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特開2022-117787コンバインの穀粒タンク、及びコンバイン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022117787
(43)【公開日】2022-08-12
(54)【発明の名称】コンバインの穀粒タンク、及びコンバイン
(51)【国際特許分類】
   A01F 12/46 20060101AFI20220804BHJP
【FI】
A01F12/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021014485
(22)【出願日】2021-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】特許業務法人あーく特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】楠瀬 善雄
【テーマコード(参考)】
2B396
【Fターム(参考)】
2B396KE01
2B396KE02
2B396KE03
2B396KE04
2B396KE05
2B396KE07
2B396LC06
2B396LC07
2B396LR08
2B396LR09
2B396MG29
2B396MG32
2B396MG33
2B396MJ14
(57)【要約】
【課題】タンク容量の確保を目的としたコンバインの穀粒タンク、及びコンバインを提供する。
【解決手段】コンバインに搭載され、内部を上下で仕切る着脱自在の棚板150を取付けることが可能な穀粒タンク100であって、穀粒タンク100は、内側に下窄まり形状となる傾斜面(スロープ、傾斜壁)104を有し、傾斜面104には取出口106が形成され、棚板150は傾斜して取付けられることで、穀粒タンク100内の穀粒を下流側へ搬送し、棚板150は、下流側の端部が傾斜面104に取付けられ、取出口106から穀粒を取出すことが可能である。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンバインに搭載され、内部を上下で仕切る着脱自在の棚板を取付けることが可能な穀粒タンクであって、
前記穀粒タンクは、内側に下窄まり形状となる傾斜面を有し、
前記傾斜面には取出口が形成され、
前記棚板は傾斜して取付けられることで、前記穀粒タンク内の穀粒を下流側へ搬送し、
前記棚板は、前記下流側の端部が前記傾斜面に接続し、
前記取出口から穀粒を取出すことが可能である、コンバインの穀粒タンク。
【請求項2】
タンク内部に設けられる横コンベアと、
前記横コンベアの上方に位置するコンベアカバーと、
前記コンベアカバーに接続され、前記棚板を下方から支持する支持部材とをさらに備えた、請求項1に記載のコンバインの穀粒タンク。
【請求項3】
前記コンベアカバーは、前記棚板に振動を付与する加振手段を備える、請求項2に記載のコンバインの穀粒タンク。
【請求項4】
前記傾斜面の下部の空間に設けられた、前記取出口を通った穀粒を昇降機に送る供給樋をさらに備えた、請求項1から3のいずれか一つに記載のコンバインの穀粒タンク。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一つに記載のコンバインの穀粒タンクを備えた、コンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はコンバインの穀粒タンク、及びコンバインに関し、特に、穀粒タンクの内部を上下で仕切る着脱自在の棚板を取付けることが可能なコンバインの穀粒タンク、及びコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、穀粒タンク(グレンタンクともいう。)の外側面に昇降機を取付け、穀粒タンク内の横コンベアを覆うように複数の棚板を敷き詰め、横コンベアを介することなく、収穫物を直接昇降機に向け流下させて排出する構造が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4313275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の構造によると、棚板によってタンク容量が大きく低下するという問題があった。
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、タンク容量の確保を目的としたコンバインの穀粒タンク、及びコンバインを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明のある局面に従うと、コンバインに搭載され、内部を上下で仕切る着脱自在の棚板を取付けることが可能な穀粒タンクにおいて、前記穀粒タンクは、内側に下窄まり形状となる傾斜面を有し、前記傾斜面には取出口が形成され、前記棚板は傾斜して取付けられることで、前記穀粒タンク内の穀粒を下流側へ搬送し、前記棚板は、前記下流側の端部が前記傾斜面に位置し、前記取出口から穀粒を取出すことが可能である。
【0007】
好ましくは穀粒タンクは、タンク内部に設けられる横コンベアと、前記横コンベアの上方に位置するコンベアカバーと、前記コンベアカバーに接続され、前記棚板を下方から支持する支持部材とをさらに備える。
【0008】
好ましくは前記コンベアカバーは、前記棚板に振動を付与する加振手段を備える。
【0009】
好ましくは穀粒タンクは、前記傾斜面の下部の空間に設けられた、前記取出口を通った穀粒を昇降機に送る供給樋をさらに備える。
【0010】
この発明の他の曲面に従うと、コンバインは、上記いずれかに記載のコンバインの穀粒タンクを備える。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施の形態におけるコンバインの斜視図である。
図2図1の穀粒タンク100をコンバインの後ろ側から見た図である。
図3図2の穀粒タンク100(棚板150の取付け前)の内部を示す図である。
図4図2の穀粒タンク100(棚板150の取付け前)の内部を示す斜視図である。
図5図4の穀粒タンク100に棚板150を取付けた状態を示す斜視図である。
図6】棚板150、供給樋160、及び穀物導入部材200の接続状態を示す斜視図である。
図7】棚板150の平面図である。
図8】棚板150の支持構造を示す斜視図である。
図9】コンベアカバー800の加振機構を示す図である。
図10】コンベアカバー800の加振機構を示す分解斜視図である。
図11】コンベアカバー800の加振機構を示す分解斜視図である。
図12】コンベアカバー800の加振機構を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態の1つにおけるコンバインの穀粒タンク、及びコンバインについて説明する。
【0013】
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるコンバインの斜視図である。
【0014】
図を参照してコンバインは、穀粒タンク100、穀物導入部材200、及び昇降機400を備える。穀粒タンク100内に一時保存された大豆などの穀粒は、穀物導入部材200を経由して昇降機400に送られ、昇降機400によって上に運ばれた後、外部に送られる。
【0015】
本発明の実施の形態においては、穀粒タンク100の内部に穀粒タンク100の内部を上下で仕切る着脱自在の棚板が取付けられる。棚板は、流下側端部が穀粒タンク100の機体外側で下窄まり形状となる傾斜面に取付けられる。傾斜面には取出口が設けられており、そこから穀物導入部材200に向けて収穫物を取出すことができる。
【0016】
図2は、図1の穀粒タンク100をコンバインの後ろ側から見た図であり、図3は、図2の穀粒タンク100(棚板150の取付け前)の内部を示す図であり、図4は、図2の穀粒タンク100(棚板150の取付け前)の内部を示す斜視図である。
【0017】
図に示すように穀粒タンク100は、水平面に対して直立する側壁102と、側壁102の下部に接続され、内側に下窄まり形状となる傾斜面を構成するスロープ(傾斜壁)104とを備える。スロープ(傾斜壁)104の横方向には、傾斜方向が逆のスロープ(傾斜壁)105が形成されている。これにより穀粒タンク100の下部は、V字形状の下窄まり形状となっている。下窄まり形状により、穀粒はV字に沿って中央に集まる。横コンベア300は、スロープ(傾斜壁)104によって中央に集まった穀粒を横方向に運搬するためのコンベアである。図3に示されるように、横コンベア300の上部にはコンベアカバー800が傘のように位置する。
【0018】
図4に示されるように、スロープ(傾斜壁)104の中央付近には、穀粒の取出口106が設けられている。これは、スロープ(傾斜壁)104に設けられた開口部である。後述する棚板150が取付けられていない状態では、板部材とボルトなどの締結部材によって取出口106は塞がれている。棚板150が取付けられるとき、板部材は取り外され、棚板150を沿った穀粒が取出口106からタンクの外部へ取出される。
【0019】
図5は、図4の穀粒タンク100に棚板150を取付けた状態を示す斜視図であり、図6は、棚板150、供給樋160、及び穀物導入部材200の接続状態を示す斜視図である。
【0020】
図に示されるように、棚板150は、穀粒タンク100内部を上下で仕切る着脱自在の部材である。棚板150は、傾斜して取付けられることで、穀粒タンク100内の穀粒を下流側へ搬送する。棚板150は、その下流側の端部がタンクのスロープ(傾斜壁)104に取付けられる。より詳しくは、棚板150は、その下流側の端部が取出口106の開口部の下に取付けられる。棚板150の下流端部の上面の位置と、四角形状の取出口106の開口部の下位置とを整合させることで、穀粒は棚板150を伝って供給樋160に流れ込む。
【0021】
棚板150は、棚板150a,150b,150cの3つの部材から構成されている。棚板150aの左右に棚板150b,150cが位置する。棚板150aの上面と棚板150bの上面とが交わる直線は、四角形状の取出口106の左下の角と交わる。棚板150aの上面と棚板150cの上面とが交わる直線は、四角形状の取出口106の右下の角と交わる。これにより、棚板150は下流が狭まった形状を有しており、穀粒タンク100の断面積よりも小さい面積の取出口106に向けて、穀粒が流れ込むことになる。棚板150a,150b,150cの1つを複数の棚板で構成してもよい。
【0022】
図7は、棚板150の平面図である。
【0023】
図に示されるように棚板150は、棚板150a,150b,150cの3つの部材から構成されており、棚板150aは、棚板150a1,150a2,150a3から構成されている。すなわち棚板150aは、その傾斜方向に直交する方向に配置される3枚の棚板から構成されており、3枚の棚板はその接続部においてオーバーラップしており、ボルトによって固定されている。
【0024】
図8は、棚板150の支持構造を示す斜視図である。
【0025】
上述の通り、穀粒タンク100内部に設けられる横コンベア(図8では不図示)には、その上方に位置し、上方を覆うコンベアカバー800が設けられる。棚板150を取付けるときに、穀粒タンク100内には、コンベアカバー800に接続され、棚板150を下方から支持する支持部材170a~170cが設けられる。支持部材170a~170cにより、棚板150は穀粒の重みによる変形から守られる。
【0026】
図9は、コンベアカバー800の加振機構を示す図であり、図10および11は、コンベアカバー800の加振機構を示す分解斜視図である。
【0027】
穀粒タンク100内には、横コンベア300の直上方位置において、前後方向に軸線を向けた支軸810を介してコンベアカバー800を揺動自在に架設している。支軸810の前端部は、穀粒タンク100から前外方へ延出させて前外方延出部820となしている。前外方延出部820には、連動体(揺動アーム)830の上端部を着脱自在に連動連結する一方、コンベア伝動機構に設けた偏心コマ850には、連動体830の下端部を着脱自在に連動連結している。コンベア伝動機構は、伝動ケース720を有している。
【0028】
図示しないエンジンには、冷却ファンを駆動するファン駆動軸を突出させており、ファン駆動軸の中途部には、出力プーリ702を取付けている。出力プーリ702と入力プーリ758との間には、伝動ベルト704を弛緩状態に巻回している。弛緩状態に巻回された伝動ベルト704は、テンション機構により緊張状態に巻回可能としている。つまり、テンション機構の動作により、伝動ベルト704を弛緩状態にすることで動力切断状態とする一方、伝動ベルト704を緊張状態にすることで動力接続状態とすることができる。
【0029】
テンション機構は、伝動ベルト704に押圧ないしは離隔するテンションローラ782と、テンションローラ782を伝動ベルト704に対して押圧・離隔自在に支持するテンションアームとを具備している。
【0030】
偏心コマ850の偏心回動機能が確保されて、連動体830及び支軸810を介したコンベアカバー800の揺動機能が確保される。その結果、コンベアカバー800の堅実な揺動動作により穀粒タンク100で穀粒がブリッジ現象やアーチング現象を起こすのを防止することができ、穀粒が横コンベア300に堅実に供給される。
【0031】
また、図8に示されるように、コンベアカバー800は支持部材170a~170cを介して棚板150に接続される。これにより、コンベアカバー800の加振機構を動作させることで、棚板150を振動させることができ、穀粒タンク100で穀粒がブリッジ現象やアーチング現象を起こすのを防止することができ、穀粒が取出口106に対して堅実に供給される。
【0032】
図12は、コンベアカバー800の加振機構を示す模式図である。
【0033】
図に示されるようにコンベアカバー800は、支軸810を介して揺動自在に設置される。支持部材170a~170cとコンベアカバー800との間には緩衝部材850,851が位置し、これにより支持部材170a~170cは、コンベアカバー800とともに揺動する。
【0034】
[実施の形態の効果]
【0035】
上記特許文献1の構造によると、棚板が穀粒タンク側板(水平面に対して直立する側壁)の内側に組み付けつけられているため、無駄な空間が存在しタンク容量を少なくしていた。
【0036】
上述の実施の形態によると、取出口106は、水平面に対して直立する側壁102に形成されず、内側に下窄まり形状となる傾斜面を構成するスロープ(傾斜壁)104に形成される。そして棚板150の下流側端部は、側壁102に接続されず、スロープ(傾斜壁)104に接続される。
【0037】
これにより側壁102をできる限りタンクの下の位置に取付けることができるため、穀粒タンク100の容量を有効に活用できる。
【0038】
また、上記特許文献1の構造によると、側板の変形により棚板の取付けが安定せず隙間が生じる恐れがあった。
【0039】
本実施の形態では、棚板150を下方から支持する支持部材170a~170cを設けたことにより、棚板150が変形することが防止される。これにより、組付精度の高い棚板150を提供することができる。
【0040】
さらにコンベアカバー800には、穀粒排出時にコンベアカバー800の長手方向を軸支に揺動し、棚板150に振動を付与する加振手段を設けているため、残留物を残さず排出することが可能となる。
【0041】
さらにスロープ(傾斜壁)104の下部の空間に、取出口106を通った穀粒を昇降機400に送る供給樋160が設けられる。これにより、スロープ(傾斜壁)104の下部の空間を有効活用することができる。
【0042】
上述の実施の形態及び変形例は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0043】
100 穀粒タンク
102 側壁
104 スロープ(傾斜壁、傾斜面)
105 スロープ(傾斜壁、傾斜面)
106 取出口
150 棚板
150a,150b,150c 棚板
160 供給樋
170a~170c 支持部材
200 穀物導入部材
300 横コンベア
400 昇降機
702 出力プーリ
704 伝動ベルト
720 伝動ケース
758 入力プーリ
782 テンションローラ
800 コンベアカバー
810 支軸
820 前外方延出部
830 連動体
850 偏心コマ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12