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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022117386
(43)【公開日】2022-08-10
(54)【発明の名称】タッチセンサ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20220803BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20220803BHJP
【FI】
G06F3/041 430
G06F3/041 660
G06F3/041 490
G06F3/044 Z
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021088573
(22)【出願日】2021-05-26
(31)【優先権主張番号】202110134911.3
(32)【優先日】2021-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】519308156
【氏名又は名称】ティーピーケイ アドバンスド ソリューションズ インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】TPK ADVANCED SOLUTIONS INC
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】ユー チエンシェン
(72)【発明者】
【氏名】ディン ジージュン
(72)【発明者】
【氏名】ファン チンシュー
(72)【発明者】
【氏名】シュー ユングオ
(72)【発明者】
【氏名】ルー リーデー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】タッチ電極および周辺回路は、通常、周辺領域において互いに重なり合って導電性パスまたはループを形成し、その重なり合う部分のインピーダンスは、動作の安定性、具体的には、信号伝送およびタッチセンサの応答速度に影響を与える。
【解決手段】可視領域および可視領域の少なくとも1つの側に周辺領域を有するタッチセンサは、基板110、金属ナノワイヤ材料層120および金属層130を含む。金属ナノワイヤ材料層120は、基板110上に配置され、可視領域VAに対応する第1の部分120aと、周辺領域PAに対応する第2の部分120bとを有する。金属層130は、金属ナノワイヤ材料層120の第2の部分120b上に配置され、可視領域PA内に延在する少なくとも1つの延在部132を有する。延在部132は、金属ナノワイヤ材料層120の第1の部分120aと重なる。
【選択図】図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可視領域と、可視領域の少なくとも一方の側に周辺領域とを有するタッチセンサであって、
基板と、
基板上に配置され、可視領域に対応する第1の部分と周辺領域に対応する第2の部分とを有する金属ナノワイヤ材料層と、
前記金属ナノワイヤ材料層の前記第2の部分上に配置され、前記可視領域内に延在する少なくとも1つの延在部を有する金属層であって、前記延在部が前記金属ナノワイヤ材料層の前記第1の部分と重なる金属層と、
を有するタッチセンサ。
【請求項2】
前記延在部は、前記周辺領域と前記可視領域との境界から前記可視領域内に延在することを特徴とする請求項1に記載のタッチセンサ。
【請求項3】
前記可視領域に延在する前記延在部の延在長さは、0.05mm以上であることを特徴とする請求項2に記載のタッチセンサ。
【請求項4】
前記延在部は、第1の方向に沿って延在し、第2の方向に沿った延在部の幅は、0.006mmから0.050mmであり、前記第2の方向は、前記第1の方向に対して垂直である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のタッチセンサ。
【請求項5】
前記金属ナノワイヤ材料層の前記第1の部分は、少なくとも1つの接触感知電極を構成し、前記接触感知電極は、第1の方向に沿って延びる少なくとも1つの電極線を含み、第2の方向に沿った前記電極線の幅は、200μmから400μmであり、前記第2の方向は、前記第1の方向に対して垂直である請求項1乃至4のいずれか1項に記載のタッチセンサ。
【請求項6】
前記延在部は、前記電極線の全体の上方に延在し、前記延在部は、前記第1の方向に沿って前記可視領域の2つの端部を有し、前記電極線は、前記第1の方向に沿って前記可視領域の2つの端部を有し、前記延在部の前記2つの端部は、前記電極線の前記2つの端部と実質的に整合している請求項5に記載のタッチセンサ。
【請求項7】
前記延在部の延在パターンは、前記電極線の電極パターンと共形であることを特徴とする請求項6に記載のタッチセンサ。
【請求項8】
前記金属層は、複数の前記延在部を有し、前記接触感知電極は、複数の前記電極線を含み、前記延在部は、それぞれ、前記電極線の位置に対応して配置される請求項5に記載のタッチセンサ。
【請求項9】
前記金属ナノワイヤ材料層の前記第2の部分と、前記第2の部分上に配置された前記金属層とは、共に周辺回路を構成する、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のタッチセンサ。
【請求項10】
可視領域と、可視領域の少なくとも一方の側に周辺領域とを有するタッチセンサの製造方法であって、
基板を準備し、
基板上の金属ナノワイヤ材料層の形成し、
金属ナノワイヤ材料層上の金属材料層の形成し、
金属層が形成されるように第1のパターニング工程を実行し、
第1のパターニング工程は、
金属層の一部が形成されるように、周辺領域に対応する金属材料層の一部をパターニングする工程と、
可視領域に対応する金属材料層の一部をパターニングして、金属層の一部から可視領域内に延びる延在部が形成されるようにする工程と、を含み、
金属ナノワイヤ材料層が形成されるように、第2のパターニング工程を実行し、
第2のパターニング工程は、
金属ナノワイヤ材料層の第1の部分が形成され、金属層の延在部が金属ナノワイヤ材料層の第1の部分と重なるように、可視領域に対応する金属ナノワイヤ材料層の一部をパターン化する工程と、
周辺領域に対応する金属ナノワイヤ材料層の一部をパターニングして、金属ナノワイヤ材料層の第2の部分が形成される工程と、を含むタッチセンサの製造方法。
【請求項11】
前記可視領域に対応する前記金属材料層の部分は、第1の所定のパターンに従ってパターニングされ、前記可視領域に対応する前記金属ナノワイヤ材料層の部分は、第2の所定のパターンに従ってパターニングされ、第1の所定のパターンは、第2の所定のパターンに対応する請求項10に記載のタッチセンサの製造方法。
【請求項12】
前記第1の所定のパターンは、前記第2の所定のパターンと共形である、請求項11に記載のタッチセンサの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチセンサ及びタッチセンサの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タッチセンサは、ユーザと電子機器との間の情報インタフェースとして、携帯電話、ノートパソコン、衛星ナビゲーションシステム、デジタルオーディオビジュアルプレーヤなどの携帯電子製品に広く用いられている。
【0003】
タッチセンサは、タッチ電極および周辺回路を含み、タッチ電極および周辺回路は、通常、周辺領域において互いに重なり合って導電性パスまたはループを形成し、その重なり合う部分のインピーダンスは、動作の安定性、具体的には、信号伝送およびタッチセンサの応答速度に影響を与える。タッチ電極と周辺回路との重なり面積は、重なりインピーダンスを決定する要因である。一般に、重なり面積が大きくなると、重なりインピーダンスは低くなる。しかし、重なり合う領域は、タッチセンサの周辺領域のサイズに直接影響する。また、タッチ電極の材料として金属ナノ材料を採用した場合、金属ナノ材料の材料特性により、金属ナノ材料の表面抵抗が他の一般的な材料の表面抵抗よりも相対的に大きくなり、重なり安定性に大きな影響を与える。
【0004】
狭幅ベゼル製品に対する要求が徐々に増加するにつれて、周辺領域のサイズ要件を満たすだけでなく、オーバーラップ安定性の要件も満たすことができるタッチセンサは、現在、研究する価値がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のいくつかの実施形態によれば、可視領域および可視領域の少なくとも1つの側面上の周辺領域を有するタッチセンサは、基板、金属ナノワイヤ材料層、および金属層を含む。金属ナノワイヤ材料層は、基板上に配置され、可視領域に対応する第1の部分と、周辺領域に対応する第2の部分とを有する。金属層は、金属ナノワイヤ材料層の第2の部分上に配置され、可視領域内に延在する少なくとも1つの延在部を有し、延在部は、金属ナノワイヤ材料層の第1の部分と重なる。
【0006】
本開示のいくつかの実施形態において、延在部は、周辺領域と可視領域との間の境界から可視領域内に延在する。
【0007】
本開示のいくつかの実施形態において、可視領域内に延在する延在部の延在長は、少なくとも0.05mmである。
【0008】
本開示のいくつかの実施形態では、延在部は、第1の方向に沿って延び、第2の方向に沿った延在部の幅は0.006mmから0.050mmであり、第2の方向は第1の方向に対して垂直である。
【0009】
本開示のいくつかの実施形態において、金属ナノワイヤ材料層の第1の部分は、少なくとも1つのタッチ感知電極を構成し、タッチ感知電極は、第1の方向に沿って延びる少なくとも1つの電極線を含み、第2の方向に沿った電極線の幅は、200μm~400μmの間であり、第2の方向は、第1の方向に対して垂直である。
【0010】
本開示のいくつかの実施形態において、延在部は、電極線の全体の上に延在し、延在部は、第1の方向に沿って可視領域の2つの端部を有し、電極線は、第1の方向に沿って可視領域の2つの端部を有し、延在部の2つの端部は、電極線の2つの端部と実質的に位置合わせされる。
【0011】
本開示のいくつかの実施形態において、延在部の延在パターンは、電極線の電極パターンと共形である。
【0012】
本開示のいくつかの実施形態において、延在部の延在パターンは、連続的に延在する線形パターン、波形パターン、またはそれらの組み合わせである。
【0013】
本開示のいくつかの実施形態において、延在部の延長パターンは、間隔をおいて配置された複数のラインセグメントによって構成される。
【0014】
本開示のいくつかの実施形態において、金属層は複数の延在部を有し、タッチ感知電極は複数の電極線を含み、延在部はそれぞれ電極線の位置に対応して配置される。
【0015】
本開示のいくつかの実施形態において、金属ナノワイヤ材料層の第2の部分と、第2の部分上に配置された金属層とは、共に周辺回路を構成する。
【0016】
本開示のいくつかの他の実施形態によれば、可視領域および可視領域の少なくとも1つの側に周辺領域を有するタッチセンサの製造方法は、基板を準備し、基板上に金属ナノワイヤ材料層を形成し、金属ナノワイヤ材料層上に金属材料層を形成し、金属層が形成されるように、第1のパターニング工程を実行し、金属ナノワイヤ材料層が形成されるように、第2のパターニング工程を実行する。第1のパターニング工程は、金属層の一部が形成されるように、周辺領域に対応する金属材料層の一部をパターニングする工程と、可視領域に対応する金属材料層の一部をパターニングして、金属層の一部から可視領域内に延在する延在部を形成する工程と、を含む。第2のパターニング工程は、金属ナノワイヤ材料層の第1の部分が形成され、金属層の延在部が金属ナノワイヤ材料層の第1の部分と重なるように、可視領域に対応する金属ナノワイヤ材料層の一部をパターニングする工程と、周辺領域に対応する金属ナノワイヤ材料層の一部をパターニングして、金属ナノワイヤ材料層の第2の部分を形成する工程と、を含む。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態において、周辺領域に対応する金属材料層の部分、および可視領域に対応する金属材料層の部分は、同じプロセスにおいてパターニングされる。
【0018】
本開示のいくつかの実施形態において、周辺領域に対応する金属ナノワイヤ材料層の部分、および可視領域に対応する金属ナノワイヤ材料層の部分は、同じプロセスにおいてパターニングされる。
【0019】
本開示のいくつかの実施形態において、可視領域に対応する金属材料層の部分は、第1の所定のパターンに従ってパターニングされ、可視領域に対応する金属ナノワイヤ材料層の部分は、第2の所定のパターンに従ってパターニングされ、第1の所定のパターンは、第2の所定のパターンに対応する。
【0020】
本開示のいくつかの実施形態において、第1の所定のパターンは、第2の所定のパターンと共形である。
【発明の効果】
【0021】
本開示の前述の実施形態によれば、本開示のタッチセンサは、周辺領域に位置する金属層を有し、金属層は、可視領域内に延在する少なくとも1つの延在部を有し、延在部は、可視領域内に位置する金属ナノワイヤ材料層とオーバーラップして接触するので、金属層と金属ナノワイヤ材料層との間の接触面積を効果的に増加させることができる。これは、金属層と金属ナノワイヤ材料層との間の電気的接触安定性を改善するだけでなく、タッチセンサの表面抵抗を効果的に減少させてタッチセンサの導電性を改善し、タッチセンサの抵抗容量性負荷(RC負荷)を低減する。また、タッチセンサの製造方法において、全面の可視領域及び周辺領域に対して、金属ナノワイヤ材料層全体及び金属材料層全体をパターニングするような単一の工程を行うことができる。これにより、周辺領域には、金属層と金属ナノワイヤ材料層とが積層された周辺回路が形成され、可視領域には、金属ナノワイヤ材料層に支持された金属との接触感知電極が形成される。このように、従来の構造設計では、1層の金属層で周辺部のタッチセンシング電極と位置合わせする必要があったが、これを省略することができ、重ね合わせ処理時に生じる位置合わせ誤差を完全に回避することができ、狭ベゼル製品の設計要件を満たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本開示は、以下の添付図面を参照して実施形態の以下の詳細な説明を読むことにより、より完全に理解することができる。
【0023】
図1A】本開示のいくつかの実施形態によるタッチセンサを示す上面図である。
図1B】線a-a’に沿った図1AAのタッチセンサを示す断面図である。
図1C図1Aのタッチセンサの領域R1を示す部分拡大図である。
図2】本開示のいくつかの他の実施形態によるいくつかのタッチセンサを示す上面図である。
図3】本開示のいくつかの他の実施形態によるいくつかのタッチセンサを示す上面図である。
図4】本開示のいくつかの他の実施形態によるいくつかのタッチセンサを示す上面図である。
図5】本開示のいくつかの他の実施形態によるいくつかのタッチセンサを示す上面図である。
図6】タッチセンサの製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本開示の本実施形態を詳細に参照し、その例を添付図面に示す。図面及び説明においては、可能な限り同一の参照番号を使用して、同一又は類似の部分を参照する。
【0025】
本明細書では、「第1の」、「第2の」、および「第3の」という用語を用いて、様々な要素、構成要素、領域、層、および/または部分を説明してもよいが、これらの要素、構成要素、領域、層、および/または部分は、これらの用語によって制限されるべきではないことを理解されたい。これらの用語は、1つの要素、コンポーネント、領域、レイヤ、または部分を別の要素、コンポーネント、領域、レイヤ、または部分と区別するためにのみ使用される。したがって、以下に記載される「第1の元素」、「構成要素」、「領域」、「層」、または「部分」は、本開示の開示から逸脱することなく、第2の要素、構成要素、領域、層、または部分とも称され得る。
【0026】
さらに、図に示すように、「下部」または「底面」および「上部」または「上面」などの相対的な用語を本明細書で使用して、1つの要素と別の要素との関係を記述することができる。相対的な用語は、図に示されたもの以外の装置の異なる向きを含むことが意図されていることを理解されたい。例えば、ある図の装置がひっくり返されると、他の要素の「下部」側にあると記述されている要素は、他の要素の「上部」側に配向される。したがって、例示的な用語「下部」は、図面の特定の向きに応じて、「下部」および「上部」の向きを含み得る。同様に、1つの図の装置がひっくり返されると、「下部」と記述された要素は、他の要素を「上部」配向される。したがって、例示的な用語「下部」は、「上の」および「下に」の配向を含むことができる。
【0027】
図1Aは、本開示のいくつかの実施形態によるタッチセンサ100を示す上面図である。図1Bは、線a-a’に沿った図1Aのタッチセンサ100を示す断面図である。図1Aおよび図1Bを参照すると、タッチセンサ100は、可視領域VAおよび周辺領域PAを有し、周辺領域PAは、可視領域VAの側方に配置される。例えば、周辺領域PAは、可視領域VAの周囲(すなわち、右側、左側、上側、および下側を含む)に配置される枠状領域であってもよく、他の例として、周辺領域PAは、可視領域VAの左側および下側に配置されるL字形領域であってもよい。タッチセンサ100は、基板110、金属ナノワイヤ材料層120、および金属層130を含み、金属ナノワイヤ材料層120および金属層130は、基板110上に順次配置される。基板110は、金属ナノワイヤ材料層120および金属層130を支持するように構成され、例えば、硬質透明基板または可撓性透明基板を用いることができる。いくつかの実施態様において、基板110の材料は、ガラス、アクリル、ポリ塩化ビニル、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、無色ポリイミド又はこれらの組合せなどの透明材料を含むが、これらに限定されない。
【0028】
一部の実施形態では、金属ナノワイヤ材料層120は、可視領域VAに対応する第1の部分120aと、周辺領域PAに対応する第2の部分120bとを有し、金属ナノワイヤ材料層120の第1の部分120aは、接触感知電極TEを構成し、金属ナノワイヤ材料層120の第2の部分120bと、周辺領域PAに位置する金属層130とは、共に周辺回路Tを構成する。一部の実施形態では、接触感知電極TEは、第1の方向D1に沿って延びる少なくとも1つの帯状の電極線L(以下、電極線Lとも称する)を含むことができる。本実施形態では、3本の電極線Lを例に挙げて説明する。3本の電極線Lは、その端部が並列に接続されて接触感知電極TEを形成しており、第2の方向D2が第1の方向D1と直交する第2の方向D2に沿って間隔をあけて配置することができる。いくつかの実施形態では、第2の方向D2に沿った電極線Lの幅W1は、200μmから400μmの間であり、接触感知電極TEの視認性、信頼性、および性能をすべて満たすことができる。具体的には、電極線Lの幅W1が400μmを超えると、接触感知電極TEの視認性に問題が生じたり、相互容量検出時の容量が検出条件を満たすには大きすぎたりして、性能が低下するおそれがある。電極線Lの幅W1が200μm未満であると、接触感知電極TEが信頼性試験に合格する可能性が低くなり、幅W1が小さくなるために表面抵抗が大きくなり、センシングしにくくなる問題がある。一方、上記幅の範囲の電極線Lは、後述する本発明の延在部132の構成に有利である。
【0029】
いくつかの実施形態では、金属ナノワイヤ材料層120は、マトリクスと、マトリクス内に分布される複数の金属ナノワイヤ(金属ナノ構造体とも呼ばれる)とを含み得る。マトリクスは、金属ナノワイヤに特定の化学的、機械的、および光学的特性を付与するために、ポリマーまたはその混合物を含み得る。例えば、マトリクスは、金属ナノワイヤと基板110との間の良好な接着を提供することができる。別の例として、マトリクスは、金属ナノワイヤに良好な機械的強度を提供することもできる。いくつかの実施形態では、マトリクスは、金属ナノワイヤが、さらなる表面の耐摩耗性を有するように、特定のポリマーを含むことができ、それによって、金属ナノワイヤ材料層120の表面強度を改善する。前記特定のポリマーは、例えば、ポリアクリレート、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリシロキサン、ポリシラン、ポリ(ケイ素アクリル酸)、またはこれらの組み合わせであってもよい。一部の実施形態では、マトリクスは、金属ナノワイヤ材料層120の紫外線抵抗を改善し、その寿命を延ばすために、界面活性剤、架橋剤、安定剤(例えば、酸化防止剤または紫外線安定剤を含むが、これらに限定されない)、重合禁止剤、または前述の成分のいずれかの組み合わせをさらに含み得る。
【0030】
本明細書で使用される用語「金属ナノワイヤ」は、集合名詞であり、複数の金属元素、金属合金、または金属化合物(金属酸化物を含む)を含む金属ワイヤの集合を指し、その中に含まれる金属ナノワイヤの数は、本開示の範囲に影響しないことを理解されたい。いくつかの実施形態において、単一の金属ナノワイヤの断面サイズ(例えば、断面の直径)は、500nm未満、好ましくは100nm未満、より好ましくは50nm未満である。いくつかの実施形態において、金属ナノワイヤは、大きなアスペクト比(長さ:断面の直径)を有する。具体的には、金属ナノワイヤのアスペクト比は、10と100,000との間である。より詳細には、金属ナノワイヤのアスペクト比は、10より大きく、好ましくは50より大きく、より好ましくは100より大きくてもよい。さらに、絹、繊維、またはチューブのような他の用語もまた、上述の断面寸法およびアスペクト比を有し、これらも本開示の範囲内にある。
【0031】
一部の実施形態では、金属層130は、金属ナノワイヤ材料層120の第2の部分120b上に配置され、金属層130および金属ナノワイヤ材料層120の第2の部分120bは、共に、周辺回路Tを構成する。周辺回路Tは、タッチまたは他の信号伝送のために外部コントローラに接続され得る。金属ナノワイヤ材料層120の少なくとも一部と金属層130の少なくとも一部とによって周辺回路Tを形成することにより、金属ナノワイヤ材料層120は、周辺回路T全体を介して金属層130と電気的に接触し、より良好な信号伝送を提供することができる。一部の実施形態では、金属層130を形成するために高導電性材料を採用することができ、例えば、金属層130の材料として銅または銀を採用することができる。加えて、本発明のタッチセンサ100は、周辺領域の接触感知電極との位置合わせに単一の金属層の周辺回路を用いた従来の構成と比較して、本発明の設計との重なり処理時に発生する位置合わせ公差を完全に回避することができ、周辺領域PAに位置合わせ公差の領域を確保する必要がなく、狭ベゼル製品の設計要求を満たすことができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、金属層130は、可視領域VA内に延在する延在部132を有し、延在部132は、金属ナノワイヤ材料層120の第1の部分120aと重なり合って接触する。すなわち、延在部132は、接触感知電極TEに重なって接触し、電気的な補助効果を与える。一部の実施形態では、延在部132は、可視領域VAと周辺領域PAとの境界Bから可視領域VA内に延びている。
【0033】
一方、金属層130の延在部132と金属層130の残部(例えば、周辺領域PAに位置する金属層130の部分)とは、全体として一体的に形成されていてもよい。すなわち、金属層130の延在部132と金属層130の残りの部分との間に実質的な界面は存在しない。延在部132の構成により、金属層130と金属ナノワイヤ材料層120とが可視領域VAでさらに電気的に接触することができ、金属層130と金属ナノワイヤ材料層120との接触面積をさらに大きくすることができる。したがって、タッチセンサ100の表面抵抗を効果的に低減してタッチセンサ100の導電性を向上させることができ、タッチセンサ100の抵抗容量性負荷(RC負荷)をさらに低減することができ、金属層130全体と金属ナノワイヤ材料層120との電気的接触安定性を向上させることができる。いくつかの実施形態では、接触感知電極TEが、図1Aに示される3本の電極線Lのような複数の電極線Lを含む場合、金属層130は、複数の延在部132を有してもよく、延在部132は、電極線Lの位置にそれぞれ対応して配置されてもよい。この場合、延在部132の数は、電極線Lの数と同じでよいので、電極線Lと延在部132とのパターニングを容易にすることができ、電極線Lと延在部132との位置合わせを良好に行うことができ、製造工程の利便性が向上する。
【0034】
図1Cは、図1Aのタッチセンサの領域R1を示す部分拡大図であり、図1Cを参照する。いくつかの実施態様において、延在部132の延長パターンは、直線パターンであり、直線パターンは、第1の方向D1に沿って延びる。また、延在部132の視認領域VAにおける延出長さL2は、0.05mm以上、例えば2.00mmであることが好ましい。より具体的には、延在部132は、第1の方向D1に沿って延びており、少なくとも0.05mmの延出長さL2を有しており、十分な接触面積を有している。なお、延在部132の延出パターンが線状パターンである場合、延在部132の延出長さL2は、第1の方向D1における線状パターンの長さである。延在部132の延出パターンが非線形パターンである場合、延在部132の延出長さL2は、可視領域VAにおける第1の方向D1に沿った非線形パターンの両端部132e間の最短の接続長さであり、詳細には、延在部132の延出長さL2が0.05mm未満であると、延在部132が接触感知電極TEにランダムに分布する金属ナノワイヤに適切かつ安定して接触できなくなり、延在部132を設計する意味が無くなる。いくつかの実施形態では、第2の方向D2に沿った延在部132の幅W2は、0.006mmと0.050mmとの間であってもよく、その結果、可視領域VAによって提示される光学特性および延在部132と接触感知電極TEとの間の接触特性の両方を満たすことができる。具体的には、延在部132の第2の方向D2に沿った幅W2が0.050mmよりも大きいと、延在部132と接触感知電極TEとの重なり部分が見えやすくなり(すなわち、重複部分は不必要な視認性を有する)、タッチセンサ100の可視領域VAの光学特性に影響を与える。また、延在部132の第2の方向D2に沿った幅W2が0.006mm未満であると、延在部132が接触感知電極TEに安定して接触せず、電気的な補助効果が得られず、延在部132のパターニングが困難になる。
【0035】
延在部132は、より小さい幅W2を有するので、延在部132と金属ナノワイヤ材料層120との間の電気的接触安定性を確保するために、いくつかの実施形態では、適切な表面抵抗仕様を有する金属ナノワイヤ材料層120をさらに選択することができる。より詳細には、金属ナノワイヤ材料層120の表面抵抗仕様の選択は、金属ナノワイヤ材料層120と延在部132との間の接触抵抗、ならびにタッチセンサ100によって提示される光学特性を考慮する必要がある。より大きな表面抵抗を有する金属ナノワイヤ材料層120が選択された場合、金属ナノワイヤは、金属ナノワイヤ材料層120内で疎であり、より低い密度を有し、これは、金属ナノワイヤが延在部132に安定して接触することを困難にし、その結果、金属ナノワイヤ材料層120と延在部132との間の接触抵抗が過度に大きくなる。表面抵抗の小さい金属ナノワイヤ材料層120を選択すると、金属ナノワイヤが金属ナノワイヤ材料層120に集中し、密度が高くなり、光透過性が低下し、光学特性に影響を与える。いくつかの実施形態において、金属ナノワイヤ材料層120の表面抵抗仕様は、光学的および電気的特性を満たすために、10オーム/スクウェア(ops)~100opsの範囲内、好ましくは35ops~70opsの範囲内にあるように選択され得る。したがって、延在部132と金属ナノワイヤ材料層120との間の電気的接触を良好に形成することができ、タッチセンサ100は、より良好な光学特性を示すことができる。
【0036】
図2~5は、本開示のいくつかの他の実施形態によるいくつかのタッチセンサを示す上面図である。図2~5のタッチセンサと図1Aのタッチセンサ100は、実質的に同一の構成要素構成および接続関係、材料、および利点を有するものと理解されるべきであり、同じ内容については以下に繰り返されず、以下の説明では相違点のみを論じる。
【0037】
図2を参照する。図2に示すタッチセンサ200と図1Aに示すタッチセンサ100との少なくとも1つの相違点は、タッチセンサ200において、電極線Lの位置に対応して配置されていない他の延在部232が、電極線Lの位置に対応して配置されることである。すなわち、接触感知電極TEは、単位面積当たりの延在部232の数が多い。一部の実施形態では、電極線Lの位置に対応して配置された2つの延在部232の間に、電極線Lの位置に対応して配置されていない一方の延在部232が配置され、電極線Lの位置に対応して配置されていない延在部232が、第2の方向D2に沿って電極線Lの位置に対応して配置された2つの延在部232の中間に配置されている。すなわち、電極線Lの位置に対応して配置されていない延在部232と、電極線Lの位置に対応して配置された延在部232とは、第2の方向D2に沿って等間隔に配置されている。また、電極線Lの位置に対応して配置されていない延在部232は、第2の方向D2に沿って2本の電極線Lの中間に配置されている。すなわち、電極線Lおよび電極線Lの位置に対応して配置されていない延在部232は、第2の方向D2に沿って等間隔に配置されている。延在部232の数を適切に増加させることにより、金属層230と金属ナノワイヤ材料層220との間の接触面積をさらに増加させることができ、金属層230と金属ナノワイヤ材料層220との間の電気的接触をより良好に改善することができる。
【0038】
図3を参照する。図3に示すタッチセンサ300と図1Aに示すタッチセンサ100との少なくとも1つの相違点は、タッチセンサ300において、各延在部332が電極線L全体の上方で第1の方向D1に沿ってさらに延出しており、各延在部332の延在パターンが連続的な線状パターンとなっており、延在部332の可視領域VAにおける第1の方向D1に沿った延出長さL2と、電極線Lの可視領域VAにおける第1の方向D1に沿った延出長さL1とが等しくなっている点である(すなわち、基板310の延長面)、ここで、延在部332の延出長さL2は、延在部332の両端部332e間の最短の接続長さであり、電極線Lの延出長さL1は、電極線Lの両端部332e間の最短の接続長さであるため、各延在部332は、第1の方向D1に沿って電極線L全体と接触することができ、金属層330と金属ナノワイヤ材料層320との接触面積をさらに大きくすることができ、金属層330と金属ナノワイヤ材料層320との電気的な接触を向上させることができる。すなわち、導電性の高い延在部332を長くして電極線Lと電気的に接触させることにより、電極線Lの線抵抗を効果的に低減することができ、電極線Lの導電性を向上させ、タッチセンサ300のRC負荷をさらに低減することができる。例えば、本実施形態では、延在部332の幅W2が約8μmである場合、延在部332にアシストされる電極線Lの線抵抗は、延在部332に支持されない従来の電極線Lに比べて少なくとも45%低減される。他のいくつかの実施形態では、延在部332の延出長さL1は、実際の必要性に従って、図1Aの延在部132の延出長L1よりも大きく、図3の延在部332の延出長L1よりも小さく設定され得る。このような長さL1であっても、電気的接触安定性の向上、電極線Lの線抵抗の低減、タッチセンサ300のRC負荷の低減を図ることができる。
【0039】
このように、電極線Lの幅W1によって、延在部132/332の構成を容易にすることができる。具体的には、電極線Lの幅W1が延在部132/332の幅W2よりもはるかに大きいため(図1Cに示す)、各延在部332が電極線L全体の上方に延出する図3の実施形態であっても、可視領域VAが示す光学特性には影響を与えない。いくつかの実施形態では、各延在部332は、それと接触する電極線Lと実質的に平行であってもよい。すなわち、各延在部332の延在パターンは、連続して延在する直線状(帯状)のパターンである。これにより、延在部332と電極線Lとの位置合わせを良好に行うことができ、パターニングの利便性を向上させることができる。
【0040】
図4を参照する。図4に示すタッチセンサ400と図3に示すタッチセンサ300との少なくとも1つの相違は、タッチセンサ400において、各延在部432の延出パターンが連続した延出波形パターンであることである。このように構成することにより、各延在部432が可視領域VAに発生するモアレの問題を回避することができ、光干渉の可能性を低減することができる。他のいくつかの実施形態において、各延在部432の延出パターンの波形パターンは、正弦波パターン、方形波パターン、三角波パターン、鋸歯状波パターン、またはこれらの組み合わせであり得る。上述の非線形パターンは、モアレの問題を回避して、光干渉の可能性を低減することができる。他のいくつかの実施形態では、電極線Lの電極パターンは、延在部432の延在パターンとさらに一致していてもよい。すなわち、延在部432の延出パターンが連続的に延出する波形パターンである場合には、電極線Lの電極パターンも連続的に延出する波形パターンであってもよく、延在部432の延出パターンが電極線Lの電極パターンに沿って延出するものであってもよい。なお、延在部432の延出パターンと電極線Lの電極パターンとの組み合わせはこれに限定されず、延出パターンと電極パターンとの組み合わせも本発明の範囲に含まれる。
【0041】
図5を参照する。図5に示すタッチセンサ500と図3に示すタッチセンサ300との少なくとも1つの相違点は、タッチセンサ500において、延在部532の延出パターンが間隔をおいて配置された複数のラインセグメント532aによって構成されていることである。いくつかの実施形態において、ラインセグメント532aは、第1の方向D1に沿って間隔を置いて配置されてもよい。すなわち、ラインセグメント532aの間隔分だけ電極線Lの一部を露出させることができる。いくつかの実施形態では、ラインセグメント532aは、第1の方向D1に沿って等間隔に配置することができ、異なる電極線L上に位置するラインセグメント532aは、第2の方向D2に沿って互いに整列させることができる。また、本実施形態では、複数のラインセグメント532aで構成される延出パターンによっても、延在部532による光干渉の可能性を低減することができる。また、各ラインセグメント532a(例えば、各ラインセグメント532aの長さ、ラインセグメント532a間の距離などである。)の構成の細部は、接触感知電極TE抵抗値が基準範囲内に収まるように、また、タッチセンサ500のRC負荷を小さくするように、ニーズに応じて柔軟に調整することができる。
【0042】
以下では、説明した構成要素の接続関係、材料、および利点を繰り返さないことを理解されたい。以下の説明では、図1Aから図1Cのタッチセンサ100を例に取り、本開示のタッチセンサ100の製造方法をさらに説明する。図6は、タッチセンサ100の製造方法を示すフローチャートである。タッチセンサ100の製造方法は、ステップS10~ステップS50を含み、ステップS10~ステップS50を順次実行することができる。ステップS10では、基板110を用意する。ステップS20では、基板110上に、タッチセンサ100の可視領域VAおよび周辺領域PAに対応する金属ナノワイヤ材料層を形成する。ステップS30では、金属ナノワイヤ材料層上に金属材料層を形成する。ステップS40では、延在部132を有する金属層130に金属材料層を形成するように金属材料層に対して第1のパターニング工程を行う。ステップS50では、金属ナノワイヤ材料層がパターニングされた金属ナノワイヤ材料層120を形成し、金属層130の延在部132が、可視領域VAにおいて金属ナノワイヤ材料層120に重なって接触するように、金属ナノワイヤ材料層に対して第2のパターニング工程を行う。
【0043】
まず、ステップS10~S20において、基板110を設け、タッチセンサ100の可視領域VA及び周辺領域PAに対応する全面に、少なくとも金属ナノワイヤ(例えば、銀ナノワイヤ材料層、金ナノワイヤ材料層、または銅ナノワイヤ材料層)を含む金属ナノワイヤ材料層を形成する。いくつかの実施態様において、基板110に後処理を施してもよく、例えば、表面改質プロセスを施すか、基板110の表面に接着剤層又は樹脂層を追加でコーティングして、基板110と他の層との間の接着性を高める。いくつかの実施形態において、金属ナノワイヤを有する分散体またはスラリーは、コーティングによって基板110上に形成されてもよく、次いで、この分散体またはスラリーは、硬化または乾燥されて、金属ナノワイヤを基板110の表面に接着させる。上記の硬化または乾燥工程の後、分散物またはスラリー中の溶媒および他の物質は揮発し、金属ナノワイヤは、基板110の表面上にランダムに分布され得るか、または好ましくは、金属ナノワイヤは、基板110の表面上に落下することなく固定され得、金属ナノワイヤ材料層を形成し得る。金属ナノワイヤ材料層内の金属ナノワイヤは、導電性ネットワークを形成するように、互いに接触して連続した電流経路を提供することができる。すなわち、金属ナノワイヤは、その交差位置で互いに接触し、電子を移動させるための経路を形成する。
【0044】
いくつかの実施形態では、分散液またはスラリーは、金属ナノワイヤが溶媒中に均一に分散されるように、溶媒を含む。具体的には、溶媒は、例えば、水、アルコール類、ケトン類、エーテル類、炭化水素類、芳香族溶媒(ベンゼン、トルエン、キシレンなど。)、またはこれらの組み合わせである。いくつかの実施形態において、分散体は、金属ナノワイヤと溶媒との間の適合性および溶媒中の金属ナノワイヤの安定性を改善するために、添加剤、界面活性剤、および/または結合剤をさらに含み得る。具体的には、添加剤、界面活性剤および/または結合剤は、例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒプロメロース、フルオロサーファクタント、スルホコハク酸スルホン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、ジスルホン酸塩、またはこれらの組み合わせであってよい。金属ナノワイヤを含む分散またはスラリーは、スクリーン印刷、スプレーコーティング、またはローラコーティングなどのプロセスなどの任意の方法で、基板110の表面上に形成することができるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、金属ナノワイヤを含む分散またはスラリーが、連続的に供給される基板110の表面上に被覆されるように、ロールツーロールプロセスが実行されてもよい。
【0045】
一部の実施形態では、導電性を向上させるために、金属ナノワイヤの交差位置における接触特性(例えば、接触面積を増加させる)を改善するために、金属ナノワイヤに対して後処理をさらに実施してもよい。後処理は、加熱、プラズマ供給、コロナ放電、紫外線供給、オゾン供給、または加圧などのステップを含み得るが、これらに限定されない。具体的には、金属ナノワイヤ材料層を硬化または乾燥によって形成した後、ローラを用いて、その上に圧力を加えてもよい。一部の実施形態では、1つ以上のローラを使用して、金属ナノワイヤ材料層に圧力を印加することができる。いくつかの実施形態では、印加圧力は、約50psiと約3400psiとの間、好ましくは約100psiと約1000psiとの間、約200psiと約800psiとの間、または約300psiと約500psiとの間であり得る。いくつかの実施形態では、後処理の加熱および加圧ステップは、金属ナノワイヤ上で同時に実行することができる。例えば、約10psi~約500psi(または好ましくは約40psi~約100psiの圧力)の圧力が、ローラを通して印加され得、ローラは、約70℃~約200℃(または好ましくは約100℃~約175℃)に加熱され得、金属ナノワイヤの導電性を高めることができる。いくつかの実施形態において、金属ナノワイヤは、後処理のために還元剤に曝露されてもよい。例えば、銀ナノワイヤを含む金属ナノワイヤは、好ましくは、後処理のために銀還元剤に暴露され得る。いくつかの実施態様において、銀還元剤は、水素化ホウ素ナトリウムなどの水素化ホウ素、ジメチルアミンボランなどのホウ素窒素化合物、又は水素などのガス還元剤を含むことができる。いくつかの実施形態において、露光時間は、約10秒~約30分、好ましくは約1分~約10分であり得る。
【0046】
次に、ステップS30において、基板110に対向する金属ナノワイヤ材料層の全面に、金属ナノワイヤ材料層の全面を覆うように、少なくとも導電性の高い金属を含む金属材料層(例えば銅層)を形成する。すなわち、金属材料層は、可視領域VAおよび周辺領域PAにおいて、金属ナノワイヤ材料層を覆う。いくつかの実施形態において、金属材料層は、例えば、スパッタリングによって、金属ナノワイヤ材料層の表面上に形成され得る。ステップS30が実行された後、基板110、金属ナノワイヤ材料層、および金属材料層が下から上に順に積層された積層構造を形成することができる。
【0047】
続いて、ステップS40では、第1の所定パターンに従って第1のパターニング工程を行い、周辺領域PAに対応する金属材料層の部分と可視領域VAに対応する金属材料層の部分とをそれぞれパターンで画定し、一体に形成された金属層130を形成する。具体的には、周辺領域PAに対応する金属材料層の部分をパターニングして周辺回路Tの一部を形成し、可視領域VAに対応する金属材料層の部分をパターニングして周辺回路Tから延出する延在部132を形成することができる。すなわち、第1のパターニング工程は、周辺領域PAに金属層130の一部を形成し、可視領域VAに金属層130の他の部分(すなわち、延在部132)を形成する工程であり、延在部132は、周辺領域PAに対応する金属層130の部分から可視領域VAに延出し、周辺領域PAに対応する金属層130の部分と金属層130の延在部132との間に実質的な界面が存在しない。いくつかの実施態様において、周辺領域PAに対応する金属材料層の部分及び可視領域VAに対応する金属材料層の部分は、同じ工程でパターン化される。すなわち、周辺領域PAに対応する金属層130の部分と、可視領域VAに対応する延在部132とを同じ工程で形成することができる。いくつかの実施態様において、金属材料層は、エッチングによってパターン化することができ、エッチング液は、金属ナノワイヤ材料層を損傷することなく金属材料層をエッチングする能力を有するように選択することができる。すなわち、選択されたエッチング溶液は、金属材料層および金属ナノワイヤ材料層に対して高いエッチング選択性を有し、金属材料層の下の金属ナノワイヤ材料層の除去を防止することができる。詳細には、金属材料層が銅層である場合、エッチング溶液の主成分は、例えば、酢酸アンモニウムであってもよく、その下の金属ナノワイヤ材料層に影響を与えることなく、金属材料層を別個にエッチングする。ステップS40が実行された後、金属層130を形成することができ、金属層130の下の金属ナノワイヤ材料層は、その全体が基板110上に依然として存在する。
【0048】
次に、ステップS50では、第2の所定パターンに従って第2のパターニング工程を行い、可視領域VAに対応する金属ナノワイヤ材料層の部分と周辺領域PAに対応する金属ナノワイヤ材料層の部分とをそれぞれパターンで画定して、可視領域VAと周辺領域PAにそれぞれ対応する金属ナノワイヤ材料層120の第1の部分120aと第2の部分120bを形成し、第2の所定パターンを第1の所定パターンに対応するように設計する。いくつかの実施形態では、可視領域VAに対応する金属ナノワイヤ材料層の一部をパターン化して、接触感知電極TEを形成することができる。すなわち、金属ナノワイヤ材料層120の第1の部分120aは、接触感知電極TEを構成することができる。いくつかの実施形態では、接触感知電極TEは、例えば、並列に配置され、接続される複数の電極線Lによって形成することができる。また、接触感知電極TEの電極線Lを用いて、金属層130の延在部132を支持することもできる。すなわち、延在部132の直下の金属ナノワイヤ材料層は除去されず、第2の方向D2に沿った電極線Lの幅W1は、第2の方向D2に沿った延在部132の幅W2よりも大きくパターニングされ、延在部132が電極線Lと安定して重なり接触し、安定した電気的コンタクトを形成することができる。いくつかの実施形態では、第2の所定のパターンは、第1の所定のパターンに対応するので、可視領域VAに対応する金属ナノワイヤ材料層の部分のパターニングは、金属層130の延在部132の位置に対応して行われる。例えば、可視領域VAに対応する金属ナノワイヤ材料層の部分をパターニングして、複数の電極線Lからなる接触感知電極TEを形成し、第1の方向D1に沿った各電極線Lの位置は、第1の方向D1に沿った各延在部132の位置に対応する。他のいくつかの実施形態では、図3のタッチセンサ300が、金属ナノワイヤ材料層320をパターン化するための一例として取られる場合、第2の所定のパターンは、第1の所定のパターンと一致するようにさらに設計され得るので、可視領域VAに対応する金属ナノワイヤ材料層の部分のパターン化は、金属層130の延在部132の延出パターンと一致するように行われる。例えば、金属ナノワイヤ材料層の可視領域VAに対応する部分をパターニングして、複数の電極線Lで構成される接触感知電極TEを形成することができ、各電極線Lの輪郭を、それと重なる延在部132の輪郭と同一にすることができる。これにより、電極線Lと延在部132との位置合わせを良好かつ効率的に行うことができ、パターニングの利便性を向上させることができる。
【0049】
一部の実施形態では、周辺領域PAに対応する金属ナノワイヤ材料層の部分をパターン化して、周辺回路Tの一部を形成することができる。すなわち、金属ナノワイヤ材料層120の第2の部分120bは、周辺回路Tの一部を形成することができる。詳細には、周辺領域PAに対応する金属ナノワイヤ材料層の部分は、周辺領域PAに対応する金属層130の部分と完全に重なるようにパターン化することができる。すなわち、金属ナノワイヤ材料層120の第2の部分120bのパターンは、周辺領域PAに対応する金属層130の部分のパターンと同一であってもよく、金属ナノワイヤ材料層120の第2の部分120bおよび周辺領域PAに対応する金属層130の部分は、共に周辺回路Tを形成する。一部の実施形態では、金属ナノワイヤ材料層120の第2の部分120bと、周辺領域PAに対応する金属層130の部分とは、同じ回路パターンを有するので、周辺領域PAに対応する金属層130の部分は、金属ナノワイヤ材料層120の第2の部分120bをパターニングする工程中に、金属ナノワイヤ材料層120の第2の部分120bのパターンを画定するためのマスクとして機能することができ、その結果、いくつかの面倒なマスク位置合わせステップが省略される。いくつかの実施形態では、第1の所定のパターンと第2の所定のパターンとは、金属ナノワイヤ材料層120の第2の部分120bと金属層130とによる周辺回路Tの形成を実現するために、周辺領域PAにおいて同じパターンを有するように設計することもできる。いくつかの実施形態において、周辺領域PAに対応する金属ナノワイヤ材料層の部分、および可視領域VAに対応する金属ナノワイヤ材料層の部分は、同じプロセスにおいてパターン化することができる。すなわち、金属ナノワイヤ材料層120の第1の部分120aおよび第2の部分120bは、同じ工程で形成することができる。一部の実施形態では、金属ナノワイヤ材料層のパターニングは、エッチングによって行うことができ、エッチング液は、金属層130を損傷することなく金属ナノワイヤ材料層をエッチングする能力を有するように選択することができる。すなわち、選択されたエッチング溶液は、形成された金属層130への損傷を防止するために、金属ナノワイヤ材料層および金属層130に対して高いエッチング選択性を有することができる。より詳細には、金属ナノワイヤ材料層中の金属ナノワイヤが銀ナノワイヤであり、金属層130の材料が銅である場合、エッチング溶液の主な成分は、形成された金属層130を損傷することなく同じプロセスで銀材料を除去するために、HPO(エッチング液中のHPOの体積比が約55%~約70%である)およびHNO(エッチング液中のHNOの体積比が約5%~約15%である)であり得る。他の実施形態では、エッチング液の主成分は、塩化第二鉄/硝酸またはリン酸/過酸化水素であってもよい。
【0050】
以上の工程の後、図1Aに示すタッチセンサ100を形成することができる。一般に、タッチセンサ100において、周辺領域PAに対応する金属層130は、可視領域VA内に延在する少なくとも1つの延在部132を有し、延在部132は、可視領域VAに対応する金属ナノワイヤ材料層120とオーバーラップして接触する。
【0051】
本開示の前述の実施形態によれば、本開示のタッチセンサは、周辺領域に位置する金属層を有し、金属層は、可視領域内に延在する少なくとも1つの延在部を有し、延在部は、可視領域内に位置する金属ナノワイヤ材料層とオーバーラップして接触するので、金属層と金属ナノワイヤ材料層との間の接触面積を効果的に増加させることができ、これは、金属層と金属ナノワイヤ材料層との間の電気的接触安定性を改善するだけでなく、タッチセンサの表面抵抗を効果的に減少させてタッチセンサの導電性を改善し、タッチセンサの抵抗容量性負荷(RC荷重)を低減する。また、タッチセンサの製造方法において、全面の可視領域及び周辺領域に対して、金属ナノワイヤ材料層全体及び金属材料層全体をパターニングするような単一の工程を行うことができる。これにより、周辺領域には金属層と金属ナノワイヤ材料層とが積層された周辺回路が形成され、可視領域には金属ナノワイヤ材料層が補助する金属層付きタッチ検出電極が形成される。このように、従来の構造設計では、1層の金属層で周辺部のタッチセンシング電極と位置合わせする必要があったが、これを省略することができ、重ね合わせ処理時に生じる位置合わせ誤差を完全に回避することができ、狭ベゼル製品の設計要件を満たすことができる。
【0052】
本開示は、その特定の実施形態を参照してかなり詳細に説明したが、他の実施形態も可能である。したがって、添付の特許請求の範囲の精神および範囲は、本明細書に含まれる実施形態の説明に限定されるべきではない。
【0053】
本開示の範囲または精神から逸脱することなく、本開示の構造に対して様々な修正および変形を行うことができることは、当業者には明らかであろう。上記に鑑みて、本開示は、以下の特許請求の範囲の範囲内にある限り、本開示の修正および変形を含むことが意図される。
【符号の説明】
【0054】
100、200、300、400、500 タッチセンサ
110、210、310、410、510 基板
120、220、320、420、520 金属ナノワイヤ材料層
120a 第1の部分
120b 第2の部分
130、230、330、430、530 金属層
132、232、332、432、532 延在部
TE 接触感知電極
T 周辺回路
PA 周辺領域
VA 可視領域
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
図6