(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022117417
(43)【公開日】2022-08-10
(54)【発明の名称】セルベースのモビリティ生産システムの運営方法
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20220803BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20220803BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021171979
(22)【出願日】2021-10-20
(31)【優先権主張番号】10-2021-0013528
(32)【優先日】2021-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞株式会社
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】延 碩 宰
(72)【発明者】
【氏名】金 善 訓
【テーマコード(参考)】
3C100
5L049
【Fターム(参考)】
3C100AA05
3C100AA16
3C100AA42
3C100AA43
3C100BB02
3C100BB03
3C100BB12
3C100BB13
3C100CC02
3C100EE01
5L049CC03
(57)【要約】
【課題】多様な種類のモビリティを生産するスマートファクトリーシステムを運営する上で、ボトルネックを減少させ、最大の効率性を達成することができ、一つのシステムで多様な車種を生産することができ、車種や生産目標が変更されてもセルの配置と生産計画の迅速で正確な変更が可能なセルベースのモビリティ生産システムの運営方法を提供する。
【解決手段】本発明は、多様な種類のモビリティを生産するシステムをコントローラーで運営する方法であって、モビリティの目標生産量とセル間の稼働率偏差を考慮して、それぞれのセルごとに必要な作業を配置する段階、セルごとに配置された作業を考慮して、モビリティの種類別にマッチングされた車体がそれぞれ経なければならないセルの順序を設定する段階;及び車体別に経なければならないセルの順序を考慮して、車体の種類別投入順序を決定する段階を含むことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列または並列に連結された複数のセルを通じて多様な種類のモビリティを生産するシステムをコントローラーで運営する方法であって、
モビリティの目標生産量とセル間の稼働率偏差を考慮して、それぞれのセルごとに必要な作業を配置する段階、
セルごとに配置された作業を考慮して、モビリティの種類別にマッチングされた車体がそれぞれ経なければならないセルの順序を設定する段階、及び
車体別に経なければならないセルの順序を考慮して、車体の種類別投入順序を決定する段階を含むことを特徴とするセルベースのモビリティ生産システムの運営方法。
【請求項2】
前記セルごとに必要な作業を配置する段階では、モビリティの目標生産量が必要生産量を満足して、セル間の稼働率偏差が最小化されるように、それぞれのセルごとに必要な作業を配置することを特徴とする請求項1に記載のセルベースのモビリティ生産システムの運営方法。
【請求項3】
前記セルごとに必要な作業を配置する段階では、それぞれのセルごとに作業が配置された予想編成を複数個生成し、複数の予想編成の中でモビリティの目標生産量が必要生産量を満足して、セル間の稼働率偏差が最小化される予想編成を最適編成で選定することを特徴とする請求項1に記載のセルベースのモビリティ生産システムの運営方法。
【請求項4】
前記セルごとに必要な作業を配置する段階では、作業別先後関係を考慮して、セルごとに必要な作業を配置することを特徴とする請求項1に記載のセルベースのモビリティ生産システムの運営方法。
【請求項5】
前記セルごとに必要な作業を配置する段階では、同時に行われるべき作業を考慮して、セルごとに必要な作業を配置することを特徴とする請求項1に記載のセルベースのモビリティ生産システムの運営方法。
【請求項6】
前記セルごとに必要な作業を配置する段階では、セル別に可能な作業と不可能な作業を考慮して、セルごとに必要な作業を配置することを特徴とする請求項1の記載のセルベースのモビリティ生産システムの運営方法。
【請求項7】
前記セルの順序を設定する段階では、セルごとに車体別に作業すべき台数を決定し、車体別にセル間を移動する台数を決定して車体がそれぞれ経なければならないセルの順序を設定することを特徴とする請求項1に記載のセルベースのモビリティ生産システムの運営方法。
【請求項8】
前記セルの順序を設定する段階では、モビリティの種類別に必要生産量を満足し、車体のセル間の移動距離が最小化されるように車体がそれぞれ経なければならないセルの順序を設定することを特徴とする請求項1に記載のセルベースのモビリティ生産システムの運営方法。
【請求項9】
前記セルの順序を設定する段階では、各セルの最大作業時間、各セルで可能な作業の種類、及び作業の先後関係を考慮して、車体がそれぞれ経なければならないセルの順序を設定することを特徴とする請求項1に記載のセルベースのモビリティ生産システムの運営方法。
【請求項10】
前記車体の種類別投入順序を決定する段階では、前記車体の投入順序を互いに異にする複数の予想スケジュールを設定して、予想スケジュールの中で総作業時間が最も短い予想スケジュールを最適スケジュールに選定することを特徴とする請求項1に記載のセルベースのモビリティ生産システムの運営方法。
【請求項11】
前記車体の種類別投入順序を決定する段階では、前記車体の投入順序を互いに異にする複数の予想スケジュールを設定して、予想スケジュールの中で投入される車体間の待機時間が最も短い予想スケジュールを最適スケジュールに選定することを特徴とする請求項1に記載のセルベースのモビリティ生産システムの運営方法。
【請求項12】
前記車体の種類別投入順序を決定する段階では、車体別移動時間と作業時間、各セルで可能な作業の種類、及び作業の先後関係を考慮して、前記車体の種類別投入順序を決定することを特徴とする請求項1に記載のセルベースのモビリティ生産システムの運営方法。
【請求項13】
前記車体の種類別投入順序を決定する段階以後には、投入順序に従って前記車体を投入する場合、稼働率が過度なセルを検出し、検出されたセルの稼働率が低くなるようにフィードバックして、セルごとに必要な作業を配置する段階から再実行する段階をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のセルベースのモビリティ生産システムの運営方法。
【請求項14】
前記セルごとに必要な作業を配置する段階から再実行する段階では、稼働率が100%であるセルの場合、稼働率が過度なものと判断することを特徴とする請求項13に記載のセルベースのモビリティ生産システムの運営方法。
【請求項15】
前記セルごとに必要な作業を配置する段階から再実行する段階では、稼働率が過度なセルの場合、最大稼働率を制限した後、セルごとに必要な作業を配置する段階から再実行することを特徴とする請求項13に記載のセルベースのモビリティ生産システムの運営方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルベースのモビリティ生産システムの運営方法に関し、より詳しくは、直列又は並列に連結された複数のセルを通じて多様な種類のモビリティを生産するスマートファクトリーシステムを運営する上で、ボトルネックを減少させ、最大の効率性を達成することができ、一つのシステムで多様な車種を生産することができ、車種や生産目標が変更されてもセルの配置と生産計画の迅速で正確な変更が可能なセルベースのモビリティ生産システムの運営方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、将来対応のための車両生産方式に関するものである。従来はコンベアを中心に一貫した少品種大量生産方式を維持してきたが、今後の未来社会は電気自動車を中心に産業の変化が進んでおり、多様性が強調される顧客のニーズに対応するために、顧客中心の製造方法の変化が必要になると予想される。従来の場合、一貫したシーケンスによって車両が投入され、完成車が出るまで一貫したシーケンスで生産が行われる。すべての工程の作業時間は同じであり、作業時間を超える部品がある車両は、投入されにくかったり生産量の制約が発生したりする。つまり、一貫した小品種に対する大量生産ならではの生産構造を維持しながら車両生産をしなければならない状況で、未来社会の多様な顧客ニーズへの対応に困難があると判断される。
【0003】
したがって、このような伝統的な車両の生産方式から脱して多品種の車両を一地点で簡単かつ迅速に生産できる製造方法の革新が必要である。このような製造方法としては、セルベースのスマートファクトリーが挙げられる。スマートファクトリーは、セルベースでラインが構築され、それぞれのセルでは独自の作業を実行し、これらのセルが多様に工場内で配置され、投入される車体がどのようなセルを経るようにするか、そのスケジュールを簡単に変更することができる。しかし、これらのセルベースの工程も、全体的なスケジュールをうまく確立しなければ、最大限にボトルネックなく効率性を向上させることができないので、これを事前に迅速かつ正確にシミュレーションして、スケジュールを確立できる方法が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2019-0049107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、本発明の目的は、直列又は並列に連結された複数のセルを通じて多様な種類のモビリティを生産するスマートファクトリーシステムを運営する上で、ボトルネックを減少させ、最大の効率性を達成することができ、一つのシステムで多様な車種を生産することができ、車種や生産目標が変更されてもセルの配置と生産計画の迅速で正確な変更が可能なセルベースのモビリティ生産システムの運営方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるセルベースのモビリティ生産システムの運営方法は、直列または並列に連結された複数のセルを通じて多様な種類のモビリティを生産するシステムをコントローラーで運営する方法であって、モビリティの目標生産量とセル間の稼働率偏差を考慮して、それぞれのセルごとに必要な作業を配置する段階、セルごとに配置された作業を考慮して、モビリティの種類別にマッチングされた車体がそれぞれ経なければならないセルの順序を設定する段階;及び車体別に経なければならないセルの順序を考慮して、車体の種類別投入順序を決定する段階を含むことを特徴とする。
【0007】
前記セルごとに必要な作業を配置する段階では、モビリティの目標生産量が必要生産量を満足して、セル間の稼働率偏差が最小化されるように、それぞれのセルごとに必要な作業を配置することを特徴とする。
前記セルごとに必要な作業を配置する段階では、それぞれのセルごとに作業が配置された予想編成を複数個生成し、複数の予想編成の中でモビリティの目標生産量が必要生産量を満足して、セル間の稼働率偏差が最小化される予想編成を最適編成で選定することを特徴とする。
【0008】
前記セルごとに必要な作業を配置する段階では、作業別先後関係を考慮して、セルごとに必要な作業を配置することを特徴とする。
前記セルごとに必要な作業を配置する段階では、同時に行われるべき作業を考慮して、セルごとに必要な作業を配置することを特徴とする。
前記セルごとに必要な作業を配置する段階では、セル別に可能な作業と不可能な作業を考慮して、セルごとに必要な作業を配置することを特徴とする。
【0009】
前記セルの順序を設定する段階では、セルごとに車体別に作業しなければならない台数を決定し、車体別にセル間を移動する台数を決定して、車体がそれぞれ経なければならないセルの順序を設定することを特徴とする。
前記セルの順序を設定する段階では、モビリティの種類別に必要生産量を満足して車体のセル間の移動距離が最小化されるように車体がそれぞれ経なければならないセルの順序を設定することを特徴とする。
前記セルの順序を設定する段階では、各セルの最大作業時間、各セルで可能な作業の種類及び作業の先後関係を考慮して、車体がそれぞれ経なければならないセルの順序を設定することを特徴とする。
【0010】
前記車体の種類別投入順序を決定する段階では、車体の投入順序を互いに異にする複数の予想スケジュールを設定して、予想スケジュールの中で作業時間が最も短い予想スケジュールを最適スケジュールに選定することを特徴とする。
前記車体の種類別投入順序を決定する段階では、車体の投入順序を互いに異にする複数の予想スケジュールを設定して、予想スケジュールの中で投入される車体間の待機時間が最も短い予想スケジュールを最適スケジュールに選定することを特徴とする。
【0011】
前記車体の種類別投入順序を決定する段階では、車体別の移動時間と作業時間、各セルで可能な作業の種類、及び作業の先後関係を考慮して、車体の種類別投入順序を決定することを特徴とする。
【0012】
前記車体の種類別投入順序を決定する段階以後には、投入順序に従って車体を投入する場合、稼働率が過度なセルを検出し、検出されたセルの稼働率が低くなるようにフィードバックして、セルごとに必要な作業を配置する段階から再実行する段階をさらに含むことを特徴とする。
【0013】
前記セルごとに必要な作業を配置する段階から再実行する段階では、稼働率が100%であるセルの場合、稼働率が過度なものと判断することを特徴とする。
前記セルごとに必要な作業を配置する段階から再実行する段階では、稼働率が過度なセルの場合、最大稼働率を制限した後、セルごとに必要な作業を配置する段階から再実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明のセルベースのモビリティ生産システムの運営方法によると、直列又は並列に連結された複数のセルを通じて多様な種類のモビリティを生産するスマートファクトリーシステムを運営する上で、ボトルネックを減少させ、最大の効率性を達成することができ、一つのシステムで多様な車種を生産することができ、車種や生産目標が変更されてもセルの配置と生産計画の迅速で正確な変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明によるセルベースのモビリティ生産システムの運営方法が適用される生産システムを示す図面である。
【
図2】本発明によるセルベースのモビリティ生産システムの運営方法の流れ図である。
【
図3】本発明によるセルベースのモビリティ生産システムの手動セルを示す図面である。
【
図4】本発明によるセルベースのモビリティ生産システムの自動セルを示す図面である。
【
図5】本発明によるセルベースのモビリティ生産システムの運営方法が適用された結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明のセルベースのモビリティ生産システムの運営方法が適用される生産システムを示す図面であり、
図2は、セルベースのモビリティ生産システムの運営方法の流れ図であり、
図3は、セルベースのモビリティ生産システムの手動セルを示す図面であり、
図4は、セルベースのモビリティ生産システムの自動セルを示す図面である。
図1は、従来のコンベア方式ではなく、セルベースのスマートファクトリー生産システムの構成を示す。本発明は、このようなセルベースのモビリティ生産システムを運営するための方法に関するものである。本発明の目的は、未来社会の多様性に対応するために考案され、従来技術(Conveyor生産方式)で持っている一貫して硬直した生産方式では対応しにくい構造に対して克服することができる新たな生産方式に関するものである。
【0017】
従来技術では、(1)シーケンス(Sequence)に合わせた生産車両の投入以後、最適効率の生産ラインの作業再配置、(2)作業者間の作業能力の差を考慮した作業再配置、(3)車種に応じたライン間の作業量差の再配置、(4)顧客カスタマイズ(Customizing)注文車両対応のための作業量差の再配置、(5)ボトルネック(Bottle Neck)工程の再分配を通じたシャットダウン工事なしの生産量の増大などをすることができない構造であった。すなわち、従来の場合、様々なニーズの変化に対応するためには、ライン全体の再工事が不可欠であったが、本発明が適用されるセルベースのシステムでは、セルの移動が容易であり、セル間の作業分配、車体の投入及び流れの変化などが迅速かつ簡単にできるため、モビリティの種類とニーズが多様化する場合、非常に効果的に対応できるのである。しかし、これらのセルベースの場合、コンベア方式ではないので、中間にボトルネックが発生した場合、生産性が低下する恐れがある。本発明は、このような生産性の低下を防止するため、生産結果をシミュレートし、最適な生産計画を確立してシステムに適用することで、車種の多様性を確保するとともに、生産性の最大化を図るためのものである。
【0018】
本発明は、従来の非効率な部分に対する再分配を通じて、生産ラインが持つ財貨(Resource)を最適化し、最大生産効率を達成できるシステムの運営に関するものである。本発明は、生産ラインの最大効率を達成するために、リアルタイムで部品別の作業完了シグナル(Signal)によって工程別/作業者別のリアルタイムの作業時間データ(Data)が蓄積され、このデータをベースに最適化アルゴリズムを通じて最適の効率的な作業編成をリアルタイムで変更するシステムのためのものである。このため、車両/物流移送装置(AMR)、Cell(手動/自動)工程、ICT制御技術をベースに、数学的最適化アルゴリズムによって最大生産効率を達成することが可能になる。
このような本発明を活用することで、1)最大の生産効率の増大、2)作業者の能力に応じた給与反映(動機付与)、3)作業量が多い車両投入時、生産遅延防止、4)一部のボトルネック(Bottle Neck)工程の作業再配置を通じた生産量の増大などを追求することができる。また、生産ラインが息づいている感じの運営が可能で、効率性/柔軟性が生産の多様性の向上に大きく効果があることになる。
【0019】
一方、本発明で言及するセル(Cell)工程とは、移動可能な独立した作業空間(Cell)を言うものであり、手動セル(作業者工程、
図3)と自動セル(Robot工程、
図4)で構成することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係るセルベースのモビリティ生産システムの運営方法が適用される生産システムを示す図面である。本発明が適用される生産システムの場合、図示のように、複数のセルで構成される。そして、それぞれのセルは、直列にも配置され、並列にも配置されてモビリティ生産の柔軟性と効率性の両方を追求することができる。
【0020】
それぞれのセルで行われる作業の例は以下の通りである。
【表1】
【0021】
上表のようにTE1~TE5の場合は、直列に連絡することができ、トリムを組み立てるラインで構成することができる。PM~AMの場合は、シャーシラインとして、直列連絡することができる。T/Fコンバーチブルの場合は、トリムとファイナル工程の両方を実行するものであり、1~6のセルで構成されて並列に連結される。そしてFE1~FE6は、ファイナルラインとして、仕上げの設置作業を実行することができる。このように、本発明が適用される生産システムは、基本的な組み立ての順序とセルの配置を備えている。このような状態で、生産の効率性を高めるためにボトルネックを解消しなければならない場合と、生産目標量が変更される場合と、特定車種に対する生産量の増大が必要な場合など、生産の結果が変わるか、又は改善されなければならない場合、具体的なセルの運営、セルの配置、投入される車体の順序乃至数量などの全体的な作業のプロセスが変更されなければならない。本発明は、このような場合、事前のシミュレーションを通じて最適の生産プロセスを確立し、これをすぐにシステムに適用して生産するようにすることで、最も効率的にシステムを運用することができるようにした。
【0022】
具体的に、
図2は本発明の一実施形態に係るセルベースのモビリティ生産システムの運営方法の流れ図であり、本発明に係るセルベースのモビリティ生産システムの運営方法は、直列または並列に連結された複数のセルを通じて多様な種類のモビリティを生産するシステムをコントローラーで運営する方法であって、モビリティの目標生産量とセル間の稼働率偏差を考慮して、それぞれのセルごとに必要な作業を配置する段階(S100)、セルごとに配置された作業を考慮して、モビリティの種類別にマッチングされた車体がそれぞれ経なければならないセルの順序を設定する段階(S200)、及び車体別に経なければならないセルの順序を考慮して、車体の種類別投入順序を決定する段階(S300)、を含む。セルベースのシステムは、多様な車種を一つのラインで生産することができるという利点がある反面、作業者間の能力の差が大きい場合と、車種間の作業量の差が大きい場合と、車種の多様性が非常に大きい場合と、ボトルネックが発生する場合などには、全体生産性の低下が発生することがある。
【0023】
したがって、最初生産が開始する時、または車種や生産量の目標を変更したりボトルネック過多などの問題が発生したりする場合、
図2の順序に従って、全体のプロセスをシミュレートして評価かつ修正することで、修正されるべき生産プロセスを確立し、これをシステムに適用することにより、変わる運営計画に応じてシステムでモビリティの生産が行われるようにする。このため、モビリティの生産システムのコントローラーでは、多様なデータを収集して運用計画を更新し、それに応じてシステムの生産を制御するようにする。本発明の例示的な実施形態に係るコントローラーは、システムの多様な構成要素の動作を制御するように構成されたアルゴリズム又は前記アルゴリズムを再生するためのソフトウェアコマンドに関するデータを保存するように構成された不揮発性メモリ(図示せず)及び当該メモリに保存されたデータを使用して以下に説明される動作を実行するように構成されたプロセッサ(図示せず)を通じて具現することができる。ここで、メモリ及びプロセッサは、個々のチップに具現することができる。対案としては、メモリ及びプロセッサは、互いに統合された単一のチップに具現されることができ、プロセッサは、一つ以上のプロセッサの形を取ることもできる。
【0024】
コントローラーは、多様なデータの収集が必要である。データは、これまで行われた各セルでの作業データとすることができる。そして、これからの生産が必要な目標データにできる。まず、モビリティの目標生産量とセル間の稼働率偏差を考慮して、それぞれのセルごとに必要な作業を配置する段階を実行する。本発明のシステムには、複数のセルが備えられているが、それぞれのセルごとに実行することができる多様な作業の種類が定義される。運営計画を確立するためには、これらのセルごとに実行する作業の種類を決定することが必要である。そして、これを選定する基準は、目標生産量とセル間の稼働率偏差を最小化することにある。これらの作業配置のために最適化過程を経ることができる。最適化では、生産効率の観点から全体セルの実際作業時間データを分析し、すべてのセルの作業時間が平準化するように編成を最適化して、まるでコンベアのような効果を得るようにする。具体的には、全体セルの実際作業時間データに対して作業完了時間が多くかかるセル工程の場合、他のセルへの移動可能作業を選定して、作業完了時間が少ないセル工程に作業変更することで、全体セル工程の作業時間が最大限に類似するように再編成することである。
【0025】
そして、ボトルネック(Bottle Neck)工程の自動化工程の編成変更を通じて最大生産量が増大するように編成を最適化することが可能である。この場合、自動化工程の一部の部品について、手動工程に編成変更を通じて生産量増大が可能である。このような過程を通じて編成が変更された場合、作業情報/物流情報が自動的に変更されるよう連携される。下表は、TE1の工程で実行される作業のうち、他のセルへの移動編成が可能な作業とそうでない作業を示す例に該当する。
【0026】
【表2】
TE1受動工程作業編成
セルごとに必要な作業を配置する段階(S100)では、最適化アルゴリズムを活用する。この場合、様々な生産シナリオをもとにセル別稼働率が平準化されるように、工程別作業編成を行い、数理最適化モデリングを通じてすべての場合の数に対して早い時間内に最適解を導出する。これらのモデリングの決定変数では、特定作業をどの工程に配置するかどうかになり、目的関数では、各需要シナリオ別セル別稼働率平準化になり、制約条件では、作業別配置可能工程、作業別先後関係、同時必要作業、各需要シナリオ別の目標生産量満足などにできる。
【0027】
すなわち、セルごとに必要な作業を配置する段階(S100)では、モビリティの目標生産量が必要生産量を満足して、セル間の稼働率偏差が最小化されるように、それぞれのセルごとに必要な作業を配置することができる。また、作業別先後関係を考慮して、セルごとに必要な作業を配置することができ、同時に行われるべき作業を考慮して、セルごとに必要な作業を配置することができ、セルごとに可能な作業と不可能な作業を考慮して、セルごとに必要な作業を配置することができる。具体的には、それぞれのセルごとに作業が配置された予想編成を複数個生成し、複数の予想編成の中でモビリティの目標生産量が必要生産量を満足して、セル間の稼働率偏差が最小化される予想編成を最適編成に選定することができる。下表のように、それぞれの作業が必要とされる時間と作業が可能なセルのリスト及びその作業以前に行われるべき先行作業のデータが必要である。
【0028】
【表3】
[作業情報]
そして、セル配置に対しては前述した表1のセル配置を活用することができる。これらのデータを最適化モデリングに代入して、以下のような需要シナリオ別の作業編成を導出する。
【0029】
【表4】
[最適編成導出]-数理最適解を利用してすべての場合の数の探索
目的関数:生産量(稼働率偏差)
上記のように、需要シナリオ1、2、3に対して、それぞれの編成によって導出される生産量と稼働率偏差をシミュレートして導出する。その結果、1番の編成の場合、シナリオ2に対して生産量が不足することで脱落し、2番の編成の場合は、すべてのシナリオに対して生産量も満足し、セル間の稼働率偏差も最も少ないので、最適な編成として選択されることがわかる。その後、セルごとに配置された作業を考慮して、モビリティの種類別にマッチングされた車体がそれぞれ経なければならないセルの順序を設定する段階(S200)を実行する。この場合は、セルごとに車体別に作業する台数を決定し、車体別にセル間に移動する台数を決定して、車体がそれぞれ経なければならないセルの順序を設定することができる。そしてモビリティの種類別に必要生産量を満足して車体のセル間の移動距離が最小化されるように、車体がそれぞれ経なければならないセルの順序を設定することができ、各セルの最大作業時間、各セルで可能な作業の種類及び作業の先後関係を考慮して、車体がそれぞれ経なければならないセルの順序を設定することができる。
【0030】
このため、モデリングを活用し、目標生産量を達成するために最適な生産計画を導出して、数理最適化モデリングを通じて早い時間内に最適解導出を行う。モデリングの決定変数は、車種別工程別セル別の作業台数、車種別工程別セル間の移動台数であり、目的関数は、需要満足の最大化と移動距離の最小である。制約条件は、セル別最大作業時間、セル別作業可能工程、工程別の順序になる。その結果、
図1の工程において、合計136台の組立が必要な場合、直列ラインでは、すべて136台が割り当てられ、並列ラインであるT/F CONVERTIBLEラインでは、1、2、3の工程が70台を担当し、4、5、6の工程が66台を担当するようにすることが可能である。それによって、下記のように車体別に経なければならないセルのルートを計画することができる。
【0031】
【表5】
その後、車体別に経なければならないセルの順序を考慮して、車体の種類別投入順序を決定する段階(S300)を実行する。この場合は、車体の投入順序を互いに異にする複数の予想スケジュールを設定して、予想スケジュールの中で総作業時間が最も短い予想スケジュールを最適スケジュールに選定することができる。そして、車体の投入順序を互いに異にする複数の予想スケジュールを設定して、予想スケジュールの中で投入される車体間の待機時間が最も短い予想スケジュールを最適スケジュールに選定することができる。また、車体別移動時間と作業時間、各セルで可能な作業の種類及び作業の先後関係を考慮して、車体の種類別投入順序を決定することができる。この段階では、生産計画をもとに最適投入順序及び投入時間導出をすることであり、数理最適化モデリングを通じて早い時間内に最適解導出が可能である。モデリングの決定変数には、車体別投入順序及び投入時間になることがあり、目的関数は、車体別待機時間の最小化とすべての車体作業の完了時間の最小になることがある。制約条件としては、車体別の移動時間、作業時間などのスケジュール満足、セル同時作業の禁止、AMRの使用時間の制約などがある。それによって、下記のような予想スケジュールが導出され、その中で最適スケジュールが決定することができる。
【0032】
【表6】
[最適スケジュールの導出]
上表のように、1番~7番までの予想スケジュールの中で、6番スケジュールの場合は、全体の完了時間が短く、工程間の待機時間も短いので、最適スケジュールに選定されることになる。そして、その後の投入順序に従って車体を投入する場合、稼働率が過度なセルを検出し、検出されたセルの稼働率が低くなるようにフィードバックして、セルごとに、必要な作業を配置する段階から再実行する段階(S400)を行う。すなわち、シミュレーションとは異なり、実際の車体の投入及び組立過程で予測できないボトルネックが発生することがあり、この場合、ボトルネックが発生する該当セルの稼働率を下げてフィードバックして、再びスケジュールを確立する過程を経ることができる。(S500)。
【0033】
この場合、稼働率が100%であるセルの場合、稼働率が過度であると判断することができる。そして、稼働率が過度なセルの場合、最大稼働率を制限した後、セルごとに必要な作業を配置する段階から再実行することができる。たとえば、以下の場合、2番セルの稼働率が100%であり、2番セルは、ボトルネックが発生すると見られる。したがって、これをフィードバックして再び工程を確立する。
【0034】
【表7】
この場合、2番セルは最大稼働率を95%に制限し、再び作業編成最適化から行うようにすることで、2番セルが実際の工程時にボトルネックが発生する可能性を基本的に遮断する。したがって、ボトルネック区間をリアルタイムで解消するようにすることで、組立が行われる間、最大限の生産性を維持できるようにするものである(S600)。
【0035】
図5は、本発明の一実施形態に係るセルベースのモビリティ生産システムの運営方法が適用された結果を示すグラフであって、3日目で生産低下が発生し、これを修正する生産計画を本発明により確立または修正適用することで、4日目で生産が回復することが見られる。また、11日目のように目標生産量が急に増大した場合でも、修正する生産計画を、本発明により確立または修正適用することで、11次にすぐに生産量の増大が可能となることがわかる。本発明のセルベースのモビリティ生産システムの運営方法によると、直列又は並列に連結された複数のセルを通じて多様な種類のモビリティを生産するスマートファクトリーシステムを運営する上で、ボトルネックを減少させ、最大の効率性を達成することができ、一つのシステムで多様な車種を生産することができ、車種や生産目標が変更されても、セルの配置と生産計画の迅速で正確な変更が可能である。
【0036】
以上で本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、多様に改良できることは明らかであろう。