(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022117749
(43)【公開日】2022-08-12
(54)【発明の名称】船舶用架台脱着装置及びこれを用いた台車上架台の脱着方法
(51)【国際特許分類】
B63C 3/12 20060101AFI20220804BHJP
B63B 81/00 20200101ALI20220804BHJP
【FI】
B63C3/12
B63B81/00
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021014422
(22)【出願日】2021-02-01
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】592180225
【氏名又は名称】株式会社楢崎製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001335
【氏名又は名称】弁理士法人 武政国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】三島 久幸
(72)【発明者】
【氏名】赤間 栄一
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 優一
(72)【発明者】
【氏名】西村 公利
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 孝信
(72)【発明者】
【氏名】岸田 了
(57)【要約】
【課題】複数の台車上架台を一括して取り扱うことで、迅速に上架作業を進めると共に、台車上架台を転倒させて運搬することで、狭い作業空間、船底の下方の低い空間でも上架作業を円滑に行う。
【解決手段】台車上架台2を載せる台車上架台用レール9と、これを上下動させる昇降装置8と、下部に車輪4が設けられた装置本体5と、装置本体5の上部において突出するように形成された、台車上架台2の下方に差し込むチルトフォーク6と、台車上架台2を約90度下方へ回動転倒させる転倒回動部材7と、チルトフォーク6から転倒回動部材7の間を移動自在に取り付けられた、複数の台車上架台2を載せる架台受台10と、この転倒回動部材7を起立と転倒させる伸縮装置14とを備えた。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶(S)を陸上に上架する際に用いる台車上架台(2)を、縦取台車(3)から取り外し又は取り付ける際に用いる船舶用架台脱着装置(1)であって、
上部に台車上架台(2)を載せると共に、移動させる台車上架台用レール(9)と、該台車上架台用レール(9)を上下動させる昇降装置(8)と、下部に横取レール(R2)上を移動する車輪(4)が設けられた装置本体(5)と、
前記台車上架台用レール(9)の一端に、前記装置本体(5)の上部において突出するように形成された、縦取台車(3)上に載せられた台車上架台(2)の下方に差し込むチルトフォーク(6)と、
前記装置本体(5)に、前記台車上架台(2)を載せて約90度下方へ回動転倒自在に取り付けられた転倒回動部材(7)と、
前記台車上架台用レール(9)のチルトフォーク(6)から前記転倒回動部材(7)の間を移動自在に取り付けられた、1又は複数の台車上架台(2)を載せる架台受台(10)と、
前記装置本体(5)と前記転倒回動部材(7)の間に取り付けられた、前記転倒回動部材(7)を起立と転倒させる伸縮装置(14)と、を備えた、ことを特徴とする船舶用架台脱着装置。
【請求項2】
前記台車上架台用レール(9)は、その転倒回動部材(7)側が支点になるように揺動自在に前記装置本体(5)に取り付けられ、該台車上架台用レール(9)のチルトフォーク(6)側に昇降装置(8)が該装置本体(5)に取り付けられた、ことを特徴とする請求項1に記載された船舶用架台脱着装置。
【請求項3】
前記転倒回動部材(7)の前記架台受台(10)の底部を載せる面に、前記台車上架台用レール(9)から連続するように形成されたレール部分(17)を設けた、ことを特徴とする請求項1又は2に記載された船舶用架台脱着装置。
【請求項4】
前記転倒回動部材(7)が約90度下方へ回動転倒させた際に該転倒回動部材(7)の下部に、前記装置本体(5)が走行する横取レール(R2)上に走行する補助輪(7b)が取り付けられた、ことを特徴とする請求項1、2又は3の何れか1項に記載された船舶用架台脱着装置。
【請求項5】
前記装置本体(5)に、前記横取台車(11)を連結する連結部材(12)が設けられた、ことを特徴とする請求項1、2、3又は4の何れか1項に記載された船舶用架台脱着装置。
【請求項6】
前記架台受台(10)は、複数の台車上架台(2)を載せた状態で、前記台車上架台用レール(9)上を円滑に移動できるように、該架台受台(10)の下面に車輪または滑り材等の移動具材が取り付けられた、ことを特徴とする請求項1、2、3、4又は5の何れか1項に記載された船舶用架台脱着装置。
【請求項7】
船舶(S)を陸上に上架する際に用いる台車上架台(2)を、縦取台車(3)から取り外し又は取り付ける台車上架台の脱着方法であって、
上部に台車上架台(2)を載せると共に、移動させる長方形状の台車上架台用レール(9)と、該台車上架台用レール(9)を上下動させる昇降装置(8)と、下部に横取レール(R2)上を移動する車輪(4)が設けられた装置本体(5)と、該台車上架台用レール(9)の一端に、該装置本体(5)の上部において突出するように設けられた、縦取台車(3)上に載せられた台車上架台(2)の下部に差し込むチルトフォーク(6)と、該台車上架台用レール(9)のチルトフォーク(6)から前記転倒回動部材(7)の間を移動自在に取り付けられた、1又は複数の台車上架台(2)を載せる架台受台(10)と、該台車上架台用レール(9)の他端に、該台車上架台(2)を載せて約90度下方へ回動転倒自在に取り付けられた転倒回動部材(7)と、該装置本体(5)と該転倒回動部材(7)の間に取り付けられた、該転倒回動部材(7)を起立と転倒させる伸縮装置(14)と、を備えた船舶用架台脱着装置(1)を用い、
前記船舶用架台脱着装置(1)を横取台車(11)に接続すると同時に、前記チルトフォーク(6)が、縦取台車(3)上の台車上架台(2)を載せている架台受台(10)の下部に差し込み、
次に、架台受台(10)を前記チルトフォーク(6)から台車上架台用レール(9)を通って前記転倒回動部材(7)まで移動させ、該転倒回動部材(7)に台車上架台(2)を嵌め込み、
この状態で該転倒回動部材(7)を台車上架台(2)共に転倒させ、船底に接触することなく通過するように船舶用架台脱着装置(1)を横取レール(R2)上を移動させる、ことを特徴とする台車上架台の脱着方法。
【請求項8】
前記縦取台車(3)に載せられた台車上架台(2)を架台受台(10)と共に取り外す際に、前記チルトフォーク(6)に設けた昇降装置(8)を上昇させて、該チルトフォーク(6)と台車上架台用レール(9)を傾斜させ、台車上架台(2)下面と縦取台車(3)との間に隙間を開け、該チルトフォーク(6)上の台車上架台(2)を抜き取る、ことを特徴とする請求項7に記載された台車上架台の脱着方法。
【請求項9】
船舶(S)を陸上に上架する際に用いる台車上架台(2)を、縦取台車(3)から取り外し又は取り付ける台車上架台の脱着方法であって、
上部に台車上架台(2)を載せると共に、移動させる長方形状の台車上架台用レール(9)と、該台車上架台用レール(9)を上下動させる昇降装置(8)と、下部に横取レール(R2)上を移動する車輪(4)が設けられた装置本体(5)と、該台車上架台用レール(9)の一端に、該装置本体(5)の上部において突出するように設けられた、縦取台車(3)上に載せられた台車上架台(2)の下部に差し込むチルトフォーク(6)と、該台車上架台用レール(9)のチルトフォーク(6)から前記転倒回動部材(7)の間を移動自在に取り付けられた、1又は複数の台車上架台(2)を載せる架台受台(10)と、該台車上架台用レール(9)の他端に、該台車上架台(2)を載せて約90度下方へ回動転倒自在に取り付けられた転倒回動部材(7)と、該装置本体(5)と該転倒回動部材(7)の間に取り付けられた、該転倒回動部材(7)を起立と転倒させる伸縮装置(14)と、を備えた船舶用架台脱着装置(1)を用い、
前記船舶用架台脱着装置(1)の転倒回動部材(7)を転倒させ、該転倒回動部材(7)に台車上架台(2)を横向きに嵌め込み、
転倒回動部材(7)を転倒させた状態で、前記船舶用架台脱着装置(1)を縦取台車(3)の位置まで移動させ、その後転倒回動部材(7)を台車上架台(2)と共に起立させ、
次に、チルトフォーク(6)を、縦取台車(3)の上部まで移動させ、起立させた台車上架台(2)を、台車上架台用レール(9)上を移動させて縦取台車(3)上に載せ、
その後、台車上架台(2)からチルトフォーク(6)を抜き取り、前記船舶用架台脱着装置(1)を退出させる、ことを特徴とする台車上架台の脱着方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶の修理、船底に付着している海藻等の除去、船体保護用の塗装をする際に、更に冬期の流氷、港内結氷等から船体を保護するために陸上に船舶を上架するときに用いる船舶用架台脱着装置及びこれを用いた台車上架台の脱着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
船舶を陸上に上架する作業方法の一例について
図13から
図19に基づいて説明する。図示例はリフト式の船舶上架方法である。
(1) 水中において縦取台車に船体を載せる。
水中において、縦取レールR1に、台車上架台2を載せた縦取台車3を配置する。この縦取台車3の上部に船舶S(船体)を移動させる。
【0003】
(2) 縦取台車に載せた船舶(船体)を、海面より陸上に引きあげる。
図13(a)の船舶を牽引する状態に示すように、船舶Sを横取りする列に合わせて、位置決めストッパー51を縦取レールR1の所定の位置へ取り付ける。縦取台車3を牽引する牽引ワイヤー52をウインチで巻き取り牽引を始める。
図13(b)の位置決めストッパー51の位置まで牽引した状態に示すように、縦取台車3の車輪が位置決めストッパー51に接触するまで牽引する。縦取台車3が移動しないように海側にも位置決めストッパー51を取り付け、縦取台車3を固定する。
【0004】
(3) 縦取台車の真下に横取台車を入れる。
図14の概略説明正面図に示すように、縦取台車3から牽引ワイヤー52を外す。縦取台車3から位置決めピン53を全て抜く。横取台車11を、縦取台車3の真下へ入れ、位置決めストッパー51に接触するまでずらす。横取台車11が所定の位置にきたら、反対側も位置決めストッパー51を取り付け横取台車11を縦取台車3に固定する。横取台車11に連結棒55を取り付ける。横取台車11と縦取台車3に位置決めピン53を全て通して固定する。
【0005】
(4) 縦取台車の真下に横取台車を固定する(ジャッキアップ)。
船舶S(船体)と各横取台車11の当たりが全面に等しく分散しているかを確認する。これは荷重が等しく分散していなければ横取台車11に内蔵している油圧ジャッキに「曲げ」が作用する。油圧ジャッキに曲げ作用が大きくなればラムの破損となる恐れがある。
横取台車11に装備してある電動ポンプで油を送り、船の左右のラムが8本とも同じ速度で上昇することを確認しながら縦取台車3ごと船を持ち上げ、縦取台車3の車輪の鍔ツバが横取レールR2をかわす高さまで持ち上げる。
【0006】
(5) 縦取台車の真下に横取台車を固定する(マクラ金物)。
縦取台車3と横取台車11の隙間に鋼製のマクラ金物を入れ、油圧ジャッキを下降させる。このことにより船体の荷重をマクラ金物で受けることになる。このとき、縦取台車3の全車輪の鍔が横取レールR2をかわす高さとなっていることを再度確認する。
【0007】
(6) 横取列位置まで移動する。
図15の縦取台車と横取台車の概略説明平面図に示すように、位置決めストッパー51を外す。牽引ワイヤー52を横取する列の根止めに取り付けられているスナッチブロックを介して横取台車11に取り付ける。ウインチで牽引ワイヤー52を巻き取り、縦取台車3ごと横取り所定位置まで牽引する。
【0008】
(7) 船体を盤木に載せる。
図16の横取台車をジャッキアップして盤木を船底に積み上げた状態を示す概略説明正面図に示すように、再度、横取台車11に内蔵してある油圧ジャッキを上昇させる。必要な箇所へ地面から盤木54等を積み重ね、矢等を使って船舶S(船体)の自重を盤木54に伝える。
図17の横取台車11をジャッキを降下して(船体)の荷重が盤木54にかかる状態を示す概略説明正面図に示すように油圧ジャッキを下降させて、船舶Sの自重を組み立てた盤木54に全て移す。
【0009】
(8) 台車上架台を取り外す。
図18の概略説明側面図に示すように、船舶Sを横取台車11を縦取レールR1位置に運び戻す際に、船舶Sを運び戻す反対側の取外し式台車上架台2と木製盤木54を縦取台車3から取り外す。取り外さないと船底及びキールに引っ掛かり横取台車を運び戻せないためである。他にも縦取台車3上に船舶Sの船底及びキールと干渉するものがないか確認する。
横取台車11の牽引ワイヤー52を反対側に配置換えをする。縦取レールR1と横取レールR2の交差部RCの位置決めストッパー51に接触するまで牽引する。
【0010】
(9) 上架作業の完了
図19の縦取台車と横取台車の概略説明平面図に示すように、反対側にも位置決めストッパー51を取り付け、横取台車11を固定する。横取台車11に内蔵している油圧ジャッキを下降させて、縦取台車3を縦取レールR1上に戻す。位置決めピン53を抜いて、横取台車11の連結棒55を取り外す。位置決めストッパー51を取り外し、縦取台車3の下部から横取台車11を引き出す。縦取レールR1の位置決めストッパー51を取り外す。以上の作業を繰り返し、上架作業は完了する。
【0011】
(10) 下架作業
下架作業は、上述した上架作業の行程をそのまま逆にした行程となる。
【0012】
船舶の上架に関する技術は多数提案されている。例えば、特許文献1の特開昭58-141989号「船舶上架装置」には、船体の要所底面を支持しうる受台の下方に、前後の車輪が、相互間に間隔を設けて装着されている縦取り台車と、縦取り台車の前後の車輪間において、その受台の下方へ進入することができるように形状及び寸法が定められ、左右方向の車輪付きの受台を備えるとともに、縦取り台車の受台の下方へ進入した状態において、該台車を持上げうるようにした昇降装置を備える横取り台車と、よりなる船舶上架装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかし、従来の船舶上架装置では、横取位置において、縦取台車3から台車上架台2を外す作業は人力による場合が多かった。また、小型船舶Sの場合は、台車上架台2が低い位置になるため、その取り付けと取り外しの際に、人が屈んだ不安定な体勢を強いられるという問題を有していた。
【0015】
横取りされている船舶Sの隣に新たに船舶Sを横取りする際には、船舶Sの一側面は作業空間が確保できるが、隣に船舶Sが既に横取りされている側には十分な作業空間を取りづらいという問題を有していた。そのため取り外した台車上架台2の運搬が困難になることがあった。また、取り外した台車上架台2を運搬する際に、これを分解する作業に手間取ることがあった。
【0016】
更に、縦取台車3には複数の台車上架台2を載せるため、運搬する際に台車上架台2の数毎の運搬作業が必要であった。そのために船舶Sの上架作業に長時間を要するという問題を有していた。
【0017】
本発明は、かかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、複数の台車上架台を一括して取り扱うことで、迅速に上架作業を進めると共に、台車上架台を転倒させて運搬することで、狭い作業空間、船底の下方の低い空間でも上架作業を円滑に行うことができる船舶用架台脱着装置及びこれを用いた台車上架台の脱着方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の船舶用架台脱着装置(1)は、船舶(S)を陸上に上架する際に用いる台車上架台(2)を、縦取台車(3)から取り外し又は取り付ける際に用いる船舶用架台脱着装置(1)であって、
上部に台車上架台(2)を載せると共に、移動させる台車上架台用レール(9)と、該台車上架台用レール(9)を上下動させる昇降装置(8)と、下部に横取レール(R2)上を移動する車輪(4)が設けられた装置本体(5)と、
前記台車上架台用レール(9)の一端に、前記装置本体(5)の上部において突出するように形成された、縦取台車(3)上に載せられた台車上架台(2)の下方に差し込むチルトフォーク(6)と、
前記装置本体(5)に、前記台車上架台(2)を載せて約90度下方へ回動転倒自在に取り付けられた転倒回動部材(7)と、
前記台車上架台用レール(9)のチルトフォーク(6)から前記転倒回動部材(7)の間を移動自在に取り付けられた、1又は複数の台車上架台(2)を載せる架台受台(10)と、
前記装置本体(5)と前記転倒回動部材(7)の間に取り付けられた、前記転倒回動部材(7)を起立と転倒させる伸縮装置(14)と、を備えた、ことを特徴とする。
【0019】
前記台車上架台用レール(9)は、その転倒回動部材(7)側が支点になるように揺動自在に前記装置本体(5)に取り付けられ、該台車上架台用レール(9)のチルトフォーク(6)側に昇降装置(8)が該装置本体(5)に取り付けられたものである。
前記転倒回動部材(7)の前記架台受台(10)の底部を載せる面に、前記台車上架台用レール(9)から連続するように形成されたレール部分(17)を設けたものである。
前記転倒回動部材(7)が約90度下方へ回動転倒させた際に該転倒回動部材(7)の下部に、前記装置本体(5)が走行する横取レール(R2)上に走行する補助輪(7b)を取り付けることが好ましい。
前記装置本体(5)に、前記横取台車(11)を連結する連結部材(12)が設けられたものである。
前記架台受台(10)は、複数の台車上架台(2)を載せた状態で、前記台車上架台用レール(9)上を円滑に移動できるように、該架台受台(10)の下面に車輪または滑り材等の移動具材が取り付けられたものである。
【0020】
本発明の台車上架台の脱着方法は、船舶(S)を陸上に上架する際に用いる台車上架台(2)を、縦取台車(3)から取り外し又は取り付ける台車上架台の脱着方法であって、
上部に台車上架台(2)を載せると共に、移動させる長方形状の台車上架台用レール(9)と、該台車上架台用レール(9)を上下動させる昇降装置(8)と、下部に横取レール(R2)上を移動する車輪(4)が設けられた装置本体(5)と、該台車上架台用レール(9)の一端に、該装置本体(5)の上部において突出するように設けられた、縦取台車(3)上に載せられた台車上架台(2)の下部に差し込むチルトフォーク(6)と、該台車上架台用レール(9)のチルトフォーク(6)から前記転倒回動部材(7)の間を移動自在に取り付けられた、1又は複数の台車上架台(2)を載せる架台受台(10)と、該台車上架台用レール(9)の他端に、該台車上架台(2)を載せて約90度下方へ回動転倒自在に取り付けられた転倒回動部材(7)と、該装置本体(5)と該転倒回動部材(7)の間に取り付けられた、該転倒回動部材(7)を起立と転倒させる伸縮装置(14)と、を備えた船舶用架台脱着装置(1)を用い、
前記船舶用架台脱着装置(1)を横取台車(11)に接続すると同時に、前記チルトフォーク(6)が、縦取台車(3)上の台車上架台(2)を載せている架台受台(10)の下部に差し込み、
次に、架台受台(10)を前記チルトフォーク(6)から台車上架台用レール(9)を通って前記転倒回動部材(7)まで移動させ、該転倒回動部材(7)に台車上架台(2)を嵌め込み、
この状態で該転倒回動部材(7)を台車上架台(2)共に転倒させ、船底に接触することなく通過するように船舶用架台脱着装置(1)を横取レール(R2)上を移動させる、ことを特徴とする。
前記縦取台車(3)に載せられた台車上架台(2)を架台受台(10)と共に取り外す際に、前記チルトフォーク(6)に設けた昇降装置(8)を上昇させて、該チルトフォーク(6)と台車上架台用レール(9)を傾斜させ、台車上架台(2)下面と縦取台車(3)との間に隙間を開け、該チルトフォーク(6)上の台車上架台(2)を抜き取ることができる。
【0021】
また、本発明の台車上架台の脱着方法は、船舶(S)を陸上に上架する際に用いる台車上架台(2)を、縦取台車(3)から取り外し又は取り付ける台車上架台の脱着方法であって、
上部に台車上架台(2)を載せると共に、移動させる長方形状の台車上架台用レール(9)と、該台車上架台用レール(9)を上下動させる昇降装置(8)と、下部に横取レール(R2)上を移動する車輪(4)が設けられた装置本体(5)と、該台車上架台用レール(9)の一端に、該装置本体(5)の上部において突出するように設けられた、縦取台車(3)上に載せられた台車上架台(2)の下部に差し込むチルトフォーク(6)と、該台車上架台用レール(9)のチルトフォーク(6)から前記転倒回動部材(7)の間を移動自在に取り付けられた、1又は複数の台車上架台(2)を載せる架台受台(10)と、該台車上架台用レール(9)の他端に、該台車上架台(2)を載せて約90度下方へ回動転倒自在に取り付けられた転倒回動部材(7)と、該装置本体(5)と該転倒回動部材(7)の間に取り付けられた、該転倒回動部材(7)を起立と転倒させる伸縮装置(14)と、を備えた船舶用架台脱着装置(1)を用い、
前記船舶用架台脱着装置(1)の転倒回動部材(7)を転倒させ、該転倒回動部材(7)に台車上架台(2)を横向きに嵌め込み、
転倒回動部材(7)を転倒させた状態で、前記船舶用架台脱着装置(1)を縦取台車(3)の位置まで移動させ、その後転倒回動部材(7)を台車上架台(2)と共に起立させ、
次に、チルトフォーク(6)を、縦取台車(3)の上部まで移動させ、起立させた台車上架台(2)を、台車上架台用レール(9)上を移動させて縦取台車(3)上に載せ、
その後、台車上架台(2)からチルトフォーク(6)を抜き取り、前記船舶用架台脱着装置(1)を退出させる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明の船舶用架台脱着装置(1)では、架台受台(10)が複数の台車上架台(2)を載せることができるので、多数の台車上架台(2)について縦取台車(3)から同時に取り外し、又は取り付ける作業を短時間に終わらせることができる。
船舶用架台脱着装置(1)では、台車上架台(2)を縦取台車(3)から取り外す際と、取り付ける際にチルトフォーク(6)を利用するために、容易かつ安全に作業することができる。チルトフォーク(6)は昇降装置(8)の動作により自在に傾斜させることができるので、架台受台(10)の高さに容易に合わせることができる。
【0023】
転倒回動部材(7)は、台車上架台(2)を架台受台(10)と共に転倒回動した状態で、船舶用架台脱着装置(1)を横取台車(11)と縦取台車(3)と共に移動させる。このとき台車上架台(2)は転倒させているので、全高(L1)を低く抑えることができ、台車上架台(2)を分解することなく、船舶(S)のキール下を通ることができる。更に、上架用盤木(54)の高さも抑えることが可能で船底の塗装作業などが容易になる。
【0024】
本発明の台車上架台の脱着方法では、転倒回動部材(7)を用いて転倒収納することで船舶用架台脱着装置(1)の全高(L1)を低く抑えることができ、台車上架台(2)を分解せずに、船舶(S)のキール下を通ることができる。そこで、上架用盤木(54)の高さも抑えることが可能で船底の塗装作業などが容易になる。船舶用架台脱着装置(1)は、横取台車(11)と連結することで、転倒回動部材(7)の転倒時の負反力を受けることと併せ、縦取台車(3)から横取台車(11)を引き抜く際の牽引も行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の船舶用架台脱着装置を示す正面図である。
【
図2】本発明の船舶用架台脱着装置を示す平面図である。
【
図3】本発明の船舶用架台脱着装置を示す左側面図であり、転倒回動部材のみを示している。
【
図4】本発明の船舶用架台脱着装置を示す右側面図である。
【
図5】転倒回動部材を転倒させた状態を示す正面図である。
【
図6】船舶を横取する準備状態を示す船舶の概略説明平面図である。
【
図7】横取りと上架の状態を示す船舶の概略説明平面図である。
【
図8】船舶用架台脱着装置を横取台車に接続する状態を示し、(a)は船舶の概略説明平面図、(b)は概略説明正面図である。
【
図9】台車上架台の分離状態を示し、(a)は船舶の概略説明平面図、(b)は概略説明正面図である。
【
図10】台車上架台を引き出す状態を示し、(a)は船舶の概略説明平面図、(b)は概略説明正面図である。
【
図11】転倒回動部材を転倒させる状態を示し、(a)は船舶の概略説明平面図、(b)は概略説明正面図である。
【
図12】転倒させた状態の台車上架台を船底で移動させる状態を示し、(a)は船舶の概略説明平面図、(b)は概略説明正面図である。
【
図13】船舶と縦取台車の概略説明正面図を示し、(a)は船舶を牽引する状態、(b)は位置決めストッパーの位置まで牽引した状態である。
【
図14】縦取台車に横取台車を固定する状態を示す概略説明正面図である。
【
図15】縦取台車に横取台車を固定する状態を示す概略説明平面図である。
【
図16】縦取台車と横取台車を示す概略説明正面図である。
【
図17】横取台車をジャッキアップして盤木を船底に積み上げた状態を示す概略説明正面図である。
【
図18】横取台車をジャッキを降下して船体の荷重が盤木にかかる状態を示す概略説明側面図である。
【
図19】縦取台車と横取台車から台車上架台を取り外す状態を示す概略説明平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、船舶の修理、船底に付着している海藻等の除去、船体保護用の塗装をする際に、更に冬期の流氷、港内結氷等から船体を保護するために陸上に船舶を上架する際に用いる台車上架台を、縦取台車から取り外し、又は取り付ける際に用いる船舶用架台脱着装置及びこれを用いた台車上架台の脱着方法である。
【実施例0027】
<船舶用架台脱着装置の全体構成>
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の船舶用架台脱着装置を示す正面図である。
図2は本発明の船舶用架台脱着装置を示す平面図である。
図3は本発明の船舶用架台脱着装置を示す左側面図であり、転倒回動部材のみを示している。
図4は本発明の船舶用架台脱着装置を示す右側面図である。
図1から
図4は何れも転倒回動部材を上方に上げている状態を示している。
本発明の船舶用架台脱着装置1は、船舶Sを上架する際に用いる台車上架台2を、縦取台車3から取り外し、又は取り付ける際に用いる装置である。この船舶用架台脱着装置1は、主に横取レールR2上を移動する車輪4が設けられた装置本体5と、縦取台車3上に載せられた台車上架台2の下部に差し込むチルトフォーク6と、台車上架台2を載せて約90度下方へ回動転倒させる転倒回動部材7と、この転倒回動部材7を起立と転倒させる伸縮装置14と、を備えた装置である。
【0028】
<装置本体の構成>
装置本体5は、
図1の正面図と
図2の平面図に示すように、略直方体形状に組み立てた略直方体形状のフレームの下部の4カ所に横取レールR2上を移動する車輪4が設けられた装置である。この略直方体形状のフレームの上部に台車上架台用レール9の他端は揺動自在に回動軸9aで軸支されている。台車上架台用レール9は、台車上架台2を載せると共に、移動させるレールである。
【0029】
図示例の台車上架台用レール9は2本のレールから成っている。この台車上架台用レール9の一部(
図1の図示では右側の先端部分)が後述するチルトフォーク6になる。台車上架台用レール9は2本のレールの幅は、
図2の平面図に示すように、横取レールR2上を移動する車輪4の幅より広い間隔を取っている。この2本のレール上において、後述する架台受台10を移動させるためである。この架台受台10には複数の台車上架台2を載せるので、横長になるためにそのバランスをとるためである。
更に、この台車上架台用レール9の他部は、転倒回動部材7を構成するレール部分7aと連続するようになっている。
【0030】
装置本体5には、横取台車11を連結する連結ピンなどの連結部材12が設けられている。本発明の船舶用架台脱着装置1を、横取台車11に連結した状態で動作させるためである。図示例では、連結部材12として連結ピンを示しているが、この連結ピンに限定されないことは勿論である。例えば、図示しないが一方に鉤状の部材を、他方にこの鉤状の部材が掛け止められる受け部材を設けた構成でも良い。
【0031】
装置本体5に設けられた車輪4の両外側にアウトリガー13が設けられている。船舶用架台脱着装置1の安定性を高めるためである。架台受台10は複数の台車上架台2を載せた横長になり、そのバランスをとる必要があるからである。なお、このアウトリガー13は、転倒回動部材7の近くに設けられている。この転倒回動部材7が回動動作中に装置本体5が揺れるのを防止するためである。
【0032】
<架台受台の構成>
本発明の船舶用架台脱着装置1は、架台受台10を備えている。この架台受台10は、1又は複数の台車上架台2を載せる板状の受台である。図示例の架台受台10は、4台の台車上架台2を並列して載せられる長さを有する板材10aと、この板材10aに周囲に枠板10bを設けたものである。この枠板10bにより台車上架台2が落下しないようになる。また板材10aの下面には、台車上架台用レール9上を走行するガイドローラ15とサイドローラ16を有する。架台受台10は、このガイドローラ15とサイドローラ16により台車上架台用レール9から外れないようになっている。
【0033】
この架台受台10は、チルトフォーク6で取り外し、そのまま台車上架台用レール9上を走行する。更に、転倒回動部材7に構成されたレール部分17上も走行するようになっている。そこで、縦取台車3に載せられていた台車上架台2を、チルトフォーク6から台車上架台用レール9上を通過させ、転倒回動部材7にまで移動させる。
【0034】
更に、架台受台10には、図示していないがその下面に車輪又は滑り材等の移動具材を取り付けることができる。この架台受台10に複数の台車上架台2を載せると、その重量で台車上架台用レール9上を円滑に移動させることが困難になる場合があるからである。
【0035】
<チルトフォークの構成>
台車上架台用レール9(チルトフォーク6)は、転倒回動部材7側が回動軸9aの支点になるように揺動自在に装置本体5に取り付けられている。この台車上架台用レール9の一部がチルトフォーク6として機能する。チルトフォーク6を可動させるために、台車上架台用レール9の下部に昇降装置8が装置本体5に取り付けられている。昇降装置8は手動式、電動何れの形態でも良い。
【0036】
昇降装置8の動作によりチルトフォーク6(台車上架台用レール9)を自在に傾斜させることができる。このチルトフォーク6は、文字通り縦取台車3上に載せられた台車上架台2を載せている架台受台10の下部に差し込める。この差し込む際に、縦取台車3の高さに合わせるために、昇降装置8を作動させて、チルトフォーク6の傾斜角度を調節する。チルトフォーク6は台車上架台用レール9の一部であるため、そのまま台車上架台用レール9上において台車上架台2を架台受台10と共に移動させることができる。
【0037】
また、縦取台車3に載せている台車上架台2を、架台受台10と共に移動させる際に、チルトフォーク6を下方へ傾斜させることで容易に移動させることができる。このときは図示していないが、架台受台10の下面にコロ又は滑り軸受を用いることで、台車上架台用レール9上を円滑に移動させることができる。
【0038】
<転倒回動部材の構成>
図5は転倒回動部材を転倒させた状態を示す正面図である。
転倒回動部材7は、台車上架台2と共に架台受台10を載せて約90度下方へ回動転倒自在に装置本体5に回動軸7aで軸支されている。この回動軸7aは、装置本体5の上部に取り付けられている。この転倒回動部材7は転倒状態にあるときは、そこに載せた架台受台10と共に台車上架台2を転倒させ、台車上架台用レール9の上面の高さ(L1)と略同じ高さにすることができる。船舶Sの船底を容易に通過させることができるようになる。台車上架台用レール9に載せられた状態の台車上架台2の上面の高さ(L2)と比較すると約1/2程度の高さになる。
【0039】
転倒回動部材7は、一面が架台受台10の底部を載せる部分になり、これに連続して同じく架台受台10に載せた台車上架台2の側面が当たる部分が形成された枠体で構成されている。図示例では略四角形状のフレームを組み合わせた枠体に架台受台10を横長状態で載せるようになっている。
【0040】
転倒回動部材7には、
図1の正面図と
図2の平面図に示すように、台車上架台用レール9から連続するように、レール部分17が形成されている。このレール部分17には架台受台10のガイドローラ15とサイドローラ16が転がるようになっている。台車上架台2を載せた架台受台10を円滑に転倒回動部材7に嵌め込める。
【0041】
転倒回動部材7は、起立と転倒させる動作は、台車上架台2の側面が当たる部分と装置本体5側に取り付けた電動シリンダー等の伸縮装置14により行う。即ち、転倒回動部材7に載せた台車上架台2を「起立」状態にしたいときは、伸縮装置14を伸長させる。逆に、台車上架台2を「転倒」状態にしたいときは、伸縮装置14を収縮させる。
【0042】
転倒回動部材7には、約90度下方へ回動転倒させた際に転倒回動部材7の下部に、装置本体5が走行する横取レールR2上に走行する補助輪7bが取り付けられている。この補助輪7bにより、転倒回動部材7に台車上架台2が載せられた状態で船舶用架台脱着装置1を横取台車11と共に横取レールR2を円滑にかつ安全に走行させることができる。
【0043】
<台車上架台の脱着方法の構成>
図6は船舶を横取する準備状態を示す船舶の概略説明平面図である。
図7は横取りと上架の状態を示す船舶の概略説明平面図である。
図8は船舶用架台脱着装置を横取台車に接続する状態を示し、(a)は船舶の概略説明平面図、(b)は概略説明正面図である。
図9は台車上架台の分離状態を示し、(a)は船舶の概略説明平面図、(b)は概略説明正面図である。
図10は台車上架台を引き出す状態を示し、(a)は船舶の概略説明平面図、(b)は概略説明正面図である。
図11は転倒回動部材を転倒させる状態を示し、(a)は船舶の概略説明平面図、(b)は概略説明正面図である。
図12は転倒させた状態の台車上架台を船底で移動させる状態を示し、(a)は船舶の概略説明平面図、(b)は概略説明正面図である。
本発明の船舶用架台脱着装置1を用いて、船舶Sを陸上に上架する際に用いる台車上架台2を、縦取台車3から取り外す作業は、次のような順序で行う。
(1) 横取の準備
図6に示すように、船舶Sの横取りをする位置に、本発明の船舶用架台脱着装置1を上架位置で待機させる。海中から船舶Sを縦取台車3上の台車上架台2に載せて縦取レールR1と横取レールR2の交差部まで牽引する。この交差部の位置において横取台車11と縦取台車3を船舶の両側からそれぞれ取り付ける。
【0044】
(2) 横取りと上架
図7に示すように、船舶Sを上架位置まで横取台車11で移動させる。船舶Sをジャッキアップさせ、船底と地面の間に上架用盤木54を積み、その後、ジャッキダウンし、船舶Sの荷重を上架用盤木54に掛ける。このとき、上架用盤木54の上端面は、横取台車11と縦取台車3に載せられた台車上架台2の上端面より高い位置にする。
【0045】
(3) 船舶用架台脱着装置を横取台車に接続
図8(a)と(b)に示すように、本発明の船舶用架台脱着装置1を横取台車11に、連結部材12を用いて接続する。同時にチルトフォーク6を、縦取台車3に載せられている台車上架台2(架台受台10)の下部に差し込む。
【0046】
(4) 台車上架台の分離
図9に示すように、このとき必要に応じてチルトフォーク6を上方へ傾斜させると台車上架台2(架台受台10)の下部と縦取台車3との間に隙間ができる。これで縦取台車3と台車上架台2とを分離することができる。
【0047】
(5) 台車上架台の引き出し
図10に示すように、チルトフォーク6を台車上架台用レール9を通って転倒回動部材7まで移動させる。このとき架台受台10のその下面にガイドローラ15とサイドローラ16がレール上を転がるので円滑に移動させることができる。転倒回動部材7においてもレール部分17に架台受台10のガイドローラ15とサイドローラ16が嵌め込まれた状態にあるため、架台受台10は転倒回動部材7から外れづらくなっている。
【0048】
(6) 転倒回動部材の転倒
図11に示すように、台車上架台2をチルトフォーク6から台車上架台用レール9を通って転倒回動部材7まで移動させる。転倒回動部材7に台車上架台2を架台受台10と共に嵌め込む。
【0049】
(7) 転倒させた状態の台車上架台を船底で移動
図12に示すように、転倒回動部材7で台車上架台2を架台受台10と共に転倒回動した状態で、船舶用架台脱着装置1を横取台車11と縦取台車3と共に移動させる。このとき台車上架台2は転倒させているので、
図5に示したように、全高(L1)を低く抑えることができ、台車上架台2を分解することなく、船舶Sの船体中心線に沿って船底を船首から船尾まで貫通するキール(竜甲)下を通ることができる。更に、上架用盤木54の高さも抑えることが可能で船底の塗装作業などが容易になる。
【0050】
船舶用架台脱着装置1は、横取台車11と連結しているので、転倒回動部材7の回動転倒時の負反力を受けることと併せ、縦取台車3を引き抜く際の牽引も行う。転倒回動部材7の転倒時、台車上架台2の荷重は補助輪7bを通し横取レールR2に伝えることで安定化する。
【0051】
なお、本発明は、複数の台車上架台2を一括して取り扱うことで、迅速に上架作業を進めると共に、台車上架台2を転倒回動部材7で転倒させて運搬することで、狭い作業空間、船舶Sの船底の下方の低い空間でも上架作業を円滑に行うことができる構成であれば、上述した発明の実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
前記台車上架台用レール(9)は、その転倒回動部材(7)側が支点になるように揺動自在に前記装置本体(5)に取り付けられ、該台車上架台用レール(9)のチルトフォーク(6)側に昇降装置(8)が該装置本体(5)に取り付けられたものである。
前記転倒回動部材(7)の前記架台受台(10)の底部を載せる面に、前記台車上架台用レール(9)から連続するように形成されたレール部分(17)を設けたものである。
前記転倒回動部材(7)が約90度下方へ回動転倒させた際に該転倒回動部材(7)の下部に、前記装置本体(5)が走行する横取レール(R2)上に走行する補助輪(7b)を取り付けることが好ましい。
前記装置本体(5)に、横取レール(R2)上を走行する横取台車(11)を連結する連結部材(12)が設けられたものである。
前記架台受台(10)は、複数の台車上架台(2)を載せた状態で、前記台車上架台用レール(9)上を円滑に移動できるように、該架台受台(10)の下面に車輪または滑り材等の移動具材が取り付けられたものである。
本発明の台車上架台の脱着方法は、船舶(S)を陸上に上架する際に用いる台車上架台(2)を、縦取台車(3)から取り外し又は取り付ける台車上架台の脱着方法であって、
上部に台車上架台(2)を載せると共に、移動させる長方形状の台車上架台用レール(9)と、該台車上架台用レール(9)を上下動させる昇降装置(8)と、下部に横取レール(R2)上を移動する車輪(4)が設けられた装置本体(5)と、該台車上架台用レール(9)の一端に、該装置本体(5)の上部において突出するように設けられた、縦取台車(3)上に載せられた台車上架台(2)の下部に差し込むチルトフォーク(6)と、該台車上架台用レール(9)のチルトフォーク(6)から、前記台車上架台(2)を載せて約90度下方へ回動転倒させる転倒回動部材(7)の間を移動自在に取り付けられた、1又は複数の台車上架台(2)を載せる架台受台(10)と、該台車上架台用レール(9)の他端に取り付けられた転倒回動部材(7)と、該装置本体(5)と該転倒回動部材(7)の間に取り付けられた、該転倒回動部材(7)を起立と転倒させる伸縮装置(14)と、を備えた船舶用架台脱着装置(1)を用い、
前記船舶用架台脱着装置(1)を横取台車(11)に接続すると同時に、前記チルトフォーク(6)が、縦取台車(3)上の台車上架台(2)を載せている架台受台(10)の下部に差し込み、
次に、架台受台(10)を前記チルトフォーク(6)から台車上架台用レール(9)を通って前記転倒回動部材(7)まで移動させ、該転倒回動部材(7)に台車上架台(2)を嵌め込み、
この状態で該転倒回動部材(7)を台車上架台(2)共に転倒させ、船底に接触することなく通過するように船舶用架台脱着装置(1)を横取レール(R2)上を移動させる、ことを特徴とする。
前記縦取台車(3)に載せられた台車上架台(2)を架台受台(10)と共に取り外す際に、前記チルトフォーク(6)に設けた昇降装置(8)を上昇させて、該チルトフォーク(6)と台車上架台用レール(9)を傾斜させ、台車上架台(2)下面と縦取台車(3)との間に隙間を開け、該チルトフォーク(6)上の台車上架台(2)を抜き取ることができる。
また、本発明の台車上架台の脱着方法は、船舶(S)を陸上に上架する際に用いる台車上架台(2)を、縦取台車(3)から取り外し又は取り付ける台車上架台の脱着方法であって、
上部に台車上架台(2)を載せると共に、移動させる長方形状の台車上架台用レール(9)と、該台車上架台用レール(9)を上下動させる昇降装置(8)と、下部に横取レール(R2)上を移動する車輪(4)が設けられた装置本体(5)と、該台車上架台用レール(9)の一端に、該装置本体(5)の上部において突出するように設けられた、縦取台車(3)上に載せられた台車上架台(2)の下部に差し込むチルトフォーク(6)と、該台車上架台用レール(9)のチルトフォーク(6)から、前記台車上架台(2)を載せて約90度下方へ回動転倒させる転倒回動部材(7)の間を移動自在に取り付けられた、1又は複数の台車上架台(2)を載せる架台受台(10)と、該台車上架台用レール(9)の他端に取り付けられた転倒回動部材(7)と、該装置本体(5)と該転倒回動部材(7)の間に取り付けられた、該転倒回動部材(7)を起立と転倒させる伸縮装置(14)と、を備えた船舶用架台脱着装置(1)を用い、
前記船舶用架台脱着装置(1)の転倒回動部材(7)を転倒させ、該転倒回動部材(7)に台車上架台(2)を横向きに嵌め込み、
転倒回動部材(7)を転倒させた状態で、前記船舶用架台脱着装置(1)を縦取台車(3)の位置まで移動させ、その後転倒回動部材(7)を台車上架台(2)と共に起立させ、
次に、チルトフォーク(6)を、縦取台車(3)の上部まで移動させ、起立させた台車上架台(2)を、台車上架台用レール(9)上を移動させて縦取台車(3)上に載せ、
その後、台車上架台(2)からチルトフォーク(6)を抜き取り、前記船舶用架台脱着装置(1)を退出させる、ことを特徴とする。
前記台車上架台用レール(9)は、その転倒回動部材(7)側が支点になるように揺動自在に前記装置本体(5)に取り付けられ、該台車上架台用レール(9)のチルトフォーク(6)側に昇降装置(8)が該装置本体(5)に取り付けられた、ことを特徴とする請求項1に記載された船舶用架台脱着装置。
前記転倒回動部材(7)の前記架台受台(10)の底部を載せる面に、前記台車上架台用レール(9)から連続するように形成されたレール部分(17)を設けた、ことを特徴とする請求項1又は2に記載された船舶用架台脱着装置。
前記転倒回動部材(7)が約90度下方へ回動転倒させた際に該転倒回動部材(7)の下部に、前記装置本体(5)が走行する横取レール(R2)上に走行する補助輪(7b)が取り付けられた、ことを特徴とする請求項1、2又は3の何れか1項に記載された船舶用架台脱着装置。
前記架台受台(10)は、複数の台車上架台(2)を載せた状態で、前記台車上架台用レール(9)上を円滑に移動できるように、該架台受台(10)の下面に車輪または滑り材等の移動具材が取り付けられた、ことを特徴とする請求項1、2、3、4又は5の何れか1項に記載された船舶用架台脱着装置。
前記縦取台車(3)に載せられた台車上架台(2)を架台受台(10)と共に取り外す際に、前記チルトフォーク(6)に設けた昇降装置(8)を上昇させて、該チルトフォーク(6)と台車上架台用レール(9)を傾斜させ、台車上架台(2)下面と縦取台車(3)との間に隙間を開け、該チルトフォーク(6)上の台車上架台(2)を抜き取る、ことを特徴とする請求項7に記載された台車上架台の脱着方法。