(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022117497
(43)【公開日】2022-08-10
(54)【発明の名称】医薬品
(51)【国際特許分類】
A61K 36/61 20060101AFI20220803BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20220803BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20220803BHJP
A61K 9/16 20060101ALI20220803BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20220803BHJP
A61K 36/254 20060101ALI20220803BHJP
A61K 31/375 20060101ALI20220803BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220803BHJP
A61K 31/575 20060101ALI20220803BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20220803BHJP
A61P 1/02 20060101ALI20220803BHJP
【FI】
A61K36/61
A61K9/20
A61K9/48
A61K9/16
A61K9/14
A61K36/254
A61K31/375
A61P43/00 121
A61K31/575
A61P1/00
A61P1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022012624
(22)【出願日】2022-01-31
(31)【優先権主張番号】P 2021013589
(32)【優先日】2021-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000163006
【氏名又は名称】興和株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐野 啓
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
4C088
【Fターム(参考)】
4C076AA30
4C076AA31
4C076AA36
4C076AA53
4C076BB01
4C076CC16
4C076FF63
4C086AA01
4C086AA10
4C086BA18
4C086DA11
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA43
4C086MA52
4C086NA03
4C086ZA66
4C086ZA67
4C086ZC75
4C088AB16
4C088AB57
4C088BA09
4C088CA05
4C088CA08
4C088MA08
4C088MA35
4C088MA37
4C088MA43
4C088NA03
4C088ZA66
4C088ZA67
4C088ZC75
(57)【要約】
【課題】チョウジ及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上と、ビタミンC類との間の配合変化を抑制する技術の提供。
【解決手段】次の成分(A)及び(B):
(A)チョウジ及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上;
(B)次の成分(B-1)、(B-2)及び(B-3)よりなる群から選ばれる1種以上;
(B-1)ビタミンC類;
(B-2)ガンマーオリザノール;
(B-3)エゾウコギ及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上;
を含有する医薬組成物が、気密包装体に収容されてなる医薬品。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)及び(B):
(A)チョウジ及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上;
(B)次の成分(B-1)、(B-2)及び(B-3)よりなる群から選ばれる1種以上;
(B-1)ビタミンC類;
(B-2)ガンマーオリザノール;
(B-3)エゾウコギ及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上;
を含有する医薬組成物が、気密包装体に収容されてなる医薬品。
【請求項2】
成分(A)が、チョウジ、チョウジの水抽出物、チョウジの炭素数1~6の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族アルコールの抽出物、及びチョウジの水と炭素数1~6の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族アルコールとの混液の抽出物よりなる群から選ばれる1種以上である、請求項1に記載の医薬品。
【請求項3】
成分(B-1)が、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム及びアスコルビン酸カルシウムよりなる群から選ばれる1種以上である、請求項1又は2に記載の医薬品。
【請求項4】
成分(B-3)が、エゾウコギ、エゾウコギの水抽出物、エゾウコギの炭素数1~6の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族アルコールの抽出物、及びエゾウコギの水と炭素数1~6の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族アルコールとの混液の抽出物よりなる群から選ばれる1種以上である、請求項1~3のいずれか記載の医薬品。
【請求項5】
医薬組成物が、固形製剤である、請求項1~4のいずれか1項に記載の医薬品。
【請求項6】
医薬組成物の剤形が、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤又は丸剤である、請求項1~5のいずれか1項に記載の医薬品。
【請求項7】
気密包装体が、ビン包装、SP包装、PTP包装、ピロー包装及びスティック包装よりなる群から選ばれる1種以上である、請求項1~6のいずれか1項に記載の医薬品。
【請求項8】
次の成分(A):
(A)チョウジ及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上;
と次の成分(B):
(B)次の成分(B-1)、(B-2)及び(B-3)よりなる群から選ばれる1種以上;
(B-1)ビタミンC類;
(B-2)ガンマーオリザノール;
(B-3)エゾウコギ及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上;
とを、同一の組成物中に含有せしめる工程、及びかかる組成物を気密包装体に収容する工程を含む、組成物の安定化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品等に関する。
【背景技術】
【0002】
チョウジ(丁子)は、第十七改正日本薬局方において、Syzygium aromaticum Merrill et Perry (Eugenia caryophyllata Thunberg)(Myrtaceae)のつぼみであり、強い特異なにおいがあるとされる生薬である(非特許文献1)。チョウジの精油成分は胃酸分泌を促し、芳香性健胃作用を持つとされており胃腸薬などに配合されるほか、抗菌作用や歯痛止め作用も有するとされうがい薬や歯痛・歯槽膿漏薬に配合されることもある(非特許文献2)。
このようなチョウジの持つ多彩な薬理作用から、種々の成分との配合剤の開発が期待される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】第十七改正日本薬局方解説書 株式会社廣川書店 第D-632~635頁
【非特許文献2】OTC薬ハンドブック2013 株式会社じほう 第368頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の状況の下、本発明者が、チョウジと他の成分との配合剤を開発するため鋭意検討したところ、チョウジ及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上(以下、本明細書において「成分(A)」と称することがある。)と以下の成分1~3のうちのいずれか(以下、本明細書において、下記1~3をそれぞれ「成分(B-1)」、「成分(B-2)」、「成分(B-3)」と称し、また、成分(B-1)、(B-2)及び(B-3)よりなる群から選ばれる1種以上を「成分(B)」と称することがある。):
1 アスコルビン酸ナトリウムなどの、ビタミンC類
2 ガンマーオリザノール
3 エゾウコギ乾燥エキスなどの、エゾウコギ及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上
とを共存させると、意外にも、これらの成分の間に配合変化が生じ、時間の経過に伴い変色や固化といった安定性の問題が生じることが判明した。
【0005】
したがって、本発明は、チョウジ及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上と、ビタミンC類、ガンマーオリザノール並びにエゾウコギ及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上との間の配合変化を抑制する技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明者は更に検討した結果、チョウジ及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上と、ビタミンC類、ガンマーオリザノール並びにエゾウコギ及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上とを含有する医薬組成物を気密包装体に収容することによって、気密包装体に収容しない場合と比較して配合変化を抑制できることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、次の成分(A)及び(B):
(A)チョウジ及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上;
(B)次の成分(B-1)、(B-2)及び(B-3)よりなる群から選ばれる1種以上;
(B-1)ビタミンC類;
(B-2)ガンマーオリザノール;
(B-3)エゾウコギ及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上;
を含有する医薬組成物が、気密包装体に収容されてなる医薬品を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、チョウジ及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上と、ビタミンC類、ガンマーオリザノール並びにエゾウコギ及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上との間の配合変化を抑制できる。従って、保存安定性に優れた医薬を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<成分(A)>
本発明において「チョウジ」(丁子)としては、例えば、Syzygium aromaticum Merrill et Perry (Eugenia caryophyllata Thunberg)(Myrtaceae)のつぼみ及び葉から選ばれる1種以上の部位が挙げられ、つぼみが好ましい。チョウジは必要に応じてその形態を調節することができ、小片、小塊に切断若しくは破砕、又は粉末に粉砕することができる。なお、本明細書において、チョウジを粉末としたものを「チョウジ末」という。
また、医薬組成物の製造時の取扱の便宜等を考慮して、チョウジに何らかの抽出処理を施したもの(以下、「チョウジの抽出物」と称する。)を用いてもよい。かかるチョウジの抽出物としては、例えば、チョウジエキス(チョウジを水とエタノールの混液で抽出して得たエキス)や第十七改正日本薬局方に規定のチョウジ油(Syzygium aromaticum Merrill et Perry (Eugenia caryophyllata Thunberg) (Myrtaceae)のつぼみ又は葉を水蒸気蒸留して得た精油)などが挙げられる。
なお、上記「チョウジの抽出物」には、抽出処理に加えて、加熱、乾燥、粉砕等の加工処理を施したものも包含される。具体的には、チョウジを必要に応じて適当な大きさとした後に、適当な抽出溶媒を加えて浸出した液や、当該浸出液を濃縮した液(軟エキス、チンキ等)、さらにこれらを乾燥させたもの(乾燥エキス等)なども本発明の「チョウジの抽出物」に包含される。
本発明において、チョウジ及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上としては、チョウジ、チョウジの水抽出物、チョウジの炭素数1~6の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族アルコールの抽出物、及びチョウジの水と炭素数1~6の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族アルコールとの混液の抽出物よりなる群から選ばれる1種以上が好ましく、チョウジ、チョウジの水抽出物、チョウジのエタノール抽出物、及びチョウジの水とエタノールとの混液の抽出物よりなる群から選ばれる1種以上がより好ましく、チョウジ末、チョウジ油が特に好ましい。
【0010】
チョウジの抽出物の製造方法は特に限定されず、例えば第十七改正日本薬局方 製剤総則の「エキス剤」、「浸剤・煎剤」、「チンキ剤」、「流エキス剤」の項の記載など、公知の植物抽出物の製造方法を参考にして製造できる。具体的には例えば、チョウジを必要に応じて切断、加熱、乾燥、粉砕等したうえ、適当な抽出溶媒を加え抽出を行うことで、製造することができる。得られた抽出物は、必要に応じさらに濃縮、乾燥等させてもよい。
【0011】
上記抽出溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール等の低級一価アルコール(好適には、炭素数1~6の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族アルコール);エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン等の低級多価アルコール;ジエチルエーテル等のエーテル類;アセトン、エチルメチルケトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類;アセトニトリル等のニトリル類;ペンタン、ヘキサン、シクロペンタン、シクロヘキサン等のアルカン類;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲノアルカン類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素;ジメチルホルムアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;水(熱水を含む)等が挙げられる。これらは各々単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。本発明において抽出溶媒としては、水又は炭素数1~6の直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族アルコールを少なくとも含む溶媒が好ましく、水、炭素数1~6の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族アルコール、及び水/炭素数1~6の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族アルコールの混液より選ばれる溶媒であるのがより好ましく、水、エタノール及び水/エタノール混液より選ばれる溶媒が特に好ましい。
【0012】
抽出操作は特に限定されず、植物からの抽出操作に利用される公知の方法を採用することができ、例えば、抽出溶媒への浸漬(冷浸、温浸、パーコレーション等)、超臨界流体や亜臨界流体を用いた抽出などが挙げられる。なお、抽出効率を上げるため、攪拌や抽出溶媒中でホモジナイズしてもよい。
抽出温度は特に限定されず、使用する抽出溶媒、抽出操作等により異なるが、5℃以上抽出溶媒の沸点以下の温度とするのが好ましい。
抽出時間は特に限定されず、使用する抽出溶媒、抽出操作等により異なるが、1時間以上14日間以下程度とするのが好ましい。
【0013】
また、本発明においては、チョウジ及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上として、これらを構成成分として含む漢方処方を用いてもよい。このような漢方処方としては、例えば、丁香茯苓湯(ちょうこうぶくりょうとう)、丁香柿蔕湯(ちょうこうしていとう)、女神湯(にょしんとう)、丁香呉茱萸湯(ちょうこうごしゅゆとう)等が挙げられる。
【0014】
本発明において、チョウジ及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上としては、市販品を用いることができ、具体的な市販品としては例えば、(局)チョウジ末、チョウジエキス、チョウジ流エキス、(局)チョウジ油、チョウジチンキ(以上、日本粉末薬品 (株)製)等が挙げられる。
【0015】
本発明において、チョウジ及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上の含有量は特に限定されないが、医薬組成物全質量に対して合計で、0.01~50質量%含有するのが好ましく、0.05~15質量%含有するのがより好ましく、0.1~10質量%含有するのがさらに好ましく、1~5質量%含有するのが特に好ましい。また、チョウジ及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上の含有量を原生薬量に換算した場合においては、医薬組成物全質量に対して原生薬換算量で合計0.01~17質量%含有するのが好ましく、0.1~12質量%含有するのがより好ましく、2~6質量%含有するのが特に好ましい。
【0016】
<成分(B-1)>
本発明において「ビタミンC類」としては、アスコルビン酸そのもののほか、その塩(ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩など)も包含され、本発明においては、これらを単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム及びアスコルビン酸カルシウムよりなる群から選ばれる1種以上が好ましく、アスコルビン酸ナトリウムが特に好ましい。
これらのビタミンC類は公知の化合物であり、市販のものを用いてもよく、また、公知の方法により製造することも可能である。
【0017】
本発明において、ビタミンC類の含有量は特に限定されないが、医薬組成物全質量に対して合計で1~50質量%含有するのが好ましく、5~35質量%含有するのがより好ましく、7.5~30質量%含有するのがさらに好ましく、10~25質量%含有するのが特に好ましい。
【0018】
医薬組成物における、チョウジ及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上とビタミンC類との含有質量比率は特に限定されないが、チョウジ及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上を合計で1質量部に対し、ビタミンC類を合計で0.01~50質量部含有するのが好ましく、0.1~20質量部含有するのがより好ましく、1~10質量部含有するのが特に好ましい。また、チョウジ及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上の含有量を原生薬量に換算した場合においては、チョウジ及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上を原生薬換算量で合計して1質量部に対し、ビタミンC類を合計で0.01~55質量部含有するのが好ましく、0.1~25質量部含有するのがより好ましく、2~12質量部含有するのが特に好ましい。
【0019】
<成分(B-2)>
「ガンマーオリザノール」とは、イネ(Oryza sativa L.)の種皮等から得られ、主としてトリテルペンアルコールのフェルラ酸(3-メトキシ-4-ヒドロキシ桂皮酸)エステルからなるものである。本発明において、ガンマーオリザノールの原料、精製方法、製造方法等は特に限定されないが、医薬部外品原料規格2006に記載のガンマーオリザノールが好ましい。
ガンマーオリザノールは公知の成分であり、市販のものを用いてもよく、また、公知の方法により製造することも可能である。
【0020】
本発明において、ガンマーオリザノールの含有量は特に限定されないが、医薬組成物全質量に対して合計で、0.01~50質量%含有するのが好ましく、0.05~15質量%含有するのがより好ましく、0.1~10質量%含有するのがさらに好ましく、0.5~5質量%含有するのが特に好ましい。
【0021】
医薬組成物における、チョウジ及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上とガンマーオリザノールとの含有質量比率は特に限定されないが、チョウジ及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上を合計で1質量部に対し、ガンマーオリザノールを合計で0.001~10質量部含有するのが好ましく、0.01~5質量部含有するのがより好ましく、0.1~1質量部含有するのが特に好ましい。また、チョウジ及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上の含有量を原生薬量に換算した場合においては、チョウジ及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上を原生薬換算量で合計して1質量部に対し、ガンマーオリザノールを合計で0.005~13質量部含有するのが好ましく、0.05~8質量部含有するのがより好ましく、0.2~2質量部含有するのが特に好ましい。
【0022】
<成分(B-3)>
「エゾウコギ」(蝦夷五加)は、ロシア、中国(黒龍江流域)、日本(北海道東部)を原産地とするウコギ科に属する落葉潅木であり、その学名はEleutherococcus senticosusである。本発明においては、エゾウコギの植物体を構成する全て又はその一部(例えば、根、幹、樹皮、枝、葉、花、種子、種皮など)を利用できる。エゾウコギは必要に応じてその形態を調節することができ、小片、小塊に切断若しくは破砕、又は粉末に粉砕することができる。また、医薬組成物の製造時の取扱の便宜等を考慮して、エゾウコギに何らかの抽出処理を施したもの(以下、「エゾウコギの抽出物」と称する。)を用いてもよい。
なお、上記「エゾウコギの抽出物」には、抽出処理に加えて、加熱、乾燥、粉砕等の加工処理を施したものも包含される。具体的には、エゾウコギを必要に応じて適当な大きさとした後に、適当な浸出液(抽出溶媒)を加えて浸出した液や、当該浸出液を濃縮した液(軟エキス、チンキ等)、さらにこれらを乾燥させたもの(乾燥エキス等)等も本発明の「エゾウコギの抽出物」に包含される。
本発明において、エゾウコギ及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上としては、エゾウコギ、エゾウコギの水抽出物、エゾウコギの炭素数1~6の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族アルコール抽出物、及びエゾウコギの水と炭素数1~6の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族アルコールとの混液の抽出物よりなる群から選ばれる1種以上が好ましく、エゾウコギ、エゾウコギの水抽出物、エゾウコギのエタノール抽出物、及びエゾウコギの水とエタノールとの混液の抽出物よりなる群から選ばれる1種以上がより好ましく、エゾウコギ乾燥エキスが特に好ましい。
【0023】
エゾウコギの抽出物の製造方法は特に限定されず、例えば、上記したチョウジの抽出物と同様の方法により製造できる。
【0024】
本発明において、エゾウコギ及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上としては、市販品を用いることができ、具体的な市販品としては例えば、エゾウコギ乾燥エキス、エゾウコギエキス-A、エゾウコギエキス-S、エゾウコギ流エキス、エレウテロコック流エキス、エレウテロコック乾燥エキス(以上、日本粉末薬品株式会社製)等が挙げられる。
【0025】
本発明において、エゾウコギ及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上の含有量は特に限定されないが、医薬組成物全質量に対して合計で0.01~50質量%含有するのが好ましく、0.05~15質量%含有するのがより好ましく、0.1~10質量%含有するのがさらに好ましく、1~5質量%含有するのが特に好ましい。また、エゾウコギ及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上の含有量を原生薬量に換算した場合においては、医薬組成物全質量に対して原生薬換算量で合計15~90質量%含有するのが好ましく、20~80質量%含有するのがより好ましく、25~70質量%含有するのが特に好ましい。
【0026】
医薬組成物における、チョウジ及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上とエゾウコギ及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上との含有質量比率は特に限定されないが、チョウジ及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上を合計で1質量部に対し、エゾウコギ及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上を合計で0.01~10質量部含有するのが好ましく、0.01~5質量部含有するのがより好ましく、0.1~1質量部含有するのが特に好ましい。また、チョウジ及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上並びにエゾウコギ及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上の含有量をそれぞれ原生薬量に換算した場合においては、チョウジ及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上を原生薬換算量で合計して1質量部に対し、エゾウコギ及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上を原生薬換算量で合計して0.1~40質量部含有するのが好ましく、1~30質量部含有するのがより好ましく、10~25質量部含有するのが特に好ましい。
【0027】
医薬組成物は、薬効成分として、上記以外の成分、例えば、アミノ安息香酸エチル、オキセサゼイン、ウルソデオキシコール酸、動物胆(熊胆、牛胆)、でんぷん消化酵素(ビオジアスターゼ、タカジアスターゼ)、脂肪消化酵素(リパーゼ)、銅クロロフィンナトリウム、銅クロロフィンカリウム、塩酸セトラキサート、ソファルコン、ゲファルナート、マレイン酸トリメブチン、アズレンスルホン酸ナトリウム、アセンヤク、アニス実、アロエ、ウイキョウ、ウコン、ウバイ、ウヤク、エンゴサク、延命草、オウゴン、オウバク、オウレン、加工大蒜、ガジュツ、カッコウ、カラムス根、カンキョウ、カンゾウ、キジツ、クジン、ケイヒ、ケツメイシ、ゲンチアナ、ゲンノショウコ、コウジン、ゴシュユ、胡椒、五倍子、コロンボ、コンズランゴ、サンザシ、サンショウ、山奈、シソシ、シャクヤク、シュクシャ、ショウキョウ、ショウズク、青皮、赤芽柏、石菖根、センタウリウム草、ソウジュツ、大茴香、ダイオウ、チクセツニンジン、チンピ、トウガラシ、トウヒ、ニガキ、ニクズク、ニンジン、ハッカ、セイヨウハッカ、ヒハツ、ビャクジュツ、ホップ、ホミカ、睡菜葉、ヤクチ、ヨウバイヒ、リュウタン、リョウキョウ、オメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾールナトリウム、シメチジン、塩酸ラニチジン、ファモチジン、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、合成ヒドロタルサイト、酸化マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸マグネシウム、沈降炭酸カルシウム、無水リン酸水素カルシウム、リン酸水素カルシウム、烏賊骨、石決明、ボレイ、アミノ酢酸、レチノール類(酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、ビタミンA油など)、肝油類(肝油、強肝油など)、ビタミンD類(エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロールなど)、ビタミンE類(コハク酸d-α-トコフェロール、コハク酸dl-α-トコフェロール、コハク酸dl-α-トコフェロールカルシウム、酢酸d-α-トコフェロール、酢酸dl-α-トコフェロール、d-α-トコフェロール、dl-α-トコフェロールなど)、ビタミンB1類(塩酸チアミン、硝酸チアミン、硝酸ビスチアミン、チアミンジスルフィド、チアミンジセチル硫酸エステル塩、塩酸ジセチアミン、塩酸フルスルチアミン、オクトチアミン、シコチアミン、ビスイブチアミン、ビスベンチアミン、フルスルチアミン、プロスルチアミン、ベンフォチアミンなど)、ビタミンB2類(フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、リボフラビン、リン酸リボフラビンナトリウム、酪酸リボフラビンなど)、ビタミンB6類(塩酸ピリドキシン、リン酸ピリドキサールなど)、ビタミンB12類(塩酸ヒドロキソコバラミン、酢酸ヒドロキソコバラミン、シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミンなど)、ニコチン酸類(ニコチン酸、ニコチン酸アミドなど)、パントテン酸類(パンテノール、パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウムなど)、ビオチン、アスパラギン酸類(アスパラギン酸カリウム、アスパラギン酸マグネシウム、アスパラギン酸カリウム・マグネシウム等量混合物など)、イノシトールヘキサニコチネート、ウルソデオキシコール酸、アミノ酸類(L-塩酸システイン、L-システイン、L-塩酸リジン、L-塩酸アルギニン、L-メチオニン、DL-メチオニン、L-イソロイシン、L-ロイシン、L-フェニルアラニン、L-トレオニン、L-トリプトファン、L-バリン、アミノエチルスルホン酸など)、オロチン酸、カルシウム塩類(グリセロリン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、乳酸カルシウム、無水リン酸水素カルシウム、リン酸水素カルシウムなど)、マグネシウム塩類(炭酸マグネシウムなど)、グルクロン酸類(グルクロノラクトン、グルクロン酸アミド)、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ジクロロ酢酸ジイソプロピルアミン、肝臓水解物、ニンジン、ヨクイニン、インヨウカク、ロクジョウ、ハンピ、ゴオウ、ローヤルゼリー、オウセイ、クコシ、ボレイ、ボウイ、タイソウ、ショウキョウ、コウジン、カイクジン、カシュウ、ケイヒ、ガラナ、サイコ、センキュウ、クラテグス、ブクリョウ、メチルメチオニンスルホニウムクロライド、カフェイン類(カフェイン、無水カフェイン、安息香酸ナトリウムカフェインなど)、イノシトール、塩化カルニチン、ルチンなどが挙げられる。これらのうち1種を単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0028】
本発明において「医薬組成物」の剤形は特に限定されず、固形状、半固形状、又は液状製剤のいずれであってもよく、その利用目的等に応じて選択することができる。医薬組成物の剤形としては、例えば、第十七改正日本薬局方 製剤総則等に記載の剤形が挙げられる。具体的には例えば、経口投与用の剤形としては、錠剤(例えば、通常錠、口腔内崩壊型錠剤、チュアブル錠、発泡錠、分散錠、溶解錠などを含む)、カプセル剤、顆粒剤(例えば、発泡顆粒剤などを含む)、散剤、丸剤等の固形製剤;経口ゼリー剤等の半固形状製剤;経口液剤(例えば、エリキシル剤、懸濁剤、乳剤、リモナーデ剤などを含む)等の液状製剤等が挙げられる。また、非経口投与用の剤形としては、注射剤、吸入剤、点眼剤、点耳剤、点鼻剤、座剤、外用固形剤、外用液剤、スプレー剤、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、貼付剤等が挙げられる。
【0029】
医薬組成物の剤形としては、服用のし易さ等の観点から、固形製剤であるのが好ましく、錠剤(例えば、通常錠、口腔内崩壊型錠剤、チュアブル錠、発泡錠、分散錠、溶解錠などを含む)、カプセル剤、顆粒剤(例えば、発泡顆粒剤などを含む)、散剤及び丸剤から選ばれる固形製剤であるのが特に好ましい。
【0030】
医薬組成物は、その剤形に応じ、例えば第十七改正日本薬局方 製剤総則等に記載の公知の方法により製造することができる。この場合において、医薬組成物には、製薬上許容される担体(製剤添加物)を加えてもよい。こうした製剤添加物としては、例えば、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、可塑剤、フィルム形成剤、粉体、難水溶性高分子物質、抗酸化剤、矯味剤、甘味剤等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。なお、これらの製剤添加物としては、具体的には例えば、医薬品添加物辞典2016(株式会社薬事日報社発行)、Handbook of Pharmaceutical Excipients, Seventh Edition(Pharmaceutical Press社発行)等に収載されたものが挙げられる。
【0031】
賦形剤としては、具体的には例えば、ケイ酸アルミニウム、無水硫酸ナトリウム、無水リン酸水素カルシウム、塩化ナトリウム、ケイ酸カルシウム、軽質無水ケイ酸、重質無水ケイ酸、硫酸カルシウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸二水素ナトリウム等の無機系賦形剤;アメ粉、デンプン(コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、部分アルファー化デンプン等)、果糖、カラメル、カンテン、キシリトール、パラフィン、結晶セルロース、ショ糖、麦芽糖、乳糖、乳糖水和物、白糖、ブドウ糖、プルラン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、マルチトール、還元麦芽糖水アメ、粉末還元麦芽糖水アメ、エリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ラクチトール、トレハロース、還元パラチノース、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、クエン酸カルシウム等の有機系賦形剤等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。本発明において、賦形剤の含有量は特に限定されないが、医薬組成物全質量に対して合計で、0.1~60質量%含有するのが好ましく、1~50質量%含有するのがより好ましい。
【0032】
崩壊剤としては、具体的には例えば、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン等のスーパー崩壊剤やカルメロース、カルメロースカルシウム、デンプン、ショ糖脂肪酸エステル、ゼラチン、炭酸水素ナトリウム、デキストリン、デヒドロ酢酸及びその塩、ポビドン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。本発明において、崩壊剤の含有量は特に限定されないが、医薬組成物全質量に対して合計で、0.1~30質量%含有するのが好ましく、1~20質量%含有するのがより好ましい。
【0033】
結合剤としては、具体的には例えば、牛脂硬化油、硬化油、水素添加植物油、ダイズ硬化油、カルナウバロウ、サラシミツロウ、ミツロウ、モクロウ等の油脂類の他、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、カルメロースナトリウム、デンプン(コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、部分アルファー化デンプン等)、デキストリン、プルラン、アラビアゴム、カンテン、ゼラチン、トラガント、アルギン酸ナトリウム、ポビドン、ポリビニルアルコール、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。本発明において、結合剤の含有量は特に限定されないが、医薬組成物全質量に対して合計で、0.1~20質量%含有するのが好ましく、1~10質量%含有するのがより好ましい。
【0034】
滑沢剤としては、具体的には例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。本発明において、滑沢剤の含有量は特に限定されないが、医薬組成物全質量に対して合計で、0.01~5質量%含有するのが好ましく、0.1~3質量%含有するのがより好ましい。
【0035】
可塑剤としては、具体的には例えば、クエン酸トリエチル、グリセリン、ゴマ油、ソルビトール、ヒマシ油、ポリソルベート80(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンオレイン酸エステル)等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。本発明において、可塑剤の含有量は特に限定されないが、医薬組成物全質量に対して合計で、0.00001~2質量%含有するのが好ましく、0.0001~1質量%含有するのがより好ましい。
【0036】
フィルム形成剤としては、具体的には例えば、メチルセルロース、エチルセルロース等のアルキルセルロース;アルギン酸ナトリウム等のアルギン酸又はその塩;カラギーナン;カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースカリウム、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース等のカルボキシアルキルセルロース;キサンタンガム;ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)等のヒドロキシアルキルセルロース;ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等のヒドロキシアルキルセルロースフタレート;プルラン;ポリ酢酸ビニル;ポリ酢酸ビニルフタレート;ポリビニルピロリドン等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。本発明において、フィルム形成剤の含有量は特に限定されないが、医薬組成物全質量に対して合計で、0.001~20質量%含有するのが好ましく、0.01~10質量%含有するのがより好ましい。
【0037】
粉体としては、タルク、酸化チタン、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、法定色素等の有機粉体又は無機粉体が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。本発明において、粉体の含有量は特に限定されないが、医薬組成物全質量に対して合計で、0.0001~5質量%含有するのが好ましく、0.001~3質量%含有するのがより好ましい。
【0038】
難水溶性高分子物質としては、具体的には例えば、カルボキシビニルポリマー、アミノアルキルメタクリレートコポリマー等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。本発明において、難水溶性高分子物質の含有量は特に限定されないが、医薬組成物全質量に対して合計で、0.001~5質量%含有するのが好ましく、0.01~3質量%含有するのがより好ましい。
抗酸化剤としては、具体的には例えば、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム、エリソルビン酸、酢酸トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、天然ビタミンE、トコフェロール、ブチルヒドロキシアニソール等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。本発明において、抗酸化剤の含有量は特に限定されないが、医薬組成物全質量に対して合計で、0.01~10質量%含有するのが好ましく、0.01~5質量%含有するのがより好ましい。
【0039】
矯味剤としては、具体的には例えば、リモネン、ピネン、カンフェン、サイメン、シネオール、シトロネロール、ゲラニオール、ネロール、リナロール、メントール、テルピネオール、ロジノール、ボルネオール、イソボルネオール、メントン、カンフル、オイゲノール、シンゼイラノール等のテルペン;トウヒ油、オレンジ油、ハッカ油、樟脳白油、ユーカリ油、テレピン油、レモン油、ショウキョウ油、ケイヒ油、ラベンダー油、ウイキョウ油、カミツレ油、シソ油、スペアミント油等のテルペンを含有する精油;酒石酸、クエン酸、リンゴ酸及びこれらの塩等の酸味剤等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。本発明において、矯味剤の含有量は特に限定されないが、医薬組成物全質量に対して合計で、0.0001~5質量%含有するのが好ましく、0.001~3質量%含有するのがより好ましい。
【0040】
甘味剤としては、具体的には例えば、アスパルテーム、ステビア、スクラロース、グリチルリチン酸、ソーマチン、アセスルファムカリウム、サッカリン、サッカリンナトリウム等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を組み合わせて使用できる。本発明において、甘味剤の含有量は特に限定されないが、医薬組成物全質量に対して合計で、0.00001~2質量%含有するのが好ましく、0.0001~1質量%含有するのがより好ましい。
【0041】
医薬組成物は、その剤形に応じて公知の方法により製造することができる。
例えば、医薬組成物が固形製剤である場合には、粉砕、混合、造粒、乾燥、整粒、分級、充填、打錠、コーティング等の単位操作を適宜組み合わせることにより製造することができる。
より具体的には例えば、医薬組成物の剤形が顆粒剤、散剤、丸剤等の粒状の製剤の場合、成分(A)、成分(B)、さらに任意に他の薬効成分に加え、必要に応じ賦形剤や結合剤、崩壊剤、滑沢剤等の製剤添加物を用い、これらの成分の全部又は一部を混合した後、押出造粒、転動造粒、攪拌造粒、流動層造粒、噴霧造粒、溶融造粒、破砕造粒等の公知の造粒方法により造粒して造粒物を得、さらに必要に応じて分級、整粒等することで製造することができる。なお、得られた造粒物は、公知の方法によりコーティング剤等で被覆することもできる。
また、医薬組成物の剤形が錠剤の場合、成分(A)、成分(B)、さらに任意に他の薬効成分に加え、必要に応じ賦形剤や結合剤、崩壊剤、滑沢剤等の適当な製剤添加物を用い、これらの成分の全部又は一部を混合して混合物を得、これを直接圧縮(打錠)すること(直接粉末圧縮法)や、上記の造粒物を必要に応じて分級、整粒等したあと圧縮(打錠)すること(半乾式顆粒圧縮法、乾式顆粒圧縮法、湿式顆粒圧縮法など)により製造することができる。なお、得られた圧縮物(錠剤)は、公知の方法によりコーティング剤等で被覆することもできる。
さらに、医薬組成物の剤形がカプセル剤の場合、上記の造粒物や圧縮物等を、カプセルに充填すればよい。
【0042】
本発明の一つの態様として、医薬組成物はさらに気密包装体に収容される(なお、以下、本明細書において、医薬組成物を気密包装体に収容してなるものを「医薬品」と称する。)。なお、本発明において、医薬品は気密包装体以外に、さらに下記「気密包装体」に該当しない包装を備えていてもよく、また、医薬組成物は、気密包装体に直接的あるいは間接的に収容されていればよい。
本発明において「気密包装体」とは、通常の取扱い、運搬又は保存等の状態において、固形又は液状の異物の侵入を抑制し得る包装を意味し、第十七改正日本薬局方 通則に定義される「気密容器」及び「密封容器」を包含する概念である。気密包装体としては、定形、不定形のいずれのものも用いることができ、具体的には例えば、ビン包装、SP(Strip Package)包装、PTP(Press Through Package)包装、ピロー包装、スティック包装等が挙げられる。気密包装体としては、これらを複数組み合わせたものであってもよく、具体的には例えば、医薬組成物をまずPTP包装にて包装し、これをさらにピロー包装にて包装する態様等が挙げられる。
気密包装体としては、配合変化を抑制する観点から、ビン包装、SP包装、PTP包装、ピロー包装及びスティック包装よりなる群から選ばれる1種以上であるのが好ましく、少なくともPTP包装を備えるもの(PTP包装と、さらに必要に応じてビン包装、SP包装、ピロー包装、スティック包装等の他の包装を組み合わせたもの)、少なくともピロー包装を備えるもの、少なくともビン包装を備えるものであるのが特に好ましい。
【0043】
気密包装体の包装材料(素材)は特に限定されず、例えば、ガラス、プラスチック(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ポリエチレン(低密度(LDPE)、中密度(MDPE)、高密度(HDPE)を含む)、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリカーボネート;ポリスチレン等)、金属(アルミニウム等)などの、医薬品や食品等の分野で用いられる材料を、1種単独で又は2種以上を組み合わせて適宜用いることができる。
【0044】
例えば、ビン包装に用いられる包装材料は特に限定されるものではなく、ガラス、プラスチック、金属などが挙げられ、これらの1種又は2種以上を適宜組み合わせることができる。ビン包装の材料としては、ガラス、ポリエチレン、ポリプロピレンが好ましく、ガラス、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)がより好ましく、ガラス、高密度ポリエチレン(HDPE)が特に好ましい。
ビン包装するに際しては例えば、医薬組成物を、ビン内に適当な数量格納し、次いで、適当な栓や蓋で封をすればよい。なお、ビンは、格納する医薬組成物の数量等に応じた大きさのものを適宜選択すればよく、ビンの容量としては例えば、10~500mL程度であり、14~400mLが好ましく、24~350mLがより好ましい。
【0045】
また、SP包装、PTP包装、ピロー包装やスティック包装等に用いられる包装材料は特に限定されるものではなく、例えば、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)、二軸延伸ポリエステル(PET)、グリコール変性PET(PET-G)、二軸延伸ナイロン(ONy、PA)、セロハン、紙、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(L-LDPE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、無延伸ポリプロピレン(CPP、IPP)、アイオノマー樹脂(IO)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)、ポリアクリロニトリル(PAN)、二軸延伸ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、エチレン-ビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)、ポリ塩化ビニル(PVC)、環状ポリオレフィン(COC)、無延伸ナイロン(CNy)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、硬質塩化ビニル(VSC)等の樹脂や、アルミニウム箔(AL)のような金属箔等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を適宜組み合わせることができる。
【0046】
SP包装、PTP包装、ピロー包装やスティック包装等するに際しては、上記したような包装材料の1種以上を用いたシートを用いて、公知の方法で製造すればよく、この場合において、当該包装材料は適宜組合せた多層構造とすることもできる。シートとして、2種以上の包装材料を用いた多層構造とする方法としては、当該包装材料をラミネートして積層シートを製造する方法が挙げられる。積層シートは、押出しラミネート、ドライラミネート、共押出しラミネート、サーマルラミネート、ウェットラミネート、ノンソルベントラミネート、ヒートラミネート等の公知の方法で製造することができる。また、SP包装、PTP包装、ピロー包装やスティック包装用のシートは、公知の市販品を用いることもできる。
【0047】
上記シートにおいて、1種の包装材料を用いた単層シートとしては、PVCシートやCPPシート等が挙げられ、また2種以上の包装材料を用いた積層シートとしては、そのシート構成が、例えば、PVCとPVDCを積層したもの(PVC/PVDC。以下、同様に略する。)、PVC/PVDC/PE/PVC、PVC/PVDC/PE/PVDC/PVC、CPP/COC/CPP、PVC/PCTFE、CPP/PCTFE、PVC/AL/PA、PVC/AL、CPP/AL、CPP/CPP/CPP(左記シートは、CPPとして、2種以上を用いるものである。)等が挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。
【0048】
PTP包装の形態としては、公知の方法で樹脂シート等に所望数形成したポケットに、医薬組成物を1個又は1投与単位ずつ格納し、次いでアルミニウム箔等の金属箔を構成材料とするシートをフタ材として用いて蓋をすることが挙げられる。なお、ポケットを形成するシートとしてもアルミニウム箔を構成材料とするシートを用いた、いわゆる両面アルミPTP包装としてもよい。本発明においては、配合変化を抑制する観点から、PTP包装をさらにピロー包装(例えば、アルミピロー包装など)により包装するのが好ましい。
SP包装やピロー包装、スティック包装の形態としては、公知の方法で樹脂シートやアルミニウム箔を構成材料とするシート等を用いて、医薬組成物を1個又は1投与単位ずつ包装することが挙げられる。本発明においては、配合変化を抑制する観点から、アルミニウム箔を構成材料とするシートを用いるのが好ましい。
【0049】
なお、本発明において、医薬品における医薬組成物の包装体内部での占有率(容積率)は、包装体がビン包装の場合、通常15~95%であり、20~90%が好ましく、25~75%がより好ましく、30~50%が特に好ましい。また、包装体がSP包装、PTP包装、ピロー包装、スティック包装の場合、通常30~98%であり、40~95%が好ましく、45~93%がより好ましく、50~90%がさらに好ましく、70~90%が特に好ましい。なお、この場合において、占有率とは、包装体内部の全容積に対する医薬組成物の占有率を意味するものであり、包装体内部に格納した医薬組成物の破損防止のための詰め物や中栓等は、空間占有率を算出するに際して考慮されるものではない。
【0050】
気密包装体としては、市販の包装体をそのまま用いてもよく、また市販の包装材料を加工して用いてもよい。市販品のビン包装の包装体としては、例えば、ガラス瓶(磯矢硝子工業(株)製)、錠剤ビン(東京硝子(株)製)、Z-シリーズ(阪神化成工業(株)製)等が挙げられる。また、市販品のピロー包装の包装体としては、ラミジップ(登録商標)((株)生産日本社製)等が挙げられる。さらに、SP包装、PTP包装、ピロー包装やスティック包装用の包装材料としては、スミライトVSS、スミライトVSL、スミライトNS、スミライトFCL(以上、住友ベークライト(株)製)、TASシリーズ(大成化工(株)製)、PTP用ビニホイル、PTP用スーパーホイル(以上、三菱樹脂(株)製)、ニッパクアルミ箔(日本製箔(株)製)、アルミ箔銀無地(大和化学工業(株)製)等が挙げられる。
【0051】
医薬組成物を気密包装体に収容する方法は特に限定されるものではなく、包装体内への医薬組成物の投入等の適当な手段により、医薬組成物を包装体内に配置することで達成できる。この場合において、包装体内に医薬組成物とともに乾燥剤(例えば、円柱状(錠剤型)のものやシート状のもの)を投入する手段を用いてもよい。
【0052】
本発明において、医薬組成物あるいは医薬品は、種々の薬理作用を有するチョウジを含有することから、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃炎等の自覚症状及び他覚所見の改善や慢性肝疾患における肝機能の改善等のための医薬として用いるのに適する。また、胃腸薬として、より具体的には、胃部不快感、胃弱、もたれ、胃痛、食べ過ぎ、飲み過ぎ、胸やけ、はきけ(むかつき、胃のむかつき、二日酔、悪酔のむかつき、嘔気、悪心)、嘔吐、食欲不振、消化不良、胃酸過多、げっぷ、胸つかえ、消化促進、胃部及び/又は腹部膨満感並びに胃重よりなる群から選ばれる1種以上を効能及び/又は効果とする胃腸薬として用いるのに更に適する。さらに、眼精疲労、筋疲労、腰痛、肩こり、全身倦怠などの諸症状の緩和、又は滋養強壮、虚弱体質の改善、栄養補給(例えば、肉体疲労・病後の体力低下・食欲不振・栄養障害・発熱性消耗性疾患・妊娠授乳期などの場合の栄養補給)、体力増強のための医薬として用いることもできる。
【0053】
医薬組成物の服用経路は特に限定されず、適用する疾患、製剤の種類、服用者の性別、年齢、症状等に応じて適宜検討して決定することができるが、服用の容易性の観点から、経口投与が好ましい。また、医薬組成物は、1日につき、1~4回程度に分けて、食前、食間、食後、就寝前等に服用することができる。
【0054】
また、本発明は、次の成分(A):
(A)チョウジ及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上;
と次の成分(B):
(B)次の成分(B-1)、(B-2)及び(B-3)よりなる群から選ばれる1種以上;
(B-1)ビタミンC類;
(B-2)ガンマーオリザノール;
(B-3)エゾウコギ及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上;
とを、同一の組成物中に含有せしめる工程、及びかかる組成物を気密包装体に収容する工程を含む、組成物の安定化方法(好適には、性状変化(好適には、変色及び/又は固化)の抑制方法)にも関する。
斯かる態様の発明において、成分(A)を含有せしめる工程、成分(B)を含有せしめる工程の順序は特に限定されず、成分(A)及び(B)を含有する組成物が直接的又は間接的に作出されればよい。斯かる態様の発明において、各種文言の意義、各成分の配合量等は全て上記した「医薬品」について説明したのと同様である。
【0055】
なお、本明細書は、これらに何ら限定されるものでは無いが、例えば以下の態様を開示する。
[1A] 次の成分(A)及び(B):
(A)チョウジ及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上;
(B)次の成分(B-1)、(B-2)及び(B-3)よりなる群から選ばれる1種以上;
(B-1)ビタミンC類;
(B-2)ガンマーオリザノール;
(B-3)エゾウコギ及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上;
を含有する医薬組成物が、気密包装体に収容されてなる医薬品。
[2A] 成分(A)が、チョウジ、チョウジの水抽出物、チョウジの炭素数1~6の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族アルコールの抽出物、及びチョウジの水と炭素数1~6の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族アルコールとの混液の抽出物よりなる群から選ばれる1種以上である、[1A]記載の医薬品。
[3A] 成分(B-1)が、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム及びアスコルビン酸カルシウムよりなる群から選ばれる1種以上である、[1A]又は[2A]記載の医薬品。
[4A] 成分(B-3)が、エゾウコギ、エゾウコギの水抽出物、エゾウコギの炭素数1~6の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族アルコールの抽出物、及びエゾウコギの水と炭素数1~6の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族アルコールとの混液の抽出物よりなる群から選ばれる1種以上である、[1A]~[3A]のいずれか記載の医薬品。
[5A] 医薬組成物が、固形製剤である、[1A]~[4A]のいずれか記載の医薬品。
[6A] 医薬組成物の剤形が、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤又は丸剤である、[1A]~[5A]のいずれか記載の医薬品。
[7A] 気密包装体が、ビン包装、SP包装、PTP包装、ピロー包装及びスティック包装よりなる群から選ばれる1種以上である、[1A]~[6A]のいずれか記載の医薬品。
【0056】
[1B] 次の成分(A):
(A)チョウジ及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上;
と次の成分(B):
(B)次の成分(B-1)、(B-2)及び(B-3)よりなる群から選ばれる1種以上;
(B-1)ビタミンC類;
(B-2)ガンマーオリザノール;
(B-3)エゾウコギ及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上;
とを、同一の組成物中に含有せしめる工程、及びかかる組成物を気密包装体に収容する工程を含む、組成物の安定化方法。
[2B] 成分(A)が、チョウジ、チョウジの水抽出物、チョウジの炭素数1~6の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族アルコールの抽出物、及びチョウジの水と炭素数1~6の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族アルコールとの混液の抽出物よりなる群から選ばれる1種以上である、[1B]記載の方法。
[3B] 成分(B-1)が、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム及びアスコルビン酸カルシウムよりなる群から選ばれる1種以上である、[1B]又は[2B]記載の方法。
[4B] 成分(B-3)が、エゾウコギ、エゾウコギの水抽出物、エゾウコギの炭素数1~6の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族アルコールの抽出物、及びエゾウコギの水と炭素数1~6の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族アルコールとの混液の抽出物よりなる群から選ばれる1種以上である、[1B]~[3B]のいずれか記載の方法。
[5B] 医薬組成物が、固形製剤である、[1B]~[4B]のいずれか記載の方法。
[6B] 医薬組成物の剤形が、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤又は丸剤である、[1B]~[5B]のいずれか記載の方法。
[7B] 気密包装体が、ビン包装、SP包装、PTP包装、ピロー包装及びスティック包装よりなる群から選ばれる1種以上である、[1B]~[6B]のいずれか記載の方法。
【実施例0057】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。なお、以下の試験例において各成分の使用量は、換算量を特に断らない限り、表示した成分そのものの量を示す。
【0058】
[試験例1]安定性試験
以下に示すサンプル1-1~1-4をそれぞれ調製後、40℃、75%相対湿度(RH)の条件下で1日間保存し、保存開始直後及び1日後におけるサンプルの状態変化の有無を評価し、配合変化の有無を確認した。
結果を表1に示す。
【0059】
〔サンプル1-1〕
チョウジ末(日本薬局方 チョウジ末:日本粉末薬品(株)製)1gを、蓋を開けたガラス製の容器(2K規格瓶)に入れ、そのままサンプル1-1とした。
〔サンプル1-2〕
アスコルビン酸ナトリウム(L-アスコルビン酸ナトリウム:扶桑化学工業(株)製)1gを、蓋を開けたガラス製の容器(2K規格瓶)に入れ、そのままサンプル1-2とした。
〔サンプル1-3〕
チョウジ末(日本薬局方 チョウジ末:日本粉末薬品(株)製)1gとアスコルビン酸ナトリウム(L-アスコルビン酸ナトリウム:扶桑化学工業(株)製)1gを混合して混合物を得、これを、蓋を開けたガラス製の容器(2K規格瓶)に入れ、サンプル1-3とした。
〔サンプル1-4〕
チョウジ末(日本薬局方 チョウジ末:日本粉末薬品(株)製)1gとアスコルビン酸ナトリウム(L-アスコルビン酸ナトリウム:扶桑化学工業(株)製)1gを混合して混合物を得、これをガラス製の容器(2K規格瓶)に入れて蓋をし、これをサンプル1-4とした。なお、混合物のガラス瓶内部での占有率(容積率)は、約20%であった。
【0060】
【0061】
表1に示す試験結果から、チョウジ末のみのサンプル1-1及びアスコルビン酸ナトリウムのみのサンプル1-2においては、1日保存後も保存開始直後と同様の状態が保たれたのに対し、チョウジ末とアスコルビン酸ナトリウムを混合したサンプル1-3においては配合変化が生じ、1日保存後に混合物に変色が生じた。
一方、チョウジ末とアスコルビン酸ナトリウムを混合し、これを気密包装体に収容したサンプル1-4においては、1日保存後も保存開始直後と同様の状態が保たれることが判明した。
【0062】
以上の試験結果から、チョウジ末に代表されるチョウジ及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上とビタミンC類との間に配合変化が生じること、そして、この配合変化は、気密包装体に収容することによって抑制できることが明らかとなった。
【0063】
[試験例2]安定性試験
以下に示すサンプル2-1~2-4をそれぞれ調製後、40℃、75%相対湿度(RH)の条件下で1日間保存し、保存開始直後及び1日後におけるサンプルの状態変化の有無を評価し、配合変化の有無を確認した。
結果を表2に示す。
【0064】
〔サンプル2-1〕
チョウジ末(日本薬局方 チョウジ末:日本粉末薬品(株)製)1gを、蓋を開けたガラス製の容器(2K規格瓶)に入れ、そのままサンプル2-1とした。
〔サンプル2-2〕
ガンマーオリザノール(γ-オリザノール:オカヤス(株)製)1gを、蓋を開けたガラス製の容器(2K規格瓶)に入れ、そのままサンプル2-2とした。
〔サンプル2-3〕
チョウジ末(日本薬局方 チョウジ末:日本粉末薬品(株)製)1gとガンマーオリザノール(γ-オリザノール:オカヤス(株)製)1gを混合して混合物を得、これを、蓋を開けたガラス製の容器(2K規格瓶)に入れ、サンプル2-3とした。
〔サンプル2-4〕
チョウジ末(日本薬局方 チョウジ末:日本粉末薬品(株)製)1gとガンマーオリザノール(γ-オリザノール:オカヤス(株)製)1gを混合して混合物を得、これをガラス製の容器(2K規格瓶)に入れて蓋をし、これをサンプル2-4とした。なお、混合物のガラス瓶内部での占有率(容積率)は、約20%であった。
【0065】
【0066】
表2に示す試験結果から、チョウジ末のみのサンプル2-1及びガンマーオリザノールのみのサンプル2-2においては1日保存後も保存開始直後と同様の状態が保たれたのに対し、チョウジ末とガンマーオリザノールを混合したサンプル2-3においては配合変化が生じ、1日保存後に混合物に変色が生じた。
一方、チョウジ末とガンマーオリザノールを混合し、これを気密包装体に収容したサンプル2-4においては、1日保存後も保存開始直後と同様の状態が保たれることが判明した。
【0067】
以上の試験結果から、チョウジ末に代表されるチョウジ及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上とガンマーオリザノールとの間に配合変化が生じること、そして、この配合変化は、気密包装体に収容することによって抑制できることが明らかとなった。
【0068】
[試験例3]安定性試験
以下に示すサンプル3-1~3-4をそれぞれ調製後、40℃、75%相対湿度(RH)の条件下で1日間保存し、保存開始直後及び1日後におけるサンプルの状態変化の有無を評価し、配合変化の有無を確認した。
結果を表3に示す。
【0069】
〔サンプル3-1〕
チョウジ末(日本薬局方 チョウジ末:日本粉末薬品(株)製)1gを、蓋を開けたガラス製の容器(2K規格瓶)に入れ、そのままサンプル3-1とした。
〔サンプル3-2〕
エゾウコギ乾燥エキス(エゾウコギ乾燥エキス-N:日本粉末薬品(株)製)1g(原生薬換算量25g)を、蓋を開けたガラス製の容器(2K規格瓶)に入れ、そのままサンプル3-2とした。
〔サンプル3-3〕
チョウジ末(日本薬局方 チョウジ末:日本粉末薬品(株)製)1gとエゾウコギ乾燥エキス(エゾウコギ乾燥エキス-N:日本粉末薬品(株)製)1g(原生薬換算量25g)を混合して混合物を得、これを、蓋を開けたガラス製の容器(2K規格瓶)に入れ、サンプル3-3とした。
〔サンプル3-4〕
チョウジ末(日本薬局方 チョウジ末:日本粉末薬品(株)製)1gとエゾウコギ乾燥エキス(エゾウコギ乾燥エキス-N:日本粉末薬品(株)製)1g(原生薬換算量25g)を混合して混合物を得、これを、ガラス製の容器(2K規格瓶)に入れて蓋をし、これをサンプル3-4とした。なお、混合物のガラス瓶内部での占有率(容積率)は、約20%であった。
【0070】
【0071】
表3に示す試験結果から、チョウジ末のみのサンプル3-1及びエゾウコギ乾燥エキスのみのサンプル3-2においては1日保存後も保存開始直後と同様の状態が保たれたのに対し、チョウジ末とエゾウコギ乾燥エキスを混合したサンプル3-3においては配合変化が生じ、1日保存後に混合物に変色及び固化が生じた。
一方、チョウジ末とエゾウコギ乾燥エキスを混合し、これを気密包装体に収容したサンプル3-4においては、1日保存後も保存開始直後と同様の状態が保たれることが判明した。
【0072】
以上の試験結果から、チョウジ末に代表されるチョウジ及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上とエゾウコギ乾燥エキスに代表されるエゾウコギ及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上との間に配合変化が生じること、そして、この配合変化は、気密包装体に収容することによって抑制できることが明らかとなった。
【0073】
[製造例1]
以下の成分を1錠中に含有する500mgの糖衣錠を、常法に従って製造した。得られた錠剤2錠を常法によりアルミニウム箔を構成材料とするシートでSP包装し、製造例1の医薬品を得た。
加工ダイサン末 40mg
エゾウコギ乾燥エキス 8mg(原生薬換算量200mg)
チョウジ末 10mg
チアミン硝化物 5mg
リボフラビン 2mg
ピリドキシン塩酸塩 2.5mg
L-アスコルビン酸ナトリウム 56.3mg
トコフェロールコハク酸エステルカルシウム 10.35mg
ガンマーオリザノール 5mg
カルニチン塩化物 25mg
ニコチン酸アミド 10mg
ヒドロキシプロピルセルロース
セルロース
クロスポビドン
ステアリン酸Mg
ヒプロメロース
白糖
炭酸Ca
タルク
アクリル酸エチル・メタクリル酸メチル共重合体
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル
赤色三号
赤色一〇六号
黄色五号
マクロゴール
カルナウバロウ
【0074】
[製造例2]
以下の成分を1錠中に含有する600mgの糖衣錠を、常法に従って製造した。得られた錠剤2錠を常法によりアルミニウム箔を構成材料とするシートでSP包装し、製造例2の医薬品を得た。
加工ダイサン末 30mg
エゾウコギ乾燥エキス 6mg(原生薬換算量150mg)
チョウジ末 20mg
ショウキョウ乾燥エキス 10mg(原生薬換算量50mg)
チアミン硝化物 5mg
リボフラビン 2mg
ピリドキシン塩酸塩 2.5mg
L-アスコルビン酸ナトリウム 112.6mg
ガンマーオリザノール 5mg
カルニチン塩化物 30mg
ニコチン酸アミド 6mg
ヒドロキシプロピルセルロース
セルロース
クロスポビドン
ステアリン酸Mg
ヒプロメロース
白糖
炭酸Ca
タルク
アクリル酸エチル・メタクリル酸メチル共重合体
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル
赤色三号
赤色一〇六号
黄色五号
マクロゴール
カルナウバロウ
【0075】
[製造例3]
以下の成分を1錠中に含有する500mgの糖衣錠を、常法に従って製造した。得られた錠剤2錠を常法によりアルミニウム箔を構成材料とするシートでSP包装し、製造例3の医薬品を得た。
加工ダイサン末 25mg
エゾウコギ乾燥エキス 7mg(原生薬換算量175mg)
チョウジ末 10mg
チアミン硝化物 5mg
リボフラビン 2mg
ピリドキシン塩酸塩 2.5mg
L-アスコルビン酸ナトリウム 56.3mg
ガンマーオリザノール 5mg
カルニチン塩化物 25mg
ニコチン酸アミド 6mg
結晶セルロース
トウモロコシデンプン
ヒドロキシプロピルセルロース
クロスポビドン
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース
ステアリン酸マグネシウム
ヒプロメロース
タルク
アラビアゴム末
沈降炭酸カルシウム
精製白糖
ゼラチン
ポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコール
青色2号
カルナウバロウ
【0076】
[製造例4]
以下の成分を1錠中に含有する550mgの糖衣錠を、常法に従って製造した。得られた錠剤2錠を常法によりアルミニウム箔を構成材料とするシートでSP包装し、製造例4の医薬品を得た。
加工ダイサン末 20mg
エゾウコギ乾燥エキス 10mg(原生薬換算量250mg)
チョウジ末 15mg
チアミン硝化物 5mg
リボフラビン 2mg
ピリドキシン塩酸塩 2.5mg
L-アスコルビン酸ナトリウム 112.6mg
シアノコバラミン 0.03mg
カルニチン塩化物 30mg
ニコチン酸アミド 8mg
結晶セルロース
トウモロコシデンプン
ヒドロキシプロピルセルロース
クロスポビドン
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース
ステアリン酸マグネシウム
ヒプロメロース
タルク
アラビアゴム末
沈降炭酸カルシウム
精製白糖
ゼラチン
ポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコール
青色2号
カルナウバロウ
【0077】
[製造例5]
以下の成分を1錠中に含有する500mgの糖衣錠を、常法に従って製造した。得られた錠剤2錠を常法によりアルミニウム箔を構成材料とするシートでSP包装し、製造例5の医薬品を得た。
加工ダイサン末 20mg
エゾウコギ乾燥エキス 7mg(原生薬換算量175mg)
チョウジ末 10mg
チアミン硝化物 5mg
リボフラビン 2mg
ピリドキシン塩酸塩 2.5mg
L-アスコルビン酸ナトリウム 56.3mg
トコフェロールコハク酸エステルカルシウム 10.35mg
ガンマーオリザノール 5mg
オウギ乾燥エキス 15mg(原生薬換算量120mg)
ニコチン酸アミド 8mg
ヒドロキシプロピルセルロース
セルロース
クロスポビドン
ステアリン酸Mg
ヒプロメロース
白糖
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール
タルク
アラビアゴム
炭酸Ca
ゼラチン
リン酸水素Na
酸化チタン
黄色五号
カルナウバロウ
【0078】
[製造例6]
以下の成分を1錠中に含有する500mgの糖衣錠を、常法に従って製造した。得られた錠剤2錠を常法によりアルミニウム箔を構成材料とするシートでSP包装し、製造例6の医薬品を得た。
加工ダイサン末 30mg
エゾウコギ乾燥エキス 6mg(原生薬換算量150mg)
チョウジ末 15mg
チアミン硝化物 5mg
リボフラビン 2mg
L-アスコルビン酸ナトリウム 56.3mg
ガンマーオリザノール 5mg
シャクヤク乾燥エキス 8.55mg(原生薬換算量60mg)
カルニチン塩化物 30mg
ヒドロキシプロピルセルロース
セルロース
クロスポビドン
ステアリン酸Mg
ヒプロメロース
白糖
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール
タルク
アラビアゴム
炭酸Ca
ゼラチン
リン酸水素Na
酸化チタン
黄色五号
カルナウバロウ
【0079】
[製造例7]
以下の成分を1錠中に含有する550mgの糖衣錠を、常法に従って製造した。得られた錠剤2錠を常法によりアルミニウム箔を構成材料とするシートでSP包装し、製造例7の医薬品を得た。
加工ダイサン末 25mg
エゾウコギ乾燥エキス 8mg(原生薬換算量200mg)
チョウジ末 10mg
チアミン硝化物 5mg
リボフラビン 2mg
ピリドキシン塩酸塩 2.5mg
L-アスコルビン酸ナトリウム 112.6mg
ガンマーオリザノール 5mg
トウキ乾燥エキス 12.5mg(原生薬換算量50mg)
カルニチン塩化物 12.5mg
ニコチン酸アミド 6mg
ヒドロキシプロピルセルロース
セルロース
クロスポビドン
ステアリン酸Mg
ヒプロメロース
白糖
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール
タルク
アラビアゴム
炭酸Ca
ゼラチン
リン酸水素Na
酸化チタン
黄色五号
カルナウバロウ
【0080】
[製造例8~14]
錠剤を2錠ずつSP包装する代わりに錠剤30錠をガラス製の容器でビン包装したほかは製造例1~7と同様の方法により、それぞれ製造例8~14の医薬品を得た。
【0081】
[製造例15~21]
錠剤を2錠ずつSP包装する代わりに錠剤30錠をポリエチレン製の容器でビン包装したほかは製造例1~7と同様の方法により、それぞれ製造例15~21の医薬品を得た。
【0082】
[製造例22~28]
錠剤を2錠ずつSP包装する代わりに錠剤80錠をポリプロピレン製の容器でビン包装したほかは製造例1~7と同様の方法により、それぞれ製造例22~28の医薬品を得た。
【0083】
[製造例29~35]
錠剤を2錠ずつSP包装する代わりに錠剤10錠をPTP包装し、次いでピロー包装したほかは製造例1~7と同様の方法により、それぞれ製造例29~35の医薬品を得た。
【0084】
[製造例36~42]
錠剤を2錠ずつSP包装する代わりに錠剤30錠を自立式のアルミ袋に収容して密閉する方法により、それぞれ製造例36~42の医薬品を得た。