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特開2022-117479空間間で投与イベントを同期させるためのシステム、装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022117479
(43)【公開日】2022-08-10
(54)【発明の名称】空間間で投与イベントを同期させるためのシステム、装置および方法
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/24 20060101AFI20220803BHJP
   A61L 2/22 20060101ALI20220803BHJP
   A61L 2/08 20060101ALI20220803BHJP
【FI】
A61L2/24
A61L2/22
A61L2/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022010679
(22)【出願日】2022-01-27
(31)【優先権主張番号】17/162,424
(32)【優先日】2021-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】508145241
【氏名又は名称】クリスティー デジタル システムズ ユーエスエー インコーポレイティッド
【氏名又は名称原語表記】Christie Digital Systems USA,Inc.
【住所又は居所原語表記】10550 Camden Dr. Cypress, CA 90630 , USA
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118108
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 洋之
(72)【発明者】
【氏名】マイケル、ブレント、ペッコバー
【テーマコード(参考)】
4C058
【Fターム(参考)】
4C058AA23
4C058BB01
4C058BB06
4C058BB07
4C058DD01
4C058DD03
4C058DD13
4C058JJ12
4C058KK03
4C058KK04
4C058KK05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】人間や他の生物が過剰摂取することを回避もしくは最小化するように投与量をスケジュールすることが可能な、複数の空間を消毒するための消毒媒体投与システムの提供。
【解決手段】複数の空間間で投与イベントを同期させるための例示的なシステムであって、各投与サブシステムが、空間の1つに対応し、対応する空間に消毒媒体の投与量を投与するように構成された複数の投与サブシステムを含み、各投与サブシステムは、投与機構と、投与機構に結合されたコントローラと、を含み、コントローラは、共有投与スケジュールを取得することであって、共有投与スケジュールは、複数の投与サブシステムのそれぞれの間で共有される、取得することと、空間内の投与イベントのトリガーイベントを検出することと、トリガーイベントに応答して、共有投与スケジュールに沿って空間内で消毒媒体を投与するように投与機構を制御することと、を行うように構成される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の空間間で投与イベントを同期させるためのシステムであって、前記システムは、
各投与サブシステムが、前記空間の1つに対応し、前記対応する空間に消毒媒体の投与量を投与するように構成された複数の投与サブシステムを含み、各投与サブシステムは、
投与機構と、
前記投与機構に結合されたコントローラと、を含み、前記コントローラは、
共有投与スケジュールを取得することであって、前記共有投与スケジュールは、前記複数の投与サブシステムのそれぞれの間で共有される、取得することと、
前記空間内の投与イベントのトリガーイベントを検出することと、
前記トリガーイベントに応答して、前記共有投与スケジュールに沿って前記空間内で前記消毒媒体を投与するように前記投与機構を制御することと、
を行うように構成される、
システム。
【請求項2】
前記共有投与スケジュールは、各前記投与サブシステムのそれぞれのコントローラが、前記消毒媒体の投与量を合わせる少なくとも1つの一次指定時間を含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記共有投与スケジュールに沿って前記消毒媒体を投与するために、各コントローラは、
前記対応する空間に投与量を投与するためのパラメータを定義する部屋投与データを取得することと、
前記投与量が投与される時間を定義する部屋投与スケジュールを決定することであって、前記部屋投与スケジュールは前記部屋投与データおよび前記共有投与スケジュールに基づく、決定することと、
前記投与機構に前記部屋投与スケジュールを適用することと、
を行うように構成される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記部屋投与データは、デューティサイクルおよび前記デューティサイクルが実行される所定の期間のうちの1つ以上を含む、
請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
各コントローラは、共通時間に従って、それぞれの投与サブシステムのそれぞれの内部時計を更新するようにさらに構成される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記システムは、各前記投与サブシステムと通信する中央制御システムをさらに備え、前記中央制御システムは、共通時間および前記共有投与スケジュールのうちの1つ以上を管理する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記システムは、前記投与サブシステムの所与の1つと相互接続されたセンサをさらに備え、前記センサは、前記投与サブシステムの前記所与の1つの前記対応する空間におけるイベントを検出するように構成される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
空間に投与するための投与サブシステムであって、前記投与サブシステムは、
投与機構と、
前記投与機構に結合されたコントローラと、を含み、前記コントローラは、
共有投与スケジュールを取得することであって、前記共有投与スケジュールは、複数の投与サブシステムのそれぞれの間で共有される、取得することと、
前記空間内の投与イベントのトリガーイベントを検出することと、
前記トリガーイベントに応答して、前記共有投与スケジュールに沿って前記空間内で消毒媒体を投与するように前記投与機構を制御することと、
を行うように構成される、
投与サブシステム
【請求項9】
前記トリガーイベントは、電源オンイベント、開始時刻、およびセンサで検出された外部イベント、のうちの1つ以上を含む、
請求項8に記載の投与サブシステム。
【請求項10】
前記消毒媒体は、エアロゾル消毒剤および放射線のうちの1つ以上を含む、
請求項8に記載の投与サブシステム。
【請求項11】
前記共有投与スケジュールに沿って前記消毒媒体を投与するために、前記コントローラは、
前記空間に投与量を投与するためのパラメータを定義する部屋投与データを取得することと、
前記投与量が投与される時間を定義する部屋投与スケジュールを決定することであって、前記部屋投与スケジュールは前記部屋投与データおよび前記共有投与スケジュールに基づく、決定することと、
前記投与機構に前記部屋投与スケジュールを適用することと、
を行うように構成される、
請求項8に記載の投与サブシステム。
【請求項12】
共通時間を追跡するための内部時計をさらに備える、
請求項8に記載の投与サブシステム。
【請求項13】
前記コントローラは、前記共通時間を追跡する中央制御システム、および衛星ソースのうちの1つから前記内部時計を定期的に更新するように構成される、
請求項12に記載の投与サブシステム。
【請求項14】
前記共有投与スケジュールを取得するために、前記コントローラは、
(i)前記投与サブシステムのメモリから前記共有投与スケジュールを取り出す
または、
(ii)中央制御システムから前記共有投与スケジュールを受信する
ように構成される、
請求項8に記載の投与サブシステム。
【請求項15】
前記トリガーイベントを検出するためのセンサをさらに備える、
請求項8に記載の投与サブシステム。
【請求項16】
複数の空間間で投与イベントを同期させる方法であって、前記方法は、
前記空間の1つに対応する投与サブシステムにおいて、共有投与スケジュールを取得することであって、前記共有投与スケジュールは、前記複数の空間のそれぞれに対応する投与サブシステム間で共有される、取得することと、
前記空間内のトリガーイベントを検出することと、
前記トリガーイベントに応答して、前記共有投与スケジュールに沿って消毒媒体を投与することと、
を含む、
方法。
【請求項17】
共有投与スケジュールに沿って前記消毒媒体の投与量を投与することは、
前記空間の部屋投与データを取得することと、
前記部屋投与データおよび前記共有投与スケジュールに基づいて部屋投与スケジュールを決定することと、
前記消毒媒体の投与量を投与するための投与機構に前記部屋投与スケジュールを適用することと、を含む、
請求項16に記載の方法
【請求項18】
前記部屋投与スケジュールは、前記消毒媒体の投与量が投与される時間を定義し、前記時間は、前記共有投与スケジュールの指定時間に対応するように選択される、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、一般に、投与システム、より具体的には、空間間で投与イベントを同期させるためのシステム、装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の空間を有する施設、および空間を移動する人もしくは物体またはその両方は、細菌および病原菌の拡散を防止し、所望のまたは規制されたレベルの清浄度を維持するために、空間を定期的に消毒することを望む場合がある。空間を消毒するために使用される消毒媒体は、人間または他の生物に有害である可能性がある。
【発明の概要】
【0003】
複数の空間間で投与イベントを同期させるためのシステムが記載されている。前記システムは、各投与サブシステムが、前記空間の1つに対応し、前記対応する空間に消毒媒体の投与量を投与するように構成された複数の投与サブシステムを含み、各投与サブシステムは、投与機構と、前記投与機構に結合されたコントローラと、を含み、前記コントローラは、共有投与スケジュールを取得することであって、前記共有投与スケジュールは、前記複数の投与サブシステムのそれぞれの間で共有される、取得することと、前記空間内の投与イベントのトリガーイベントを検出することと、前記トリガーイベントに応答して、前記共有投与スケジュールに沿って前記空間内で前記消毒媒体を投与するように前記投与機構を制御することと、を行うように構成される。
【0004】
本明細書の別の態様によれば、投与サブシステムが記載されている。前記投与サブシステムは、投与機構と、前記投与機構に結合されたコントローラと、を含み、前記コントローラは、共有投与スケジュールを取得することであって、前記共有投与スケジュールは、複数の投与サブシステムのそれぞれの間で共有される、取得することと、前記空間内の投与イベントのトリガーイベントを検出することと、前記トリガーイベントに応答して、前記共有投与スケジュールに沿って前記空間内で消毒媒体を投与するように前記投与機構を制御することと、を行うように構成される。
【0005】
本明細書の別の態様によれば、複数の空間間で投与イベントを同期させる方法が記載されている。前記方法は、前記空間の1つに対応する投与サブシステムにおいて、共有投与スケジュールを取得することであって、前記共有投与スケジュールは、前記複数の空間のそれぞれに対応する投与サブシステム間で共有される、取得することと、前記空間内のトリガーイベントを検出することと、前記トリガーイベントに応答して、前記共有投与スケジュールに沿って消毒媒体を投与することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】施設の複数の空間間で投与イベントを同期させるための例示的なシステムのブロック図である。
図2図1のシステムにおける投与サブシステムの特定の内部構成要素のブロック図である。
図3】複数の空間間で投与イベントを同期させるための例示的な方法のフローチャートである。
図4図3の方法のブロック315での共有投与スケジュールに沿って投与量を投与する例示的な方法のフローチャートである。
図5】共有投与スケジュールおよび部屋投与スケジュールの例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
複数の空間を含む施設における投与量投与の管理は、空間間の異なるデューティサイクル、異なる時間に発生するトリガー、および他の要因に基づいて複雑になり得る。投与システムには、1日の特定の期間にスケジュールされたデューティサイクルがある場合があるが、モーショントリガーされる場合もある。したがって、例えば、管理人が空間間を移動する場合、スケジュールされたデューティサイクルに基づいて最初の投与量を受け取り、トリガーベースの空間から次の空間に移動するときに2番目、3番目、および追加の投与量を受け取ることがある。繰り返し投与すると、複数回投与量を受け取った人の健康に害を及ぼす可能性がある。したがって、過剰摂取を回避または最小化するために、投与量をスケジュールまたはトリガーする場合がある。
【0008】
例示的なシステムは、空間がその投与量を同時に(可能な場合、投与される投与量の回数もしくは頻度またはその両方に基づき)投与するように、各空間のデューティサイクルもしくは投与スケジュールまたはその両方を、共有投与スケジュールに合わせることで、繰り返しの投与の機会を最小化する。したがって、投与イベントを直ちに開始するトリガーイベントではなく、むしろ、システムは、トリガーイベントを登録し、施設内の他の空間で投与される投与量と同期して、一定期間後に投与量を投与することができる。所与の時間に人は1つの空間に存在して1回の投与を受けるのみであるため、同期式投与量投与は複数回の投与を受ける人のリスクを軽減する。
【0009】
図1は、複数の空間間で投与イベントを同期させるための例示的なシステム100を示している。システム100は、複数の投与サブシステムを含み、そのうちの5つの例104-1、104-2、104-3、104-4、および104-5が示されている(本明細書では、一般的に投与サブシステム104と呼び、集合的に投与サブシステム104と呼び、この命名法は、本明細書の他の箇所においても使用される)。システム100は、例えば、病院、倉庫、学校、または他の公共または私有の建物などの施設108に配備され得る。特に、システム100が配置されている施設108は、消毒される複数の空間112を含み、そのうち5つの例112-1、112-2、112-3、112-4、および112-5が示されている。
【0010】
理解されるように、他の例では、システム100は、5つより多いまたは少ない投与サブシステム104を含み得る。より具体的には、システム100を形成する投与サブシステム104の数は、消毒される空間112の数に対応し得る。いくつかの例では、所与の空間112において、複数の投与サブシステム104を使用することができる。さらに、他の例では、施設108は、システム100によって消毒されるべきではない空間を含むことがあり、したがって、システム100は、施設108のうち消毒されるべき空間112にのみ対応し得る。
【0011】
投与サブシステム104は、一般に、空間112を消毒するために展開される所与の空間112に消毒媒体の投与量を投与するように構成される。特に、各投与サブシステム104は、個々の空間投与スケジュールが同期を可能にする範囲で、共有投与スケジュールに従って他の投与サブシステム104と同時に消毒媒体の投与量を投与することができる。さらに、各投与サブシステム104は、各投与サブシステム104間の継続的な通信を必要とするのではなく、共有投与スケジュールおよび内部時計に基づいて、他の投与サブシステム104と実質的に同期して投与量を投与することができる。異なる空間112での投与量投与の同期は、異なる空間で投与量が同時に投与されるので、施設108の空間112の間を移動する生物が、消毒媒体の2倍の投与量を受ける可能性を低減する。
【0012】
いくつかの例では、システム100は、中央制御システム116をさらに含み得る。中央制御システム116は、本例に破線で示される投与サブシステム104のそれぞれと通信することができる。例えば、通信リンクは、1つ以上の有線または無線ネットワーク、あるいは有線および無線ネットワークの組み合わせを含み得る。中央制御システム116は、一般に、各投与サブシステム104で使用される共通時間を追跡するなど、共通の機能を管理するように構成され得る。いくつかの例では、中央制御システム116は、投与サブシステム104のそれぞれによって使用される共有投与スケジュールをさらに管理し得る。さらなる例では、システム100は、中央制御システムを含む必要がないことが理解されよう。
【0013】
いくつかの例では、システム100は、空間112内のイベントを検出するための1つ以上のセンサをさらに含むことができる。この例では、2つのセンサ120-2および120-3が、それぞれ空間112-2および112-3において近くの人の存在を検知することが示されている。センサ120は、例えば、光学センサ(例えば、赤外光や、カメラなどの可視光などを使用する)、近くの物体または人によって引き起こされる動きを検出するための加速度計、オーディオセンサ、または近くの人や他の物体を検出するための他の適切なセンサであり得る。センサ120は、センサ120-2および投与サブシステム104-2で示されるように、対応する投与サブシステム104と相互接続されたシステム100の独立した構成要素であり得る。あるいは、センサ120は、センサ120-3および投与サブシステム104-3で示されるように、投与サブシステム104自体と統合され得る。
【0014】
図2を参照すると、特定の内部構成要素を含む例示的な投与サブシステム104がより詳細に示されている。理解されるように、投与サブシステム104-1、104-2、104-3、104-4、および104-5のそれぞれは、図2に示される例示的な投与サブシステム104と同様の内部構造を有し得る。投与サブシステム104は、コントローラ200、メモリ204、および投与機構208を含む。投与サブシステム104は、通信インターフェース212、入力/出力デバイス216、および内部時計220をさらに含み得る。
【0015】
コントローラ200は、中央処理装置(CPU)、マイクロコントローラ、処理コア、または同様のものなどのプロセッサであり得る。コントローラ200は、複数の協調するプロセッサを含み得る。いくつかの例では、コントローラ200によって実装される機能は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)などの1つ以上の特別に設計されたハードウェアおよびファームウェアコンポーネントによって実装され得る。いくつかの例では、コントローラ200は、本明細書で論じられる投与同期動作の処理速度を高めるために、ASIC、FPGAなどの専用論理回路を介して実装され得る特別な目的のプロセッサであり得る。
【0016】
コントローラ200は、メモリ204などの非一時的なコンピュータ可読記憶媒体と相互接続されている。メモリ204は、揮発性メモリ(例えば、ランダムアクセスメモリまたはRAM)と不揮発性メモリ(例えば、読み取り専用メモリまたはROM、電気的に消去可能なプログラム可能な読み取り専用メモリまたはEEPROM、フラッシュメモリ)との組み合わせを含み得る。コントローラ200およびメモリ204は、1つ以上の集積回路を備えることができる。メモリの一部またはすべては、コントローラ200と統合され得る。特に、メモリ204は、コントローラ200によって実行されると、以下でより詳細に説明され、システム100の投与同期動作に関連する様々な機能を実行するようにコントローラ200を構成する制御アプリケーション224を格納する。他の例では、アプリケーション224は、別個のアプリケーションのスイートとして実装され得る。メモリ204はまた、投与同期操作のための共有投与スケジュール、共有投与スケジュールに準拠するための投与スケジューリング規則、所与の投与サブシステム104のための個々の投与スケジュールなどを格納するように構成されたリポジトリ228を格納することができる。他の例では、メモリ204もしくはリポジトリ228またはその両方はまた、システム100の投与同期動作に関連する他の規則およびデータを格納することができる。
【0017】
投与機構208は、投与サブシステム104が展開される空間112に消毒媒体の投与量を投与するように構成される。例えば、投与機構208は、例えば、マイクロ波、赤外波、ガンマ線、超音波、電子ビーム、または空間112を消毒することができる他の適切な照射エネルギーなどの放射線で空間112を照射するための放射線源であり得る。他の例では、投与機構208は、消毒媒体の供給を含む供給チャンバーと、消毒媒体を吐出するためのエアロゾルノズルとを含み得る。そのような例では、消毒媒体は、空間112にエアロゾルの形で吐出される消毒剤であり得る。他の消毒媒体は、当業者には明らかであり、投与機構208は、空間112に投与される消毒媒体に基づいて選択される。投与機構208はさらに、量(例えば、体積または強度)、ならびに空間112への投与量の期間およびタイミングを調整するように制御することができ得る。特に、投与機構208は、空間112への投与機構208による投与量の投与を制御するコントローラ200と相互接続されている。
【0018】
投与サブシステム104は、コントローラ200と相互接続された通信インターフェース212をさらに含み得る。通信インターフェース212は、投与サブシステム104が他のコンピューティングデバイスと通信することを可能にする適切なハードウェア(例えば、送信機、受信機、ネットワークインターフェースコントローラなど)を含む。通信インターフェース212の特定の構成要素は、投与サブシステム104が通信するネットワークまたは他のリンクのタイプに基づいて選択される。特に、通信インターフェース212は、投与サブシステム104が、必要に応じて中央制御システム116、および適用可能な場合にはセンサ120と通信することを可能にする。
【0019】
いくつかの例では、投与サブシステム104はまた、1つ以上の入力もしくは出力またはその両方のデバイス216を含み得る。入力/出力デバイス216は、オペレータから入力を受け取るための1つ以上のボタン、キーパッド、ダイヤル、タッチセンシティブディスプレイスクリーンなどを含み得る。出力装置は、オペレータに出力またはフィードバックを提供するための1つ以上の表示画面、音源、バイブレータなどを含み得る。
【0020】
内部時計220は、投与サブシステム104で局所的に時間を追跡するための時計である。特に、内部時計220は、投与サブシステムが共有投与スケジュールと合わせることを可能にする。投与サブシステム104は、例えば、中央制御システム116によって追跡される共通時間を取得することによって、内部時計220を定期的に更新し、投与サブシステム104のそれぞれでのローカル時間がシステム100全体で一貫していることを保証することができる。例えば、内部時計220は、事前定義された間隔(例えば、1日1回、1週間に1回、または他の適切な間隔)で、または投与量がトリガーされる各インスタンスで、または他の適切な条件下で同期され得る。他の例では、投与サブシステム104は、衛星ソースまたは他の相互に合意された外部ソースから共通時間を取得することができる。
【0021】
次に、システム100の動作を、図3を参照してより詳細に説明する。図3は、投与量を同期させる例示的な方法300のフローチャートを示し、これは、図1および図2に示される構成要素を参照して、システム100におけるその性能と併せて説明される。特に、方法300は、投与サブシステム104のコントローラ200によるアプリケーション224の実行を介して実施され得る。他の例では、方法300は、他の適切なデバイスまたは他の適切なシステムによって実行され得る。
【0022】
ブロック305で、コントローラ200は、共有投与スケジュールを取得し、共有投与スケジュールは、システム100内の投与サブシステム104のそれぞれの間で共有される。共有投与スケジュールは、例えば、各投与サブシステム104のそれぞれのコントローラが、消毒媒体の投与量を合わせる少なくとも1つの一次指定時間を定義し得る。すなわち、一次指定時間は、投与量を投与するために投与サブシステム104によって標的とされる時間である。例えば、一次指定時間は、1日の各時間の正時であってよい。いくつかの例では、一次指定時間に加えて、共有投与スケジュールは、一次指定時間に投与される投与量間の中間投与量について投与サブシステム104によって標的とされる1つ以上の二次指定時間、三次指定時間などをさらに含み得る。
【0023】
いくつかの例では、共有投与スケジュールは、例えば、投与サブシステム104の製造もしくは組み立てまたはその両方の間に、投与サブシステム104のメモリ204に符号化され得る。すなわち、共有投与スケジュールは、所与の当事者によって製造された投与サブシステム104のすべての間で定められ得る。したがって、所与の当事者から取得された任意の投与サブシステム104は、他の投与サブシステム間で本質的に共有される共有投与スケジュールを含むであろう。そのような例では、ブロック305で、コントローラ200は、メモリ204から共有投与スケジュールを単純に取り出すことができる。
【0024】
他の例では、共有投与スケジュールは、例えば、中央制御システム116によって動的に更新され得る。そのような例では、コントローラ200は中央制御システム116から、例えば通信インターフェース212を通じて、共有投与スケジュールを要求することができる。共有投与スケジュールを受信すると、投与サブシステム104は、共有投与スケジュールをメモリ204に格納することができる。方法300のその後の反復において、コントローラ200は、中央制御システム116から受信した共有投与スケジュールをメモリ204から取り出すことができる。いくつかの例では、コントローラ200は、更新された共有投与スケジュールを定期的に(例えば、事前定義された更新期間の後に)要求することができる。他の例では、共有投与スケジュールを要求するのではなく、中央制御システム116は、更新された共有投与スケジュールを投与サブシステム104にプッシュすることができる。
【0025】
いくつかの例では、共有投与スケジュールを取得することに加えて、コントローラ200は、例えば、中央制御システム116から共通時間を追加的に取得することができる。システム100が中央制御システムを含まないような他の例では、投与サブシステム104は、衛星などの相互に合意された独立したソースから共通時間を取得することができる。共通時間を取得した後、コントローラ200は、内部時計220を共通時間に同期させることができる。
【0026】
ブロック310において、コントローラ200は、トリガーイベントが検出されたかどうかを決定する。トリガーイベントは、電源オンイベント、開始時刻、システム100のセンサ(不図示)で検出された外部イベント、または同様のものを含み得る。一般に、トリガーイベントは、その後に投与サブシステム104が実行される空間112の消毒が行われるイベントを表す。例えば、投与サブシステム104は、投与サブシステム104が動作可能であるか電源がオンであるときはいつでも、消毒媒体の投与量を定期的に投与するように構成されることができ、したがって、トリガーイベントは、電源オンイベントであり得る。他の例では、投与サブシステム104は、施設108の稼働時間の間に(例えば、人々が施設108内を移動すると予想されるとき)消毒媒体の投与量を投与するように構成されることができ、したがって、トリガーイベントは、施設108の開始時刻であり得る。さらに別の例では、投与サブシステム104は、近くの人の検出後に消毒媒体の投与量を投与するように構成され得る。したがって、システム100は、近くの人の存在を検出するためのセンサを含み得る。センサは、投与サブシステム104の外部にあるが相互接続されることができ、したがって、トリガーイベントは、センサから投与サブシステム104に送信される入力信号であり得る。他の例では、センサは、投与サブシステム104と統合されることができ、したがって、トリガーイベントは、センサによる近くの人の検出である可能性がある。理解されるように、他のトリガーイベントまたは構成もまた考えられる。
【0027】
ブロック310でトリガーイベントが検出されない場合、投与サブシステム104は待機し、トリガーイベントが検出されるまで待ち続けることができる。
【0028】
ブロック310でトリガーイベントが検出された場合、方法300はブロック315に進む。ブロック315で、コントローラ200は、共有投与スケジュールに沿って空間112に消毒媒体を投与するように投与機構208を制御するように構成される。例えば、投与機構208は、一次指定時間に、それぞれの空間112に消毒媒体の投与量を投与することができる。具体的には、投与サブシステム104のそれぞれは、同じ共有投与スケジュールに従い、共有投与スケジュールによって定義される一次指定時間に沿って投与量を投与するので、システム100の各投与サブシステム104は、消毒媒体の投与量を同期的に投与することができる。
【0029】
図4を参照すると、共有投与スケジュールに沿って消毒媒体の投与量を投与する例示的な方法400のフローチャートが示されている。
【0030】
ブロック405で、コントローラ200は、部屋投与データを取得する。部屋投与データは、例えば、リポジトリ228もしくはメモリ204の他の場所またはその両方に格納され得る。部屋投与データは、消毒媒体の投与量を空間112に投与するためのパラメータを定義し得る。例えば、部屋投与データは、投与頻度、投与量もしくは長さまたはその両方、および投与する投与回数または他の終了パラメータを含む。部屋投与データは、いくつかの例では、消毒媒体を投与するために投与機構がアクティベートされる期間のパーセンテージを表すデューティサイクルとして表現されることができ、デューティサイクルが実行される所定の期間を含み得る。部屋投与データは、最大投与量、最小投与量、および他の適切な投与量データをさらに含み得る。
【0031】
ブロック410において、コントローラ200は、部屋投与データおよび共有投与スケジュールに基づいて、部屋投与スケジュールを決定する。部屋投与スケジュールは、投与量が投与されるべき時間を定義し、さらに、投与量で投与される消毒媒体の量(例えば、長さもしくは量またはその両方)を指定することができる。いくつかの例では、部屋投与スケジュールは、部屋投与データによって具体的に定義され得る。他の例では、部屋投与スケジュールは、部屋投与データで指定された投与量、長さ、投与回数、投与強度、投与期間などに基づいて生成され得る。具体的には、部屋投与スケジュールは、共有投与スケジュールに沿って投与量を投与するように定義される。例えば、部屋投与スケジュールで定義された時間は、一次指定時間、および可能であれば、二次、三次および他の指定時間と一致するように選択され得る。すなわち、部屋投与スケジュールは、部屋投与データに基づいて対応する空間112に適切な量の消毒媒体を投与するために定義され、それと同時に、例えば、指定時間に投与される投与量を定義することによって、投与量を共有投与スケジュールに合わせるために前記投与量を投与する時間を定義する。
【0032】
ブロック415において、コントローラ200は、共有投与スケジュールに沿って消毒媒体の投与量を投与するために、投与機構208に部屋投与スケジュールを適用する。具体的には、投与サブシステム104は、内部時計220によって追跡される共通時間によって調整されるように、部屋投与スケジュールによって定義される時間に投与量を投与することができる。
【0033】
例えば、図5を参照すると、共有投与スケジュール500の例が示されている。共有投与スケジュール500は、複数の一次指定時間504、ならびに複数の二次指定時間508を含み得る。一次指定時間504および二次指定時間508は、投与サブシステム104が投与量投与を同期させるために消毒媒体の投与量を投与するための標的とする時間を表す。特に、投与サブシステム104は、最初に一次指定時間504との同期を優先し、可能であれば、部屋投与データで定義されたパラメータに基づいて、二次指定時間508と投与量をさらに同期させる。
【0034】
例えば、5つの例示的な部屋投与スケジュール512-1、512-2、512-3、512-4、および512-5(例えば、空間112のそれぞれに対応する)が示されている。
【0035】
第1の部屋投与スケジュール512-1は、トリガーイベント516-1が空間112-1で発生したときに開始される。例えば、トリガーイベント516-1は、投与サブシステム104-1が空間112-1の消毒を開始する開始時刻に対応し得る。いくつかの例では、部屋投与データは、デューティサイクルと、デューティサイクルが実行される所定の期間を含み得る。例えば、部屋投与スケジュール512-1は、30分の所定の期間で、30分あたり5分のデューティサイクルに基づいて決定され得る。したがって、部屋投与スケジュール512-1は、30分ごとに投与されるようにスケジュールされた投与量520で定義されることができ、30分の所定の期間は、投与量520を共有投与スケジュールに沿って投与するために、一次指定時間504の1つで開始され得る。したがって、本実施例では、トリガーイベント516-1は、一次指定時間504の1つと一致するので、投与量520のうちの1つは、対応する一次指定時間504で直ちに投与される。さらに、見られるように、中間投与量(すなわち、連続する一次指定時間の間に投与される投与量)は、二次指定時間508に対応する。部屋投与スケジュール512-1は、終了時刻などの定義された停止パラメータまで継続することができる。したがって、スケジュール512-1は、開始時刻と終了時刻との間の共有投与スケジュールに従って投与量520を定義する。
【0036】
第2の部屋投与スケジュール512-2は、トリガーイベント516-2が空間112-2で発生したときに開始される。例えば、トリガーイベント516-2は、近くの人の検出に対応し得る。部屋投与データは、同様に、デューティサイクルおよびデューティサイクルが実行される所定の期間、ならびに所定の投与回数を含み得る。例えば、部屋投与スケジュール512-2は、3回の投与について、30分の所定の期間で、30分あたり5分のデューティサイクルに基づいて決定され得る。したがって、部屋投与スケジュール512-2は、30分ごとに投与されるようにスケジュールされた投与量520で定義されることができ、30分の所定の期間は、投与量520を共有投与スケジュールに沿って投与するために、一次指定時間504の1つに対応し得る。特に、トリガーイベント516-2は、一次指定時間504と一致しないので、トリガーイベント516-2の後の次の一次指定時間504まで、投与量520は投与されない。したがって、トリガーイベント516-2の検出のみに基づくのではなく、投与量を共有投与スケジュール500と一致させることにより、投与サブシステム104-2は、投与サブシステム104-1と同期して投与量520を投与することができるのであって、それにより、人が空間112-1と112-2の間を移動するときに消毒媒体の2倍の投与量を受ける可能性を減少させる。
【0037】
第3の部屋投与スケジュール512-3は、トリガーイベント516-3が空間112-3で発生したときに開始される。例えば、トリガーイベント516-3はまた、近くの人の検出に対応し得る。部屋投与データは、デューティサイクルおよびデューティサイクルが実行される所定の期間、ならびに所定の投与回数を含み得る。例えば、部屋投与スケジュール512-3は、4回の投与について、15分の所定の期間で、15分あたり3分のデューティサイクルに基づいて決定され得る。したがって、部屋投与スケジュール512-3は、15分ごとに投与されるようにスケジュールされた投与量520で定義されることができ、15分の所定の期間は、一次指定時間504の1つに対応し得る。この例では、トリガーイベント516-3は、一次指定時間504と一致しない。さらに、デューティサイクルの15分の所定の期間は、トリガーイベント516-3と、トリガーイベント516-3の後の次の一次指定時間504との間の時間よりも短い。したがって、部屋投与スケジュール512-3は、スケジュールされた投与量520の少なくとも1つが一次指定時間504に沿って発生するように、一次指定時間504の前後の両方で投与量520を定義することができる。したがって、トリガーイベント516-3の検出のみに基づくのではなく、投与量を共有投与スケジュール500と一致させることにより、投与サブシステム104-3は、投与サブシステム104-1および104-2と同期して、投与量520のうちの少なくとも1つを投与することができる。
【0038】
第4の部屋投与スケジュール512-4は、トリガーイベント516-4が空間112-4で発生したときに開始される。例えば、トリガーイベント516-4は、投与サブシステム104-4が空間112-4の消毒を開始する開始時刻に対応し得る。いくつかの例では、デューティサイクルが実行される所定の期間は、一次指定時間の間の二次指定時間に対応しない場合がある。例えば、部屋投与スケジュール512-4は、20分の所定の期間で、20分あたり5分のデューティサイクルに基づいて決定され得る。したがって、部屋投与スケジュール512-4は、予め定められたように、20分ごとに投与されるようにスケジュールされた投与量520で定義されることができ、20分の所定の期間の1つは、投与量520を共有投与スケジュールに沿って投与するために、一次指定時間504の1つで開始され得る。したがって、本例では、トリガーイベント516-4は、一次指定時間504の1つと一致するので、投与量520のうちの1つは、対応する一次指定時間504で直ちに投与される。見られるように、中間投与量は、二次指定時間508に対応していないが、部屋投与データで定義された所定の期間に従って投与される。一部の投与量は、他の投与サブシステム104と比較して非同期的に投与されるが、投与量を共有投与スケジュール500と一致させることにより、投与量の少なくとも一部は、依然として他の投与サブシステム104と同期して投与される。つまり、投与サブシステム104-4によって投与される投与量の少なくとも一部は、一次指定時間に投与され、したがって、投与サブシステム104-1、104-2、および104-3と同期して供給される。
【0039】
第5の部屋投与スケジュール512-5は、トリガーイベント516-5が空間112-5で発生したときに開始される。例えば、トリガーイベント516-5は、同様に、投与サブシステム104-5が空間112-5の消毒を開始する開始時刻に対応し得る。いくつかの例では、部屋投与データは、デューティサイクルが実行される特定の期間を規定することなく、デューティサイクルを含み得る。例えば、部屋投与スケジュール512-5は、20分の期間を特に規定することなく、20分あたり5分のデューティサイクルに基づいて決定され得る。したがって、投与サブシステム104-5は、パーセンテージの観点から(すなわち、時間の25%で)デューティサイクルを定義することができ、共有投与スケジュールによりよく対応する投与量投与のための異なる期間を決定することができる。例えば、25%のデューティサイクルを達成するために、投与サブシステム104-5は、15分の所定の期間で、15分あたり3.75分の更新されたデューティサイクルを定義することができる。したがって、部屋投与スケジュール512-5は、一次指定時間504と二次指定時間508のそれぞれとで投与(3.75分続く)が開始されるように、一次指定時間504で期間を開始するように定義され得る。したがって、投与サブシステム104-5によって投与される投与量の少なくとも一部は、他の投与サブシステム104-1、104-2、104-3、および104-4と同期して投与される。
【0040】
他の例では、他の部屋投与データを投与サブシステム104に提供して、部屋の投与スケジュールを生成することができることが理解されよう。例えば、オンとオフの時間を示すデューティサイクルではなく、部屋投与データで投与回数を定義できる。あるいは、部屋投与データは、適用するエアロゾル消毒剤の量(例えば、体積)を定義することができ、投与サブシステム104は、部屋投与スケジュールの一部として各投与量で投与するための投与頻度および対応する量のエアロゾル消毒剤を計算することができる。他の可能な部屋投与データパラメータおよび対応する部屋投与スケジュールの計算もまた、当業者には明らかであろう。さらに、いくつかの例では、空間112間で投与量を同期させるために、可能な場合、共有投与スケジュールに対応するようにデューティサイクルおよび所定の期間が選択され得る。
【0041】
特許請求の範囲は、上記の実施例に記載された実施形態によって限定されるべきではなく、全体としての説明と一致する最も広い解釈を与えられるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
【外国語明細書】