(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022117432
(43)【公開日】2022-08-10
(54)【発明の名称】情報読取装置
(51)【国際特許分類】
G06F 1/16 20060101AFI20220803BHJP
H05K 1/14 20060101ALI20220803BHJP
G06K 7/10 20060101ALI20220803BHJP
【FI】
G06F1/16 313Z
H05K1/14 H
G06K7/10 436
G06F1/16 312G
G06F1/16 312U
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021201192
(22)【出願日】2021-12-10
(31)【優先権主張番号】P 2021013617
(32)【優先日】2021-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 祐
(72)【発明者】
【氏名】加藤 達明
(72)【発明者】
【氏名】近藤 佑樹
【テーマコード(参考)】
5E344
【Fターム(参考)】
5E344AA02
5E344AA19
5E344AA22
5E344BB02
5E344BB10
5E344CC30
5E344CD28
5E344DD08
5E344EE11
5E344EE30
(57)【要約】
【課題】情報読取装置の落下によってサブ基板の表面の摩耗が促進されることを抑制するための技術を提供する。
【解決手段】情報読取装置は、筐体と、情報を読み取るための読取部と、筐体内に横たわっており、読取部を制御するメイン基板と、メイン基板と対面する第1プレートと、筐体の側壁と対面する第2プレートと、を含むサブ基板と、サブ基板を筐体内に支持するブロックと、サブ基板の第1プレートとブロックとを接着する両面テープと、裏面が第2プレートと対面し、正面が側壁から外部に露出しているボタンと、を備え、第1プレートには、メイン基板から延びる一対の端子と接触する一対の接点が形成されており、第2プレートには、一対の接点の一方から延びる第1パターンと、一対の接点の他方から延びる第2パターンと、が形成されており、両面テープの厚みは、一対の接点に対する一対の端子の食い込み量を特定の量以下に定める所定の厚みである。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
情報を読み取るための読取部と、
前記筐体内に横たわっており、前記読取部を制御するメイン基板と、
前記メイン基板と対面する第1プレートと、前記筐体の側壁と対面する第2プレートと、を含むサブ基板と、
前記サブ基板を前記筐体内に支持するブロックと、
前記サブ基板の前記第1プレートと前記ブロックとを接着する両面テープと、
裏面が前記第2プレートと対面し、正面が前記側壁から外部に露出している、情報を読み取る指示を受け付けるためのボタンと、
を備え、
前記第1プレートには、前記メイン基板から延びる一対の端子と接触する一対の接点が形成されており、
前記第2プレートには、前記一対の接点の一方から延びる第1パターンと、前記一対の接点の他方から延びる第2パターンと、が形成されており、
前記ボタンが押され、前記ボタンの前記裏面が前記第2プレートに接触する場合に、前記第1パターンと前記第2パターンが導通し、
前記両面テープの厚みは、前記一対の接点に対する前記一対の端子の食い込み量を特定の量以下に定める所定の厚みである、情報読取装置。
【請求項2】
前記所定の厚みは、前記第1プレートの厚み以下である、請求項1に記載の情報読取装置。
【請求項3】
前記所定の厚みは、0.1ミリメートル以下である、請求項1又は2に記載の情報読取装置。
【請求項4】
前記サブ基板の前記第1プレートは、前記両面テープを含む接着構造によって、前記ブロックに接着されており、
前記接着構造は、さらに、接着部材と、補強板と、を含み、
前記接着部材は、前記第1プレートと前記補強板とを接着し、
前記両面テープは、前記補強板と前記ブロックとを接着し、
前記補強板の硬さは、前記ブロックの硬さよりも高い、請求項1に記載の情報読取装置。
【請求項5】
前記接着部材と前記両面テープの合計厚みが、0.1ミリメートル以下である請求項4に記載の情報読取装置。
【請求項6】
筐体と、
情報を読み取るための読取部と、
前記筐体内に横たわっており、前記読取部を制御するメイン基板と、
前記メイン基板と対面する第1プレートと、前記筐体の側壁と対面する第2プレートと、を含むサブ基板と、
前記サブ基板を前記筐体内に支持するブロックと、
前記サブ基板の前記第1プレートと前記ブロックとを接着する両面テープと、
裏面が前記第2プレートと対面し、正面が前記側壁から外部に露出している、情報を読み取る指示を受け付けるためのボタンと、
を備え、
前記第1プレートには、前記メイン基板から延びる一対の端子と接触する一対の接点が形成されており、
前記第2プレートには、前記一対の接点の一方から延びる第1パターンと、前記一対の接点の他方から延びる第2パターンと、が形成されており、
前記ボタンが押され、前記ボタンの前記裏面が前記第2プレートに接触する場合に、前記第1パターンと前記第2パターンが導通し、
前記接点から見たときに、前記両面テープは、前記接点が配置されている第1領域とは異なる第2領域に配置され、
前記第1領域において、前記第1プレートと前記ブロックとが接触している、情報読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、情報を読み取る情報読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示のモバイル端末は、メイン基板と、ユーザからの指示を受け付けるボタンユニットと、ボタンユニットから入力された信号をメイン基板に伝達するサブ基板と、サブ基板をモバイル端末の筐体に保持するブラケットと、を備える。サブ基板は、メイン基板と対面する接続端子部と、ボタンユニットと対面する入力基板部と、を備える。接続端子部の先端には、メイン基板に弾性加圧された状態で電気的に連結される複数のピンが形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、ピンがメイン基板に弾性加圧されている。このため、モバイル端末が落下すると、ピンがメイン基板に対して摺動し得る。例えば、ピンがメイン基板に食い込む量が大きいと、上記の摺動によりメイン基板の表面の摩耗が促進される可能性がある。
【0005】
例えば、ピンをメイン基板に弾性加圧する弾性力を調整して、上記の食い込み量を低減する方法が考えられる。しかし、この方法では、ピンの長さ、メイン基板の厚み等を調整する必要がある。
【0006】
また、例えば、ピンの断面積を大きくして、上記の食い込み量を低減する方法も考えられる。しかし、この方法でも、ピンの太さを調整する必要がある。
【0007】
また、特許文献1に開示の構成を変形して、ピンがメイン基板に設けられ、当該ピンがサブ基板に弾性加圧されている構成が想定される。この構成でも、上記と同様に、ピンがサブ基板に対して摺動することにより、サブ基板の表面の摩耗が促進される可能性がある。
【0008】
本明細書では、情報読取装置の落下によってサブ基板の表面の摩耗が促進されることを抑制するための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書で開示する情報読取装置は、筐体と、情報を読み取るための読取部と、前記筐体内に横たわっており、前記読取部を制御するメイン基板と、前記メイン基板と対面する第1プレートと、前記筐体の側壁と対面する第2プレートと、を含むサブ基板と、前記サブ基板を前記筐体内に支持するブロックと、前記サブ基板の前記第1プレートと前記ブロックとを接着する両面テープと、裏面が前記第2プレートと対面し、正面が前記側壁から外部に露出している、情報を読み取る指示を受け付けるためのボタンと、を備え、前記第1プレートには、前記メイン基板から延びる一対の端子と接触する一対の接点が形成されており、前記第2プレートには、前記一対の接点の一方から延びる第1パターンと、前記一対の接点の他方から延びる第2パターンと、が形成されており、前記ボタンが押され、前記ボタンの前記裏面が前記第2プレートに接触する場合に、前記第1パターンと前記第2パターンが導通し、前記両面テープの厚みは、前記一対の接点に対する前記一対の端子の食い込み量を特定の量以下に定める所定の厚みである。
【0010】
サブ基板を筐体内に支持する方法として、両面テープを利用して、サブ基板の第1プレートをブロックに接着する方法がある。発明者は、当該方法を採用することとした。当該方法では、端子が第1プレートを押す力によって、両面テープが圧縮される。発明者は、両面テープの厚みが大きいと、両面テープの圧縮量が増え、それに伴い、端子が第1プレートに食い込む量が増え、第1プレートの表面の摩耗が促進されることを発見した。そこで、発明者は、両面テープの厚みを薄くすることを想到した。具体的には、両面テープの厚みを、一対の接点に対する一対の端子の食い込み量を特定の量以下に定める所定の厚みに定めることを想到した。ここで、所定の厚みは、例えば、第1プレートの厚み以下である。また、所定の厚みは、例えば、0.1ミリメートル以下である。これにより、第1プレートの一対の接点の摩耗が促進されることを抑制することができる。
【0011】
本明細書で開示する他の情報読取装置は、筐体と、情報を読み取るための読取部と、前記筐体内に横たわっており、前記読取部を制御するメイン基板と、前記メイン基板と対面する第1プレートと、前記筐体の側壁と対面する第2プレートと、を含むサブ基板と、前記サブ基板を前記筐体内に支持するブロックと、前記サブ基板の前記第1プレートと前記ブロックとを接着する両面テープと、裏面が前記第2プレートと対面し、正面が前記側壁から外部に露出している、情報を読み取る指示を受け付けるためのボタンと、を備え、前記第1プレートには、前記メイン基板から延びる一対の端子と接触する一対の接点が形成されており、前記第2プレートには、前記一対の接点の一方から延びる第1パターンと、前記一対の接点の他方から延びる第2パターンと、が形成されており、前記ボタンが押され、前記ボタンの前記裏面が前記第2プレートに接触する場合に、前記第1パターンと前記第2パターンが導通し、前記接点から見たときに、前記両面テープは、前記接点が配置されている第1領域とは異なる第2領域に配置され、前記第1領域において、前記第1プレートと前記ブロックとが接触している。
【0012】
上記したように、端子が第1プレートに食い込む量が増える原因は、両面テープの圧縮量が増えることである。上記の構成によれば、端子が第1プレートを押したとしても、第1領域において第1プレートがブロックと接触しているので、第2領域に配置されている両面テープの圧縮を抑制することができる。両面テープの圧縮が抑制されることにより、端子が第1プレートに食い込む量も抑制される。第1プレートの一対の接点の摩耗が促進されることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図4】サブ基板アセンブリとメイン基板との接続構成の斜視図を示す。
【
図5】メイン基板とサブ基板との間の接続構成の拡大断面図を示す。
【
図6】端子のサブ基板の接点への食い込み量が大きい場合の概念図を示す。
【
図7】端子のサブ基板の接点への食い込み量が小さい場合の概念図を示す。
【
図8】第2実施例におけるサブ基板アセンブリの分解図を示す。
【
図9】第2実施例におけるサブ基板アセンブリの部分断面図を示す。
【
図10】第3実施例におけるサブ基板アセンブリの分解図を示す。
【
図11】第3実施例におけるサブ基板アセンブリの部分断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施例)
(情報読取装置10の構成;
図1)
図1に示される本実施例に係る情報読取装置10は、情報コード(例えばバーコード)に記録されているデータを読み取るための装置である。情報読取装置10は、表示部12と、複数の操作ボタン14と、情報コードを撮像する撮像部16と、情報読取装置10の側面から露出しているトリガボタン18と、筐体20と、を備える。
図1に示すように、各部12~18は、筐体20に支持されている。情報読取装置10は、トリガボタン18の操作に応じて、撮像部16を起動し、情報コードを撮像する。そして、情報読取装置10は、撮像済みの情報コードに記録されたデータを読み取り、当該データを出力する。例えば、情報読取装置10は、当該データによって表される読み取り結果(例えば文字列)を表示部12に表示する。また、情報読取装置10は、当該データを外部の装置(例えばサーバ)に送信する。なお、変形例では、情報読取装置10は、撮像部16によって撮像された画像から文字画像を抽出し、抽出済み文字画像に対する文字認識を実行して、当該文字画像によって表されるデータを読み取ってもよい。
【0015】
撮像部16は、例えば、CCDイメージセンサ等のカメラである。なお、変形例では、撮像部16は、レーザ光源と受光部とを含む構成部品であってもよい。
【0016】
(ボタン構造;
図2~
図5)
図2は、トリガボタン18を含むボタン構造の分解斜視図を示す。なお、
図2では、主要な部品のみが図示されており、主要な部品以外の他の部品(例えば、後述するメイン基板40)の図示が省略されている。また、筐体20の内部の形状も簡略化して図示されている。
【0017】
図2に示すように、ボタン構造は、トリガボタン18と、ラバー22と、サブ基板アセンブリ30と、を含む複数の部品によって構成されている。トリガボタン18は、樹脂製の部品である。トリガボタン18は、情報を読み取る指示を受け付けるためのボタンである。トリガボタン18の正面18aは、筐体20の側壁20aに形成されている孔20bから外部に露出する。トリガボタン18の正面18aには、滑り止めの複数の凸部が形成されている(
図1参照)。トリガボタン18の裏面18bは、ラバー22と対面する。
【0018】
ラバー22は、ゴム等の弾性材料によって形成されている部品である。ラバー22の正面22aは、トリガボタン18の裏面18bと対面する。ラバー22の裏面22bは、サブ基板アセンブリ30と対面する。ラバー22の裏面22bには、導電部材22cが設けられている。トリガボタン18が押されていない状況では、導電部材22cは、サブ基板アセンブリ30から離間している。トリガボタン18が押されると、ラバー22は、トリガボタン18を押す力によって筐体20の内側へと凹む。ラバー22が凹むと、導電部材22cが、サブ基板アセンブリ30に接触する。また、トリガボタン18は、ラバー22の復元力によって、押された状態から押される前の状態(即ち導電部材22cがサブ基板アセンブリ30から離間している状態)に戻る。
【0019】
図2、
図3に示すように、サブ基板アセンブリ30は、サブ基板32と、両面テープ34と、ブロック36と、を含む複数の部品によって構成されている。サブ基板32は、フレキシブルプリント基板である。サブ基板32は、メイン基板40(
図2、
図3では図示両略)と対面する第1プレート32aと、ラバー22の裏面22bと対面する第2プレート32bと、を備える。第1プレート32aには、一対の接点32cが形成されている。第2プレート32bには、一対の接点32cの一方から延びるリードに接続されている第1パターン32dと、一対の接点の他方から延びるリードに接続されている第2パターン32eと、が形成されている。第1パターン32d及び第2パターン32eは、櫛状のパターンである。第1パターン32dの櫛は、第2パターン32eの櫛から離間している。上記のように、トリガボタン18が押されると、ラバー22の導電部材22cが第1パターン32d及び第2パターン32eの双方に接触する。これにより、第1パターン32dと第2パターン32eの間が導通する。なお、第1パターン32d及び第2パターン32eは、櫛状に限らず、互いに離間する他の形状(例えば単純な線状)であってもよい。
【0020】
両面テープ34は、第1プレート32aとブロック36の台座36aとを接着するテープである。ブロック36は、樹脂製の部品であり、筐体20の内面に支持される。ブロック36は、サブ基板32を筐体20内に支持する部品である。
【0021】
図4は、ボタン構造の組み立て図である。
図4に示すように、ラバー22は、ブロック36と筐体20の側壁20aの間に挟まれる。また、
図4では見えないが、トリガボタン18の裏面18bのフランジ18c(
図2参照)は、ラバー22と側壁20aの間に挟まれる。これにより、ラバー22及びトリガボタン18が筐体20に支持される。
【0022】
また、
図4に示すように、メイン基板40の下面40aには、一対の端子40cが設けられている。メイン基板40は、撮像部16を制御し、さらに、撮像部16によって撮像された情報コードを処理するための基板である。メイン基板40は、筐体20内に横たわっている。別言すれば、メイン基板40は、情報読取装置10の表示部12及び操作ボタン14が配置されている外面と略平行に配置されている(
図1参照)。なお、下面40aにおける「下」は、図面の下側を指し示すに過ぎず、情報読取装置10の姿勢における下側を指し示すものではない。「下」は、説明の便宜のために利用する表現に過ぎないことに留意されたい。
【0023】
一対の端子40cは、サブ基板32の第1プレート32a上の一対の接点32cと接触する。これにより、メイン基板40とサブ基板32とが導通する。
【0024】
上記のように、トリガボタン18が押されると、サブ基板32の第2プレート32b上の2個のパターン32d、32eの間が導通する。これにより、サブ基板32の第1プレート32a上の一対の接点32cを介して、メイン基板40の一対の端子40cの間が導通する。メイン基板40は、一対の端子40cの間の導通を検出して、トリガボタン18が押されたことを検出する。
【0025】
図5は、一対の端子40cを通る断面において、一対の端子40cの周囲を拡大する拡大断面図である。
図5に示すように、一対の端子40cの各端子の断面は、U字形状である。一対の端子40cには、一対の端子40cをサブ基板32の第1プレート32aに押し付ける所定の弾性力が加えられている。所定の弾性力によって、一対の端子40cと第1プレート32a上の一対の接点32cとの間の接触が維持されている。
【0026】
例えば、情報読取装置10は、様々な現場(例えば、倉庫、店舗、野外)で利用される。現場の作業者は、情報読取装置10を誤って落下させる場合がある。情報読取装置10を利用して情報コードを読み取る作業の頻度は比較的に高い。作業の頻度に応じて情報読取装置10の落下の頻度も高くなる傾向にある。
【0027】
上記したように、メイン基板40の一対の端子40cとサブ基板32の一対の接点32cは、所定の弾性力によって接触が維持されている。このため、落下の際に、一対の端子40cが一対の接点32cに対して摺動する。落下の頻度が高くなると、摺動の頻度も高くなる。摺動の頻度が高くなると、一対の接点32cが早期に摩耗して、一対の接点32cの表面のメッキが剥がれる。メッキが剥がれることにより、一対の接点32cの母材が露出する。露出した母材の酸化が進行すると、一対の端子40cと一対の接点32cとの間の導通不良が発生する可能性がある。
【0028】
(落下試験の説明)
複数回の落下に対する耐力を調べるために、情報読取装置10に対して1メートルランダム落下試験を行った。以下では、各種のパラメータを変更した第1~第3試験について説明する。なお、第1~第3試験において、各部の材料は共通する。具体的には、以下の通りである。
【0029】
サブ基板32の第1プレート32aは、一対の接点32cの側から順に、Auメッキ層と、Niメッキ層と、銅の母材の層と、接着剤と、ポリイミドのベース層と、を積層して構成されている。なお、第2プレート32bも、第1プレート32aと同様の構成を有する。
【0030】
両面テープ34は、アクリル系の粘着剤と、ポリオレフィン系の発泡体と、アクリル系の粘着剤と、を積層して構成されている。
【0031】
一対の端子40cは、金属板から形成されている。当該金属板の材料は、下地としてのNiメッキと、表面としてのAuメッキと、が塗布された銅合金である。一対の端子40cの各端子のうち、一対の接点32cの各接点と接触する部分の面積は、約0.42平方ミリメートルである。一対の端子40cと一対の接点32cとの間の接触を維持する所定の弾性力は、0.7~1.1ニュートンである。
【0032】
ブロック36の材料は、ポリカ系の樹脂である。
【0033】
(第1試験)
本試験では、第1プレート32aのAuメッキ層の厚みを5.0マイクロメートル、第1プレート32aのNiメッキ層の厚みを0.03マイクロメートルに、両面テープ34の厚みを0.2ミリメートルに設定した。本試験における第1プレート32aの厚みは、約0.11ミリメートルである。本試験では、第1プレート32aの母材は、500回程度の落下で露出した。
【0034】
(第2試験)
本試験のパラメータは、第1プレート32aのAuメッキ層の厚みを9.0マイクロメートル、第1プレート32aのNiメッキ層の厚みを3.0マイクロメートルに設定した点を除いて、第1試験と同様である。本試験における第1プレート32aの厚みも、約0.11ミリメートルである。本試験では、第1プレート32aの母材は、1000回程度の落下で露出した。本試験の落下の耐力は、第1試験の2倍であり、耐力の向上は、メッキ層の厚みの増加に起因するものと考えられる。
【0035】
(第3試験)
本試験のパラメータは、両面テープ34の厚みを0.1ミリメートルに設定した点を除いて、第2試験と同様である。本試験における第1プレート32aの厚みも、約0.11ミリメートルである。本試験を行うと、第1プレート32aの母材は、4000回程度の落下で露出した。本試験の落下の耐力は、第1試験の8倍であり、さらに、第2試験の4倍である。
【0036】
(落下による摺動の概念;
図6、
図7)
図6は、両面テープ34の厚みが0.2ミリメートルの場合、即ち、第1、2試験における各部の概念図を示す。両面テープ34は、所定の弾性力によって圧縮される。これに伴い、両面テープ34に接触する第1プレート32aが凹み、第1プレート32aに対して一対の端子40cの各端子が食い込む。両面テープ34の圧縮量は、両面テープ34の厚みの約60パーセントである。両面テープ34の厚みが0.2ミリメートルの場合には、所定の弾性力によって両面テープ34が圧縮される絶対値は、0.2×0.6=0.12ミリメートルである。これに伴い、第1プレート32aに対する一対の端子40cの各端子の食い込み量は、約0.12ミリメートルである。
【0037】
図7は、両面テープ34の厚みが0.1ミリメートルの場合、即ち、第3試験における各部の概念図を示す。両面テープ34の厚みが0.1ミリメートルの場合には、所定の弾性力によって両面テープ34が圧縮される絶対値は、0.1×0.6=0.06ミリメートルである。これに伴い、第1プレート32aに対する一対の端子40cの各端子の食い込み量は、約0.06ミリメートルである。
【0038】
図6、
図7に示すように、両面テープ34の厚みが0.1ミリメートルの場合には、食い込み量が特定の厚み、即ち、0.06ミリメートル以下となる。別言すれば、両面テープ34の厚みが薄くなることにより、食い込み量が減少し、第1プレート32aに対する一対の端子40cの各端子の接触面積が減少する。各端子の接触面積が減少することにより、1回の摺動により摩耗するメッキの量が減少する。これが、両面テープ34の厚みが薄い第3試験において、落下の耐力が向上した原因であると考えられる。
【0039】
発明者は、上記の試験結果及び概念に基づき、両面テープ34の厚みを薄くすることを想到した。具体的には、両面テープ34の厚みを、一対の接点32cに対する一対の端子40cの食い込み量を特定の量(例えば0.06ミリメートル)以下に定める所定の厚み「0.1ミリメートル」に決定することを想到した。ここで、所定の厚み「0.1ミリメートル」は、第1プレート32aの厚み「0.11ミリメートル」以下である。これにより、一対の接点32cの摩耗が促進されることを抑制することができる。
【0040】
なお、上記の落下試験の条件は、一例に過ぎない。本明細書に開示の技術の特徴は、両面テープの厚みを、一対の接点に対する一対の端子の食い込み量を特定の量以下に定める所定の厚みに定めることである。当該特徴により、情報読取装置の落下によってサブ基板の表面の摩耗が促進されることを抑制することができる。
【0041】
(対応関係)
情報読取装置10、筐体20、撮像部16が、それぞれ、「情報読取装置」、「筐体」、「読取部」の一例である。トリガボタン18とラバー22の組合せが、「ボタン」の一例である。サブ基板32、第1プレート32a、第2プレート32b、一対の接点32c、第1パターン32d、第2パターン32eが、それぞれ、「サブ基板」、「第1プレート」、「第2プレート」、「一対の接点」、「第1パターン」、「第2パターン」の一例である。両面テープ34が、「両面テープ」の一例である。ブロック36が、「ブロック」の一例である。メイン基板40、一対の端子40cが、それぞれ、「メイン基板」、「一対の端子」の一例である。
【0042】
(第2実施例)
(サブ基板アセンブリ130;
図8、
図9)
本実施例の情報読取装置10は、サブ基板アセンブリの構成が異なる点を除いて、第1実施例と同様である。
図8は、本実施例のサブ基板アセンブリ130の分解図であり、
図9は、
図8のIX-IX線における部分断面図である。
【0043】
図8、
図9に示すように、サブ基板アセンブリ130は、サブ基板32とブロック36に加えて、接着剤134aと、補強板134bと、両面テープ134cと、を含む。接着剤134aは、補強板134b又は第1プレート32aの表面に塗布され、第1プレート32aと補強板134bとを接着する。両面テープ134cは、補強板134bとブロック36の台座36aとを接着するテープである。補強板134bの硬さは、ブロック36の硬さよりも高い。「硬さ」は、例えば、ビッカース硬さ等の試験により測定される。補強板134bの材料は、樹脂である。なお、変形例では、補強板134bの材料は、金属であってもよい。また、接着剤134aと両面テープ134cとの合計厚みは、0.1mm以下である。なお、
図9に示すように、第2プレート32bは、両面テープ134dによって台座36aに接着されている。
【0044】
例えば、第1実施例において、一対の端子40cをサブ基板32の第1プレート32aに押し付ける所定の弾性力を高めると、第1プレート32a、両面テープ34、及び、ブロック36に加わる圧力が増える。この場合、高い圧力によって、第1プレート32a、両面テープ34のみならず、ブロック36も変形する可能性がある。ブロック36が変形すると、ブロック36の変形に沿って両面テープ34と第1プレート32aが凹み、第1プレート32aに対して一対の端子40cの各端子が食い込む。
【0045】
本実施例の構成によれば、第1プレート32aとブロック36との間に、ブロック36よりも硬い補強板134bが存在する。所定の弾性力に起因する高い圧力でも補強板134bが変形しないことにより、第1プレート32aが凹むことが抑制される。所定の弾性力が高い場合でも、第1プレート32aの食い込み量が特定の量以下に抑えられ、第1プレート32a一対の接点32cの摩耗が促進されることを抑制することができる。
【0046】
(対応関係)
接着剤134a、補強板134b、両面テープ134cが、それぞれ、「接着部材」、「補強板」、「両面テープ」の一例である。なお、変形例では、「接着部材」は、両面テープであってもよい。
【0047】
(第3実施例)
(サブ基板アセンブリ230;
図10、
図11)
本実施例の情報読取装置10は、サブ基板アセンブリの構成が異なる点を除いて、第1実施例と同様である。
図10は、本実施例のサブ基板アセンブリ230の分解図であり、
図11は、
図10のXI-XI線における部分断面図である。
【0048】
図10、
図11に示すように、サブ基板アセンブリ230は、サブ基板32に加えて、両面テープ234aと、ブロック236と、を含む。両面テープ234aには、切欠き234bが形成されている。
【0049】
ブロック236は、台座の構造が異なる点を除いて、第1実施例と同様である。本実施例の台座236aには、第1プレート32aと対面する面に段差236bが形成されている。段差236bは、両面テープ234aの切欠き234bに受け入れられる。また、段差236bの高さは、両面テープ234aの厚み以下である。
【0050】
両面テープ234aの切欠き234b及びブロック236の段差236bは、第1プレート32aの一対の接点32cから見たときに、一対の接点32cが配置されている領域に形成されている。これにより、一対の接点32cから見たときに、両面テープ234aの切欠き234b以外の部分は、一対の接点32cが配置されている領域とは異なる領域に配置される。さらに、第1プレート32aのうち、一対の接点32cが配置されている領域は、段差236bと接触している。
【0051】
第1プレート32aは、両面テープ234aの切欠き234b以外の部分によってブロック236に接着されている。なお、
図11に示すように、第2プレート32bは、両面テープ234dによって台座236aに接着されている。
【0052】
上記したように、端子40cが第1プレート32aに食い込む量が増える原因は、両面テープの圧縮量が増えることである。本実施例の構成によれば、端子40cが第1プレート32aを押したとしても、一対の接点32cが配置されている領域において第1プレート32aがブロック236の段差236bと接触しているので、段差236bの周囲に配置されている両面テープ234aの圧縮を抑制することができる。両面テープ234aの圧縮が抑制されることにより、端子40cが第1プレート32aに食い込む量も抑制される。第1プレート32aの一対の接点32cの摩耗が促進されることを抑制することができる。
【0053】
また、両面テープ234aが単純な長方形であり、段差236bが台座236aの幅方向の両側の縁236eまで延びている比較例が想定される。即ち、両面テープ234aに切欠き234bが形成されない。この変形例では、第1プレート32aがブロック236に接着されていない箇所が比較的に広くなり得る。接着されていない箇所が広くなると、ブロック236から第1プレート32aが剥がれる可能性がある。本実施例の構成によれば、切欠き234bを形成し、段差236bの幅方向における両側の縁234eにも、両面テープ234aを配置することができる。比較例と比べて、接着されていない箇所を狭くすることができる。ブロック236から第1プレート32aが剥がれることを抑制することができる。なお、変形例では、上記の比較例の構成を採用してもよい。
【0054】
(対応関係)
段差236bが存在する領域、段差236bの周囲の領域が、それぞれ、「第1領域」、「第2領域」の一例である。
【0055】
以上、本明細書で開示する技術の具体例を説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、以下の変形例を採用してもよい。
【0056】
ラバー22は、無くてもよい。例えば、トリガボタン18は、バネの復元力によって、押された状態から押される前の状態に戻ってもよい。当該バネは、第2プレート32bと対面していなくてもよい。本変形例では、トリガボタン18が、「ボタン」の一例である。
【0057】
「読取部」は、撮像部16に限らず、例えば、RFIDタグに記憶されている情報を読み取るためのリーダ、NFCタグに記憶されている情報を読み取るためのリーダ等であってもよい。
【0058】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0059】
10 :情報読取装置
12 :表示部
14 :操作ボタン
16 :撮像部
18 :トリガボタン
18a :正面
18b :裏面
18c :フランジ
20 :筐体
20a :側壁
20b :孔
22 :ラバー
22a :正面
22b :裏面
22c :導電部材
30 :サブ基板アセンブリ
32 :サブ基板
32a :第1プレート
32b :第2プレート
32c :一対の接点
32d :第1パターン
32e :第2パターン
34 :両面テープ
36 :ブロック
40 :メイン基板
40a :下面
40c :一対の端子
130 :サブ基板アセンブリ
134a :接着剤
134b :補強板
134c :両面テープ
134d :両面テープ
230 :サブ基板アセンブリ
234a :両面テープ
234b :切欠き
234d :両面テープ
234e :縁
236 :ブロック
236a :台座
236b :段差
236e :縁