(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022117631
(43)【公開日】2022-08-12
(54)【発明の名称】画像処理装置および該方法ならびに撮像表示装置
(51)【国際特許分類】
H04N 5/232 20060101AFI20220804BHJP
H04N 5/247 20060101ALI20220804BHJP
G06T 3/00 20060101ALI20220804BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20220804BHJP
G03B 37/00 20210101ALI20220804BHJP
G03B 35/20 20210101ALI20220804BHJP
【FI】
H04N5/232 290
H04N5/232 960
H04N5/232 300
H04N5/247
G06T3/00 780
G03B15/00 H
G03B37/00 A
G03B35/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021014231
(22)【出願日】2021-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】503027931
【氏名又は名称】学校法人同志社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100111453
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 智
(72)【発明者】
【氏名】片桐 滋
(72)【発明者】
【氏名】和田 理
【テーマコード(参考)】
2H059
5B057
5C122
【Fターム(参考)】
2H059AA10
2H059AA13
2H059BA11
5B057BA02
5B057BA17
5B057CA01
5B057CA08
5B057CA12
5B057CA16
5B057CB01
5B057CB08
5B057CB12
5B057CB16
5B057CE08
5B057DA07
5C122DA07
5C122DA08
5C122EA61
5C122FA18
5C122FE03
5C122FH09
5C122FH10
5C122FH11
5C122FH18
5C122FK23
5C122HB01
(57)【要約】
【課題】本発明は、複数の撮像装置それぞれで生成した複数の画像を合成する場合に、被写体を正常に写し出した合成画像を生成できる画像処理装置、画像処理方法および撮像表示装置を提供する。
【解決手段】本発明の撮像表示装置IDに備えられる画像処理装置は、互いに隣接する2個の撮像部2で各第1画角の一部が重複するように配置された複数の撮像部2それぞれで生成した複数の画像を複数の原画像として取得する取得部の一例としてのIF部3と、前記第1画角よりも狭い第2画角に対応する前記原画像の一部を標準画像とした場合に、前記複数の原画像それぞれに対応する複数の標準画像を前記複数の撮像部2の配置順に応じて順次に連結することによって合成画像を生成する合成部43とを備え、合成部43は、所定の主被写体を写し込んだ原画像の一部を前記標準画像とする際に、所定の基準点に対する、前記主被写体の位置に応じて前記第2画角を調整する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに隣接する2個の撮像装置で各第1画角の一部が重複するように配置された複数の撮像装置それぞれで生成した複数の画像を複数の原画像として取得する取得部と、
前記第1画角よりも狭い第2画角に対応する前記原画像の一部を標準画像とした場合に、前記複数の原画像それぞれに対応する複数の標準画像を前記複数の撮像装置の配置順に応じて順次に連結することによって合成画像を生成する合成部とを備え、
前記合成部は、所定の主被写体を写し込んだ原画像の一部を前記標準画像とする際に、所定の基準点に対する、前記主被写体の位置に応じて前記第2画角を調整する、
画像処理装置。
【請求項2】
前記複数の撮像装置は、所定の一方向に沿って所定の間隔で並置され、
前記第1および第2画角は、それぞれ、前記一方向の画角であり、
前記合成部は、互いに隣接する2個の第1および第2撮像装置で前記主被写体を写し込んだ第1および第2原画像が生成されている場合に、前記第1および第2原画像のうちの一方に対し、前記隣接側の第2画角を所定角度だけ広げ、前記第1および第2原画像のうちの他方に対し、前記隣接側の第2画角を前記所定角度に対応する角度だけ狭くすることで、前記第2画角を調整する、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記一方向は、水平方向または垂直方向である、
請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記複数の原画像は、動画であり、
前記合成部は、前記第2画角の調整における広狭を切り換える際に、前記標準画像をモーフィングする、
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
互いに隣接する2個の撮像装置で各第1画角の一部が重複するように配置された複数の撮像装置それぞれで生成した複数の画像を複数の原画像として取得する取得工程と、
前記第1画角よりも狭い第2画角に対応する前記原画像の一部を標準画像とした場合に、前記複数の原画像それぞれに対応する複数の標準画像を前記複数の撮像装置の配置順に応じて順次に連結することによって合成画像を生成する合成工程とを備え、
前記合成工程は、所定の主被写体を写し込んだ原画像の一部を前記標準画像とする際に、所定の基準点に対する、前記主被写体の位置に応じて前記第2画角を調整する、
画像処理方法。
【請求項6】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の画像処理装置と、
表示面を持つ表示部と、
前記複数の撮像装置とを備え、
前記複数の撮像装置は、前記表示面の表示領域内に配置されている、
撮像表示装置。
【請求項7】
通信部と、
前記合成部で生成した合成画像を前記通信部から送信する制御部とをさらに備える、
請求項6に記載の撮像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を処理する画像処理装置および画像処理方法、ならびに、前記画像処理装置を備えた、画像を表示し、前記画像を表示する表示面の前方の被写体を撮像する撮像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信速度の高速化に伴い、音声の送受信だけでなく、画像も送受信して遠隔でコミュニケーションできるテレビ会議システム(ビデオ会議システム、WEB会議システム)が研究、開発され、利用されている。このテレビ会議システムで用いられる、例えばカメラ付きパーソナルコンピュータやスマートフォン等の装置は、一般に、正面視にて、画像を表示する表示面の上部に、カメラの撮像レンズが配置されている。互いにコミュニケーションを行う場合、視線の一致は、例えば対面者同士における信頼性の醸成に重要な役割を果たすが、上述のような装置では、一方の装置のカメラは、人物を上方から撮像するため、前記一方の装置で撮像された人物画像は、ネットワークを介して通信可能に接続された他方の装置に下向きの画像として表示されてしまい、視線を一致させることが難しい場合がある。特に、表示面のサイズが大型化すると、前記人物画像は、下向きの画像に成り易い。このため、例えば、特許文献1に開示された、液晶表示パネルの背面に撮像素子を配置した表示装置の利用が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記特許文献1に開示された表示装置の撮像素子(撮像装置、カメラ)は、単体であるため、撮像範囲が限られてしまう。このため、複数の撮像装置の利用が考えられ、これにより、大きなサイズの表示面に、前記複数の撮像装置それぞれの各撮像範囲を合成(統合)した広い撮像範囲で撮像した画像を表示できる。しかしながら、前記複数の撮像装置それぞれと被写体との距離によって、前記複数の撮像装置それぞれで生成した複数の画像を合成(統合)した画像(合成画像)に、前記被写体が正常に写し出されない場合が生じ得る。例えば、前記距離が相対的に短い場合、前記被写体の一部が欠けて前記合成画像に写し出されたり、前記距離が相対的に長い場合、前記被写体が複数で前記合成画像に写し出されたりする。
【0005】
本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、その目的は、複数の撮像装置それぞれで生成した複数の画像を合成する場合に、被写体を正常に写し出した合成画像を生成できる画像処理装置および画像処理方法、ならびに、前記画像処理装置を備えた撮像表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。すなわち、本発明の一態様にかかる画像処理装置は、互いに隣接する2個の撮像装置で各第1画角の一部が重複するように配置された複数の撮像装置それぞれで生成した複数の画像を複数の原画像として取得する取得部と、前記第1画角よりも狭い第2画角に対応する前記原画像の一部を標準画像とした場合に、前記複数の原画像それぞれに対応する複数の標準画像を前記複数の撮像装置の配置順に応じて順次に連結することによって合成画像を生成する合成部とを備え、前記合成部は、所定の主被写体を写し込んだ原画像の一部を前記標準画像とする際に、所定の基準点に対する、前記主被写体の位置に応じて前記第2画角を調整する。好ましくは、上述の画像処理装置において、前記取得部は、さらに、前記主被写体の位置に関する位置情報を取得する。好ましくは、前記位置情報は、前記主被写体を上方から撮像するように配置された第2撮像装置で生成された画像である。好ましくは、上述の画像処理装置において、さらに、前記主被写体の位置を測定する位置測定部を備える。好ましくは、上述の画像処理装置において、さらに、前記主被写体を写し込んだ1対の原画像をステレオ画像として前記主被写体の位置を求める位置演算部を備える。好ましくは、上述の画像処理装置において、前記所定の基準点は、前記主被写体を写し込んだ原画像を生成した撮像装置の配置位置である。
【0007】
単に、第2画角の標準画像を順次に連結することによって合成画像を生成する場合、主被写体の位置によって、上述したように、前記主被写体の一部が欠けて前記合成画像に写し出されたり、前記主被写体が複数で前記合成画像に写し出されたり等の、前記主被写体が正常に写し出されない場合が生じる。このような場合でも、第1画角の原画像には、前記主被写体が正常に写り込んでいる。上記画像処理装置は、所定の主被写体を写し込んだ原画像の一部を前記標準画像とする際に、第1画角の原画像に正常に写り込んでいる主被写体の画像領域を利用するために、所定の基準点に対する、前記主被写体の位置に応じて前記第2画角を調整する。このため、上記画像処理装置は、複数の撮像装置それぞれで生成した複数の画像を合成する場合に、被写体を正常に写し出した合成画像を生成できる。
【0008】
他の一態様では、上述の画像処理装置において、前記複数の撮像装置は、所定の一方向に沿って所定の間隔で並置され、前記第1および第2画角は、それぞれ、前記一方向の画角であり、前記合成部は、互いに隣接する2個の第1および第2撮像装置で前記主被写体を写し込んだ第1および第2原画像が生成されている場合に、前記第1および第2原画像のうちの一方に対し、前記隣接側の第2画角を所定角度だけ広げ、前記第1および第2原画像のうちの他方に対し、前記隣接側の第2画角を前記所定角度に対応する角度だけ狭くすることで、前記第2画角を調整する。好ましくは、上述の画像処理装置において、前記所定の基準点は、前記第1および第2撮像装置のうちのいずれか1つの撮像装置の配置位置である。
【0009】
このような画像処理装置は、主被写体が一方向に移動する場合でも、前記主被写体を正常に写し出した合成画像を生成できる。
【0010】
他の一態様では、上述の画像処理装置において、前記一方向は、水平方向または垂直方向である。好ましくは、上述の画像処理装置において、前記一方向は、互いに異なる方向である2個の第1および第2サブ方向を含み、前記第1サブ方向は、水平方向であり、前記第2サブ方向は、垂直方向である。
【0011】
このような画像処理装置は、前記複数の撮像装置が水平方向または垂直方向に配置されている場合に、被写体を正常に写し出した合成画像を生成できる。
【0012】
他の一態様では、これら上述の画像処理装置において、前記複数の原画像は、動画であり、前記合成部は、前記第2画角の調整における広狭を切り換える際に、前記標準画像をモーフィングする。
【0013】
このような画像処理装置は、標準画像をモーフィングするので、第2画角の調整における広狭を切り換える際に、主被写体が滑らかに動く合成画像の動画を生成できる。
【0014】
本発明の他の一態様にかかる画像処理方法は、互いに隣接する2個の撮像装置で各第1画角の一部が重複するように配置された複数の撮像装置それぞれで生成した複数の画像を複数の原画像として取得する取得工程と、前記第1画角よりも狭い第2画角に対応する前記原画像の一部を標準画像とした場合に、前記複数の原画像それぞれに対応する複数の標準画像を前記複数の撮像装置の配置順に応じて順次に連結することによって合成画像を生成する合成工程とを備え、前記合成工程は、所定の主被写体を写し込んだ原画像の一部を前記標準画像とする際に、所定の基準点に対する、前記主被写体の位置に応じて前記第2画角を調整する。
【0015】
このような画像処理方法は、所定の主被写体を写し込んだ原画像の一部を前記標準画像とする際に、所定の基準点に対する、前記主被写体の位置に応じて前記第2画角を調整するので、複数の撮像装置それぞれで生成した複数の画像を合成する場合に、被写体を正常に写し出した合成画像を生成できる。
【0016】
本発明の他の一態様にかかる撮像表示装置は、これら上述のいずれかの画像処理装置と、表示面を持つ表示部と、前記複数の撮像装置とを備え、前記複数の撮像装置は、前記表示面の表示領域内に配置されている。好ましくは、上述の撮像表示装置において、前記表示領域は、区分けされた複数の領域から成り、前記複数の撮像装置それぞれは、前記複数の領域それぞれに配置されている(前記撮像装置と前記領域とは1対1で対応している)。好ましくは、前記撮像装置は、前記表示面の前面または背面で、前記領域の中央位置に配置されている。好ましくは、上述の撮像表示装置において、前記表示領域は、区分けされた複数の領域から成り、前記複数の撮像装置それぞれは、互いに隣接する2個の領域の間に形成される複数の隙間領域それぞれに配置されている。
【0017】
これによれば、これら上述のいずれかの画像処理装置を備えた撮像表示装置が提供できる。この撮像表示装置は、これら上述のいずれかの画像処理装置を備えるので、複数の撮像装置それぞれで生成した複数の画像を合成する場合に、被写体を正常に写し出した合成画像を生成できる。
【0018】
他の一態様では、上述の撮像表示装置において、通信部と、前記合成部で生成した合成画像を前記通信部から送信する制御部とをさらに備える。好ましくは、上述の撮像表示装置において、前記通信部は、ネットワークを介して他の表示装置または他の撮像表示装置と通信可能に接続され、前記制御部は、前記他の表示装置または前記他の撮像表示装置に表示するために、前記合成部で生成した合成画像を前記通信部から送信する。
【0019】
このような撮像表示装置は、ネットワークを介して通信可能に接続された、他の表示装置または他の撮像表示装置に、被写体を正常に写し出した合成画像を表示できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明にかかる画像処理装置および画像処理方法は、複数の撮像装置それぞれで生成した複数の画像を合成する場合に、被写体を正常に写し出した合成画像を生成できる。本発明によれば、前記画像処理装置を備えた撮像表示装置が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】実施形態における画像処理装置、および、前記画像処理装置を備えた撮像表示装置を用いたテレビ会議システムの全体構成を示すブロック図である。
【
図2】前記画像処理装置を備えた前記撮像表示装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】前記撮像表示装置における位置用撮像部の配置を説明するための図である。
【
図4】前記撮像表示装置における第1ないし第4撮像部および表示部を説明するための図である。
【
図5】前記撮像表示装置における第2画角の調整を説明するための図である。
【
図6】比較例として、主被写体の位置に応じて第2画角を調整しない場合を説明するための図である。
【
図7】前記撮像表示装置の動作を示すフローチャートである。
【
図8】理想的な撮像表示装置を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明の1または複数の実施形態が説明される。しかしながら、発明の範囲は、開示された実施形態に限定されない。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
【0023】
実施形態における撮像表示装置は、画像を表示し、前記画像を表示する表示面の前方の被写体を撮像する装置であり、表示機能および撮像機能を備える。この撮像表示装置は、画像処理装置と、表示面を持つ表示部と、複数の撮像装置とを備え、前記複数の撮像装置は、前記表示面の表示領域内に配置されている。この撮像表示装置に備えられる画像処理装置は、互いに隣接する2個の撮像装置で各第1画角の一部が重複するように配置された前記複数の撮像装置それぞれで生成した複数の画像を複数の原画像として取得する取得部と、前記第1画角よりも狭い第2画角に対応する前記原画像の一部を標準画像とした場合に、前記複数の原画像それぞれに対応する複数の標準画像を前記複数の撮像装置の配置順に応じて順次に連結することによって合成画像を生成する合成部とを備え、前記合成部は、所定の主被写体を写し込んだ原画像の一部を前記標準画像とする際に、所定の基準点に対する、前記主被写体の位置に応じて前記第2画角を調整する。このような撮像表示装置および画像処理装置について、前記撮像表示装置をテレビ会議システムに利用する例を用いることによって、以下、より具体的に説明する。
【0024】
図1は、実施形態における画像処理装置、および、前記画像処理装置を備えた撮像表示装置を用いたテレビ会議システムの全体構成を示すブロック図である。
図2は、前記画像処理装置を備えた前記撮像表示装置の構成を示すブロック図である。
図3は、前記撮像表示装置における位置用撮像部の配置を説明するための図である。
図3Aは、側面図であり、
図3Bは、上面図である。
図4は、前記撮像表示装置における第1ないし第4撮像部および表示部を説明するための図である。
図4Aは、本実施形態の場合を示し、
図4Bは、変形形態の場合を示す。
図5は、前記撮像表示装置における第2画角の調整を説明するための図である。
図5A、第2画角を調整しない通常の場合を示し、
図5Bは、第2画角を調整する第1ケースの場合を示し、
図5Cは、第2画角を調整する第2ケースの場合を示す。
図6は、比較例として、主被写体の位置に応じて第2画角を調整しない場合を説明するための図である。
図6Aは、主被写体Obにおける体幹面や顔面が、第1原画像における第2画角θ2と第2原画像における第2画角θ2と交差する、表示面からの第1距離Lh1の位置に存在するように、前記主被写体Obが位置する場合を示し、
図6Bは、前記主被写体Obが前記第1距離Lh1より表示面に近い場合を示し、
図6Cは、前記主被写体Obが前記第1距離Lh1より表示面に遠い場合を示す。
図5および
図6において、上段は、正面図であり、下段は、上面図である。
【0025】
実施形態におけるテレビ会議システムSは、例えば、
図1に示すように、ネットワークNWによって相互に通信可能に接続される複数の撮像表示装置ID(ID-1、ID-2、・・・)を備える。テレビ会議システムSには、1または複数の、通信機能を持つ通常の表示装置(例えばWEBカメラ付きのパーソナルコンピュータやスマートフォン等)D(D-1、D-2、・・・)が含まれてもよい。ネットワークNWは、例えば電話網およびデータ通信網等であり、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)であってよい。
【0026】
撮像表示装置IDは、例えば、
図2に示すように、位置用撮像部1と、複数の撮像装置の一例としての複数の撮像部2(
図2に示す例では4個の第11撮像部2-1、第12撮像部2-2、第21撮像部2-3および第22撮像部2-4)と、取得部の一例としてのインターフェース部(IF部)3と、制御処理部4と、記憶部5と、入力部6と、表示部7と、通信部8とを備える。
【0027】
位置用撮像部1は、IF部3を介して制御処理部4に接続され、制御処理部4の制御に従って画像を生成する、例えばデジタルカメラ等の装置である。位置用撮像部1は、例えば、
図3に示すように、表示部7の上部から、その表示面の前方に、所定の長さだけ伸びる、例えばロッド等の支持部材1aに支持されることによって、複数の撮像部2で撮像される被写体における所定の主被写体Obを上方から撮像するように配置される。前記主被写体Obは、任意であり、例えば表示目的に応じた注目対象(例えば人物等)等で予め適宜に設定される。このような配置によって、位置用撮像部1は、前記主被写体の位置に関する位置情報として、前記主被写体を上方から撮像した画像を生成し、前記位置情報としての前記画像をIF部3へ出力する。
【0028】
表示部7は、制御処理部4に接続され、制御処理部4の制御に従って所定の情報を表示する装置であり、例えばCRTディスプレイ、液晶ディスプレイおよび有機ELディスプレイ等の表示装置である。
【0029】
複数の撮像部2は、それぞれ、IF部3を介して制御処理部4に接続され、制御処理部4の制御に従って画像を生成する、例えばデジタルカメラ等の装置である。前記複数の撮像部2は、それぞれ、その生成した画像をIF部3へ出力する。前記複数の撮像部2は、互いに隣接する2個の撮像部2で各第1画角の一部が重複するように、表示部7における表示面の表示領域内に配置される。前記表示領域は、区分けされた複数の領域から成り、前記複数の撮像部2それぞれは、前記複数の領域それぞれに配置される(前記撮像部2と前記領域とは1対1で対応している)。撮像部2は、前記表示面の前面で、前記領域の中央位置に配置される。前記複数の撮像部2は、所定の一方向に沿って、上述の互いに隣接する2個の撮像部2で各第1画角の一部が重複するような所定の間隔で並置され、前記第1画角および後述の第2画角は、それぞれ、前記一方向の画角である。前記一方向は、水平方向であってよく、あるいは、垂直方向であってよい。本実施形態では、前記一方向は、互いに異なる方向である2個の第1および第2サブ方向を含み、前記第1サブ方向は、水平方向であり、前記第2サブ方向は、垂直方向である。
【0030】
より具体的には、
図2に示すでは、前記複数の撮像部2は、4個の第11ないし第22撮像部2-1~2-4である。この場合では、
図4Aに示すように、表示部7における表示面は、2行2列の2次元アレイ状に区分けされた4個の第11領域DP1、第12領域DP2、第21領域DP3および第22領域DP4から成り、第11撮像部2-1は、表示面の前面で第11領域DP1の中央位置に配置され、第12撮像部2-2は、表示面の前面で第12領域DP2の中央位置に配置され、第21撮像部2-3は、表示面の前面で第21領域DP3の中央位置に配置され、第22撮像部2-4は、表示面の前面で第22領域DP4の中央位置に配置される。第11ないし第22撮像部2-1~2-4は、例えば接着によって表示面上に配置される。なお、
図4では、第11ないし第22撮像部2-1~2-4それぞれとIF部3とを接続する配線の図示が省略されている。これにより、例えば、
図5Bに示すように、水平方向に互いに隣接する2個の第11および第12撮像部2-1、2-2は、水平方向における第11撮像部2-1の第1画角θ1の一部と、前記水平方向における第12撮像部2-2の第1画角θ1の一部とが重複するように、配置される。同様に、水平方向に互いに隣接する2個の第21および第22撮像部2-3、2-4は、水平方向における第21撮像部2-3の第1画角の一部と、前記水平方向における第22撮像部2-4の第1画角の一部とが重複するように、配置される。このような第11ないし第22撮像部2-1~2-4は、小型であることが好ましい。なお、
図5Aないし
図5Cでは、説明の都合上、第21および第22領域DP3、DP4ならびに第21および第22撮像部2-3、2-4の図示が省略されている。そして、垂直方向に互いに隣接する2個の第11および第21撮像部2-1、2-3は、垂直方向における第11撮像部2-1の第1画角の一部と、前記垂直方向における第21撮像部2-3の第1画角の一部とが重複するように、配置され、同様に、垂直方向に互いに隣接する2個の第12および第22撮像部2-2、2-4は、垂直方向における第12撮像部2-2の第1画角の一部と、前記垂直方向における第22撮像部2-4の第1画角の一部とが重複するように、配置される。
【0031】
なお、第11ないし第22撮像部2-1~2-4は、例えば前記特許文献1のように、表示面の背面に配置されてもよい。
【0032】
このような4個の第11ないし第22領域DP1~DP4に区分けされる表示面を持つ表示部7は、比較的大画面な1個の表示装置で構成されてよいが、本実施形態では、より大きな画面サイズを実現するために、2行2列の2次元アレイ状で表示面を連続的に順次に接続されるように配置された4個の第11表示部7-1、第12表示部7-2、第21表示部7-3および第22表示部7-4を備えて構成される。
【0033】
なお、
図4Aでは、第11ないし第22撮像部2-1~2-4それぞれは、各領域DPの各中央位置に配置されたが、
図4Bに示すように、第11ないし第22撮像部2-1~2-4それぞれは、互いに隣接する2個の領域の間に形成される複数の隙間領域SPそれぞれに配置されてもよい。より具体的には、
図4Bに示す例では、表示部7aにおける表示面は、3行2列の2次元アレイ状に区分けされた6個の第11ないし第23領域DPa1~DPa6から成り、第11撮像部2-1は、第11領域DPa1と第12領域DPa2との間に形成された第1隙間領域SP12に、その長尺方向の中央位置に配置され、第12撮像部2-2は、第12領域DPa2と第13領域DPa3との間に形成された第2隙間領域SP23に、その長尺方向の中央位置に配置され、第21撮像部2-3は、第21領域DPa4と第22領域DPa5との間に形成された第3隙間領域SP45に、その長尺方向の中央位置に配置され、第22撮像部2-4は、第22領域DPa5と第23領域DPa6との間に形成された第4隙間領域SP56に、その長尺方向の中央位置に配置される。
【0034】
これら位置用撮像部1、および、第11ないし第22撮像部2-1~2-4は、互いに同期して画像を生成する。これら位置用撮像部1、および、第11ないし第22撮像部2-1~2-4は、静止画を生成してよく、あるいは、所定のサンプリング間隔で時系列に連続的に画像を生成してよく、あるいは、所定のフレームレートの動画を生成してよい。
【0035】
IF部3は、制御処理部4に接続され、制御処理部4の制御に従って、外部機器との間でデータの入出力を行う回路であり、例えば、シリアル通信方式であるRS-232Cのインターフェース回路、Bluetooth(登録商標)規格を用いたインターフェース回路、および、USB(Universal Serial Bus)規格を用いたインターフェース回路等である。
【0036】
入力部6は、制御処理部4に接続され、例えば、テレビ会議システムSの開始を指示するコマンドやその終了を指示するコマンド等の各種コマンド、および、テレビ会議システムS(撮像表示装置ID、画像処理装置)を動作させる上で必要な各種データをテレビ会議システムS(撮像表示装置ID、画像処理装置)に入力する機器であり、例えば、所定の機能を割り付けられた複数の入力スイッチやキーボードやマウス等である。
【0037】
通信部8は、制御処理部4に接続され、制御処理部4の制御に従って、外部機器との間で通信を行う回路であり、例えば、データ通信カードや、IEEE802.11規格等に従った通信インターフェース回路等である。
【0038】
記憶部5は、制御処理部4に接続され、制御処理部4の制御に従って、各種の所定のプログラムおよび各種の所定のデータを記憶する回路である。前記各種の所定のプログラムには、例えば、制御処理プログラムが含まれ、前記制御処理プログラムには、撮像表示装置IDの各部1~3、5~8を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御する制御プログラムや、前記位置情報に基づいて、所定の基準点に対する、前記主被写体の位置を求める位置処理プログラムや、前記第1画角よりも狭い第2画角に対応する前記原画像の一部を標準画像とした場合に、前記複数の原画像それぞれに対応する複数の標準画像を前記複数の撮像部2の配置順に応じて順次に連結することによって合成画像を生成する合成プログラム等が含まれる。前記各種の所定のデータには、例えば平面視(上面視)にて表示部7(または複数の撮像部2のいずれか)に対する位置用撮像部1の配置位置、表示領域の各領域の配置位置や各領域に対する前記複数の撮像部2の配置位置等の、これら各プログラムを実行する上で必要なデータが含まれる。このような記憶部5は、例えば不揮発性の記憶素子であるROM(Read Only Memory)や書き換え可能な不揮発性の記憶素子であるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等を備える。そして、記憶部5は、前記所定のプログラムの実行中に生じるデータ等を記憶するいわゆる制御処理部4のワーキングメモリとなるRAM(Random Access Memory)等を含む。なお、記憶部5は、比較的大容量となる画像を記憶するために、大容量を記憶可能なハードディスク装置を備えてもよい。
【0039】
制御処理部4は、撮像表示装置ID(画像処理装置)の各部1~3、5~8を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、互いに隣接する2個の撮像部2で各第1画角の一部が重複するように配置された複数の撮像部2それぞれで生成した複数の原画像に基づいて合成画像を生成するための回路である。制御処理部4は、例えば、CPU(Central Processing Unit)およびその周辺回路を備えて構成される。制御処理部4には、前記制御処理プログラムが実行されることによって、制御部41、位置処理部42および合成部43が機能的に構成される。
【0040】
制御部41は、撮像表示装置ID(画像処理装置)の各部1~3、5~8を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、撮像表示装置ID(画像処理装置)全体の制御を司るものである。本実施形態では、後述の合成部43で生成した合成画像を通信部8から送信するように、通信部8を制御する。
【0041】
位置処理部42は、前記位置情報に基づいて、所定の基準点に対する、前記主被写体の位置を求めるものである。本実施形態では、前記位置情報は、前記主被写体Ob、例えば人物Obを上方から撮像するように配置された位置用撮像部1で生成された画像であるので、位置処理部42は、位置用撮像部1で生成された画像に基づいて、所定の基準点に対する人物Obの位置を求める。より具体的には、位置用撮像部1で撮像される背景の画像(背景画像)が前記各種データの1つとして予め記憶部5に記憶され、位置処理部42は、背景差分法によって人物Obを写し込んだ領域を、位置用撮像部1で生成された画像から抽出し、例えば、
図3Bに示すように、その人物Obを写し込んだ領域の中心位置の座標(x、y)を人物Obの位置として求める。なお、前記背景差分法に代え、フレーム差分法が用いられてもよい。前記所定の基準点は、予め設定された任意の点であってよいが、第2画角を調整するので、好ましくは、複数の撮像部2のうちのいずれかの撮像部2の配設位置であり、より好ましくは、主被写体Obを写し込んだ原画像を生成した撮像部2の配置位置である。このような基準点を座標原点とするxy直交座標系が設定され、主被写体Obの位置の座標が求められる。
図3Bに示す例では、複数の撮像部2における各配設位置を含む平面、本実施形態では、表示部7の表示面、に沿う所定の一方向、例えば、水平方向に沿ってx軸が設定され、前記表示部7の表示面の法線に沿う方向に、y軸が設定される。
【0042】
合成部43は、前記第1画角よりも狭い第2画角に対応する前記原画像の一部を標準画像とした場合に、前記複数の原画像それぞれに対応する複数の標準画像を前記複数の撮像部2の配置順に応じて順次に連結することによって合成画像を生成するものである。例えば、第11撮像部2-1で生成された第1画角の第11原画像から、第2画角の第11標準画像が切り出され、第12撮像部2-2で生成された第1画角の第12原画像から、第2画角の第12標準画像が切り出され、第21撮像部2-3で生成された第1画角の第21原画像から、第2画角の第21標準画像が切り出され、第22撮像部2-1で生成された第1画角の第22原画像から、第2画角の第22標準画像が切り出され、正面視にて、前記第11標準画像に、水平方向の右側で、前記第12標準画像が連結され、前記第11標準画像に、垂直方向の下側で、前記第21標準画像が連結され、前記第12標準画像の垂直方向の下側であって前記第21標準画像の水平方向の右側で、前記第12および第21標準画像それぞれに、前記第22標準画像が連結され、これによって第11ないし第22標準画像の合成画像が生成される。
【0043】
そして、本実施形態では、合成部43は、所定の主被写体Obを写し込んだ原画像の一部を上述の標準画像とする際に、所定の基準点に対する、前記主被写体Obの位置に応じて前記第2画角を調整する。より具体的には、合成部43は、互いに隣接する2個の第1および第2撮像部2で前記主被写体を写し込んだ第1および第2原画像が生成されている場合に、前記第1および第2原画像のうちの一方に対し、前記隣接側の第2画角を所定角度だけ広げ、前記第1および第2原画像のうちの他方に対し、前記隣接側の第2画角を前記所定角度に対応する角度だけ狭くすることで、前記第2画角を調整する。
【0044】
一例として、
図5に示すように、水平方向で互いに隣接する2個の第11および第12撮像部2-1、2-2について、以下に、説明するが、水平方向で互いに隣接する2個の第21および第22撮像部2-3、2-4についても、同様に説明でき、垂直方向で互いに隣接する2個の第11および第21撮像部2-1、2-3についても、同様に説明でき、垂直方向で互いに隣接する2個の第12および第22撮像部2-2、2-4についても、同様に説明できる。なお、位置用撮像部1は、水平方向では上述のように主被写体Obを上方から撮像するように配置され、xy直交座標系が設定されたが、垂直方向では、位置用撮像部1は、主被写体Obを側方から撮像するように配置され、yz直交座標系が設定され、主被写体Obの位置として主被写体Obにおける頭部の位置(y、z)が用いられる。このため、水平方向および垂直方向それぞれの各第2画角を調整する場合、位置用撮像部1は、水平方向用の第1位置用撮像部および垂直方向用の第2位置用撮像部を備えて構成される。主被写体Obの頭部は、位置用撮像部1で生成された位置情報としての画像から、例えば頭部のパターンマッチングや、頭部検出用に機械学習された機械学習モデル等によって、抽出でき、前記頭部の位置は、この抽出した頭部の中心位置の座標(y、z)とされる。
【0045】
第11および第12撮像部2-1、2-2は、それぞれ、
図5Bおよび
図5Cに示すように、第1画角θ1で被写体を撮像し、その画像を生成し、この画像を、IF部3を介して制御処理部4へ出力する。第11撮像部2-1における第1画角θ1の一部は、水平方向の一方端部(例えば上面視にて右端部)で、前記水平方向の他方端部(例えば上面視にて左端部)での、第12撮像部2-1における第1画角θ1の一部と重複している。
【0046】
なお、仮に、他の撮像部2が第11撮像部2-1における水平方向の他方端(例えば上面視にて左端)で前記第11撮像部2-1に隣接して配置されているとすると、第11撮像部2-1における第1画角θ1の一部は、水平方向の他方端部(例えば上面視にて左端部)で、前記水平方向の一方端部(例えば上面視にて右端部)での、前記他の撮像部2における第1画角θ1の一部と重複することになる。
【0047】
第2画角θ2を調整しない場合、合成部43は、第11撮像部2-1で生成した第1画角θ1の第11原画像から第2画角θ2の第11標準画像を切り出し、第12撮像部2-2で生成した第1画角θ1の第12原画像から第2画角θ2の第12標準画像を切り出し、そして、
図5Aに示すように、これら第11および第12標準画像を水平方向で連結することによって、合成画像を生成する。この合成画像を、説明の便宜上、自機IDの表示部7に表示する場合、前記合成画像における前記第11標準画像の部分は、第11表示部7-1に表示され、前記合成画像における第12標準画像の部分は、第12表示部7-2に表示される。このため、第2画角θ2は、第11および第12表示部7-1、7-2における表示面の水平方向の画角に対応するように設定される。主被写体Obにおける体幹面や顔面が、
図5Aおよび
図6Aに示すように、第11原画像における第2画角θ2と第12原画像における第2画角θ2と交差する、表示面からの第1距離Lh1の位置に存在するように、主被写体Obが位置する場合、第11標準画像には、第11撮像部2-1の第2画角θ2の他方境界線上における第1距離Lh1の点を通る表示面の第1法線Lv1から、第11撮像部2-1の第2画角θ2の一方境界線上における第1距離Lh1の点を通る表示面の第2法線(第12撮像部2-2の第2画角θ2の他方境界線上における第1距離Lh1の点を通る表示面の第2法線)Lv2までの間の被写体が写り込まれ、主被写体Obの他方側の半分が写り込まれる。前記場合、第12標準画像には、第12撮像部2-2の第2画角θ2の他方境界線上における第1距離Lh1の点を通る表示面の第2法線Lv2から、第12撮像部2-2の第2画角θ2の一方境界線上における第1距離Lh1の点を通る表示面の第3法線Lv3までの間の被写体が写り込まれ、主被写体Obの一方側の半分が写り込まれる。このため、第2画角θ2を調整する必要は無く、
図5Aおよび
図6Aに示すように、主被写体Obは、正常に写し出される。
【0048】
一方、
図5Bに示すように、主被写体Obにおける体幹面や顔面が、前記第1距離Lh1より表示面に近い表示面からの第2距離Lh2の位置に存在するように、主被写体Obが位置する場合には(第1距離Lh1>第2距離Lh2)、第2画角θ2を調整しないと、
図6Bに示すように、主被写体Obの一部または全部が第2画角θ2の範囲外となり、第2画角θ2の第11および第12標準画像を連結した合成画像には、主被写体Obの一部または全部が欠落することになる。このため、合成部43は、上述のように、互いに隣接する2個の第1および第2撮像部2で前記主被写体を写し込んだ第1および第2原画像が生成されている場合に、前記第1および第2原画像のうちの一方に対し、前記隣接側の第2画角を所定角度だけ広げ、前記第1および第2原画像のうちの他方に対し、前記隣接側の第2画角を前記所定角度に対応する角度だけ狭くすることで、前記第2画角を調整する。
図5Bに示す例では、合成部43は、第12原画像に対し、隣接側の第2画角θ2を第1画角θ1まで所定角度θeだけ広げ(隣接側において、第2画角θ2の他方境界線を第1画角θ1の他方境界線に一致させ、θ2←θ2+θe)、これによって第2画角θ2を調整した第12標準画像を生成する。これにより、第2画角θ2の調整後の第12標準画像には、第12撮像部2-2の第1画角θ1の他方境界線上における第2距離Lh2の点を通る表示面の第4法線Lv4から、前記第3法線Lv3までの間の被写体が写り込まれ、主被写体Obの全体が写り込まれる。そして、合成部43は、第11原画像に対し、上述の第12原画像に対して第2画角θ2を広げた所定角度θeに対応する角度θdだけ、隣接側の第2画角θ2を狭め(θ2←θ2-θd)、これによって第2画角θ2を調整した第11標準画像を生成する。これにより、第2画角θ2の調整後の第11標準画像には、前記第4法線Lv4から前記第1法線Lv1の間の被写体が写り込まれる。言い換えれば、第2画角θ2を調整していない第11標準画像と第2画角θ2の調整後の第12標準画像との重複する画像部分(前記第2法線Lv2から前記第4法線Lv4までの間の被写体を写し込んだ画像部分)が、前記第2画角θ2を調整していない第11標準画像から除去されることによって、第2画角θ2を調整した第11標準画像が生成される。そして、合成部43は、これら第2画角θ2の調整後の第11および第12標準画像を連結することによってその合成画像を生成する。この合成画像を、説明の便宜上、自機IDの表示部7に表示する場合、前記合成画像の前記第12標準画像における調整前の第2画角θ2に対応する部分は、第12表示部7-2に表示され、前記合成画像の前記第12標準画像における第2画角θ2の調整により増加した前記所定角度θeに対応する部分は、第11表示部7-1に表示され、前記合成画像における第11標準画像の部分は、第11表示部7-1に表示される。主被写体Ob全体を写し込んだ第12原画像を第12標準画像として利用するので、主被写体Obは、正常に写し出される。
【0049】
なお、
図5Bに示す場合では、主被写体Obは、第1画角θ1の第11原画像にその全体が写り込むので、第11原画像に対し第2画角θ2を広げ、第12原画像に対し第2画角θ2を狭めることによって、第2画角θ2が調整されてもよい。
【0050】
一方、
図5Cに示すように、主被写体Obにおける体幹面や顔面が、前記第1距離Lh1より表示面から遠い表示面からの第3距離Lh3の位置に存在するように、主被写体Obが位置する場合には(第3距離Lh3>第1距離Lh1)、第2画角θ2を調整しないと、
図6Cに示すように、主被写体Obの一部または全部が第11および第12原画像の各第2画角θ2の範囲内となり、第2画角θ2の第11および第12標準画像を連結した合成画像には、主被写体Obの一部または全部が複数で表示されることになる。このため、合成部43は、上述のように、互いに隣接する2個の第1および第2撮像部2で前記主被写体を写し込んだ第1および第2原画像が生成されている場合に、前記第1および第2原画像のうちの一方に対し、前記隣接側の第2画角を所定角度だけ広げ、前記第1および第2原画像のうちの他方に対し、前記隣接側の第2画角を前記所定角度に対応する角度だけ狭くすることで、前記第2画角を調整する。
図5Cに示す例では、合成部43は、第11原画像に対し、隣接側の第2画角θ2を第1画角θ1まで所定角度θeだけ広げ(隣接側において、第2画角θ2の一方境界線を第1画角θ1の一方境界線に一致させ、θ2←θ2+θe)、これによって第2画角θ2を調整した第11標準画像を生成する。これにより、第2画角θ2の調整後の第11標準画像には、前記第1法線Lv1から、第11撮像部2-1の第1画角θ1の他方境界線上における第3距離Lh3の点を通る表示面の第5法線Lv5までの間の被写体が写り込まれ、主被写体Obの全体が写り込まれる。そして、合成部43は、第12原画像に対し、上述の第11原画像に対して第2画角θ2を広げた所定角度θeに対応する角度θdだけ、隣接側の第2画角θ2を狭め(θ2←θ2-θd)、これによって第2画角θ2を調整した第12標準画像を生成する。これにより、第2画角θ2の調整後の第12標準画像には、前記第5法線Lv5から前記第3法線Lv3の間の被写体が写り込まれる。言い換えれば、第2画角θ2の調整後の第11標準画像と第2画角θ2を調整していない第12標準画像との重複する画像部分(前記第2法線Lv2から前記第5法線Lv5までの間の被写体を写し込んだ画像部分)が、前記第2画角θ2を調整していない第12標準画像から除去されることによって、第2画角θ2を調整した第12標準画像が生成される。そして、合成部43は、これら第2画角θ2の調整後の第11および第12標準画像を連結することによってその合成画像を生成する。この合成画像を、説明の便宜上、自機IDの表示部7に表示する場合、前記合成画像の前記第11標準画像における調整前の第2画角θ2に対応する部分は、第11表示部7-1に表示され、前記合成画像の前記第11標準画像における第2画角θ2の調整により増加した前記所定角度θeに対応する部分は、第12表示部7-2に表示され、前記合成画像における第2標準画像は、第12表示部7-2に表示される。主被写体Obを写し込んだ第11および第12原画像のうちの一方の第11原画像を第11標準画像として利用するので、主被写体Obは、正常に写し出される。
【0051】
なお、上述では、第11原画像に対し第2画角θ2を広げ、第12原画像に対し第2画角θ2を狭めることによって、第2画角θ2が調整されたが、第12原画像に対し第2画角θ2を広げ、第11原画像に対し第2画角θ2を狭めることによって、第2画角θ2が調整されてもよい。
【0052】
互いに隣接する撮像部2間の距離、撮像部2の画角、主被写体Obの大きさ(サイズ)および主被写体Obの位置に応じて第2画角θ2を広狭する撮像部2が決定される。本実施形態では、互いに隣接する2個の第1および第2撮像部2のうちのいずれか1つの撮像部2の配置位置、例えば、
図5に示す例では、第11撮像部2-1の配設位置が前記所定の基準点とされ、第1および第2撮像部2で前記主被写体Obを写し込んだ第1および第2原画像を生成した場合において、主被写体Obの位置と、隣接側の第2画角θ2を所定角度θeだけ広げる対象の撮像部2(原画像)および隣接側の第2画角θ2を前記所定角度θeに対応する角度θdだけ狭める対象の撮像部2(原画像)との関係を表す情報(第2画角調整用情報)が予め用意され、この第2画角調整用情報が記憶部5に前記各種データの1つとして予め記憶され、合成部43は、前記所定の基準点に対する、位置処理部42で求めた主被写体Obの位置に基づき第2画角調整用情報を参照することによって、前記第1および第2原画像のうちの一方に対し、前記隣接側の第2画角θ2を所定角度θeだけ広げ、前記第1および第2原画像のうちの他方に対し、前記隣接側の第2画角θ2を前記所定角度θeに対応する角度θdだけ狭くすることで、前記第2画角θ2を調整する。
【0053】
なお、上述では、標準画像の第2画角θを調整する場合、前記第2画角θ2が第1画角θ1まで所定角度θeだけ広げられたが、前記第2画角θ2は、主被写体Ob全体を含む所定角度θeだけ広げられてもよい。
【0054】
上述の説明では、説明の便宜上、合成画像は、自機IDの表示部7に表示される場合について説明したが、テレビ会議システムSでは、自機IDにネットワークNWを介して通信可能に接続された他の撮像表示装置IDや他の表示装置Dの表示部に表示される。もちろん、撮像表示装置IDがスタンドアローンで用いられる場合等では、合成画像は、自機IDの表示部7に表示されてよい。あるいは、テレビ会議システムでも、他の撮像表示装置IDで生成された合成画像を表示している表示部7の表示領域の一部にウィンドウが新たに設けられ、自機IDの合成画像が前記ウィンドウに表示されてもよい。
【0055】
これら制御処理部4、記憶部5、入力部6、通信部8およびIF部3は、例えば、通信機能付きの、デスクトップ型やノート型等のコンピュータによって構成可能である。
【0056】
このような構成の撮像表示装置IDにおいて、IF部3および制御処理部4の合成部43が画像処理装置を構成し、その一例に相当する。
【0057】
次に、本実施形態の動作について説明する。
図7は、前記撮像表示装置の動作を示すフローチャートである。
図8は、理想的な撮像表示装置を説明するための図である。
図8Aは、微小カメラの画角を説明するための上面図であり、
図8Bは、RGB画素および前記微小カメラの配列を説明するための正面図であり、
図8Cは、RGB画素および前記微小カメラの配列の変形形態を説明するための図である。
【0058】
このような構成のテレビ会議システムSの撮像表示装置ID(画像処理装置)は、その電源が投入されると、必要な各部の初期化を実行し、その稼働を始める。制御処理部4には、その制御処理プログラムの実行によって、制御部41、位置処理部42および合成部43が機能的に構成される。テレビ会議システムSの開始の指示を入力部6で受け付けると、撮像表示装置IDは、制御処理部4の制御部41によって、通信部8を制御することにより、通信先の他の撮像表示装置IDや他の表示装置DとネットワークNWと通信可能に接続する。そして、例えば、テレビ会議システムSの終了の指示を入力部6で受け付けるまで、合成画像の生成およびその送信に関し、以下の
図7に示す各処理S1~S7が予め適宜に設定された所定のサンプリング間隔、例えば所定のフレームレートに対応する間隔で繰り返し実行される。
【0059】
図7において、まず、撮像表示装置IDは、制御処理部4の制御部41によって、位置用撮像部1および複数の撮像部2で位置情報としての画像および複数の原画像を取得する(S1)。
【0060】
次に、撮像表示装置IDは、制御処理部4の位置処理部42によって、所定の基準点に対する、主被写体Obの位置を求める(S2)。
【0061】
次に、撮像表示装置IDは、制御処理部4の合成部43によって、互いに隣接する2個の撮像部2において、第2画角θ2の調整が必要か否かを判定する。例えば、合成部43は、位置処理部42で求めた主被写体Obの位置に基づき第2画角調整用情報を参照することによって、第2画角θ2の調整が必要か否かを判定する。この判定の結果、第2画角θ2の調整が必要ではない場合(No)には、撮像表示装置Dは、次に、処理S4を実行する。一方、前記判定の結果、第2画角θ2の調整が必要である場合(Yes)には、撮像表示装置Dは、次に、処理S5を実行する。
【0062】
この処理S4では、撮像表示装置IDは、合成部43によって、
図5Aを用いて説明したように、処理S3で判定した前記互いに隣接する2個の撮像部2で生成した各原画像それぞれから、第2画角θ2で切り出して各標準画像を生成する。
【0063】
前記処理S5では、撮像表示装置IDは、合成部43によって、
図5Bおよび
図5Cを用いて説明したように、処理S3で判定した前記互いに隣接する2個の撮像部2で生成した各原画像のうちの一方に対し、前記隣接側の第2画角を所定角度だけ広げ、前記各原画像のうちの他方に対し、前記隣接側の第2画角を前記所定角度に対応する角度だけ狭くすることで、前記第2画角を調整し、前記第2画角を調整した各標準画像を生成する。
【0064】
このような処理S3ないし処理S5が、前記複数の撮像部2における、互いに隣接する2個の撮像部2の全ての組について実行され、前記全ての組についての実行が終了すると、撮像表示装置Dは、次に、処理S6を実行する。
【0065】
この処理S6では、撮像表示装置IDは、合成部43によって、前記複数の原画像それぞれについての複数の標準画像を前記複数の撮像部2の配置順に応じて順次に連結することによって合成画像を生成し、次に、処理S7を実行する。
【0066】
この処理S7では、撮像表示装置IDは、制御処理部4の制御部41によって、通信部8を制御することにより、処理S6で生成した合成画像を、通信先の他の撮像表示装置IDや他の表示装置Dへ送信し、今回の処理を終了する。
【0067】
テレビ会議システムに好適に利用できる撮像表示装置は、理想的には、
図8Aに示すように、画角の広がらない複数の微小カメラを、
図8Bに示すように、RGBの各画素に並置するように、あるいは、
図8Cに示すように、RGBの各画素と合わせて1個の画素を構成するように、RGBの各画素の組ごとに備えることが好ましい。このような理想的な撮像表示装置では、主被写体Obが表示面の前におけるいずれの位置でいずれの方向を向いて位置しても、主被写体Obを各微小カメラで撮像し、主被写体Obを正常に写し出せる。このような複数の微小カメラをRGBの各画素の組ごとに組み込むことは、現時点では、現実的ではなく、本実施形態のように、表示領域を区分けした複数の領域それぞれにカメラを設けることが現実的である。
【0068】
このような場合、単に、第2画角の標準画像を順次に連結することによって合成画像を生成する場合、主被写体Obの位置によって、
図6Bおよび
図6Cを用いて上述したように、前記主被写体Obの一部が欠けて前記合成画像に写し出されたり、前記主被写体Obが複数で前記合成画像に写し出されたり等の、前記主被写体Obが正常に写し出されない場合が生じる。
【0069】
実施形態における撮像表示装置ID、これに備えられた画像処理装置およびこれに実装された画像処理方法は、所定の主被写体を写し込んだ原画像の一部を前記標準画像とする際に、第1画角の原画像に正常に写り込んでいる主被写体の画像領域を利用するために、所定の基準点に対する、前記主被写体の位置に応じて前記第2画角を調整する。このため、上記撮像表示装置ID、画像処理装置および画像処理方法は、複数の撮像部2それぞれで生成した複数の画像を合成する場合に、被写体を正常に写し出した合成画像を生成できる。
【0070】
上記撮像表示装置ID、画像処理装置および画像処理方法は、主被写体が一方向に、例えば水平方向に移動する場合でも、あるいは例えば主被写体の頭部が垂直方向に移動する場合でも、前記主被写体を正常に写し出した合成画像を生成できる。
【0071】
上記撮像表示装置IDは、ネットワークを介して通信可能に接続された、他の表示装置または他の撮像表示装置に、被写体を正常に写し出した合成画像を表示できる。
【0072】
なお、上述の実施形態では、主被写体Obの位置は、位置用撮像部1で生成した、位置情報としての画像に基づいて求めたが、撮像表示装置ID(画像処理装置)は、主被写体Obの位置を測定する、例えば赤外線レーザ光を用いたレーダ装置等の位置測定部を備えてもよい。このような位置測定部は、位置用撮像部1のように、前記主被写体Obを上方から測定するように配置されてよく、あるいは、撮像部2のように、表示部7における表示面の前面、その背面、または、隙間領域SPに配置されてよい。このような位置測定部は、小型であることが好ましい。あるいは、撮像表示装置ID(画像処理装置)は、主被写体Obを写し込んだ1対の原画像をステレオ画像として前記主被写体Obの位置を求める位置演算部を備えてもよい。この場合では、互いに隣接する2個の撮像装置の間隔が基線長として、前記各種データの1つとして予め記憶部5に記憶され、前記1対の原画像から前記主被写体Obの視差が求められ、いわゆる三角測量の原理から、前記主被写体Obの位置が求められる。
【0073】
また、上述の実施形態において、前記複数の撮像部2は、動画を生成する装置であり、前記複数の原画像は、動画であり、前記合成部43は、前記第2画角の調整における広狭を切り換える際に、前記標準画像をモーフィングしてもよい。例えば、
図5に示す例において、第12原画像に対し第2画角θ2を広げ、第11原画像に対し第2画角θ2を狭めることによって第2画角θ2を調整している場合に、主被写体Obの水平方向の移動により、広狭を切り換えて、第12原画像に対し第2画角θ2を狭め、第11原画像に対し第2画角θ2を広げることによって第2画角θ2を調整する際に、第11および第12標準画像がモーフィングされる。前記モーフィングでは、切換え前の画像から切換え後の画像へ変形していく複数の中間画像がコンピュータグラフィックスの手法により補完して生成され、表示される。前記モーフィングには、公知の常套手段が利用される。このような撮像表示装置ID、画像処理装置および画像処理方法は、標準画像をモーフィングするので、第2画角の調整における広狭を切り換える際に、主被写体が滑らかに動く合成画像の動画を生成できる。
【0074】
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
【符号の説明】
【0075】
S テレビ会議システム、ID 撮像表示装置、1 位置用撮像部、2(2-1~2-4) 撮像部、3 インターフェース部(IF部)、4 制御処理部、5 記憶部、6 入力部、7 表示部、8 通信部、41 制御部、42 位置処理部、43 合成部