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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022117545
(43)【公開日】2022-08-12
(54)【発明の名称】画像処理装置および工作機械
(51)【国際特許分類】
   B23Q 17/22 20060101AFI20220804BHJP
   B23Q 17/24 20060101ALI20220804BHJP
   B23Q 17/00 20060101ALI20220804BHJP
   G05B 19/4065 20060101ALI20220804BHJP
【FI】
B23Q17/22 D
B23Q17/24 Z
B23Q17/00 D
G05B19/4065
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021014082
(22)【出願日】2021-02-01
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002273
【氏名又は名称】特許業務法人インターブレイン
(72)【発明者】
【氏名】窪田 純一
【テーマコード(参考)】
3C029
3C269
【Fターム(参考)】
3C029AA25
3C029AA40
3C029FF01
3C269AB26
3C269BB07
3C269EF15
3C269JJ20
3C269QE08
(57)【要約】
【課題】工具の刃長を確認する。
【解決手段】画像処理装置は、工具の撮像画像から、工具の外形を示す工具形状データを形成する形状再現部と、工具形状データから、工具の刃部を特定する刃部特定部と、工具形状データとともに、工具の刃部の終端位置を示す境界線を表示させる形状表示部と、を備える。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具の撮像画像から、前記工具の外形を示す工具形状データを形成する形状再現部と、
前記工具形状データから、前記工具の刃部を特定する刃部特定部と、
前記工具形状データとともに、前記工具の刃部の終端位置を示す境界線を表示させる形状表示部と、を備える画像処理装置。
【請求項2】
前記刃部の長さである刃長を特定する刃長特定部、を更に備え、
前記形状表示部は、更に、工具長、工具径および前記刃長を数値表示させる、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記刃長を、前記工具の工具形状データとともに登録する形状登録部と、を更に備える、請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
ユーザから、前記境界線の調整操作を受け付ける入力部、を更に備え、
前記形状登録部は、前記調整操作にしたがって前記刃長の登録値を変更する、請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記形状再現部は、前記工具の撮像画像から前記工具の外形位置を示す複数のエッジ点を検出し、前記複数のエッジ点に基づいて前記工具形状データを形成する、請求項1から4のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項6】
工具の撮像画像から、前記工具の外形を示す工具形状データを形成する形状再現部と、
前記工具形状データと、前記工具形状データ上における第1の位置に境界線と、前記工具形状データにおける工具先端位置から前記第1の位置までの距離と、を同一画面上に表示させる形状表示部と、を備え、
前記形状表示部は、前記境界線の位置の変更を指示する操作を受け付けたとき、前記境界線を前記第1の位置とは異なる第2の位置に表示させる、画像処理装置。
【請求項7】
所定の工具認識領域に固定され、前記工具認識領域に挿入された工具を撮像するカメラと、
工具を装着可能な工具保持部と、
加工プログラムにしたがって前記工具保持部を制御し、前記工具によりワークを加工する加工制御部と、
前記工具の撮像画像から前記工具の外形位置を示す複数のエッジ点を検出し、前記複数のエッジ点に基づいて前記工具の外形を示す工具形状データを形成する形状再現部と、
前記工具形状データから、前記工具の刃部を特定する刃部特定部と、
前記工具形状データとともに、前記工具の刃部の終端位置を示す境界線を表示させる形状表示部と、を含む、工作機械。
【請求項8】
前記加工制御部は、前記工具を前記工具認識領域に挿入したときに前記工具を回転させ、
前記形状再現部は、複数の回転角それぞれに対応する複数の撮像画像それぞれからエッジ点を検出し、前記複数の回転角それぞれに対応して検出された複数のエッジ点に基づいて前記工具形状データを3次元の点群データとして形成する、請求項7に記載の工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械における工具の状態を確認する技術、に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械は、ワークを所望の形状に切削加工する装置や、金属粉末などを積層してワークを作る装置がある。切削加工する工作機械には、回転するワークに切削用の工具を当てることでワークを加工するターニングセンタと、回転する工具をワークに当てることでワークを加工するマシニングセンタ、これらの機能を複合的に備える複合加工機などがある。
【0003】
工具は主軸あるいは刃物台などの工具保持部に固定される。工作機械は、あらかじめ用意された加工プログラムにしたがって、工具を交換しつつ、工具保持部を動かしながらワークを加工する。
【0004】
工具は、ワークに接触してこれを切削する刃部と、工具保持部への固定のためのシャンク部を含む。たとえば、刃部の長さ(以下、「刃長」とよぶ)が85ミリメートルの工具の場合、工具先端から85ミリメートルまではワークに接触させることができるが、先端から85ミリメートルを超える部分(シャンク部)をワークに接触させてはならない。したがって、工作機械には、あらかじめ工具ごとに刃長を登録しておく必要がある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-218550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的には、作業者が工具メーカーのウェブサイトから工具の仕様書をダウンロードし、仕様書に記載される刃長を工作機械に数値入力することで、工具ごとの刃長を登録することが多い。しかし、このような登録方法は、作業負担が大きく、また、入力ミスを防ぐための確認負担も大きい。
【0007】
一つの方法として、工具をカメラで撮像し、撮像画像を画像認識することにより刃長を自動検出する方法が考えられる。しかし、画像認識によって常に正しい刃長が求められるとは限らない。また、刃長が85ミリメートルであっても、安全のため、5ミリメートル程度のマージンをとって、工具先端から80ミリメートルまでしかワークに接触させたくない場合もある。このように、同一工具であっても、刃長の設定値は作業者によって異なる場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある態様における画像処理装置は、工具の撮像画像から、工具の外形を示す工具形状データを形成する形状再現部と、工具形状データから、工具の刃部を特定する刃部特定部と、工具形状データとともに、工具の刃部の終端位置を示す境界線を表示させる形状表示部と、を備える。
【0009】
本発明の別の態様における画像処理装置は、工具の撮像画像から、工具の外形を示す工具形状データを形成する形状再現部と、工具形状データと、工具形状データ上における第1の位置に境界線と、工具形状データにおける工具先端位置から第1の位置までの距離と、を同一画面上に表示させる形状表示部と、を備える。
形状表示部は、境界線の位置の変更を指示する操作を受け付けたとき、境界線を第1の位置とは異なる第2の位置に表示させる。
【0010】
本発明のある態様における工作機械は、所定の工具認識領域に固定され、工具認識領域に挿入された工具を撮像するカメラと、工具を装着可能な工具保持部と、加工プログラムにしたがって工具保持部を制御し、工具によりワークを加工する加工制御部と、工具の撮像画像から工具の外形位置を示す複数のエッジ点を検出し、複数のエッジ点に基づいて工具の外形を示す工具形状データを形成する形状再現部と、工具形状データから、工具の刃部を特定する刃部特定部と、工具形状データとともに、工具の刃部の終端位置を示す境界線を表示させる形状表示部と、を含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、工具の刃長を確認しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】工作機械の外観図である。
図2】工具認識領域の周辺斜視図である。
図3】工具認識領域における工具、カメラおよび照明装置の位置関係を示す模式図である。
図4】工作機械および画像処理装置のハードウェア構成図である。
図5】画像処理装置の機能ブロック図である。
図6】工具と撮像領域の位置関係を示す模式図である。
図7】工具と部分画像の関係を示す模式図である。
図8】工具の外形を画像認識するときの部分画像を示す。
図9】エッジ点画像を示す図である。
図10】工具形状データを示す第1図である。
図11】工具形状データを示す第2図である。
図12】ある工具の側面図である。
図13】工具確認画面の画面図である。
図14】工具登録の処理過程を示すフローチャートである。
図15図14のS18における刃長調整処理の詳細な処理過程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、工作機械100の外観図である。
本実施形態における工作機械100は、加工領域200内に配置されるワークを加工する複合加工機である。ワークは保持部104に固定され、別の保持部である主軸に取り付けられる工具102により切削される。ワークを保持する保持部104は駆動機構により回転駆動される。
【0014】
工具102が工具認識領域210内に挿入されたとき、下方の照明装置108は工具102を照明し、上方のカメラ106は工具102を撮像する。このときの撮像画像に基づいて後述の工具登録が実行される。工具認識領域210の構成については次の図2図3に関連して後述する。
【0015】
工作機械100は、外部を遮断するカバー202を備える。カバー202は、ドア204を備える。作業者は、ドア204を開口して、加工領域200へのワークの取り付けおよび加工領域200からのワークの取り出しを行う。操作盤206は、作業者から、工作機械100に対する各種操作を受け付ける。
【0016】
操作盤206は、画像処理装置110と接続される。作業者は、画像処理装置110により工作機械100の作業状況を遠隔監視できる。本実施形態においては、工作機械100本体と画像処理装置110は有線ケーブルを介して接続される。画像処理装置110は、一般的なラップトップPC(Personal Computer)あるいはタブレット・コンピュータであってもよい。画像処理装置110は、工作機械100の内部、たとえば、操作盤206の内部装置として形成されてもよい。
【0017】
工具格納部130は、複数の工具102を格納する。工具格納部130に格納される複数の工具102から工具交換部(後述)により工具102を取得し、これを主軸に装着する。加工領域200は工具認識領域210を経由して工具格納部130につながる。したがって、工具交換を行うときには、主軸を工具認識領域210の奥深くに差し込む。
【0018】
図1に示すように、水平方向にX軸とY軸、垂直方向にZ軸を設定するものとする。Y軸方向は、主軸およびワークの軸方向に対応する。
【0019】
図2は、工具認識領域210の周辺斜視図である。
加工領域200の一部に、工具認識領域210が形成される。具体的には、ワークを固定する保持部104の上方に工具認識領域210(空間)が形成される。工具認識領域210は、カメラ106および照明装置108を含む(図3に関連して後述)。
【0020】
外部カバー300は、工具認識領域210を閉鎖する可動式の仕切板(シャッター)である。ワークの加工時においては、工具認識領域210は外部カバー300により閉鎖される。加工中の加工領域200においては、ワークと工具102との摩擦熱を除去するための冷却液であるクーラントが噴射される。また、加工領域200内ではワークの切り屑も飛散する。このため、外部カバー300により工具認識領域210を閉鎖することで、クーラント等が工具認識領域210内に入り込むのを防止する。
【0021】
加工プログラム中の測定コマンド等により工具102の検査を指示されたとき、工作機械100はワークの加工を中止する。このとき、工作機械100は、クーラントの噴射も中止させる。外部カバー300が開口し、主軸は工具を工具認識領域210に進入させる。工具認識領域210に挿入された工具102をカメラ106で撮像することにより、工具形状を確認する。以下、加工中における工具102の検査を「工具検査」とよぶ。
【0022】
新規に工具102を登録するときにも、工具認識領域210において工具形状の画像認識が行われる(後述)。以下、工具102を新規登録することを「工具登録」とよぶ。工具登録のときにも外部カバー300は開口し、主軸116が登録対象の工具102を工具認識領域210に挿入することで画像処理装置110は工具形状の確認を行う。
【0023】
図3は、工具認識領域210における工具102、カメラ106および照明装置108の位置関係を示す模式図である。
工具102は、ワークの加工に利用される刃部112と、主軸116のホルダ118に固定される部位であるシャンク部114を含む。主軸116は、工具102を保持しつつ、回転および移動可能に構成される。また、保持部でもある主軸116は、保持している工具を回転させることもできる。
【0024】
カメラ106は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)、CCD(Charge-Coupled Device)などのイメージセンサ(撮像素子)を備える。カメラ106は、主軸116に取り付けられた工具102を上(Z軸方向)から撮像する。カメラ106は工具認識領域210に固定される。主軸116がY軸を軸心として工具102を回転させることにより、カメラ106は複数方向から工具102を撮像できる。また、主軸116が工具102を水平方向(XY方向)に動かすことにより、カメラ106は工具102の複数箇所を撮像できる。
【0025】
カメラ106に対向するように、下部には照明装置108が固定される。照明装置108は工具102を下から照明する。照明装置108による透過照明により、カメラ106は、工具102の輪郭位置を把握しやすい、コントラストの高い撮像画像を取得できる。
【0026】
ユーザは、工具登録に際しては、操作盤206において工具登録モードに設定し、主軸116に新規の工具102を取り付ける。次に、任意の工具IDを入力する。主軸116は工具102を移動・回転させ、固定されたカメラ106は工具102をさまざまな位置および方向から自動的に撮像する。カメラ106により得られた多数の撮像画像から、工具形状が認識され、工具IDと工具形状データが対応づけて登録される。このような制御方法により、工具102ごとに、工具形状データを自動的に工具IDに対応づけて登録できる。工具形状データは、点群のデータであり、二次元データあるいは三次元データとして形成される(後述)。
【0027】
また、加工中あるいは加工後の工具102について工具検査を実行するときにも、主軸116は工具102を工具認識領域210に進入させる。工具登録時と同様、主軸116は工具102を移動・回転させ、カメラ106は工具102をさまざまな位置および方向から自動的に撮像する。カメラ106により得られた多数の撮像画像から、工具形状が認識される。
【0028】
本実施形態におけるカメラ106は約100万画素(1224×1024)の解像度を有する。撮像範囲は300ミリメートル×300ミリメートル程度である。また、カメラ106は1秒間に最大80枚の撮像画像を取得可能である。
【0029】
図4は、工作機械100および画像処理装置110のハードウェア構成図である。
工作機械100は、操作制御装置120、加工制御部122、加工装置124、工具交換部126および工具格納部130を含む。数値制御装置として機能する加工制御部122は、加工プログラムにしたがって加工装置124に制御信号を送信する。加工装置124は、加工制御部122からの指示にしたがって主軸116を動かしてワークを加工する。
【0030】
操作制御装置120は、操作盤206を含み、加工制御部122を制御する。工具格納部130は工具を格納する。工具交換部126は、いわゆるATC(Automatic Tool Changer)に対応する。工具交換部126は、加工制御部122からの交換指示にしたがって、工具格納部130から工具を取り出し、主軸116にある工具と工具格納部130から取り出した工具を交換する。
【0031】
画像処理装置110は、主として、工具形状認識等の画像処理を行う。上述したように、画像処理装置110は操作制御装置120の一部として構成されてもよい。あるいは、画像処理装置110を含めた全体を「工作機械100」と称してもよい。
【0032】
図5は、画像処理装置110の機能ブロック図である。
画像処理装置110の各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)および各種補助プロセッサなどの演算器、メモリやストレージといった記憶装置、それらを連結する有線または無線の通信線を含むハードウェアと、記憶装置に格納され、演算器に処理命令を供給するソフトウェアによって実現される。コンピュータプログラムは、デバイスドライバ、オペレーティングシステム、それらの上位層に位置する各種アプリケーションプログラム、また、これらのプログラムに共通機能を提供するライブラリによって構成されてもよい。以下に説明する各ブロックは、ハードウェア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。
【0033】
なお、操作制御装置120および加工制御部122も、プロセッサなどの演算器、メモリやストレージといった記憶装置、それらを連結する有線または無線の通信線を含むハードウェアと、記憶装置に格納され演算器に処理命令を供給するソフトウェアやプログラムを画像処理装置110とは別個のオペレーティングシステム上で実現される形態でもよい。
【0034】
画像処理装置110は、ユーザインタフェース処理部140、データ処理部142およびデータ格納部144を含む。
ユーザインタフェース処理部140は、ユーザからの操作を受け付けるほか、画像表示や音声出力など、ユーザインタフェースに関する処理を担当する。ユーザインタフェース処理部140は操作制御装置120との通信も行う。データ処理部142は、ユーザインタフェース処理部140により取得されたデータおよびデータ格納部144に格納されているデータに基づいて各種処理を実行する。データ処理部142は、ユーザインタフェース処理部140およびデータ格納部144のインタフェースとしても機能する。データ格納部144は、各種プログラムと設定データを格納する。
【0035】
ユーザインタフェース処理部140は、入力部146および出力部148を含む。
入力部146は、タッチパネルあるいはハンドル等のハードデバイスを介してユーザからの入力を受け付ける。入力結果は操作制御装置120に送信される。出力部148は、画像表示あるいは音声出力を介して、ユーザに各種情報を提供する。出力部148は、形状表示部302を含む。形状表示部302は、工具形状データを画面表示させる。あるいは、形状表示部302は、工具形状データを操作盤206等の他の装置に送信してもよい。
【0036】
データ処理部142は、工具確認部152、刃部特定部154、刃長特定部156、形状再現部158および形状登録部160を含む。
工具確認部152は、カメラ106を制御し、工具認識領域210における工具102の形状認識処理を実行する。形状再現部158は、撮像画像に基づいて工具102の三次元形状を示すデータである工具形状データを生成する。
【0037】
刃部特定部154は、撮像画像に基づいて工具102のうち刃部112に該当する領域を特定する。刃長特定部156は、工具102の刃長を特定する。以下、刃長特定部156により特定された刃長のことを「検出刃長」とよぶ。形状登録部160は、工具IDと工具形状データおよび刃長を対応づけてデータ格納部144に登録する。以下、データ格納部144に正式に登録される刃長のことを「登録刃長」とよぶ。検出刃長はそのまま登録されてもよいし、作業者は検出刃長を調整した上で登録してもよい(後述)。
【0038】
図6は、工具102と撮像領域170の位置関係を示す模式図である。
撮像領域170は、カメラ106の受光面直下に位置する。カメラ106は撮像領域170の範囲内にある物体を撮像する。加工制御部122は、主軸116を動かすことで工具102を撮像領域170に挿入する。撮像領域170は工具102に比べると小さいため、一度に工具102全体を撮像することはできない。
【0039】
撮像領域170を大きくするためにカメラ106のレンズを大きくした場合、カメラ106のコストアップにつながる。また、工具認識領域210に大きなカメラ106を設置した場合、加工領域200のスペースが圧迫されるため好ましくない。このため、本実施形態においては、比較的小さなカメラ106により、工具102を複数回に分けて撮像し、複数の撮像画像に基づいて工具102全体の形状を認識する方式を採用している。
以下、カメラ106により工具102の一部を撮像した撮像画像のことを「部分画像」とよぶ。
【0040】
図7は、工具102と部分画像の関係を示す模式図である。
工具登録時において、加工制御部122は、工具102(主軸116)をY軸負方向に一定速度にて移動させる。工具確認部152は撮像領域170を常時監視する。撮像領域170におけるライブビュー画像はカメラ106から画像処理装置110に伝送される。工具確認部152は撮像領域170(ライブビュー画像)において刃部112の先端が検出されたとき、カメラ106に撮像画像(部分画像)の取得を指示する。カメラ106は、指示を受けたとき1枚目の部分画像を取得してメモリに固定する。図7においては、最初に部分画像P1が取得される。
【0041】
次に、加工制御部122は工具102(主軸116)をY軸負方向に更に動かす。このとき、工具102の輪郭が撮像領域170から外れないように、加工制御部122は主軸116をX軸負方向にも少し動かす。工具確認部152は、操作制御装置120に対して工具102の移動方向および移動量を指示する。移動後、工具確認部152はカメラ106に部分画像の取得を指示し、カメラ106は2枚目の部分画像P2をメモリに保存する。このように、加工制御部122は主軸116を左右(X方向)に適度に移動させつつ、主軸116をY軸負方向に少しずつ移動させる。
【0042】
工具確認部152は主軸116の移動に合わせてカメラ106に撮像(部分画像の取得)を指示し、部分画像P1~P8が取得される。複数の部分画像P1~P8に基づいて、工具確認部152は工具102の輪郭を特定し、形状再現部158は工具形状データを生成する。
【0043】
なお、同一種類であるが製造ロットが異なる工具102に交換する場合には、工具102の刃部112の状態のみを確認するだけで十分な場合もある。たとえば、ある種類の工具102Aについて工具登録したあと、同種類の別の工具102Bについて工具登録する場合を想定する。このとき、工具確認部152は、工具102Bについて、部分画像P1,P2,P3を撮像する。刃部特定部154は、部分画像が取得されるごとに、工具102における刃部112とシャンク部114の境界線を探す。図7においては、部分画像P3が取得されたとき、刃部特定部154は刃部112とシャンク部114の境界線を検出できる(図11も参照)。したがって、この場合には、部分画像P1,P2,P3のみを取得し、部分画像P4以降は撮影する必要はない。
【0044】
刃長特定部156は、部分画像P1,P2,P3に基づいて、刃部112の刃長(検出刃長)を検出すればよい。工具102Aの工具登録または工具検査のときに、工具102Aの形状は解析済みであるため、このときの解析データを流用することにより、同型の工具102Bの刃長検出を短時間で実行できる。
【0045】
工具102Aの工具登録を行うとき、工具102Aについては部分画像P1~P8を撮像することにより、工具102Aの刃部112だけでなくシャンク部114の工具形状も認識できる。形状再現部158は、工具102Aの工具形状データ(後述)をデータ格納部144に登録しておく。次に、同タイプの工具102Bの工具登録あるいは工具検査をするときには、データ格納部144に登録されている工具102Aの工具形状データの一部(特に、シャンク部114の該当部分のデータ)を流用すればよい。このような制御方法によれば、工具102Bの工具形状データの生成にともなう処理負荷を低減し、処理時間を短縮できる。
【0046】
図8は、工具102の外形を画像認識するときの部分画像290を示す。図9は、エッジ点画像190を示す図である。
部分画像290には、照明装置108により下方から映し出された工具102のシルエットが表示される。工具確認部152は、X軸正方向に走査線180aを設定し、暗領域182(工具102が存在するシルエット領域)から明領域184(工具102が存在しない領域)の境界に位置する点をエッジ点192として検出する。工具確認部152は、走査線180aを一定のピッチにてずらしながら、複数のエッジ点192を検出する。
【0047】
同様にして、工具確認部152は、Y軸負方向に走査線180bを設定し、暗領域182から明領域184への境界に位置するエッジ点192を検出する。工具確認部152は、走査線180bを一定のピッチにてずらしながら複数のエッジ点192を検出する。
【0048】
更に、工具確認部152は、Y軸正方向に走査線180cを設定し、暗領域182から明領域184への境界に位置するエッジ点192を検出する。工具確認部152は、走査線180cを一定のピッチにてずらしながら複数のエッジ点192を検出する。
【0049】
このように、3方向から走査線180a、走査線180b、走査線180cを設定することにより複数のエッジ点192を検出し、図9に示すエッジ点画像190を取得する。エッジ点画像190に含まれる複数のエッジ点192により、工具102の輪郭を示す点列データが得られる。本実施形態においては、部分画像1枚あたりの画像認識に要する処理時間は200~250ミリ秒程度である。
【0050】
図10は、工具形状データを示す第1図である。
以下、主軸116の回転角のことを「主軸回転角」とよぶ。本実施形態においては、工具認識領域210において、工具102を12度ずつ回転させることにより、合計30種類の角度(=360÷12)について工具102の撮像を行う。
【0051】
加工制御部122は、工具102のY軸中心とした主軸回転角を設定し、そのあと、工具102をY軸負方向に移動させつつ、工具102をX軸方向にも移動させる。工具確認部152は撮像領域170において部分画像290を取得し、部分画像290からエッジ点192を検出することにより、工具102の外形が特定される。1つの主軸回転角につき複数枚の部分画像が取得される。次に、加工制御部122は工具102を12度回転させ、工具確認部152は次の主軸回転角について同様の処理を行う。
【0052】
1つの主軸回転角あたり10枚の部分画像290を取得するとすれば、30種類の主軸回転角設定により合計300枚の部分画像290を取得できる。これらの部分画像290からはエッジ点画像190に示した点列データが得られる。形状再現部158は各部分画像290の点列データを総合することにより、図10に示す工具形状データ、すなわち、工具102の三次元形状を示す点列データを生成する。以下、工具102の部分画像から、図10に示す工具形状データを生成する処理のことを「形状認識処理」とよぶ。
【0053】
図11は、工具形状データを示す第2図である。
図11に示す工具形状データにおける境界線128は、刃部112とシャンク部114の境界を示す。上述したように、工具102Aについて刃部112およびシャンク部114の工具形状データが得られているときには、工具102Bについては刃部112のみを測定し、刃部112の工具形状データを生成し、これに工具102Aのシャンク部114の工具形状データを組み合わせることで刃部112全体の工具形状データを生成するとしてもよい。
【0054】
図12は、ある工具102の側面図である。
工具102の形状はさまざまであるが、上述したように、ワークを切削するための領域であってワークと接触することを想定される部分である刃部112と、主軸116と接続するための領域であってワークと接触することが想定されない部分であるシャンク部114を含む点においては共通する。図12に示す境界線128は、刃部112とシャンク部114の境目を示す。
【0055】
工具102の先端点R1から境界線128までの長さが「刃長L」である。刃部特定部154は、撮像画像から境界線128の位置を検出する。境界線128の求め方は任意である。本実施形態において、刃部特定部154は刃部112の外形のうち、工具102の中心線C1からの半径方向の距離がもっとも大きくなる点のうち、先端点R1から最も遠い端点R2を境界線128の位置座標として算出する。
【0056】
刃部112は刃の存在により外形に「うねり」を生じる。一方、シャンク部114は刃がないため円筒形状となる。このため、刃部112の「うねりの頂点」、すなわち、中心線C1からの半径方向の距離がもっとも大きくなる端点を検出することで、境界線128を求めることができる。
【0057】
刃長特定部156は、工具102の撮像画像に基づいて、先端点R1から境界線128までの距離である刃長L(検出刃長)を算出する。
【0058】
図13は、工具確認画面176の画面図である。
形状再現部158は、点群データとして工具形状データを生成する。形状表示部302は生成された工具形状データを工具確認画面176に表示させる。形状表示部302は、検出刃長を境界線128とともに表示させる。図13においては、検出刃長は83.5ミリメートルである。作業者は、工具形状データとともに、工具形状データに重ねて表示される境界線128および検出刃長を工具確認画面176にて確認する。
【0059】
形状再現部158は、工具長(先端点R1から主軸116までの距離)および工具径(工具102の直径)を画像認識により算出してもよい。図13においては、形状表示部302は工具長および工具径も表示しているが、工具長および工具径の表示は必須ではない。
【0060】
工具確認画面176には、再測定ボタン172および確定ボタン174が表示される。作業者は、刃長を再測定したいときには再測定ボタン172をタッチする。入力部146が再測定ボタン172のタッチを検出したとき、刃部特定部154は撮像画像に基づいて境界線128を再検出する。刃長特定部156は、撮像画像ではなく、工具形状データ(点群データ)に基づいて境界線128を検出してもよい。境界線128の再検出後、刃長特定部156は刃長を再計算する。
【0061】
作業者は、工具確認画面176に示される境界線128が適切であると判断したときには、確定ボタン174をタッチする。確定ボタン174がタッチされたとき、形状登録部160は、工具ID、工具形状データおよび確定時の刃長を対応づけてデータ格納部144に登録する。
【0062】
作業者は、マウス等の入力デバイス、あるいは、指による画面タッチにより、ドラッグ・アンド・ドロップ方式にて、工具確認画面176における境界線128の位置を上下に移動させることもできる。境界線128を移動させると、形状表示部302は境界線128の位置に応じて刃長の表示を変更する。境界線128を移動させたあと確定ボタン174をタッチすることにより、調整後の刃長が工具IDに対応づけて登録される。
【0063】
刃部特定部154は、画像認識により刃部112を特定する。画像認識の場合、常に適切な位置に境界線128が検出されるとは限らない。たとえば、工具102の仕様書においては真の刃長Lは85ミリメートルであるとして登録されていたとする。このとき、作業者は境界線128を上方に少し移動させることで検出刃長と真の刃長Lのずれを補正してもよい。仕様書に基づいて真の刃長値を数値入力するよりも、境界線128をマウスで動かして検出刃長を微調整する方が、刃長設定にともなう作業負担は軽減される。
【0064】
作業者は工具確認画面176において工具形状データ、検出刃長および境界線128をまとめて視認できる。検出刃長が妥当であっても、刃部112の一部をワークと接触不可能とすることで、余裕をもたせたい場合もある。たとえば、検出刃長が83.5ミリメートルのとき、登録刃長を80ミリメートルとすれば、刃部112の根元(シャンク部114側)はワークと接触しなくなるため、シャンク部114がワークと接触するリスクをいっそう減らすことができる。
【0065】
図13においては、作業者は、検出刃長L=83.5ミリメートルの位置に初期表示される境界線128を下方に移動させている。境界線128を移動させることにより、形状表示部302は、移動後の境界線128に対応する刃長値を表示させる。たとえば、移動後の境界線128から工具102の先端点R1までの距離が60ミリメートルであったとする。この状態で、確定ボタン174をタッチすることにより、登録刃長を60ミリメートルに設定できる。設定後は、移動後の境界線128の位置、いいかえれば、工具102の先端点R1から60ミリメートルまでの範囲が「刃部112」とみなした上で、工具102の摩耗度判定あるいは折損判定等の各種検査が実行される。
【0066】
図14は、工具登録の処理過程を示すフローチャートである。
工具登録は、ユーザが工具IDを入力したあとに実行される。工具登録時には、外部カバー300は開口される。主軸116に登録対象の工具102が取り付けられ、ユーザは工具IDを入力したとき、工具確認部152は主軸116の回転角(例:0度)を設定する(S10)。
【0067】
主軸回転角の設定後、加工制御部122は主軸116をXY方向に動かし、工具確認部152は複数の部分画像を取得することにより形状認識処理を実行する(S12)。形状認識処理では、設定された主軸回転角において、工具102の輪郭が点列データとして特定される。未設定の主軸回転角が残っているときには(S14のN)、処理はS10に戻り次の回転角(例:12度)が設定される。
【0068】
全30種類の主軸回転角について形状認識処理を実行したときには(S14のY)、形状再現部158は複数の主軸回転角について得られた点列データから工具102の立体形状を示す工具形状データを生成する(S16)。工具形状データに基づく刃長調整処理を実行したあと(S18)、形状登録部160は、工具IDと工具形状データ、刃長(登録刃長)を対応づけてデータ格納部144に登録する(S18)。
【0069】
図15は、図14のS18における刃長調整処理の詳細な処理過程を示すフローチャートである。
刃部特定部154は、得られた撮像画像から、刃部112を特定する(S30)。刃長特定部156は、刃長を計測する(S32)。形状表示部302は工具形状データおよび境界線128、検出刃長を工具確認画面176に表示させる(S34)。作業者は工具確認画面176において境界線128を調整する(S36)。調整後の刃長がこの工具102の刃長として登録される。
【0070】
[総括]
以上、実施形態に基づいて工作機械100について説明した。
本実施形態によれば、工具登録に際して、工具認識領域210において工具形状データおよび刃長が自動的に計測される。刃長計測後、形状表示部302は工具確認画面176において工具形状データに境界線128を重ねて表示させる。また、形状表示部302は、検出刃長を数値表示させる。作業者は工具確認画面176において、刃部特定部154が適切な位置に境界線128を設定しているかを視覚的に確認できる。
【0071】
作業者は、境界線128をマウスのドラッグにより動かすことができる。直観的なユーザインタフェースにより、工具形状データを見ながら登録刃長を微調整できる。また、検出刃長は数値表示されるため、工具102の仕様書における真の刃長との詳細な比較も可能となる。
【0072】
工具登録において工具102の刃長を数値入力するとすれば、特に、数十から数百の工具102について、仕様書を確認しながら刃長を入力するとすれば、作業者の負担は非常に大きくなってしまう。刃部特定部154により刃部112の自動検出によれば、刃長の設定にともなう作業負担が大きく軽減される。また、作業者には、刃長特定部156による検出刃長の適否を工具確認画面176で確認し、境界線128を工具形状データと見比べながら修正する機会が与えられるため、不適切な刃長が登録されるリスクを低減できる。したがって、本実施形態における画像処理装置110によれば、刃長の登録にともなう作業負担軽減と、登録刃長の正確性を両立させることができる。
【0073】
なお、本発明は上記実施形態や変形例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。上記実施形態や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成してもよい。また、上記実施形態や変形例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。
【0074】
[変形例]
本実施形態においては、比較的小さな撮像領域170に工具102を位置合わせし、工具102を複数回撮像することで工具102全体の撮像画像を取得するとして説明した。変形例として、工具登録に際し、より撮像領域170の広い広角のカメラ106により、工具102全体をまとめて撮像するとしてもよい。
【0075】
図13に示した工具確認画面176は、画像処理装置110の画面に表示されてもよいし、操作盤206の画面に表示されてもよい。画像処理装置110において部分画像から工具形状データの生成を行い、画像処理装置110は工具形状データを操作盤206に送信することで、操作盤206に工具確認画面176を表示させるとしてもよい。工具確認画面176は、画像処理装置110および操作盤206の双方において同時に表示されてもよい。すなわち、図5の形状表示部302は、画像処理装置110の画面表示に限らず、操作盤206等の他の表示装置に画面データを提供してもよい。
【0076】
操作盤206は、画像処理装置110の諸機能、たとえば、工具確認部152、刃部特定部154、刃長特定部156、形状再現部158、形状登録部160を備えてもよい。この場合には、操作盤206は、工具確認画面176の画面表示だけではなく、部分画像から工具形状データの生成、刃長等の検出等の他の処理も実行してもよい。刃長等の工具102に関する各種データも、画像処理装置110ではなく、工作機械100の記憶装置に保存されるとしてもよい。また、操作盤206あるいは画像処理装置110は、イントラネット等の通信回線を介して、他の装置に工具102に関連する各種データを送信し、他の装置あるいは他のデータベースにおいて工具関連データを保存するとしてもよい。
【0077】
本実施形態においては、工具102に関する各種データは画像処理装置110のデータ格納部144に保存されるものとして説明した。変形例として、工具102に関する各種データは工作機械100が内蔵する不揮発性メモリ(図示せず)、たとえば、操作盤206が内蔵する記憶装置に保存されてもよい。
【0078】
本実施形態においては、工具確認画面176において作業者はマウスにより境界線128を移動させるとして説明した。マウスに限らず、画像処理装置110の表示装置がタッチパネルを備えるときには指またはスタイラスによるスライド操作により境界線128を移動させてもよい。このほか、上下ボタンあるいは左右ボタンにより、境界線128を移動させてもよい。作業者は、境界線128を移動させるだけでなく、工具確認画面176において刃長を数値入力してもよい。
【0079】
本実施形態においては、工具登録を想定して説明した。工具登録時に限らず、加工中または加工後の工具検査においても刃長の確認・修正を行ってもよい。工具102の刃部112は、摩耗により少しずつ短くなる。このため、所定回数、たとえば、工具102を工作機械100回使用するごとに、工具102を工具認識領域210に挿入して工具形状データの生成および刃長計測を実行するとしてもよい。このときにも、作業者は工具確認画面176を参照して境界線128の確認および調整を行ってもよい。
【符号の説明】
【0080】
100 工作機械、102 工具、104 保持部、106 カメラ、108 照明装置、110 画像処理装置、112 刃部、114 シャンク部、116 主軸、118 ホルダ、120 操作制御装置、122 加工制御部、124 加工装置、126 工具交換部、128 境界線、130 工具格納部、140 ユーザインタフェース処理部、142 データ処理部、144 データ格納部、146 入力部、148 出力部、152 工具確認部、154 刃部特定部、156 刃長特定部、158 形状再現部、160 形状登録部、170 撮像領域、172 再測定ボタン、174 確定ボタン、176 工具確認画面、180 走査線、182 暗領域、184 明領域、190 エッジ点画像、192 エッジ点、200 加工領域、202 カバー、204 ドア、206 操作盤、210 工具認識領域、290 部分画像、300 外部カバー、302 形状表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2021-08-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具の撮像画像から、前記工具の外形を示す工具形状データを形成する形状再現部と、
前記工具形状データから、前記工具の刃部を特定する刃部特定部と、
前記工具形状データとともに、前記工具の刃部の終端位置を示す境界線を表示させる形状表示部と、を備え、
前記形状再現部は、前記工具が工作機械の工具認識領域において回転させられたとき、複数の回転角それぞれに対応する複数の撮像画像それぞれからエッジ点を検出し、前記複数の回転角それぞれに対応して検出された複数のエッジ点に基づいて前記工具形状データを3次元の点群データとして形成する、画像処理装置。
【請求項2】
工具の撮像画像から、前記工具の外形を示す工具形状データを形成する形状再現部と、
前記工具形状データから、前記工具の刃部を特定する刃部特定部と、
前記工具形状データとともに、前記工具の刃部の終端位置を示す境界線を表示させる形状表示部と、
前記境界線を前記刃部内にて移動させ、前記終端位置とは異なる変更後位置に変更するための操作を受け付ける入力部と、
前記工具の先端から前記変更後位置までの距離を工具検査用の長さとして登録する形状登録部と、を備える画像処理装置。
【請求項3】
工具の撮像画像から、前記工具の外形を示す工具形状データを形成する形状再現部と、
前記工具形状データから、前記工具の刃部を特定する刃部特定部と、
前記工具形状データとともに、前記工具の刃部の終端位置を示す境界線を表示させる形状表示部と、を備え、
前記形状再現部は、前記工具が工作機械の工具認識領域において移動させられるとき、前記工具の先端が検出されたときの前記工具の最初の部分画像と、前記工具の移動にともなって撮像される前記工具の複数の部分画像に基づいて、前記工具形状データを形成する、画像処理装置。
【請求項4】
前記刃部の長さである刃長を特定する刃長特定部と、
前記刃長を、前記工具の工具形状データとともに登録する形状登録部と、
ユーザから、前記境界線の調整操作を受け付ける入力部と、を更に備え、
前記形状登録部は、前記調整操作にしたがって前記刃長の登録値を変更する、請求項1または3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記形状再現部は、前記工具の撮像画像から前記工具の外形位置を示す複数のエッジ点を検出し、前記複数のエッジ点に基づいて前記工具形状データを形成する、請求項2または3に記載の画像処理装置。
【請求項6】
所定の工具認識領域に固定され、前記工具認識領域に挿入された工具を撮像するカメラと、
工具を装着可能な工具保持部と、
加工プログラムにしたがって前記工具保持部を制御し、前記工具によりワークを加工する加工制御部と、
前記工具の撮像画像から前記工具の外形位置を示す複数のエッジ点を検出し、前記複数のエッジ点に基づいて前記工具の外形を示す工具形状データを形成する形状再現部と、
前記工具形状データから、前記工具の刃部を特定する刃部特定部と、
前記工具形状データとともに、前記工具の刃部の終端位置を示す境界線を表示させる形状表示部と、を備え、
前記加工制御部は、前記工具を前記工具認識領域に挿入したときに前記工具を回転させ、
前記形状再現部は、複数の回転角それぞれに対応する複数の撮像画像それぞれからエッジ点を検出し、前記複数の回転角それぞれに対応して検出された複数のエッジ点に基づいて前記工具形状データを3次元の点群データとして形成する、工作機械。
【請求項7】
所定の工具認識領域に固定され、前記工具認識領域に挿入された工具を撮像するカメラと、
工具を装着可能な工具保持部と、
加工プログラムにしたがって前記工具保持部を制御し、前記工具によりワークを加工する加工制御部と、
前記工具の撮像画像から前記工具の外形位置を示す複数のエッジ点を検出し、前記複数のエッジ点に基づいて前記工具の外形を示す工具形状データを形成する形状再現部と、
前記工具形状データから、前記工具の刃部を特定する刃部特定部と、
前記工具形状データとともに、前記工具の刃部の終端位置を示す境界線を表示させる形状表示部と、
前記境界線を前記刃部内にて移動させ、前記終端位置とは異なる変更後位置に変更するための操作を受け付ける入力部と、
前記工具の先端から前記変更後位置までの距離を工具検査用の長さとして登録する形状登録部と、を備える工作機械。
【請求項8】
所定の工具認識領域に固定され、前記工具認識領域に挿入された工具を撮像するカメラと、
工具を装着可能な工具保持部と、
加工プログラムにしたがって前記工具保持部を制御し、前記工具によりワークを加工する加工制御部と、
前記工具の撮像画像から前記工具の外形位置を示す複数のエッジ点を検出し、前記複数のエッジ点に基づいて前記工具の外形を示す工具形状データを形成する形状再現部と、
前記工具形状データから、前記工具の刃部を特定する刃部特定部と、
前記工具形状データとともに、前記工具の刃部の終端位置を示す境界線を表示させる形状表示部と、を備え、
前記形状再現部は、前記工具が前記工具認識領域において移動させられるとき、前記工具の先端が検出されたときの前記工具の最初の部分画像と、前記工具の移動にともなって撮像される前記工具の複数の部分画像に基づいて、前記工具形状データを形成する、画像処理装置。
【手続補正書】
【提出日】2021-11-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具の撮像画像から、前記工具の外形を示す工具形状データを形成する形状再現部と、
前記工具形状データから、前記工具の刃部を特定する刃部特定部と、
前記工具形状データとともに、前記工具の刃部の終端位置を示す境界線を表示させる形状表示部と、を備え、
前記形状再現部は、前記工具が工作機械の工具認識領域において回転させられたとき、複数の回転角それぞれに対応する複数の撮像画像それぞれからエッジ点を検出し、前記複数の回転角それぞれに対応して検出された複数のエッジ点に基づいて前記工具形状データを3次元の点群データとして形成する、画像処理装置。
【請求項2】
前記境界線を前記刃部内にて移動させ、前記終端位置とは異なる変更後位置に変更するための操作を受け付ける入力部と、
前記工具の先端から前記変更後位置までの距離を工具検査用の長さとして登録する形状登録部と、を更に備える請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記形状再現部は、更に、前記工具が工作機械の工具認識領域において移動させられるとき、前記工具の先端が検出されたときの前記工具の最初の部分画像と、前記工具の移動にともなって撮像される前記工具の複数の部分画像に基づいて、前記工具形状データを形成する、請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記刃部の長さである刃長を特定する刃長特定部と、
前記刃長を、前記工具の工具形状データとともに登録する形状登録部と、
ユーザから、前記境界線の調整操作を受け付ける入力部と、を更に備え、
前記形状登録部は、前記調整操作にしたがって前記刃長の登録値を変更する、請求項1または3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
所定の工具認識領域に固定され、前記工具認識領域に挿入された工具を撮像するカメラと、
工具を装着可能な工具保持部と、
加工プログラムにしたがって前記工具保持部を制御し、前記工具によりワークを加工する加工制御部と、
前記工具の撮像画像から前記工具の外形位置を示す複数のエッジ点を検出し、前記複数のエッジ点に基づいて前記工具の外形を示す工具形状データを形成する形状再現部と、
前記工具形状データから、前記工具の刃部を特定する刃部特定部と、
前記工具形状データとともに、前記工具の刃部の終端位置を示す境界線を表示させる形状表示部と、を備え、
前記加工制御部は、前記工具を前記工具認識領域に挿入したときに前記工具を回転させ、
前記形状再現部は、複数の回転角それぞれに対応する複数の撮像画像それぞれからエッジ点を検出し、前記複数の回転角それぞれに対応して検出された複数のエッジ点に基づいて前記工具形状データを3次元の点群データとして形成する、工作機械。
【請求項6】
前記境界線を前記刃部内にて移動させ、前記終端位置とは異なる変更後位置に変更するための操作を受け付ける入力部と、
前記工具の先端から前記変更後位置までの距離を工具検査用の長さとして登録する形状登録部と、を更に備える請求項5に記載の工作機械。
【請求項7】
前記形状再現部は、更に、前記工具が前記工具認識領域において移動させられるとき、前記工具の先端が検出されたときの前記工具の最初の部分画像と、前記工具の移動にともなって撮像される前記工具の複数の部分画像に基づいて、前記工具形状データを形成する、請求項5または6に記載の工作機械。
【手続補正書】
【提出日】2022-01-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具の撮像画像から、前記工具の外形を示す工具形状データを形成する形状再現部と、
前記工具形状データから、前記工具の刃部を特定する刃部特定部と、
前記工具形状データとともに、前記工具の刃部の終端位置を示す境界線を表示させる形状表示部と、
前記境界線を前記刃部内にて移動させることで、前記工具の先端から前記境界線までの長さを変更するための操作を受け付ける入力部と、
前記工具の先端から前記境界線までの長さを登録する形状登録部と、を備え、
前記形状再現部は、前記工具が工作機械の工具認識領域において回転させられたとき、複数の回転角それぞれに対応する複数の撮像画像それぞれからエッジ点を検出し、前記複数の回転角それぞれに対応して検出された複数のエッジ点に基づいて前記工具形状データを3次元の点群データとして形成する、画像処理装置。
【請求項2】
前記形状再現部は、更に、前記工具が工作機械の工具認識領域において移動させられるとき、前記工具の先端が検出されたときの前記工具の最初の部分画像と、前記工具の移動にともなって撮像される前記工具の複数の部分画像に基づいて、前記工具形状データを形成する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記刃部の長さである刃長を特定する刃長特定部と、を更に備え、
前記形状登録部は、前記境界線を移動させる操作にしたがって前記刃長の登録値を変更する、請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
所定の工具認識領域に固定され、前記工具認識領域に挿入された工具を撮像するカメラと、
工具を装着可能な工具保持部と、
加工プログラムにしたがって前記工具保持部を制御し、前記工具によりワークを加工する加工制御部と、
前記工具の撮像画像から前記工具の外形位置を示す複数のエッジ点を検出し、前記複数のエッジ点に基づいて前記工具の外形を示す工具形状データを形成する形状再現部と、
前記工具形状データから、前記工具の刃部を特定する刃部特定部と、
前記工具形状データとともに、前記工具の刃部の終端位置を示す境界線を表示させる形状表示部と、
前記境界線を前記刃部内にて移動させることで、前記工具の先端から前記境界線までの長さを変更するための操作を受け付ける入力部と、
前記工具の先端から前記境界線までの長さを登録する形状登録部と、を備え、
前記加工制御部は、前記工具を前記工具認識領域に挿入したときに前記工具を回転させ、
前記形状再現部は、複数の回転角それぞれに対応する複数の撮像画像それぞれからエッジ点を検出し、前記複数の回転角それぞれに対応して検出された複数のエッジ点に基づいて前記工具形状データを3次元の点群データとして形成する、工作機械。
【請求項5】
前記形状再現部は、更に、前記工具が前記工具認識領域において移動させられるとき、前記工具の先端が検出されたときの前記工具の最初の部分画像と、前記工具の移動にともなって撮像される前記工具の複数の部分画像に基づいて、前記工具形状データを形成する、請求項4に記載の工作機械。