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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022117689
(43)【公開日】2022-08-12
(54)【発明の名称】コイルの鍛造装置
(51)【国際特許分類】
   B21J 5/08 20060101AFI20220804BHJP
   H02K 15/04 20060101ALI20220804BHJP
   H02K 15/085 20060101ALI20220804BHJP
   B21J 5/00 20060101ALN20220804BHJP
【FI】
B21J5/08 Z
H02K15/04 A
H02K15/085
B21J5/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021014318
(22)【出願日】2021-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100202728
【弁理士】
【氏名又は名称】三森 智裕
(72)【発明者】
【氏名】石川 雅大
(72)【発明者】
【氏名】藪井 博昭
(72)【発明者】
【氏名】星野 彰教
【テーマコード(参考)】
4E087
5H615
【Fターム(参考)】
4E087AA10
4E087BA04
4E087BA07
4E087CA13
4E087DB14
4E087DB18
4E087DB24
4E087EC13
4E087EC50
4E087HA91
5H615AA01
5H615BB05
5H615BB14
5H615PP01
5H615PP12
5H615QQ03
5H615QQ06
5H615QQ12
5H615RR07
5H615SS03
5H615SS04
5H615SS10
5H615SS13
5H615SS24
5H615SS41
5H615TT14
(57)【要約】
【課題】装置が大型化するのを防止しながら生産性を向上させることが可能なコイルの鍛造装置を提供する。
【解決手段】このコイル20の鍛造装置200は、荷重が付加される方向である荷重負荷方向に積層するように配置された3つ以上の金型成形部210と、荷重負荷方向に隣り合う金型成形部210同士の間毎に配置される複数のコイル用線材220の各々を介して3つ以上の金型成形部210の各々が互いに反力を受けるように、3つ以上の金型成形部210に対して荷重を付加する荷重負荷部230と、を備える。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータに配置されるコイルの鍛造装置であって、
コイル用線材の断面を鍛造によって成形するように前記コイルの断面に沿った形状を有する断面成形部分を各々含み、荷重が付加される方向である荷重負荷方向に積層するように配置された3つ以上の金型成形部と、
前記荷重負荷方向に隣り合う前記金型成形部同士の間毎に配置される複数の前記コイル用線材の各々を介して前記3つ以上の金型成形部の各々が互いに反力を受けるように、前記3つ以上の金型成形部に対して荷重を付加する荷重負荷部と、を備える、コイルの鍛造装置。
【請求項2】
前記3つ以上の金型成形部のうち前記荷重負荷方向における最も一方側に配置される前記金型成形部と前記荷重負荷方向における最も他方側に配置される前記金型成形部との間に配置される中間金型成形部は、前記中間金型成形部の前記荷重負荷方向における一方側に接するように配置される前記コイル用線材に対して前記荷重負荷方向における他方側の前記金型成形部として用いられるとともに、前記中間金型成形部の前記荷重負荷方向における他方側に接するように配置される前記コイル用線材に対して前記荷重負荷方向における一方側の前記金型成形部として用いられる、請求項1に記載のコイルの鍛造装置。
【請求項3】
互いに隣り合う前記荷重負荷方向における一方側の前記金型成形部と前記荷重負荷方向における他方側の前記金型成形部とを前記荷重負荷方向に移動可能なように連結する連結部材をさらに備える、請求項1または2に記載のコイルの鍛造装置。
【請求項4】
前記連結部材は、互いに隣り合う前記荷重負荷方向における一方側の第1の前記金型成形部と前記荷重負荷方向における他方側の第2の前記金型成形部とを連結する第1連結部材と、互いに隣り合う前記荷重負荷方向における一方側の前記第2の金型成形部と前記荷重負荷方向における他方側の第3の前記金型成形部とを連結する第2連結部材と、を含み、
前記第1連結部材と前記第2連結部材とは、前記荷重負荷方向から見て、互いに異なる位置に配置されている、請求項3に記載のコイルの鍛造装置。
【請求項5】
前記荷重負荷方向に積層するように配置された3つ以上の前記金型成形部は、各々、前記コイル用線材の断面を密閉鍛造によって成形するように前記コイルの断面に沿った形状を有する前記断面成形部分を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のコイルの鍛造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイルの鍛造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コイル用線材の断面を鍛造によって成形するコイルの鍛造装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、一対の金型(下型および上型)によって、銅製でかつU字状の線材(コイル用線材)の断面を鍛造によって成形するコイルの鍛造装置が開示されている。上記特許文献1に記載のコイルの鍛造装置では、下型に形成された溝内にU字状の線材を配置した状態で、上型によってU字状の部材が押圧されることによって、U字状の線材の断面が成形される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-141449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載のコイルの鍛造装置では、一対の金型によって、U字状の線材(コイル用線材)の断面が成形されるので、生産性が低い。そこで、生産性を向上させるために、複数の上記特許文献1に記載のコイルの鍛造装置を横に並べて、複数のU字状の線材の断面を同時に成形することが考えられる。この場合、同時に成形する個数分の加工荷重が一度に必要になるので、一度に必要となる加工荷重が大きくなる分だけ、加工荷重を付加するための部材(たとえば、油圧アクチュエータ)が大型化して装置が大型化する。また、複数の上記特許文献1に記載のコイルの鍛造装置を横に並べる個数分の設置面積が必要となり、設置面積が大きくなった分だけ装置が大型化する。このため、装置が大型化するのを防止しながら生産性を向上させることが可能なコイルの鍛造装置が望まれている。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、装置が大型化するのを防止しながら生産性を向上させることが可能なコイルの鍛造装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面におけるコイルの鍛造装置は、ステータに配置されるコイルの鍛造装置であって、コイル用線材の断面を鍛造によって成形するように前記コイルの断面に沿った形状を有する断面成形部分を各々含み、荷重が付加される方向である荷重負荷方向に積層するように配置された3つ以上の金型成形部と、荷重負荷方向に隣り合う金型成形部同士の間毎に配置される複数のコイル用線材の各々を介して3つ以上の金型成形部の各々が互いに反力を受けるように、3つ以上の金型成形部に対して荷重を付加する荷重負荷部と、を備える。
【0008】
この発明の一の局面におけるコイルの鍛造装置は、荷重負荷方向に積層するように配置された3つ以上の金型成形部を備える。これにより、複数の一対の金型成形部を横に並べる場合と比較して、金型成形部の設置面積が大きくなるのを防止することができる。また、上記一の局面におけるコイルの鍛造装置は、上記のように、荷重負荷方向に隣り合う金型成形部同士の間毎に配置される複数のコイル用線材の各々を介して3つ以上の金型成形部の各々が互いに反力を受けるように、3つ以上の金型成形部に対して荷重を付加する荷重負荷部を備える。これにより、1つのコイル用線材を成形するための荷重による反力を、他のコイル用線材を成形するための荷重として利用することができる。すなわち、複数(2つ以上)のコイル用線材を同時に成形することができるとともに、一度に必要となる加工荷重が大きくなるのを防止することができる。これらの結果、装置が大型化するのを防止しながら生産性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、上記のように、装置が大型化するのを防止しながら生産性を向上させることが可能なコイルの鍛造装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態によるステータの構成を示す平面図である。
図2】一実施形態によるステータを径方向内側から見た斜視図である。
図3】一実施形態によるステータのスロット収容部の構成を示す平面図である。
図4】一実施形態によるコイルのセグメント導体の構成を示す斜視図である。
図5】一実施形態によるコイルのセグメント導体の断面形状の構成を示す平面図である。(図5(a)は、一方のスロット収容部の(図4の500-500線に沿った)断面図である。図5(b)は、他方のスロット収容部の(図4の600-600線に沿った)断面図である。図5(c)は、コイルエンド部の(図4の700-700線に沿った)断面図である。)
図6】一実施形態によるステータの製造方法を示すフロー図である。
図7】一実施形態によるコイルの製造装置を示す断面図である(図9および図10の800-800に沿った断面図である)。
図8図7の拡大断面図である。
図9】一実施形態によるコイルの製造装置の第1の金型成形部(第3の金型成形部)を示す平面図である。
図10】一実施形態によるコイルの製造装置の第2の金型成形部を示す平面図である。
図11】一実施形態によるコイルの製造装置の荷重負荷部により荷重が付加された状態を示す断面図である。
図12図11の拡大断面図である。
図13】一実施形態によるコイルの製造装置の断面成形部分の拡大断面図である。(図13(a)は、略円形形状の断面を有するコイル用線材に荷重が付加される様子を示す拡大断面図である。図13(b)は、荷重が付加され略矩形形状の断面を有する状態となったコイル用線材の様子を示す拡大断面図である。)
図14】一実施形態によるコイルの製造装置のガイド部材を示す断面図である(図14(a)は、金型成形部に対して荷重負荷部により荷重が付加されていない状態のガイド部材を示す断面図である。図14(b)は、金型成形部に対して荷重負荷部により荷重が付加されている状態のガイド部材を示す断面図である。)
図15】一実施形態の変形例によるコイルの製造装置の第2の金型成形部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
[ステータの構成]
まず、図1図3を参照して、一実施形態によるコイル20が配置されるステータ100の構成について説明する。
【0013】
以下の説明では、ステータ100の軸方向、径方向および周方向を、それぞれ、Z方向、R方向およびC方向とする。また、R方向の一方側(径方向内側)および他方側(径方向外側)を、それぞれ、R1側およびR2側とする。
【0014】
図1に示すように、ステータ100は、ロータ110と共に、回転電機120の一部を構成する。回転電機120は、たとえば、モータ、ジェネレータ、または、モータ兼ジェネレータである。ロータ110は、ステータ100のR1側に、ステータ100の内周面とロータ110の外周面とがR方向に対向するように配置されている。すなわち、ステータ100は、インナーロータ型の回転電機120の一部として構成されている。
【0015】
ステータ100は、ステータコア10と、コイル20と、を備える。図2に示すように、ステータコア10は、Z方向に沿った中心軸線Aを中心軸とした円筒形状を有する。ステータコア10は、複数の電磁鋼板(たとえば、珪素鋼板)がZ方向に積層されることにより形成されている。
【0016】
ステータコア10は、円環状のバックヨーク11と、バックヨーク11からR1側に突出する複数のティース12と、を含む。C方向に隣接するティース12同士の間に複数のスロット13が形成されている。具体的には、図3に示すように、スロット13は、R2側に設けられたバックヨーク11の壁部11aと、2つのティース12の周方向側面12aとに囲まれた部分である。図2に示すように、複数のスロット13の各々は、Z方向に延びるように設けられている。
【0017】
図3に示すように、複数のスロット13の各々には、R1側に開口する開口部13aが設けられている。開口部13aは、C方向において幅W1を有する。幅W1は、スロット13のコイル20(後述するスロット収容部31)が配置される部分のC方向における幅W2よりも小さい。すなわち、スロット13は、セミオープン型のスロットとして構成されている。また、スロット13の幅W2は、R方向における位置によって異なる。具体的には、幅W2は、R2側ほど大きくなる。
【0018】
[コイルの構成]
次に、図2図5を参照して、一実施形態によるコイル20の構成について説明する。
【0019】
図2に示すように、コイル20は、ステータコア10に配置されている。具体的には、コイル20は、ステータコア10に対して、複数回巻回されている。コイル20は、たとえば、波巻きコイルとして構成されている。コイル20は、たとえば、銅またはアルミニウムにより形成されている。コイル20は、電源部(図示しない)から3相交流の電力が供給されることにより、磁束を発生させるように構成されている。
【0020】
コイル20は、複数のセグメント導体30を含む。図4に示すように、セグメント導体30は、一対のスロット収容部31と、コイルエンド部32と、を含む。コイルエンド部32は、一対のスロット収容部31同士を接続する。図2に示すように、一対のスロット収容部31は、互いに異なるスロット13に収容(挿入)されている。また、コイルエンド部32は、ステータコア10のZ方向における端面10aから突出するように配置されている。これにより、セグメント導体30は、R方向に見て、略U字状に形成されている。
【0021】
複数のセグメント導体30同士は、互いに接合されている。具体的には、Z1側に配置されたセグメント導体30のスロット収容部31の端部と、Z2側に配置されたセグメント導体30のスロット収容部31の端部とが、スロット13内において接合されている。
【0022】
図3に示すように、セグメント導体30の断面形状は、矩形形状である。すなわち、セグメント導体30は、平角導体である。また、セグメント導体30は、絶縁のために設けられる絶縁被膜40により被覆(コーティング)されている。絶縁被膜40は、ポリイミド、ポリアミドイミド等の熱硬化性樹脂からなる。
【0023】
スロット13内において、複数(図3では6つ)のスロット収容部31が、R方向に並んで配置されている。複数のスロット収容部31の各々の外形は、Z方向に見て、スロット13の内側面(バックヨーク11の壁部11a、2つのティース12の周方向側面12a)に沿った形状を有する。スロット13内の複数のスロット収容部31の周方向の幅W3は、スロット13の形状に合わせるように、R2側のスロット収容部31ほど大きい。また、スロット13内の複数のスロット収容部31の断面積は互いに等しいので、スロット13内のスロット収容部31のR方向における幅W4は、R2側のスロット収容部31ほど小さい。
【0024】
図4に示すように、コイルエンド部32は、Z方向から見て、R方向に1本のセグメント導体30の幅分、階段状に屈曲するクランク状に形成されたクランク部分33を有する。つまり、クランク部分33のR方向の幅は、1本のセグメント導体30の幅の2倍である。これにより、一対のスロット収容部31の一方と他方とは、互いに異なる径方向位置(レーン)に配置される(レーンチェンジされる)。たとえば、図2に示すように、一対のスロット収容部31の一方がスロット13においてR1側から1番目(最も内側のレーン)に配置されているとともに、一対のスロット収容部31の他方が、一対のスロット収容部31の一方とは異なるスロット13においてR1側から2番目(内側から2番目のレーン)に配置される。
【0025】
図5(a)および図5(b)に示すように、一対のスロット収容部31のうち一方の断面形状と、一対のスロット収容部31のうち他方の断面形状とは、互いに異なる。具体的には、図5(a)に示すように、一対のスロット収容部31のうち一方の断面のR方向における幅は、W11である。また、一対のスロット収容部31のうち一方の断面のC方向における幅は、W12である。また、図5(b)に示すように、一対のスロット収容部31のうち他方の断面のR方向における幅は、W11とは異なるW21である。また、一対のスロット収容部31のうち他方の断面のC方向における幅は、W12とは異なるW22である。図5(a)および図5(b)に示す例では、W21はW11よりも小さく、W22はW12よりも大きい。なお、この例は、一対のスロット収容部31のうちの一方(図5(a)参照)が他方(図5(b)参照)よりもR2側に設けられている場合の例である。
【0026】
また、図5(a)~図5(c)に示すように、一対のスロット収容部31の断面形状と、コイルエンド部32の断面形状とは、互いに異なる。具体的には、図5(c)に示すように、コイルエンド部32の断面は、幅W31の辺と幅W32の辺とにより構成される矩形形状を有する。幅W31および幅W32の各々は、上記の幅W11、幅W12、幅W21、および幅W22とは異なる。コイルエンド部32の断面は、たとえば正方形状に形成される。すなわち、この場合、幅W31と幅W32とが略等しい。
【0027】
[ステータの製造方法]
次に、図6を参照して、ステータ100の製造方法について説明する。
【0028】
(裸銅線準備工程)
図6に示すように、まず、ステップS11において、セグメント導体30として用いられるコイル用線材220(図8参照)の準備工程が行われる。コイル用線材の準備工程(S11)では、コイル用線材220として、略円形形状の断面を有するとともに絶縁被膜処理が行われていない裸銅線が準備される。コイル用線材220(裸銅線)は、たとえば、ボビンに巻かれた状態(ロール状の状態)で準備される。
【0029】
(真直・切断工程)
次に、ステップS12において、コイル用線材220(図8参照)を真直および切断する真直・切断工程が行われる。具体的には、真直・切断工程(S12)では、ロール状のコイル用線材220が真っ直ぐな状態に矯正される。そして、真っ直ぐな状態のコイル用線材220が、セグメント導体30(図4参照)の長さに切断される。
【0030】
(曲げ成形工程)
次に、ステップS13において、セグメント導体30の長さに切断されたコイル用線材220(図8参照)をステータ100に配置可能に曲げ成形する曲げ成形工程が行われる。具体的には、曲げ成形工程(S13)では、セグメント導体30の長さに切断されたコイル用線材220が、ステータコア10に配置するための形状(略U字形状かつクランク部分33を有する形状)(図4参照)となるように、治具により曲げ成形される。
【0031】
(断面成形工程)
次に、ステップS14において、セグメント導体30の長さに切断されたコイル用線材220(図8参照)の断面を密閉型鍛造(型成形)により成形する断面成形工程が行われる。断面成形工程(S14)は、円形形状の断面を有するとともに絶縁被膜処理が行われていないコイル用線材220の外形を変形させる工程である。詳細には、断面成形工程(S14)は、コイル用線材220の断面をスロット13の内側面(バックヨーク11の壁部11a、2つのティース12の周方向側面12a)に対向する部分の外形がスロット13の内側面に沿った形状となるように成形する工程である。
【0032】
断面成形工程(S14)は、一対のスロット収容部31のうちの一方となる部分の断面形状(図5(a))と、一対のスロット収容部31のうちの他方となる部分の断面形状(図5(b))とを異ならせるように、セグメント導体30の長さに切断されたコイル用線材220(図8参照)の断面を成形する工程である。また、断面成形工程(S14)は、スロット収容部31の断面形状(図5(a)および(b)参照)と、コイルエンド部32の断面形状(図5(c)参照)とを異ならせるように、セグメント導体30の長さに切断されたコイル用線材220の断面を成形する工程である。なお、断面成形工程(S14)では、後述するコイル20の鍛造装置200(図7参照)を用いてコイル用線材220の断面が成形される。
【0033】
(絶縁処理工程)
次に、ステップS15において、断面成形後のコイル用線材220(図8参照)に電着塗装によって絶縁被膜処理を行う絶縁処理工程(S15)が行われる。絶縁処理工程(S15)では、断面成形後のコイル用線材にポリイミド、ポリアミドイミド等の熱硬化性樹脂が電着塗装されることによって、表面に絶縁被膜40が被覆(コーティング)されたコイル用線材が形成される。
【0034】
(熱処理工程)
次に、ステップS16において、断面成形工程(S14)において断面が成形されたコイル用線材220(図8参照)の焼鈍と、絶縁処理工程(S15)においてコイル用線材220に塗装(電着塗装)された(液体状の)絶縁被膜40の焼き付けとを兼ねる熱処理工程が行われる。熱処理工程(S16)は、断面成形工程(S14)において断面が成形されたコイル用線材220を焼鈍可能で、かつ、塗装工程(S15)においてコイル用線材220に塗装された絶縁被膜40を焼き付け可能な温度により、熱処理を行う工程である。
【0035】
以上の工程(S11~16)を経て、(略円形形状の断面を有するとともに絶縁被膜処理が行われていない裸銅線の状態で準備された)コイル用線材220(図8参照)は、ステータコア10に配置可能な状態となる(セグメント導体30)となる。
【0036】
(コイル配置工程)
次に、ステップS17において、セグメント導体30をステータコア10に配置するコイル配置工程が行われる。コイル配置工程(S17)は、セグメント導体30のスロット収容部31をステータコア10のスロット13内に収容するとともにセグメント導体30のコイルエンド部32をステータコア10のスロット13外に配置する工程である。コイル配置工程(S17)では、複数のセグメント導体30の各々がステータコア10の所定の位置に配置される。
【0037】
(セグメント導体接合工程)
次に、ステップS18において、セグメント導体30同士を接合するセグメント導体接合工程が行われる。具体的には、セグメント導体接合工程(S18)では、配置工程(S17)においてステータコア10の所定の位置に配置された複数のセグメント導体30同士が接合される。具体的には、Z1側に配置されたセグメント導体30のスロット収容部31の端部と、Z2側に配置されたセグメント導体30のスロット収容部31の端部とが、スロット13内において接合される。
【0038】
[コイルの鍛造装置]
次に、図7図14を参照して、一実施形態によるコイル20の鍛造装置200の構成について説明する。
【0039】
図7に示すように、鍛造装置200は、荷重が付加される方向である荷重負荷方向に積層するように配置された3つ以上の金型成形部210を備える。これにより、複数の一対の金型成形部210を横に並べる場合と比較して、金型成形部210の設置面積が大きくなるのを防止することができる(効果1)。なお、1つの金型成形部210は、被加工物(コイル用線材220(図8参照))を成形するための金型の一部として機能する(すなわち、金型を構成する部品の1つである)。具体的には、荷重負荷方向に隣り合う2つの金型成形部210が、1つの被加工物を密閉鍛造するための1つの金型として機能する。また、荷重負荷方向に積層するように配置されたn個の金型成形部210が、n-1個の被加工物を同時に密閉鍛造するn-1個の金型として機能する。
【0040】
鍛造装置200は、荷重負荷方向(3つ以上の金型成形部210が積層される方向)が上下方向となるように構成されている。これにより、金型成形部210に対して被加工物(コイル用線材220(図8参照))を配置した状態を重力によって容易に維持することができるので、荷重負荷方向が上下方向以外の方向である場合と比較して、被加工物のハンドリングを容易に行うことができる。
【0041】
以下の説明では、荷重負荷方向(上下方向)を、V方向とする。また、荷重負荷方向における一方側(上側)および他方側(下側)を、それぞれ、V1側およびV2側とする。
【0042】
図8に示すように、3つ以上の金型成形部210は、各々、コイル用線材220の断面を鍛造によって成形するようにコイル20の断面(図5(a)~図5(c)参照)に沿った形状を有する断面成形部分211を含む。これにより、コイル用線材220の断面を、コイル20の断面(図5(a)~図5(c)参照)に沿った形状となるように、確実に成形することができる。
【0043】
具体的には、図7に示すように、複数(11個)の金型成形部210がV方向に並ぶように配置されている。図8に示すように、複数(11個)の金型成形部210の各々には、断面成形部分211が形成されている。断面成形部分211は、コイル20の断面に沿った形状を有する。金型成形部210によって断面が成形される際のコイル用線材220は、V方向に見て、セグメント導体30(図4参照)の形状(U字形状)を有する。したがって、図9および図10に示すように、断面成形部分211は、V方向に見て、U字形状を有する。なお、図7に示すように、複数(11個)の金型成形部210に対して後述する荷重負荷部230による荷重が付加されていない状態では、V方向に隣り合う金型成形部210同士が離間した状態となっている。
【0044】
図11に示すように、鍛造装置200は、V方向に隣り合う金型成形部210同士の間毎に配置される複数のコイル用線材220(図12参照)の各々を介して3つ以上の金型成形部210の各々が互いに反力を受けるように、3つ以上の金型成形部210に対して荷重を付加する荷重負荷部230を備える。これにより、1つのコイル用線材220(図12参照)を成形するための荷重による反力を、他のコイル用線材220を成形するための荷重として利用することができる。すなわち、複数(2つ以上)のコイル用線材220を同時に成形することができるとともに、一度に必要となる加工荷重が大きくなるのを防止することができる(効果2)。上記の効果1および効果2の結果、装置が大型化するのを防止しながら生産性を向上させることができる。
【0045】
具体的には、複数(11個)の金型成形部210のV1側には、V方向に移動可能な荷重負荷部230が設けられている。荷重負荷部230は、たとえば、油圧によってV1側からV2側へ移動することにより、複数(11個)の金型成形部210に対してV1側からV2側に向かって荷重を付加するように構成されている。そして、図8に示すように、V方向に隣り合う金型成形部210同士が離間した状態(図8の状態)において、V方向に隣り合う金型成形部210の断面成形部分211同士の間にコイル用線材220が配置される。
【0046】
そして、図12に示すように、複数(11個)の金型成形部210に対してV1側から荷重が付加されると、V方向に隣り合う金型成形部210同士の間に配置されたコイル用線材220が、V方向に隣り合う金型成形部210同士により挟まれた状態となる。この状態では、V方向に隣り合う金型成形部210同士の間に配置されたコイル用線材220は、V1側に配置された金型成形部210から付加された荷重を、コイル用線材220に作用する反力(加工反力)として、V2側に配置された金型成形部210に対して伝達する。これにより、複数(11個)の金型成形部210のうちの最もV1側に配置された金型成形部210aに対して負荷された荷重が、V方向に隣り合う金型成形部210同士の間毎に配置された複数のコイル用線材220を介して、複数(11個)の金型成形部210のうちの最もV2側に配置された金型成形部210bに対して伝達される。
【0047】
図7に示すように、3つ以上の金型成形部210のうち最もV1側に配置される金型成形部210aと最もV2側に配置される金型成形部210bとの間に配置される中間金型成形部210cは、中間金型成形部210cのV1側に接するように配置されるコイル用線材220(図8参照)に対してV2側の金型成形部210として用いられるとともに、中間金型成形部210cのV2側に接するように配置されるコイル用線材220に対してV1側の金型成形部210として用いられる。これにより、全ての中間金型成形部210cが、V2側の金型成形部210とV1側の金型成形部210とを兼ねるように用いられるので、V方向に積層するように配置されたn個(11個)の金型成形部210によって、n-1個(10個)のコイル用線材220を同時に成形することができる。その結果、生産性を確実に向上することができる。また、全ての金型成形部210同士の間にコイル用線材220が配置されるので、n-1個(10個)のコイル用線材220の各々を介してn個(11個)の金型成形部210の各々が互いに反力を受けるように、n個(11個)の金型成形部210に対して荷重を付加することができる。その結果、装置が大型化するのを確実に防止することができる。
【0048】
具体的には、図13(a)に示すように、中間金型成形部210cは、各々、V1側の面に断面成形部分211aを含む凹部212が形成されている。また、中間金型成形部210cは、各々、V2側の面に断面成形部分211bを含む凸部213が形成されている。凹部212と、凸部213とは、V方向に対向するように形成されている。なお、図8に示すように、凹部212は、中間金型成形部210cのV1側に設けられた凹部214a内に形成されている。また、凸部213は、中間金型成形部210cのV2側に設けられた凸部214b上に形成されている。
【0049】
図13(a)に示すように、凹部212は、互いに深さの異なる第1凹部分212aと第2凹部分212bとが連続するように形成されている。すなわち、凹部212は、第1凹部分212aと第2凹部分212bとにより階段状凹部として構成されている。また、凸部213は、互いに突出高さの異なる第1凸部分213aと第2凸部分213bとが連続するように形成されている。すなわち、凸部213は、第1凸部分213aと第2凸部分213bとにより階段状凸部として構成されている。
【0050】
第1凹部分212aおよび第2凹部分212bと、第1凸部分213aおよび第2凸部分213bとは、V方向に対向するように形成されている。第1凹部分212aおよび第2凹部分212bは、それぞれ、V方向と直交する凹部212の幅方向(凸部213の幅方向)において、第1凸部分213aおよび第2凸部分213bの大きさよりも僅かに小さい(第1凸部分213aおよび第2凸部分213bを、それぞれ、第1凹部分212aおよび第2凹部分212bに挿入可能で、かつ、比較的近い大きさを有する)。第1凹部分212aの深さおよび第2凹部分212bの深さは、それぞれ、第1凸部分213aの突出高さおよび第2凸部分213bの突出高さよりも小さい。
【0051】
図13(a)に示すように、鍛造装置200では、第1凹部分212aと第1凸部分213aとの間に略円形形状の断面を有するコイル用線材220が配置される。この場合、コイル用線材220は、第1凹部分212aのV1側の面と第1凸部分213aのV2側の面とによりV方向に挟まれた状態、かつ、第1凹部分212aの第2凸部分213b側とは反対側の面と、第2凸部分213bの第1凹部分212a側の面とにより、V方向と直交する幅方向に挟まれた状態となる。すなわち、第1凹部分212aのV1側の面と第2凸部分213bの第1凹部分212a側の面とが断面成形部分211aとして機能するとともに、第1凸部分213aのV2側の面と第2凸部分213bの第1凹部分212a側の面とが断面成形部分211bとして機能する。
【0052】
なお、図7に示すように、複数(11個)の金型成形部210のうち最もV1側に配置される金型成形部210aは、金型成形部210aのV2側に接するように配置されるコイル用線材220に対して、V1側の金型成形部210として用いられる。すなわち、金型成形部210aは、V2側の面に断面成形部分211bを含む凸部213が形成されている。また、複数(11個)の金型成形部210のうち最もV2側に配置される金型成形部210bは、金型成形部210bのV1側に接するように配置されるコイル用線材220に対して、V2側の金型成形部210として用いられる。すなわち、金型成形部210は、V1側の面に断面成形部分211aを含む凹部212が形成されている。
【0053】
図13(a)に示すように、V1側から金型成形部210に荷重が付加されると、V方向に隣り合う金型成形部210同士は、それぞれ、第1凹部分212aと第1凸部分213aとの間に配置されたコイル用線材220を介して(V1側からV2側に向かって)V方向に力を伝達する。そして、図13(b)に示すように、V方向に隣り合う金型成形部210に荷重が付加され続けると、コイル用線材220の断面が略矩形形状の状態となる。このとき、凹部212が形成されたV2側の凹部214aと、凸部213が形成されたV1側の凸部214bとが当接する状態(凹部214aと凸部214bとの間で力が伝達される状態)になる。
【0054】
図7に示すように、鍛造装置200は、互いに隣り合うV1側の金型成形部210とV2側の金型成形部210とをV方向に移動可能なように連結する連結部材240を備える。これにより、金型成形部210に荷重が付加されていない状態において、V1側の金型成形部210とV2側の金型成形部210との間にコイル用線材220を容易に配置することができる。また、金型成形部210に荷重が付加されている状態において、コイル用線材220に荷重が付加される状態となるように、V1側の金型成形部210およびV2側の金型成形部210を容易に移動させることができる。
【0055】
具体的には、互いにV方向に隣り合う金型成形部210同士は連結部材240により連結されている。また、互いにV方向に隣り合う金型成形部210同士は、V方向に移動可能なように連結部材240により連結されている。これにより、金型成形部210に対して荷重負荷部230による荷重が付加されていない状態では、V方向に隣り合う金型成形部210同士は離間した状態となっている。また、図12に示すように、金型成形部210に対して荷重負荷部230による荷重が付加されている状態では、V方向に隣り合う金型成形部210同士が当接した状態となるまでV方向に移動する。
【0056】
連結部材240は、互いに隣り合うV1側の第1の金型成形部251とV2側の第2の金型成形部252とを連結する第1連結部材241と、互いに隣り合うV1側の第2の金型成形部252とV2側の第3の金型成形部253とを連結する第2連結部材242と、を含む。そして、第1連結部材241と第2連結部材242とは、V方向から見て、互いに異なる位置に配置されている。これにより、第1の金型成形部251と第2の金型成形部252と第3の金型成形部253とのV方向への移動に伴って、第1連結部材241と第2連結部材242とがV方向に移動した際に、第1連結部材241と第2連結部材242とが干渉するのを防止することができる。
【0057】
具体的には、V方向に隣り合うように並ぶ3つの金型成形部210を、V1側からV2側に向かって、第1の金型成形部251と、第2の金型成形部252と、第3の金型成形部253とすると、第1の金型成形部251と第2の金型成形部252とを連結する連結部材240(第1連結部材241)は、側方から見て、第1の位置P1に配置されている。また、第2の金型成形部252と第3の金型成形部253とを連結する連結部材240(第2連結部材242)は、側方から見て、第1の位置P1とは異なる第2の位置P2に配置されている。図9および図10に示すように、第1の位置P1および第2の位置P2は、第1の金型成形部251および第2の金型成形部252において、複数(4つ)ずつ設けられている。なお、図12に示すように、第3の金型成形部253は、第1の金型成形部251と同様の構成を有する。すなわち、V方向に隣り合う金型成形部210(のうちの中間金型成形部210c)は、第1の金型成形部251(第3の金型成形部253)と第2の金型成形部252とが交互に配置されている。
【0058】
図7に示すように、複数(11個)の金型成形部210に荷重が付加されていない状態において、複数の金型成形部210のうち最もV2側に配置されている金型成形部210a以外の金型成形部210同士は、連結部材240によって連結されている。そして、図8に示すように、V方向に隣り合う金型成形部210同士を連結するようにV方向に並ぶ複数(9つ)の連結部材240として、第1連結部材241と第2連結部材242とが交互に配置されている。
【0059】
第1の金型成形部251は、第1の金型成形部251のV1側の部分に形成された第1の径D1を有する第1貫通孔部251aと、第1貫通孔部251aと連続するように、第1の金型成形部251のV2側の部分に形成された第1の径D1よりも小さい第2の径D2を有する第2貫通孔部251bと、を含む。また、第2の金型成形部252は、第2の金型成形部252のV2側の部分に形成された第1の径D1を有する第3貫通孔部252aと、第3貫通孔部252aと連続するように、第2の金型成形部252のV1側の部分に形成された第2の径D2を有する第4貫通孔部252bと、を含む。また、2つ以上の連結部材240は、各々、第1の径D1よりも小さく、かつ、第2の径D2よりも大きい上端部240aおよび下端部240bと、第2の径D2より小さい中央部240cと、を含む。
【0060】
これにより、金型成形部210に荷重が付加されていない状態において、第1の金型成形部251の第1貫通孔部251aに、連結部材240の上端部240aが係合するとともに、第2の金型成形部252の第3貫通孔部252aに、連結部材240の下端部240bが係合する状態となるように、第1の金型成形部251、第2の金型成形部252および第1連結部材241を配置することができる。また、金型成形部210に荷重が付加されている状態において、第1の金型成形部251の第1貫通孔部251aに対する連結部材240の上端部240aに対する係合、および、第2の金型成形部252の第3貫通孔部252aに対する連結部材240の下端部240bに対する係合の少なくとも一方を解除して、第1の金型成形部251と第2の金型成形部252とが、コイル用線材220を介して互いに反力を受けるように、第1の金型成形部251と第2の金型成形部252とが近づくように移動させることができる。
【0061】
具体的には、連結部材240は、複数(11個)の金型成形部210に形成された貫通孔部215に配置されている。連結部材240は、上端部240aと下端部240bと中央部240cとを含む。上端部240aおよび下端部240bは、径D4を有する。中央部240cは、径D4よりも小さい径D5を有する。すなわち、連結部材240は、側方から見て、I字形状を有する。
【0062】
第1の金型成形部251の第1の位置P1における貫通孔部215は、互いに径の異なるV1側の第1貫通孔部251aとV2側の第2貫通孔部251bとが連続するように形成されている。また、第2の金型成形部252の第1の位置P1における貫通孔部215は、互いに径の異なるV2側の第3貫通孔部252aとV1側の第4貫通孔部252bとが連続するように形成されている。第1貫通孔部251aおよび第3貫通孔部252aは、第1の径D1を有する。第2貫通孔部251bおよび第4貫通孔部252bは、第1の径D1よりも小さい第2の径D2を有する。
【0063】
第1の径D1は、連結部材240の上端部240aの径D4よりも大きい。また、第2の径D2は、連結部材240の上端部240aおよび下端部240bの径D4よりも小さい。これにより、金型成形部210に荷重が付加されていない状態において、連結部材240の上端部240aが、第1の金型成形部251の第1の位置P1における貫通孔部215に係合するとともに、連結部材240の下端部240bが、第2の金型成形部252の第1の位置P1における貫通孔部215に係合した状態となる。
【0064】
また、第2の径D2は、連結部材240の中央部240cの径D5よりも小さい。これにより、図12に示すように、金型成形部210に荷重が付加されている状態において、V方向に隣り合う金型成形部210同士を連結部材240により連結したまま、V方向に隣り合う金型成形部210をV方向に移動させることができる。なお、V方向に隣り合う金型成形部210同士が当接した状態では、V方向に隣り合う連結部材240同士は、互いに離間している。これにより、V方向に隣り合う金型成形部210同士が当接した状態では、V方向に隣り合う金型成形部210同士が当接した状態となるまで近づくことができる。
【0065】
図14(a)および図14(b)に示すように、鍛造装置200は、複数(11個)の金型成形部210のV方向への移動をガイドするガイド部材260を備える。具体的には、図9に示すように、V方向から見て、第1の金型成形部251の四隅には、ガイド部材260が貫通するガイド用孔部251vが形成されている。また、図10に示すように、V方向から見て、第2の金型成形部252の四隅には、ガイド部材260が貫通するガイド用孔部252vが形成されている。そして、複数(11個)の金型成形部210がV方向へ移動する際に、ガイド部材260により複数(11個)の金型成形部210のV方向以外(水平方向)への移動が規制される(V方向への移動がガイドされる)。
【0066】
図9に示すように、互いに隣り合うV1側の第1の金型成形部251およびV2側の第2の金型成形部252の断面成形部分211は、各々、V方向に見て、U字形状を有する。また、図10に示すように、互いに隣り合うV1側の第2の金型成形部252およびV2側の第3の金型成形部253(図12参照)の断面成形部分211は、各々、V方向に見て、U字形状を有する。
【0067】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0068】
たとえば、上記実施形態では、互いに隣り合うV1側(荷重負荷方向における一方側)の第1の金型成形部251およびV2側(荷重負荷方向における他方側)の第2の金型成形部252の断面成形部分211が、各々、V方向(荷重負荷方向)に見て、U字形状を有するとともに、互いに隣り合うV1側の第2の金型成形部252およびV2側の第3の金型成形部253の断面成形部分211が、各々、V方向に見て、U字形状を有するように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、図15に示す変形例のように、互いに隣り合うV1側(荷重負荷方向における一方側)の第2の金型成形部252およびV2側(荷重負荷方向における他方側)の第3の金型成形部253(図示しない)の断面成形部分311が、各々、V方向(荷重負荷方向)に見て、逆U字形状を有するように構成してもよい。この場合、互いに隣り合うV1側の金型成形部210とV2側の金型成形部210とによって形成されるコイル用線材220が配置される空間として、V方向に見てU字形状の空間と、V方向に見て逆U字形状の空間とが、V方向に交互に並ぶ。その結果、V方向に見てU字形状の空間が連続する場合と比較して、V方向に積層するように配置された3つ以上の金型成形部210全体の重量バランスが低下するのを防止することができる。
【0069】
また、上記実施形態では、第1の金型成形部251が、第1の金型成形部251のV1側(荷重負荷方向における一方側)の部分に形成された第1の径D1を有する第1貫通孔部251aと、第1貫通孔部251aと連続するように、第1の金型成形部251のV2側(荷重負荷方向における他方側)の部分に形成された第1の径D1よりも小さい第2の径D2を有する第2貫通孔部251bと、を含み、第2の金型成形部252が、第2の金型成形部252のV2側の部分に形成された第1の径D1を有する第3貫通孔部252aと、第3貫通孔部252aと連続するように、第2の金型成形部252のV1側の部分に形成された第2の径D2を有する第4貫通孔部252bと、を含み、2つ以上の連結部材240が、各々、第1の径D1よりも小さく、かつ、第2の径D2よりも大きい上端部240aおよび下端部240bと、第2の径D2より小さい中央部240cと、を含むように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、金型成形部に荷重が付加されていない状態において、第1の金型成形部と第2の金型成形部とが離間した状態で連結部材が第1の金型成形部および第2の金型成形部と係合されるとともに、金型成形部に荷重が付加されている状態において、第1の金型成形部と第2の金型成形部とを連結したまま、第1の金型成形部と第2の金型成形部とが近づくように第1の金型成形部および第2の金型成形部を移動させることが可能であれば、上記の構成以外の構成であってもよい。
【0070】
また、上記実施形態では、連結部材240が、互いに隣り合うV1側(荷重負荷方向における一方側)の第1の金型成形部251とV2側(荷重負荷方向における他方側)の第2の金型成形部252とを連結する第1連結部材241と、互いに隣り合うV1側の第2の金型成形部252とV2側の第3の金型成形部253とを連結する第2連結部材242と、を含み、第1連結部材241と第2連結部材242とが、V方向(荷重負荷方向)から見て、互いに異なる位置に配置されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、互いに隣り合う金型成形部同士を連結する連結部材が、荷重負荷方向から見て、互いに同じ位置に配置されていてもよい。
【0071】
また、上記第実施形態では、3つ以上の金型成形部210のうち最もV1側(荷重負荷方向における最も一方側)に配置される金型成形部210aと最もV2側(荷重負荷方向における最も他方側)に配置される金型成形部210bとの間に配置される中間金型成形部210cが、中間金型成形部210cのV1側(荷重負荷方向における一方側)に接するように配置されるコイル用線材220に対してV2側(荷重負荷方向における他方側)の金型成形部210として用いられるとともに、中間金型成形部210cのV2側に接するように配置されるコイル用線材220に対してV1側の金型成形部210として用いられるように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、中間金型成形部のうちの一部のみが、中間金型成形部の荷重負荷方向における一方側に接するように配置されるコイル用線材に対して荷重負荷方向における他方側の金型成形部として用いられるとともに、中間金型成形部の荷重負荷方向における他方側に接するように配置されるコイル用線材に対して荷重負荷方向における一方側の金型成形部として用いられるように構成してもよい。その場合、中間金型成形部のうちの一部は、たとえば、荷重負荷方向における他方側の金型成形部として用いられる部分と、荷重負荷方向における一方側の金型成形部として用いられる部分とが、別体として設けられる。
【0072】
また、上記実施形態では、11個の金型成形部210がV方向(荷重負荷方向)に並ぶように配置されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、荷重負荷方向に並ぶように配置されている金型成形部の個数は、3~10個であってもよいし、12個以上であってもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、中間金型成形部210cが、各々、V1側(荷重負荷方向における一方側)の面に断面成形部分211aを含む凹部212が形成されており、V2側(荷重負荷方向における他方側)の面に断面成形部分211bを含む凸部213が形成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、中間金型成形部が、各々、荷重負荷方向における一方側の面に断面形成部分を含む凸部が形成されており、荷重負荷方向における他方側の面に断面形成部分を含む凹部が形成されていてもよい。また、中間金型成形部が、各々、荷重負荷方向における一方側の面に断面形成部分を含む凹部が形成されており、荷重負荷方向における他方側の面に断面形成部分を含む凹部が形成されていてもよい。また、中間金型成形部が、各々、荷重負荷方向における一方側の面に断面形成部分を含む凸部が形成されており、荷重負荷方向における他方側の面に断面形成部分を含む凸部が形成されていてもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、複数の金型成形部210のうち最もV1側(荷重負荷方向における最も一方側)に配置される金型成形部210aが、V2側(荷重負荷方向における他方側)の面に断面成形部分211bを含む凸部213が形成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、複数の金型成形部のうち荷重負荷方向における最も一方側に配置される金型成形部が、荷重負荷方向における他方側の面に断面形成部分を含む凹部が形成されていてもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、複数の金型成形部210のうち最もV2側(荷重負荷方向における最も他方側)に配置される金型成形部210bが、V1側(荷重負荷方向における一方側)の面に断面成形部分211aを含む凹部212が形成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、複数の金型成形部のうち荷重負荷方向における最も他方側に配置される金型成形部が、荷重負荷方向における一方側の面に断面形成部分を含む凸部が形成されていてもよい。
【0076】
また、上記実施形態では、鍛造装置200が、荷重負荷方向(3つ以上の金型成形部210が積層される方向)が上下方向となるように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、コイルの鍛造装置が、荷重負荷方向(3つ以上の金型成形部が積層される方向)が上下方向以外の方向(たとえば、水平方向)となるように構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0077】
20…コイル、100…ステータ、200…(コイルの)鍛造装置、210…金型成形部、210c…中間金型成形部、211(211a、211b)、311…断面成形部分、220…コイル用線材、230…荷重負荷部、240…連結部材、241…第1連結部材、242…第2連結部材、251…第1の金型成形部、252…第2の金型成形部、253…第3の金型成形部
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