(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022117685
(43)【公開日】2022-08-12
(54)【発明の名称】車輪係合構造および車輪装置
(51)【国際特許分類】
B60B 37/04 20060101AFI20220804BHJP
B60B 3/16 20060101ALI20220804BHJP
【FI】
B60B37/04 L
B60B3/16 Z
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021014306
(22)【出願日】2021-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮永 俊作
(72)【発明者】
【氏名】大城 佑輔
(57)【要約】
【課題】アウタホイールの動きを容易に抑制する車輪係合構造および車輪装置を提供する。
【解決手段】アクスルシャフトに固定されたハブおよび車輪に固定されたホイールの一方から他方に向かって突出する凸部と、ハブおよびホイールの他方に凸部を収容するように形成され、凸部に対して車輪の回転方向に係合する係合部とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクスルシャフトに固定されたハブおよび車輪に固定されたホイールの一方から他方に向かって突出する凸部と、
前記ハブおよびホイールの他方に前記凸部を収容するように形成され、前記凸部に対して前記車輪の回転方向に係合する係合部とを備える車輪係合構造。
【請求項2】
前記凸部は、前記ハブに形成され、
前記係合部は、前記ホイールに形成される請求項1に記載の車輪係合構造。
【請求項3】
前記係合部は、前記ホイールの中央部に形成された開口部の縁部を車幅方向に延びる溝から形成され、
前記凸部は、前記開口部に挿入される前記ハブの挿入部から前記係合部の内側に突出するように形成される請求項2に記載の車輪係合構造。
【請求項4】
前記凸部は、矩形状の横断面を有する請求項2または3に記載の車輪係合構造。
【請求項5】
前記凸部は、車幅方向において車両内側から車両外側に延びるように配置され、先端部の幅が車両外側に向かって徐々に小さくなるように形成された請求項2~4のいずれか一項に記載の車輪係合構造。
【請求項6】
前記凸部は、突出方向の高さが前記先端部に向かって徐々に小さくなるように形成された請求項5に記載の車輪係合構造。
【請求項7】
車輪と、
アクスルシャフトと、
前記アクスルシャフトに固定されたハブと、
前記車輪に固定されたホイールと、
前記ハブおよび前記ホイールの一方から他方に向かって突出する凸部と、前記ハブおよびホイールの他方に形成されて前記凸部に対して前記車輪の回転方向に係合する係合部とを有する車輪係合構造とを備える車輪装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車輪係合構造および車輪装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、アクスルシャフトに固定されたハブに対して、車輪のホイールが締結ピンで締結されている。この締結ピンは、ハブとホイールを貫通する締結孔に挿入され、その先端部に形成されたねじ部に締結ナットを螺合することでハブとホイールを締結する。
【0003】
ここで、締結ピンのねじ部は、例えば、ホイールを形成するインナホイールとアウタホイールうちインナホイールに対応する位置からアウタホイールを介して外側まで延びるように形成されている。ねじ部は、一般的に、締結孔の孔径より小さな径で形成されるため、締結孔内にはねじ部との間に隙間、すなわちアウタホイールの幅全体にわたる範囲に隙間が生じることになる。このため、締結ナットに緩みが生じると、アウタホイールが車輪の回転に応じて締結ピンに対して偏心運動するように隙間を移動し、このアウタホイールの移動に応じて締結ナットの緩みがさらに進行するおそれがある。
【0004】
そこで、締結ナットの緩みを抑制する技術として、例えば、特許文献1には、インナーナットの緩み回転を防止できるダブルホイール取付け構造が開示されている。この構造は、インナーナットとロックハブナットが軸方向に互いに反対方向に移動するように形成されるため、インナーナットの緩みを抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の装置は、複雑な構造を有し、ホイールを取り付ける作業性が低下するおそれがある。また、締結ナットの緩み自体を抑制するものであり、ホイールの動きを抑制するものではなかった。
【0007】
本開示は、ホイールの動きを容易に抑制する車輪係合構造および車輪装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る車輪係合構造は、アクスルシャフトに固定されたハブおよび車輪に固定されたホイールの一方から他方に向かって突出する凸部と、ハブおよびホイールの他方に凸部を収容するように形成され、凸部に対して車輪の回転方向に係合する係合部とを備えるものである。
【0009】
本開示に係る車輪装置は、車輪と、アクスルシャフトと、アクスルシャフトに固定されたハブと、車輪に固定されたホイールと、ハブおよびホイールの一方から他方に向かって突出する凸部と、ハブおよびホイールの他方に形成されて凸部に対して車輪の回転方向に係合する係合部とを有する車輪係合構造とを備えるものである。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、アウタホイールの動きを容易に抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の実施の形態に係る車輪係合構造を備えた車輪装置の構成を示す図である。
【
図4】実施の形態2の凸部の回転方向の形状を示す断面図である。
【
図5】実施の形態2の凸部の突出方向の形状を示す断面図である。
【
図6】実施の形態3の車輪係合構造の構成を示す正面図である。
【
図7】実施の形態1~3の変形例に係る車輪係合構造の構成を示す断面図である。
【
図8】実施の形態1~3の他の変形例に係る車輪係合構造の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示に係る実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0013】
図1に、本開示の実施の形態に係る車輪係合構造を備えた車輪装置の構成を示す。車輪装置は、アクスルハウジング1と、アクスルシャフト2と、ハブ3と、車輪4aおよび4bと、ホイール5と、締結部6とを有する。なお、車輪装置は、商用車などの車両、例えばトラックなどに設けることができる。
【0014】
アクスルハウジング1は、車体に固定され、車幅方向に延びる管形状を有する。アクスルハウジング1の内部には、軸受けなどが配置され、アクスルシャフト2を回転可能に収容する。
【0015】
アクスルシャフト2は、アクスルハウジング1内を車幅方向に延びるように配置され、自らの中心軸の周りに回転可能にアクスルハウジング1に支持されている。アクスルシャフト2は、図示しない車両の駆動部から駆動力が伝達され、その駆動力に応じて回転する。また、アクスルシャフト2の端部は、アクスルハウジング1から外部に露出するように配置されてハブ3に固定されている。
【0016】
ハブ3は、アクスルハウジング1に対してホイール5を回転可能に支持するもので、基部3aと、挿入部3bとを有する。
【0017】
基部3aは、アクスルシャフト2を中心とした円板形状を有し、表面および裏面が車幅方向を向くように配置されている。
挿入部3bは、基部3aの中央部から車両側方に突出するように配置されている。挿入部3bの中央部には、アクスルハウジング1およびアクスルシャフト2が挿入される貫通孔が形成されている。この貫通孔には、アクスルハウジング1の外周壁を囲むように軸受けなどが配置されており、アクスルハウジング1に対してハブ3が回転可能に支持されている。また、挿入部3bには、アクスルハウジング1から外部に露出するアクスルシャフト2の端部が複数の固定部材7で固定されている。これにより、ハブ3が、アクスルシャフト2の回転に応じてアクスルハウジング1の周りに回転することになる。
【0018】
車輪4aおよび4bは、アクスルシャフト2の回転に応じて転動するもので、アクスルシャフト2を中心軸として車幅方向に並ぶように配置されている。
【0019】
ホイール5は、ハブ3に対して車輪4aおよび4bを支持するもので、基部3aに対して車両外側に配置されている。また、ホイール5の中央部には、開口部5aが形成され、ハブ3の挿入部3bが開口部5aに挿入されて外部に露出されている。具体的には、ホイール5は、インナホイール8と、アウタホイール9とを有する。
【0020】
インナホイール8は、車輪4aに対応して配置されており、リム部8aと、ディスク部8bとを有する。リム部8aは、車輪4aを内側から支持するもので、車輪4aの内周部に沿った円環形状を有し、車輪4aの内周部に固定されている。ディスク部8bは、中央部に開口部5aが形成された円板形状を有し、基部3aの車両外側に重なるように配置されている。ディスク部8bは、中央部側に対して外周部側が車輪4a側に湾曲、すなわち車両内側に湾曲するように形成され、その外周部近傍がリム部8aに固定されている。
【0021】
アウタホイール9は、車輪4bに対応して配置されており、リム部9aと、ディスク部9bとを有する。リム部9aは、車輪4bを内側から支持するもので、車輪4bの内周部に沿った円環形状を有し、車輪4bの内周部に固定されている。ディスク部9bは、ディスク部8bの車両外側に重なるように配置されている。ディスク部9bは、中央部に開口部5aが形成された円板形状を有し、中央部側がディスク部8bの車両外側に重なるように配置されている。また、ディスク部9bの外周部側は、中央部側に対して車輪4b側に湾曲、すなわち車両外側に湾曲するように形成され、その外周部近傍がリム部9aに固定されている。
【0022】
このように、ハブ3の基部3a、インナホイール8のディスク部8bおよびアウタホイール9のディスク部9bは、車幅方向に互いに当接して重なる重なり部分を有し、この重なり部分を貫通する締結孔10が形成されている。
【0023】
締結部6は、締結ピン11と、締結ナット12とを有する。締結ピン11は、ハブ3側からアウタホイール9側に延びるように形成されて締結孔10に挿入されている。また、締結ナット12は、締結孔10から外部に露出する締結ピン11のねじ部に螺合するように形成されている。これにより、締結ピン11の頭部と締結ナット12との間で、ハブ3、インナホイール8およびアウタホイール9が互いに固定される。
【0024】
図2に示すように、締結部6は、車輪4bの中心軸の周りに所定の間隔を空けて複数箇所に配置されている。そして、周方向に隣り合う締結部6の間には、凸部13と、係合部14とが形成されている。
【0025】
係合部14は、車輪の回転方向D1に凸部13と係合するもので、凸部13を収容するようにホイール5に形成されている。具体的には、係合部14は、ホイール5の中央部に形成された開口部5aの縁部を車幅方向に延びる溝状に形成されている。ここで、係合部14は、矩形状の横断面を有するように形成されている。
【0026】
凸部13は、開口部5aに挿入されるハブ3の挿入部3bから係合部14の内側に突出するように形成されている。ここで、凸部13は、係合部14に対応して、矩形状の横断面を有するように形成されている。このとき、凸部13は、回転方向D1に係合部14の内面に当接する一対の対向面13aおよび13bを有し、この対向面13aおよび13bが係合部14と回転方向D1に係合することになる。
【0027】
図3に示すように、係合部14は、車幅方向D2にホイール5の幅全体にわたって延びる、すなわちインナホイール8およびアウタホイール9にわたって延びるように形成されている。また、凸部13は、車幅方向D2に係合部14の全長にわたって延びるように形成されている。なお、凸部13および係合部14は、本開示の車輪係合構造を構成するものである。
【0028】
次に、本実施の形態の動作について説明する。
【0029】
まず、
図1に示すように、ハブ3に対してインナホイール8およびアウタホイール9が締結部6で固定され、アクスルシャフト2の回転に応じて車輪4aおよび4bが回転される。このとき、締結ピン11に対して締結ナット12が強固に締結されている場合には、締結ナット12に緩みが生じることなく、ハブ3にホイール5を強固に固定した状態で車輪4aおよび4bを回転させることができる。しかしながら、締結ナット12の締結力が緩んだ状態で車輪4aおよび4bを回転させると、締結ナット12の緩みがさらに進行するおそれがある。
【0030】
例えば、締結ピン11のねじ部は、締結孔10内から外部に延びるように形成、具体的にはインナホイール8の位置からアウタホイール9を介して締結孔10の外側に延びるように形成されている。一般的に、ねじ部は、締結ピン11の胴部(非ねじ部)より小さい径、すなわち締結孔10の孔径より小さい径を有するため、締結孔10内にはアウタホイール9の幅全体にわたる範囲に隙間G1が形成される。
【0031】
このため、締結ナット12の締結力に緩みが生じた場合には、アウタホイール9が、車輪4aおよび4bの回転に応じて、締結ピン11に対して偏心運動するように隙間G1を移動するおそれがある。そして、アウタホイール9の偏心運動に伴って締結ナット12が緩み方向に回転し、締結ナット12の緩みが進行することになる。
【0032】
そこで、本開示では、
図2に示すように、係合部14が、ハブ3からホイール5に向かって突出する凸部13を収容するように形成されて、凸部13に対して回転方向D1に係合する。これにより、凸部13が、ホイール5を回転方向D1に支持し、例えばアウタホイール9が隙間G1を移動するのを抑制することができる。また、ハブ3にホイール5を取り付ける作業では、開口部5aに挿入部3bを挿入すると同時に、係合部14に凸部13を嵌め込むだけでよく、作業性の低下を抑制することができる。このように、ホイール5の動きを容易に抑制することができ、これにより締結ナット12の緩みの進行が抑制される。
【0033】
このとき、凸部13はハブ3に形成され、係合部14はホイール5に形成されている。これにより、凸部13および係合部14を容易に形成することができる。また、凸部13および係合部14を所定の強度で形成することができ、ホイール5の動きを確実に抑制することができる。
【0034】
また、係合部14が開口部5aの縁部を車幅方向D2に延びる溝状に形成され、凸部13がハブ3の挿入部3bから係合部14の内側に突出するように形成されている。これにより、凸部13および係合部14を容易に形成することができる。また、凸部13を係合部14に確実に係合させることができ、ホイール5の動きを確実に抑制することができる。
【0035】
また、凸部13は、矩形状の横断面を有するように形成されている。これにより、凸部13は、係合部14の内面に対して一対の対向面13aおよび13bで強固に係合するため、ホイール5の動きをより確実に抑制することができる。
【0036】
このとき、一対の対向面13aおよび13bは、係合部14の内面に当接するように配置されているため、ホイール5の動きをさらに確実に抑制することができる。
なお、一対の対向面13aおよび13bは、係合部14の内面に対向して配置されていればよく、当接するものに限られるものではない。例えば、一対の対向面13aおよび13bは、締結ピン11のねじ部とアウタホイール9との隙間G1に比べて、係合部14の内面との間隔が小さくなるように対向して配置することができる。
【0037】
また、
図3に示すように、係合部14は車幅方向D2にホイール5の幅全体にわたって延びるように形成され、凸部13は、車幅方向D2に係合部14の全長にわたって延びるように形成されている。これにより、ホイール5の動きをより確実に抑制することができる。
【0038】
また、凸部13の突出方向D3における凸部13と係合部14との間隔は、回転方向D1における凸部13と係合部14との間隔より大きくなるように形成することができる。これにより、ハブ3にホイール5を取り付ける作業性を向上させることができる。
なお、凸部13は、突出方向D3において係合部14の内面に係合するように形成、すなわち隙間G1より小さな間隔となるように形成してもよい。これにより、凸部13が、回転方向D1だけでなく、突出方向D3にもホイール5を支持するため、ホイール5の動きをより確実に抑制することができる。
【0039】
このように、ホイール5の動きを抑制することで、締結ナット12の緩みの進行が抑制されるため、車両を安全に走行させることができる。
【0040】
本実施の形態によれば、凸部13が、ハブ3からホイール5に向かって突出するように形成され、係合部14が、凸部13を収容するようにホイール5に形成されて凸部13に対して回転方向D1に係合する。これにより、凸部13が、ホイール5を回転方向D1に支持するため、ホイール5の動きを容易に抑制することができ、締結ナット12の緩みの進行を抑制することができる。
【0041】
(実施の形態2)
以下、本開示の実施の形態2について説明する。ここでは、上記の実施の形態1との相違点を中心に説明し、上記の実施の形態1との共通点については、共通の参照符号を使用して、その詳細な説明を省略する。
【0042】
上記の実施の形態1では、凸部13は、回転方向D1に一定の幅で車幅方向D2に延びるように形成されたが、回転方向D1において係合部14と係合できればよく、これに限られるものではない。
【0043】
例えば、
図4に示すように、実施の形態1の凸部13に換えて凸部21を配置することができる。
【0044】
凸部21は、車幅方向D2において車両内側から車両外側に延びるように配置され、先端部の回転方向D1の幅が車両外側に向かって徐々に小さくなるように形成されている。具体的には、凸部21は、係合部14内では回転方向D1に一定の幅で車幅方向D2に延びるように形成されている。そして、係合部14から外部に露出する凸部21の先端部が、回転方向D1の幅を徐々に小さくするように形成されている。
【0045】
また、
図5に示すように、凸部21は、突出方向D3の高さが先端部に向かって徐々に小さくなるように形成されている。具体的には、凸部21の高さは、基端部から先端部に向かって徐々に小さくなるように形成されている。
【0046】
このように、凸部21の先端部の幅が車両外側に向かって徐々に小さくなるように形成されている。これにより、ホイール5をハブ3に取り付ける際に、凸部21を係合部14に容易に嵌め込むことができ、作業性の低下を抑制することができる。
【0047】
また、凸部21は、係合部14内では回転方向D1に一定の幅で係合部14の内面に沿って車幅方向D2に延びるように形成されている。これにより、凸部21が係合部14に強固に係合するため、ホイール5の動きを確実に抑制することができ、締結ナット12の緩みの進行を確実に抑制することができる。
【0048】
また、凸部21は、突出方向D3の高さが先端部に向かって徐々に小さくなるように形成されている。これにより、ホイール5をハブ3に取り付ける際に、凸部21を係合部14に容易に嵌め込むことができ、作業性の低下を抑制することができる。
このとき、凸部21の高さは、基端部から先端部にわたって徐々に小さくなるように形成されている。これにより、ホイール5をハブ3に取り付ける作業性の低下を確実に抑制することができる。
【0049】
本実施の形態によれば、凸部21の先端部の幅が、車両外側に向かって徐々に小さくなるように形成されている。これにより、ホイール5をハブ3に取り付ける際に、凸部21を係合部14に容易に嵌め込むことができ、ホイール5を取り付ける作業性の低下を抑制することができる。
【0050】
(実施の形態3)
以下、本開示の実施の形態3について説明する。ここでは、上記の実施の形態1および2との相違点を中心に説明し、上記の実施の形態1および2との共通点については、共通の参照符号を使用して、その詳細な説明を省略する。
【0051】
上記の実施の形態1および2では、凸部および係合部14は、一箇所に配置されたが、複数箇所に配置することもできる。
【0052】
例えば、
図6に示すように、実施の形態1の凸部13および係合部14に換えて、凸部31aおよび31bと、係合部32aおよび32bとを配置することができる。
【0053】
係合部32aおよび32bは、車輪4aおよび4bの中心軸に対して互いに反対側に配置され、ホイール5の中央部に形成された開口部5aの縁部を車幅方向D2に延びる溝状に形成されている。ここで、係合部32aおよび32bは、凸部31aおよび31bに対して、回転方向D1に幅広く形成されている。
【0054】
凸部31aは、ハブ3の挿入部3bから係合部32aの内側に突出して、係合部32a内に収容されるように形成されている。ここで、凸部31aは、回転方向D1に係合部32aの内面に対向する一対の対向面33aおよび33bを有する。一方の回転方向に形成された対向面33aは、係合部32aの内面に当接するように配置されている。また、他方の回転方向に形成された対向面33bは、係合部32aの内面に対して隙間G2を空けて対向するように配置されている。すなわち、凸部31aは、係合部32aと一方の回転方向にのみ係合することになる。
【0055】
凸部31bは、ハブ3の挿入部3bから係合部32bの内側に突出して、係合部32b内に収容されるように形成されている。ここで、凸部31bは、回転方向D1に係合部32bの内面に対向する一対の対向面34aおよび34bを有する。一方の回転方向に形成された対向面34aは、係合部32bの内面に対して隙間G3を空けて対向するように配置されている。また、他方の回転方向に形成された対向面34bは、係合部32bの内面に当接するように配置されている。すなわち、凸部31bは、係合部32bと他方の回転方向にのみ係合することになる。
【0056】
このように、凸部31aおよび31bが、係合部32aおよび32bに対して一方の回転方向と他方の回転方向にそれぞれ係合することにより、ホイール5の動きを抑制して、締結ナット12の緩みの進行を抑制することができる。ここで、凸部31aおよび31bと係合部32aおよび32bとの間には隙間G2およびG3が形成されるため、ホイール5を取り付ける際に、凸部31aおよび31bを係合部32aおよび32bに容易に嵌め込むことができ、作業性の低下を抑制することができる。
【0057】
本実施の形態によれば、係合部32aおよび32bは、凸部31aおよび31bより回転方向D1に幅広く形成され、凸部31aの対向面33aが係合部32aの内面に係合すると共に凸部31bの対向面34bが係合部32bの内面に係合するように形成される。これにより、凸部31aおよび31bと係合部32aおよび32bとの間には隙間G2およびG3が形成されるため、凸部31aおよび31bを係合部32aおよび32bに容易に嵌め込むことができ、ホイール5を取り付ける作業性の低下を抑制することができる。
【0058】
なお、上記の実施の形態1~3では、係合部は、ホイール5の開口部5aの縁部を車幅方向D2に延びる溝から形成されたが、凸部を収容するように形成されていればよく、これに限られるものではない。
例えば、
図7に示すように、実施の形態1の係合部14に換えて係合部41を配置することもできる。この係合部41は、ホイール5の開口部5aの縁部から窪んだ凹部から形成されている。これにより、係合部41は、ハブ3の挿入部3bから突出する凸部13を収容し、凸部13に対して回転方向D1に係合することができる。
【0059】
また、上記の実施の形態1~3では、係合部は、ホイール5の開口部5aの縁部に形成されたが、凸部を収容するように形成されていればよく、これに限られるものではない。
例えば、
図8に示すように、実施の形態1の係合部14に換えて係合部42を配置すると共に、凸部13に換えて凸部43を配置することができる。係合部42は、ホイール5を車幅方向D2に貫通する貫通孔から形成される。また、凸部43は、ハブ3の基部3aから係合部42内に突出するように形成される。これにより、係合部42は、凸部43を収容し、凸部43に対して回転方向D1に係合することができる。
【0060】
また、上記の実施の形態1~3では、凸部がハブ3に形成されると共に係合部がホイール5に形成されたが、凸部をホイール5に形成すると共に係合部をハブ3に形成することもできる。
【0061】
その他、上記の実施の形態は、何れも本発明の実施をするにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。例えば、上記の実施の形態で説明した各部の形状や個数などについての開示はあくまで例示であり、適宜変更して実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本開示に係る車輪係合構造は、ハブにホイールを取り付ける構造に利用できる。
【符号の説明】
【0063】
1 アクスルハウジング
2 アクスルシャフト
3 ハブ
3a 基部
3b 挿入部
4a,4b 車輪
5 ホイール
5a 開口部
6 締結部
7 固定部材
8 インナホイール
8a,9a リム部
8b,9b ディスク部
9 アウタホイール
10 締結孔
11 締結ピン
12 締結ナット
13,21,31a,31b,43 凸部
13a,13b,33a,33b,34a,34b 対向面
14,32a,32b,41,42 係合部
D1 回転方向
D2 車幅方向
D3 突出方向
G1 隙間