(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022117385
(43)【公開日】2022-08-10
(54)【発明の名称】タッチセンサ及びタッチディスプレイモジュール
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20220803BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20220803BHJP
【FI】
G06F3/041 422
G06F3/044 127
G06F3/044 122
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021081125
(22)【出願日】2021-05-12
(31)【優先権主張番号】202110134915.1
(32)【優先日】2021-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】519308156
【氏名又は名称】ティーピーケイ アドバンスド ソリューションズ インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】TPK ADVANCED SOLUTIONS INC
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】リン チアジュイ
(72)【発明者】
【氏名】チャオ ウェイチュアン
(72)【発明者】
【氏名】リウ シャオジエ
(72)【発明者】
【氏名】シュウ シーチャン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電子機器の狭幅化の要求に対応しつつ、タッチセンシング機能を維持できるタッチパネルを提供する。
【解決手段】視認領域VAと、視認領域の少なくとも一方の側に周辺領域PAとを有するタッチセンサは、基板110と、第1タッチ電極層120と、を含む。基板は、視認領域に対応するホール領域Hを有する。ホール領域は、第1縁部を有する。第1タッチ電極層は、基板の上に配置され、視認領域に対応する。第1タッチ電極層は、第1方向D1に沿って延びる第1電極線を含む。第1電極線は、ホール領域に近い第1部分と、ホール領域から第1方向に沿って遠い第2部分とを有する。第1電極線の第1部分は、第1電極線の第2部分に接続され、第1電極線の第1部分は、ホール領域の輪郭に沿って第1縁部に隣接して配置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
視認領域と、前記視認領域の少なくとも一方の側にある周辺領域と、を備えるタッチセンサであって、
前記視認領域に対応するホール領域を有する基板であって、前記ホール領域が第1縁部を有する基板と、
前記基板の上に配置され、前記視認領域に対応する第1タッチ電極層であって、前記第1タッチ電極層は、第1方向に沿って延びる第1電極線を含み、前記第1電極線は、前記ホール領域に近接する第1部分と、前記第1方向に沿って前記ホール領域から離れた第2部分とを有し、前記第1電極線の前記第1部分は、前記第1電極線の前記第2部分に接続され、前記第1電極線の前記第1部分は、前記ホール領域の輪郭に沿って前記第1縁部に隣接して配置される、第1タッチ電極層と、
を有するタッチセンサ。
【請求項2】
前記第1タッチ電極層は、マトリクスと、前記マトリクス内に分布する複数の金属ナノ構造とを含む、
請求項1に記載のタッチセンサ。
【請求項3】
前記ホール領域は、第2縁部をさらに有し、前記第2縁部の一部及び前記第1縁部の一部は、前記ホール領域の反対側に位置する、
請求項1又は2に記載のタッチセンサ。
【請求項4】
前記第1タッチ電極層は、前記第1方向に沿って延びる第2電極線をさらに含み、前記第2電極線は、前記第1電極線に隣接して前記第1電極線から離間して配置され、前記第2電極線は、前記ホール領域に近い第1部分と、前記第1方向に沿って前記ホール領域から遠い第2部分とを有し、前記第2電極線の前記第1部分は、前記第2電極線の前記第2部分に接続され、前記第2電極線の前記第1部分は、前記ホール領域の輪郭に沿って前記第2縁部に隣接して配置される、
請求項3に記載のタッチセンサ。
【請求項5】
前記第1電極線の前記第1部分と前記第2電極線の前記第1部分との間の距離は、前記第1電極線の前記第2部分と前記第2電極線の前記第2部分との間の距離よりも大きい、
請求項4に記載のタッチセンサ。
【請求項6】
前記第1電極線の前記第1部分の少なくとも一部分は、前記ホール領域により、前記第2電極線の前記第1部分の少なくとも一部分から離間している、
請求項4又は5に記載のタッチセンサ。
【請求項7】
前記第1電極線の前記第2部分と前記第2電極線の前記第2部分とは、実質的に平行である、
請求項4~6のいずれか1項に記載のタッチセンサ。
【請求項8】
前記第1電極線の前記第1部分と前記ホール領域の前記第1縁部との間の距離は100μm~400μmであり、前記第2電極線の前記第1部分と前記ホール領域の前記第2縁部との間の距離は100μm~400μmである、
請求項4~7のいずれか1項に記載のタッチセンサ。
【請求項9】
前記第1電極線の前記第1部分と前記第1電極線の前記第2部分との接続部は、丸い角部を有し、前記第2電極線の前記第1部分と前記第2電極線の前記第2部分との接続部は、丸い角部を有する、
請求項4~8のいずれか1項に記載のタッチセンサ。
【請求項10】
前記第1電極線は、間隔をおいて配置された複数の分岐線を含み、前記分岐線は並列に接続されている、
請求項1~9のいずれか1項に記載のタッチセンサ。
【請求項11】
前記分岐線が前記第1方向に沿って前記ホール領域に同時に接するとき、前記分岐線は、前記ホール領域の輪郭に沿って前記ホール領域の前記第1縁部に隣接するように結合される、
請求項10に記載のタッチセンサ。
【請求項12】
前記第1タッチ電極層の前記第1電極線は、第3部分をさらに有し、前記第1電極線の前記第2部分及び前記第1電極線の前記第3部分は、前記第1電極線の2つの分岐線を構成し、前記第3部分は、前記第1電極線の前記第1部分に接続され、前記第1電極線の前記第1部分は、前記分岐線が結合される部分を構成する、
請求項11に記載のタッチセンサ。
【請求項13】
前記タッチセンサは、第2タッチ電極層をさらに含み、前記基板は、第1表面と、前記第1表面とは反対側を向いている第2表面とを有し、前記第1タッチ電極層と前記第2タッチ電極層は、それぞれ、前記基板の前記第1表面と前記第2表面に配置される、又は、前記第1タッチ電極層及び前記第2タッチ電極層は、前記基板の前記第1表面又は前記第2表面の側に配置され、絶縁層によって電気的に絶縁される、
請求項1~12のいずれか1項に記載のタッチセンサ。
【請求項14】
前記第2タッチ電極層は、第2方向に沿って延びる第5電極線を含み、前記第2方向は、前記第1方向と垂直であり、前記第5電極線は、前記ホール領域に近い第1部分と、前記第2方向に沿って前記ホール領域から遠い第2部分とを有し、前記第5電極線の前記第1部分は、前記第5電極線の前記第2部分に接続され、前記第5電極線の前記第1部分は、前記ホール領域の輪郭に沿って前記ホール領域の縁部に隣接して配置される、
請求項13に記載のタッチセンサ。
【請求項15】
表示パネルと、
前記表示パネルの上に配置された、請求項1~14のいずれか1項に記載のタッチセンサと、を備える、
タッチディスプレイモジュール。
【請求項16】
前記タッチセンサの上に設けられたカバーをさらに含む、
請求項15に記載のタッチディスプレイモジュール。
【請求項17】
前記表示パネルと前記タッチセンサとの間、又は前記タッチセンサと前記カバーとの間に配置された偏光層をさらに含む、
請求項16に記載のタッチディスプレイモジュール。
【請求項18】
前記表示パネルは、前記ホール領域に対応するホールを有する、
請求項15~17のいずれか1項に記載のタッチディスプレイモジュール。
【請求項19】
前記ホールに収容された光学部品をさらに含む、
請求項18に記載のタッチディスプレイモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、タッチセンサ及びこのタッチセンサを含むタッチディスプレイモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
技術の急速な発展に伴い、タッチディスプレイ機能は様々な電子デバイス(例えば、携帯電話、タブレットコンピュータなど)に統合されてきた。電子デバイスの表示面は、視認領域と周辺領域とを含み、周辺領域は、通常、視認領域の周囲に配置され、周辺領域の範囲は、遮蔽層が電子デバイスの周辺領域に対応するいくつかの周辺ワイヤ及び部品を遮蔽するように、遮蔽層の位置によって画定される。
【0003】
例えば、電子機器のタッチパネルの周辺配線を周辺領域に対応させて配置することで、視認性や視覚効果に影響を与えないようにする。また、電子機器は、通常、フロントレンズや光センサなどの光学部品も周辺領域に配置され、周辺領域のスペースを多く占有する。そのため、周辺領域の小型化が図れず、狭幅ベゼルの設計要件を満たすことができない。また、光学的な部品を配置すると、機構干渉の問題が生じるため、タッチパネルの回路レイアウトに影響を与える。そのため、電子機器の狭幅化の要求に対応しつつ、タッチセンシング機能を維持できるタッチパネルをどのように提供するかが、現在の開発の方向性の一つである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示のいくつかの実施形態によれば、視認領域及び視認領域の少なくとも一方の側の周辺領域を有するタッチセンサは、基板及び第1タッチ電極層を含む。
基板は、視認領域に対応するホール領域を有し、ホール領域は第1縁部を有する。
第1タッチ電極層は、基板上に配置され、視認領域に対応する。
第1タッチ電極層は、第1方向に沿って延びる第1電極線を含み、第1電極線は、ホール領域に近い第1部分と、ホール領域から第1方向に沿って遠い第2部分とを有する。
第1電極線の第1部分は、第1電極線の第2部分に接続され、第1電極線の第1部分は、ホール領域の輪郭に沿って第1縁部に隣接して配置される。
【0005】
本開示のいくつかの実施形態では、第1タッチ電極層は、マトリクスと、マトリクス内に分布された複数の金属ナノ構造とを含む。
【0006】
本開示のいくつかの実施形態では、ホール領域はさらに第2縁部を有し、第2縁部の一部及び第1縁部の一部はホール領域の反対側に位置する。
【0007】
本開示のいくつかの実施形態では、第1タッチ電極層は、第1方向に沿って延びる第2電極線をさらに含み、第2電極線は、第1電極線に隣接し、かつ、第1電極線から離間して配置され、第2電極線は、ホール領域に近接する第1部分と、第1方向に沿ってホール領域から離れた第2部分とを有し、第2電極線の第1部分は、第2電極線の第2部分に接続され、第2電極線の第1部分は、ホール領域の輪郭に沿って第2縁部に隣接して配置される。
【0008】
本開示のいくつかの実施形態では、第1電極線の第1部分と第2電極線の第1部分との間の距離は、第1電極線の第2部分と第2電極線の第2部分との間の距離よりも大きい。
【0009】
本開示のいくつかの実施形態では、第1電極線の第1部分の少なくとも一部は、第2電極線の第1部分の少なくとも一部からホール領域により離間している。
【0010】
本開示のいくつかの実施形態では、第1電極線の第2部分及び第2電極線の第2部分は、実質的に平行である。
【0011】
本開示のいくつかの実施形態では、第1電極線の第1部分とホール領域の第1縁部との間の距離は100μmから400μmであり、第2電極線の第1部分とホール領域の第2縁部との間の距離は100μmから400μmである。
【0012】
本開示のいくつかの実施形態では、第1電極線の第1部分と第1電極線の第2部分との接続部は、丸い角部を有し、第2電極線の第1部分と第2電極線の第2部分との接続部は、丸い角部を有する。
【0013】
本開示のいくつかの実施形態では、第1電極線は、間隔を置いて配置された複数の分岐線を含み、分岐線は並列に接続される。
【0014】
本開示のいくつかの実施形態では、分岐線が第1方向に沿ってホール領域に同時に接し(encounter)、分岐線が一緒に結合されて、ホール領域の輪郭に沿ってホール領域の第1縁部に隣接する。
【0015】
本開示のいくつかの実施形態では、第1タッチ電極層の第1電極線は、さらに、第3部分を有し、第1電極線の第2部分及び第1電極線の第3部分は、第1電極線の2つの分岐線を構成し、第3部分は、第1電極線の第1部分に接続され、第1電極線の第1部分は、分岐線が結合される部分を構成する。
【0016】
本開示のいくつかの実施形態では、タッチセンサは、第2タッチ電極層をさらに含み、基板は、第1表面と、第1表面とは反対側を向いている第2表面とを有し、第1タッチ電極層及び第2タッチ電極層は、それぞれ、基板の第1表面及び第2表面上に配置される、又は、第1タッチ電極層及び第2タッチ電極層は、基板の第1表面又は第2表面の側に配置され、絶縁層によって電気的に絶縁されている。
【0017】
本開示のいくつかの実施形態では、第2タッチ電極層は、第2方向に沿って延びる第5電極線を含み、第2方向は、第1方向に垂直であり、第5電極線は、ホール領域に近い第1部分と、第2方向に沿ってホール領域から遠い第2部分とを有し、第5電極線の第1部分は、第5電極線の第2部分に接続され、第5電極線の第1部分は、ホール領域の輪郭に沿ってホール領域の縁部に隣接して配置される。
【0018】
本開示の前述の実施形態によれば、タッチディスプレイモジュールは、表示パネルと、表示パネルの上の前述のタッチセンサとを含む。
【0019】
本開示のいくつかの実施形態では、タッチディスプレイモジュールは、タッチセンサの上に配置されたカバーをさらに含む。
【0020】
本開示のいくつかの実施形態では、タッチディスプレイモジュールは、表示パネルとタッチセンサとの間、又はタッチセンサとカバーとの間に配置された偏光層をさらに含む。
【0021】
本開示のいくつかの実施形態では、表示パネルは、ホール領域に対応するホールを有する。
【0022】
本開示のいくつかの実施形態では、タッチディスプレイモジュールは、ホール内に収容された光学部品をさらに含む。
【0023】
本開示の上記実施形態によれば、本開示のタッチセンサは、視認領域に対応して配置されたホール領域を有するので、光学機能を有するタッチディスプレイモジュールにタッチセンサを一体化すると、タッチディスプレイモジュール(例えばレンズ)の光学部品をホール領域に対応して配置することができる。その結果、光学部品を配置するための周辺領域のスペースを節約することができ、タッチディスプレイモジュールのための狭幅ベゼルの設計要件をさらに達成することができる。また、タッチディスプレイモジュールの光学部品は視認領域に対応して配置されているので、タッチセンサの周辺領域における周辺配線の配置は、光学部品の位置を避ける必要がなく、周辺領域の屈曲は光学部品によって制限されない。したがって、タッチセンサは、多様な屈曲設計を実現することができる。一方、タッチ電極の配置やタッチ電極層の電極パターンの設計により、ホール領域を迂回しつつ良好なタッチ機能を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本開示は、以下の添付図面を参照して実施形態の以下の詳細な説明を読むことにより、より完全に理解することができる。
【0025】
【
図1】
図1は、本開示のいくつかの実施形態によるタッチセンサを示す上面図である。
【0026】
【
図2A】
図2Aは、本開示のいくつかの実施形態による、
図1におけるタッチセンサの領域R1を示す部分拡大図である。
【0027】
【
図2B】
図2Bは、本開示のいくつかの他の実施形態による、
図1におけるタッチセンサの領域R1を示す部分拡大図である。
【
図2C】
図2Cは、本開示のいくつかの他の実施形態による、
図1におけるタッチセンサの領域R1を示す部分拡大図である。
【0028】
【
図3】
図3は、本開示のいくつかの他の実施形態によるタッチセンサを示す上面図である。
【0029】
【
図4】
図4は、本開示のいくつかの実施形態による、
図3におけるタッチセンサの領域R2を示す部分拡大図である。
【0030】
【
図5A】
図5Aは、本開示のいくつかの実施形態によるタッチディスプレイモジュールを示す断面図である。
【0031】
【
図5B】
図5Bは、本開示のいくつかの他の実施形態によるタッチディスプレイモジュールを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本開示の本実施形態を詳細に参照し、その例を添付図面に示す。図面及び説明においては、可能な限り同一の参照番号を使用して、同一又は類似の部分を参照する。
【0033】
本明細書では、「1番目の」、「2番目の」、及び「3番目の」という用語を用いて、様々な要素、構成要素、領域、層、及び/又は部分を説明してもよいが、これらの要素、構成要素、領域、層、及び/又は部分は、これらの用語によって制限されるべきではないことを理解されたい。これらの用語は、1つの要素、構成要素、領域、層、又は部分を別の要素、構成要素、領域、層、又は部分と区別するためにのみ使用される。したがって、以下に記載される「第1要素」、「第1構成要素」、「第1領域」、「第1層」、又は「第1部分」は、本明細書の教示から逸脱することなく、第2要素、第2構成要素、第2領域、第2層、又は第2部分とも称され得る。
【0034】
さらに、図に示すように、「下」又は「底」及び「上」又は「頂上」などの相対的な用語を本明細書で使用して、1つの要素と別の要素との関係を記述することができる。相対的な用語は、図に示されたもの以外の装置の異なる方向を含むことが意図されていることを理解されたい。例えば、1つの図の装置がひっくり返されると、他の要素の「下」側にあると記述されている要素は、他の要素の「上」側に配置される。したがって、例示的な用語「下」は、図面の特定の向きに応じて、「下」及び「上」の向きを含み得る。同様に、1つの図の装置がひっくり返されると、他の要素の「下」にあると記述された要素は、他の要素の「上」に配置される。したがって、例示的な用語「下」は、「上」及び「下」の向きを含むことができる。
【0035】
本開示は、視認領域に対応して配置されたホール領域を有するタッチセンサ、及びタッチセンサと一体化されたタッチディスプレイモジュールを提供する。タッチセンサをタッチディスプレイモジュールに組み込むと、タッチディスプレイモジュールの光学部品をホール領域に対応して配置することができる。したがって、光学部品を配置するための周辺領域のスペースを節約することができ、タッチディスプレイモジュールのための狭幅ベゼルの設計要件をさらに達成することができる。また、タッチ電極の配置やタッチ電極層の電極パターンの設計により、ホール領域を迂回しつつ良好なタッチ機能を維持することができる。
【0036】
図1は、本開示のいくつかの実施形態によるタッチセンサ100を示す上面図である。タッチセンサ100は、基板110と、第1タッチ電極層120と、周辺回路層130とを備える。タッチセンサ100は、視認領域VAと周辺領域PAとを有し、周辺領域PAは視認領域VAの側面に配置されている。例えば、周辺領域PAは、視認領域VAの周囲(すなわち、右側、左側、上側、及び下側を含む)に配置された枠状の領域であってもよい。他の例として、周辺領域PAは、視認領域VAの左側及び下側に配置されたL字状の領域であってもよい。また、基板110は、第1タッチ電極層120及び周辺回路層130を支持するように構成されていてもよく、例えば、剛性の透明な基板又は可撓性の透明な基板であってもよい。具体的には、基板110の材料は、ガラス、アクリル、ポリ塩化ビニル、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、無色ポリイミド、又はこれらの組み合わせなどの透明材料を含むが、これらに限定されない。
【0037】
いくつかの実施形態では、基板110に視認領域VAに対応するホール領域Hが設けられている。本開示のタッチセンサ100を光学機能付きデバイス(例えば、ディスプレイ、携帯電話、又はタブレットコンピュータ)に組み込むと、ホール領域Hに対応する位置にデバイスの光学部品を取り付けることができる。すなわち、光学部品を取り付けるためのデバイスの周辺領域PAに対応するスペースを確保する必要がなく、デバイスの狭幅ベゼルの設計要件を満たすことができる。周辺領域PAに対応して光学部品が配置される従来の装置と比較して、本開示の装置のベゼル寸法を約150%以上縮小する(例えば、周辺領域PAの幅を小さくする)ことができる。具体的には、本開示のタッチセンサ100を、光学機能を有する装置に組み込むと、装置の周辺領域PAの幅を1mm~3mm程度とすることができる。なお、本開示の基板110のホール領域Hは、光学部品に対応する中実領域であってもよいし、光学部品に対応するスルーホールであってもよい。ここで、ホール領域Hの具体的な内容及び特徴について、以下に詳述する。
【0038】
いくつかの実施形態では、第1タッチ電極層120は、基板110上であって視認領域VAに対応して配置され、周辺回路層130は、基板110上であって周辺領域PAに対応して配置される。いくつかの実施形態では、第1タッチ電極層120は、パターニングされた後に第1方向D1に沿って延びる複数の帯状の電極線Lを含むことができ、帯状の電極線Lは、第1方向D1に垂直な第2方向D2に沿って間隔を置いて配置することができる。また、第1タッチ電極層120は、さらに周辺領域PA内に延在し、周辺回路層130と接触して電気的接続を形成してもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、第1タッチ電極層120は、マトリクスと、マトリクス内に分布される複数の金属ナノワイヤ(金属ナノ構造とも呼ばれる)とを含み得る。マトリクスは、金属ナノワイヤに特定の化学的、機械的、及び光学的特性を付与するために、ポリマー又はその混合物を含み得る。例えば、マトリクスは、金属ナノワイヤと基板110との間の良好な接着を提供することができる。別の例として、マトリクスは、金属ナノワイヤに良好な機械的強度を提供することもできる。いくつかの実施形態では、マトリクスは、金属ナノワイヤが、さらなる引っかき傷/耐摩耗性表面保護を有するように、特定のポリマーを含むことができ、それによって、第1タッチ電極層120の表面強度を改善する。前述の特定のポリマーは、例えば、ポリアクリレート、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリシロキサン、ポリシラン、ポリ(ケイ素アクリル酸)、又はこれらの組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態では、マトリクスは、第1タッチ電極層120の紫外線抵抗を改善し、その寿命を延ばすために、界面活性剤、架橋剤、安定剤(例えば、酸化防止剤又は紫外線安定剤を含むが、これらに限定されない)、重合禁止剤、又は前述の成分のいずれかの組み合わせをさらに含んでもよい。
【0040】
本明細書で使用される用語「金属ナノワイヤ」は、集合名詞であり、複数の金属元素、金属合金、又は金属化合物(金属酸化物を含む)を含む金属ワイヤの集合を指し、その中に含まれる金属ナノワイヤの数は、本開示の範囲に影響しないことを理解されたい。いくつかの実施形態では、単一の金属ナノワイヤの断面サイズ(例えば、断面の直径)は、500nm未満、好ましくは100nm未満、より好ましくは50nm未満でもよい。いくつかの実施形態では、金属ナノワイヤは、大きなアスペクト比(すなわち、長さ:断面の直径)を有する。具体的には、金属ナノワイヤのアスペクト比は、10~100,000の間でもよい。より詳細には、金属ナノワイヤのアスペクト比は、10より大きく、好ましくは50より大きく、より好ましくは100より大きくてもよい。さらに、絹、繊維、又は管のような他の用語もまた、上述の断面寸法及びアスペクト比を有し、これらも本開示の範囲内にある。
【0041】
図2Aは、本開示のいくつかの実施形態による、
図1におけるタッチセンサ100の領域R1を示す部分拡大図である。
図1及び
図2Aを参照する。いくつかの実施形態では、電極線Lは、第1方向D1に沿って視認領域VAの上部境界から視認領域VAの下部境界まで延在してもよく、第2方向D2に沿って視認領域VAに対応する間隔で配置される。いくつかの実施形態では、各電極線Lの線幅を1μm~200μmとし、隣接する電極線L(すなわち、ラインピッチ)間の距離を10μm~400μmとすることで、ライン抵抗(line resistance)を低くし、光透過率を高くすることができる。上述したように、タッチセンサ100の基板110は、視認領域VAに対応するホール領域Hを有しているので、ホール領域Hに隣接する電極線Lとホール領域Hとの適合性を良好にすることができる。より詳細には、ホール領域Hに隣接する電極線Lは、ホール領域Hの閉塞(blocking)を回避するように特に構成することができ、設計に必要なライン抵抗を維持するように特に構成することもできる。各電極線Lの具体的な構成と、その構成と上記効果との相関については、以下に詳述する。
【0042】
いくつかの実施形態では、
図2Aの構成のように、第1タッチ電極層120は、ホール領域Hに隣接する第1電極線L1を含む。いくつかの実施形態では、第1電極線L1は、ホール領域Hに近い第1部分L11と、ホール領域Hから第1方向D1に沿って遠い第2部分L12とを有し、第1部分L11は、第2部分L12に接続される。より詳細には、第1電極線L1の第1部分L11は、ホール領域Hの第1縁部S1に直接隣接し、ホール領域Hの輪郭に沿ってホール領域Hの第1縁部S1に隣接しているが、第1電極線L1の第2部分L12は、ホール領域Hの第1縁部S1に直接隣接しておらず、実質的に直線である。なお、以下でいう「互いに直接隣接している2つの要素(又は2つの部分)」とは、2つの要素(又は2つの部分)の間に他の要素(又は他の部分)が存在しないことを意味する。いくつかの実施形態では、第1電極線L1は、第1方向D1に沿って第1部分L11の2つの端部にそれぞれ接続する2つの第2部分L12を有してもよく、2つの第2部分L12は、第1方向D1に沿って互いに実質的に整列している。
【0043】
いくつかの実施形態では、第1電極線L1は、間隔を置いて配置された複数の分岐線を含み、分岐線は並列に接続される。具体的には、第1電極線L1は、さらに第3部分L13を有し、第1電極線L1の第2部分L12及び第3部分L13は、第1電極線L1の2つの分岐線を構成する。すなわち、第1電極線L1の第2部分L12と第3部分L13とは、互いに離間して並列に配置され、並列に接続されている(すなわち、第1電極線L1の第2部分L12と第3部分L13は、同一の周辺線に接続されている)。一方、第1方向D1に沿って分岐線がホール領域Hと同時に接する場合には、ホール領域Hの輪郭に沿ってホール領域Hの第1縁部S1に隣接するように、分岐線が結合される。具体的には、第1電極線L1の第3部分L13は、第1電極線L1の第1部分L11に接続され、第1電極線L1の第2部分L12と第3部分L13とがホール領域Hと同時に接する場合、第1電極線L1の第2部分L12と第3部分L13は、ホール領域Hの輪郭に沿って、ホール領域Hの第1縁部S1に隣接するように、第1電極線L1の第1部分L11に結合することができる。すなわち、第1電極線L1の第1部分L11は、分岐線が合流する部分を構成している。いくつかの実施形態では、第1電極線L1は、第1方向D1に沿って第1部分L11の2つの端部にそれぞれ接続する2つの第3部分L13を有してもよく、2つの第3部分L13は、第1方向D1に沿って互いに実質的に整列している。
【0044】
いくつかの実施形態では、第1タッチ電極層120は、ホール領域Hに隣接する第2電極線L2をさらに含む。第2電極線L2は、ホール領域Hに近い第1部分L21と、ホール領域Hから第1方向D1に沿って遠い第2部分L22も有し、第1部分L21は、第2部分L22に接続される。いくつかの実施形態では、ホール領域Hはさらに第2縁部S2を有し、第2縁部S2の一部及び第1縁部S1の一部は、ホール領域Hの反対側に位置し、第2電極線L2の第1部分L21は、ホール領域Hの第2縁部S2に直接隣接し、ホール領域Hの輪郭に沿ってホール領域Hの第2縁部S2に隣接するが、第2電極線L2の第2部分L22は、ホール領域Hの第2縁部S2に直接隣接しておらず、実質的に直線である。すなわち、第1電極線L1の第1部分L11の少なくとも一部は、第2電極線L2の第1部分L21の少なくとも一部からホール領域Hにより離間している。いくつかの実施形態では、第2電極線L2の第2部分L22は、第1電極線L1の第2部分L12と実質的に平行である(例えば、第2電極線L2の第2部分L22と第1電極線L1の第2部分L12とは、第1方向D1に沿って互いに平行である)。これにより、第2電極線L2及び第1電極線L1は、ホール領域Hを迂回することができ、ホール領域H及びホール領域Hに対応して配置された光学部品の閉塞を回避することができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、第2電極線L2は、間隔を置いて配置された複数の分岐線を含み、分岐線は並列に接続される。具体的には、第2電極線L2はさらに第3部分L23を有し、第1部分L21は第2電極線L2の第2部分L22に接続されて第2電極線L2の一方の分岐線を構成し、第3部分L23は第2電極線L2の他方の分岐線を構成しており、2本の分岐線が間隔をおいて配置される。なお、第2電極線L2の2本の分岐線は、第1方向D1に沿って延在しながらホール領域Hと同時に接することはないので、第2電極線L2の2本の分岐線を1本に結合する必要はない。
【0046】
いくつかの実施形態では、第2方向D2に沿ったホール領域Hの最大幅Wは、第1電極線L1の第2部分L12と第2電極線L2の第2部分L22との間の距離A2よりも大きい。したがって、第1電極線L1及び第2電極線L2がホール領域Hを迂回する場合、第1電極線L1の第1部分L11と第2電極線L2の第1部分L21との間の距離A1は、第1電極線L1の第2部分L12と第2電極線L2の第2部分L22との間の距離A2よりも大きい。
図2Aの実施形態では、ホール領域Hは円形であるため、ホール領域Hの最大幅Wは円形の直径を示す。
【0047】
いくつかの実施形態では、第3縁部S3は、ホール領域Hの第1縁部S1と第2縁部S2との間にあり、第1縁部S1、第2縁部S2、及び第3縁部S3は、互いに接続されて閉じたホール領域Hを形成してもよい。いくつかの実施形態では、ホール領域Hの第3縁部S3は、第1電極線L1と第2電極線L2との間の空間によって露出されてもよい。具体的には、第1電極線L1の第1部分L11と第2電極線L2の第1部分L21とは、ホール領域Hの輪郭に沿ってホール領域Hの第3縁部S3に隣接していない。すなわち、第1電極線L1及び第2電極線L2は、ホール領域Hの輪郭に沿ったホール領域Hの縁部の一部にのみ隣接している。いくつかの実施形態では、第1電極線L1の第1部分L11と第2電極線L2の第1部分L21とは、異なる線長を有してもよい。例えば、第1電極線L1の第1部分L11の線長X1は、第2電極線L2の第1部分L21の線長X2よりも長くてもよく、この場合、第1縁部S1の長さは、第2縁部S2の長さ(
図2Aの実施形態のように)よりも長い。
【0048】
いくつかの実施形態では、第1電極線L1の第1部分L11と第2部分L12との間の接続部は、丸い角部を有してもよく、第2電極線L2の第1部分L21と第2部分L22との間の接続部も、丸い角部を有してもよい。このような丸い角部の設計により、第1電極線L1及び第2電極線L2が接続部(すなわち、ホール領域Hの近傍の位置)に電流を蓄積することによって熱を過剰に放出することを防止し、熱影響の発生を低減し、通常のタッチセンシング機能を維持することができる。いくつかの実施形態では、第1電極線L1の第1部分L11とホール領域Hの第1縁部S1との間の距離A3は100μmから400μmであり、第2電極線L2の第1部分L21とホール領域Hの第2縁部S2との間の距離A4は100μmから400μmである。以上の距離により、タッチセンサ100は、タッチ分解能、信頼性、生産歩留まりを有することができる。具体的には、上記距離が100μm未満であると、第1電極線L1の第1部分L11及び第2電極線L2の第1部分L21のパターニングが困難になり、製造歩留まりが低下する。この距離が400μmよりも大きいと、ホール領域H近傍の電極線Lの配置が疎すぎてタッチ機能が得られず、タッチ分解能が低下するおそれがある。
【0049】
いくつかの実施形態では、第1タッチ電極層120は、第1電極線L1の第2電極線L2とは反対側に、第1電極線L1に直接隣接する第3電極線L3をさらに含んでもよい。第3電極線L3は、互いに接続された第1部分L31と第2部分L32とを有し、第3電極線L3の第1部分L31は、第1電極線L1の第1部分L11に隣接し、第3電極線L3の第2部分L32は、第1電極線L1の第3部分L13に隣接する。いくつかの実施形態では、第3電極線L3の第1部分L31は、第1電極線L1の第1部分L11に実質的に沿って延び、第3電極線L3の第2部分L32は、第1電極線L1の第3部分L13と実質的に平行であってもよい。第3電極線L3は、第1電極線L1と比較して、ホール領域Hから離れており、第1方向D1に沿って延びるときにホール領域Hに接しない。したがって、第3電極線L3は、第1電極線L1からタッチセンシングに必要な距離を保つことを前提として、延在するように設計されている。第3電極線L3の第1部分L31の屈曲度は、第1電極線L1の第1部分L11の屈曲度よりも小さい(すなわち、第3電極線L3の第1部分L31の形状は、直線に近い)。一方、第3電極線L3の第1部分L31と第2部分L32との接続部は、接続部での電流の蓄積に起因して第3電極線L3が過剰に放熱することを防止して熱効果の発生を低減するために、丸い角部を有していてもよい。
【0050】
いくつかの実施形態では、第1タッチ電極層120は、第2電極線L2の第1電極線L1とは反対側の第2電極線L2に直接隣接する第4電極線L4をさらに含む。第4電極線L4は、第1方向D1に沿って延在する場合にはホール領域Hに接さず、かつ、第4電極線L4が第2電極線L2(第2電極線L2の第3部分L23)からタッチセンシングに必要な距離を保っているので、第4電極線L4は、第1方向D1に沿って延在する直線とすることができる。
【0051】
尚、ホール領域Hに隣接する電極線L(すなわち、第1電極線L1~第4電極線L4)に加えて、ホール領域Hから遠い第1タッチ電極層120内の他の電極線Lを、第3電極線L3のホール領域Hから遠い側と、第4電極線L4のホール領域Hから遠い側とに、第2方向D2に沿って間隔をあけて配置することができ、各電極線Lの形状は実質的に直線状である。
【0052】
なお、本実施形態における第1電極線L1は、2本の分岐線を1本に結合した設計を採用しているため、第1電極線L1のライン抵抗は、2本の分岐線を1本に結合してしない他の電極線(例えば、第2電極線L2)のライン抵抗よりも高い。しかしながら、第1タッチ電極層120は、第1タッチ電極層120の各電極線Lのライン抵抗を制御装置のセンシング範囲の下限付近に維持するために、表面抵抗仕様の低い金属ナノワイヤ層である導電層を採用することができる。このように、2本の分岐線を1本に結合して設計したために、第1電極線L1のライン抵抗が高くなったとしても、そのライン抵抗を制御装置が感知できる範囲内に維持することができる。
【0053】
図2B及び
図2Cは、本開示のいくつかの他の実施形態による、
図1のタッチセンサ100の領域R1を示す部分拡大図である。
図2B及び
図2Cのタッチセンサ100及び
図2Aのタッチセンサ100は、実質的に同一の構成及び接続関係、材料、及び利点を有することが理解されるべきであり、これらは以下においては繰り返されず、相違点のみが以下の説明で論じられる。なお、図を簡略化するために、
図2B及び
図2Cでは、電極線Lの一部を省略し、第1電極線L1及び第2電極線L2のうちホール領域Hに最も近い部分のみを示している。
【0054】
図2Bを参照する。
図2Bに示すタッチセンサ100と
図2Aに示すタッチセンサ100との少なくとも1つの相違点は、ホール領域Hの形状である。具体的には、
図2Bのタッチセンサ100のホール領域Hは、矩形(正方形)の形状である。本実施形態では、第1電極線L1の第1部分L11及び第2電極線L2の第1部分L21は、それぞれ、ホール領域Hの輪郭に沿ってホール領域Hの第1縁部S1及び第2縁部S2に隣接して矩形状に配置されている。本実施形態では、ホール領域Hが矩形状であるため、第1電極線L1の第1部分L11及び第2電極線L2の第1部分L21は、それぞれ、1つ以上の屈曲部Bを有している。いくつかの実施形態では、屈曲部Bは、第1電極線L1及び第2電極線L2が屈曲部Bでの電流蓄積に起因して過剰に熱を放出することを防止し、それによって熱効果の発生を低減し、通常のタッチセンシング機能を維持するために、丸い角部を有することができる。
【0055】
図2Cを参照する。
図2Cに示されるタッチセンサ100と
図2Aに示されるタッチセンサ100との少なくとも1つの相違は、ホール領域Hの形状である。具体的には、
図2Cのタッチセンサ100のホール領域Hは、錠剤形状(pill shape)を有する。より詳細には、錠剤形状は1つの矩形と2つの半円を含み、矩形は2つの半円の間に挟まれている。本実施形態では、第1電極線L1の第1部分L11及び第2電極線L2の第1部分L21は、ホール領域Hの輪郭に沿ってホール領域Hの第1縁部S1及び第2縁部S2にそれぞれ隣接して配置され、錠剤のような形状を形成している。本実施形態では、ホール領域Hが錠剤のような形状であるため、第1電極線L1の第1部分L11及び第2電極線L2の第1部分L21の形状は、それぞれ滑らかな曲線(すなわち、エッジ角度なし)となっている。これにより、第1電極線L1及び第2電極線L2が、電流の蓄積に起因して過度に熱を放出することを防止することができ、熱影響の発生を低減し、正常なタッチセンシング機能を維持することができる。
【0056】
図2A~
図2Cに示されるホール領域Hの形状は、例示的な実施形態にすぎず、本開示は、それに限定されないことを理解されたい。他の実施形態では、ホール領域Hは、他の適切な形状(例えば、楕円、多角形など)を有してもよく、各電極線Lは、ホール領域Hの形状に適合するように適切に構成されてもよい。
以下の説明では、本開示の他の実施形態によるタッチセンサについて説明する。
【0057】
図3は、本開示のいくつかの他の実施形態によるタッチセンサ100aを示す上面図である。
図4は、本開示のいくつかの実施形態による、
図3におけるタッチセンサ100aの領域R2を示す部分拡大図である。
図3及び
図4を参照する。
図3及び
図4の実施形態では、タッチセンサ100aは、さらに、第2タッチ電極層122を含み、第1タッチ電極層120及び第2タッチ電極層122は、両面単層電極構造(double-sided single-layer electrode structure)を形成するように構成される。すなわち、第1タッチ電極層120は、基板110の第1表面(例えば、上面)上に配置され、第2タッチ電極層122は、基板110の第2表面(例えば、下面)上に配置され、第1タッチ電極層120と第2タッチ電極層122とが電気的に絶縁されている。いくつかの実施形態では、第2タッチ電極層122は、複数の電極線Lによって配列された電極パターンも有し、前述の金属ナノワイヤ及びマトリクスは、第2タッチ電極層122の各電極線L内にある。いくつかの実施形態では、第2タッチ電極層122の各電極線Lは、視認領域VAの左境界から第2方向D2に沿って視認領域VAの右境界まで延在し、第1方向D1に沿って視認領域VAに対応する間隔で配置される。すなわち、第1タッチ電極層120の電極線Lと第2タッチ電極層122の電極線Lとは異なる方向に延びており、これらは互いに垂直である。したがって、第1タッチ電極層120と第2タッチ電極層122との間の信号変化(例えば、静電容量の変化)を検出することによって、タッチセンシング機能を実行することができる。
【0058】
いくつかの実施形態では、第2タッチ電極層122は、ホール領域Hの反対側に隣接する第5電極線L5及び第6電極線L6を含み、第5電極線L5及び第6電極は、ホール領域Hに近い第1部分L51、L61と、ホール領域Hから第2方向D2に沿って遠い第2部分L52、L62とを有する。第5電極線L5の第1部分L51と第2部分L52は相互に接続され、第6電極線L6の第1部分L61と第2部分L62も相互に接続されている。第2タッチ電極層122の第5電極線L5及び第6電極線L6は、第2方向D2に沿って延びているので、第5電極線L5及び第6電極線L6の第1部分L51、L61は、第3縁部S3及びホール領域Hの第1縁部S1及び第2縁部S2の部分に隣接してホール領域Hの輪郭に沿って配置されている。第2タッチ電極層122と第1タッチ電極層120との差は、その延在方向及び配列方向にのみ存在し、第2タッチ電極層122と第1タッチ電極層120との構成及び接続関係、材料及び利点は、実質的に同じであり、以下では繰り返されないことを理解されたい。例えば、第2タッチ電極層122の第5電極線L5及び第6電極線L6は、それぞれ、第1タッチ電極層120の第1電極線L1及び第2電極線L2と同じ構成、材料、及び利点を有する。
【0059】
一方、静電容量センシングの要件を満たすために、第1タッチ電極層120及び第2タッチ電極層122は、基板110の延在方向と垂直の方向に沿って部分的にずらされて配列されている(すなわち、完全には重なっていない)。第1タッチ電極層120の第1電極線L1及び第2電極線L2、並びに第2タッチ電極層122の第5電極線L5及び第6電極線L6から見て、第1電極線L1及び第2電極線L2の第2部分L12、L22は、第5電極線L5及び第6電極線L6の第1部分L51、L61と部分的に重なっており、第1電極線L1及び第2電極線L2の第1部分L11、L21は、第5電極線L5及び第6電極線L6の第1部分L51、L61から完全にずれている。いくつかの実施形態では、第5電極線L5及び第6電極線L6の第1部分L51、L61とホール領域Hの縁部との間の距離A8は、第1電極線L1及び第2電極線L2の第1部分L11、L21とホール領域Hの縁部との間の距離A7よりも大きくてもよい。
【0060】
なお、図面には示されていないが、
図3の両面単層電極構造のタッチセンサ100aは、
図2B及び
図2Cに示すような矩形状又は錠剤形状のホール領域Hを有していてもよい。一方、本開示のタッチセンサ100aは、片面2層電極構造(single-sided double-layer electrode structure)であってもよい。すなわち、第1タッチ電極層120及び第2タッチ電極層122は、いずれも基板110の第1表面又は第2表面側に配置され、絶縁層によって電気的に絶縁されている。上述の構成要素の接続関係、材料、及び利点は、以下では繰り返されないことを理解されたい。以下の説明では、
図1及び
図2Aのタッチセンサ100を例に取り、タッチセンサ100の製造方法についてさらに説明する。
【0061】
いくつかの実施形態では、タッチセンサ100の製造方法は、ステップS10~ステップS14を含み、ステップS10~ステップS14を順次実行することができる。ステップS10では、基板110が設けられ、基板110は、視認領域VA及び周辺領域PAにそれぞれ対応する第1領域及び第2領域を有し、基板110の第1領域には、ホール領域Hが設けられている。ステップS12では、基板110の第1領域上に導電層を形成する。ステップS14では、導電層をパターニングして第1タッチ電極層120を形成し、第1タッチ電極層120が第1電極線L1及び第2電極線L2を有し、第1電極線L1の一部及び第2電極線L2の一部がホール領域Hの輪郭に沿ってホール領域Hの縁部に隣接して配置される。以下の説明では、上述したステップについてより詳細に説明する。
【0062】
まず、ステップS10では、基板110が設けられ、基板110は、視認領域VA及び周辺領域PAにそれぞれ対応する第1領域及び第2領域を有し、基板110の第1領域には、ホール領域Hが設けられている。いくつかの実施形態では、ホール領域Hの縁部と第1領域及び第2領域との境界との間の距離A9は、少なくとも100μmである。このように、ホール領域Hと境界とを一定の距離だけ離すことができ、タッチセンシングに十分な少なくとも1本の電極線Lを配置するための空間を設けることで、タッチ分解能を維持することができる。具体的には、距離A9が100μm未満であると、ホール領域Hと境界との間に位置する導電層のパターニングが不十分であったり、困難であったりして、ホール領域H近傍の電極パターンの完全性に影響を与え、タッチ分解能が低下する。
【0063】
次に、ステップS12において、少なくとも金属ナノワイヤ(例えば、銀ナノワイヤ材料層、金ナノワイヤ材料層、又は銅ナノワイヤ材料層)を含む導電層が、基板110の第1領域上に形成される。いくつかの実施形態では、金属ナノワイヤを有する分散液又はスラリーは、コーティングによって基板110上に形成されてもよく、次いで、この分散液又はスラリーは、硬化又は乾燥されて、金属ナノワイヤを基板110の表面に付着させる。上記の硬化又は乾燥工程の後、分散液又はスラリー中の溶媒及び他の物質は揮発し、金属ナノワイヤは、基板110の表面上にランダムに分布することができ、又は好ましくは、金属ナノワイヤは、基板110の表面上に落下することなく固定されて、導電層を形成することができる。導電層内の金属ナノワイヤは、互いに接触して連続的な電流経路を提供し、導電性ネットワークを形成することができる。すなわち、金属ナノワイヤは、その交差位置で互いに接触し、電子を移動させる経路を形成する。
【0064】
いくつかの実施形態では、分散液又はスラリーは、金属ナノワイヤが溶媒中に均一に分散されるように、溶媒を含む。具体的には、溶媒は、例えば、水、アルコール類、ケトン類、エーテル類、炭化水素類、芳香族溶媒(ベンゼン、トルエン、キシレンなど)、又はこれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、分散液は、金属ナノワイヤと溶媒との間の適合性及び溶媒中の金属ナノワイヤの安定性を改善するために、添加剤、界面活性剤、及び/又は結合剤をさらに含み得る。具体的には、添加剤、界面活性剤及び/又は結合剤は、例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒプロメロース、フルオロサーファクタント、スルホコハク酸スルホン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、ジスルホン酸塩、又はこれらの組み合わせであってよい。金属ナノワイヤを含む分散液又はスラリーは、スクリーン印刷、スプレーコーティング、又はローラーコーティングなどのプロセスなどの任意の方法で、基板110の表面上に形成することができるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、金属ナノワイヤを含む分散液又はスラリーが、連続的に供給される基板110の表面上にコーティングされるように、ロールツーロールプロセスが実行されてもよい。
【0065】
いくつかの実施形態では、導電性を向上させるために、金属ナノワイヤの交差位置における接触特性を改善する(例えば、接触面積を増加させる)ように、金属ナノワイヤに対して後処理をさらに実施してもよい。後処理は、加熱、プラズマ供給、コロナ放電、紫外線供給、オゾン供給、又は加圧などのステップを含み得るが、これらに限定されない。具体的には、導電層を硬化又は乾燥させて形成した後、ローラーを用いて加圧するようにしてもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上のローラーを使用して、導電層に圧力を加えることができる。いくつかの実施形態では、印加圧力は、約50psi~約3400psiの間、好ましくは約100psi~約1000psiの間、約200psi~約800psiの間、又は約300psi~約500psiの間であり得る。いくつかの実施形態では、後処理の加熱及び加圧ステップは、金属ナノワイヤ上で同時に実行することができる。例えば、約10psi~約500psi(又は好ましくは約40psi~約100psiの圧力)の圧力が、ローラーを通して印加されることができ、ローラーは、約70℃~約200℃(又は好ましくは約100℃~約175℃)に加熱されることができ、金属ナノワイヤの導電性を高めることができる。いくつかの実施形態では、金属ナノワイヤは、後処理のために還元剤に曝されてもよい。例えば、銀ナノワイヤを含む金属ナノワイヤは、好ましくは、後処理のために銀還元剤に曝されてもよい。いくつかの実施形態では、銀還元剤は、水素化ホウ素ナトリウムなどの水素化ホウ素、ジメチルアミンボランなどのホウ素窒素化合物、又は水素などのガス還元剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、曝露時間は、約10秒~約30分、好ましくは約1分~約10分であり得る。
【0066】
次に、ステップS14において、パターニング工程を実行して導電層のパターンを画定し、基板110の第1領域上に配置された第1タッチ電極層120を形成する。いくつかの実施形態では、ホール領域Hに隣接する導電層を、ホール領域Hの両側に延びる第1電極線L1及び第2電極線L2にパターニングし、第1電極線L1の一部及び第2電極線L2の一部を、ホール領域Hの輪郭に沿ってホール領域Hの縁部に隣接させることができる。すなわち、導電層のパターニングがホール領域Hの干渉(又は閉塞)に遭遇した場合、導電層のパターニングを、ホール領域Hの縁部の輪郭に沿って行うことができる。いくつかの実施形態では、ホール領域Hから遠い導電層をパターニングして、前術の第3電極線L3、第4電極線L4、及び各電極線Lを実質的に直線状に形成することができる。なお、各電極線Lの詳細な説明については、上述した説明を参照することができるが、以下ではその説明を省略する。いくつかの実施形態では、導電層のパターニングは、エッチングによって行うことができる。導電層中の金属ナノワイヤが銀ナノワイヤである場合、エッチング液の主成分は、H3PO4(エッチング液中のH3PO4の体積比が約55%~約70%である)及びHNO3(エッチング液中のHNO3の体積比が約5%~約15%である)であり、同じ工程で銀材料を除去することができる。他のいくつかの実施形態では、エッチング液の主成分は、塩化第二鉄/硝酸又はリン酸/過酸化水素であってもよい。
【0067】
ステップS14が実行された後、実際のニーズに応じてステップS16を選択的に実行し、基板110上のホール領域Hをスルーホールに形成することができる。いくつかの実施形態では、スルーホールは、例えばスタンピングによって形成することができる。以上の工程の後、
図1に示すようなタッチセンサ100を形成することができ、ホール領域Hは中実領域又はスルーホールとすることができる。
【0068】
いくつかの代替実施形態では、本開示のタッチセンサ100を製造するために異なるプロセスフローを採用することができ、基板110のホール領域Hがスルーホールであるタッチセンサ100を製造することができる。具体的には、本実施形態では、タッチセンサ100の製造方法は、ステップS20~ステップS26を含み、ステップS20~ステップS26を順次実行することができる。ステップS20では、基板110が設けられ、基板110は、視認領域VA及び周辺領域PAにそれぞれ対応する第1領域及び第2領域を有し、基板110の第1領域には、ホール領域Hが設けられている。ステップS22では、基板110の第1領域上に導電層を形成する。ステップS24では、ホール領域Hをスルーホールに形成する一方、導電層にスルーホールに対応するホールを形成する。ステップS26では、導電層をパターニングして第1タッチ電極層120を形成し、第1タッチ電極層120が第1電極線L1及び第2電極線L2を有し、第1電極線L1の一部及び第2電極線L2の一部がスルーホールの輪郭に沿ってスルーホールの縁部に隣接して配置される。以下の説明では、調整されたステップについてのみ説明し、その他の省略された説明については、上述した実施形態の説明を参照することができる。
【0069】
ステップS22~ステップS24では、まず、基板110の第1領域に導電層を形成した後、基板110にスルーホールを形成するので、スルーホールを形成しつつ、スルーホールに対応する導電層にホールを形成することができる。すなわち、基板110のスルーホールと導電層のホールとを同一工程で形成する。いくつかの実施形態では、基板110のスルーホール及び導電層のホールは、例えば、スタンピングによって形成することができる。一方、ステップS26では、導電層をパターニングする際に、パターニングによって形成された第1電極線L1及び第2電極線L2と基板110のスルーホールとの間に一定の距離が生じるようにして、ホールの大きさを拡大することができる。以上の工程を経て、本開示のタッチセンサ100を形成することもできる。具体的な構造は上述した通りであり、以下では繰り返さない。
【0070】
いくつかの他の代替実施形態では、本開示のタッチセンサ100を製造するために異なるプロセスフローを採用することができる。具体的には、上述したステップS22とステップS24とを逆にすることができる。具体的には、本実施形態では、タッチセンサ100の製造方法は、ステップS30~ステップS36を含み、ステップS30~ステップS36を順次実行することができる。ステップS30では、基板110が設けられ、基板110は、視認領域VA及び周辺領域PAにそれぞれ対応する第1領域及び第2領域を有し、基板110の第1領域には、ホール領域Hが設けられている。ステップS32では、ホール領域Hをスルーホールに形成する。ステップS34では、基板110の第1領域上に導電層を形成する。ステップS36では、導電層をパターニングして第1タッチ電極層120を形成し、第1タッチ電極層120が第1電極線L1及び第2電極線L2を有し、第1電極線L1の一部及び第2電極線L2の一部がスルーホールの輪郭に沿ってスルーホールの縁部に隣接して配置される。以下の説明では、調整されたステップについてのみ説明し、その他の省略された説明については、上述した実施形態の説明を参照することができる。
【0071】
ステップS32~ステップS34では、先行して基板110にスルーホールを形成し、その後に基板110の第1領域に導電層を形成するので、導電層に追加のホールを形成する必要がない。また、導電層は、スルーホールの位置を選択的に回避するように形成されている。以上の工程を経て、本開示のタッチセンサ100を形成することもできる。本開示に係るタッチセンサ100の製造方法は、いずれもタッチセンサ100に一定の歩留まりを持たせることができるので、実際のニーズに応じてプロセスフローを柔軟に調整することができ、製造工程の利便性を向上させることができる。
【0072】
図5Aは、本開示のいくつかの実施形態によるタッチディスプレイモジュール200を示す断面図である。いくつかの実施形態では、前述のタッチセンサは(
図3のタッチセンサ100aを例にとると)、ディスプレイ、携帯電話、タブレットコンピュータなどのタッチディスプレイモジュール200に組み込むことができる。タッチディスプレイモジュール200は、前述の利点を備えることができる。いくつかの実施形態では、タッチディスプレイモジュール200は、表示パネル210及びタッチセンサ100aを含み、タッチセンサ100aは、表示パネル210の上に配置される。いくつかの実施形態では、表示パネル210は、例えば、有機発光ダイオード(OLED)パネルであってもよい。いくつかの実施形態では、表示パネル210は、タッチセンサ100aと共に、タッチディスプレイモジュール200の屈曲要求を実現する柔軟性を有してもよい。
【0073】
いくつかの実施形態では、タッチディスプレイモジュール200は、カバー220をさらに含む。カバー220と表示パネル210とは、タッチセンサ100aを共に挟んでいる。全体的な積層構造では、タッチセンサ100aとカバー220とが表示パネル210の上に順次積層されている。いくつかの実施形態では、カバー220は、業界において一定の強度及び一定の柔軟性を有する材料を指す、柔軟性を有する可撓性材料を含んでもよい。例えば、このような材料は、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエーテルスルフィド、ポリエステル、ポリアミドアミン、ポリブテン、ポリエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリウレタン、ポリエーテルイミド、ポリテトラフルオロエチレン、アクリル、又はこれらの組み合わせを含むことができる。このように、カバー220とタッチセンサ100aとにより、タッチディスプレイモジュール200の屈曲要求を同時に実現することができる。
【0074】
いくつかの実施形態では、タッチディスプレイモジュール200は、偏光層230をさらに含み、これは、例えば、液晶コーティングされた偏光層であり得る。いくつかの実施形態では、偏光層230は、表示パネル210とタッチセンサ100aとの間に配置されてもよい。例えば、偏光層230は、表示パネル210の表面に直接形成されてもよい。すなわち、表示パネル210の構造層(図示せず)は、偏光層230を形成するための基板として用いられる。いくつかの実施形態では、偏光層230は、タッチセンサ100aと共に、タッチディスプレイモジュール200の屈曲要求を実現する柔軟性を有してもよい。
【0075】
いくつかの実施形態では、タッチディスプレイモジュール200は、保護層240をさらに含む。保護層240は、例えば、タッチセンサ100aの全面を覆っていてもよい。すなわち、保護層240は、タッチセンサ100aの第1タッチ電極層120及び周辺回路層130を覆い、隣接する電極線Lと周辺回路との間を充填して電気的絶縁を行う。いくつかの実施形態では、保護層240は、非導電性樹脂又は他の有機材料などの絶縁材料を含むハードコーティング層であってもよいが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、保護層240は、タッチセンサ100aと共に、タッチディスプレイモジュール200の屈曲要求を実現する柔軟性を有する。さらに、光学的に透明な接着剤などの接着剤層を各層の間に選択的に配置して、層間の結合を容易にすることができる。
【0076】
上記各層について、表示パネル210、偏光層230及び保護層240に、タッチセンサ100aのホール領域Hに対応するホールO1~O3をそれぞれ設け、ホール領域H及びホールO1~O3に対応して光学部品を配置することができる。例えば、光学部品は、タッチセンサ100aとは反対側の表示パネル210の表面に、ホール領域H及びホールO1~O3に対応して配置されてもよい。これにより、視認領域VAに対応した光学部品を有するタッチディスプレイモジュール200を形成することができ、タッチディスプレイモジュール200に要求される狭幅ベゼル化を実現することができる。いくつかの実施形態では、実際の必要性に応じて、光学部品をホールO1~O3内にさらに収容することができ、ホールO1、O2、さらにはホールO3内における光学部品の実際の収容の深さを必要に応じて設計することができる。
【0077】
図5Bは、本開示のいくつかの他の実施形態によるタッチディスプレイモジュール200aを示す断面図である。
図5Bのタッチディスプレイモジュール200aと
図5Aのタッチディスプレイモジュール200との間の少なくとも1つの相違点は、タッチディスプレイモジュール200aの偏光層230をタッチセンサ100aとカバー220との間に配置できることである。例えば、偏光層230をカバー220の表面に直接形成してもよい。すなわち、カバー220は、偏光層230を形成するための基板として用いられる。
【0078】
本開示の上記実施形態によれば、本開示のタッチセンサは、視認領域に対応して配置されたホール領域を有するので、光学機能を有するタッチディスプレイモジュールにタッチセンサを一体化すると、タッチディスプレイモジュールの光学部品をホール領域に対応して配置することができる。その結果、光学部品を配置するための周辺領域のスペースを節約することができ、タッチディスプレイモジュールのための狭幅ベゼルの設計要件をさらに達成することができる。また、タッチディスプレイモジュールの光学部品が視認領域に対応して配置されているので、配置されたタッチセンサの周辺領域における周辺配線の配置は、光学部品の位置を回避する必要がなく、周辺領域の屈曲が光学部品によって制限されることもない。したがって、タッチセンサは、多様な屈曲設計を実現することができる。一方、タッチ電極の配置やタッチ電極層の電極パターンの設計により、タッチ電極は、ホール領域を迂回しながら良好なタッチ機能を維持することができる。また、本開示のタッチセンサの製造工程においては、実際のニーズに応じて製造工程を柔軟に調整することができ、製造工程の利便性を向上させることができる。
【0079】
本開示は、その特定の実施形態を参照してかなり詳細に説明したが、他の実施形態も可能である。したがって、添付の特許請求の範囲の主旨及び範囲は、本明細書に含まれる実施形態の説明に限定されるべきではない。
【0080】
本開示の範囲又は主旨から逸脱することなく、本開示の構造に対して様々な修正及び変形を行うことができることは、当業者には明らかであろう。上記に鑑みて、本開示は、以下の特許請求の範囲の範囲内にある限り、本開示の修正及び変形を含むことが意図される。