(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022117813
(43)【公開日】2022-08-12
(54)【発明の名称】仮想試着システム及びそれに用いられるプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/06 20120101AFI20220804BHJP
【FI】
G06Q30/06 320
G06Q30/06 300
G06Q30/06 340
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021014521
(22)【出願日】2021-02-01
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年1月23日にチラシを株式会社新学社から各販売代理店に郵送した。
(71)【出願人】
【識別番号】591139138
【氏名又は名称】株式会社新学社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 喜永
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(72)【発明者】
【氏名】檀上 和典
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB24
5L049BB58
5L049BB66
(57)【要約】 (修正有)
【課題】パーツの種類や位置を選択することによって衣服を完成させる衣服キットにおいて、購買者が納得のいくパーツの位置や形態を容易にできる仮想試着システムを提供する。
【解決手段】仮想試着システム100において、衣服画像格納部1は、複数種類の衣服の画像である衣服画像を格納する。人体画像取得部2は、衣服試着前の試着者の画像である人体画像を取得する。衣服画像取得部3は、前記衣服画像格納部1に格納されている衣服画像を選択可能に表示し、選択された前記衣服画像を取得する。試着画像表示部4は、衣服画像取得部3が取得した衣服画像を前記人体画像に合成して試着画像を生成し、これを表示する。パーツ操作部5は、試着画像又は衣服画像において、衣服を構成する所定のパーツの画像を移動又は別のパーツの画像に変更する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の衣服の画像である衣服画像を格納している衣服画像格納部と、
衣服試着前の試着者の画像である人体画像を取得する人体画像取得部と、
前記衣服画像格納部に格納されている衣服画像を選択可能に表示し、選択された前記衣服画像を取得する衣服画像取得部と、
前記衣服画像取得部が取得した衣服画像を前記人体画像に合成して試着画像を生成し、これを表示する試着画像表示部と、
前記試着画像又は衣服画像において、衣服を構成するパーツのうちの少なくとも1つのパーツの画像を移動又は別のパーツの画像に変更するパーツ操作部とを備えていることを特徴とする仮想試着システム。
【請求項2】
前記試着画像を格納する試着画像格納部をさらに備えていることを特徴とする請求項1記載の仮想試着システム。
【請求項3】
前記衣服画像が、試着された状態の衣服の立体的な画像であることを特徴とする請求項1又は2記載の仮想試着システム。
【請求項4】
複数種類の衣服の画像である衣服画像を格納している衣服画像格納部と、
衣服試着前の試着者の画像である人体画像を取得する人体画像取得部と、
前記衣服画像格納部に格納されている衣服画像を選択可能に表示し、選択された前記衣服画像を取得する衣服画像取得部と、
前記衣服画像取得部が取得した衣服画像を前記人体画像に合成して試着画像を生成し、該試着画像を表示する試着画像表示部と、
前記試着画像又は衣服画像において、衣服を構成するパーツのうちの少なくとも1つのパーツの画像を移動又は別のパーツの画像に変更するパーツ操作部と、としての機能をコンピュータに発揮させることを特徴とする仮想試着システム用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体画像に衣服画像を合成することによって仮想的な試着状態を表示する仮想試着システム等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
小学校の家庭科授業では、エプロンなどの比較的簡単な構成の衣服を作製するが、近年では、そのための衣服キットも販売されている。この衣服キットには、複数のパーツが入っていて、生徒はこれらパーツを縫製するなどして衣服を完成させる。
【0003】
例えばエプロンキットの場合は、前掛けパーツ、首紐パーツ、腰紐パーツ、ポケットパーツ、パッチクロスパーツなどが予め用意してあり、前記前掛けパーツに首紐パーツ、腰紐パーツ、ポケットパーツ、パッチクロスパーツなどを取り付けることによりエプロンが完成するように構成されている。
【0004】
しかしながら、上述したように複数のパーツに分かれている衣服キットの場合、未完成であるから当然試着することはできないし、パーツごとに色、形状、模様等が異なる複数種類が用意されていたり、ポケットパーツなどのように配置を変えることができるパーツがあったりする場合には、選択肢が多岐にわたることとなり、購買者がパーツを決めかねるといった事態が発生し得る。また、完成品のイメージを事前に把握しづらいため、できあがった衣服が気に入らない、といったことも生じ得る。
【0005】
近時では、特許文献1に示すように、コンピュータ上でモデルとなる人体画像と購買者が所望する衣服画像とを重ね合わせて合成画像とし、画面に表示することによって衣服の試着状態をシミュレートできる仮想試着システムも考えられているが、このような仮想試着システムでも、衣服のパーツを種々変えてシミュレートするといったことはできず、上述した課題を解決できるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述した課題に鑑みなされたものであって、パーツの種類や位置を決めることによって衣服を完成させる衣服キットにおいて、購買者等が納得のいく決断を容易にできる仮想試着システムを提供すべく図ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明に係る仮想試着システムは、複数種類の衣服の画像である衣服画像を格納している衣服画像格納部と、衣服試着前の試着者の画像である人体画像を取得する人体画像取得部と、前記衣服画像格納部に格納されている衣服画像を選択可能に表示し、選択された前記衣服画像を取得する衣服画像取得部と、前記衣服画像取得部が取得した衣服画像を前記人体画像に合成して試着画像を生成し、これを表示する試着画像表示部と、
【0009】
前記試着画像又は衣服画像において、衣服を構成するパーツのうちの少なくとも1つのパーツの画像を移動又は別のパーツの画像に変更するパーツ操作部とを備えていることを特徴とする。
【0010】
このようなものであれば、購買者は、衣服を試着した仮想的なイメージをみながら、その衣服のパーツの位置を変えたり、別のパーツに変更したりすることができるので、購買者にとってパーツの種類や位置を容易に決めることができるようになる。
【0011】
前記試着画像を格納する試着画像格納部をさらに備えているものであれば、一旦決めた試着画像を後で見直すとか、当該試着画像を用いて購入手続きをするなどといったことに利用できる。
試着画像を実際により近づけ、イメージしやすくするためには、前記衣服画像が、試着された状態の衣服の立体的な画像であることが好ましい。
【0012】
本発明は、複数種類の衣服の画像である衣服画像を格納している衣服画像格納部と、衣服試着前の試着者の画像である人体画像を取得する人体画像取得部と、前記衣服画像格納部に格納されている衣服画像を選択可能に表示し、選択された前記衣服画像を取得する衣服画像取得部と、前記衣服画像取得部が取得した衣服画像を前記人体画像に合成して試着画像を生成し、これを表示する試着画像表示部と、前記試着画像又は衣服画像において、衣服を構成するパーツのうちの少なくとも1つのパーツの画像を移動又は別のパーツの画像に変更するパーツ操作部と、としての機能をコンピュータに発揮させることを特徴とする仮想試着システム用プログラムでもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る仮想試着システムによれば、衣服のパーツの種類や位置を、購買者等が容易に決めることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態における仮想試着システムのハードウェア構成を示す全体図である。
【
図2】同実施形態におけるエプロンキットの概要図である。
【
図3】同実施形態における仮想試着システムの機能ブロック図である。
【
図4】同実施形態における仮想試着システムのクライアント装置に表示される画面を示す画面表示図である。
【
図5】同実施形態における仮想試着システムのクライアント装置に表示される画面を示す画面表示図である。
【
図6】同実施形態における仮想試着システムのクライアント装置に表示される画面を示す画面表示図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0016】
本実施形態における仮想試着システム100は、家庭科の教材として提供されるエプロンキットを購買する際に使用されるものであり、
図1に示すように、インターネットなどの通信網を介して通信可能に接続されたサーバ装置200及びクライアント装置300から構成されている。
この仮想試着システム100を説明するに先立って、まずは、前記エプロンキットについて簡単に説明しておく。
【0017】
このエプロンキットは、
図2に示すように、前掛けパーツ91、首・腰紐パーツ93及びポケットパーツ92を有したもので、これを購買した生徒は、これらパーツ91~93を縫製することにより、衣服であるエプロン9を完成させる。このエプロンキットには、色、柄又は形状の異なる複数種類が用意してあり、購買者はそれらから自分の好みのものを選んで購買する。
さて、本論に戻って、この仮想試着システム100を引き続き説明する。
【0018】
前記サーバ装置200は、CPU、記憶デバイス(ハードディスクなども含む。)、通信用インターフェース、入出力インターフェースなどを有したコンピュータ本体と、このコンピュータ本体に接続されたキーボード、マウス、ディスプレイなどの入出力デバイスとを備えたいわゆるコンピュータである。
【0019】
前記クライアント装置300は、CPU、記憶デバイス(ハードディスクなども含む。)、通信用インターフェース、入出力インターフェースなどを有したコンピュータ本体と、タッチパネルディスプレイ(以下、単にディスプレイともいう。)、カメラなどの入出力デバイスとを一体に備えた、例えばスマートフォンやタブレットコンピュータなどの携帯型コンピュータである。もちろん、いわゆるデスクトップ型やノート型のパソコンでも構わない。
【0020】
そして、これらサーバ装置200及びクライアント装置300に所定のプログラム(アプリケーション)をそれぞれインストールして動作させると、これら各装置200、300が通信により協働して、
図3に示すように、衣服画像格納部1、人体画像取得部2、衣服画像取得部3、試着画像表示部4、パーツ操作部5、試着画像格納部6等としての機能を発揮する。
【0021】
次に、前記各部について簡単に説明する。
前記衣服画像格納部1は、サーバ装置200の記憶デバイスの所定領域に設定されたもので、複数種類のエプロンの画像が予め格納されている。この実施形態では、このエプロン画像は、ポケットパーツの画像とその他のパーツ全ての画像との2つから構成されており、これらが互いに紐づけられて格納されている。
【0022】
前記人体画像取得部2は、クライアント装置300のカメラによって撮像等されたエプロン試着前の試着者の画像である人体画像を取得して、当該クライアント装置300のディスプレイに表示するものである。
【0023】
前記衣服画像取得部3は、ユーザーによる選択入力を受け付け、該選択入力によって選択された前記エプロンの画像を前記衣服画像格納部1から取得するものである。
【0024】
前記試着画像表示部4は、前記衣服画像取得部3が取得した衣服画像を前記人体画像に合成して試着画像を生成し、この試着画像をクライアント装置300のディスプレイに表示するものである。
【0025】
前記パーツ操作部5は、クライアント装置300のディスプレイに表示されてる前記試着画像において、前記ポケットパーツの画像に対するユーザーの所定の操作を受け付け、その操作に従ってポケットパーツの位置を変えるものである。
前記試着画像格納部6は、前記クライアント装置300の記憶デバイスの所定領域に設定されたもので、前記試着画像を格納するものである。
【0026】
次に、以上のような構成の仮想試着システム100の動作及びその操作方法について、前記各部の具体的な説明も兼ねて詳述する。
【0027】
まず、ユーザー(購買者)は、この仮想試着システム100に係るアプリケーションを自身のクライアント装置300にインストールする。
そしてユーザが当該アプリケーションを起動すると、所定の撮影画面に切り替わる。
【0028】
この撮影画面上で、ユーザーが、エプロンを着ていない試着者を撮影すると、
図4に示すように、この試着者の撮影画像である人体画像が前記人体画像取得部2によって取得され、クライアント装置300のディスプレイに表示される。このとき、当該アプリケーション上で試着者を必ずしも撮影する必要はなく、クライアント装置300のカメラで予め撮影しておいた試着者の既存の写真画像を選択して人体画像とすることもできる。
【0029】
次にユーザーがスワイプやタップなどのタッチ所定の操作を行うと、前記試着画像表示部4が動作して、
図5に示すように、デフォルトで設定されている所定のエプロンの画像が、ディスプレイ上に表示されている前記人体画像上に重なるように表示される。
【0030】
このとき、ユーザは、ディスプレイ上での人体画像の大きさ及び位置にマッチするように、エプロン画像の大きさ及び位置を、例えばピンチイン、ピンチアウト、ドラッグなどの操作で変えることができる。なお、このときに表示されるエプロンの画像は、試着された状態の画像であり、そこに表示されているポケットパーツ画像の位置は、所定のデフォルト位置に設定されている。
【0031】
このように人体画像とエプロン画像との合成画像である試着画像が表示されている画面(試着画像表示画面)には、同図に示すように、切替ボタンB1が表示されている。
【0032】
この切替ボタンB1をユーザーが操作すると、
図6に示すように、当該試着画像表示画面の下に複数種類のエプロン画像が縮小されて選択可能に表示される。そこで、ユーザーが、この縮小されたエプロン画像のいずれかをタップするなどして選択すると、前記試着画像中のエプロン画像が、選択された新たなエプロン画像に切り替わる。
【0033】
他方、前記試着画像においては、前記パーツ操作部5が機能することにより、ユーザは、ポケットパーツ画像の位置を、ドラッグ等の操作によって変えることができるので、ユーザーは、試着画像を見ながらそのポケットパーツを動かし、ポケットパーツを好みの取付位置を決めることができる。
このようにして、ポケットパーツの位置が決まれば、画面下にある撮影ボタンを押すことにより、当該試着画像が、前記試着画像格納部6に格納される。
【0034】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
前記実施形態では、ポケットパーツの取付位置を変えた試着画像をシミュレートできたが、ポケットパーツのみならず、例えばパッチクロスパーツなどの他のパーツに適用してもよい。
パーツ画像の移動可能な範囲を、取り付け可能な範囲のみに限定するようにしてもよい。
【0035】
また、パーツ画像の移動のみならず、色、柄又は形状の異なる他のパーツ画像に変更できるようにしてもよい。
エプロンのみならず、他の衣服に本発明を適用しても構わないし、移動又は選択できるパーツは、1つの衣服について複数あってもよい。
【0036】
さらに、前記パーツ画像は、試着画像表示画面上で移動乃至変更することができたが、選択した衣服画像を表示して、その衣服画像表示画面上でパーツ画像を移動乃至変更できるようにし、その後、パーツの種類や位置が決められた衣服画像と人体画像とを合成するようにしてもかまわない。
【0037】
前記実施形態では、サーバ装置とクライアント装置とによって仮想試着システムを構成していたが、全ての機能をクライアント装置に集約させ、クライアント装置単体で仮想試着システムを構成しても構わない。
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 衣服画像格納部
2 人体画像取得部
3 衣服画像取得部
4 試着画像表示部
5 パーツ操作部
6 試着画像格納部