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特開2022-117488荷物引取所及びコンピュータ化されたロッカーバンクの日ごとの利用可能容量を予測する方法
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  • 特開-荷物引取所及びコンピュータ化されたロッカーバンクの日ごとの利用可能容量を予測する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022117488
(43)【公開日】2022-08-10
(54)【発明の名称】荷物引取所及びコンピュータ化されたロッカーバンクの日ごとの利用可能容量を予測する方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/08 20120101AFI20220803BHJP
【FI】
G06Q10/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022011857
(22)【出願日】2022-01-28
(31)【優先権主張番号】21305127
(32)【優先日】2021-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】522040241
【氏名又は名称】クアディエント テクノロジーズ フランス
【氏名又は名称原語表記】QUADIENT TECHNOLOGIES FRANCE
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(72)【発明者】
【氏名】ポワントー,ステファン
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA16
5L049CC51
(57)【要約】      (修正有)
【課題】荷物引取所及びコンピュータ化されたロッカーバンクの日毎の利用可能容量を予測する方法を提供する。
【解決手段】少なくとも1つのコンピュータ化された荷物ロッカーバンク50と、荷物ロッカーバンクが有するロッカーバンクコンピュータ51と通信する予測ユニットと、複数の荷物の行き先を定める行き先決定ユニットと、を備える荷物ロッカーバンク管理システムにおいて、ロッカーバンクコンピュータ51は、プロセッサ及びメモリを備え、荷物ロッカーバンク50に関連するデータを得て該データを予測ユニットに送信する。個別にセキュリティ確保可能な荷物ロッカー1ーL~20ーMの各々は、ドア及びロック機構を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物ロッカーバンク(50)の日ごとの利用可能容量を予測するためのコンピュータ実装方法であって、前記ロッカーバンク(50)は、複数の個別にセキュリティ確保可能な荷物ロッカー(1-20)を備え、以下ではNと表記される第1の整数に等しい最大日数にわたり前記荷物ロッカーバンク(50)の複数の荷物ロッカー(1-20)のうちの1つに荷物を預けることを許可し、前記方法は、第2の整数(P)に等しい数の荷物ロッカーについて、以下の複数の予測工程:
-未来の日(j)と前記選択された未来の日(j)からN-1に等しい日数前との間の各日について前記荷物ロッカーバンクに配達済の又は配達予定の荷物の数を受信する(100)、ここで、前記選択された日(j)は、ユーザが前記荷物ロッカーバンクに少なくとも1つの荷物を配達することを希望する日に対応する、
-前記選択された未来の日(j)において荷物を収容しているであろう荷物ロッカーの数に対応する第3の数(Sj)を推定する(110)、ここで、前記推定は、前記受信した数であって配達済の又は配達予定の荷物の数と、荷物ロッカーからの荷物の引き取り率と、に基づいており、前記引き取り率は、各日について与えられ、荷物ロッカーにまだ預けられている各荷物がそれまでに預けられていた日数に依存する、
-前記選択された未来の日(j)における前記荷物ロッカーバンクの利用可能な荷物ロッカーの数に対応する第4の数(Dj)を計算する(120)、ここで、前記第4の数(Dj)は、前記第2の整数(P)から前記第3の数(Sj)を引いたものである、
を備える、コンピュータ実装方法。
【請求項2】
各引き取り率は、毎日、前記荷物ロッカーバンクの営業時間外に回帰によって推定され、前記回帰では、過去の複数の日についての既知である実際の引き取り率が考慮され、前記複数の日に休日が含まれるか否かが考慮される、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項3】
前記複数の予測工程は、前記第4の数の前記計算の後に、確認工程をさらに備え、前記確認工程は、前記第4の数を閾値と比較することと、前記第4の数が前記閾値よりも小さい場合において利用可能な荷物ロッカーがないことを示すことと、を備える、請求項1又は2に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項4】
前記計算工程の後に、前記未来の日(j)から荷物が預けられうる最後の日(j+N-1)までの間の各日についての第4の数の第2の計算と、確認工程と、を備え、前記第4の数は、この期間の各日についての利用可能な荷物ロッカーの数に対応し、前記第4の数は、前記第3の数と、前記受信した数であって前記荷物ロッカーバンクの前記特定のタイプの荷物ロッカーに前記計算の対象となる日に配達された又は配達予定と配達者によって通知された荷物の数と、に基づいたものであり、前記確認工程は、計算された各第4の数を閾値(τ)と比較することと、計算された各第4の数が前記閾値よりも小さい場合において利用可能な荷物ロッカーがないことを示すことと、を備える、請求項1又は2に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項5】
前記荷物ロッカーバンクは、第1サイズの荷物ロッカーの第1クラスと、前記第1サイズよりも大きい少なくとも1つの第2サイズの荷物ロッカーの少なくとも1つの第2クラスと、を備え、前記複数の予測工程は、荷物ロッカーの各クラスについて繰り返され、荷物ロッカーの各クラスにおいて、前記第2の整数(P)は、荷物ロッカーの該当するクラスの荷物ロッカーの数に対応する、請求項1~4のいずれかに記載のコンピュータ実装方法。
【請求項6】
前記荷物ロッカーバンクは、第1ユーザのみに割り当てられた荷物ロッカーの第1グループと、前記第1ユーザと少なくとも1つの別ユーザとに割り当てられた荷物ロッカーの第2グループと、を有し、前記複数の予測工程は、荷物ロッカーの各グループについて繰り返され、荷物ロッカーの各グループについて、前記第2の整数(P)は、該当するグループの荷物ロッカーの数に対応する、請求項1~4のいずれかに記載のコンピュータ実装方法。
【請求項7】
前記荷物ロッカーバンクは、第1ユーザのみに割り当てられた荷物ロッカーの第1グループと、前記第1ユーザと少なくとも1つの別ユーザとに割り当てられた荷物ロッカーの第2グループと、を有し、各グループは、第1サイズの荷物ロッカーの第1群と、前記第1サイズよりも大きい第2サイズの荷物ロッカーの少なくとも1つの第2群と、を備え、前記複数の予測工程は、荷物ロッカーの各グループの各群について繰り返され、荷物ロッカーの各群に関し、前記第2の整数(P)は、該当するグループについての該当する群の荷物ロッカーの数に対応する、請求項1~4のいずれかに記載のコンピュータ実装方法。
【請求項8】
前記荷物ロッカーバンクが故障した荷物ロッカーを備える場合、前記第2の整数(P)は、故障した荷物ロッカーの数を含めないという考慮をした上で、再計算される、請求項1~7のいずれかに記載のコンピュータ実装方法。
【請求項9】
適切な荷物ロッカーバンクへと1又は複数の荷物の行き先を定めるためのコンピュータ実装方法であって、前記方法は:
-行き先アドレスの近辺に位置する複数の荷物ロッカーバンクのうちの1つにおいて、未来の日(j)に少なくとも1つの荷物を預けるためのリクエストを受信すること(300)、
-前記行き先アドレスに最も近い前記荷物ロッカーバンクを選択し(310)、前記荷物ロッカーバンクの日ごとの利用可能容量を予測するための請求項1~7のいずれかに記載のコンピュータ実装方法を実行することによって、前記選択された未来の日において前記荷物用に利用可能な適切な荷物ロッカーがあるか否かを特定すること(320)、
-前記最も近い荷物ロッカーバンクに前記荷物用に利用可能な適切な荷物ロッカーがない場合、前記選択された未来の日(j)において利用可能な適切な荷物ロッカーが見つかるまで、必要な回数にわたり前記選択及び予測工程を繰り返すこと、ここで、各回における荷物ロッカーバンクは前回選択された荷物ロッカーバンクの次に前記行き先アドレスに最も近い荷物ロッカーバンクである、
-前記選択された未来の日(j)において前記荷物を預けることに利用可能な適切な荷物ロッカーを有する前記荷物ロッカーバンクを示すものを送信し(330)、当該利用可能な適切な荷物ロッカーを予約するべきか否かを前記ユーザに問い合わせること、
を備えるコンピュータ実装方法。
【請求項10】
少なくとも1つのコンピュータ化された荷物ロッカーバンク(50)を備える荷物ロッカーバンク管理システム(30)であって、前記少なくとも1つのコンピュータ化された荷物ロッカーバンク(50)は、複数の個別にセキュリティ確保可能な荷物ロッカー(1-20)を備え、第1の整数(N)に等しい最大日数にわたり前記少なくとも1つのコンピュータ化された荷物ロッカーバンク(50)の複数の荷物ロッカーのうちの1つに荷物を預けることを許可し、前記少なくとも1つのコンピュータ化された荷物ロッカーバンク(50)は、少なくとも1つのロッカーバンクコンピュータ(51)をさらに備え、前記少なくとも1つのロッカーバンクコンピュータ(51)は、少なくとも1つのプロセッサ及びメモリを備え、前記少なくとも1つのコンピュータ化された荷物ロッカーバンク(50)に関連するデータを得て該データを前記少なくとも1つのコンピュータ化された荷物ロッカーバンク(50)の外部に送信するように構成され、荷物ロッカーの数は、第2の整数(P)に等しく、前記複数の個別にセキュリティ確保可能な荷物ロッカーの各々は、少なくとも1つのドア及び少なくとも1つのロック機構を備え、前記荷物ロッカーバンク管理システム(30)は、前記少なくとも1つのコンピュータ化された荷物ロッカーバンク(50)の前記ロッカーバンクコンピュータ(51)と通信する予測ユニット(60)を備え、前記予測ユニット(60)は:
-未来の日(j)と前記選択された未来の日(j)からN-1に等しい日数前との間の各日について前記荷物ロッカーバンクに配達済の又は配達予定の荷物の数を受信するように構成された受信モジュール(61)、ここで、前記選択された未来の日(j)は、ユーザが前記荷物ロッカーバンクに少なくとも1つの荷物を配達することを希望する日に対応する、
-前記選択された未来の日(j)において荷物を収容しているであろう荷物ロッカーの数に対応する第3の数(Sj)を推定するように構成された第1計算モジュール(62)、ここで、前記推定は、前記受信した数であって配達済の又は配達予定の荷物の数と、荷物ロッカーからの荷物の引き取り率と、に基づいており、前記引き取り率は、荷物ロッカーにまだ預けられている各荷物がそれまでに預けられていた日数に依存する、
-前記選択された未来の日(j)における前記荷物ロッカーバンクの利用可能な荷物ロッカーの数に対応する第4の数(Dj)を計算するように構成された第2計算モジュール(63)、ここで、前記第4の数(Sj)は、前記第2の整数(P)から前記第3の数(Sj)を引いたものである、
を備える、荷物ロッカーバンク管理システム(30)。
【請求項11】
前記第1計算モジュール(62)は、回帰モジュール(64)を備え、前記回帰モジュール(64)は、毎日、前記荷物ロッカーバンクの営業時間外に、回帰によって各引き取り率を推定するように構成され、前記回帰では、過去に預けられた荷物についての実際の引き取り日から得られた情報から既知となっている過去の複数の日についての実際の引き取り率が考慮され、前記複数の日に休日が含まれるか否かが考慮される、請求項10に記載の荷物ロッカーバンク管理システム(30)。
【請求項12】
前記計算モジュール(63)は、確認モジュールを備え、前記確認モジュールは、前記第4の数を閾値と比較し、前記第4の数が前記閾値よりも小さい場合において利用可能な荷物ロッカーがないことを示すように構成されている、請求項10又は11に記載の荷物ロッカーバンク管理システム(30)。
【請求項13】
前記少なくとも1つのコンピュータ化された荷物ロッカーバンク(50)は、第1ユーザのみに割り当てられた荷物ロッカーの第1グループと、前記第1ユーザと少なくとも1つの別ユーザとに割り当てられた荷物ロッカーの第2グループと、を有し、各グループは、第1サイズの荷物ロッカーの第1群と、前記第1サイズよりも大きい第2サイズの荷物ロッカーの少なくとも1つの第2群と、を備え、前記複数の予測工程は、荷物ロッカーの各グループの各群について繰り返され、荷物ロッカーの各群に関し、前記第2の整数(P)は、該当するグループについての該当する群の荷物ロッカーの数に対応する、請求項9~11のいずれかに記載の荷物ロッカーバンク管理システム(30)。
【請求項14】
前記少なくとも1つのコンピュータ化された荷物ロッカーバンク(50)が故障した荷物ロッカーを備える場合、前記第2の整数(P)は、故障した荷物ロッカーの数を含めないという考慮をした上で、再計算される、請求項10~13のいずれかに記載の荷物ロッカーバンク管理システム(30)。
【請求項15】
適切な荷物ロッカーバンク(50)へと1又は複数の荷物の行き先を定めるように構成された行き先決定ユニット(70)をさらに備え、前記行き先決定ユニット(70)は:
-行き先アドレスの近辺に位置する前記複数の荷物ロッカーバンクのうちの1つにおいて、選択された未来の日(j)に少なくとも1つの荷物を預けるためのリクエストを受信するように構成されたリクエストモジュール(71)、
-前記行き先アドレスに最も近い前記荷物ロッカーバンクを選択し、前記選択された未来の日において前記荷物用に利用可能な適切な荷物ロッカーがあるか否かを、前記予測ユニット(60)と協働して特定するように構成され、且つ、前記最も近い荷物ロッカーバンクに前記荷物用に利用可能な適切な荷物ロッカーがない場合、前記選択された未来の日(j)において利用可能な適切な荷物ロッカーが見つかるまで、必要な回数にわたり繰り返すように構成された選択モジュール(72)、ここで、各回における荷物ロッカーバンクは前回選択された荷物ロッカーバンクの次に前記行き先アドレスに最も近い荷物ロッカーバンクである、
-前記選択された未来の日(j)において前記荷物を預けることに利用可能な適切な荷物ロッカーを有する前記荷物ロッカーバンクを示すものを送信し、当該利用可能な適切な荷物ロッカーを予約するべきか否かを問い合わせるように構成された送信モジュール(73)、
を備える、請求項10~14のいずれかに記載の荷物ロッカーバンク管理システム(30)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、荷物ロッカーバンクに関する。荷物ロッカーバンクは、荷物引取所としても知られている。本発明は、具体的には、荷物ロッカーバンクの利用可能容量を予測することに関する。
【背景技術】
【0002】
家庭以外の場所すなわち荷物ロッカーバンクへの配達の主たる特異性の1つは、荷物が預けられている荷物ロッカーから荷物がいつ引き取られるのかが全くもって不確かであるという事実にある。そのため、引き取られるべき荷物を収容している荷物ロッカーが利用可能であるか否かを知ったり他の配達に使えるのか否かを知ったりすることは不可能である。この不確かさは、第1に、配達員(carrier agent)にとっては、配達員が荷物ロッカーバンクへの荷物の配達を計画する必要があるときに問題となる。なぜなら、荷物ロッカーバンクに荷物を持っていっても結果的にその荷物をその荷物ロッカーバンクに預けることができない可能性があるというのは非効率であるためであり、それのみならず、引き取りが終わっており荷物ロッカーが利用可能であるという情報を得るために待つのは時間がかかることでありやはり非効率であるためである。この不確かさは、第2に、顧客が荷物を発注するときに、問題となる。なぜなら、顧客に具体的な場所と引取時刻を伝えることは、困難であり、場合によってはほぼ不可能であるためである。
【0003】
さらに、引き取りがいつなのかという上記の不確かさにより、荷物が荷物ロッカーに預けられる時と最終的な受け手によって荷物が引き取られる時との間のタイムラグが生じる。このタイムラグにより、埋まった状態(a stock)が生じる。各荷物は、長さが不明な有限の期間にわたり預けられる。
【0004】
予約というソリューションは、最も安全であるものの最適ではない。配達者(Carriers)は、その予約というソリューション以外の練られたソリューションを提案できない。
【0005】
文書US2018/190062により、コンピュータ化されたロッカーネットワークであって、複数のロッカーバンク、複数のポータブル計算装置及び少なくとも1つのロジスティックサーバを備え、各ロッカーバンクは、ロッカーバンクコンピュータと、個別にセキュリティ確保可能でありドア及びロック機構を有するロッカー庫と、を備えるものが知られるところとなっている。この包括的なシステムは、顧客の家の住所に配達しようとしたができなかった後に、荷物を預かることに利用可能なロッカーバンクのロッカー庫を特定するように構成されている。
【0006】
よって、配達できないリスクを最小限にすることによって荷物ロッカーバンクの効率を最大限にするための改善されたシステム及び方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、荷物ロッカーバンクの日ごとの利用可能容量を予測し、配達できないリスクを最小限にすることによって荷物ロッカーバンクの効率を最大限にすることに役立つコンピュータ実装方法及びコンピュータ化されたシステムを提供することを目的とする。
【0008】
本発明の第1の主題は、荷物ロッカーバンクの日ごとの利用可能容量を予測するためのコンピュータ実装方法であって、上記のロッカーバンクは、複数の個別に(selectively)セキュリティ確保可能な荷物ロッカーを備え、以下ではNと表記される第1の整数に等しい最大日数にわたり上記の荷物ロッカーバンクの複数の荷物ロッカーのうちの1つに荷物を預けることを許可する、コンピュータ実装方法を提案する。
【0009】
本方法は、第2の整数に等しい数の荷物ロッカーについて、以下の複数の予測工程を備える:
-選択された未来の日と該選択された未来の日からN-1に等しい日数前との間の各日について荷物ロッカーバンクに配達済の又は配達予定の荷物の数を受信する、ここで、上記の選択された日は、ユーザが上記の荷物ロッカーバンクに少なくとも1つの荷物を配達することを希望する日に対応する、
-上記の選択された未来の日において荷物を収容しているであろう(should)荷物ロッカーの数に対応する第3の数を推定する、ここで、上記の推定は、上記の受信した数であって配達済の又は配達予定の荷物の数と、荷物ロッカーからの荷物の引き取り率(pick-up rates)と、に基づいており、上記の引き取り率は、各日について与えられ、荷物ロッカーにまだ預けられている荷物がそれまでに預けられていた日数(the number of days a parcel which is still in a parcel locker has been stored for)に依存する、
-上記の選択された未来の日における上記の荷物ロッカーバンクの利用可能な荷物ロッカーの数に対応する第4の数を計算する、ここで、上記の第4の数は、上記の第2の整数から上記の第3の数を引いたものである。
【0010】
上記のような方法は、あらゆる起源から到来する荷物の流れに適用されうる。例えば、家への第1の配達の試みの後に荷物の行き先を荷物ロッカーバンクに変更する場合において、荷物の第2の配達に適用されうる。例えば、荷物ロッカーを使用して電子商取引を行う2者間で荷物の交換を行う場合において、荷物の行き先の決定(direct parcels)に適用されうる。また、例えば、商取引者が荷物をその荷物を配達者が引き取るようにロッカーに入れる場合において、荷物の引き渡しに適用されうる。
【0011】
引き取り率は、他の荷物ロッカーバンクで過去に見られた引き取り率に関する訓練データ群(a training group of data)に基づいたものでありうる。訓練データ群由来の上記引き取り率が使用されて荷物ロッカーバンクの方法及びシステムが開始されうる。
【0012】
荷物ロッカーバンクが使用されると、以下の段落で説明するように、引き取り率は、日ごとのデータであってその日に引き取られた荷物及びまだ荷物が預けられる荷物ロッカーに関するデータを用いて毎日更新されうる。
【0013】
コンピュータ実装方法の第1の側面では、各引き取り率は、毎日、荷物ロッカーバンクの営業時間外に(during closing hours)回帰(regression)によって推定される。回帰では、過去の複数の日についての既知である実際の引き取り率(real pick-up rates for a number of previous days for which the pick-up rate is known)が考慮され、上記の複数の日に休日が含まれるか否か(if some of the days are holidays)が考慮される。
【0014】
率(rates)を扱うことによる主たる利点は、その集約性である。2つのロッカーを考えたとき、各マシン用の引き取り率を計算できるが、2つの荷物ロッカー用の引き取り率を計算することもできる。この集約性により、荷物ロッカー及び物品のペアの全てについて別々の引き取り率を計算することが回避される。
【0015】
個別のモデルが大容量の保管バンクに適用され、他については集約モデルで十分であり、オーバーフローの問題は生じない。
【0016】
さらに、日ごとの回帰において、引き取り率を現在の実際の引き取りに可能な限り近いものとするために、引き取りに関して得られた最新データは、より古いデータに比べ、回帰の際により大きい重み付けがなされて扱われうる。
【0017】
コンピュータ実装方法の第2の側面では、複数の予測工程は、上記の第4の数の計算の後に、確認工程をさらに備えていてもよい。確認工程は、第4の数を閾値と比較することと、第4の数が上記の閾値よりも小さい場合において利用可能な荷物ロッカーがないことを示すことと、を備えていてもよい。
【0018】
上記の第4の数を確認閾値と比較することにより、所望の日において利用可能な荷物ロッカーがあることについてより高い確実性が得られる。実際、利用可能性チェックは引き取りの発生確率(probabilities)に基づいているため、予測通りに利用可能なのではなく最終的には利用不可能である荷物ロッカーがあるリスクが存在する。この閾値は、そのような状況に出くわすリスクを低減することに役立つ。
【0019】
他の実施形態において、コンピュータ実装方法は、計算工程の後に、上記の未来の日から荷物が預けられうる最後の日までの間の各日についての第4の数の第2の計算と、確認工程と、を備えていてもよい。第4の数は、この期間の各日についての利用可能な荷物ロッカーの数に対応しうる。第4の数は、第3の数と、受信した数であって荷物ロッカーバンクの上記の特定のタイプの荷物ロッカーに計算の対象となる日に配達された又は配達予定と配達者によって通知された荷物の数(the received number of parcels delivered or announced to be delivered by carriers to parcel lockers of said specific type of the parcel locker bank on the day for which the calculation is made)と、に基づいたものでありうる。確認工程は、計算された各第4の数を閾値と比較することと、計算された各第4の数が上記の閾値よりも小さい場合において利用可能な荷物ロッカーがないことを示すことと、を備えうる。
【0020】
コンピュータ実装方法の第3の側面では、上記の荷物ロッカーバンクは、第1サイズの荷物ロッカーの第1クラスと、第1サイズよりも大きい少なくとも1つの第2サイズの荷物ロッカーの少なくとも1つの第2クラスと、を備える。上記の複数の予測工程は、荷物ロッカーの各クラスについて繰り返される。荷物ロッカーの各クラスにおいて、第2の整数は、荷物ロッカーの該当するクラスの荷物ロッカーの数に対応する。
【0021】
荷物ロッカーの各クラスについての予測工程の実行は、同時に行われうる。
【0022】
コンピュータ実装方法の第4の側面では、上記の荷物ロッカーバンクは、第1ユーザのみに割り当てられた荷物ロッカーの第1グループと、上記の第1ユーザと少なくとも1つの別ユーザとに割り当てられた荷物ロッカーの第2グループと、を有する。上記の複数の予測工程は、荷物ロッカーの各グループについて繰り返される。荷物ロッカーの各グループについて、第2の整数は、該当するグループの荷物ロッカーの数に対応する。
【0023】
荷物ロッカーの各グループについての予測工程の実行は、同時に行われうる。
【0024】
コンピュータ実装方法の第5の側面では、上記の荷物ロッカーバンクは、第1ユーザのみに割り当てられた荷物ロッカーの第1グループと、上記の第1ユーザと少なくとも1つの別ユーザとに割り当てられた荷物ロッカーの第2グループと、を有する。各グループは、第1サイズの荷物ロッカーの第1群と、第1サイズよりも大きい第2サイズの荷物ロッカーの少なくとも1つの第2群と、を備える。上記の複数の予測工程は、荷物ロッカーの各グループの各群について繰り返される。荷物ロッカーの各群に関し、第2の整数は、該当するグループについての該当する群(said lot for the corresponding group)の荷物ロッカーの数に対応する。
【0025】
荷物ロッカーの各サイズの各群についての予測工程(forecasting steps for each size of each lot of parcel lockers)の実行は、同時に行われうる。
【0026】
コンピュータ実装方法の第6の側面では、荷物ロッカーバンクが故障した荷物ロッカーを備える場合、第2の整数は、故障した荷物ロッカーの数を含めないという考慮をした上で(taking into account the number of defect parcel lockers not to consider)、再計算される。
【0027】
本発明の第2の主題は、適切な荷物ロッカーバンクへと1又は複数の荷物の行き先を定める(directing)ためのコンピュータ実装方法であって、方法は:
-行き先アドレスの近辺に(in the vicinity of)位置する複数の荷物ロッカーバンクのうちの1つにおいて、選択された未来の日に少なくとも1つの荷物を預けるためのリクエストを受信すること、
-行き先アドレスに最も近い荷物ロッカーバンクを選択し、上記の荷物ロッカーバンクの日ごとの利用可能容量を予測するための先に説明したコンピュータ実装方法を実行することによって、上記の選択された未来の日において上記の荷物用に利用可能な適切な荷物ロッカーがあるか否かを特定すること、
-最も近い荷物ロッカーバンクに上記の荷物用に利用可能な適切な荷物ロッカーがない場合、上記の選択された未来の日において利用可能な適切な荷物ロッカーが見つかるまで、必要な回数にわたり選択及び予測工程を繰り返すこと、ここで、各回における荷物ロッカーバンクは前回選択された荷物ロッカーバンクの次に行き先アドレスに最も近い荷物ロッカーバンクである、
-上記の選択された未来の日において上記の荷物を預けることに利用可能な適切な荷物ロッカーを有する上記の荷物ロッカーバンクを示すものを送信し、上記の利用可能な適切な荷物ロッカーを予約するべきか否かを問い合わせること、
を備えるコンピュータ実装方法を提案する。
【0028】
本発明の第3の主題は、少なくとも1つのコンピュータ化された荷物ロッカーバンクを備える荷物ロッカーバンク管理システムであって、上記の荷物ロッカーバンクは、複数の個別にセキュリティ確保可能な荷物ロッカーを備え、以下ではNと表記される第1の整数に等しい最大日数にわたり上記の荷物ロッカーバンクの複数の荷物ロッカーのうちの1つに荷物を預けることを許可し、上記の荷物ロッカーバンクは、少なくとも1つのロッカーバンクコンピュータをさらに備え、該少なくとも1つのロッカーバンクコンピュータは、少なくとも1つのプロセッサ及びメモリを備え、荷物ロッカーバンクに関連するデータを得て該データを荷物ロッカーバンクの外部に送信するように構成され、荷物ロッカーの数は、第2の整数に等しく、複数の個別にセキュリティ確保可能な荷物ロッカーの各々は、少なくとも1つのドア及び少なくとも1つのロック機構を備え、荷物ロッカーバンク管理システムは、上記の荷物ロッカーバンクの上記のロッカーバンクコンピュータと通信する予測ユニットを備え、該予測ユニットは:
-選択された未来の日と該選択された未来の日からN-1に等しい日数前との間の各日について荷物ロッカーバンクに配達済の又は配達予定の荷物の数を受信するように構成された受信モジュール、ここで、上記の選択された日は、ユーザが上記の荷物ロッカーバンクに少なくとも1つの荷物を配達することを希望する日に対応する、
-上記の選択された未来の日において荷物を収容しているであろう荷物ロッカーの数に対応する第3の数を推定するように構成された第1計算モジュール、ここで、上記の推定は、上記の受信した数であって配達済の又は配達予定の荷物の数と、荷物ロッカーからの荷物の引き取り率と、に基づいており、上記の引き取り率は、荷物ロッカーにまだ預けられている荷物がそれまでに預けられていた日数に依存する、
-上記の選択された未来の日における上記の荷物ロッカーバンクの利用可能な荷物ロッカーの数に対応する第4の数を計算するように構成された第2計算モジュール、ここで、上記の第4の数は、上記の第2の整数から上記の第3の数を引いたものである、
を備える、荷物ロッカーバンク管理システムを提案する。
【0029】
荷物ロッカーバンク管理システムの第1の側面では、上記の第1計算モジュールは、回帰モジュールを備える。回帰モジュールは、毎日、荷物ロッカーバンクの営業時間外に、回帰によって各引き取り率を推定するように構成されている。回帰では、過去に預けられた荷物についての実際の引き取り日から得られた情報から既知となっている過去の複数の日についての実際の引き取り率が考慮され、上記の複数の日に休日が含まれるか否かが考慮される。
【0030】
荷物ロッカー管理システムの第2の側面では、上記の計算モジュールは、確認モジュールを備えていてもよい。確認モジュールは、第4の数を閾値と比較し、第4の数が上記の閾値よりも小さい場合において利用可能な荷物ロッカーがないことを示すように構成されていてもよい。
【0031】
荷物ロッカーバンク管理システムの第3の側面では、上記の荷物ロッカーバンクは、第1サイズの荷物ロッカーの第1クラスと、第1サイズよりも大きい少なくとも1つの第2サイズの荷物ロッカーの少なくとも1つの第2クラスと、を備える。上記の複数の予測工程は、荷物ロッカーの各クラスについて繰り返される。荷物ロッカーの各クラスにおいて、第2の整数は、荷物ロッカーの該当するクラスの荷物ロッカーの数に対応する。
【0032】
荷物ロッカーバンク管理システムの第4の側面では、上記の荷物ロッカーバンクは、第1ユーザのみに割り当てられた荷物ロッカーの第1グループと、上記の第1ユーザと少なくとも1つの別ユーザとに割り当てられた荷物ロッカーの第2グループと、を有する。上記の複数の予測工程は、荷物ロッカーの各グループについて繰り返される。荷物ロッカーの各グループについて、第2の整数は、該当するグループの荷物ロッカーの数に対応する。
【0033】
荷物ロッカーバンク管理システムの第5の側面では、上記の荷物ロッカーバンクは、第1ユーザのみに割り当てられた荷物ロッカーの第1グループと、上記の第1ユーザと少なくとも1つの別ユーザとに割り当てられた荷物ロッカーの第2グループと、を有する。各グループは、第1サイズの荷物ロッカーの第1群と、第1サイズよりも大きい第2サイズの荷物ロッカーの少なくとも1つの第2群と、を備える。上記の複数の予測工程は、荷物ロッカーの各グループの各群について繰り返される。荷物ロッカーの各群に関し、第2の整数は、該当するグループについての該当する群の荷物ロッカーの数に対応する。
【0034】
荷物ロッカーバンク管理システムの第6の側面では、荷物ロッカーバンクが故障した荷物ロッカーを備える場合、第2の整数は、故障した荷物ロッカーの数を含めないという考慮をした上で、再計算される。
【0035】
荷物ロッカーバンク管理システムの第7の側面では、適切な荷物ロッカーバンクへと1又は複数の荷物の行き先を定めるように構成された行き先決定ユニットをさらに備え、該行き先決定ユニットは:
-行き先アドレスの近辺に位置する複数の荷物ロッカーバンクのうちの1つにおいて、選択された未来の日に少なくとも1つの荷物を預けるためのリクエストを受信するように構成されたリクエストモジュール、
-行き先アドレスに最も近い荷物ロッカーバンクを選択し、上記の選択された未来の日において上記の荷物用に利用可能な適切な荷物ロッカーがあるか否かを、予測ユニットと協働して特定するように構成され、且つ、最も近い荷物ロッカーバンクに上記の荷物用に利用可能な適切な荷物ロッカーがない場合、上記の選択された未来の日において利用可能な適切な荷物ロッカーが見つかるまで、必要な回数にわたり繰り返すように構成された選択モジュール、ここで、各回における荷物ロッカーバンクは前回選択された荷物ロッカーバンクの次に行き先アドレスに最も近い荷物ロッカーバンクである、
-上記の選択された未来の日において上記の荷物を預けることに利用可能な適切な荷物ロッカーを有する上記の荷物ロッカーバンクを示すものを送信し、上記の利用可能な適切な荷物ロッカーを予約するべきか否かを問い合わせるように構成された送信モジュール、
を備える。
【0036】
本発明は、例示的なものであり且つ非限定的に示された以下の明細書を、以下の添付図面を参照しながら読むことにより、より理解される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1図1は、荷物ロッカーバンクの例の概略図である。
図2図2は、荷物ロッカーバンクの日ごとの利用可能容量を予測するための、本発明の実施形態に係るコンピュータ実装方法のフローチャートである。
図3図3は、荷物ロッカーバンクのネットワークにおける適切な荷物ロッカーバンクへと1又は複数の荷物の行き先を定めるための、実施形態に係るコンピュータ実装方法のフローチャートである。
図4図4は、図1の少なくとも1つのコンピュータ化された荷物ロッカーバンクを備える荷物ロッカーバンク管理システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明は、具体的な実施形態に関して図面を参照して説明されるが、これに限定されず、請求項によってのみ限定される。記載されている図面は、概略的であり非限定的なものに過ぎない。図面では、説明目的で、要素のサイズが誇張されていたり寸法通りに描かれていなかったりすることがある。本明細書及び請求項において「備える」という用語が使用されている場合、他の要素又は工程は排除されない。単数名詞を指すときに例えば「1つの(「a」又は「an」)」等の不定冠詞が使用されたり「前記(the)」等の定冠詞が使用されたりしている場合、これは、反対のことが具体的に記載されていない限り、複数のその名詞を含む。
【0039】
請求項において使用される「備える」という用語は、その後に列記する手段に限定して解釈されるべきではない。請求項において使用される「備える」という用語は、他の要素又は工程を排除しない。このため、「装置は手段A及びBを備える」という表現の範囲は、要素A及びBのみからなる装置に限定されるべきではない。本発明に関して、この表現は、装置の関連要素がA及びBであることを意味するに過ぎない(It means that with respect to the present invention, the only relevant components of the device are A and B)。
【0040】
さらに、本明細書及び請求項において、第1、第2、第3等の用語は、類似の要素を区別するために使用されているのであって、必ずしもある順序又は時系列順を説明するために使用されるわけではない。このように使用される用語は適切な状況下においては互換的であり、本明細書に記載されている発明の実施形態は本明細書で記載又は説明されている順序とは別の順序で動作可能であることに留意されたい。
【0041】
図1は、荷物ロッカーバンク50を概略的に示す。荷物ロッカーバンク50は、複数の個別にセキュリティ確保可能な荷物ロッカーを備える。各荷物ロッカーは、図面において、1と20との間の数字で示されている。各荷物ロッカーは、3つのサイズのうちの1つを有する。各サイズは、図2において、以下の参照符号により示されている:荷物ロッカーの最小サイズを指すS、荷物ロッカーの最大サイズを指すL、及び、SとLの間の中間サイズ又は中サイズを指すM。
【0042】
荷物ロッカーバンクは、第1の整数に等しい最大日数にわたり荷物ロッカーバンクの複数の荷物ロッカーのうちの1つに荷物を預けることを許可するように構成されている。第1の整数は、以下ではNと表記され、例えば4日(N=4)である。上記の最大日数に等しい日数の後に荷物がまだ荷物ロッカーにある場合、荷物は翌日に配達者によって退かされる。このように、荷物の引き取りがないことで荷物ロッカーが埋まる(get stuck)ことはない。
【0043】
荷物ロッカーバンク50は、ロッカーバンクコンピュータ51を備え、ロッカーバンクコンピュータ51は、プロセッサ及びメモリを備え、荷物ロッカーバンク50に関連するデータを得て該データを荷物ロッカーバンク管理システム30に送信するように構成されている。個別にセキュリティ確保可能な荷物ロッカー1~20の各々は、ドア及びロック機構を備える。
【0044】
図2は、荷物ロッカーバンクの日ごとの利用可能容量を予測するための、本発明の実施形態に係るコンピュータ実装方法のフローチャートである。
【0045】
方法は、第2の整数に等しい数の荷物ロッカーについて、及び、特定の日について、実行される。第2の整数は、以下ではPと表記される。特定の日は、以下ではjと表記され、例えば配達員等のような荷物ロッカーのユーザが上記の荷物ロッカーバンクに少なくとも1つの荷物を配達することを希望する日に対応する。上記の荷物ロッカーバンク50に預けられた各荷物は、その荷物が荷物ロッカーに預けられた日からNに等しい最大日数にわたって預けられることが許可される。よって、荷物は、例えば上記の特定の未来の日j等のような預かり日から荷物ロッカーに預けられ、最長で日j+N-1に対応する日まで預けられうる。日j+N-1は、許容される最も遅い預かり日を指す。
【0046】
図示されているように、上記の方法は、以下の複数の予測工程を備える。第1工程100において、上記の特定の未来の日jと上記の許容される最も遅い預かり日j+N-1との間の各日について、及び、日jとこの未来の日からN-1に等しい日数前との間の各日について、荷物ロッカーバンク50に配達済の又は配達予定の荷物の数を受信する。上記の未来の日からN-1に等しい日数前とは、すなわち日j-N+1まで遡るということである。
【0047】
第2工程110において、第3の数Sjが推定される。第3の数Sjは、上記の特定の未来の日jにおいて荷物を収容しているであろう荷物ロッカーの数に対応する。この推定は、配達済の又は配達予定の荷物の数と、荷物ロッカーからの荷物の引き取り率と、に基づいている。引き取り率は、荷物ロッカーにまだ預けられている荷物がそれまでに預けられていた日数に依存する。
【0048】
第3の数Sjは、以下の数式により与えられる:
【数1】
【0049】
ここで、Delxは、日xにおける荷物ロッカーバンクへの荷物の配達の数に対応する。PckRatey,zは、日zに配達される荷物の日yにおける引き取り率に対応する。日yは、日zよりも後である。Delxは、日xについて既に行われた又は配達予定と配達者によって通知された配達に対応する。
【0050】
荷物ロッカーバンクが、荷物ロッカーバンクの日ごとの利用可能容量を予測するための方法に関する運用にこれから入ろうというとき(due to enter production)、荷物ロッカーバンクに適用される引き取り率は、同一の荷物ロッカーバンク又は類似の荷物ロッカーバンクで過去に見られた引き取り率に関する訓練データ群に基づいたものである。荷物ロッカーバンクが荷物ロッカーバンクの日ごとの利用可能容量を予測するための方法に関する運用に入るときに、訓練データ群由来の引き取り率が使用されて方法が開始される。荷物ロッカーバンクが運用中に使用されると、以下の段落で説明するように、引き取り率は、荷物ロッカーバンクに関連する荷物の流れに関する日ごとのデータを用いて毎日更新される。
【0051】
引き取り率に関してシステムを訓練するために、複数の荷物ロッカーは、ペア(ロッカー、物品)、すなわち特定の荷物ロッカーに預けられる物品のタイプ(i.e. the type product stored in a given parcel locker)、に関して分類され、以下の2つの変数すなわち配達の総数及び利用期間(seniority)が、分類に使用されうる。よって、適用されるモデルは、ロッカーに配達される荷物の数及び荷物ロッカーの利用期間(age)によって異なる。
【0052】
例えば、ペア(ロッカー、物品)が厳密に365よりも大きい配達の総数を有する場合、個別のモデルが適用される。そうではない場合、互いに隣り合い同一のペア相手を有する(next to each other and with the same partner)荷物ロッカーはほぼ同様と考えられるため、最も近くにある個々のものを一括りに扱うための別のモデルが適用される。
【0053】
(個別のモデルではない)同一のモデルを有する2組のペア(ロッカー、物品)は、同一の訓練データセットを有する。そのため、同一の引き取り率を有する。
【0054】
各引き取り率は、毎日、荷物ロッカーバンクの営業時間外に、回帰によって推定される。回帰では、過去の複数の日についての既知である実際の引き取り率が考慮され、上記の複数の日に休日が含まれるか否かが考慮される。
【0055】
第3工程120において、第4の数Djが計算される。第4の数Djは、上記の特定の未来の日jにおける荷物ロッカーバンクの利用可能な荷物ロッカーの数に対応する。第4の数Djは、上記の第2の整数から上記の第3の数を引いたものであり、すなわちDj=P-Sjである。よって、第3の数は、計算の対象となる日において残っている利用可能な荷物ロッカーに対応する。換言すると、日jについての第3の数は、日jの例えば午前6時等のような特定の時点における利用可能な荷物ロッカーの数であって、現在預けられている、又は、荷物ロッカーに日jに配達予定と通知されている、荷物だけを考慮した数(the number of available parcel lockers for day j considering only the parcels currently stored or announced to be delivered into a parcel locker for day j, at a specific time such as 6 am)に対応する。
【0056】
本実施形態では、方法は、第4工程130を備える。第4工程130は、所望の日における荷物ロッカーの利用可能性に関する誤りのリスクを低減する工程である。第4工程130は、第4の数を閾値と比較することと、第4の数が上記の閾値よりも小さい場合において利用可能な荷物ロッカーがないことを示すことと、を備える。
【0057】
予測工程100~130は、荷物ロッカーの各サイズS、M及びLについて繰り返される。各繰り返しにおいて、第2の整数Pは該当するサイズの荷物ロッカーの数に対応し、荷物ロッカーバンクへの荷物の配達の数はそのサイズに関するものに対応し、引き取り率に相違がある場合には引き取り率は該当するサイズに関するものに対応する。
【0058】
図1に示す荷物ロッカーバンクの実施形態において、荷物ロッカーバンク50は、明るいグレーで示され第1ユーザのみに割り当てられた荷物ロッカーの第1グループと、図1において斜線が付され第2ユーザのみに割り当てられた荷物ロッカーの第2グループと、白で示され上記の第1ユーザ及び上記の第2ユーザによって共有された荷物ロッカーの第3グループと、を有する。
【0059】
このような構成において、予測工程110~130は荷物ロッカーの各グループについて繰り返される。荷物ロッカーの各グループについて、第2の整数Pは、荷物ロッカーの該当するグループの荷物ロッカーの数に対応する。
【0060】
オプションでは、方法はまた、荷物ロッカーバンクが故障した荷物ロッカーを備えるか否かを考慮しうる。この例では、第2の整数Pは、故障した荷物ロッカーの数を含めないという考慮をした上で、再計算される。
【0061】
図2に示す方法の他の実施形態において、方法は、上記の第3工程120及び第4工程130の間に追加工程を備えうる。
【0062】
追加工程125において、日jと日j+N-1との間の各々について、第4の数が計算される。第4の数は、この期間の各日についての利用可能な荷物ロッカーの数に対応する。第4の数は、第3の数と、受信した数であって荷物ロッカーバンクの上記の特定のタイプの荷物ロッカーに計算の対象となる日に配達された又は配達予定と配達者によって通知された荷物の数と、に基づいたものである。よって、第4の数は、荷物が日jに預けられる場合に荷物が預けられうる期間すなわち荷物が荷物ロッカーバンクの荷物ロッカーに預けられうるN日間の毎日についての、既に預けられた全ての荷物と預けられることが予定されている全ての荷物とを考慮した上記の特定のタイプの利用可能な荷物ロッカーの数に対応する。
【0063】
第4の数Ejは、以下の数式により与えられる:
上記の所望の日jに関し、
【数2】
日j+1と日j+N-1との間の日に関し、
【数3】
【0064】
ここで、kは、計算パラメータであり、計算が各日を対象とするが故の整数である。
【0065】
上記の実施形態において、第4工程130は、上記の所望の日jから荷物が預けられうる最後の日である日j+N-1までの各日について、上記の第4の数Ejと閾値τとを比較することを備える。比較された各第4の数が上記の閾値よりも大きい場合、該当する荷物ロッカーバンク50において荷物ロッカーが該当する荷物用に利用可能であることを示すものが信号に与えられる。換言すると、
【数4】
の場合に、上記の示すものが送信される。
【0066】
図3は、荷物ロッカーバンクのネットワークにおける適切な荷物ロッカーバンク50へと1又は複数の荷物の行き先を定めるためのコンピュータ実装方法のフローチャートである。
【0067】
方法の第1工程300において、行き先アドレスの近辺に位置する複数の荷物ロッカーバンクのうちの1つにおいて、特定の未来の日jに少なくとも1つの荷物を預けるためのリクエストが受信される。
【0068】
第2工程310において、行き先アドレスに最も近い荷物ロッカーバンクが選択される。そして、第3工程320において、図2のコンピュータ実装方法の予測工程100~120を実行することによって、上記の特定の未来の日jにおいて上記の荷物用に利用可能な適切な荷物ロッカーがあるか否かが特定される。
【0069】
荷物ロッカーは、サイズが荷物を中に入れるのに十分に大きく、且つ、該荷物ロッカーをリクエストするユーザとは別のユーザのみに該荷物ロッカーが割り当てられているのではない場合、荷物を入れることに適切であると扱われる。工程310及び320は、同一の行程において実行されうる。なぜなら、本発明は、利用可能なロッカーを有する荷物ロッカーバンクを特定することを可能にするものであるためである。
【0070】
工程320において、工程310で選択された最も近い荷物ロッカーバンクに上記の荷物用に利用可能な適切な荷物ロッカーがない場合、上記の特定の未来の日において利用可能な適切な荷物ロッカーが見つかるまで、必要な回数にわたり工程310及び320が繰り返される。ただし、各繰り返しは別の荷物ロッカーバンクでなされ、各回において選択される荷物ロッカーバンクは前回選択された荷物ロッカーバンクの次に行き先アドレスに最も近い荷物ロッカーバンクである。
【0071】
他の優先度が、異なる特徴の相互間で設定されうる。例えば、アクセス可能な領域が、第1に荷物ロッカーのサイズによって、次に割り当てられた領域によって(第1にユーザに割り当てられた荷物ロッカー、次に異なるユーザ間で共有された荷物ロッカー)、次に快適な領域によって(by comfort zones)、分類されうる。
【0072】
工程320において適切な荷物ロッカーが見つかると、方法は、第4工程330において、上記の特定の未来の日jにおいて上記の荷物を預けることに利用可能な適切な荷物ロッカーを有する選択された荷物ロッカーバンクを示すものを送信し、上記の適切な荷物ロッカーを予約するべきか否かを問い合わせる。
【0073】
図2及び3に示す方法において、推定及び計算は日ごとに行われる。すなわち、全ての引き取り率が1日ついて与えられ、配達又は引き取りに関する全ての数字が1日ついて与えられる。
【0074】
一日の最初に開始され、通常は午前7時と午後4時との間である、荷物を配達する段階において、荷物ロッカーが新たに利用可能となることはない(又は限定的である)ことが見受けられる。その日に又は以前の日に荷物が配達された荷物ロッカーは、午後5時までは利用可能とはならない。よって、日ごとのモデリングは、配達段階の前、例えば午前6時等、に行えば十分である。
【0075】
図4は、荷物ロッカーバンク管理システム30の概略図である。荷物ロッカーバンク管理システム30は、図1に定める少なくとも1つのコンピュータ化された荷物ロッカーバンク50を備える。荷物ロッカーバンク管理システムは、中央装置40を備える。中央装置40は、予測ユニット60、行き先決定ユニット70及びデータ格納ユニット80を備える。中央装置40及びそのユニット60、70及び80は、荷物ロッカーバンク50のロッカーバンクコンピュータと通信する。データ格納ユニット80は、少なくとも1つのコンピュータ化された荷物ロッカーバンク50によって送信された全ての情報を受信し格納するように構成されている。
【0076】
予測ユニット60は、図3の荷物ロッカーバンクのネットワークにおける適切な荷物ロッカーバンク50へと1又は複数の荷物を割り当てるためのコンピュータ実装方法を実行するように構成されている。この目的で、予測ユニット60は、受信モジュール61、第1計算モジュール62、第2計算モジュール63及び回帰モジュール64を備える。
【0077】
受信モジュール61は、特定の未来の日jと該特定の日jからN-1日後の未来の日との間の各日について荷物ロッカーバンクに配達済の又は配達予定の荷物の数を、データ格納ユニット80から受信するように構成されている。上記の特定の日は、ユーザが上記の荷物ロッカーバンクに少なくとも1つの荷物を配達することを希望する日に対応する。他の実施形態では、受信モジュール61は、複数の別個のモジュールであって各モジュールが特定タイプの情報を受信することに特化したものである複数の別個のモジュールによって構成されている。
【0078】
第1計算モジュール62は、第3の数Sjを推定するように構成されている。第2計算モジュール63は、第4の数Djを計算するように構成されている。
【0079】
第1計算モジュール62は、回帰モジュール64を備える。回帰モジュール64は、毎日、荷物ロッカーバンクの営業時間外に、回帰によって各引き取り率を推定するように構成されている。回帰では、過去に預けられた荷物についての実際の引き取り日から得られた情報から既知となっている過去の複数の日についての実際の引き取り率が考慮され、上記の複数の日に休日が含まれるか否かが考慮される。
【0080】
行き先決定ユニット70は、リクエストの対象となった各荷物の行き先を、適切な荷物ロッカーバンク50に定めるように構成されている。行き先決定ユニット70は、リクエストモジュール71、選択モジュール72及び送信モジュール73を備える。
【0081】
リクエストモジュール71は、行き先アドレスの近辺に位置する複数の荷物ロッカーバンク50のうちの1つにおいて、特定の未来の日jに荷物を預けるためのリクエストを受信するように構成されている。
【0082】
選択モジュール72は、行き先アドレスに最も近い荷物ロッカーバンクを選択し、上記の特定の未来の日jにおいて上記の荷物用に利用可能な適切な荷物ロッカーがあるか否かを、予測ユニット60の他のモジュールと協働して特定するように構成されている。
【0083】
送信モジュール73は、上記の特定の未来の日jにおいて上記の荷物を預けることに利用可能な適切な荷物ロッカーを有する最も近い荷物ロッカーバンクを示すものを送信し、選択された荷物ロッカーを予約するべきか否かをユーザすなわち配達員に問い合わせるように構成されている。
【0084】
本発明は、荷物ロッカーバンクの日ごとの利用可能容量を予測し、配達できないリスクを最小限にすることによって荷物ロッカーバンクの効率を最大限にすることに役立つコンピュータ実装方法及びコンピュータ化されたシステムを提供する。
図1
図2
図3
図4
【外国語明細書】