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2022-117621ローラ、紙葉類分離装置及び紙葉類処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022117621
(43)【公開日】2022-08-12
(54)【発明の名称】ローラ、紙葉類分離装置及び紙葉類処理装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 3/06 20060101AFI20220804BHJP
   B65H 5/06 20060101ALI20220804BHJP
【FI】
B65H3/06 330A
B65H3/06 330D
B65H5/06 B
B65H5/06 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021014216
(22)【出願日】2021-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】金田 潤之介
【テーマコード(参考)】
3F049
3F343
【Fターム(参考)】
3F049AA10
3F049CA05
3F049CA15
3F049LA08
3F049LB04
3F343FA04
3F343FB07
3F343GA01
3F343GB01
3F343GC01
3F343GD01
3F343JA01
3F343JA11
3F343JA17
3F343KB05
3F343LB08
(57)【要約】
【課題】低摩擦部材と高摩擦部材との接合性を向上する。
【解決手段】フィードローラ42は、軸方向に沿う嵌め込み突起部80が内周側に形成されたフィードゴム62と、回転軸よりも外周側において軸方向に沿って延び嵌め込み突起部80が内部に嵌まり込み嵌め込み突起部80の少なくとも一部を囲う位置決め孔72と、フィードゴム62の軸方向における一方向側及び他方向側と当接する軸方向端部壁68とが形成されたフィードボス60とを有するようにした。
【選択図】図4

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に沿う嵌め込み突起部が内周側に形成された高摩擦部材と、
回転軸よりも外周側において軸方向に沿って延び前記嵌め込み突起部が内部に嵌まり込み前記嵌め込み突起部の少なくとも一部を囲う径方向移動規制孔と、前記高摩擦部材の軸方向における一方向側及び他方向側と当接する軸方向移動規制部とが形成された低摩擦部材と
を有するローラ。
【請求項2】
前記径方向移動規制孔は、前記嵌め込み突起部に対し外周側に位置する抜け止め部が形成されている
請求項1に記載のローラ。
【請求項3】
前記嵌め込み突起部は、前記高摩擦部材における少なくとも円周方向の一端側及び他端側に形成されている
請求項2に記載のローラ。
【請求項4】
前記嵌め込み突起部は、前記径方向移動規制孔と同じ形状である
請求項2に記載のローラ。
【請求項5】
前記嵌め込み突起部及び前記径方向移動規制孔は、円柱形状である
請求項4に記載のローラ。
【請求項6】
前記径方向移動規制孔は、前記低摩擦部材における軸方向の両端部に形成された前記軸方向移動規制部における軸方向の内側面である軸方向移動規制面よりも軸方向の外側まで形成されており、
前記嵌め込み突起部は、前記軸方向移動規制面よりも軸方向の外側まで前記軸方向移動規制部に入り込む
請求項2に記載のローラ。
【請求項7】
前記径方向移動規制孔は、前記低摩擦部材における軸方向の一端側から他端側までに亘って貫通している
請求項6に記載のローラ。
【請求項8】
前記高摩擦部材は、軸方向の両端部における前記嵌め込み突起部よりも外周側において、軸方向の内側に向かって円弧状に凹む位置決め凹み部が形成され、
前記低摩擦部材は、前記軸方向移動規制面が、前記位置決め凹み部において軸方向の外側を向く面に当接する
請求項6に記載のローラ。
【請求項9】
前記低摩擦部材は、前記高摩擦部材と径方向に対向する箇所に、円周方向に沿う溝部が形成されており、
前記高摩擦部材は、前記低摩擦部材と径方向に対向する箇所に、円周方向に沿い前記溝部に嵌まり込む突起部が形成されている
請求項6に記載のローラ。
【請求項10】
前記径方向移動規制孔は、前記低摩擦部材における軸方向の両端部に形成された前記軸方向移動規制部における軸方向の内側面である軸方向移動規制面よりも軸方向の内側に形成されており、
前記嵌め込み突起部は、前記軸方向移動規制面よりも軸方向の内側において前記軸方向移動規制部に入り込む
請求項2に記載のローラ。
【請求項11】
前記低摩擦部材は、前記軸方向移動規制面が、前記高摩擦部材における軸方向の両端面に当接する
請求項10に記載のローラ。
【請求項12】
軸方向に沿う嵌め込み突起部が内周側に形成された高摩擦部材と、
回転軸よりも外周側において軸方向に沿って延び前記嵌め込み突起部が内部に嵌まり込み前記嵌め込み突起部の少なくとも一部を囲う径方向移動規制孔が形成された低摩擦部材と、
前記高摩擦部材と前記低摩擦部材との当接面における少なくとも一部分に配され前記高摩擦部材と前記低摩擦部材とを接合する接合部材と
を有するローラ。
【請求項13】
前記径方向移動規制孔は、前記嵌め込み突起部に対し外周側に位置する抜け止め部が形成されている
請求項12に記載のローラ。
【請求項14】
前記嵌め込み突起部は、前記高摩擦部材における少なくとも円周方向の一端側及び他端側とに形成されており、
前記接合部材は、
前記高摩擦部材における一方の前記嵌め込み突起部よりも円周方向の一方向側の端面と前記低摩擦部材との間と、前記高摩擦部材における他方の前記嵌め込み突起部よりも円周方向の他方向側の端面と前記低摩擦部材との間と、前記高摩擦部材における一方の前記嵌め込み突起部と他方の前記嵌め込み突起部との間における内周面と前記低摩擦部材との間とに配される
請求項13に記載のローラ。
【請求項15】
前記接合部材は、接着剤である
請求項13又は請求項14に記載のローラ。
【請求項16】
前記高摩擦部材は、ゴムであり、
前記低摩擦部材は、樹脂又は金属である
請求項1乃至請求項15の何れかに記載のローラ。
【請求項17】
紙葉類を収納する紙葉類収納空間と接続された搬送路と、
前記紙葉類収納空間と前記搬送路との接続箇所に設けられ、前記紙葉類収納空間から前記搬送路へ前記紙葉類を繰り出すフィードローラと、
前記搬送路を挟んで前記フィードローラと対向配置され、前記フィードローラとの間で前記紙葉類の取込口を形成する対向ローラと、
前記紙葉類収納空間内を移動可能であり、前記紙葉類を集積するステージと、
前記ステージ上に集積された前記紙葉類と接触して該媒体を前記取込口へと送り出すピッカローラと
を有し、
前記フィードローラは、
軸方向に沿う嵌め込み突起部が内周側に形成された高摩擦部材と、
回転軸よりも外周側において軸方向に沿って延び前記嵌め込み突起部が内部に嵌まり込み前記嵌め込み突起部の少なくとも一部を囲う径方向移動規制孔と、前記高摩擦部材の軸方向における一方向側及び他方向側と当接する軸方向移動規制部とが形成された低摩擦部材と
を有する紙葉類分離装置。
【請求項18】
紙葉類を収納する紙葉類収納空間と接続された搬送路と、
前記紙葉類収納空間と前記搬送路との接続箇所に設けられ、前記紙葉類収納空間から前記搬送路へ前記紙葉類を繰り出すフィードローラと、
前記搬送路を挟んで前記フィードローラと対向配置され、前記フィードローラとの間で前記紙葉類の取込口を形成する対向ローラと、
前記紙葉類収納空間内を移動可能であり、前記紙葉類を集積するステージと、
前記ステージ上に集積された前記紙葉類と接触して該媒体を前記取込口へと送り出すピッカローラと
を有し、
前記フィードローラは、
軸方向に沿う嵌め込み突起部が内周側に形成された高摩擦部材と、
回転軸よりも外周側において軸方向に沿って延び前記嵌め込み突起部が内部に嵌まり込み前記嵌め込み突起部の少なくとも一部を囲う径方向移動規制孔が形成された低摩擦部材と、
前記高摩擦部材と前記低摩擦部材との当接面における少なくとも一部分に配され前記高摩擦部材と前記低摩擦部材とを接合する接合部材と
を有する紙葉類分離装置。
【請求項19】
請求項17又は請求項18に記載の紙葉類分離装置
を有する紙葉類処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はローラ、紙葉類分離装置及び紙葉類処理装置に関し、例えばスーパーマーケットやコンビニエンスストア等のような小売店舗の精算所において使用されるレジ釣銭機に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
近年、レジ釣銭機として、POS(Point Of Sales)システム等に接続されたPOSレジに、紙幣や硬貨の入出金処理を行う釣銭機が組み合わされたものが普及している。この釣銭機のうち紙幣を処理する紙幣処理装置として、例えばレジ係員に紙幣を投入させると共に収納庫から繰り出された紙幣をレジ係員に取り出させる紙幣入出金部と、紙幣を搬送する搬送部と、投入された紙幣の種類等を認識する認識部と、紙幣を金種別に収納すると共に釣銭用の紙幣を繰り出す収納庫とを有したものがある。
【0003】
従来、この収納庫は、例えば、ガイドによって形成される上下方向に長い箱型の紙幣集積空間と、紙幣集積空間の上部と繋がる前後方向に延びる搬送路と、紙幣集積空間と搬送路との接続箇所に設けられ、搬送路を挟んで上下方向に対向配置されたフィードローラ及びリバースローラと、紙幣集積空間内部を上下方向に移動するステージと、紙幣集積空間の上端に位置するピッカローラとを有するものがある(例えば、特許文献1参照)。フィードローラ及びリバースローラは、紙幣集積空間と搬送路との間の紙幣取込放出口を形成する。
【0004】
このようなフィードローラとしては、図17に示すように、紙幣を送る力を発生させないように低摩擦の樹脂又は金属等で構成されたフィードボス360と、紙幣を送る力を発生させるように高摩擦のゴムで構成されたフィードゴム362とにより構成されたフィードローラ342がある。フィードローラ342は、互いに別体で製造されたフィードボス360とフィードゴム362とが接着剤等で接合されている。フィードローラ342は、フィードボス360とフィードゴム362とが当接する面である、フィードボス360における、フィードローラ342の外周側の面の一部分と、フィードゴム362における、フィードローラ342の内周側の面の一部分とからなる接着面が接着剤382で接合されることにより、フィードボス360とフィードゴム362との互いの位置関係が変化しないようにし、フィードボス360からフィードゴム362が外れてしまわないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-63075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、フィードボスに用いられる樹脂や金属等の低摩擦部材と、フィードゴムに用いられるゴム等の高摩擦部材とでは接合性が悪いため、製造が難しいという課題があった。
【0007】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、低摩擦部材と高摩擦部材との接合性を向上し得るローラ、紙葉類分離装置及び紙葉類処理装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するため本発明のローラにおいては、軸方向に沿う嵌め込み突起部が内周側に形成された高摩擦部材と、回転軸よりも外周側において軸方向に沿って延び嵌め込み突起部が内部に嵌まり込み嵌め込み突起部の少なくとも一部を囲う径方向移動規制孔と、高摩擦部材の軸方向における一方向側及び他方向側と当接する軸方向移動規制部とが形成された低摩擦部材とを設けるようにした。
【0009】
また本発明の紙葉類分離装置においては、紙葉類を収納する紙葉類収納空間と接続された搬送路と、紙葉類収納空間と搬送路との接続箇所に設けられ、紙葉類収納空間から搬送路へ紙葉類を繰り出すフィードローラと、搬送路を挟んでフィードローラと対向配置され、フィードローラとの間で紙葉類の取込口を形成する対向ローラと、紙葉類収納空間内を移動可能であり、紙葉類を集積するステージと、ステージ上に集積された紙葉類と接触して該媒体を取込口へと送り出すピッカローラとを設け、フィードローラは、軸方向に沿う嵌め込み突起部が内周側に形成された高摩擦部材と、回転軸よりも外周側において軸方向に沿って延び嵌め込み突起部が内部に嵌まり込み嵌め込み突起部の少なくとも一部を囲う径方向移動規制孔と、高摩擦部材の軸方向における一方向側と他方向側と当接する軸方向移動規制部とが形成された低摩擦部材とを有するようにした。
【0010】
本発明は、径方向移動規制孔により低摩擦部材に対する高摩擦部材のラジアル外側方向への移動を防止すると共に、軸方向移動規制部により低摩擦部材に対する高摩擦部材のスラスト方向への移動を防止できる。
【0011】
さらに本発明のローラにおいては、軸方向に沿う嵌め込み突起部が内周側に形成された高摩擦部材と、回転軸よりも外周側において軸方向に沿って延び嵌め込み突起部が内部に嵌まり込み嵌め込み突起部の少なくとも一部を囲う径方向移動規制孔が形成された低摩擦部材と、高摩擦部材と低摩擦部材との当接面における少なくとも一部分に配され高摩擦部材と低摩擦部材とを接合する接合部材とを設けるようにした。
【0012】
さらに本発明の紙葉類分離装置においては、紙葉類を収納する紙葉類収納空間と接続された搬送路と、紙葉類収納空間と搬送路との接続箇所に設けられ、紙葉類収納空間から搬送路へ紙葉類を繰り出すフィードローラと、搬送路を挟んでフィードローラと対向配置され、フィードローラとの間で紙葉類の取込口を形成する対向ローラと、紙葉類収納空間内を移動可能であり、紙葉類を集積するステージと、ステージ上に集積された紙葉類と接触して該媒体を取込口へと送り出すピッカローラとを設け、フィードローラは、軸方向に沿う嵌め込み突起部が内周側に形成された高摩擦部材と、回転軸よりも外周側において軸方向に沿って延び嵌め込み突起部が内部に嵌まり込み嵌め込み突起部の少なくとも一部を囲う径方向移動規制孔が形成された低摩擦部材と、高摩擦部材と低摩擦部材との当接面における少なくとも一部分に配され高摩擦部材と低摩擦部材とを接合する接合部材とを設けるようにした。
【0013】
本発明は、径方向移動規制孔により低摩擦部材に対する高摩擦部材のラジアル外側方向への移動を防止すると共に、接合部材により低摩擦部材に対する高摩擦部材のスラスト方向への移動を防止できる。
【0014】
さらに本発明の紙葉類処理装置においては、上述した紙葉類分離装置を設けるようにした。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、低摩擦部材と高摩擦部材との接合性を向上し得るローラ、紙葉類分離装置及び紙葉類処理装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】紙幣入出金装置の構成を示す右側面図である。
図2】集積繰出装置の構成(1)を示す右側面図である。
図3】集積繰出装置の構成(2)を示す背面図である。
図4】第1の実施の形態によるフィードローラの構成を示し、(A)は右側面図、(B)は正面図、(C)は(B)におけるA-A矢視断面図、(D)は(A)におけるB-B矢視断面図、(E)は(A)におけるC-C矢視断面図である。
図5】第1の実施の形態によるボスの構成を示す斜視図である。
図6】第1の実施の形態によるゴムの構成を示す斜視図である。
図7】第1の実施の形態によるフィードローラにおいてラジアル外力が発生した場合の様子を示し、(A)はラジアル外側外力が発生した場合の図4(B)におけるA-A矢視断面図、(B)はラジアル内側外力が発生した場合の図4(B)におけるA-A矢視断面図である。
図8】第1の実施の形態によるフィードローラにおいてスラスト外力が発生した場合の様子を示し、(A)は図4(A)におけるC-C矢視断面図、(B)は図4(A)におけるB-B矢視断面図である。
図9】第2の実施の形態によるフィードローラの構成を示し、(A)は右側面図、(B)は正面図、(C)は(B)におけるA-A矢視断面図、(D)は(A)におけるB-B矢視断面図、(E)は(A)におけるC-C矢視断面図である。
図10】第2の実施の形態によるボスの構成を示す斜視図である。
図11】第2の実施の形態によるゴムの構成を示す斜視図である。
図12】第2の実施の形態によるフィードローラにおいてラジアル外力が発生した場合の様子を示し、(A)はラジアル外側外力が発生した場合の図9(B)におけるA-A矢視断面図、(B)はラジアル内側外力が発生した場合の図9(B)におけるA-A矢視断面図である。
図13】第2の実施の形態によるフィードローラにおいてスラスト外力が発生した場合の様子を示し、図9(A)におけるC-C矢視断面図である。
図14】第3の実施の形態によるフィードローラの構成を示し、(A)は右側面図、(B)は正面図、(C)は(A)におけるB-B矢視断面図である。
図15】第3の実施の形態によるフィードローラにおいてラジアル外力が発生した場合の様子を示し、(A)はラジアル外側外力が発生した場合の図14(B)におけるA-A矢視断面図、(B)はラジアル内側外力が発生した場合の図14(B)におけるA-A矢視断面図である。
図16】第3の実施の形態によるフィードローラにおいてスラスト外力が発生した場合の様子を示し、(A)は図14(A)におけるB-B矢視断面図、(B)は右側面図である。
図17】従来のフィードローラの構成を示し、(A)は右側面図、(B)は正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
【0018】
[1.第1の実施の形態]
[1-1.紙幣入出金装置の構成]
図1に示すように、紙幣入出金装置1は、例えば、スーパーマーケットやコンビニエンスストアのような小売店舗の精算所(いわゆるレジ)に設置されたレジスタに接続された紙幣釣銭機である。レジスタは、顧客が購入したい商品を精算する際にレジ係員により操作される。なお以下では、レジ係員等(以下、操作者と呼ぶ)が対峙する側面及びその反対面をそれぞれ前面及び後面とし、さらに該操作者から見て左右及び上下を定義して説明する。
【0019】
紙幣入出金装置1は、紙幣入出金装置筐体2内に、全体を制御する制御部4、紙幣の投入及び排出を行う紙幣入出金部6、紙幣を搬送する搬送部8、紙幣の種類等を鑑別する紙幣鑑別部10、紙幣を収納する紙幣収納庫12A、12B及び12C、リジェクト庫14並びに回収庫16等が設けられている。以下では、紙幣収納庫12A、12B及び12Cをまとめて紙幣収納庫12とも呼ぶ。
【0020】
制御部4は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を有しており、該CPUにより該ROM等から読み出した所定のプログラムを実行することにより種々の処理を行い、紙幣入出金装置1全体を統括制御する。
【0021】
紙幣入出金部6は、紙幣入出金装置1の前上部に設けられており、紙幣の形状に対応した角形の受け皿状に形成された紙幣トレイ6Aを前側へ突出させると共に、回転駆動されるローラや羽根車等を内部に有している。また紙幣入出金部6は、内部に収容された紙幣を1枚ずつ分離して搬送部8へ繰り出すと共に、搬送部8に沿って送られてくる紙幣を内部に集積する集積繰出装置20を有している。この紙幣入出金部6は、精算時にレジ係員が顧客から預かった紙幣が該紙幣トレイ6A上に載置されると、該紙幣を1枚ずつ内部に取り込み、搬送部8に順次受け渡す。また紙幣入出金部6は、搬送部8から釣銭用の紙幣が搬送されてくると、紙幣を紙幣トレイ6A上に順次積み重ねるように排出して、レジ係員に取り出させる。
【0022】
搬送部8は、各種ローラ、プーリ、ベルト及びブレード等によって構成されており、これらが適宜配置されることにより、主に前後方向に沿った搬送路8Wを形成している。この搬送部8は、図示しないモータ及びギヤ等を介して駆動力をローラやベルトへ伝達することにより、紙幣の短辺方向を進行方向として搬送路8Wに沿って搬送し、またブレードを適宜回動させることにより、該紙幣の搬送先を切り替える。
【0023】
紙幣鑑別部10は、光学センサや磁気センサ等を有しており、紙幣の金種や真偽、或いは損傷の有無や程度等を鑑別し、その鑑別結果を制御部4へ送出する。これに応じて制御部4は、該紙幣が正当な紙幣であれば紙幣収納庫12へ搬送させ、該紙幣が正当でない紙幣であれば紙幣入出金部6へ戻し、該紙幣が損傷していればリジェクト庫14へ搬送させる。
【0024】
各紙幣収納庫12(12A、12B及び12C)は、同様の構成であり、それぞれ収納すべき紙幣の金種が予め設定されており、直方体状に形成されて内部に空間を形成している。また各紙幣収納庫12(12A、12B及び12C)は、内部に紙幣を集積すると共に、集積された紙幣を外部へ繰り出す集積繰出装置30(30A、30B及び30C)を有している。以下では、集積繰出装置30A、30B及び30Cをまとめて集積繰出装置30とも呼ぶ。この紙幣収納庫12(12A、12B及び12C)は、搬送部8により搬送されてくる紙幣を空間内に順次積み重ねて収納する。因みに各紙幣収納庫12A、12B及び12Cは、紙幣が金種別に搬送されることにより、該紙幣を金種別に収納する。また紙幣収納庫12は、羽根車やローラ等を適宜回転させることにより、収納されている紙幣を1枚ずつ排出し、搬送部8へ受け渡す。
【0025】
リジェクト庫14は、紙幣入出金装置1の前下部、すなわち紙幣入出金部6の下方に設けられており、内部に数十枚程度の紙幣を集積できるような空間を形成している。紙幣鑑別部10において損傷していると鑑別された紙幣(以下ではこれをリジェクト紙幣とも呼ぶ)は、搬送部8によりリジェクト庫14へ搬送される。これに応じてリジェクト庫14は、搬送されてきたリジェクト紙幣を順次集積して収納する。
【0026】
回収庫16は、紙幣入出金装置1の前下部におけるリジェクト庫14の下方に設けられており、内部に数百枚程度の紙幣を集積できるような空間を形成している。紙幣入出金装置1は、レジ係員等によって所定の操作表示部の操作ボタンが押下操作されると、紙幣収納庫12に集積された紙幣を搬送部8により回収庫16へ搬送する。これに応じて回収庫16は、順次搬送されてくる紙幣(以下ではこれを回収紙幣とも呼ぶ)を順次集積して収納する。また紙幣入出金装置1は、レジ係員等によって釣銭用の紙幣が回収庫16に収納された上で所定の操作表示部の操作ボタンが押下操作されると、回収庫16から紙幣を1枚ずつ排出し、これを搬送部8により紙幣収納庫12へ順次搬送する。
【0027】
[1-2.集積繰出装置の構成]
次に、各紙幣収納庫12(12A~12C)が有する集積繰出装置30(30A~30C)の構成について説明する。紙幣収納庫12A~12Cには、それぞれ同一構成の集積繰出装置30A~30Cが設けられているため、ここでは、一例として、紙幣収納庫12Aに設けられた集積繰出装置30Aの構成について説明する。なお、図2及び図3は、集積繰出装置30Aの主要部を示すと共に、一部を省略した図となっている。また集積繰出装置20も、集積繰出装置30とほぼ同一構成であるため、その説明を省略する。
【0028】
図2及び図3に示すように、集積繰出装置30Aは、上下方向に長い箱型の紙幣集積空間40の上部に設けられている。集積繰出装置30Aは、フィードローラ42と、対向ローラ44と、ガイド46と、搬送路48と、ステージ50と、ピッカローラ52とを有している。
【0029】
フィードローラ42及び対向ローラ44は、紙幣集積空間40と搬送路48との接続箇所に設けられ、搬送路48を挟んで上下方向に対向配置されている。上側のフィードローラ42と下側の対向ローラ44とは、周面同士を上下方向に僅かにオーバーラップさせるようにして配置され、紙幣集積空間40と搬送路48との間に紙幣取込放出口であるゲート45を形成している。
【0030】
フィードローラ42は、紙幣BLを送る力を発生させないように低摩擦の樹脂又は金属等で構成されたフィードボス60と、紙幣BLを送る力を発生させるように高摩擦のゴムで構成されたフィードゴム62とにより構成されている。フィードローラ42は、図示しない動力伝達系によって、図2中時計回り方向(紙幣BLを搬送路48へ繰り出す紙幣繰出時の回転方向)及び反時計回り方向(紙幣BLを紙幣集積空間40に放出する紙幣放出時の回転方向)の両方向に回転可能となっている。これに対して、対向ローラ44は、図示しない動力伝達系によって、図2中時計回り方向(紙幣放出時の回転方向)にのみ回転可能となっている。これにより対向ローラ44は、紙幣BLを分離するときに2枚以上を同時に繰り出さないようにしている。
【0031】
ガイド46は、紙幣集積空間40の前側に位置する前側ガイド46fと、紙幣集積空間40の後側に位置する後側ガイド46bと、紙幣集積空間40の左側に位置する左側ガイド46lと、紙幣集積空間40の右側に位置する右側ガイド46rとを有している。ガイド46は、これら前側ガイド46f、後側ガイド46b、左側ガイド46l及び右側ガイド46rによって、前後左右の大きさが紙幣BLの大きさよりも若干大きい紙幣集積空間40を形成している。
【0032】
前側ガイド46fは、対向ローラ44を覆うと共に、図示しない孔から対向ローラ44を搬送路48へ突出させている。さらに前側ガイド46fは、上端からゲート45に向かって前方斜め上に直線状に延びる前側ガイド案内部47が設けられている。この前側ガイド案内部47は、紙幣繰出時に、ステージ50上に集積されている紙幣BLのゲート45側の一端(つまり前端)をゲート45へと案内する。
【0033】
搬送路48は、前側が搬送路8W(図1)と、後側が紙幣集積空間40の前端上部と接続されており、前後方向に延びている。また集積繰出装置30Aは、搬送路48を通過する紙幣BLを検知する走行センサ49を有している。
【0034】
ステージ50は、図示しない動力伝達系によって紙幣集積空間40内部を上下方向に移動可能となっていると共に、例えばスプリング等の付勢部材(図示せず)により上方へ付勢されている。このステージ50は、紙幣繰出時には、上方に移動し、集積している一番上の紙幣BLをピッカローラ52の下端部分に押し付けることにより、ピッカローラ52との間で紙幣BLを挟み込んで適切なフィード力を発生させる。
【0035】
ピッカローラ52は、紙幣集積空間40の上端(ゲート45から見て紙幣集積空間40側)においてステージ50と上下方向に対向するように位置している。このピッカローラ52は、ピッカアーム54及びピッカシャフト55を介してフィードローラ42と連結されており、フィードローラ42の回転軸を中心とする円弧に沿うように上下方向に移動可能となっている。またピッカローラ52は、駆動ベルト56によってフィードローラ42の回転が伝達されるようになっており、これによりフィードローラ42と同期して回転する。
【0036】
さらにピッカローラ52は、外周面の一部に高摩擦部材であるピッカゴム52gが取り付けられている。ピッカローラ52の回転軸からピッカゴム52gの外周面までの距離は、ピッカローラ52の回転軸からピッカローラ52の外周面までの距離よりも僅かに大きい。このため、ピッカゴム52gの外周面は、ピッカローラ52の外周面から僅かに突出している。
【0037】
このピッカローラ52は、紙幣繰出時には、図2中時計回り方向に回転することにより、ステージ50によって押し付けられている紙幣BL(つまりステージ50上に集積されている一番上の紙幣BL)を、前方に位置するゲート45に向かって、水平方向と平行(又はほぼ平行)な前方向に送り出す。
【0038】
[1-3.集積繰出装置による繰出動作]
次に、集積繰出装置30(30A~30C)による紙幣BLを繰り出すときの繰出動作について説明する。ここでも、一例として、紙幣収納庫12Aに設けられた集積繰出装置30Aによる繰出動作について説明する。
【0039】
集積繰出装置30Aでは、紙幣繰出時、ステージ50を上方に押し上げて一番上の紙幣BLがピッカローラ52の外周面に押し付けられた状態で、ピッカローラ52を図2中時計回り方向に回転させることで、ピッカローラ52のピッカゴム52gを、ステージ50上に集積されている紙幣BLに押し付ける。
【0040】
この状態で、ピッカローラ52が回転すると、一番上の紙幣BLがゲート45へと送り出される。ゲート45へと送り出された紙幣BLは、フィードローラ42により走行センサ49を横切って搬送路48へと繰り出される。走行センサ49は、紙幣BLが横切ったことを検出し、検出結果を制御部4へ通知する。制御部4は、取得した検出結果に基づき、紙幣BLが搬送されたことを検知する。
【0041】
[1-4.フィードローラの構成]
図4図5及び図6に示すように、フィードローラ42は、全体として円柱形状であり、円柱形状の中心を左右方向に挿通する図示しないフィードローラシャフトにおける中心に位置する回転軸Axを軸として回転する。フィードローラ42は、フィードボス60とフィードゴム62とが、接着剤を用いられることなく互いに接合されることにより構成されている。なお、図6においてはフィードゴム62の周側面がフィードローラ42の回転方向に沿って見た際に凹凸形状となっているものの、図4及び図7において凹凸形状は図示せず省略する。後述する第2及び第3の実施の形態においても同様である。
【0042】
以下では、フィードローラ42において、回転軸Axに沿う方向を軸方向(スラスト方向Dt)とも呼び、回転軸Axから外周面(周側面)に向かう方向を外周方向(ラジアル外側方向Dro)とも呼び、外周面(周側面)から回転軸Axに向かう方向を内周方向(ラジアル内側方向Dri)とも呼び、外周方向及び内周方向に沿う方向を径方向(ラジアル方向Dr)とも呼び、フィードローラ42が回転する図2時計回り方向及び反時計回り方向の方向を回転方向(円周方向)とも呼ぶ。
【0043】
[1-4-1.フィードボスの構成]
フィードボス60は、略円柱形状であり、フィードローラ42の大部分を占めている。フィードボス60における中央部には、フィードボス60の軸方向の一端面から他端面までに亘って軸方向に沿って延びるようフィードボス60内部を貫通する円柱形状のシャフト孔部64が形成されている。シャフト孔部64には、図示しないフィードローラシャフトが挿通される。フィードボス60の外周側には、内周方向側へ凹むような形状であるゴム嵌込部65が、90[°]程度の回転角度の範囲に亘って形成されている。このゴム嵌込部65に、フィードゴム62が嵌め込まれることにより、フィードローラ42が構成されている。
【0044】
[1-4-1-1.外周部の構成]
フィードボス60の外周部には、円弧形状に沿うボス外周面66が形成されている。またフィードボス60における外周部には、ボス外周面66から内周方向に向かって凹む2本のボス外周溝部67gが、ゴム嵌込部65以外の箇所の全周に亘って形成されている。このためフィードボス60における外周部には、フィードローラ42の円弧形状に沿う形状でありボス外周溝部67gの外周面から外周方向に向かって突出し所定の径方向の厚さを有する3本のボス外周突起部67pが、ゴム嵌込部65以外の箇所の全周、すなわちボス外周溝部67gと同一の円周方向の範囲に亘って形成されている。このようにフィードボス60は、外周部が軸方向に沿って凸凹形状となっている。ボス外周突起部67pにおいてフィードゴム62のゴム外周突起部75p(後述する)と円周方向に対向する端面は、外周突起部円周方向内端面67pSとなっている。外周突起部円周方向内端面67pSは、フィードゴム62における外周突起部円周方向外端面75Scと当接している。
【0045】
[1-4-1-2.軸方向端部壁の構成]
フィードボス60におけるゴム嵌込部65において軸方向の両側である一端側及び他端側には、軸方向端部壁68が形成されている。軸方向端部壁68は、フィードボス60におけるゴム嵌込部65以外の箇所(すなわちボス外周突起部67p)に対し、円周方向に沿って内周方向側へ凹んだ形状となるように、内周側から外周方向側へ向かって突出する壁部である。このため軸方向端部壁68は、フィードボス60におけるゴム嵌込部65以外の箇所よりも半径が短くなっている。フィードローラ42は、軸方向端部壁68における外周方向側からフィードゴム62のゴム外周突起部75p(後述する)を外部に露出させている。
【0046】
この軸方向端部壁68における軸方向の外側面には、径方向を含む、軸方向と直交する方向に沿う平面である軸方向端部壁外側面68Soが形成されている。また軸方向端部壁68における軸方向の内側面には、径方向を含む、軸方向と直交する方向に沿う平面である軸方向移動規制面68Siが形成されている。軸方向移動規制面68Siは、フィードゴム62の本体部軸方向端面78Sa(後述する)に当接している。このためフィードボス60は、フィードゴム62の位置決め凹み部79(後述する)における本体部軸方向端面78Saを軸方向の外側から挟み込むように軸方向端部壁68を配置している。これによりフィードボス60は、フィードボス60に対する軸方向へのフィードゴム62の移動を規制し、フィードボス60から、軸方向にフィードゴム62が外れないようにしている。
【0047】
[1-4-1-3.ボス本体部の構成]
軸方向に関しゴム嵌込部65における一対の軸方向端部壁68の間には、略円柱形状のボス本体部70が形成されている。ボス本体部70の外周部には、フィードローラ42の円弧形状に沿いフィードゴム62と径方向に対向し本体部内周面78Si(後述する)と当接する本体部外周面70Sが形成されている。またボス本体部70における外周部には、ボス外周溝部67gと軸方向の位置を合わせて、本体部外周面70Sから内周方向に向かって凹む2本の本体部溝部70gが、ボス本体部70における円周方向の一端から他端までに亘って形成されている。このためボス本体部70は、外周部が軸方向に沿って凸凹形状となっている。
【0048】
[1-4-1-4.位置決め孔の構成]
ボス本体部70における円周方向の一端側と他端側とには、本体部溝部70gよりも内周方向側へ凹む位置決め孔72が形成されている。また位置決め孔72は、軸方向に沿って見た際には、回転軸Axよりも外周方向側において、互いに回転軸Axからの径方向の距離が同一の位置に2本配置されている。
【0049】
この位置決め孔72は、軸方向に関し両側の軸方向移動規制面68Siの間の領域において、回転軸Axに対するフィードゴム62側(外周方向側)の一部分が開放された横断面略円形状の位置決め孔内壁面72Sによって囲まれた、略円柱形状となっている。この位置決め孔72には、フィードゴム62における嵌め込み突起部80(後述する)が挿通されている。このためフィードボス60は、フィードゴム62の嵌め込み突起部80の外周面における、回転軸Axに対するフィードゴム62側の一部分を除いた大部分を位置決め孔内壁面72Sによって当接するように囲っている。
【0050】
具体的に、位置決め孔内壁面72Sは、回転軸Axから、外周方向のうちフィードゴム62における円周方向の中央部に向かう方向である、回転軸ゴム中央部外周方向に沿って見た際に、横断面が、円形状の中心よりも少なくとも外周方向側(フィードゴム62側)において90[°]程度の回転角度の範囲に亘って開放される位置決め孔開口部72Aが形成された円形状である。このため位置決め孔内壁面72Sは、回転軸ゴム中央部外周方向に沿って見た際に、横断面が、円形状の中心よりも回転軸Ax側から円形状の中心よりも少なくともフィードゴム62側までに亘って形成された円形状となっている。
【0051】
よって位置決め孔内壁面72Sにおける回転軸ゴム中央部外周方向に沿って見た際の、円形状の中心よりもフィードゴム62側には、位置決め孔開口部72Aを挟んで円周方向に沿って互いに近接する方向へ突出するような抜け止め部72Ssが形成されている。このためフィードボス60は、抜け止め部72Ssを、フィードゴム62の嵌め込み突起部80に対し、回転軸ゴム中央部外周方向側に当接するように配置している。
【0052】
これによりフィードボス60は、位置決め孔72により回転軸ゴム中央部外周方向への嵌め込み突起部80の移動を規制し、位置決め孔72から回転軸ゴム中央部外周方向に嵌め込み突起部80が外れないようにしている。
【0053】
このためフィードボス60は、フィードボス60に対する回転軸ゴム中央部外周方向へのフィードゴム62の移動を規制し、フィードボス60から回転軸ゴム中央部外周方向へフィードゴム62が外れないようにしている。
【0054】
一方、この位置決め孔72は、一方の軸方向端部壁外側面68Soから他方の軸方向端部壁外側面68Soまでに亘って軸方向に沿って連続的に延びるようフィードボス60内部を貫通している。このため軸方向端部壁68において位置決め孔72が貫通する箇所には、円形状の軸方向端部壁孔部内壁面68HSによって囲まれた、円柱形状の軸方向端部壁孔部68Hが形成されている。この軸方向端部壁孔部68Hには、フィードゴム62における嵌め込み突起部80の軸方向の両端部である嵌め込み突起部両端部80e(後述する)が挿通されている。このためフィードボス60は、フィードゴム62における嵌め込み突起部両端部80eの外周面を軸方向端部壁孔部内壁面68HSによって当接するように囲っている。これによりフィードボス60は、軸方向に直交する方向への嵌め込み突起部80の移動を規制し、軸方向端部壁孔部68Hから、軸方向に直交する方向に嵌め込み突起部80が外れないようにしている。
【0055】
[1-4-2.フィードゴムの構成]
フィードゴム62は、全体としてフィードローラ42の外周の円弧形状に沿う形状であり、フィードボス60におけるゴム嵌込部65に嵌り込んでいる。
【0056】
[1-4-2-1.外周部の構成]
フィードゴム62における外周部には、フィードボス60のボス外周溝部67gと軸方向の位置を合わせて、ゴム外周面74から内周方向に向かって凹む2本のゴム外周溝部75gが、円周方向の一端から他端までに亘って形成されている。このためフィードゴム62における外周部には、フィードローラ42の円弧形状に沿う形状でありゴム外周溝部75gの外周面から外周方向に向かって突出し所定の径方向の厚さを有する3本のゴム外周突起部75pが、円周方向の一端から他端までに亘って形成されている。ゴム外周突起部75pは、軸方向端部壁68における外周方向側の端部よりも外周方向に向かって突出している。ゴム外周突起部75pにおいてフィードボス60のボス外周突起部67pと円周方向に対向する端面は、外周突起部円周方向外端面75Scとなっている。外周突起部円周方向外端面75Scは、フィードボス60における外周突起部円周方向内端面67pSと当接している。また軸方向に沿って3本形成されたゴム外周突起部75pのうち軸方向の両端部に配されたゴム外周突起部75pにおける、軸方向の外側端面は、外周部軸方向端面75Saとなっている。この外周部軸方向端面75Saの内周方向側端部と接続されたゴム外周突起部75pの内周面は、軸方向端部壁68における外周面と当接している。
【0057】
[1-4-2-2.ゴム本体部の構成]
ゴム外周突起部75pよりも内周方向側には、フィードローラ42の円弧形状に沿う形状であり、所定の径方向の厚さを有するゴム本体部78が形成されている。ゴム本体部78の内周部には、フィードローラ42の円弧形状に沿いフィードボス60と径方向に対向し本体部外周面70Sと当接する本体部内周面78Siが形成されている。またゴム本体部78における内周部には、フィードボス60の本体部溝部70gと軸方向の位置を合わせて、本体部内周面78Siから内周方向に向かって突出する2本の本体部突出部78sが、ゴム本体部78における円周方向の一端から他端までに亘って形成されている。このためゴム本体部78は、内周部が軸方向に沿って凸凹形状となっている。フィードゴム62は、本体部突出部78sがフィードボス60の本体部溝部70gと嵌まり込むことにより、フィードボス60に対する軸方向の位置決めを行っている。
【0058】
ゴム本体部78における軸方向の両端面である本体部軸方向端面78Saは、外周部軸方向端面75Saよりも軸方向の内側に位置している。このため、フィードゴム62には、軸方向の両端部における外周部であるゴム外周突起部75pよりも内周方向側において、外周部軸方向端面75Saよりも軸方向の内側に向かって円弧状に凹む位置決め凹み部79が形成されている。フィードゴム62は、本体部軸方向端面78Saがフィードボス60の軸方向移動規制面68Siに当接されている。
【0059】
[1-4-2-3.嵌め込み突起部の構成]
ゴム本体部78における円周方向の一端側と他端側との内周方向側には、本体部突出部78sよりも内周方向側へ突出する嵌め込み突起部80が形成されている。
【0060】
この嵌め込み突起部80は、一方の外周部軸方向端面75Saから他方の外周部軸方向端面75Saまでと同じ軸方向の長さの円柱形状であり、位置決め孔72と同一形状及び大きさとなっている。この嵌め込み突起部80は、フィードボス60における位置決め孔72に挿通している。このためフィードゴム62は、軸方向に関し両側の軸方向移動規制面68Siの間の領域において、嵌め込み突起部80の外周面における、回転軸Axに対するフィードゴム62側の一部分を除いた大部分が、フィードボス60の位置決め孔内壁面72Sによって当接されて囲まれている。
【0061】
また嵌め込み突起部80は、軸方向の両端面が軸方向端部壁外側面68Soとほぼ面一となるように軸方向端部壁孔部68Hに挿通している。このように嵌め込み突起部80は、一方の軸方向端部壁外側面68Soから他方の軸方向端部壁外側面68Soまでに亘ってフィードボス60内部を貫通している。このためフィードゴム62は、嵌め込み突起部80における軸方向の両端部である嵌め込み突起部両端部80eの外周面の全周が、フィードボス60の軸方向端部壁孔部68Hにおける軸方向端部壁孔部内壁面68HSによって当接されて囲まれている。
【0062】
[1-4-3.フィードボスとフィードゴムとの嵌合]
かかる構成においてフィードローラ42は、フィードボス60とフィードゴム62とが別体で製造されてから、フィードボス60にフィードゴム62が嵌め込まれることにより、形成される。その際、嵌め込み突起部80が、軸方向の内側に向かって撓むように形状が歪ませられると共に、太さが位置決め孔72における位置決め孔開口部72Aよりも僅かに細くなるように変形されつつ、フィードゴム62がフィードボス60に向かって内周方向側へ押し込まれ、軸方向端部壁68の軸方向端部壁孔部68Hに嵌め込み突起部両端部80eが、位置決め孔72に嵌め込み突起部80における嵌め込み突起部両端部80eよりも軸方向の内側が、それぞれ嵌め込まれることにより、フィードローラ42が形成される。
【0063】
[1-5.フィードゴムへ外力が加わった場合について]
次に、フィードゴム62へ各方向から外力が加わった場合における、フィードボス60からフィードゴム62に発生する抵抗力について説明する。
【0064】
[1-5-1.ラジアル方向の外力が加わった場合について]
[1-5-1-1.ラジアル外側方向への外力が加わった場合について]
図7(A)に、フィードゴム62における例えば円周方向の中央部に対し、上述した回転軸ゴム中央部外周方向に沿って、フィードゴム62がフィードボス60から離れる方向である、ラジアル外側方向Droへ向かう外力Feが加わった場合について示す。このとき、フィードボス60の抜け止め部72Ssからフィードゴム62の嵌め込み突起部80に対し、フィードゴム62がフィードボス60から外れる方向へ向かう外力Feとは反対方向へ向かう抵抗力Frが発生する。このためフィードゴム62は、フィードボス60に接合し続ける力を受け、フィードボス60から外れないように保持される。
【0065】
[1-5-1-2.ラジアル内側方向への外力が加わった場合について]
図7(B)に、フィードゴム62における例えば円周方向の中央部に対し、フィードゴム62がフィードボス60に押し付けられる方向である、ラジアル内側方向Driへ向かう外力Feが加わった場合について示す。このとき、フィードゴム62よりもラジアル内側方向Dri側に位置するフィードボス60からフィードゴム62に対し、フィードゴム62がフィードボス60に押し付けられる方向へ向かう外力Feとは反対方向へ向かう抵抗力Frが発生する。なお図7(B)においては、フィードボス60における円周方向の中央部からフィードゴム62に加わる抵抗力Frについて図示しているが、実際には、フィードボス60における、フィードゴム62と当接している他の箇所からも、フィードゴム62に対し抵抗力Frが発生する。このようにフィードゴム62は、フィードボス60に押し付けられるため、フィードボス60から外れないように保持される。
【0066】
[1-5-2.スラスト方向の外力が加わった場合について]
図8(A)及び図8(B)に、フィードゴム62のスラスト方向Dtの一端側の端面である外周部軸方向端面75Saに対し、スラスト方向Dtへ向かう外力Feが加わった場合について示す。具体的に、図8(A)は、図4(E)の状態で見た場合の様子を、図8(B)は、図4(D)の状態で見た場合の様子を示す。このとき、フィードボス60における、スラスト方向Dtに関し、外力Feが加わった一端側とは反対側であるスラスト方向Dtの他端側における軸方向端部壁68から、フィードゴム62の本体部軸方向端面78Saに対し、外力Feとは反対方向へ向かう抵抗力Fr1が発生する。このためフィードゴム62は、フィードボス60から外れないように保持される。
【0067】
また、フィードゴム62のスラスト方向Dtの一端側の端面である外周部軸方向端面75Saに対し、スラスト方向Dtへ向かう外力Feが加わった場合、嵌め込み突起部80よりも外周方向側(ラジアル外側方向Dro)へ離間した位置に外力Feが加わっているため、力のモーメントにより、図8(B)に示すように、嵌め込み突起部80に対し、ラジアル外側方向Droへの抜け力Fuが発生する。これに対し、フィードボス60の軸方向端部壁孔部内壁面68HSからフィードゴム62の嵌め込み突起部80における嵌め込み突起部両端部80eに対し、ラジアル内側方向Driへ向かう抵抗力Fr2が発生する。このためフィードゴム62は、フィードボス60から外れないように保持される。
【0068】
[1-6.効果等]
以上の構成においてフィードローラ42は、フィードボス60における軸方向に延びる位置決め孔72でフィードゴム62における軸方向に延びる嵌め込み突起部80を囲うようにした。このためフィードローラ42は、図7(A)に示したように、フィードゴム62にラジアル外側方向Droへ向かう外力Feが加わったとしても、位置決め孔72で嵌め込み突起部80を保持して抵抗力Frを発生させ、フィードボス60に対するフィードゴム62のラジアル外側方向Droへの移動を防止できる。
【0069】
またフィードローラ42は、フィードボス60における軸方向の両端部に形成された軸方向端部壁孔部68Hでフィードゴム62における軸方向に延びる嵌め込み突起部80の両端部である嵌め込み突起部両端部80eを囲うようにした。このためフィードローラ42は、図8(B)に示したように、フィードゴム62にスラスト方向Dtへ向かう外力Feが加わった際に抜け力Fuが発生したしても、軸方向端部壁孔部内壁面68HSで嵌め込み突起部80の嵌め込み突起部両端部80eを保持して抵抗力Fr2を発生させ、フィードボス60に対するフィードゴム62のラジアル外側方向Droへの移動を防止できる。
【0070】
さらにフィードローラ42は、フィードボス60における軸方向端部壁68の軸方向移動規制面68Siでフィードゴム62の本体部軸方向端面78Saを軸方向に挟み込むようにした。このためフィードローラ42は、図8(A)に示したように、フィードゴム62にスラスト方向Dtへ向かう外力Feが加わったとしても、軸方向端部壁68で本体部軸方向端面78Saを保持して抵抗力Fr1を発生させ、フィードボス60に対するフィードゴム62のスラスト方向Dtへの移動を防止できる。
【0071】
このようにフィードローラ42は、位置決め孔72によりフィードボス60に対するフィードゴム62のラジアル外側方向Droへの移動を防止すると共に、軸方向端部壁68でフィードボス60に対するフィードゴム62のスラスト方向Dtの移動を防止できる。これによりフィードローラ42は、フィードボス60に対するフィードゴム62の位置が変化しないようにして、フィードゴム62がフィードボス60から外れないようにできる。かくしてフィードローラ42は、フィードボス60とフィードゴム62との接合性を向上できる。
【0072】
またフィードローラ42は、接着剤を用いることなく、フィードボス60及びフィードゴム62の形状を工夫するのみで、フィードボス60とフィードゴム62とを接合し、外力Feに対向する抵抗力Fr、Fr1及びFr2を発生させることができる。このためフィードローラ42は、接着剤を不要とすることができる。
【0073】
さらにフィードローラ42は、位置決め孔72及び嵌め込み突起部80の組を、2組形成するようにした。このためフィードローラ42は、位置決め孔72及び嵌め込み突起部80の組を1組しか形成しない場合と比較して、フィードゴム62をフィードボス60に強固に接合できる。
【0074】
さらにフィードローラ42は、位置決め孔72及び嵌め込み突起部80の組を、フィードゴム62における円周方向の一端側と他端側とにおいて、互いに回転軸Axからの径方向の距離が同一の位置に2組配置するようにした。このためフィードローラ42は、ラジアル外側方向Droへ向かう外力Feがフィードゴム62に加わった際に、それぞれの位置決め孔72及び嵌め込み突起部80の組でバランス良く抵抗力Frを発生させることができる。
【0075】
さらにフィードローラ42は、位置決め孔72をフィードボス60の軸方向の一端側から他端側までに亘って連続的に形成すると共に、位置決め孔72の軸方向の一端側から他端側までに亘って連続的に嵌め込み突起部80を挿通するようにした。このためフィードローラ42は、嵌め込み突起部80が位置決め孔72の軸方向の一端側から他端側までのうち一部分にのみ位置決め孔72に挿通されている場合と比較して、フィードゴム62をフィードボス60に強固に接合できる。
【0076】
以上の構成によれば集積繰出装置30は、紙葉類としての紙幣BLを収納する紙葉類収納空間としての紙幣集積空間40と接続された搬送路48と、紙幣集積空間40と搬送路48との接続箇所に設けられ、紙幣集積空間40から搬送路48へ紙幣BLを繰り出すフィードローラ42と、搬送路48を挟んでフィードローラ42と対向配置され、フィードローラ42との間で紙幣BLの取込口を形成する対向ローラ44と、紙幣集積空間40内を移動可能であり、紙幣BLを集積するステージ50と、ステージ50上に集積された紙幣BLと接触して該紙幣BLを取込口へと送り出すピッカローラ52とを設け、フィードローラ42は、軸方向に沿う嵌め込み突起部80が内周方向側に形成されたフィードゴム62と、回転軸Axよりも外周方向側において軸方向に沿って延び嵌め込み突起部80が内部に嵌まり込み嵌め込み突起部80の少なくとも一部を囲う径方向移動規制孔としての位置決め孔72と、フィードゴム62の軸方向における一方向側及び他方向側と当接する軸方向移動規制部としての軸方向端部壁68とが形成されたフィードボス60とを有するようにした。
【0077】
これにより集積繰出装置30は、位置決め孔72によりフィードボス60に対するフィードゴム62のラジアル外側方向Droへの移動を防止すると共に、軸方向端部壁68でフィードボス60に対するフィードゴム62のスラスト方向Dtへの移動を防止できる。
【0078】
[2.第2の実施の形態]
[2-1.紙幣入出金装置の構成]
図1に示すように、第2の実施の形態による紙幣入出金装置101は、第1の実施の形態による紙幣入出金装置1と比較して、集積繰出装置20に代わる集積繰出装置120と、集積繰出装置30(30A、30B及び30C)に代わる集積繰出装置130(130A、130B及び130C)とを有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。第1の実施の形態と同様に、集積繰出装置130A、130B及び130Cは、同一構成であると共に、集積繰出装置120は、集積繰出装置130とほぼ同一構成である。以下では、第1の実施の形態と同様に、紙幣収納庫12Aに設けられた集積繰出装置130Aの構成について説明する。
【0079】
[2-2.集積繰出装置の構成]
図2及び図3に示すように、第2の実施の形態による集積繰出装置130Aは、第1の実施の形態による集積繰出装置30Aと比較して、フィードローラ42に代わるフィードローラ142を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0080】
[2-3.フィードローラの構成]
図4図5及び図6と対応する部材に同一符号を付した図9図10及び図11に示すように、第2の実施の形態によるフィードローラ142は、第1の実施の形態によるフィードローラ42と比較して、フィードボス60に代わるフィードボス160と、フィードゴム62に代わるフィードゴム162とを有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0081】
[2-3-1.フィードボスの構成]
第2の実施の形態によるフィードボス160は、第1の実施の形態によるフィードボス60と比較して、本体部溝部70gが省略されていると共に、位置決め孔72が軸方向端部壁68を貫通しておらず軸方向に関し両側の軸方向移動規制面68Siの間の領域にのみ形成されているため軸方向端部壁孔部68Hが省略されている点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0082】
[2-3-2.フィードゴムの構成]
第2の実施の形態によるフィードゴム162は、第1の実施の形態によるフィードゴム62と比較して、本体部突出部78sが省略されていると共に、位置決め凹み部79が省略されているため本体部軸方向端面78Saが存在せず、外周部軸方向端面75Saから嵌め込み突起部80における軸方向の端面までに亘ってフィードゴム162の軸方向の端面が面一となっている点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。またフィードゴム162は、フィードゴム62と比較して、軸方向の長さが僅かに短くなっている。
【0083】
[2-3-3.フィードボスとフィードゴムとの嵌合]
かかる構成においてフィードローラ142は、フィードボス160とフィードゴム162とが別体で製造されてから、フィードボス160にフィードゴム162が嵌め込まれることにより、形成される。その際、嵌め込み突起部80が、太さが位置決め孔72における位置決め孔開口部72Aよりも僅かに細くなるように変形されつつ、フィードゴム162がフィードボス160に向かって内周方向側へ押し込まれ、位置決め孔72に嵌め込み突起部80が嵌め込まれることにより、フィードローラ142が形成される。
【0084】
[2-4.フィードゴムへ外力が加わった場合について]
次に、フィードゴム162へ各方向から外力が加わった場合における、フィードボス160からフィードゴム162に発生する抵抗力について説明する。
【0085】
[2-4-1.ラジアル方向の外力が加わった場合について]
[2-4-1-1.ラジアル外側方向への外力が加わった場合について]
図12(A)に、フィードゴム162における例えば円周方向の中央部に対し、上述した回転軸ゴム中央部外周方向に沿って、フィードゴム162がフィードボス160から離れる方向である、ラジアル外側方向Droへ向かう外力Feが加わった場合について示す。このとき、フィードボス160の抜け止め部72Ssからフィードゴム162の嵌め込み突起部80に対し、フィードゴム162がフィードボス160から外れる方向へ向かう外力Feとは反対方向へ向かう抵抗力Frが発生する。このためフィードゴム162は、フィードボス160に接合し続ける力を、フィードボス160からは外れずないように保持される。
【0086】
[2-4-1-2.ラジアル内側方向への外力が加わった場合について]
図12(B)に、フィードゴム162における例えば円周方向の中央部に対し、フィードゴム162がフィードボス160に押し付けられる方向である、ラジアル内側方向Driへ向かう外力Feが加わった場合について示す。このとき、フィードゴム162よりもラジアル内側方向Dri側に位置するフィードボス160からフィードゴム162に対し、フィードゴム162がフィードボス160に押し付けられる方向へ向かう外力Feとは反対方向へ向かう抵抗力Frが発生する。なお図12(B)においては、フィードボス160における円周方向の中央部からフィードゴム162に加わる抵抗力Frについて図示しているが、実際には、フィードボス160における、フィードゴム162と当接している他の箇所からも、フィードゴム162に対し抵抗力Frが発生する。このようにフィードゴム162は、フィードボス160に押し付けられるため、フィードボス160から外れないように保持される。
【0087】
[2-4-2.スラスト方向の外力が加わった場合について]
図13に、フィードゴム162のスラスト方向Dtの一端側の端面である外周部軸方向端面75Saに対し、スラスト方向Dtへ向かう外力Feが加わった場合について示す。このとき、フィードボス160における、スラスト方向Dtに関し、外力Feが加わった一端側とは反対側であるスラスト方向Dtの他端側におけるフィードゴム162の外周部軸方向端面75Saに対し、外力Feとは反対方向へ向かう抵抗力Fr1が発生する。このためフィードゴム162は、フィードボス160から外れないように保持される。
【0088】
[2-5.効果等]
フィードローラ142は、第1の実施の形態によるフィードローラ42と比較して、軸方向端部壁孔部68Hを省略し、嵌め込み突起部80を軸方向端部壁孔部68Hに挿通させないようにした。このためフィードローラ142は、フィードローラ42と比較して、フィードゴム162がフィードボス160に接合される際に、嵌め込み突起部80が軸方向の内側に向かって撓むように形状が歪ませられる必要をなくし、組み立てを容易にすることができる。
【0089】
またフィードローラ142は、フィードローラ42と比較して、フィードボス160における本体部溝部70gを省略すると共に、フィードゴム162における本体部突出部78sを省略するようにした。このためフィードローラ142は、フィードローラ42と比較して、フィードボス160及びフィードゴム162の形状をシンプルにでき、製造しやすくできる。
【0090】
その他、第2の実施の形態によるフィードローラ142は、第1の実施の形態によるフィードローラ42と同様の作用効果を奏し得る。
【0091】
[3.第3の実施の形態]
[3-1.紙幣入出金装置の構成]
図1に示すように、第3の実施の形態による紙幣入出金装置201は、第2の実施の形態による紙幣入出金装置101と比較して、集積繰出装置120に代わる集積繰出装置220と、集積繰出装置130(130A、130B及び130C)に代わる集積繰出装置230(230A、230B及び230C)とを有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。第2の実施の形態と同様に、集積繰出装置230A、230B及び230Cは、同一構成であると共に、集積繰出装置220は、集積繰出装置230とほぼ同一構成である。以下では、第2の実施の形態と同様に、紙幣収納庫12Aに設けられた集積繰出装置230Aの構成について説明する。
【0092】
[3-2.集積繰出装置の構成]
図2及び図3に示すように、第3の実施の形態による集積繰出装置230Aは、第2の実施の形態による集積繰出装置130Aと比較して、フィードローラ142に代わるフィードローラ242を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0093】
[3-3.フィードローラの構成]
図9と対応する部材に同一符号を付した図14に示すように、第3の実施の形態によるフィードローラ242は、第2の実施の形態によるフィードローラ142と比較して、フィードボス160に代わるフィードボス260と、フィードゴム162に代わるフィードゴム262とを有すると共に、接着剤82が追加されている点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0094】
[3-3-1.フィードボスの構成]
第3の実施の形態によるフィードボス260は、第2の実施の形態によるフィードボス160と比較して、軸方向端部壁68が省略されている点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0095】
[3-3-2.フィードゴムの構成]
第3の実施の形態によるフィードゴム262は、第2の実施の形態によるフィードゴム162と比較して、軸方向の長さが僅かに長くなっている点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0096】
[3-3-3.接着剤について]
フィードボス260における外周突起部円周方向内端面67pSと、フィードゴム262における外周突起部円周方向外端面75Scとの間には、接着剤82が塗布されている。またフィードボス260における本体部外周面70Sと、フィードゴム262における本体部内周面78Siとの間にも、接着剤82が塗布されている。このようにフィードゴム262は、第1及び第2の実施の形態と同様に位置決め孔72の抜け止め部72Ssによりフィードボス260に接合されると共に、接着剤82によりフィードボス260に接合される。
【0097】
[3-3-4.フィードボスとフィードゴムとの嵌合]
かかる構成においてフィードローラ242は、フィードボス260とフィードゴム262とが別体で製造され、フィードゴム262における本体部内周面78Si及び外周突起部円周方向外端面75Scに接着剤が塗布されてから、フィードボス160にフィードゴム162が嵌め込まれることにより、形成される。その際、嵌め込み突起部80が、太さが位置決め孔72における位置決め孔開口部72Aよりも僅かに細くなるように変形されつつ、フィードゴム262がフィードボス260に向かって内周方向側へ押し込まれ、位置決め孔72に嵌め込み突起部80が嵌め込まれることにより、フィードローラ242が形成される。
【0098】
[3-4.フィードゴムへ外力が加わった場合について]
次に、フィードゴム262へ各方向から外力が加わった場合における、フィードボス260からフィードゴム262に発生する抵抗力について説明する。
【0099】
[3-4-1.ラジアル方向の外力が加わった場合について]
[3-4-1-1.ラジアル外側方向への外力が加わった場合について]
図15(A)に、フィードゴム262における例えば円周方向の中央部に対し、上述した回転軸ゴム中央部外周方向に沿って、フィードゴム262がフィードボス260から離れる方向である、ラジアル外側方向Droへ向かう外力Feが加わった場合について示す。このとき、フィードボス260の抜け止め部72Ssからフィードゴム262の嵌め込み突起部80に対し、フィードゴム262がフィードボス260から外れる方向へ向かう外力Feとは反対方向へ向かう抵抗力Frが発生する。このためフィードゴム262は、フィードボス260に接合し続ける力を受け、フィードボス260から外れずに保持される。
【0100】
[3-4-1-2.ラジアル内側方向への外力が加わった場合について]
図15(B)に、フィードゴム262における例えば円周方向の中央部に対し、フィードゴム262がフィードボス260に押し付けられる方向である、ラジアル内側方向Driへ向かう外力Feが加わった場合について示す。このとき、フィードゴム262よりもラジアル内側方向Dri側に位置するフィードボス260からフィードゴム262に対し、フィードゴム262がフィードボス260に押し付けられる方向へ向かう外力Feとは反対方向へ向かう抵抗力Frが発生する。なお図15(B)においては、フィードボス260における円周方向の中央部からフィードゴム262に加わる抵抗力Frについて図示しているが、実際には、フィードボス260における、フィードゴム262と当接している他の箇所からも、フィードゴム262に対し抵抗力Frが発生する。このようにフィードゴム262は、フィードボス260に押し付けられるため、フィードボス260から外れずに保持される。
【0101】
[3-4-2.スラスト方向の外力が加わった場合について]
図16に、フィードゴム262のスラスト方向Dtの一端側の端面である外周部軸方向端面75Saに対し、スラスト方向Dtへ向かう外力Feが加わった場合について示す。具体的に、図16(A)は、図14(C)の状態で見た場合の様子を、図16(B)は、図14(A)の状態で見た場合の様子を示す。このとき、フィードゴム262の本体部内周面78Si及び外周突起部円周方向外端面75Scに塗布された接着剤82と接着されたフィードボス260の本体部外周面70S及び外周突起部円周方向内端面67pSから、フィードゴム262の本体部内周面78Si及び外周突起部円周方向外端面75Scに対し、外力Feとは反対方向へ向かう抵抗力Fr1が発生する。このためフィードゴム262は、フィードボス260から外れないように保持される。
【0102】
また、フィードゴム262のスラスト方向Dtの一端側の端面である外周部軸方向端面75Saにおける、外周突起部円周方向外端面75Scの近辺に対し、スラスト方向Dtへ向かう外力Feが加わった場合、図16(B)に示すように、主に、フィードゴム262の外周突起部円周方向外端面75Scに塗布された接着剤82と接着されたフィードボス260の外周突起部円周方向内端面67pSから、フィードゴム262の外周突起部円周方向外端面75Scに対し、外力Feとは反対方向へ向かう抵抗力Frが発生する。このためフィードゴム262は、フィードボス260から外れないように保持される。
【0103】
[3-5.効果等]
以上の構成によればフィードローラ242は、フィードボス260において軸方向端部壁68を省略し、フィードボス260における外周突起部円周方向内端面67pSとフィードゴム262における外周突起部円周方向外端面75Scとの間と、フィードボス260における本体部外周面70Sとフィードゴム262における本体部内周面78Siとの間とに、接着剤82を塗布するようにした。このためフィードローラ242は、フィードゴム262にスラスト方向Dtへ向かう外力Feが加わったとしても、接着剤82が塗布された本体部外周面70S及び外周突起部円周方向内端面67pSで本体部内周面78Si及び外周突起部円周方向外端面75Scを保持して抵抗力Fr1を発生させ、フィードボス260に対するフィードゴム262のスラスト方向Dtへの移動を防止できる。
【0104】
またフィードローラ242は、接着剤82を使用しているものの、抜け止め部72Ss及び嵌め込み突起部80により、フィードゴム262に対するラジアル外側方向Droへ向かう外力Feに対抗する抵抗力Frを発生させることができるため、接着剤82を、従来の接着剤382(図17)よりも接着力の弱いものとしても、フィードゴム262をフィードボス260に安定的に接合させることができる。
【0105】
さらにフィードローラ242は、フィードローラ142と比較して、フィードボス260における軸方向端部壁68を省略した。このためフィードローラ242は、フィードローラ142と比較して、フィードボス260の形状をよりシンプルにでき、製造しやすくできる。
【0106】
以上の構成によれば集積繰出装置230は、紙幣BLを収納する紙幣集積空間40と接続された搬送路48と、紙幣集積空間40と搬送路48との接続箇所に設けられ、紙幣集積空間40から搬送路48へ紙幣BLを繰り出すフィードローラ242と、搬送路48を挟んでフィードローラ42と対向配置され、フィードローラ42との間で紙幣BLの取込口を形成する対向ローラ44と、紙幣集積空間40内を移動可能であり、紙幣BLを集積するステージ50と、ステージ50上に集積された紙幣BLと接触して該紙幣BLを取込口へと送り出すピッカローラ52とを設け、フィードローラ242は、軸方向に沿う嵌め込み突起部80が内周方向側に形成されたフィードゴム262と、回転軸Axよりも外周方向側において軸方向に沿って延び嵌め込み突起部80が内部に嵌まり込み嵌め込み突起部80の少なくとも一部を囲う位置決め孔72が形成されたフィードボス260と、フィードゴム262とフィードボス260との当接面における少なくとも一部分に配されフィードゴム262とフィードボス260とを接合する接着剤82とを有するようにした。
【0107】
これにより集積繰出装置230は、位置決め孔72によりフィードボス260に対するフィードゴム262のラジアル外側方向Droへの移動を防止すると共に、接着剤82でフィードボス260に対するフィードゴム262のスラスト方向Dtへの移動を防止できる。
【0108】
その他、第3の実施の形態によるフィードローラ242は、第2の実施の形態によるフィードローラ142と同様の作用効果を奏し得る。
【0109】
[4.他の実施の形態]
なお上述した第1の実施の形態においては、フィードボス60とフィードゴム62とを別体で製造し、フィードボス60にフィードゴム62を嵌め込むことにより、フィードローラ42を形成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、フィードボス60とフィードゴム62とを一体成形で形成しても良い。第2及び第3の実施の形態においても同様である。
【0110】
また上述した第1の実施の形態においては、位置決め孔72及び嵌め込み突起部80の組を、回転軸Axを中心に2組配置する場合について述べた。本発明はこれに限らず、位置決め孔72及び嵌め込み突起部80の組を3組以上の任意の組数だけ配置しても良い。さらに、ラジアル外側方向Droへの力が加わったときにフィードゴム62がフィードボス60から外れてしまわない程度の接合力を確保できれば、位置決め孔72及び嵌め込み突起部80の組を1組だけ配置しても良い。第2及び第3の実施の形態においても同様である。
【0111】
さらに上述した第1の実施の形態においては、位置決め孔72を、フィードボス60の軸方向の一端側から他端側までに亘って連続的に形成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、位置決め孔72を、フィードボス60の軸方向の一端側から他端側までのうちの何れかの一箇所又は複数箇所に離散的に形成しても良い。その場合、フィードゴム62においても、フィードボス60の位置決め孔72の形状に合わせて、嵌め込み突起部80を形成すれば良い。第2及び第3の実施の形態においても同様である。
【0112】
さらに上述した第1の実施の形態においては、位置決め孔72を一方の軸方向端部壁外側面68Soから他方の軸方向端部壁外側面68Soまでに亘ってフィードボス60内部を貫通させ、嵌め込み突起部80を、一方の軸方向端部壁外側面68Soから他方の軸方向端部壁外側面68Soまでに亘ってフィードボス60内部を挿通させる場合について述べた。本発明はこれに限らず、位置決め孔72を軸方向端部壁68における軸方向移動規制面68Siよりも少なくとも軸方向端部壁外側面68So側に向かって凹ませ、嵌め込み突起部80の軸方向の端部を軸方向移動規制面68Siよりも軸方向端部壁外側面68So側まで軸方向端部壁68に入り込ませれば良い。その場合においても、嵌め込み突起部80における軸方向に直交する方向への移動を軸方向端部壁孔部内壁面68HSで規制できるため、嵌め込み突起部80にラジアル外側方向Droへの抜け力Fuが発生したとしても、フィードゴム62がフィードボス60から外れないようにできる。
【0113】
さらに、軸方向端部壁孔部68Hを位置決め孔72の延長線上ではなく別の箇所に形成し、フィードゴム62における嵌め込み突起部80以外の箇所から、該軸方向端部壁孔部68Hに挿通する突起を形成しても良い。
【0114】
さらに上述した第1の実施の形態においては、位置決め孔72及び嵌め込み突起部80を、軸方向に沿う円柱形状とする場合について述べた。本発明はこれに限らず、位置決め孔72及び嵌め込み突起部80を、軸方向に沿う三角柱形状、四角柱形状や五角柱形状等、他の種々の形状としても良い。要は、位置決め孔72における抜け止め部72Ssを嵌め込み突起部80よりも外周方向側に形成することにより、抜け止め部72Ssで嵌め込み突起部80の外周方向側の少なくとも一部分を囲い、嵌め込み突起部80の外周方向側への移動を規制できれば良い。第2及び第3の実施の形態においても同様である。
【0115】
さらに上述した第1の実施の形態においては、フィードボス60に位置決め孔72を、フィードゴム62に嵌め込み突起部80を形成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、配置を逆にし、フィードボス60に嵌め込み突起部80を、フィードゴム62に位置決め孔72を形成しても良い。第2及び第3の実施の形態においても同様である。
【0116】
さらに上述した第1の実施の形態において、第3の実施の形態と同様に、フィードボス60とフィードゴム62とが接触する種々の箇所に接着剤82を塗布しても良い。第2の実施の形態においても同様である。
【0117】
さらに上述した第1の実施の形態においては、フィードボス60を樹脂又は金属等で構成し、フィードゴム62をゴムで構成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、フィードボス60を、紙幣BLを送る力を発生しない低摩擦である他の種々の材料により構成しても良く、フィードゴム62を、紙幣BLを送る力を発生させる高摩擦である他の種々の材料により構成しても良い。第2及び第3の実施の形態においても同様である。
【0118】
さらに上述した第2の実施の形態において、第1の実施の形態と同様に、フィードボス160にボス外周溝部67gを、フィードゴム162に本体部突出部78sを、それぞれ形成しても良い。
【0119】
さらに上述した第3の実施の形態においては、本体部内周面78Si及び外周突起部円周方向外端面75Scに接着剤82を塗布する場合について述べた。本発明はこれに限らず、一部分の接着剤82を省略したり、本体部内周面78Si及び外周突起部円周方向外端面75Scに接着剤82を塗布せず、フィードボス260とフィードゴム262とが接触する、本体部内周面78Si及び外周突起部円周方向外端面75Sc以外の領域に接着剤82を塗布したり、本体部内周面78Si及び外周突起部円周方向外端面75Scに加えて、フィードボス260とフィードゴム262とが接触する、本体部内周面78Si及び外周突起部円周方向外端面75Sc以外の領域に接着剤82を塗布したりしても良い。
【0120】
さらに上述した第3の実施の形態においては、フィードボス260とフィードゴム262とを接着剤82により接合する場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えば両面テープ等、他の種々の接合部材によりフィードボス260とフィードゴム262と接合しても良い。
【0121】
さらに上述した第3の実施の形態においては、フィードボス260に対しフィードゴム262を内周方向側へ押し込むことにより、フィードボス260にフィードゴム262を嵌合させる場合について述べた。本発明はこれに限らず、フィードボス260に対しフィードゴム262を軸方向にスライドさせるように嵌合させても良い。
【0122】
さらに上述した実施の形態においては、本発明をフィードローラ42、142又は242に適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、他の種々のローラに適用しても良い。
【0123】
さらに上述した実施の形態においては、小売店舗の精算所や金融機関等に設置されたレジスタに接続された紙幣釣銭機における紙幣入出金装置1、101又は201に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えば、紙葉類を分離する集積繰出装置を有する、現金取扱装置、コピー機やプリンタ等にも本発明を適用しても良い。
【0124】
さらに本発明は、上述した実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
【0125】
さらに上述した第1の実施の形態においては、搬送路としての搬送路48と、フィードローラとしてのフィードローラ42と、対向ローラとしての対向ローラ44と、ステージとしてのステージ50と、ピッカローラとしてのピッカローラ52とによって、紙葉類分離装置としての集積繰出装置30を構成し、さらに、該紙葉類分離装置を有する紙葉類処理装置としての紙幣入出金装置1を構成し、フィードローラは、高摩擦部材としてのフィードゴム62と、低摩擦部材としてのフィードボス60とを有する場合について述べた。本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる搬送路と、フィードローラと、対向ローラと、ステージと、ピッカローラとによって、紙葉類分離装置を構成し、さらに、該紙葉類分離装置を有する紙葉類処理装置を構成しても良く、フィードローラは、その他種々の構成でなる高摩擦部材と、低摩擦部材とを有しても良い。
【0126】
さらに上述した第3の実施の形態においては、搬送路としての搬送路48と、フィードローラとしてのフィードローラ242と、対向ローラとしての対向ローラ44と、ステージとしてのステージ50と、ピッカローラとしてのピッカローラ52とによって、紙葉類分離装置としての集積繰出装置230を構成し、さらに、該紙葉類分離装置を有する紙葉類処理装置としての紙幣入出金装置201を構成し、フィードローラは、高摩擦部材としてのフィードゴム262と、低摩擦部材としてのフィードボス260と、接合部材としての接着剤82とを有する場合について述べた。本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる搬送路と、フィードローラと、対向ローラと、ステージと、ピッカローラとによって、紙葉類分離装置を構成し、さらに、該紙葉類分離装置を有する紙葉類処理装置を構成しても良く、フィードローラは、その他種々の構成でなる高摩擦部材と、低摩擦部材と、接合部材とを有しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明は、例えば使用者との間で紙幣に関する取引処理を行う紙幣入出金装置等で利用できる。
【符号の説明】
【0128】
1、101、201……紙幣入出金装置、2……紙幣入出金装置筐体、4……制御部、6……紙幣入出金部、6A……紙幣トレイ、8……搬送部、8W……搬送路、10……紙幣鑑別部、12A、12B、12C……紙幣収納庫、14……リジェクト庫、16……回収庫、20、120、220、30A、30B、30C、130A、130B、130C、230A、230B、230C……集積繰出装置、40……紙幣集積空間、42、142、242、342……フィードローラ、44……対向ローラ、45……ゲート、46……ガイド、46f……前側ガイド、46b……後側ガイド、46l……左側ガイド、46r……右側ガイド、47……前側ガイド案内部、48……搬送路、49……走行センサ、50……ステージ、52……ピッカローラ、52g……ピッカゴム、54……ピッカアーム、55……ピッカシャフト、56……駆動ベルト、Ax……回転軸、60、160、260……フィードボス、62、162、262……フィードゴム、64……シャフト孔部、65……ゴム嵌込部、66……ボス外周面、67g……ボス外周溝部、67p……ボス外周突起部、67pS……外周突起部円周方向内端面、68……軸方向端部壁、68Si……軸方向移動規制面、68So……軸方向端部壁外側面、68H……軸方向端部壁孔部、68HS……軸方向端部壁孔部内壁面、70……ボス本体部、70S……本体部外周面、70g……本体部溝部、72……位置決め孔、72S……位置決め孔内壁面、72Ss……抜け止め部、72A……位置決め孔開口部、74……ゴム外周面、75g……ゴム外周溝部、75p……ゴム外周突起部、75Sc……外周突起部円周方向外端面、75Sa……外周部軸方向端面、78……ゴム本体部、78Sa……本体部軸方向端面、78Si……本体部内周面、78s……本体部突出部、79……位置決め凹み部、80……嵌め込み突起部、80e……嵌め込み突起部両端部、82、382……接着剤、Dro……ラジアル外側方向、Dri……ラジアル内側方向、Dr……ラジアル方向、Dt……スラスト方向、Fe……外力、Fr、Fr1、Fr2……抵抗力、Fu……抜け力、BL……紙幣。
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