(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022117516
(43)【公開日】2022-08-10
(54)【発明の名称】シュレッダシステム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/10 20120101AFI20220803BHJP
【FI】
G06Q10/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093019
(22)【出願日】2022-06-08
(62)【分割の表示】P 2020065601の分割
【原出願日】2020-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】516066095
【氏名又は名称】株式会社リアライズカンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100154748
【弁理士】
【氏名又は名称】菅沼 和弘
(72)【発明者】
【氏名】今福 洋介
(57)【要約】
【課題】シュレッダに投入された媒体に固定されていた情報を復元すること。
【解決手段】スキャナ装置11の読取部111は、媒体Pに印字等により固定された情報を読み取る。送信制御部122は、デジタル画像データの形態で取得された媒体Pの情報を、サーバ2へ送信する制御を実行する。情報取得部201は、シュレッダ1から送信されてきた情報(デジタル画像データ)を、取得する。情報管理部202は、情報取得部201により取得された情報を、媒体Pの情報であることがわかるように取得情報DB40に格納することで、媒体Pの情報として読み出し可能となるように管理する。情報読出部203は、監視者端末3から送信される読み出し指示を、取得する。そして、情報読出部203は、情報管理部202を介して、取得情報DB40から媒体Pの情報を読み出す。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置と、情報が固定された媒体を破砕するシュレッダと、スキャナ装置とを含むシュレッダシステムにおいて、
前記スキャナ装置は、前記シュレッダにより前記媒体が破砕される前の所定のタイミングにおいて、前記媒体に固定された情報を読み取り、
前記情報処理装置は、
前記スキャナ装置により読み取られた前記情報を取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段により取得された前記情報を復元可能な状態で管理する情報管理手段と、
を備えるシュレッダシステム。
【請求項2】
前記情報取得手段は、前記情報を画像情報として取得する、
請求項1に記載のシュレッダシステム。
【請求項3】
前記情報処理装置は、
前記情報を復元して、提供する提供手段、
をさらに備える、
請求項1に記載のシュレッダシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シュレッダシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、シュレッダに関する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の特許文献1を含む従来技術のみでは、被破砕物である媒体をシュレッダに投入した後、その媒体に固定されていた情報を復元することは困難であった。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、シュレッダに投入された媒体に固定されていた情報を復元することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様のシュレッダシステムは、
情報処理装置と、情報が固定された媒体を破砕するシュレッダと、スキャナ装置とを含むシュレッダシステムにおいて、
前記スキャナ装置は、前記シュレッダにより前記媒体が破砕される前の所定のタイミングにおいて、前記媒体に固定された情報を読み取り、
前記情報処理装置は、
前記スキャナ装置により読み取られた前記情報を取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段により取得された前記情報を復元可能な状態で管理する情報管理手段と、
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、シュレッダに投入された媒体に固定されていた情報を復元することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態にかかるシュレッダシステムにより実現可能な本サービスの一例の概要を、従来のサービスと対比しつつ示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態にかかるシュレッダシステムのシステム構成図である。
【
図3】本発明の一実施形態にかかるシュレッダシステムのシステム構成のうちシュレッダの外観構成の一例を示す斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態にかかるシュレッダシステムのうちサーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図5】
図4に示すサーバの機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
【
図6】本発明の一実施形態にかかるシュレッダシステムのシステム構成のうちシュレッダの外観構成の一例を示す斜視図であって
図2とは異なる図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図面を用いて説明する。
【0010】
まず、
図1を参照して、本発明が適用されるシュレッダシステム(後述する
図2参照)の適用対象となるサービス(以下、「本サービス」と呼ぶ)の概要について説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態にかかるシュレッダシステムにより実現可能な本サービスの一例の概要を、従来のサービスと対比しつつ示す図である。
【0012】
本サービスは、例えばオフィス等に勤務する、部下Hを管理する立場のユーザKに提供されるサービスである。
具体的には例えば、本来は廃棄してはならない媒体Pが部下Hにより勝手にシュレッダで破砕されることにより媒体Pに固定されていた情報が滅失した際、その媒体Pに固定されていた情報が復元され、ユーザKに提供されるサービスである。
【0013】
従来より、オフィス等で用いられる紙等の媒体Pには、機密情報が印字等により固定される。従って、この媒体Pが不要になった場合には、その媒体Pに固定されていた機密情報が第三者により判別されて転用されることを防止するため、当該機密情報の判別を破砕により不可能とするシュレッダの技術が用いられている。
シュレッダの技術は、媒体Pを破砕することによりプライバシー保護や情報漏洩の防止を可能にする一方で、一度破砕された媒体Pを復元することは極めて困難であるという特徴を有する。そのため、プライバシー保護や情報漏洩防止を目的としてシュレッダを利用するだけなく、媒体Pの復元を望まない者が、情報を滅失させる目的で故意にシュレッダを使用するケースも少なくない。
【0014】
具体的には、オフィス等において顧客との契約に関する情報が印字されている媒体Pが、部下Hの不利になるもの(例えば自己のミスを証明するもの)であるため、上司たるユーザKの目に触れさせたくない場合がある。このため、部下Hが媒体Pを故意に滅失させるケースを想定する。しかしながら、この媒体Pには顧客との契約に関する情報が含まれていることから、オフィス等(特にユーザK)においては重要な書類であり、廃棄不可として扱われているものとする。
例えば、部下Hが自身の過失により媒体Pを汚染してしまったと想定する。部下Hは、媒体Pを汚染させたことについてユーザKからの非難を受けることを避けるため、自身の過失の証拠となる媒体Pを滅失し、過失の隠蔽工作を図る。即ち、部下Hは、汚染された媒体Pを、復元され得ないシュレッダにより破砕することで、媒体Pの存在を滅失する。これにより、結果として媒体Pに印字等で固定されていた情報をも滅失することになる。
部下Hによって媒体P(即ちその媒体Pに固定されていた情報)が滅失されたことを、従来、ユーザKは感知し得えなかった。そのため、後日、媒体Pに印字されていた情報が再利用される際に、その媒体Pが滅失されていることが発覚し、トラブルを助長させる原因となっていた。
【0015】
また図示はしないが、故意ではなく過失により媒体Pを破砕するケースも少なくない。上述したようにシュレッダの技術は、一度破砕された媒体Pを復元することは極めて困難であるという特徴を有する。そのため、媒体Pをシュレッダへ投入する際には、本当に廃棄してよいか否かについて入念に確認がなされる必要がある。しかしながら大量の媒体が取り扱われるオフィス等においては、媒体Pをシュレッダへ投入する都度、本当に廃棄してよいか否かについて正確に確認を行うことは、煩雑であるうえに時間の制約からも困難である。そのため、本来は廃棄不可である媒体Pを誤ってシュレッダへ投入してしまい、情報を滅失させてしまうことも少なくなかった。
【0016】
以上のような
図1の左方に示される従来の問題に対し、同
図1の右方に示される本サービスによれば、媒体Pがシュレッダ1によりたとえ破砕された後であっても、媒体Pに固定されていた情報を復元することができるようになる。
具体的には例えば、部下Hが故意または過失によって媒体Pをシュレッダ1へ投入したとしても、次のような一連の処理が実行される。即ち、媒体Pは破砕される前に、シュレッダ1に内蔵されたスキャナ装置11においてスキャンされ、媒体Pに固定されていた情報が読み取られる。読み取られた情報は、
図2において後述するサーバ2へ送信され、記憶される。これによりシュレッダ1へ投入された媒体Pに固定されていた情報が、破砕前にサーバ2に保存される。
媒体Pは、固定されていた情報がスキャナ装置11によって読み取られた後、裁断部12へ送られて破砕される。
ユーザKは、監視者端末3において、サーバ2に記憶された媒体Pの情報を検索して抽出する。このようにして、ユーザKは、部下Hによってシュレッダ1へ投入されることにより滅失した情報を復元することができるようになる。
【0017】
以上、
図1を参照して、本発明が適用されるシュレッダシステムの適用対象となる本サービスの概要について説明した。
図2は、本発明の一実施形態にかかるシュレッダシステムのシステム構成図である
【0018】
図2に示すシュレッダシステムは、シュレッダ1と、サーバ2と、監視者端末3とを含むように構成されている。
シュレッダ1、サーバ2、監視者端末3の夫々は、インターネット等の所定のネットワークNを介して相互に接続されている。なお、ネットワークNは、その形態は特に限定されず、例えば、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi、LAN(Local Area Network)、インターネット等を採用することができる。
【0019】
シュレッダ1は、例えばオフィス等に設置され、部下H等により操作される。
【0020】
サーバ2は、ユーザKの監督のもと例えばシステム管理者(図示せず)により管理される情報処理装置である。サーバ2は、シュレッダ1、監視者端末3と適宜通信をしながら、各種処理を実行する。
なおシステム管理者としての業務を行う者は特に限定されない。例えば、ユーザK自身が、システム管理者としての業務を行ってもよい。
【0021】
監視者端末3は、オフィス等に設置され、ユーザKにより操作される情報処理装置である。具体的には例えば、監視者端末3は、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット等で構成される。
【0022】
次に、
図3を用いて上述したシュレッダシステムを構成するシュレッダ1のハードウェア構成の一例について説明する。
図3は、本発明の一実施形態にかかるシュレッダシステムのシステム構成のうちシュレッダの外観構成の一例を示す斜視図である。
図3に示すX軸及びY軸により形成される平面(XY平面)に対して、シュレッダ1が同図に示されるように置かれるものとする。そこで、以下、X軸の方向を「横方向」と呼び、Y軸の方向を「奥行方向」と呼び、Z軸の同図上方向を「上方向」と呼び、Z軸の同図下方向を「下方向」と呼ぶものとする。
【0023】
図3に示すように、シュレッダ1は、スキャナ装置11と、裁断部12と、筐体部13と、天板部14とを備えている。
筐体部13の上部に対して、天板部14が装着される。天板部14には、媒体Pを投入するための投入口15が設けられている。
スキャナ装置11は、筐体部13に内蔵され、天板部14に設けられた投入口15の直下に配置されている。スキャナ装置11は、媒体Pに印字等により固定されている情報を読み取って、デジタル画像データに変換する装置である。即ち、スキャナ装置11は、自動原稿送り装置(図示せず)で媒体Pを移動させることにより媒体Pに固定されている情報を読み取る。そして、スキャナ装置11は、読み取った情報をデジタル画像データに変換して、外部に出力する。
【0024】
裁断部12は、筐体部13に内蔵され、スキャナ装置11の下部に配置されている。裁断部12は、スキャナ装置11(自動原稿送り装置)で移動されてきた媒体Pを、微細な刃を用いて破砕する。
【0025】
即ち、媒体Pが投入口15よりシュレッダ1に投入されると、媒体Pはスキャナ装置11に送られる。媒体Pに固定されている情報は、スキャナ装置11によって読み取られた後、デジタル画像データに変換され、サーバ2へ送信される。
その後、媒体Pは、スキャナ装置11から裁断部12へ移動され、破砕される。
【0026】
次に、
図4を用いて上述したシュレッダシステムを構成するサーバ2のハードウェア構成の一例について説明する。
図4は、本発明の一実施形態にかかるシュレッダシステムのうちサーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
【0027】
サーバ2は、CPU(Central Processing Unit)21と、ROM(Read Only Memory)22と、RAM(Random Access Memory)23と、バス24と、入出力インターフェース25と、入力部26と、出力部27と、記憶部28と、通信部29と、ドライブ30とを備えている。
【0028】
CPU21は、ROM22に記録されているプログラム、又は、記憶部28からRAM23にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM23には、CPU21が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0029】
CPU21、ROM22及びRAM23は、バス24を介して相互に接続されている。このバス24にはまた、入出力インターフェース25も接続されている。入出力インターフェース25には、入力部26、出力部27、記憶部28、通信部29及びドライブ30が接続されている。
【0030】
入力部26は、例えばキーボード等により構成され、各種情報が入力される。
出力部27は、液晶等のディスプレイやスピーカ等により構成される。
記憶部28は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種データを記憶する。
通信部29は、インターネットを含むネットワークNを介して他の装置(例えば
図3のシュレッダ1等)との間で通信を行う。
【0031】
ドライブ30には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア31が適宜装着される。ドライブ30によってリムーバブルメディア31から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部28にインストールされる。
また、リムーバブルメディア31は、記憶部28に記憶されている各種データも、記憶部28と同様に記憶することができる。
【0032】
なお、図示はしないが、
図2の監視者端末3も、
図4に示すサーバ2のハードウェア構成と基本的に同様の構成を有することができる。従って、監視者端末3の構成の説明については省略する。
【0033】
次に
図5を参照して、
図3及び
図4に示すハードウェア構成を有するシュレッダ1、サーバ2、及び監視者端末3の機能的構成について説明する。
図5は、
図4に示すサーバの機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0034】
シュレッダ1は、スキャナ装置11と、裁断部12とにより構成される。
また、シュレッダ1のスキャナ装置11においては、読取部111と、主制御部112と、通信部113とが機能する。さらに、主制御部112には、取得部121と、送信制御部122とが設けられている。
【0035】
サーバ2のCPU21においては、情報取得部201と、情報管理部202と、情報読出部203と、表示制御部204とが機能する。
また、サーバ2の記憶部28の一領域には、取得情報DB40が設けられている。
【0036】
例えば部下H等が、シュレッダ1の天板部14に設けられた投入口15に媒体Pを投入することにより一連の動作が開始する。
シュレッダ1の投入口15から媒体Pが投入されると、媒体Pは、スキャナ装置11へ移動される。
スキャナ装置11の読取部111は、媒体Pに印字等により固定された情報を読み取る。
主制御部112の取得部121は、読取部111において読み取られた媒体Pの情報をデジタル画像データに変換して取得する。
主制御部112の送信制御部122は、デジタル画像データの形態で取得された媒体Pの情報を、通信部113を介してサーバ2へ送信する制御を実行する。
また、スキャナ装置11の読取部111において情報の読み取りがなされた媒体Pは、シュレッダ1の裁断部12へ送られて破砕される。
【0037】
サーバ2の情報取得部201は、シュレッダ1から送信されてきた情報(デジタル画像データ)を、通信部29を介して取得する。
情報管理部202は、情報取得部201により取得された情報を、媒体Pの情報であることがわかるように取得情報DB40に格納することで、媒体Pの情報として読み出し可能となるように管理する。
【0038】
ユーザKは、媒体Pの情報を参照したい場合、監視者端末3を介してサーバ2にアクセスすることにより情報の読み出し指示を行う。
【0039】
サーバ2の情報読出部203は、監視者端末3から情報の読み出し指示を受けると、取得情報DB40において媒体Pの情報を検索する。
具体的には、情報読出部203は、監視者端末3から送信される読み出し指示を、通信部29を介して取得する。そして、情報読出部203は、情報管理部202を介して、取得情報DB40から媒体Pの情報を読み出す。
【0040】
ここで、情報管理部202は、媒体Pの情報を、各種メタデータと対応付けて取得情報DB40に格納することができる。
そこで、ユーザKは、メタデータをキーワードにして、媒体Pの情報の読み出しの指示をしてもよい。
【0041】
具体的には例えば、媒体Pの情報が契約書に関する情報の場合、シュレッダ1は、当該媒体Pの情報を読み取る際に、文字認識等をして「契約書」というメタデータを生成して、当該媒体Pの情報(デジタル画像データ)に対応付けて出力することができる。この場合、ユーザKが契約書に関する情報を読み出したい場合、「契約書」というキーワードを入力すると、取得情報DB40に格納されている各種媒体Pの情報の中から「契約書」というメタデータと対応付けられた媒体Pの情報をスムーズに検索して抽出することができる。
【0042】
また例えば、シュレッダ1により媒体Pの情報が読みだされた日付がメタデータとして、当該媒体Pの情報に対応付けられる場合がある。この場合、ユーザKが「〇月×日」にシュレッダ1により読み出された媒体Pの情報を読み出したい場合、「〇月×日」と入力すると、取得情報DB40に格納されている各種媒体Pの情報の中から「〇月×日」というメタデータと対応付けられた媒体Pの情報をスムーズに検索して抽出することができる。
【0043】
サーバ2の表示制御部204は、情報読出部203において読み出された媒体Pの情報を、通信部29を介して監視者端末3に表示する制御を実行する。
【0044】
監視者端末3は、媒体Pの情報を図示せぬ取得部において取得し、図示せぬディスプレイに表示する。
【0045】
以上、シュレッダ1、サーバ2、監視者端末3の機能的構成例について
図5を参照して説明した。
【0046】
[第2実施形態]
第1実施形態において説明したシュレッダ1において、スキャナ装置11はシュレッダ1の筐体部13に内蔵されていた。そして、投入口15より投入された媒体Pは、スキャナ装置11(自動原稿送り装置)により、固定されている情報の読み取りがなされた後、デジタル画像データに変換され、サーバ2へ送信された。そして一方で媒体Pは、スキャナ装置11の下部に配置されている裁断部12へ移動され、破砕された。
即ち、第1実施形態においては、媒体Pに固定されている情報の読み取りと媒体Pの破砕とが一連の処理として実行される。そのため、第1実施形態においては、情報の記憶と復元がなされるのみで、媒体P実物の破砕の防止もがなされ得るものではなかった。
そこで第2実施形態として、投入口15より投入された媒体Pは、スキャナ装置11(自動原稿送り装置)により固定されている情報の読み取りがなされた後、裁断部12へ移動される前の一定の期間、所定の位置において保管されるような構成にしてもよい。
以下、
図6を参照して第2実施形態の具体例について説明する。
【0047】
図6は、本発明の一実施形態にかかるシュレッダシステムのシステム構成のうちシュレッダの外観構成の一例示す斜視図であって
図2とは異なる図である。
図6に示すX軸及びY軸により形成される平面(XY平面)に対して、シュレッダ1が同図に示されるように置かれるものとする。そして
図3において上述した通り、X軸の方向を「横方向」と呼び、Y軸の方向を「奥行方向」と呼び、Z軸の同図上方向を「上方向」と呼び、Z軸の同図下方向を「下方向」と呼ぶものとする。
【0048】
図6に示すように、第2実施形態におけるシュレッダ1は、保管容器16と、破砕器20とから構成される。そして保管容器16は、スキャナ装置11と、筐体部17と、天板部18とを備え、また、破砕器20は、裁断部12と、筐体部13と、天板部14とをそれぞれ備える。
保管容器16においては、筐体部17の上部に対して、天板部18が装着される。そして天板部18には、媒体Pを投入するための投入口19が設けられる。
スキャナ装置11は、筐体部17に内蔵され、天板部18の投入口19の直下に配置される。
破砕器20においては、筐体部13の上部に対して、天板部14が装着される。天板部14には、媒体Pを投入するための投入口15が設けられている。
裁断部12は、投入口15の下部に配置される。そして裁断部12は、投入口15に投入された媒体Pを微細な刃を用いて破砕する。
【0049】
例えば、部下Hが、保管容器16の天板部14に設けられた投入口19に媒体Pを投入することにより一連の動作が開始する。
保管容器16の投入口19から媒体Pが投入されると、媒体Pは、スキャナ装置11へ移動される。
スキャナ装置11の読取部111は、媒体Pに印字等により固定された情報を読み取る。
主制御部112の取得部121は、読取部111において読み取られた媒体Pの情報をデジタルデータに変換して取得する。
主制御部112の送信制御部122は、デジタル画像データの形態で取得された媒体Pの情報を、通信部113を介してサーバ2へ送信する制御を実行する。
そして、スキャナ装置11の読取部111において情報の読み取りがなされた媒体Pは、自動原稿送り装置により筐体部17に内蔵される保管部(図示せず)へ移動され、一定の期間、保管される。
【0050】
サーバ2の情報取得部201は、保管容器16から送信されてきた情報(デジタル画像データ)を、通信部29を介して取得する。
情報管理部202は、情報取得部201により取得された情報を、媒体Pの情報であることがわかるように取得情報DB40に格納することで、媒体Pの情報として読み出し可能となるように管理する。
【0051】
筐体部17に内蔵される保管部において一定の期間保管された媒体Pは、保管部より取り出された後、破砕器20に設けられた投入口15へ投入される。そして媒体Pは、裁断部12へ送られ、破砕される。
【0052】
ユーザKは、媒体Pの情報を参照したい場合、監視者端末3を介してサーバ2にアクセスすることにより情報の読み出し指示を行う。
【0053】
サーバ2の情報読出部203は、監視者端末3から情報の読み出し指示を受けると、取得情報DB40において媒体Pの情報を検索する。
具体的には、情報読出部203は、監視者端末3から送信される読み出し指示を、通信部29を介して取得する。そして、情報読出部203は、情報管理部202を介して、取得情報DB40から媒体Pの情報を読み出す。
【0054】
サーバ2の表示制御部204は、情報読出部203において読み出された媒体Pの情報を、通信部29を介して監視者端末3に表示する制御を実行する。
【0055】
監視者端末3は、媒体Pの情報を図示せぬ取得部において取得し、図示せぬディスプレイに表示する。
【0056】
以上、
図6を参照して第2実施形態の具体例について説明した。
このように、スキャナ装置11と、裁断部12とを異なる筐体に設けることによって、媒体Pに固定されている情報の読取りがなされてから、媒体Pの破砕がなされるまでの間に、一定の期間を設けてもよい。これにより例えば、媒体Pに固定されている情報の読み取りがなされ、保管容器16で保管されている間に、ユーザKが、監視者端末3において媒体Pの情報を読み出し、媒体Pが本来廃棄されてよいか否かについて判断することができるようになる。そしてその結果、破砕されてはならないと判断された媒体Pは、破砕器20へ移動される前に保管容器16から取り出されることで、破砕されずに済むようになる。
以上のように、媒体Pに固定されている情報の読取りがなされてから、媒体Pの破砕がなされるまでの間に一定の期間を設けることで、ユーザKは、情報の復元と、媒体P実物の復元との両方を可能にすることができる。
【0057】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0058】
例えば、
図3、
図4及び
図6に示すハードウェア構成は、本発明の目的を達成するための例示に過ぎず、特に限定されない。
【0059】
例えば、上述の第2実施形態において、シュレッダ1は、媒体Pに固定されている情報を読み取る機能を有する保管容器16と、媒体Pを破砕する機能を有する破砕器20とからなる構成について説明したが、これに限定されない。即ち、保管容器16と破砕器20とは、同一の筐体に備えられていてもよいものとする。
【0060】
また例えば、上述の第2実施形態において、媒体Pは、保管容器16において一定の期間保管された後、破砕器20へ移動されるが、媒体Pが移動される手段は特に限定されない。例えばユーザK等が媒体Pを手動で移動してもよいし、自動で行われてもよいものとする。
【0061】
また、
図5に示す機能ブロック図は、例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が情報処理装置に備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは、特に
図5の例に限定されない。
【0062】
また、機能ブロックの存在場所も、
図5に限定されず、任意でよい。
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0063】
各機能ブロックの処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えばサーバの他汎用のスマートフォンやパーソナルコンピュータであってもよい。
【0064】
このようなプログラムを含む記録媒体は、各ユーザにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される、リムーバブルメディアにより構成されるだけではなく、装置本体に予め組み込まれた状態で各ユーザに提供される記録媒体等で構成される。
【0065】
また、上述の実施形態において、媒体Pに固定された情報はデジタル画像データとして出力されたが、これに限定されない。
即ち、媒体Pの情報は、画像データではなく、テキストデータとして出力されてもよい。
この場合、ユーザKは、テキストデータの少なくとも一部をキーワードにして、媒体Pの情報の読み出しの指示をしてもよい。具体的には例えば、ユーザKが契約書に関連する情報を読み出したい場合、「契約書」というキーワードを入力すると、取得情報DB40に格納されている各種媒体Pの情報の中から「契約書」というキーワードを含む媒体Pの情報が検索されて抽出される。
このように、媒体Pの情報がテキストデータとして出力されることにより、任意のキーワードに対応付けられた媒体Pの情報がスムーズに検索されて抽出されるようになるという利点を有する。
【0066】
しかしながら一方で、テキストデータは、容易にその情報が書き換えられるという弱点も有する。具体的には例えば、テキストデータとして出力された顧客との契約に関する情報を、第三者が不正の目的で書き換え、新たな媒体に固定して出力することも容易に可能になる。
このように、媒体Pの情報がテキストデータとして出力される場合、情報の検索及び抽出が容易に可能になるという利点がある一方、情報の書き換えがなされやすいという弱点も発生し得る。
【0067】
この点デジタル画像データにおいては、含まれる情報の変更は比較的困難である場合が多いため、情報の編集がなされにくいという利点がある。したがって、媒体Pに固定されている情報が、例えば顧客との契約に関する情報等、編集が許されない重要な情報である場合、媒体Pに固定されている情報は、テキストデータではなく、デジタル画像データとして出力される方が、情報としての証拠能力が高く、好適である。
【0068】
以上を換言すると、本発明が適用されるシュレッダシステムは、次のような構成を有していれば足り、各種各様な実施の形態を取ることができる。
即ち、本発明の一態様のシュレッダシステムは、
情報処理装置(例えば
図2のサーバ2)と、情報が固定された媒体(例えば
図3の媒体P)を破砕するシュレッダ(例えば
図3のシュレッダ1)と、スキャナ装置(例えば
図3のスキャナ装置11)とを含むシュレッダシステムにおいて、
前記スキャナ装置(例えば
図3のスキャナ装置11)は、前記シュレッダ(例えば
図3のシュレッダ1)により前記媒体が破砕される前の所定のタイミングにおいて、前記媒体(例えば
図3の媒体P)に固定された情報を読み取り、
前記情報処理装置は、
前記スキャナ装置(例えば
図3のスキャナ装置11)により読み取られた前記情報を取得する情報取得手段(例えば
図5の情報取得部201)と、
前記取得手段(例えば
図5の情報取得部201)により取得された前記情報を復元可能な状態で管理する情報管理手段(例えば
図5の情報管理部202)と、
を備える。
これにより、媒体(例えば
図3の媒体P)に固定された情報は、前記シュレッダ(例えば
図3のシュレッダ1)により前記媒体(例えば
図3の媒体P)が破砕される前の所定のタイミングにおいて、スキャナ装置(例えば
図3のスキャナ装置11)により読み取られ、情報処理装置の情報取得手段(例えば
図5の情報取得部201)によって取得され、情報管理手段(例えば
図5の情報管理部202)において復元可能な状態で管理される。即ち、媒体に固定された情報は、その媒体が破砕される前に取得され、復元可能な状態で管理されるため、情報の滅失を防ぐことができるようになる。
【0069】
また、前記情報取得手段(例えば
図5の情報取得部201)は、前記情報を画像情報として取得する。
これにより、媒体(例えば
図3の媒体P)に固定された情報は、画像情報として取得されるため、情報の改ざんを防ぐことができる。即ち、情報としての信頼性を高めることができる。
【0070】
また、前記情報を復元して、提供する提供手段(例えば
図5の情報読出部203)、
をさらに備える。
これにより、提供手段(例えば
図5の情報読出部203)は、媒体(例えば
図3の媒体P)に固定された情報を復元して提供する。即ち、シュレッダに投入された媒体に固定されていた情報を復元することが可能になる。
【符号の説明】
【0071】
1・・・シュレッダ、2・・・サーバ、3・・・監視者端末、201・・・情報取得部、202・・・情報管理部、203・・・情報読出部、204・・・表示制御部