(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022117582
(43)【公開日】2022-08-12
(54)【発明の名称】オレフィン系樹脂多孔質体の製造方法
(51)【国際特許分類】
C08J 9/12 20060101AFI20220804BHJP
【FI】
C08J9/12 CES
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021014157
(22)【出願日】2021-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500372717
【氏名又は名称】学校法人福岡工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【弁理士】
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100136423
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100130605
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 浩治
(72)【発明者】
【氏名】松延 広平
(72)【発明者】
【氏名】松山 清
【テーマコード(参考)】
4F074
【Fターム(参考)】
4F074AA20
4F074AA24
4F074AB05
4F074AD04
4F074AD07
4F074AH03
4F074BA32
4F074BA39
4F074BA73
4F074BA74
4F074CA24
4F074CC04X
4F074CC05X
4F074CC22X
4F074CC29Y
4F074CC32X
4F074CC34X
4F074CC34Y
4F074DA38
4F074DA43
4F074DA45
4F074DA49
4F074DA57
(57)【要約】
【課題】スキン層を有しないオレフィン系樹脂多孔質体の新規な製造方法を提供する。
【解決手段】ここに開示されるオレフィン系樹脂多孔質体の製造方法は、耐圧容器中で、オレフィン系樹脂と、炭化水素化合物と、極性化合物とが混ざり合った単一相を調製する工程と、前記耐圧容器に高圧の二酸化炭素を導入する工程と、前記耐圧容器内の圧力を開放する工程と、を包含する。前記極性化合物は、ヒドロキシ基、またはカルボニル基を有する。前記高圧の二酸化炭素の導入を、耐圧容器内の圧力が6MPa以上となるように行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐圧容器中で、オレフィン系樹脂と、炭化水素化合物と、極性化合物とが混ざり合った単一相を調製する工程と、
前記耐圧容器に高圧の二酸化炭素を導入する工程と、
前記耐圧容器内の圧力を開放する工程と、
を包含し、
前記極性化合物が、ヒドロキシ基、またはカルボニル基を有し、
前記高圧の二酸化炭素の導入を、前記耐圧容器内の圧力が6MPa以上となるように行う、
オレフィン系樹脂多孔質体の製造方法。
【請求項2】
前記耐圧容器に導入する前記高圧の二酸化炭素が、超臨界状態の二酸化炭素である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記炭化水素化合物が、炭素数5~7のアルカン類であり、
前記極性化合物が、炭素数1~4のアルコール類、または炭素数3~5のケトン類である、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記極性化合物の使用量が、前記炭化水素化合物100質量部に対し、0.5質量部以上80質量部以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記オレフィン系樹脂が、ポリエチレン、またはポリプロピレンである、請求項1~4のいずれか1項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オレフィン系樹脂多孔質体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オレフィン系樹脂多孔質膜は、電気特性、機械特性、耐薬品性などに優れることから、電気材料、各種フィルタ、透湿防水衣料、包装材料などの種々の用途に利用されている。特に近年においては、電池のセパレータとして、オレフィン系樹脂多孔質膜が好適に用いられている。
【0003】
オレフィン系樹脂多孔質体は、一般的に、多孔質膜として延伸法によって製造されている。延伸法については、具体的には、オレフィン系樹脂溶液からゲル状シートを形成し、当該ゲル状シートを延伸する湿式延伸法、オレフィン系樹脂をシート状に成膜し、これを延伸して開孔する乾式延伸法などが知られている。また、その他のオレフィン系樹脂多孔質体の製造方法として、孔形成剤をオレフィン系樹脂に混合してミクロ分散させた後、孔形成剤を抽出する混合抽出法、ポリオレフィン系樹脂粒子を熱融着させる焼結法などが知られている(例えば、特許文献1~3参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平06-104736号公報
【特許文献2】特開2009-527633号公報
【特許文献3】特開2016-176061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
オレフィン系樹脂多孔質体の多孔質構造(例えば、孔の形状および寸法、空孔度、樹脂骨格の太さなど)は、製造方法によってある程度限定される。そのため、オレフィン系樹脂多孔質体の特性がある程度限定され、その結果、オレフィン系樹脂多孔質体の用途がある程度限定される。また、一般的な延伸法では、多孔質膜しか得ることができない。したがって、オレフィン系樹脂多孔質体の新規な製造方法があれば、オレフィン系樹脂多孔質体の用途を拡張できる可能性があるため、あるいは、既存の用途においてより高性能なオレフィン系樹脂多孔質体を提供できる可能性があるため、有用である。
【0006】
また、樹脂多孔質体を製造する際には、表層部にスキン層(皮張り層)が形成される場合がある。スキン層は、無孔の層であるため、樹脂多孔質体がスキン層を有する場合には、流体を透過することができず、樹脂多孔質体の用途が限定されるという不利益がある。したがって、得られるオレフィン系樹脂多孔質体が、表層部にスキン層(皮張り層)を有しておらず、一方の表面から対抗する他方の表面まで連通する孔を有する場合には、フィルタ、電池のセパレータ等への適用が容易となるため、特に有用である。
【0007】
そこで本発明の目的は、スキン層を有しないオレフィン系樹脂多孔質体の新規な製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ここに開示されるオレフィン系樹脂多孔質体の製造方法は、耐圧容器中で、オレフィン系樹脂と、炭化水素化合物と、極性化合物とが混ざり合った単一相を調製する工程と、前記耐圧容器に高圧の二酸化炭素を導入する工程と、前記耐圧容器内の圧力を開放する工程と、を包含する。前記極性化合物は、ヒドロキシ基、またはカルボニル基を有する。前記高圧の二酸化炭素の導入を、前記耐圧容器内の圧力が6MPa以上となるように行う。このような構成によれば、スキン層を有しないオレフィン系樹脂多孔質体の新規な製造方法が提供される。
【0009】
ここに開示されるオレフィン系樹脂多孔質体の製造方法の好ましい一態様においては、前記耐圧容器に導入する前記高圧の二酸化炭素が、超臨界状態の二酸化炭素である。
【0010】
ここに開示されるオレフィン系樹脂多孔質体の製造方法の好ましい一態様においては、前記炭化水素化合物が、炭素数5~7のアルカン類であり、前記極性化合物が、炭素数1~4のアルコール類、または炭素数3~5のケトン類である。
【0011】
ここに開示されるオレフィン系樹脂多孔質体の製造方法の好ましい一態様においては、前記極性化合物の使用量が、前記炭化水素化合物100質量部に対し、0.5質量部以上80質量部以下である。
【0012】
ここに開示されるオレフィン系樹脂多孔質体の製造方法の好ましい一態様においては、前記オレフィン系樹脂が、ポリエチレン、またはポリプロピレンである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の製造方法に好適なオレフィン系樹脂多孔質体の製造システムを模式的に示す図である。
【
図3】実施例1で得られたポリエチレン多孔質体の断面のSEM画像である。
【
図4】実施例1で得られたポリエチレン多孔質体の表面のSEM画像である。
【
図5】比較例1で得られたポリエチレン多孔質体の断面のSEM画像である。
【
図6】比較例1で得られたポリエチレン多孔質体の表面のSEM画像である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のオレフィン系樹脂多孔質体の製造方法は、耐圧容器中で、オレフィン系樹脂と、炭化水素化合物と、極性化合物とが混ざり合った単一相を調製する工程(以下「混合相調製工程」ともいう)と、前記耐圧容器に高圧の二酸化炭素(CO2)を導入する工程(以下、「二酸化炭素導入工程」ともいう)と、前記耐圧容器内の圧力を開放する工程(以下、「圧力開放工程」ともいう)と、を包含する。ここで、当該極性化合物は、ヒドロキシ基、またはカルボニル基を有する。当該高圧の二酸化炭素の導入を、当該耐圧容器内の圧力が6MPa以上となるように行う。
【0015】
まず、混合相調製工程について説明する。耐圧容器としては、6MPaを超える耐圧性を有する耐圧容器が用いられる。6MPaを超える耐圧性を有する耐圧容器は公知であり、本発明には、公知の耐圧容器を用いてよい。耐圧容器は、ステンレス製、ニッケル合金製、フッ素樹脂製等であってよい。耐圧容器の具体例としては、オートクレーブ、加圧タンク、加圧チャンバ等が挙げられる。耐圧容器の内部の寸法は、得られるオレフィン系樹脂多孔質体の寸法に応じて適宜選択することができる。
【0016】
使用されるオレフィン系樹脂は、アルケン単位をモノマー単位として含有する高分子である。アルケン単位としては、例えば、エチレン単位、プロピレン単位、1-ブテン単位、1-ペンテン単位、3-メチル-1-ブテン単位、1-ペンテン単位、1-ヘキセン単位、3-メチル-1-ペンテン単位、4-メチル-1-ペンテン単位、1-ヘプテン単位、1-オクテン単位等が挙げられる。これらのうち、エチレン単位およびプロピレン単位が好ましい。
【0017】
オレフィン系樹脂は、アルケンの単独重合体であってもよく、2種以上のアルケンの共重合体であってもよく、アルケンとアルケン以外のモノマーとの共重合体であってもよい。アルケンとアルケン以外のモノマーとの共重合体において、アルケン単位以外のモノマー単位の含有量は、オレフィン系樹脂に含まれる全モノマー単位中、好ましくは50モル%以下であり、より好ましくは30モル%以下であり、さらに好ましくは10モル%以下である。
【0018】
オレフィン系樹脂の具体例としては、密度が0.910g/cm3未満の超低密度ポリエチレン(VLDPE)、密度が0.910g/cm3以上0.920g/cm3以下の低密度ポリエチレン(LDPE)、密度が0.920g/cm3超0.942g/cm3未満の中密度ポリエチレン(MDPE)、0.942g/cm3以上0.960g/cm3以下の高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(L-LDPE)、超高分子量ポリエチレン(UHMW-PE)などのポリエチレン;アタクチックポリプロピレン、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、ヘミアイソタクチックポリプロピレン、ステレオブロックポリプロピレン等のポリプロピレン;ポリブテン;ポリ(3-メチル-1-ブテン);ポリ(3-メチル-1-ペンテン);ポリ(4-メチル-1-ペンテン);エチレン/プロピレン共重合体;エチレン/1-ブテン共重合体、エチレン/プロピレン/1-ブテン共重合体、エチレン/1-ヘキセン共重合体;エチレン/1-オクテン共重合体等のエチレン/α-オレフィン共重合体;エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA);エチレン/ビニルアルコール共重合体(EVOH);エチレン/(メタ)アクリル酸共重合体;エチレン/(メタ)アクリル酸エステル共重合体;エチレン/塩化ビニル共重合体;エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体;エチレン/スチレン共重合体などが挙げられる。
【0019】
オレフィン系樹脂のメルトマスフローレート(MFR)は、特に限定されず、例えば0.2g/10分以上200g/10分以下であり、好ましくは10g/10分以上200g/10分以下であり、より好ましくは20g/10分以上180g/10分以下である。MFRは、公知方法に従い測定することができる。例えば、ポリエチレンのMFRは、JISK6922-1:2018に準拠して測定することができ、その他のオレフィン系樹脂のMFRは、JISK7210-1:2014に準拠して測定することができる。
【0020】
オレフィン系樹脂は、公知方法に従い合成して入手することができ、市販品として入手することもできる。オレフィン系樹脂は、植物由来のオレフィン系樹脂であってもよい。オレフィン系樹脂は、リサイクル品であってもよい。
【0021】
オレフィン系樹脂としては、得られる多孔質体の汎用性の観点から、ポリエチレンおよびポリプロピレンが好ましい。
【0022】
使用される炭化水素化合物は、少なくとも加圧下でオレフィン系樹脂および極性化合物と混合相を形成可能なものである限り特に限定されない。炭化水素化合物は、高温下でオレフィン系樹脂の良溶媒として機能する。炭化水素化合物の例としては、アルカン類、アリール類(例、ベンゼン等)、アルキルアリール化合物(例、トルエン等)などが挙げられる。炭化水素化合物として好適には、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン等の常温(特に25℃)で液体であるアルカン類である。なかでも、沸点が低く除去が容易であることから、炭素数5~7のアルカン類がより好ましく、ペンタンがさらに好ましい。
【0023】
オレフィン系樹脂に対する炭化水素化合物の使用量は、上記の混合相が形成される限り特に限定されない。炭化水素化合物の使用量は、オレフィン系樹脂1質量部に対し、例えば3質量部以上1000質量部以下であり、好ましくは5質量部以上500質量部以下であり、より好ましくは5質量部以上200質量部以下である。オレフィン系樹脂に対する炭化水素化合物の使用量を変化させることで、得られる多孔質体の多孔質構造を変化させることができる。
【0024】
極性化合物は、極性基として、ヒドロキシ基(-OH)またはカルボニル基(-(C=O)-)を含有する。極性溶媒は、高温下でオレフィン系樹脂の貧溶媒として機能する。使用される炭化水素化合物は、少なくとも加圧下でオレフィン系樹脂および炭化水素化合物と混合相を形成可能なものである限り特に限定されない。極性化合物は、エーテル酸素をさらに含んでいてもよい。
【0025】
当該極性化合物の例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ヘキサノール、プロパンジオール、ブタンジオール等のアルコール類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブなどのセロソルブ類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどエステル類;トリエチレングリコール、ジエチレングリコール、分子量1500以下(好ましくは分子量1000以下、より好ましくは分子量600以下)のポリエチレングリコール、分子量1500以下(好ましくは分子量1000以下、より好ましくは分子量600以下)のポリプロピレングリコールなどのグリコール類;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン類などが挙げられる。これらの中でも、揮発性が高く除去が容易であることから、炭素数1~4のアルコール類、または炭素数3~5のケトン類が好ましい。
【0026】
極性化合物の使用量は、上記の混合相が形成され、スキン層形成を抑制できる限り特に限定されない。極性化合物の使用量が少な過ぎると、スキン層形成効果が小さくなる傾向になる。そのため、極性化合物の使用量は、炭化水素化合物100質量部に対し、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上である。一方で、極性化合物の使用量が多過ぎると、混合相の形成が難しくなる。そのため、極性化合物の使用量は、炭化水素化合物100質量部に対し、好ましくは80質量部以下、より好ましくは20質量部以下である。
【0027】
なお、本発明の効果を顕著に阻害しない範囲内で、オレフィン系樹脂、炭化水素化合物、および極性化合物以外の成分を耐圧容器に加えてもよい。
【0028】
混合相調製工程は、例えば、次のようにして行うことができる。まず、耐圧容器に、高圧の二酸化炭素を導入するための導入管を接続する。また、耐圧容器に加熱手段が内蔵されていない場合には、加熱装置を取り付ける。必要に応じ、耐圧容器には、撹拌装置、温度計、圧力計などを取り付けてもよい。
【0029】
耐圧容器に、所定量のオレフィン系樹脂、所定量の炭化水素化合物、および所定量の極性化合物を添加し、耐圧容器を密閉する。次いで、耐圧容器を、オレフィン系樹脂と炭化水素化合物と極性化合物とが混ざり合った単一相が形成されるように加熱する。このとき、必要に応じて撹拌する。加熱温度は、単一相が形成される限り特に限定されず、使用するオレフィン系樹脂、炭化水素化合物、および極性化合物の種類に応じて適宜決定すればよい。加熱温度は、好ましくは炭化水素化合物および極性化合物の沸点以上であり、より好ましくは70℃以上160℃以下である。加熱温度を変化させることで、得られる多孔質体の多孔質構造を変化させることができる。
【0030】
以上のようにして、オレフィン系樹脂と炭化水素化合物と極性化合物とが混ざり合った単一相(均一相)を得ることができる。
【0031】
次に、二酸化炭素導入工程について説明する。当該工程においては、耐圧容器に高圧の二酸化炭素を導入する。二酸化炭素は、オレフィン系樹脂の貧溶媒であるという特徴を有している。
【0032】
高圧の二酸化炭素を耐圧容器に導入すると、耐圧容器内の圧力が上昇する。ここで、高圧の二酸化炭素の導入を耐圧容器内の圧力が、6MPa以上になるように行う。したがって、導入される高圧の二酸化炭素の圧力は、耐圧容器内の圧力が6MPa以上になるような圧力である。導入される高圧の二酸化炭素として好ましくは、超臨界状態の二酸化炭素である。言い換えると、臨界点以上の温度および圧力を有する二酸化炭素である。なお、二酸化炭素の臨界点に関し、臨界温度は31.1℃であり、臨界圧力は7.38MPaである。
【0033】
超臨界状態は、気体と液体との区別がつかない状態であり、よって、超臨界状態の物質は、気体の性質(特に拡散性)と、液体の性質(特に溶解性)の両方を備える。よって、導入される二酸化炭素が超臨界状態にある場合には、オレフィン系樹脂と炭化水素化合物と極性化合物との混合相に、二酸化炭素が浸透および拡散しやすくなり、オレフィン系樹脂の多孔質化が容易となる。
【0034】
導入する高圧の二酸化炭素の温度は、特に限定されないが、例えば10℃以上150℃以下であり、好ましくは20℃以上50℃以下である。
【0035】
二酸化炭素導入工程において、耐圧容器内の圧力は、好ましくは7MPa以上であり、より好ましくは8MPa以上である。一方、耐圧容器内の圧力は、好ましくは30MPa以下であり、より好ましくは20MPa以下であり、さらに好ましくは15MPa以下である。
【0036】
二酸化炭素導入工程において、耐圧容器内の圧力が6MPa以上の状態に置く時間は特に限定されない。耐圧容器内の圧力が6MPa以上に到達していれば、多孔質体を得ることができる。生産効率の観点から、耐圧容器内の圧力を6MPa以上の状態に置く時間は短い方が好ましく、具体的には、0秒間から5分間程度が好ましい。
【0037】
二酸化炭素導入工程の後、圧力開放工程の前に、耐圧容器を冷却する工程(以下、「冷却工程」ともいう)を行ってもよい。冷却工程を行わなくても多孔質体を得ることができるが、冷却を行う場合には、オレフィン系樹脂の固化による生成した多孔質骨格の保持を迅速に行うことができ、有利である。冷却は、冷媒等を用いて行ってもよいし、放冷してもよい。冷却は、短時間で行った方が好ましく、よって、冷媒等を用いて冷却することが好ましい。
【0038】
冷却工程を終了する際の耐圧容器内の温度は、特に限定されないが、例えば90℃以下、好ましくは70℃以下、より好ましくは50℃以下である。
【0039】
次に、圧力開放工程について説明する。耐圧容器内は、高圧の二酸化炭素によって、圧力が6MPa以上に高められている。当該工程では、耐圧容器内のその圧力を開放する。言い換えると、当該工程では、耐圧容器内を減圧する。圧力開放工程では、通常、常圧(すなわち大気圧)になるまで、圧力を低下させる。
【0040】
具体的には、圧力開放工程では、耐圧容器から二酸化炭素を放出する。耐圧容器内の二酸化炭素を放出する際に、溶媒が気化し、気化した炭化水素化合物および極性化合物も耐圧容器から放出される。そのため、圧力開放工程では、耐圧容器内の圧力を開放することで、炭化水素化合物および極性化合物の除去(すなわち、乾燥)を行うことができる。
【0041】
以上説明した工程を実施することにより、耐圧容器内にオレフィン系樹脂の多孔質体を得ることができる。多孔質体は、耐圧容器から取り出すことで回収することができる。
【0042】
本発明の製造方法を実施するための具体的な一例について図面を用いて説明する。
図1に、オレフィン系樹脂多孔質体の製造システム100を模式的に示す。まず、このオレフィン系樹脂多孔質体の製造システム100について説明する。
図1に示す製造システム100は、耐圧容器10を備える。耐圧容器10には、ヒータ20、および撹拌装置30が取り付けられている。
【0043】
ヒータ20の種類は、耐圧容器10を加熱できる限り特に限定されず、ワイヤーヒータ、シリコンラバーヒータ等の耐圧容器10に巻き付けて使用するヒータ;水蒸気、熱媒油、熱水等の熱媒を利用するヒータ、などであってよい。また、ヒータ20は、耐圧容器10に内蔵された電気ヒータ等であってよい。
【0044】
撹拌装置30は、例えば、モータと、撹拌翼とを備える。撹拌装置30の構成は、耐圧容器10内を撹拌できる限りこれに限られず、耐圧容器10の大きさに応じて適宜選択すればよい。例えば、耐圧容器10が小型である場合には、撹拌装置30は、撹拌子とマグネチックスターラー等であってよい。
【0045】
耐圧容器10に、炭酸ガスボンベ40が接続されている。耐圧容器10と炭酸ガスボンベ40との間の二酸化炭素流路50には、乾燥管51、冷却装置52、フィルタ53、昇圧ポンプ54、第一圧力計55、第一安全弁56、予熱管57、逆止弁58が設けられている。二酸化炭素流路50は、公知方法に従い構成することができる。例えば、冷却装置52には、チラー等を用いることができる。例えば、昇圧ポンプ54には、シリンジポンプ、ダイヤフラムポンプ等を用いることができる。また、二酸化炭素流路50には、バルブV1、バルブV2およびバルブV3が設けられている。バルブV1は背圧弁である。炭酸ガスボンベ40からバルブV2までが昇圧部として機能する。
【0046】
二酸化炭素流路50は、バルブV3の下流側において2つに分かれており、一方の流路が耐圧容器10に接続されている。他方の流路には、第二圧力計60および第二安全弁61が設けられている。
【0047】
一方で、耐圧容器10には、圧力を開放するための排気管70が取り付けられている。排気管70には、排気バルブV4と、ガス流量計71が設けられている。ガス流量計71としては、例えば、湿式ガス流量計を用いることができる。
【0048】
次に、製造システム100を用いた本発明の製造方法の各工程の実施方法の一例について説明する。まず、混合相調製工程は次のようにして行うことができる。製造システム100において、バルブV2~V4および安全弁56,61は閉じておく。耐圧容器10に、所定量のオレフィン系樹脂、所定量の炭化水素化合物、および所定量の極性化合物を投入し、密閉する。撹拌装置30で撹拌しながらヒータ20により耐圧容器10を加熱して、オレフィン系樹脂と、炭化水素化合物と、極性化合物との混合相を形成させる。混合相が得られたら、撹拌装置30の撹拌翼を混合相から引き上げる。
【0049】
次に二酸化炭素導入工程は、次のようにして行うことができる。炭酸ガスボンベ40のバルブを開き、二酸化炭素流路50へ液化炭酸ガス(すなわち、液体二酸化炭素)を送り出す。液体二酸化炭素は、乾燥管51を通過して不要な水分が除去され、続いて、冷却装置52によって、完全に液体状態になるように冷却される。冷却された液体二酸化炭素を、昇圧ポンプ54によって臨界圧力以上にまで加圧する。このとき、液体二酸化炭素の圧力を、背圧弁であるバルブV1によって調整し、第一圧力計55で確認する。この段階で二酸化炭素は、臨界圧力以上の圧力にあるが、臨界温度未満の温度にある。
【0050】
バルブV2を開いて、所定の圧力に加圧した液体二酸化炭素を、バルブV2を介して予熱管57により臨界温度以上になるまで加熱する。これにより二酸化炭素を超臨界状態にする。バルブV3を開いて、超臨界状態の二酸化炭素をバルブV3を介して耐圧容器10に供給する。このとき、逆止弁58によって、二酸化炭素の逆流が防止される。なお、この例では、二酸化炭素を超臨界状態にしているが、本発明の製造方法において、二酸化炭素を超臨界状態にしなくてもよい。
【0051】
耐圧容器10は、超臨界状態の二酸化炭素によって加圧される。このときの圧力を第二圧力計60により確認する。
【0052】
加圧後に、耐圧容器10を水冷等によって、例えば50℃以下に冷却してもよい。当該冷却は、例えば、耐圧容器10をアイスバスに浸すことで行うことができる。耐圧容器10がジャケットを備える場合は、冷媒をジャケット内に導入して冷却を行ってもよい。
【0053】
バルブV3を閉じ、バルブV4を開き、排気管70より、耐圧容器10内の圧力を開放する。圧力の開放は、ゆっくりと行う。これにより圧力開放工程を行うことができる。圧力開放工程において、溶媒の除去も行われるため、圧力容器10内には、オレフィン系樹脂多孔質体が生成している。オレフィン系樹脂多孔質体を、耐圧容器10から取り出すことで、回収する。
【0054】
本発明の製造方法においては、オレフィン系樹脂に対して強い貧溶媒である二酸化炭素が、オレフィン系樹脂と炭化水素化合物と極性化合物との混合相に入り込むことにより、2つの分離相が形成され、その結果、オレフィン系樹脂多孔質体を得ることができる。ここで、混合相が極性化合物を含まない場合は、孔のないスキン層が多孔質体の表層部に形成される。これは、二酸化炭素が入り込む混合相の表層部においては、二酸化炭素の存在比が高く、かつ炭化水素化合物が二酸化炭素に抽出されるために、オレフィン系樹脂の濃度が高くなり、その結果、オレフィン系樹脂の分子が移動しにくくなって相分離が誘起されないためであると考えられる。
【0055】
これに対し、本発明の製造方法においては、混合相が極性化合物を含むことによって、スキン層の形成が抑制される。これは、極性化合物が、空孔形成剤(ポロゲン)として機能するためと考えられる。具体的には、ヒドロキシル基またはカルボニル基を有する極性化合物は、オレフィン系樹脂の貧溶媒であり、一方で、極性化合物は、二酸化炭素との親和性が炭化水素化合物よりも低いため、極性化合物が二酸化炭素によって抽出されずにオレフィン系樹脂を含む相の内部に分散して長く残り、最終的に極性化合物がオレフィン系樹脂を含む相から放出されることで、孔が形成するためと考えられる。
【0056】
本発明の製造方法においては、延伸することなく、相分離を利用して、スキン層の無いオレフィン系樹脂多孔質体を得ることができる。ここで、2つの分離相の形態は、炭化水素化合物に対するオレフィン系樹脂の量、調製した単一相の温度などによって変化する。
【0057】
したがって、本発明においては、条件によって、種々の相分離構造に基づく、種々の多孔質構造を有するオレフィン系樹脂多孔質体を得ることができるという利点を有する。具体的には、以下の構造を有するオレフィン系樹脂多孔質体を得ることができる。なお、オレフィン系樹脂多孔質体は、典型的には、オレフィン系樹脂のみからなる。
【0058】
(1)変調構造
2つの分離相が、変調構造を取ることが知られている。変調構造は、2つの分離相が、共に連続相を形成し、かつ共に絡み合った構造であり、典型的には、スピノーダル分解によって形成される構造である。よって、
図2のスピノーダル線の内側において、形成される構造である(特に、
図2の(b)のケース参照)。本発明においては、オレフィン系樹脂を含む相と、二酸化炭素を含む相が、2つの分離相となって変調構造を形成し、この変調構造に基づく多孔質体を得ることができる。
【0059】
具体的に、オレフィン系樹脂多孔質体は、オレフィン系樹脂の骨格と、当該骨格内で連通する空孔とを備え、当該骨格と、当該空孔とが、変調構造に基づいて絡み合った構造を有する。オレフィン系樹脂の骨格は、三次元網目構造を有する。空孔は、三次元網目構造を有する。オレフィン系樹脂の骨格は、例えば、オレフィン系樹脂の結晶粒子が結合することによって、形成され得る。
【0060】
(2)スポンジ構造
2つの分離相が、海島構造を取る得ることが知られている。海島構造は、一方の相が連続相を形成し、当該連続相の中に、他方の相が複数の不連続の相として分散している構造である。
図2のスピノーダル線の外側であってかつバイノーダル線の内側において、形成される構造である(特に、
図2の(c)のケース参照)。本発明においては、オレフィン系樹脂を含む相を海相とし、二酸化炭素を含む相を島相とする海島構造において、島相が略球状に形成される。島相同士は、二酸化炭素、炭化水素化合物および極性化合物が、耐圧容器から放出される際などに結合し得る。
【0061】
具体的に、オレフィン系樹脂多孔質体は、海島構造における海相に基づく(あるいは海相に対応する)オレフィン系樹脂の骨格と、島相に基づく(あるいは島相に対応する)気泡状の空孔と、を備える。当該オレフィン系樹脂の骨格は、略球形の一部に対応する凹部を有する。隣接する空孔は、結合していてもよい。すなわち、空孔は、連通孔であっても独立孔であってもよい。
【0062】
(3)カリフラワー様構造
図2に示すように、高分子が高濃度であって、バイノーダル線の外側においては、高分子が粒子状に凝集する(特に、
図2の(d)のケース参照)。本発明においては、粒状の粒子(一次粒子)同士が結合して二次粒子を構成し、この二次粒子同士がさらに結合した構造を取り得る。粒子間の隙間が空隙を形成するため、この構造は、多孔質構造である。この構造は、カリフラワーの外観に類似した形状を有している。この構造は、フラクタル構造にもなり得る。
【0063】
具体的に、オレフィン系樹脂多孔質体は、オレフィン系樹脂の骨格と、当該骨格内で連通する空孔とを備える。当該オレフィン系樹脂の骨格は、オレフィン系樹脂の一次粒子が結合して二次粒子を形成し、これら二次粒子同士がさらに結合することによって形成されている。オレフィン系樹脂の一次粒子は、例えば、オレフィン系樹脂の結晶粒子である。
【0064】
(4)粒子結合構造
図2に示すように、高分子が高濃度であって、バイノーダル線の外側においては、高分子が粒子状に凝集する(特に、
図2の(d)のケース参照)。本発明においては、一次粒子が結合した構造を有する。粒子間の隙間が空隙を形成するため、この構造は、多孔質構造である。
【0065】
具体的に、オレフィン系樹脂多孔質体は、オレフィン系樹脂の一次粒子が結合して形成されている。当該一次粒子は、例えば、オレフィン系樹脂の結晶粒子である。
【0066】
また、本発明によれば、上記(1)~(4)の構造の2つ以上の構造を有する多孔質体を得ることも可能である。当該多孔質体の具体例としては、上部がカリフラワー様構造であり、下部が変調構造のオレフィン系樹脂多孔質体が挙げられる。
【0067】
さらに、本発明によれば、上記(1)~(4)の構造の2つ以上の構造が混ざり合った多孔質体を得ることも可能である。当該多孔質体の具体例としては、オレフィン系樹脂の粒状体が結合した骨格を備え、当該粒状体は、海島構造における海相に基づく(あるいは海相に対応する)オレフィン系樹脂の領域と、島相に基づく(あるいは島相に対応する)気泡状の空孔領域と、を有している。言い換えると、当該多孔質体は、スポンジ状のオレフィン系樹脂の粒状体が結合した骨格を備える。
【0068】
オレフィン系樹脂多孔質体の一般的な製造方法である延伸法とは異なり、本発明によれば、厚さの大きな多孔質体(例えば、縦、横および厚さの三方向の寸法が共に1mm以上、5mm以上、あるいは10mm以上の多孔質体)を得ることも可能である。得られるオレフィン系樹脂多孔質体の寸法は、耐圧容器の内部形状と、使用するオレフィン系樹脂の量によって、調整することができる。用途に応じて、得られたオレフィン系樹脂多孔質体を、切断等によって所定の寸法に加工してもよい。
【0069】
本発明によって得られるオレフィン系樹脂多孔質体は、スキン層(すなわち、無孔の表層部)を有していないため、流体が通過することが可能である。よって、本発明によって得られるオレフィン系樹脂多孔質体は、リチウムイオン二次電池のセパレータ、ニッケル-水素電池のセパレータなどの電池のセパレータ;逆浸透濾過膜、限外濾過膜、精密濾過膜などのメンブレンフィルタ;などに好適に用いることができる。また、本発明によって得られるオレフィン系樹脂多孔質体は、透湿防水衣料;包装材料;建築資材;吸音材料;掃除用品;化粧用品等に用いることができる。
【実施例0070】
以下、本発明に関する実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
【0071】
実施例1
実験装置として、上述の
図1に示すオレフィン系樹脂多孔質体製造システムを用意した。オレフィン系樹脂として、ポリエチレン(東ソー社製「ペトロセン353」、密度0.915g/cm
3、MFR145g/10分、溶融温度98℃)を用意した。このポリエチレン1gと、炭化水素化合物としてのn-ペンタン10gと、極性化合物としてのポリエチレングリコール600(PEG600)1gとを耐圧容器に添加し、撹拌しながら85℃に加熱した。これにより、ポリエチレンとペンタンとPEG600が均一に混ざり合った混合相を得た。
【0072】
オレフィン系樹脂多孔質体製造システムの加圧部において、炭酸ガスボンベから供給された二酸化炭素を超臨界状態に変換し、これを耐圧容器内に導入した。このとき、耐圧容器内の圧力が10MPaとなるようにした。
【0073】
その後、耐圧容器を水冷によって50℃まで冷却した。次いで、20分かけて耐圧容器内の圧力を開放した。耐圧容器内が室温かつ常圧になった時点で、耐圧容器を開き、白色の生成物を回収した。この生成物を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、表層部を含めて全体が多孔質体であることが確認された。すなわち、スキン層が形成されていない多孔質体であることが確認された。参考として、その断面のSEM画像を
図3に、表面のSEM画像を
図4に示す。
【0074】
実施例2
極性化合物として、PEG600 1gに代えてエタノール1gを用いた以外は、実施例1と同じ方法により、白色の生成物を得た。この生成物をSEMで観察したところ、表層部を含めて全体が多孔質体であることが確認された。すなわち、スキン層が形成されていない多孔質体であることが確認された。
【0075】
実施例3
極性化合物のPEG600の量を1gから2gに変更した以外は、実施例1と同じ方法により、白色の生成物を得た。この生成物をSEMで観察したところ、表層部を含めて全体が多孔質体であることが確認された。すなわち、スキン層が形成されていない多孔質体であることが確認された。
【0076】
実施例4
極性化合物として、PEG600 1gに代えてアセトン1gを用いた以外は、実施例1と同じ方法により、白色の生成物を得た。この生成物をSEMで観察したところ、表層部を含めて全体が多孔質体であることが確認された。すなわち、スキン層が形成されていない多孔質体であることが確認された。
【0077】
比較例1
PEG600を添加しなかった以外は、実施例1と同じ方法により、白色の生成物を得た。この生成物をSEMで観察したところ、多孔質体であるが表層部に孔の無いスキン層が形成されていることが確認された。参考として、その断面のSEM画像を
図5に、表面のSEM画像を
図6に示す。
【0078】
実施例5
オレフィン系樹脂としてポリプロピレン(プライムポリマー社製「J137G」、MFR30g/10分)1.0g、炭化水素化合物としてn-ペンタン20gと、極性化合物としてエタノール1.0gを用いた以外は、実施例1と同じ方法により、白色の生成物を得た。この生成物をSEMで観察したところ、表層部を含めて全体が多孔質体であることが確認された。すなわち、スキン層が形成されていない多孔質体であることが確認された。
【0079】
以上の結果より、耐圧容器中でオレフィン系樹脂と、炭化水素化合物と、ヒドロキシ基、またはカルボニル基を有する極性化合物とが混ざり合った単一相を調製し、耐圧容器に高圧の二酸化炭素を耐圧容器内の圧力が6MPa以上となるように導入し、その後耐圧容器内の圧力を開放することによって、スキン層を有しないオレフィン系樹脂多孔質体を製造できることがわかる。すなわち、本発明によって、スキン層を有しないオレフィン系樹脂多孔質体の新規な製造方法が提供されることがわかる。