類義語または同義語を含む選択可能な付箋のオブジェクト45を選択操作するようにしても良い。
【符号の説明】
【0152】
S 情報処理システム
1 サーバ
2 端末(コンピュータ)
21a 端末制御プログラム(情報処理プログラム)
25 通信装置(接続部)
26 LCD(表示部)
27 マウス(入力部)
28 キーボード(入力部)
41 共有画面
45 オブジェクト
S13 端末数取得ステップ
S22,S25,S27,S41,S43 指定ステップの一部、選択ステップ
S31,S33,S89,S94,S95 禁止ステップ
S32 指定ステップの一部、許可ステップ
S51,S52,S85,S91 オブジェクト数取得ステップ
S53,S86,S93 第1上限判断ステップ
S55 第2上限判断ステップ
S71,S72,S73,S76 指定ステップ