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  • 特開-島らっきょうの保存方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022117629
(43)【公開日】2022-08-12
(54)【発明の名称】島らっきょうの保存方法
(51)【国際特許分類】
   A23B 7/04 20060101AFI20220804BHJP
【FI】
A23B7/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021014227
(22)【出願日】2021-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】521047362
【氏名又は名称】ソフィエル・ペアー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076082
【弁理士】
【氏名又は名称】福島 康文
(74)【代理人】
【識別番号】100192496
【弁理士】
【氏名又は名称】西平 守秀
(72)【発明者】
【氏名】大城 あや子
【テーマコード(参考)】
4B169
【Fターム(参考)】
4B169AB04
4B169CA04
4B169CA10
4B169HA01
4B169KD09
(57)【要約】
【課題】簡便かつ低コストでありながら、島らっきょうの食感および味の両方を損なうことなく長期間に亘って保存して、時間および距離の制約を抑制して幅広く流通させることができる島らっきょうの保存方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る島らっきょうの保存方法は、収穫された生の島らっきょうSRを真空用パック1(シート状包装体)の内部に装入する装入工程S1と、装入工程S1後、真空用パック1の内部を脱気して減圧する減圧工程S2Aと、減圧工程S2A後、減圧された状態で真空用パック1を密封する密封工程S2Bと、密封工程S2B後、真空用パック1を冷却された液体に漬けて-23℃から-20℃の範囲で冷凍する冷凍工程S3と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収穫された生の島らっきょうをシート状包装体の内部に装入する装入工程と、
前記装入工程後、前記シート状包装体の内部を脱気して減圧する減圧工程と、
前記減圧工程後、減圧された状態で前記シート状包装体を密封する密封工程と、
前記密封工程後、前記シート状包装体を冷却された液体に漬けて-23℃から-20℃の範囲で冷凍する冷凍工程と、を含む、
島らっきょうの保存方法。
【請求項2】
前記減圧工程において前記シート状包装体の内部圧力が0.07MPaから0.08MPaの範囲となるように減圧する、
請求項1に記載の島らっきょうの保存方法。
【請求項3】
前記装入工程において前記島らっきょうを500g以下で前記シート状包装体に装入する、
請求項1または2に記載の島らっきょうの保存方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、島らっきょうを長期間保存するための島らっきょうの保存方法に関する。
【背景技術】
【0002】
沖縄県の伝統野菜の一つに島らっきょうがある。島らっきょうは、その学名は「Allium chinense syn. Allium bakeri」と知られており、ヒガンバナ科の球根植物(多年草)である。島らっきょうは、沖縄では古から食されているものである。島らっきょうは、沖縄以外の日本国内で広く一般的に栽培されるらっきょうと比較してその形は小さく、また、アリシンが成分に含まれるので香りと苦みが強い。また、食感はシャキシャキとしており、その料理方法は、生食としては、その葉と根を切り落としてから薄皮をむき、それに鰹節、または塩などの調味料をかけてそのまま食される(酒のあてとして好適であり、沖縄料理を提供する居酒屋の定番メニューとなっている)。また、加熱調理として、島らっきょうは、天ぷらまたは和え物のほか、その葉と一緒にいためても美味しく、豆腐および卵とのチャンプル(炒めもの)にしたり豚肉などの肉類と炒めたりして美味しく食されている。
【0003】
島らっきょうは、飲食店で前述したようにお酒のあてとして生食で食される場合が多く、その味の評価でその食感(シャキシャキ感)が大切にされる。つまり、島らっきょうの食感が商品価値を決める上で非常に重要な要素に位置付けられている。
【0004】
島らっきょうの収穫時期は、沖縄県内では12月~翌年6月であり、その旬は9月~10月である。生の島らっきょうは長期保存は利かないので可能な限り早期に消費されるように流通される。そのため、その殆どが沖縄県内で消費される。換言すれば、島らっきょうの流通には時間おより距離の制約があり、沖縄県外でのニーズに十分に対応できずビジネスチャンスを逸失している嫌いがある。
なお、例えば生の島らっきょうの一般家庭での保存方法としては、保存袋に入れて塩をふり、ひと晩おいて塩漬けにする方法があるが、その保存期間は数日であり限界がある。
【0005】
ここで、(島らっきょうではないが)一般的ならっきょうを長期保存しようとするものとして、らっきょうの収穫後、3ヶ月以上冷蔵保存したものを用いてらっきょうを60~90[℃]の雰囲気下で所定期間に渡って温蔵処理するものが知られる(例えば、特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009-284838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記特許文献1では、らっきょう特有の臭気を低減させるとともに、抗酸化力を増強させ、かつ保管時にらっきょうを腐敗させるらっきょう乾腐病の発生を防止することが可能となるとされる。しかしながら、その食感または歯ごたえの確保については言及されておらず、この点で改善・検討の余地があった。
【0008】
また、島らっきょうの消費者はその食感だけではなくその味の善しあしにも敏感であり、島らっきょうを長期保存する場合、その食感を維持することは無論のこと、味、特にその辛みも損なわないようにする必要がある。食感は良くても味が悪いと島らっきょうの商品価値は下がってしまう(購買行動には繋がらない可能性が高い)。つまり、島らっきょうを長期保存しようとする場合、島らっきょうの食感および味の両方を同時に損なわないようにすることが強く要求される。また、その保存方法は島らっきょうの価格上昇を抑制するために簡便かつ低コストで実現されることが望ましい。
【0009】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであり、簡便かつ低コストでありながら、島らっきょうの食感および味の両方を損なうことなく長期間に亘って保存して、時間および距離の制約を抑制して幅広く流通させることができる島らっきょうの保存方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の前述した目的は、後記の構成により達成される。
(1)収穫された生の島らっきょうをシート状包装体の内部に装入する装入工程と、前記装入工程後、前記シート状包装体の内部を脱気して減圧する減圧工程と、前記減圧工程後、減圧された状態で前記シート状包装体を密封する密封工程と、前記密封工程後、前記シート状包装体を冷却された液体に漬けて-23℃から-20℃の範囲で冷凍する冷凍工程と、を含む、島らっきょうの保存方法。
(2)前記減圧工程において前記シート状包装体の内部圧力が0.07MPaから0.08MPaの範囲となるように減圧する、(1)に記載の島らっきょうの保存方法。
(3)前記装入工程において前記島らっきょうを500g以下で前記シート状包装体に装入する、(1)または(2)に記載の島らっきょうの保存方法。
【0011】
前記(1)の構成によれば、密封工程後、シート状包装体を冷却された液体に漬けて-23℃から-20℃の範囲で冷凍するため、急速に冷凍して長期間保存可能とし、島らっきょうの食感および味の両方を損なうことはなく生の状態と同様な品質を維持することができる。また、収穫された島らっきょうに保存料として何ら他の素材を添加するものではなく、また特別な加工を施す必要がないため、保存コストの増加および保存工程の煩雑化を抑制することができる。従って、簡便かつ低コストでありながら、島らっきょうの味および食感の両方を損なうことなく長期間に亘って保存して、時間および距離の制約を抑制して幅広く流通させることができる。
前記(2)の構成によれば、減圧工程においてシート状包装体の内部圧力を0.07MPaから0.08MPaの範囲で減圧する。このため、島らっきょうの細胞膜から内部の水分が適度に浸透して外部に出て、冷凍工程で急速冷凍してその細胞内の水分が多少膨張した場合でも島らっきょうの細胞が損傷するのを抑制することができる。その結果、生の状態の島らっきょうと同様な食感をより確実に再現することができる。
前記(3)の構成によれば、装入工程において島らっきょうを500g以下でシート状包装体に装入するため、島らっきょうの食感および味の両方をより一層確かに損なうことなく長期間に亘って保存することができる。また、使い切りパックとして購入者の利便性も高めることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、簡便かつ低コストでありながら、島らっきょうの食感および味の両方を損なうことなく長期間に亘って保存して、時間および距離の制約を抑制して幅広く流通させることができる。
【0013】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の実施形態に係る島らっきょうの保存方法での工程の流れを説明するフロー図である。
図2図2は、図1に示す装入工程が行われている様子を示す模式図である。
図3図3は、図1に示す減圧工程および密封工程が行われている様子を示す模式図である。
図4図4は、図1に示す冷凍工程が行われている様子を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る島らっきょうの保存方法に関する実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、すでによく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。また、各図面は符号の向きに合わせて視るものとする。
【0016】
図1図4を参照して、本実施形態の島らっきょうSRの保存方法について説明する。図1は、本実施形態に係る島らっきょうSRの保存方法での工程の流れを説明するフロー図である。図2は、図1に示す装入工程S1が行われている様子を示す模式図である。図3は、図1に示す減圧工程S2Aおよび密封工程S2Bが行われている様子を示す模式図である。図4は、図1に示す冷凍工程S3が行われている様子を示す模式図である。
【0017】
図1に示すように、本実施形態の島らっきょうSRの保存方法は、装入工程S1と、減圧工程S2Aと、密封工程S2Bと、冷凍工程S3と、を少なくとも含んで構成される。本実施形態の保存方法は、装入工程S1、減圧工程S2A、密封工程S2Bおよび冷凍工程S3の順で実行される。ただし、本実施形態では後述するように減圧工程S2Aと密封工程S2Bとが同時に実行される。
【0018】
図2に示すように、装入工程S1では、所定の作業者は真空用パック1(シート状包装体の一例)を用意し、この真空用パック1の内部に収穫された生の島らっきょうSRを装入する。ただし、装入工程S1の前には、作業者はその前処理として畑から島らっきょうSRを収穫し、その収穫された生の島らっきょうのそれぞれを水洗浄した上で葉と根を切り落としてから薄皮をむいた状態とする。このように前処理された島らっきょうSRが前述の真空用パック1に装入される。
なお、真空用パック1は透明の合成樹脂素材からなり、その一例として透明ナイロンポリ袋などが例示されるが、これに限定されない。真空用パック1として種々のものを採用することが可能である。
【0019】
また、真空用パック1は、三方シール袋であり、一対のフィルムを貼り合わせて設けられる(不図示)。この真空用パック1に島らっきょうSRの食用部分を装入する際、作業者は島らっきょうSRが500g以下となるように計量器2で計量して小分けして装入する。またそれと同時に、例えば、作業者はその島らっきょうSRをヘラまたはお箸なども用いて、真空用パック1内において扁平状に広がるように分散して配置させてもよい。
【0020】
図3に示すように、装入工程S1の後、作業者は例えばチャンバー方式の真空包装機3を用いて、島らっきょうSRが装入された状態の真空用パック1に対し減圧工程S2Aと密封工程S2Bとを同時に行う。
【0021】
すなわち、真空包装機3によって真空用パック1の空気が除去された状態で真空用パック1は密封シールされる。具体的には、作業者は、真空用パック1の開口部を真空包装機3の押さえバー5およびヒーター(不図示)によって挟持可能に真空可能なチャンバー4内に配置して真空包装機3の蓋6を閉じる。この状態で真空用パック1の内部が脱気されて減圧されると共に、真空用パック1が熱溶着されて完全に密封される。本実施形態では、真空用パック1の内部が減圧される際、その内部圧力は0.07MPaから0.08MPaの範囲に設定されて減圧される。
【0022】
図4に示すように、前述の減圧工程S2Aおよび密封工程S2Bが完了した後、作業者は密封された真空用パック1を、液体冷凍機7を用いて冷凍する。
【0023】
具体的には、液体冷凍機7では、真空用パック1は冷却されたアルコールAL(液体)に漬けられて本実施形態では-23℃から-20℃の範囲に設定されて冷凍される。アルコールALは熱伝導率が空気などの気体に比べ高く、冷却されたアルコールALによって急速冷凍が実現される。それにより、島らっきょうSRの細胞膜の内部においてその水分が冷凍過程で最大氷結晶生成帯を素早く通過するため、冷凍時における膜内部での氷結晶の大きさを小さく抑えることが可能となる。その結果、膜内部の水分においてその膨張の程度を抑制して島らっきょうSRの細胞破壊を防止し、解凍後も生の状態の島らっきょうSRと近い品質を得ることが可能となる。
なお、液体冷凍機7としては株式会社テクニカン社製の液体急速凍結機「凍眠」(登録商標)シリーズなどが好適に例示される。
【0024】
このように、装入工程S1、減圧工程S2A、密封工程S2Bおよび冷凍工程S3が順に実行されることで、島らっきょうSRは小分けされた状態でそれぞれパック詰めされて冷凍保存される。この冷凍保存された状態で、パック詰めされた島らっきょうSRは所定数の数量単位で箱詰めされて出荷(流通)される。
【0025】
以上説明したように本実施形態によれば、収穫された生の島らっきょうSRを真空用パック1(シート状包装体の一例)の内部に装入する装入工程S1と、装入工程S1後、真空用パック1の内部を脱気して減圧する減圧工程S2Aと、減圧工程S2A後、減圧された状態で真空用パック1を密封する密封工程S2Bと、密封工程S2B後、真空用パック1を冷却されたアルコールAL(液体)に漬けて-23℃から-20℃の範囲で冷凍する冷凍工程S3と、を含む。
【0026】
このため、密封工程後、シート状包装体を冷却された液体に漬けて-23℃から-20℃の範囲で冷凍するため、急速に冷凍して長期間保存可能とし、島らっきょうの食感および味の両方を損なうことはなく生の状態と同様な品質を維持することができる。また、収穫された島らっきょうに保存料として何ら他の素材を添加するものではなく、また特別な加工を施す必要がないため、保存コストの増加および保存工程の煩雑化を抑制することができる。従って、簡便かつ低コストでありながら、島らっきょうの味および食感の両方を損なうことなく長期間に亘って保存して、時間および距離の制約を抑制して幅広く流通させることができる。
【0027】
また、本実施形態によれば、減圧工程においてシート状包装体の内部圧力を0.07MPaから0.08MPaの範囲で減圧する。このため、島らっきょうの細胞膜から内部の水分が適度に浸透して外部に出て、冷凍工程で急速冷凍してその細胞内の水分が多少膨張した場合でも島らっきょうの細胞が損傷するのを抑制することができる。その結果、生の状態の島らっきょうと同様な食感をより確実に再現することができる。
【0028】
また、本実施形態によれば、装入工程において島らっきょうを500g以下でシート状包装体に装入するため、島らっきょうの食感および味の両方をより一層確かに損なうことなく長期間に亘って保存することができる。また、使い切りパックとして購入者の利便性も高めることができる。
【実施例0029】
以下、本発明に係る実施例を挙げて本発明の有効性をより具体的に説明する。
ただし、下述する実施例は、本発明の一例として詳細に説明するためのものに過ぎず、本発明の技術的範囲を制限するためにいかなる意味でも解釈されない。
また、以下に説明されていない内容は、この技術分野に属する熟練した者であれば十分に技術的に類推可能なものであるので、その記載を省略する。
【0030】
本実施例では、本発明に係る冷凍温度について官能試験を行った。冷凍工程(S3)における冷凍温度を変化させて官能試験を行った。すなわち、評価サンプルは、上述の冷凍工程(S3)において冷凍温度の条件のみを変更し-20℃、-21℃、-22℃、-23℃、-24℃および-25℃で冷凍された6種類を用意して評価した。また、それ以外の条件については、装入工程(S1)での装入量は500g、減圧工程(S2A)での減圧値は0.08MPaに評価サンプル間ですべて揃(そろ)えられた。
【0031】
また、官能試験の評価項目は食感、色、味および総合評価の4項目に絞った。それぞれの評価項目の評価尺度は「1」から「5」までのスケール値とし、「1」を「従来の冷凍品と同等またはそれ以下である。」、「5」を「取れたて品と同等である」と定義した。
【0032】
官能試験では、常時、取れたて品の島らっきょう(SR)、および従来の冷凍品の島らっきょう(SR)を評価者のそれぞれで皿に盛って試験中でもこれら基準を食することが可能な環境とした。また、-20℃、-21℃、-22℃、-23℃、-24℃および-25℃で冷凍された6種類について、その評価順序をランダムにして官能試験を行った。
【0033】
評価項目それぞれは、11人の評価者によって評価された。評価者はいずれも島らっきょう(SR)を日常的に扱っている者(例えば、生産者、卸業者、飲食店経営者など)で募集した評価者の内訳は男性が6名であり女性が5名であった。年齢層は、20歳代が1名、40歳代が5名、50歳代が5名であった。
【0034】
-20℃、-21℃、-22℃、-23℃、-24℃および-25℃で冷凍された6種類のそれぞれのサンプルにおいて、各評価者によって評価(選択)されたスケール(評価尺度)を表1~表6に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】
【0039】
【表5】
【0040】
【表6】
【0041】
-20℃、-21℃、-22℃、-23℃、-24℃および-25℃で冷凍された6種類のそれぞれにおいて、評価者によって選択された評価尺度を評価項目ごとに平均値を算出した。この算出した平均値を評価項目のそれぞれの最終的な評価とした。その評価結果を表7に示す。また、その平均値が0以上2.5未満の範囲であれば“不可”を意味する「×」、2.5以上3.0未満であれば“良”を意味する「○」、3.0以上であれば“優秀”を意味する「◎」としてランク付けの最終評価を行った。その評価結果を表8に示す。
【0042】
【表7】
【0043】
【表8】
【0044】
表1および表2に示すように、いずれの評価項目で「○」あるいは「◎」であるのは-23から-20℃の範囲で冷凍保存された評価サンプルであることが分かる。すなわち、本官能試験を通じて、冷凍工程(S3)において島らっきょう(SR)が装入された真空用パック(1、シート状包装体の一例)を-23℃から-20℃の範囲で冷凍するとよいことが分かった。このように冷凍することで島らっきょう(SR)の食感および味の両方を損なうことはなく生の状態と近い品質を得ることができることが明らかにされた。
【0045】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本開示はかかる例としての実施形態に限定されないことはいうまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、前述した実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 :真空用パック(シート状包装体)
2 :計量器
3 :真空包装機
4 :チャンバー
5 :押さえバー
6 :蓋
7 :液体冷凍機
AL :アルコール
SR :島らっきょう
S1 :装入工程
S2A :減圧工程
S2B :密封工程
S3 :冷凍工程
図1
図2
図3
図4