(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022117575
(43)【公開日】2022-08-12
(54)【発明の名称】排水栓装置
(51)【国際特許分類】
E03C 1/22 20060101AFI20220804BHJP
E03C 1/23 20060101ALI20220804BHJP
【FI】
E03C1/22 C
E03C1/23 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021014142
(22)【出願日】2021-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】392028767
【氏名又は名称】株式会社日本アルファ
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】太田 慎一
(72)【発明者】
【氏名】北川 浩平
【テーマコード(参考)】
2D061
【Fターム(参考)】
2D061DA01
2D061DA02
2D061DB03
2D061DE01
2D061DE11
(57)【要約】
【課題】配管の製造に係るコストの増大抑制を図ることができる排水栓装置を提供する。
【解決手段】排水栓装置1は、流路部21及び分岐部22を有する配管2と、配管2内に配置された機能部5と、分岐部22に挿通される回動部31とを備える。配管2は、直管部111を有する管状部品11に対し、管状部品11とは別体のバンド部品12を取付けることで得られる。バンド部品12は、分岐部22を構成する筒部121と、締結部とを備える。締結部の内側面から筒部121の内側端部121aが突出しており、内側端部121aが貫通孔111aに挿通されるとともに、締結部が直管部111に巻き付けられることで、管状部品11にバンド部品12が取付けられる。内側端部121aは被挿通部51aに挿通され、配管2内からの機能部5の抜けを防止する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
槽体の排水口を開閉するための上下動可能な栓蓋と、
前記排水口を通過する排水の流路を構成する筒状の流路部、及び、当該流路部の外周から突出する筒状の分岐部を有してなる配管と、
前記分岐部に挿通される移動可能な駆動部と、
前記流路部内に配置され、前記栓蓋を直接又は間接的に支持する支持部とを備え、
前記駆動部の移動に伴い前記支持部が上下動することで、前記栓蓋が上下動するように構成された排水栓装置であって、
前記流路部内に配置される機能部を有し、
前記配管は、少なくとも一部に直筒状の直管部を有するとともに前記流路部を構成する管状部品に対し、当該管状部品とは別体のバンド部品が取付けられた状態とすることで構成されており、
前記直管部には、内外に貫通する貫通孔が設けられ、
前記バンド部品は、前記分岐部を構成する筒部と、当該筒部の外周から突出する締結部とを備えるとともに、前記締結部の内側面から前記筒部の内側端部が突出するものであり、
前記内側端部が前記貫通孔の内周に挿通されるとともに、前記締結部が前記直管部の外周に巻き付けられた状態となることで、前記管状部品に対し前記バンド部品が取付けられた状態となっており、
前記内側端部は、前記機能部に貫通形成された被挿通部に挿通されることで、前記流路部内からの前記機能部の抜けを防止可能に構成されていることを特徴とする排水栓装置。
【請求項2】
前記機能部は、前記流路部の中心に配置される部位を備えないものであることを特徴とする請求項1に記載の排水栓装置。
【請求項3】
前記機能部は、前記被挿通部が形成されるとともに、前記流路部の内周面に沿う湾曲板状をなすベース部を有し、
前記内側端部は、前記ベース部の内側面から突出しないように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の排水栓装置。
【請求項4】
前記管状部品は、
端部外周に雄ねじ部の形成された筒状の第一構成部と、
前記雄ねじ部に螺合可能なナット部材と、
前記貫通孔を有するとともに、前記第一構成部と直列的に連結される、金属製かつ筒状の第二構成部とを備え、
前記機能部は、外側に向けて突出する鍔部を有し、
前記内側端部が前記貫通孔及び前記被挿通部に挿通されるとともに、前記雄ねじ部に螺合された前記ナット部材と前記第一構成部の端面とにより前記鍔部を挟んだ状態とすることで、前記第一構成部及び前記第二構成部が連結された状態となっていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の排水栓装置。
【請求項5】
前記機能部は、前記配管からの漏水を防止するためのパッキン部を保持する機能を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の排水栓装置。
【請求項6】
前記配管内に配置されるとともに、前記栓蓋が取付けられた通水部材を備え、
前記通水部材は、前記支持部によって支持される被支持部を有するとともに、前記支持部の上下動に伴い上下動するように構成されており、
前記機能部は、前記流路部の周方向に沿った前記被支持部の移動を規制して、前記支持部上に前記被支持部が位置した状態を維持する機能を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の排水栓装置。
【請求項7】
前記配管内に配置されるとともに、前記栓蓋が取付けられた通水部材を備え、
前記通水部材は、前記支持部の上下動に伴い上下動するように構成されており、
前記機能部は、前記通水部材が係止されることで、前記配管からの当該通水部材の取外しを規制する機能を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の排水栓装置。
【請求項8】
前記機能部は、
前記被挿通部が形成されるとともに、前記流路部の内周面に沿う湾曲板状をなすベース部と、
前記ベース部の内側面から突出し、前記流路部の周方向に沿って隙間をあけて設けられた被係止規制部とを有し、
前記通水部材は、
前記支持部によって支持される被支持部と、
前記被係止規制部に対し係止可能な係止部とを有し、
前記機能部は、
前記隙間に前記被支持部が配置されることで、前記被係止規制部により前記流路部の周方向に沿った前記被支持部の移動を規制して、前記支持部上に前記被支持部が位置した状態を維持する機能と、
前記被係止規制部に前記係止部が係止されることで、前記配管からの前記通水部材の取外しを規制する機能とを備えることを特徴とする請求項6に従属する請求項7に記載の排水栓装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、槽体の排水口に対応して設けられる排水栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
排水栓装置は、槽体(例えば、浴槽や洗面ボウルなど)の排水口に対応して設けられる栓蓋を備えており、当該栓蓋を上下動させることで排水口の開閉状態を切換えるためのものである。
【0003】
排水栓装置としては、排水の流路を構成する配管と、栓蓋を支持する上下動可能な支持軸、及び、所定の操作部(例えば操作ボタン)の変位による駆動力を前記支持軸に伝達する伝達部材(例えばワイヤ等)などを備えたものが一般に知られている。
【0004】
また近年では、排水栓装置として、栓蓋を支持するための支持突起(支持部)が形成されてなる回動可能な駆動部を有するものが提案されている(例えば、特許文献1,2等参照)。このような排水栓装置においては、配管として、排水の流路を構成する筒状の流路部と、当該流路部から分岐して当該流路部の外周から突出する分岐部とを具備するものが用いられる。分岐部は、駆動部が挿通設置される筒状部位である。分岐部に挿通された駆動部が回動することで、支持突起及び栓蓋が上下動し、その結果、排水口の開閉状態が切換えられることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-36558号公報
【特許文献2】特開2018-3347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した駆動部等を有する排水栓装置においては、通常、配管として、一部材(例えば金属や樹脂等)からなるとともに、流路部及び分岐部を一体的に備えた管体を有するものが用いられる。しかしながら、このような配管の製造には、比較的多くのコストが必要となる。また、特に上記のような管体を金属により形成する場合、鋳物等の型成形で概形を形成した後に、仕上げの機械加工(切削等)を行う必要がある。そのため、非常に多大なコストや作業負担が発生するおそれがある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、配管の製造に係るコストの増大抑制などを図ることができる排水栓装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0009】
手段1.槽体の排水口を開閉するための上下動可能な栓蓋と、
前記排水口を通過する排水の流路を構成する筒状の流路部、及び、当該流路部の外周から突出する筒状の分岐部を有してなる配管と、
前記分岐部に挿通される移動可能な駆動部と、
前記流路部内に配置され、前記栓蓋を直接又は間接的に支持する支持部とを備え、
前記駆動部の移動に伴い前記支持部が上下動することで、前記栓蓋が上下動するように構成された排水栓装置であって、
前記流路部内に配置される機能部を有し、
前記配管は、少なくとも一部に直筒状の直管部を有するとともに前記流路部を構成する管状部品に対し、当該管状部品とは別体のバンド部品が取付けられた状態とすることで構成されており、
前記直管部には、内外に貫通する貫通孔が設けられ、
前記バンド部品は、前記分岐部を構成する筒部と、当該筒部の外周から突出する締結部とを備えるとともに、前記締結部の内側面から前記筒部の内側端部が突出するものであり、
前記内側端部が前記貫通孔の内周に挿通されるとともに、前記締結部が前記直管部の外周に巻き付けられた状態となることで、前記管状部品に対し前記バンド部品が取付けられた状態となっており、
前記内側端部は、前記機能部に貫通形成された被挿通部に挿通されることで、前記流路部内からの前記機能部の抜けを防止可能に構成されていることを特徴とする排水栓装置。
【0010】
上記手段1によれば、流路部及び分岐部を有する配管は、流路部を構成する管状部品に対し、分岐部を構成する筒部を有してなるバンド部品を取付けた状態とすることで構成されている。そして、バンド部品は、その締結部が管状部品(直管部)の外周に巻き付けられた状態となることで管状部品に取付けられる。従って、直管状パイプなどの一般的に使用される管体を利用して配管を構成することができるため、配管の製造に係るコストの増大抑制を図ることができる。また、直管部が金属製をなす場合であっても配管の製造が容易なものとなるため、流路部の少なくとも一部が金属製をなす配管を低コストで比較的容易に製造することができる。
【0011】
さらに、バンド部品における筒部の内側端部が管状部品の貫通孔の内周に挿通された状態とされる。そのため、筒部すなわち分岐部を、貫通孔を基準とした、管状部品における狙いの位置により確実にかつより容易に設けることができる。これにより、配管の製造に係る容易性を向上させることができる。
【0012】
加えて、筒部の内側端部は、流路部内に配置される機能部の被挿通部に挿通されることで、流路部内からの機能部の抜けを防止可能とされている。従って、流路部内からの機能部の抜けを防止するために、流路部内に特別な部品などを設ける必要がなく、流路部内の構造簡素化を図ることができる。そのため、良好な排水能力をより確実に得ることができる。また、排水栓装置の製造に係るコストの増大抑制を図ることができる。さらに、筒部の内側端部が被挿通部に挿通されることで、配管(流路部)に対する機能部の位置決めを行うことも可能となる。
【0013】
手段2.前記機能部は、前記流路部の中心に配置される部位を備えないものであることを特徴とする手段1に記載の排水栓装置。
【0014】
上記手段2によれば、機能部全体が流路部の内周面側に配置されるため、流路部内において機能部が目立ちにくくなり、外観品質の向上を図ることができる。また、流路部内において機能部が邪魔となりにくくなり、清掃性を高めることができる。加えて、流路部内における異物(ごみ等)の付着防止をより効果的に図ることができる。さらに、機能部の配置位置における流路部の通水面積をより大きく確保することができ、より良好な排水能力を得ることができる。
【0015】
手段3.前記機能部は、前記被挿通部が形成されるとともに、前記流路部の内周面に沿う湾曲板状をなすベース部を有し、
前記内側端部は、前記ベース部の内側面から突出しないように構成されていることを特徴とする手段1又は2に記載の排水栓装置。
【0016】
上記手段3によれば、内側端部に対する異物の付着防止をより確実に図ることができる。これにより、衛生性や清掃性をより高めることができる。
【0017】
手段4.前記管状部品は、
端部外周に雄ねじ部の形成された筒状の第一構成部と、
前記雄ねじ部に螺合可能なナット部材と、
前記貫通孔を有するとともに、前記第一構成部と直列的に連結される、金属製かつ筒状の第二構成部とを備え、
前記機能部は、外側に向けて突出する鍔部を有し、
前記内側端部が前記貫通孔及び前記被挿通部に挿通されるとともに、前記雄ねじ部に螺合された前記ナット部材と前記第一構成部の端面とにより前記鍔部を挟んだ状態とすることで、前記第一構成部及び前記第二構成部が連結された状態となっていることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載の排水栓装置。
【0018】
直列的に連結された第一構成部及び第二構成部を用いて管状部品を構成する場合において、衛生性や耐久性などを考慮して、第二構成部を銅などの金属によって構成することが考えられる。この場合、第一構成部及び第二構成部の連結は、例えば、次の手法により行うことが考えられる。すなわち、第一構成部の端部外周に雄ねじ部を設けておき、第二構成部の端部に鍔部を設けておく。その上で、前記雄ねじ部に所定のナット部材を螺合しつつ、当該ナット部材と第一構成部の端面とにより第二構成部の鍔部を挟んだ状態とする。これにより、第一構成部及び第二構成部を直列的に連結することができる。
【0019】
しかしながら、上記手法では、金属製の第二構成部に鍔部を設ける必要があり、鍔部の形成加工に係る多大な製造コストが生じるおそれがある。
【0020】
この点、上記手段4によれば、筒部の内側端部が第二構成部の貫通孔と機能部の被挿通部に挿通されることで、第二構成部に対する機能部の相対移動が規制されることとなる。すなわち、第二構成部及び機能部を一体化させることができる。そして、雄ねじ部に螺合されたナット部材と第一構成部の端面とにより機能部の鍔部を挟んだ状態とすることで、機能部が第一構成部に固定されることとなり、ひいては第二構成部を第一構成部に対し連結することができる。従って、両構成部の連結にあたって、金属製の第二構成部に連結用の鍔部を設ける必要はない。これにより、製造コストの増大抑制をより効果的に図ることができる。
【0021】
手段5.前記機能部は、前記配管からの漏水を防止するためのパッキン部を保持する機能を有することを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載の排水栓装置。
【0022】
上記手段5によれば、機能部は、パッキン部を保持する機能を有している。従って、パッキン部の位置ずれや脱落を抑制することができる。これにより、パッキン部による機能(配管からの漏水防止)をより確実に発揮させることができる。
【0023】
また、上記手段4を合わせて採用する場合には、第二構成部の貫通孔及び機能部の被挿通部に対し筒部の内側端部が挿通されるとともに、当該機能部によりパッキン部を保持した状態とし、第二構成部、機能部及びパッキン部等がひとまとめとなったユニットとすることによって、このユニットからのパッキン部の脱落を抑制することができる。従って、このようなユニットを予め組み立てておくことで、装置の設置時や部品の搬送時におけるパッキン部の紛失をより確実に防ぐことができる。
【0024】
手段6.前記配管内に配置されるとともに、前記栓蓋が取付けられた通水部材を備え、
前記通水部材は、前記支持部によって支持される被支持部を有するとともに、前記支持部の上下動に伴い上下動するように構成されており、
前記機能部は、前記流路部の周方向に沿った前記被支持部の移動を規制して、前記支持部上に前記被支持部が位置した状態を維持する機能を有することを特徴とする手段1乃至5のいずれかに記載の排水栓装置。
【0025】
上記手段6によれば、機能部によって、支持部から被支持部(通水部材)が外れ落ちることを防止できる。これにより、装置の動作安定性をより高めることができる。
【0026】
手段7.前記配管内に配置されるとともに、前記栓蓋が取付けられた通水部材を備え、
前記通水部材は、前記支持部の上下動に伴い上下動するように構成されており、
前記機能部は、前記通水部材が係止されることで、前記配管からの当該通水部材の取外しを規制する機能を有することを特徴とする手段1乃至6のいずれかに記載の排水栓装置。
【0027】
上記手段7によれば、機能部は、通水部材が係止されることで、配管からの当該通水部材の取外しを規制することができる。これにより、栓蓋及び通水部材の盗難防止を図ることができる。
【0028】
手段8.前記機能部は、
前記被挿通部が形成されるとともに、前記流路部の内周面に沿う湾曲板状をなすベース部と、
前記ベース部の内側面から突出し、前記流路部の周方向に沿って隙間をあけて設けられた被係止規制部とを有し、
前記通水部材は、
前記支持部によって支持される被支持部と、
前記被係止規制部に対し係止可能な係止部とを有し、
前記機能部は、
前記隙間に前記被支持部が配置されることで、前記被係止規制部により前記流路部の周方向に沿った前記被支持部の移動を規制して、前記支持部上に前記被支持部が位置した状態を維持する機能と、
前記被係止規制部に前記係止部が係止されることで、前記配管からの前記通水部材の取外しを規制する機能とを備えることを特徴とする手段6に従属する手段7に記載の排水栓装置。
【0029】
上記手段8によれば、機能部に設けられた被係止規制部を利用して、支持部上に被支持部が位置した状態を維持する機能と、配管からの通水部材の取外しを規制する機能とを実現することができる。すなわち、被係止規制部を共通的に利用して、両機能を実現することができる。従って、両機能を実現しつつ、構造の簡素化を図ることができる。これにより、装置の製造に係るコストの増大をより効果的に抑制することができる。また、清掃性や衛生性をより一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図9】別の実施形態における排水栓装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1~3に示すように、排水栓装置1は、槽体としての洗面ボウル100に取付けられている。尚、
図2は、
図1のJ-J線断面図であり、
図3は、
図1のK-K線断面図である。
図1では、洗面ボウル100の図示を省略している。
【0032】
洗面ボウル100は、その底面を構成する底壁部101を備えており、当該底壁部101には、排水口102が貫通形成されている。また、洗面ボウル100にはオーバーフロー口(図示せず)が設けられており、底壁部101の内部には、前記オーバーフロー口を通って流出した排水の流れ込む排水空間103が形成されている。
【0033】
排水栓装置1は、配管2、駆動機構3、栓蓋ユニット4及び機能部5を備えている。
【0034】
配管2は、排水の流路を構成するとともに、駆動機構3を保持する役割を有する。配管2は、流路部21及び分岐部22を備えている。
【0035】
流路部21は、鉛直方向に延びており、排水口102などを通って流れる排水の流路を構成する。流路部21は、第一構成部211、第二構成部212、第一ナット213及びパッキン部214を備えている。本実施形態では、第一ナット213が「ナット部材」に相当する。
【0036】
第一構成部211は、円筒状をなし、排水口102に挿設されている。第一構成部211は、一端側に形成された鍔状の突部211aと、他端側外周に形成された雄ねじ部211bとを備えている。また、第一構成部211における突部211aと雄ねじ部211bとの間には、複数の通水孔211cが貫通形成されている。
【0037】
第一構成部211は、所定の第二ナット6を雄ねじ部211bに対し螺合し、突部211a及び第二ナット6で洗面ボウル100を挟み込むことにより、洗面ボウル100に取付けられている。また、洗面ボウル100と第一構成部211(突部211a)との間、及び、洗面ボウル100と第二ナット6との間には、環状のシール部7,8が配置されている。これらシール部7,8により、第一構成部211及び洗面ボウル100間からの漏水防止が図られている。尚、洗面ボウル100に第一構成部211(配管2)を取付けた状態において、シール部7,8は圧縮変形した状態となるが、
図1等では、圧縮変形していない状態のシール部7,8を示している。
【0038】
さらに、洗面ボウル100に第一構成部211(配管2)を取付けた状態において、通水孔211cは排水空間103と連通した状態となる。これにより、前記オーバーフロー口を通過した排水は、排水空間103及び通水孔211cを通って流路部21の内部空間すなわち排水の流路へと流れ込むようになっている。
【0039】
第二構成部212は、第一構成部211の下部に直列的に連結される円筒状部品である。第一ナット213は、雄ねじ部211bに螺合可能な雌ねじを有しており、第一構成部211及び第二構成部212を連結するために用いられる。両構成部211,212の連結手法については後に説明する。
【0040】
パッキン部214は、配管2からの漏水防止を担う環状部品であり、両構成部211,212で挟み込まれた状態とされている。パッキン部214は、内周にて開口する溝を全周に亘って備えている。
【0041】
分岐部22は、駆動機構3の被取付部として機能する。分岐部22は、全体として円筒状をなしており、流路部21の外周から突出し、自身の内部空間が流路部21の内部空間と連通している。さらに、分岐部22における流路部21とは反対側に位置する端部には、外側に突出する鍔状の被取付鍔部221が設けられており、当該被取付鍔部221には、駆動機構3を取付けるための孔部221aが貫通形成されている(
図4参照)。孔部221aは、分岐部22の周方向に沿って延びる湾曲形状をなしており、当該周方向に沿って間隔をあけて複数(本実施形態では、3つ)設けられている。
【0042】
駆動機構3は、栓蓋ユニット4を上下動させるための機構である。駆動機構3は、回動可能な回動部31と、当該回動部31の先端面の外周寄りから突出し、回動部31の回動(移動)に伴い上下動可能な支持突起32とを具備している。本実施形態では、回動部31が「駆動部」に相当し、支持突起32が「支持部」に相当する。
【0043】
駆動機構3は、回動部31が分岐部22に対し回動可能な状態で挿通されつつ、支持突起32が流路部21内に配置された状態で設置されている。支持突起32は、比較的短いものであり、その先端が流路部21の中心に到達しないように構成されている。
【0044】
さらに、駆動機構3は、長尺筒状をなすアウターチューブ33と、当該アウターチューブ33の内周に往復移動可能な状態で挿通された、例えば撚り線などからなるインナーワイヤ34(
図3参照)とを有している。アウターチューブ33の図示しない端部は、所定の操作部(例えば操作ボタンなど)を有する操作装置(図示せず)に接続されており、前記操作部の変位に伴いインナーワイヤ34が往復移動する。そして、インナーワイヤ34の往復移動に伴い回動部31が回動し、回動部31の回動により支持突起32が上下動するようになっている。尚、前記操作部は、手動により変位するものであってもよいし、電動により変位するものであってもよい。勿論、駆動機構3がモータ等の通電動作部品を有するとともに、当該通電動作部品の動作に伴い回動部31が回動する構成としてもよい。この場合には、アウターチューブ33やインナーワイヤ34を設けないこととしてもよい。
【0045】
また、駆動機構3は、回動部31等を収容するケースを備えており、当該ケースには、孔部221aに挿通可能な爪部35が設けられている(
図4参照)。爪部35は、孔部221aと同数設けられており、これら爪部35を孔部221aに挿通するとともに、被取付鍔部221に係止した状態とすることで、分岐部22に対し駆動機構3が取付けられている。
【0046】
栓蓋ユニット4は、排水の流路に対応して設けられており、排水口102の開閉などを行うためのものである。栓蓋ユニット4は、通水部材41及び栓蓋42を有している。
【0047】
通水部材41は、配管2(流路部21)内に配置されており、支持突起32の上下動に伴い、流路部21の内周面に沿って上下動する。通水部材41は、
図5,6に示すように、支持軸411、被支持部412及び係止部413を備えている。
【0048】
支持軸411は、その上端部が栓蓋42の背面中央部分に対し、ねじ止めや嵌合等によって取付けられている。これにより、支持軸411によって栓蓋42が支持された状態となっている。また、支持軸411は、外側に突出した複数の羽根部411aを備えており、各羽根部411aの外縁部は、流路部21の内周面に近接した状態で配置されている。その結果、栓蓋ユニット4の傾きや水平方向に沿った位置ずれを抑制可能となっている。
【0049】
被支持部412は、湾曲板状をなしており、1の羽根部411aの下部に設けられている。被支持部412は、流路部21の内周面に近接しており、支持突起32によって支持されるようになっている。
【0050】
係止部413は、羽根部411aの外縁部から突出する突起により構成されており、本実施形態では、支持軸41を挟む位置に一対設けられている。係止部413は、栓蓋ユニット4を引き上げたときに後述する被係止規制部52へと係止可能となっている。
【0051】
栓蓋42は、排水口102を開閉するためのものであり、通水部材41を介して支持突起32により間接的に支持されている。栓蓋42は、円板状の栓蓋本体部42aと、当該栓蓋本体部42aに取付けられた栓蓋用パッキン部42bとを備えている。
【0052】
本実施形態では、回動部31が一方側へと回動し支持突起32が下動することで、栓蓋ユニット4が下動する。そして、栓蓋用パッキン部42bの外周部分全域が配管2(第一構成部211)と接触することで、排水口102が閉状態とされる。一方、回動部31が他方側へと回動し支持突起32が上動することで、当該支持突起32によって栓蓋ユニット4が持ち上げられる。その結果、栓蓋用パッキン部42bが配管2(第一構成部211)から離間することで、排水口102が開状態とされる(
図1~3参照)。
【0053】
尚、本実施形態では、排水口102が閉状態とされ、支持突起32が最も下方に配置されたときに、支持突起32から通水部材41(被支持部412)が浮いた状態となるように構成されている。そのため、排水口102を閉状態としたときに、配管2へと栓蓋用パッキン部42bをより確実に接触させることができ、良好な水密性を得ることが可能となっている。
【0054】
次いで、機能部5の説明に先立って、配管2の構成についてより詳しく説明する。
図1~3に示すように、本実施形態における配管2は、少なくとも一部に直筒状の直管部111を有する管状部品11に対し、当該管状部品11とは別体であるバンド部品12を取付けた状態とすることで構成されている。
【0055】
本実施形態において、管状部品11は、上述の両構成部211,212、第一ナット213及びパッキン部214を備えてなるものであって、流路部21を構成している。また、直管部111は、第二構成部212を構成しており、金属製の直筒状パイプにより形成されている。直管部111は、内外に貫通する円形状の貫通孔111a(
図2,4参照)を備えているが、全体としては厚さが一定の円筒をなす、非常にシンプルなものである。
【0056】
バンド部品12は、
図7,8に示すように、分岐部22を構成する筒部121と、当該筒部121の外周から突出する締結部122とを備えた一部材(例えば樹脂など)からなる一体品である。すなわち、本実施形態におけるバンド部品12は、例えば型成形などにより形成され、筒部121及び締結部122が分離不能な状態で一体となったものである。
【0057】
筒部121は、回動部31の先端面の外径とほぼ同一の内径を有する円筒形状をなしている。また、筒部121の内側端部121aは、締結部122(特に後述する締結基部122a)の内側面から若干だけ突出している。本実施形態では、管状部品11にバンド部品12を取付けた状態において、内側端部121aは、貫通孔111aの内周に挿通されるとともに、管状部品11の内周面から若干だけ突出するように構成されている。
【0058】
さらに、筒部121のうち内側端部121aとは反対側の端部には、前記被取付鍔部221を構成する鍔状の環状突部123が突出形成されている。当該環状突部123には、前記孔部221aを構成する透孔123aが複数貫通形成されている。
【0059】
締結部122は、主として管状部品11(直管部111)に対するバンド部品12の取付に用いられる部位である。尚、締結部122は、管状部品11及びバンド部品12間におけるシール性の確保等にも利用される。締結部122は、締結基部122a,第一アーム部122b及び第二アーム部122cを有している。
【0060】
締結基部122aは、筒部121の外周から当該筒部121の周方向全周に亘って突出しており、湾曲板状をなしている。締結基部122aにおける少なくとも内側面は、これと相対向する管状部品11(直管部111)の外周面(特に後述するシール部材124を挟み込む面)に対応する形状、すなわち直管部111の外周面に沿う形状とされている。
【0061】
第一アーム部122bは、締結基部122aの幅方向一端部から延びており、第二アーム部122cは、締結基部122aの幅方向他端部から延びている。両アーム部122b,122cの大部分は、直管部111の外周面に倣う円弧形状をなしており、管状部品11にバンド部品12を取付けた状態において、両アーム部122b,122cの内周面の大部分が直管部111の外周面と面接触するようになっている。
【0062】
また、第一アーム部122bの先端部には、第一連結部122dが設けられており、第二アーム部122cの先端部には、第二連結部122eが設けられている。そして、各連結部122d,122eが連結されることで、両アーム部122b,122cの先端部同士が連結され、管状部品11(直管部111)の外周に締結部122を巻き付けることが可能となっている。
【0063】
本実施形態では、前記内側端部121aが貫通孔111aの内周に挿通されるとともに、締結部122が直管部111の外周に巻き付けられることで、管状部品11(直管部111)に対しバンド部品12が取付けられた状態となっている。
【0064】
また、各アーム部122b,122cは、バンド部品12を構成する材料の弾性変形を利用することで、これらの先端部同士の間隔を広げたり、狭めたりすることができるように構成されている。
【0065】
次いで、機能部5について説明する。機能部5は、
図2~4に示すように、流路部21内に配置されており、パッキン部214を保持する機能などの各種機能を実現する部品である。機能部5は、ベース部51、被係止規制部52及び鍔部53を備えている。但し、機能部5は、流路部21の中心に配置される部位を備えないものである。
【0066】
ベース部51は、流路部21の内周面に沿う湾曲板状をなしており、本実施形態では、流路部21(直管部111)の内周面に沿う薄肉の円筒状をなしている。ベース部51には、前記貫通孔111aと略同一形状の被挿通部51aが貫通形成されている。被挿通部51aには、前記内側端部121aが挿通されており、これにより、流路部21内からの機能部5の抜けを防止可能となっている。但し、被挿通部51aに挿通された内側端部121aは、機能部5の内側面から突出しない状態とされている。
【0067】
被係止規制部52は、ベース部51の内側面から突出しており、流路部21(ベース部51)の周方向に延びる突条をなしている。被係止規制部52は、複数形成されたり、一端部及び他端部が離間した1本の突条により形成されたりすることで、流路部21(ベース部51)の周方向に沿って隙間をあけた状態で設けられている。そして、当該隙間の幅は、被支持部412の幅よりも若干だけ大きなものとされている。
【0068】
そして、被係止規制部52に係る前記隙間に被支持部412が配置され、被係止規制部52によって流路部21の周方向に沿った被支持部412の移動が規制されるようになっている。これにより、機能部5は、支持突起32上に被支持部412が位置した状態を維持する機能を有するものとなっている。
【0069】
また、被係止規制部52の下方に係止部413が配置されており、栓蓋ユニット4を上方へと引き上げた際には、被係止規制部52に対し係止部413が係止可能となっている。これにより、機能部5は、被係止規制部52に対し係止部413が係止されることで、配管2からの通水部材41の取外しを規制する機能を備えたものとなっている。尚、係止部413は、材料の弾性変形を利用すること等により、被係止規制部52を乗り越えさせて、被係止規制部52の上から下へと配置させることができる。
【0070】
鍔部53は、ベース部51の端部から外側に突出形成されており、パッキン部214の前記溝に嵌め込まれている。これにより、機能部5は、パッキン部214を保持する機能を有するものとなっている。
【0071】
本実施形態においては、第二構成部212(直管部111)、バンド部品12、第一ナット213、パッキン部214及び機能部5が組み立てられることで、これらが一体となったユニットとすることができる。このユニットを予め得ておくことで、排水栓装置1の設置や部品の搬送などを容易に行うことが可能となる。そこで次に、このユニットを得るための第二構成部212等の組立手法について説明する。
【0072】
まず、上記のように構成された直管部111(第二構成部212)の内周に機能部5を配置するとともに、貫通孔111a及び被挿通部51aの各位置を合わせる。このとき、機能部5は、パッキン部214の前記溝に鍔部53を嵌め込むことで、パッキン部214を保持した状態とされる。
【0073】
次いで、第一ナット213を直管部111の外周(パッキン部214の位置する側)に配置するとともに、両連結部122d,122eを連結していない状態で、締結部122内に直管部11をその端部から挿通し、内側端部121aを貫通孔111a及び被挿通部51aに挿通した状態とする。このときには、内側端部121aの外周に、弾性変形可能な材料(例えば樹脂やゴム等)により形成された環状のシール部材124(
図3,4参照)を予め配置しておく。シール部材124は、管状部品11及びバンド部品12間からの漏水防止の役割を担う。尚、各アーム部122b,122cの先端部同士の間隔を直管部111が通過可能な程度まで拡大可能に構成し、これら先端部同士の間を通して直管部111を締結部122内に配置するようにしてもよい。
【0074】
次いで、両連結部122d,122eを連結し、締結部122を直管部111の外周に巻き付けた状態とする。これにより、直管部111に対しバンド部品12が取付けられ、第二構成部212等が組み立てられてなるユニットを得ることができる。また、前記内側端部121aによって、直管部111(第二構成部212)内からの機能部5の抜け防止が図られ、直管部111(第二構成部212)及び機能部5が分離不能な状態とされる。
【0075】
次に、上記ユニットを用いた排水栓装置1の設置手法のうち、特に上記ユニット及び第一構成部211の連結に係る点を説明する。
【0076】
まず、直管部111(第二構成部212)及び第一構成部211を直列的に並んだ状態とする。その上で、第一ナット213を雄ねじ部211bに螺合し、第一ナット213と第一構成部211の端面とにより鍔部53及びパッキン部214を挟んだ状態とする。これにより、第一構成部211及び直管部111(第二構成部212)を直列的に連結することができる。
【0077】
以上詳述したように、本実施形態によれば、流路部21及び分岐部22を有する配管2は、流路部21を構成する管状部品11に対し、分岐部22を構成する筒部121を有してなるバンド部品12を取付けた状態とすることで構成されている。そして、バンド部品12は、締結部122が管状部品11(直管部111)の外周に巻き付けられた状態となることで管状部品11に取付けられている。従って、直管状パイプなどの一般的に使用される管体(本実施形態では、直管部111)を利用して配管2を構成することができるため、配管2の製造に係るコストの増大抑制を図ることができる。また、直管部111が金属製をなす場合であっても配管2の製造が容易なものとなるため、流路部21の少なくとも一部が金属製をなす配管2を低コストで比較的容易に製造することができる。
【0078】
さらに、筒部121の内側端部121aが管状部品11の貫通孔111aの内周に挿通されている。そのため、筒部121すなわち分岐部22を、貫通孔111aを基準とした、管状部品11における狙いの位置により確実にかつより容易に設けることができる。これにより、配管2の製造に係る容易性を向上させることができる。
【0079】
加えて、内側端部121aは、機能部5の被挿通部51aに挿通されることで、流路部21内からの機能部5の抜けを防止可能とされている。従って、流路部21内からの機能部5の抜けを防止するために、流路部21内に特別な部品などを設ける必要がなく、流路部21内の構造簡素化を図ることができる。そのため、良好な排水能力をより確実に得ることができる。また、排水栓装置1の製造に係るコストの増大抑制を図ることができる。さらに、内側端部121aが被挿通部51aに挿通されることで、配管2(流路部21)に対する機能部5の位置決めを行うことも可能となる。
【0080】
併せて、機能部5は、流路部21の中心に配置される部位を備えないものとされている。従って、機能部5全体が流路部21の内周面側に配置されるため、流路部21内において機能部5が目立ちにくくなり、外観品質の向上を図ることができる。また、流路部21内において機能部5が邪魔となりにくくなり、清掃性を高めることができる。加えて、流路部21内における異物(ごみ等)の付着防止をより効果的に図ることができる。さらに、機能部5の配置位置における流路部21の通水面積をより大きく確保することができ、より良好な排水能力を得ることができる。
【0081】
また、内側端部121aはベース部51の内側面から突出しないため、内側端部121aに対する異物の付着防止をより確実に図ることができる。これにより、衛生性や清掃性をより高めることができる。
【0082】
さらに、機能部5を利用して両構成部211,212を連結するため、金属製の第二構成部212に連結用の鍔部を設ける必要はなく、直管状の第二構成部212(直管部111)を利用することができる。これにより、製造コストの増大抑制をより効果的に図ることができる。
【0083】
加えて、機能部5は、パッキン部214を保持する機能を有している。従って、パッキン部214の位置ずれや脱落を抑制することができる。これにより、パッキン部214による機能(配管2からの漏水防止)をより確実に発揮させることができる。
【0084】
また、上記のような第二構成部212、機能部5及びパッキン部214等がひとまとめとなったユニットとすることによって、このユニットからのパッキン部214の脱落を抑制することができる。従って、このようなユニットを予め組み立てておくことで、排水栓装置1の設置時や部品の搬送時におけるパッキン部214の紛失をより確実に防ぐことができる。
【0085】
併せて、機能部5によって、支持突起32から被支持部412(通水部材41)が外れ落ちることを防止できる。これにより、装置の動作安定性をより高めることができる。
【0086】
また、機能部5は、通水部材41が係止されることで、配管2からの通水部材41の取外しを規制することができる。これにより、栓蓋42及び通水部材41の盗難防止を図ることができる。
【0087】
さらに、機能部5に設けられた被係止規制部52を利用して、支持突起32上に被支持部412が位置した状態を維持する機能と、配管2からの通水部材41の取外しを規制する機能とを実現することができる。すなわち、被係止規制部52を共通的に利用して、両機能を実現することができる。従って、両機能を実現しつつ、構造の簡素化を図ることができる。これにより、装置の製造に係るコストの増大をより効果的に抑制することができる。また、清掃性や衛生性をより一層向上させることができる。
【0088】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0089】
(a)上記実施形態では、機能部5の鍔部53を第一ナット213及び第一構成部211により挟み込んだ状態とすることで、第一構成部211及び第二構成部212(直管部111)が連結されている。これに対し、
図9に示すように、第二構成部212(直管部111)の端部に鍔状の突起部111bを設け、当該突起部111bを第一ナット213及び第一構成部211により挟み込んだ状態とすることで、第一構成部211及び第二構成部212(直管部111)を連結するようにしてもよい。尚、この場合、機能部5は、鍔部53を備えないものであってもよい。鍔部53を備えない機能部5を用いる場合、パッキン部214の内周に機能部5を挿通することで、機能部5によってパッキン部214を保持するようにしてもよい。
【0090】
(b)上記実施形態では、直管部111(第二構成部212)として、金属製の直筒状パイプを挙げているが、直管部111(第二構成部212)は、金属以外の材料(例えば樹脂等)からなる管体であってもよい。
【0091】
(c)上記実施形態において、バンド部品12は、駆動機構3を取付けるための被取付鍔部221や孔部221aを構成する環状突部123や透孔123aを備えているが、分岐部22に対する駆動機構3の取付手法によっては、環状突部123や透孔123aを備えないものであってもよい。尚、分岐部22に対する駆動機構3のその他の取付手法としては、例えばねじ止め固定などを挙げることができる。
【0092】
また、バンド部品12の一部が、駆動機構3の一部を構成するようにしてもよい。例えば、バンド部品12の一部(例えば筒部121)が、駆動機構3における回動部31等を収容するケースとして機能するようにしてもよい。
【0093】
さらに、上記実施形態において、バンド部品12は、筒部121及び締結部122を備えた一部材(例えば樹脂など)からなる一体品とされているが、バンド部品として、複数の部品を組み合わせてなるものを用いてもよい。例えば、筒部121を構成する部品と、締結部122を構成する部品とを組み合わせてなるバンド部品を用いてもよい。
【0094】
(d)上記実施形態において、支持突起32は、回動部31の先端面の外周寄りから突出する構成とされている。これに対し、支持突起を例えば直角に屈曲する形状とすることで、当該支持突起を回動部の先端面における回動中心(回動軸と重なる位置)から突出させつつ、回動部の回動に伴い、少なくとも当該支持突起のうち栓蓋42を直接又は間接的に支持する部分が上下動するように構成してもよい。また、回動部の外周面から支持突起が突出するように構成し、回動部の回動に伴い支持突起が上下動するように構成してもよい。
【0095】
(e)上記実施形態では、回動可能な回動部31によって「駆動部」が構成されているが、駆動部は回動するものでなくてもよい。従って、例えば、駆動部を、分岐部22の軸方向に沿って往復移動可能な往復移動部によって構成してもよい。この場合、例えば往復移動部の先端部に傾斜面を有してなる支持部を設けるとともに、当該傾斜面によって栓蓋42が直接又は間接的に支持されるように構成することで、往復移動部の往復移動に伴い栓蓋42が上下動するように構成してもよい。
【0096】
(f)上記実施形態において、ベース部51は、円筒状をなしており、流路部21の周方向に連続する形状とされているが、ベース部51の形状はこれに限定されるものではない。従って、例えば、ベース部が半筒状をなすようにしてもよい。
【0097】
また、被支持部412の形状についても適宜変更可能であり、例えば、被支持部が流路部21の周方向に連続する環状をなすようにしてもよい。この場合、支持突起32から被支持部が外れ落ちることは通常生じないため、機能部は、支持突起32上に被支持部が位置した状態を維持する機能を備えないものであってもよい。
【0098】
(g)上記実施形態において、支持突起32は、通水部材41を介して栓蓋42を間接的に支持しているが、栓蓋42を直接的に支持するものであってもよい。
【0099】
(h)上記実施形態では、槽体として洗面ボウル100を例示しているが、本発明の技術思想を適用可能な槽体は洗面ボウルに限定されるものではない。従って、例えば、浴槽やキッチンの流し台などの洗面ボウル以外の槽体に対し本発明の技術思想を適用してもよい。
【0100】
また、上記実施形態において、槽体としての洗面ボウル100は排水空間103を備えているが、排水空間103を備えないものであってもよい。この場合、第一構成部211に通水孔211cを設ける必要はない。
【0101】
(i)上記実施形態では、栓蓋42(栓蓋用パッキン部42b)が配管2に接触することで、排水口102が閉状態となるように構成されているが、栓蓋42(栓蓋用パッキン部42b)が底壁部101と接触することで、排水口102が閉状態となるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0102】
1…排水栓装置、2…配管、5…機能部、11…管状部品、12…バンド部品、21…流路部、22…分岐部、31…回動部(駆動部)32…支持突起(支持部)、41…通水部材、42…栓蓋、51…ベース部、51a…被挿通部、52…被係止規制部、53…鍔部、100…洗面ボウル(槽体)、102…排水口、111直管部、111a…貫通孔、121…筒部、121a…内側端部、122…締結部、211…第一構成部、212…第二構成部、213…第一ナット(ナット部材)、214…パッキン部、412…被支持部、413…係止部。