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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022117619
(43)【公開日】2022-08-12
(54)【発明の名称】水力発電装置
(51)【国際特許分類】
   F03B 11/00 20060101AFI20220804BHJP
   F03B 3/04 20060101ALI20220804BHJP
   F03B 17/06 20060101ALI20220804BHJP
【FI】
F03B11/00 A
F03B3/04
F03B17/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021014214
(22)【出願日】2021-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】000102692
【氏名又は名称】NTN株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金村 泰成
(72)【発明者】
【氏名】松浦 文彦
【テーマコード(参考)】
3H072
3H074
【Fターム(参考)】
3H072AA09
3H072BB01
3H072CC05
3H072CC71
3H072CC99
3H074AA12
3H074BB15
3H074CC16
3H074CC31
3H074CC50
(57)【要約】      (修正有)
【課題】水車及び集水板を1つの回転装置で水路を流れる水から引き上げ可能な水力発電装置を提供する。
【解決手段】水力発電装置は、第1方向において間隔を空けて互いに対向している一対の側壁を有する水路に配置される。水力発電装置は、第1方向に延在している回転梁20と、水路を流れる水中に配置されている水車51を有し、かつ回転梁20に取り付けられている水力発電モジュールと、水中に配置される集水板110と、回転梁20を第1方向に沿う回転梁20の中心軸回りに回転させる回転機構と、集水板を水から引き上げる引き上げ機構と、回転装置と、動力伝達機構90とを備える。動力伝達機構90は、回転装置の動力が回転機構に伝達されている状態と回転装置の動力が引き上げ機構に伝達されている状態と回転装置の動力が回転機構及び引き上げ機構に伝達されている状態とを切り替えることが可能に構成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向において間隔を空けて互いに対向している一対の側壁を有する水路に配置される水力発電装置であって、
前記第1方向に延在している回転梁と、
前記水路を流れる水中に配置されている水車を有し、かつ前記回転梁に取り付けられている水力発電モジュールと、
前記水中に配置される集水板と、
前記回転梁を前記第1方向に沿う前記回転梁の中心軸回りに回転させる回転機構と、
前記集水板を前記水から引き上げる引き上げ機構と、
回転装置と、
動力伝達機構とを備え、
前記動力伝達機構は、前記回転装置の動力が前記回転機構に伝達されている状態と前記回転装置の動力が前記引き上げ機構に伝達されている状態と前記回転装置の動力が前記回転機構及び前記引き上げ機構に伝達されている状態とを切り替えることが可能に構成されている、水力発電装置。
【請求項2】
前記動力伝達機構は、クラッチを有し、
前記回転機構は、互いに噛み合っている第1かさ歯車及び第2かさ歯車と、互いに噛み合っている第1ウォーム及び第1ウォームホイールとを有し、
前記第1かさ歯車は、前記第1方向に沿う前記第1かさ歯車の中心軸回りに回転され、
前記第2かさ歯車は、前記第1方向に直交する第2方向に沿う前記第2かさ歯車の中心軸回りに回転され、
前記第1ウォームは、前記第2方向に沿う前記第1ウォームの中心軸回りに前記第2かさ歯車とともに回転され、
前記第1ウォームホイールは、前記第1方向に沿う前記第1ウォームホイールの中心軸回りに前記回転梁とともに回転され、
前記回転装置は、前記クラッチが前記第1かさ歯車に接続されることにより、前記水車が前記水中にある第1状態と前記水車が前記水から引き上げられた第2状態とを切り替える、請求項1に記載の水力発電装置。
【請求項3】
前記引き上げ機構は、互いに噛み合っている第3かさ歯車及び第4かさ歯車と、互いに噛み合っている第2ウォーム及び第2ウォームホイールと、互いに噛み合っているピニオンギア及びラックとを有し、
前記第3かさ歯車は、前記第1方向に沿う前記第3かさ歯車の中心軸回りに回転され、
前記第4かさ歯車は、前記第2方向に沿う前記第4かさ歯車の中心軸回りに回転され、
前記第2ウォームは、前記第2方向に沿う前記第2ウォームの中心軸回りに前記第4かさ歯車とともに回転され、
前記第2ウォームホイールは、前記第1方向に沿う前記第2ウォームホイールの中心軸回りに回転され、
前記ピニオンギアは、前記第1方向に沿う前記ピニオンギアの中心軸回りに前記第2ウォームホイールとともに回転され、
前記ラックは、前記集水板に取り付けられており、
前記回転装置は、前記クラッチが前記第3かさ歯車に接続されることにより、前記集水板が前記水中にある第3状態と前記集水板が前記水から引き上げられた第4状態とを切り替える、請求項2に記載の水力発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水力発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2020-20317号公報(特許文献1)に記載の水力発電装置は、水路に設置される。特許文献1に記載の水力発電装置は、回転梁と、軸受ユニットと、水車を含む水力発電モジュールと、回転装置とを有している。
【0003】
回転梁は、水路を横切るように配置されている。回転梁は、軸受ユニットにより、回転梁の中心軸回りに回転可能に支持されている。水力発電モジュールは、回転梁に取り付けられている。水車は、水路を流れる水中に配置されている。回転装置は、回転梁を中心軸回りに回転させることにより、水路を流れる水から水車を引き上げる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-20317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の水力発電装置では、クレーン等の大掛かりな設備を用いることなく水路を流れる水から水車を引き上げることが可能である。しかしながら、特許文献1に記載の水力発電装置に水路を流れる水中に配置される集水板を取り付ける場合、回転装置では水路を流れる水から集水板を引き上げることができないため、別途クレーン等が必要になる。
【0006】
本発明は、上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものである。より具体的には、本発明は、水車及び集水板を1つの回転装置で水路を流れる水から引き上げ可能な水力発電装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の水力発電装置は、第1方向において間隔を空けて互いに対向している一対の側壁を有する水路に配置される。水力発電装置は、第1方向に延在している回転梁と、水路を流れる水中に配置されている水車を有し、かつ回転梁に取り付けられている水力発電モジュールと、水中に配置される集水板と、回転梁を第1方向に沿う回転梁の中心軸回りに回転させる回転機構と、集水板を水から引き上げる引き上げ機構と、回転装置と、動力伝達機構とを備える。動力伝達機構は、回転装置の動力が回転機構に伝達されている状態と回転装置の動力が引き上げ機構に伝達されている状態と回転装置の動力が回転機構及び引き上げ機構に伝達されている状態とを切り替えることが可能に構成されている。
【0008】
上記の水力発電装置では、動力伝達機構がクラッチを有していてもよい。回転機構は、互いに噛み合っている第1かさ歯車及び第2かさ歯車と、互いに噛み合っている第1ウォーム及び第1ウォームホイールとを有していてもよい。第1かさ歯車は、第1方向に沿う第1かさ歯車の中心軸回りに回転されていもよい。第2かさ歯車は、第1方向に直交する第2方向に沿う第2かさ歯車の中心軸回りに回転されてもよい。第1ウォームは、第2方向に沿う第1ウォームの中心軸回りに第2かさ歯車とともに回転されてもよい。第1ウォームホイールは、第1方向に沿う第1ウォームホイールの中心軸回りに回転梁とともに回転されてもよい。回転装置は、クラッチが第1かさ歯車に接続されることにより、水車が水中にある第1状態と水車が水から引き上げられた第2状態とを切り替えてもよい。
【0009】
上記の水力発電装置では、引き上げ機構が、互いに噛み合っている第3かさ歯車及び第4かさ歯車と、互いに噛み合っている第2ウォーム及び第2ウォームホイールと、互いに噛み合っているピニオンギア及びラックとを有していてもよい。第3かさ歯車は、第1方向に沿う第3かさ歯車の中心軸回りに回転されてもよい。第4かさ歯車は、第2方向に沿う第4かさ歯車の中心軸回りに回転されてもよい。第2ウォームは、第2方向に沿う第2ウォームの中心軸回りに第4かさ歯車とともに回転されてもよい。第2ウォームホイールは、第1方向に沿う第2ウォームホイールの中心軸回りに回転されてもよい。ピニオンギアは、第1方向に沿うピニオンギアの中心軸回りに第2ウォームホイールとともに回転されてもよい。ラックは、集水板に取り付けられていてもよい。回転装置は、クラッチが第3かさ歯車に接続されることにより、集水板が水中にある第3状態と集水板が水から引き上げられた第4状態とを切り替えてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の水力発電装置によると、水車及び集水板を1つの回転装置で水路を流れる水から引き上げ可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る水力発電装置の設置状態を示す斜視図である。
図2】実施形態に係る水力発電装置の部分的な平面図である。
図3】実施形態に係る水力発電装置の部分的な斜視図である。
図4】クラッチ92がかさ歯車71a及びかさ歯車81aの双方に接続している際の平面図である。
図5】クラッチ92がかさ歯車71aにのみ接続されている際の平面図である。
図6】クラッチ92がかさ歯車81aのみに接続されている際の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態に係る水力発電装置の構成)
以下に、実施形態に係る水力発電装置の構成を説明する。
【0013】
<実施形態に係る水力発電装置の設置状態>
図1は、実施形態に係る水力発電装置の設置状態を示す斜視図である。図1に示されているように、実施形態に係る水力発電装置は、水路200に設置される。水路200は、側壁201と、側壁202と、底壁203とを有している。
【0014】
側壁201及び側壁202は、間隔を空けて互いに対向している。側壁201及び側壁202が対向している方向を、以下においては、第1方向DR1とする。底壁203は、側壁201の下端及び側壁202の下端に連なっている。側壁201、側壁202及び底壁203は、第2方向DR2に延在している。第2方向DR2は、第1方向DR1に交差(好ましくは、直交)している方向である。水路200の水は、側壁201、側壁202及び底壁203により画された空間を流れる。すなわち、水は第2方向DR2に沿って水路200内を流れる。
【0015】
<実施形態に係る水力発電装置の概略構成>
図2は、実施形態に係る水力発電装置の部分的な平面図である。図3は、実施形態に係る水力発電装置の部分的な斜視図である。図1図2及び図3に示されているように、実施形態に係る水力発電装置は、梁10と、回転梁20と、軸受ユニット30と、架台40と、水力発電モジュール50とを有している。水力発電装置は、さらに、設置台60と、回転機構70と、引き上げ機構80と、動力伝達機構90と、回転装置100と、集水板110とを有している。
【0016】
<梁10>
梁10は、第1方向DR1に延在している。梁10の第1方向DR1における両端は、それぞれ、側壁201の上端の上及び側壁202の上端の上に配置されている。このことを別の観点から言えば、梁10は、水路200を横切るように配置されている。
【0017】
<回転梁20>
回転梁20は、第1方向DR1に延在している。回転梁20は、第1方向DR1において、第1端20aと、第2端20b(図示せず)とを有している。第2端20bは、第1方向DR1における第1端20aの反対側の端である。回転梁20は、第1方向DR1に直交している断面視において、例えば円形である。
【0018】
<軸受ユニット30及び架台40>
軸受ユニット30の数は、複数である。複数の軸受ユニット30は、第1方向DR1において間隔を空けて配置されている。軸受ユニット30は、回転梁20を、回転梁20の中心軸回りに回転可能に支持している。回転梁20の中心軸は、第1方向DR1に沿っている。架台40は、回転梁20に取り付けられている。そのため、架台40は、回転梁20とともに回転する。架台40は、第1方向DR1において隣り合う軸受ユニット30の間に配置されている。
【0019】
<水力発電モジュール50>
水力発電モジュール50は、水車51と、回転軸52(図示せず)と、ギアボックス53と、支柱54と、設置板55と、発電機台56と、発電機57と、回転軸58とを有している。
【0020】
水車51は、水路200を流れる水中に配置されている。水車51は、水路200の上流側を向いている。水車51は、水路200を流れる水と接触することにより、水車51に取り付けられた回転軸52とともに回転する。回転軸52は、ギアボックス53に取り付けられている。
【0021】
支柱54は、第3方向DR3に延在している。第3方向DR3は、第1方向DR1及び第2方向DR2に交差(好ましくは、直交)している方向である。支柱54は、第3方向DR3における一方端でギアボックス53に接続されており、第3方向DR3における他方端で設置板55に接続されている。支柱54は、内部が中空になっている筒状である。設置板55には、支柱54の内部に連通している貫通穴(図示せず)が形成されている。
【0022】
設置板55は、架台40に取り付けられている。これにより、水力発電モジュール50は、架台40を介して回転梁20に取り付けられている。設置板55には、発電機台56が取り付けられている。発電機台56には、発電機57が取り付けられている。回転軸58は、第3方向DR3に延在している。回転軸58は、設置板55に形成されている貫通穴及び支柱54の内部を通っている。回転軸58は、第3方向DR3における一方端でギアボックス53に接続されており、第3方向DR3における他方端で発電機57に接続されている。
【0023】
回転軸52の回転は、ギアボックス53において、方向を変えて回転軸58に伝達される。回転軸58の回転は、発電機57に伝達され、発電機57において発電動作が行われる。このようにして、水車51の回転に伴う水力発電が行われることになる。
【0024】
<設置台60>
設置台60は、梁10に取り付けられている。設置台60には、回転機構70、引き上げ機構80及び動力伝達機構90が取り付けられる。設置台60は、台座61と、支柱62、支柱63、支柱64、支柱65、支柱66、支柱67、支柱68及び支柱69とを有している。
【0025】
台座61は、梁10上に取り付けられている。支柱62、支柱63、支柱64、支柱65、支柱66、支柱67、支柱68及び支柱69は、台座61から第3方向DR3に延在している。
【0026】
支柱62及び支柱63は、第1方向DR1において間隔を空けて対向配置されている。支柱62は台座61の第1方向DR1における一方端側に配置されており、支柱63は台座61の第1方向DR1における他方端側に配置されている。支柱62及び支柱63は、台座61の第2方向DR2における一方端側に配置されている。支柱62は、支柱63側に向かって第1方向DR1に延在している支持部62aを有している。支柱63は、支柱62側に向かって第1方向DR1に延在している支持部63aを有している。
【0027】
支柱64は、第2方向DR2において、支持部62aと間隔を空けて対向配置されている。支柱65は、第2方向DR2において、支持部63aと間隔を空けて対向配置されている。支柱64及び支柱65は、台座61の第2方向DR2における他方端側に配置されている。
【0028】
支柱66及び支柱67は、第1方向DR1において間隔を空けて対向配置されている。支柱68及び支柱69は、第1方向DR1において間隔を空けて対向配置されている。支柱66は第1方向DR1における一方端側に配置されており、支柱69は第1方向DR1における他方端側に配置されている。支柱66、支柱67、支柱68及び支柱69は、第2方向DR2において、支柱62と支柱64との間(支柱63と支柱65との間)に配置されている。
【0029】
<回転機構70>
回転機構70は、回転梁20を回転梁20の中心軸回りに回転させる機構である。回転機構70は、かさ歯車機構71と、ウォームギア機構72と、回転軸73と、回転軸74と、回転軸75と、カップリング76とを有している。かさ歯車機構71は、かさ歯車71aと、かさ歯車71bとを有している。ウォームギア機構72は、ウォーム72aと、ウォームホイール72bとを有している。
【0030】
かさ歯車71a及びかさ歯車71bは、互いに噛み合っている。かさ歯車71aは、回転軸73により、支柱62に回転可能に支持されている。かさ歯車71aは、かさ歯車71aの中心軸回りに回転される。かさ歯車71aの中心軸は、第1方向DR1に沿っている。回転軸73は、第1方向DR1に延在している。
【0031】
かさ歯車71bは、かさ歯車71bの中心軸回りに回転される。かさ歯車71bの中心軸は、第2方向DR2に沿っている。ウォーム72aは、ウォーム72aの中心軸回りに回転される。ウォーム72aの中心軸は、第2方向DR2に沿っている。かさ歯車71b及びウォーム72aは、一体になっている。そのため、ウォーム72aは、かさ歯車71bとともに回転する。かさ歯車71b及びウォーム72aは、回転軸74により支持部62a及び支柱64に回転可能に支持されている。回転軸74は、第2方向DR2に延在している。
【0032】
ウォームホイール72bは、ウォーム72aと噛み合っている。ウォームホイール72bは、ウォームホイール72bの中心軸回りに回転される。ウォームホイール72bの中心軸は、第1方向DR1に沿っている。ウォームホイール72bは、回転軸75により支柱66及び支柱67に回転可能に支持されている。回転軸75は、第1方向DR1に延在している。
【0033】
回転軸75は、カップリング76により回転梁20(より具体的には、第2端20b)に接続されている。すなわち、回転梁20は、回転軸75とともに回転される。このように、回転機構70によると、かさ歯車71aの回転に伴ってかさ歯車71b及びウォーム72aが回転され、ウォーム72aの回転に伴ってウォームホイール72bが回転されることにより、回転梁20が回転されることになる。
【0034】
<引き上げ機構80>
引き上げ機構80は、水路200を流れている水から集水板110を引き上げる機構である。引き上げ機構80は、かさ歯車機構81と、ウォームギア機構82と、ラックアンドピニオン機構83と、回転軸84と、回転軸85と、回転軸86とを有している。
【0035】
かさ歯車機構81は、かさ歯車81aと、かさ歯車81bとを有している。ウォームギア機構82は、ウォーム82aと、ウォームホイール82bとを有している。ラックアンドピニオン機構83は、ピニオンギア83aと、ラック83bとを有している。
【0036】
かさ歯車81a及びかさ歯車81bは、互いに噛み合っている。かさ歯車81aは、回転軸84により、支柱63に回転可能に支持されている。なお、回転軸84の内部は、中空になっている。回転軸84は、第1方向DR1に延在している。かさ歯車81aは、かさ歯車81aの中心軸回りに回転される。かさ歯車81aの中心軸は、第1方向DR1に沿っている。かさ歯車81aの裏面(歯が設けられていない面)は、かさ歯車71aの裏面と間隔を空けて対向している。
【0037】
かさ歯車81bは、かさ歯車81bの中心軸回りに回転される。かさ歯車81bの中心軸は、第2方向DR2に沿っている。ウォーム82aは、ウォーム82aの中心軸回りに回転される。ウォーム82aの中心軸は、第2方向DR2に沿っている。かさ歯車81b及びウォーム82aは、一体になっている。そのため、ウォーム82aは、かさ歯車81bとともに回転する。かさ歯車81b及びウォーム82aは、回転軸85により支持部63a及び支柱65に回転可能に支持されている。回転軸85は、第2方向DR2に延在している。
【0038】
ウォームホイール82bは、ウォーム82aと噛み合っている。ウォームホイール82bは、ウォームホイール82bの中心軸回りに回転される。ウォームホイール82bの中心軸は、第1方向DR1に沿っている。ウォームホイール82bは、回転軸86により支柱68及び支柱69に回転可能に支持されている。回転軸86は、第1方向DR1に延在している。
【0039】
ピニオンギア83aは、回転軸86に取り付けられている。ピニオンギア83aは、ウォームホイール82bとともに、ピニオンギア83aの中心軸回りに回転される。ピニオンギア83aの中心軸は、第1方向DR1に沿っている。ラック83bは、ピニオンギア83aと噛み合っている。ラック83bは、集水板110に取り付けられている。そのため、ピニオンギア83aが回転することにより、集水板110は、水路200を流れている水から引き上げられることになる。
【0040】
このように、引き上げ機構80によると、かさ歯車81aの回転に伴ってかさ歯車81b及びウォーム82aが回転され、ウォーム82aの回転に伴ってウォームホイール82b及びピニオンギア83aが回転されることにより、ピニオンギア83aの回転に伴ってラック83bが取り付けられた集水板110が水路200を流れている水から引き上げられることになる。
【0041】
<動力伝達機構90及び回転装置100>
動力伝達機構90は、回転装置100の動力が回転機構70に伝達されている状態と回転装置100の動力が引き上げ機構80に伝達されている状態と回転装置100の動力が回転機構70及び引き上げ機構80に伝達されている状態とを切り替える機構である。動力伝達機構90は、軸91と、クラッチ92とを有している。回転装置100は、減速機101と、回転軸102と、カップリング103とを有している。
【0042】
軸91は、第1方向DR1に延在している。軸91は、第1方向DR1に移動可能に支柱62及び支柱63に支持されている。支柱62と支柱63との間にある軸91の部分には、クラッチ92が取り付けられている。クラッチ92は、かさ歯車71aとかさ歯車81aとの間に配置されている。そのため、軸91を第1方向DR1に移動させることにより、クラッチ92は、回転機構70(かさ歯車71a)、引き上げ機構80(かさ歯車81a)又は回転機構70(かさ歯車71a)及び引き上げ機構80(かさ歯車81a)の双方に接続される。
【0043】
図4は、クラッチ92がかさ歯車71a及びかさ歯車81aの双方に接続している際の平面図である。図4に示されるように、クラッチ92は、かさ歯車71aとかさ歯車81aとの間にあることにより、かさ歯車71a及びかさ歯車81aの双方に接続される。
【0044】
図5は、クラッチ92がかさ歯車71aにのみ接続されている際の平面図である。図6は、クラッチ92がかさ歯車81aのみに接続されている際の平面図である。図5に示されるように、軸91を図4の位置からかさ歯車71a側に移動させることにより、クラッチ92がかさ歯車71aのみに接続される。他方で、図6に示されるように、軸91を図4の位置からかさ歯車81a側に移動させることにより、クラッチ92がかさ歯車81aのみに接続される。
【0045】
減速機101は、入力軸101aと出力軸101bとを有しおり、入力軸101aの回転を減速した上で出力軸101bに伝達する。入力軸101aは、例えばモータにより回転される。但し、入力軸101aは、手動で回転されてもよい。出力軸101bは、カップリング103に接続されている。
【0046】
回転軸102は、第1方向DR1に延在している。回転軸102は、支柱63に形成されている貫通穴(図示せず)及び回転軸84の内部を通っている、回転軸102は、第1方向DR1における一方端においてクラッチ92に接続されており、第1方向DR1における他方端でカップリング103に接続されている。そのため、クラッチ92は、入力軸101aの回転に伴って回転する。回転軸102は、カップリング103に対して第1方向DR1に進退可能である。
【0047】
軸91を移動させてクラッチ92を回転機構70(かさ歯車71a)に接続することにより、回転軸102(出力軸101b)の回転が回転機構70を介して回転梁20に伝達され、水路200を流れている水からの水車51の引き上げが行われる。また、軸91を移動させてクラッチ92を引き上げ機構80(かさ歯車81b)に接続することにより、回転軸102(出力軸101b)の回転が直線運動に変換された上で集水板110に伝達され、水路200を流れている水からの集水板110の引き上げが行われる。
【0048】
<集水板110>
集水板110は、水路200を流れる水中に配置されている。より具体的には、集水板110は、第2方向DR2に沿って見た際に水車51に重ならないように配置される。これにより、水が流れることが可能な水路200の面積が減少することになる。その結果、水車51と接触する水の流速が上昇することにより、水車51の回転が促進される(発電機57の発電効率が改善される)。
【0049】
(実施形態に係る水力発電装置の効果)
以下に、実施形態に係る水力発電装置の効果を説明する。
【0050】
実施形態に係る水力発電装置では、動力伝達機構90により、回転装置100の動力が回転機構70に伝達されている状態と回転装置100の動力が引き上げ機構80に伝達されている状態と回転装置100の動力が回転機構70及び引き上げ機構80に伝達されている状態とを切り替えることができる。そのため、実施形態に係る水力発電装置では、回転装置100以外に動力源を用いることなく、水路200を流れる水から水車51を引き上げること及び水路200を流れる水から集水板110を引き上げることが可能である。
【0051】
実施形態に係る水力発電装置では、回転機構70がウォームギア機構72を有しているため、水車51が水路200を流れる水から引き上げられた後にクラッチ92と回転機構70(かさ歯車71a)との接続が解除されたとしても、ウォームギア機構72のセルフロック作用により、水車51が再び水路200を流れる水中に戻ることが抑制される。
【0052】
実施形態に係る水力発電装置では、引き上げ機構80がウォームギア機構82を有しているため、集水板110が水路200を流れる水から引き上げられた後にクラッチ92と引き上げ機構80(かさ歯車81a)との接続が解除されたとしても、ウォームギア機構82のセルフロック作用により、集水板110が再び水路200を流れる水中に戻ることが抑制される。
【0053】
なお、実施形態に係る水力発電装置では、水路200を流れる水から水車51及び集水板110を別々に引き上げることが可能であるため、回転装置100に加わる負荷を低減することが可能になる。
【0054】
以上のように本発明の実施形態について説明を行ったが、上記の実施形態を様々に変形することも可能である。また、本発明の範囲は、上記の実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むことが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0055】
上記の実施形態は、集水板を有する水力発電装置に特に有利に適用される。
【符号の説明】
【0056】
10 梁、20 回転梁、20a 第1端、20b 第2端、30 軸受ユニット、40 架台、50 水力発電モジュール、51 水車、52 回転軸、53 ギアボックス、54 支柱、55 設置板、56 発電機台、57 発電機、58 回転軸、60 設置台、61 台座、62 支柱、62a 支持部、63 支柱、63a 支持部、64,65,66,67,68,69 支柱、70 回転機構、71 かさ歯車機構、71a,71b かさ歯車、72 ウォームギア機構、72a ウォーム、72b ウォームホイール、73,74,75 回転軸、76 カップリング、80 引き上げ機構、81 かさ歯車機構、81a,81b かさ歯車、82 ウォームギア機構、82a ウォーム、82b ウォームホイール、83 ラックアンドピニオン機構、83a ピニオンギア、83b ラック、84,85,86 回転軸、90 動力伝達機構、91 軸、92 クラッチ、100 回転装置、101 減速機、101a 入力軸、101b 出力軸、102 回転軸、103 カップリング、110 集水板、200 水路、201,202 側壁、203 底壁、DR1 第1方向、DR2 第2方向、DR3 第3方向。
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図2
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図5
図6