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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022117849
(43)【公開日】2022-08-12
(54)【発明の名称】光源の調光装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 45/327 20200101AFI20220804BHJP
   H05B 45/10 20200101ALI20220804BHJP
   H05B 45/325 20200101ALI20220804BHJP
   H05B 45/335 20200101ALI20220804BHJP
【FI】
H05B45/327
H05B45/10
H05B45/325
H05B45/335
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021014584
(22)【出願日】2021-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】000111166
【氏名又は名称】DNライティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【弁理士】
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】小松 和則
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273AA10
3K273BA03
3K273BA11
3K273BA25
3K273CA02
3K273CA28
3K273DA02
3K273FA03
3K273FA14
3K273FA22
3K273FA26
(57)【要約】
【課題】パルス状電流の時間当たりのON時間を制御する光源の調光装置において、調光率を非常に低くしても照明光のチラツキや不点灯等の問題を招かないようにする。
【解決手段】光源2にバースト調光用のパルス状電流S5を供給し、調光率信号に基づいてパルス状電流S5の時間当たりのON時間を制御する光源の調光装置1は、パルス状電流S5として、光源2の不安定な点灯を招くことが無い程度にパルス幅が大とされたパルス状電流を用いる。そして調光装置1は、調光率が所定の境界値より高い範囲では、パルス状電流S5のデューティ比を調光率に応じて変化させ、調光率が上記境界値以下の範囲では、パルス状電流のS5デューティ比は一定としたまま該パルス状電流S5のパルスを間引くことにより調光率を変化させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源にバースト調光用のパルス状電流を供給し、調光率信号に基づいて前記パルス状電流の時間当たりのON時間を制御する光源の調光装置において、
前記パルス状電流として、光源の不安定な点灯を招くことが無い程度にパルス幅が大とされたパルス状電流を用い、
調光率が所定の境界値より高い範囲では、前記パルス状電流のデューティ比を調光率に応じて変化させ、調光率が前記境界値以下の範囲では、前記パルス状電流のデューティ比は一定としたまま該パルス状電流のパルスを間引くことにより調光率を変化させる構成とされた光源の調光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は蛍光灯やLED等の光源の調光率を変える調光装置に関し、特に詳細には光源をバースト調光する光源の調光装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
蛍光灯やLED等の光源を点灯駆動する際に、その照度を変化させたいという要求が広く存在する。例えば特許文献1および2には、そのような要求に応えるために光源の調光率(最大照度に対する比率)を変化させる調光装置が示されている。より具体的に特許文献2には、光源に印加するパルス状の駆動電流をPWM(パルス幅変調)制御して、つまりパルス状駆動電流の時間当たりのON時間を制御して、光源をバースト調光することが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-078857号公報
【特許文献2】特開2012-138279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示されるようなバースト調光を行う場合、調光率を非常に低くするには、パルス状駆動電流のデューティ比を著しく小さくすることになる。しかし、そのようにすると、駆動電流の立上り、立ち下がりのところでパルス波形が乱れる結果、照明光のチラツキや不点灯等の問題を招くことがある。
【0005】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、パルス状電流の時間当たりのON時間を制御する光源の調光装置において、調光率を非常に低くしても照明光のチラツキや不点灯等の問題を招くことのない調光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による光源の調光装置は、
光源にバースト調光用のパルス状電流を供給し、調光率信号に基づいて前記パルス状電流の時間当たりのON時間を制御する光源の調光装置において、
前記パルス状電流として、光源の不安定な点灯を招くことが無い程度にパルス幅が大とされたパルス状電流を用い、
調光率が所定の境界値より高い範囲では、前記パルス状電流のデューティ比を調光率に応じて変化させ、調光率が前記境界値以下の範囲では、前記パルス状電流のデューティ比は一定としたまま該パルス状電流のパルスを間引くことにより調光率を変化させる構成とした、
ことを特徴とするものである。
【0007】
上記構成を有する本発明の調光装置において、パルス状電流のパルス幅は一例として1.5μs以上(バースト周期が50μs、調光率が3%以上の場合)程度とされる。また、調光率の上記境界値は例えば3~5%程度とされる。
【発明の効果】
【0008】
本発明者の研究によると、調光率を非常に低くした際に駆動電流のパルス波形が乱れるのは、パルス状駆動電流のデューティ比を著しく小さくすると、駆動電流のパルス幅が非常に小さくなって、パルス波形が乱れることに起因していることが判明した。そこで本発明の調光装置においては、光源の不安定な点灯を招くことが無い程度にパルス幅が大とされたパルス状電流を用い、調光率が所定の境界値より高い範囲では、パルス状電流のデューティ比を調光率に応じて変化させ、調光率が上記境界値以下の範囲では、パルス状電流のデューティ比は一定としたまま該パルス状電流のパルスを間引くことにより調光率を変化させるようにしている。したがって本発明の調光装置においては、調光率を非常に低くしても、駆動電流のパルス幅が非常に小さくなってパルス波形が乱れることがなくなり、よって、照明光のチラツキや不点灯等の問題が生じることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態による調光装置の回路構成図
図2】上記調光装置における光源駆動電流の波形を調光率毎に示す概略図
図3】光源駆動電流の波形の乱れを説明する概略図
図4】上記調光装置における各種信号の波形を示す概略図
図5】上記調光装置における各種信号の波形を示す概略図
図6図1のものとは別の調光装置における各種信号の波形を示す概略図
図7】本発明の第2実施形態による調光装置の回路構成図
図8】上記各種信号の波形を、波形を規定する数値と共に示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態による光源の調光装置の回路構成を概略的に示す図である。本実施形態の調光装置1は、一例としてLEDモジュール2を構成する複数のLED2a、2b、2c・・・・を調光可能に点灯駆動するものであって、本例ではLEDモジュール2の点灯駆動回路3と別体に設けられている。点灯駆動回路3は、AC電源4に入力端5a、5bから接続する入力フィルタ部5と、AC/DC変換部6とを有する。AC/DC変換部6は、入力フィルタ部5のAC出力を定電圧のDC出力に変換する。
【0011】
調光装置1は、入力端10a、10bから調光信号S1を受け入れる調光信号入力部10、パルス幅変調器11、AND回路12、このAND回路12の出力S4を受けるスイッチング素子駆動部13、および、このスイッチング素子駆動部13により駆動されて、LEDモジュール2のLED2a、2b、2c・・・・に印加される駆動電流をON/OFFさせるスイッチング素子としてのMOS・FET14を有する。調光装置1はさらに、パルス幅変調器11の出力信号S3を受けるDタイプフリップフロップ15aから直列に接続された複数のDタイプフリップフロップ15a、15b、15c・・・(図中では仮に8段まで有るとして表示)、矩形波/三角波変換部16、調光信号入力部10の出力信号S2の電位を適正な電位に調整して調光指示信号S8として出力するオペアンプ17、および、この調光指示信号S8と前記矩形波/三角波変換部16の出力信号S9とを比較するコンパレータ18を有する。
【0012】
以下、上記構成を有する調光装置1による調光制御について、図2を参照しながら説明する。なお図2は、図1のMOS・FET14を介してLEDモジュール2に印加される出力電流S5の波形(これはLEDモジュール2の光出力の波形と対応する)を、設定された調光率毎に(1)~(7)に示している。この出力電流S5の波形は、LEDモジュール2がバースト調光される場合、つまりこの出力電流S5がLEDモジュール2に駆動電流としてパルス状に印加される場合は、より詳しく説明すると、例えば図3の(1)、(2)に示すようなものとなる。
【0013】
この図3の(1)、(2)はそれぞれ、調光率が一例として50%と比較的高く設定される場合、調光率が一例として5%と比較的低く設定される場合について示している。いずれの場合も、理想的にはパルス状波形が図中に破線で示す矩形波(理想波形)であるとして扱われるが、実際にはパルスの立上り、立下がりのところで時間遅れが生じて、図中に実線で示す波形(現実波形)となっている。本例においては、現実波形が図3の(1)、(2)のようなものであっても、LEDモジュール2に印加される電流とその光出力との関係に、実際上、特に不都合は生じないことを確認している。しかし、調光率が上記(2)の場合を下回って5%未満と著しく低く設定される場合は、印加電流値が所定値まで立ち上がらずに、LEDモジュール2のチラツキや不点灯等の問題を招くことがある。本実施形態の調光装置1は、後に詳しく説明する構成により、この問題発生を防止可能としたものである。以下、その点について説明する。
【0014】
調光装置1の調光信号入力部10には入力端10a、10bから、調光レベルを示す調光レベル設定信号S1が入力され、調光信号入力部10はこの調光レベル設定信号S1に対応した調光信号S2を出力する。この調光信号S2は、例えば0~1Vのアナログ電圧信号である。例えばシリコン発振器からなるパルス幅変調器11は、上記調光信号S2により制御されて、調光信号S2の電圧に対応したデューティ比を持つパルス信号であるTmain信号S3を出力する。パルス信号のデューティ比Dは、図2の(3)に示すように、D=パルス幅t/パルス周期Tである。一般には、パルス周期Tは2ms(ミリ秒)以下程度に設定される。
【0015】
また、ここでは便宜的にまとめて「パルス信号」と説明したが、Tmain信号S3のデューティ比Dmainは0.05≦Dmain≦1の範囲にあり、Dmain=1の場合のTmain信号S3は出力一様レベルの連続信号であって、厳密に言えばパルス信号ではない。しかし通常は、デューティ比=1とする場合も含んで「パルス幅変調」というので、本開示でもそのように扱うこととする。またパルス幅変調器11は上記の通り、Tmain信号S3のデューティ比Dmainの最低値を0.05とする。つまり、調光信号S2が示す調光率が5%より低い場合は、デューティ比Dmainが0.05に固定されたTmain信号S3を出力する。
【0016】
上記Tmain信号S3はAND回路12に入力され、AND回路12からは、このTmain信号S3と、コンパレータ18の出力信号S10とのANDを取った論理積であるAND出力S4が出力される。このAND出力S4はスイッチング素子駆動部13に入力され、このスイッチング素子駆動部13の出力S5に基づいて、スイッチング素子としてのMOS・FET14が駆動される。スイッチング素子駆動部13の出力S5は、MOS・FET14を駆動可能なレベルまで電流値が増大されたものであるが、その波形はAND出力S4の波形と同じである。
【0017】
前述した通り、LEDモジュール2のLED2a、2b、2c・・・・に印加される駆動電流は、上記MOS・FET14によってON/OFFされるから、図2に示す関係は、AND出力S4の波形を調光率毎に示すものでもある。この調光装置1において、調光率を図2の(1)に示す100%から(2)以下のように順次低下させる場合、設定したい調光率に対応させてTmain信号S3のデューティ比を低下させる。例えば調光率50%としたい場合は、Tmain信号S3のデューティ比を同図(3)のように0.5とする。
【0018】
以上のようにTmain信号S3のデューティ比を1(同図(1)の状態)と0.05(同図(5)の状態)の間で変化させれば、それに対応して、調光率が100%と5%の間で問題無く所望値に設定される。しかし、LEDモジュール2をさらに低照度で点灯させるために調光率を5%未満、例えば2.5%に設定しようとして、仮にTmain信号S3のデューティ比を同図(6)に示すように0.025に設定すると、先に図3の(2)を参照して説明した通り、LEDモジュール2のチラツキや不点灯等の問題を招くことがある。
【0019】
そこで本実施形態の調光装置1では、調光率を5%未満に設定する場合、パルス状のTmain信号S3のデューティ比は0.05に固定した上で、Tmain信号S3をAND回路12で調光率の値に応じた間引き率で間引いて、AND出力S4としてスイッチング素子駆動部13に入力するようにしている。つまり、一例として調光率を2.5%に設定する場合は、図2の(7)に示すように、パルス状のTmain信号S3を1/2だけ残すように間引いて、AND出力S4としてスイッチング素子駆動部13に入力する。また、調光率を1%に設定する場合は、パルス状のTmain信号S3を1/5だけ残すように間引いて、AND出力S4としてスイッチング素子駆動部13に入力する。詳しく説明すれば、設定希望の調光率が5%の1/nであれば、Tmain信号S3を1/nだけ残すように間引く。
【0020】
そこで、図3の(2)に示した現実波形よりもさらにパルス幅が極小のAND出力S4がスイッチング素子駆動部13に入力されることがなくなる。つまり、MOS・FET14がそのような極小のパルス幅で(ON時間で)LED2a、2b、2c・・・・をON/OFFすることがなくなり、その結果、LEDモジュール2のチラツキや不点灯等の問題発生が防止される。
【0021】
以下、上述のようにTmain信号S3のデューティ比を0.05に固定し、そのTmain信号S3を間引くための詳細構成について、図1並びに図4図5を参照して詳しく説明する。なお上述した図2の(7)では、パルス状のTmain信号S3を1/2だけ残すことを分かりやすく説明するために、Tmain信号S3を1パルス置きに間引く例を示したが、図1の調光装置1では、例えばDタイプフリップフロップを15a、15bおよび15cの3段設けた場合、後に詳述する図4および図5に示すように、基本的にTmain信号S3を連続する4パルスはそのまま残し、それらに続く4(=8-4)パルスを間引く。Dタイプフリップフロップを15a~15hの8段設けた場合は、Tmain信号S3を連続する128パルスはそのまま残し、それらに続く128(=256-128)パルスを間引くことになる。本発明において、Tmain信号S3を1/2だけ残す場合は、以上のような2つの形態の間引き方のいずれが適用されてもよい。
【0022】
さらに、Tmain信号S3の間引き率を1/2に限らず一般的に言えば、Tmain信号S3を連続するNパルス(2≦N)はそのまま残し、それらに続く1パルスを間引くようにしてもよいし、反対にTmain信号S3を1パルスはそのまま残し、それに続く連続のNパルス(2≦N)を間引くようにしてもよい。本発明において「パルスを間引く」とは、以上述べた形態の全てを含むものである。また、間引き率も1/2に限らず、その他例えば1/4、1/3、2/3等の間引き率としてもよい。
【0023】
図1に示すパルス幅変調器11から出力されたTmain信号S3は、前述したようにAND回路12に入力される前に一部が分岐されて、1段目のDタイプフリップフロップ15aに入力される。Dタイプフリップフロップは、入力パルスの立上りに反応してH/Lレベルが変化したパルスを出力するので、Tmain信号S3は複数のDタイプフリップフロップ15a、15b、15c・・・を通過することにより、図4の(1)~(4)に示すように波形が変化して、最終的にパルス信号S6として出力される。
【0024】
なお本例では、Dタイプフリップフロップが3段有るものとしており、図4の(1)は1段目のDタイプフリップフロップ15aに入力する前のTmain信号S3を、図4の(2)は1段目のDタイプフリップフロップ15aを通過した後のパルス信号を、図4の(3)は2段目のDタイプフリップフロップ15bを通過した後のパルス信号を、図4の(4)は3段目のDタイプフリップフロップ15cを通過した後のパルス信号6を示している。なおパルス信号6は、図1に示す矩形波/三角波変換部16で生成される三角波S9の周期を、同図の(4)に示すように決定する。この三角波S9との周期とTmain信号S3の周期と比較するために、同図の(1)にも三角波S9を示している。なお本実施形態において、Tmain信号S3のパルス幅は、一例として50μsである。
【0025】
上記三角波S9は図1のコンパレータ18に入力され、オペアンプ17から出力された調光指示信号S8と比較される。それにより図5の(1)に示すように、コンパレータ18からは、調光指示信号S8よりも三角波S9が低い値を取っている範囲で立ち上がっているパルス信号S10が出力される。このパルス信号S10は図1のAND回路12に入力され、AND回路12からは、図5の(2)に示すように、該パルス信号S10とTmain信号S3とのANDを取ったAND出力S4が出力される(図5の(3)参照)。このAND出力S4は、同図の(2)と比較して分かるように、Tmain信号S3の連続する4パルスをそのまま残し、それらに続く4パルスを間引いたものとなる。
【0026】
以上説明の通りのAND出力S4を図1のスイッチング素子駆動部13に入力し、このスイッチング素子駆動部13の出力S5(この波形はAND出力S4の波形と同じとなる)に基づいてLEDモジュール2を点灯させれば、Tmain信号S3に基づいてLEDモジュール2を点灯させる場合よりも低い調光率での点灯が可能になる。そしてパルス状のAND出力S4のデューティ比は0.05であって、Tmain信号S3のデューティ比と同じであるから、LEDモジュール2のチラツキや不点灯等の問題を招くことがない。
【0027】
なお、オペアンプ17では調光信号S2に基づいて、デューティ比が0.05以上の領域では、調光指示信号S8および三角波S9の信号レベル(電圧)が常にS8>S9となるように調光指示信号S8が調整される。そこで、コンパレータ18から出力されるパルス信号S10は、デューティ比が0.05以上の領域では常にHレベルとなる。したがってこの領域では、AND回路12からのAND出力S4は上述のような間引きはなされずに、Tmain信号S3そのものとなる。
【0028】
ここで、以上述べた例において図1のコンパレータ18から出力されるパルス信号S10をTsub信号、そのデューティ比をDsubと称し、Tmain信号S3のデューティ比Dmainと共に、設定される調光率毎のDmainおよびDsubの値と、Tmain信号およびTsub信号のパルス数をまとめて下の表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
なお、以上説明した例では、三角波S9を用いていることから、図5の(3)に示すように、調光制御の開始時点でパルス状のAND出力S4が中途半端な状態となっている。この状態を無くすためには、三角波S9に代えて図6の(1)に示すようなのこぎり波S19を用いればよい。この図6の(1)、(2)および(3)はそれぞれ、図5の(1)、(2)および(3)に対応するものである。
【0031】
また、本実施形態で用いている図1の調光装置1に代えて、図7に示すような調光装置101を適用することもできる。なおこの図7において、先に説明した図1中のものと同等の要素には同番号を付してあり、それらについての説明は、特に必要の無い限り省略する。本発明の第2の実施形態である図7の調光装置101は、A/D変換部103やプログラム処理部104等を有するマイクロコンピュータ102を用いたものであり、プログラム処理部104は所定のプログラム処理によって、前述したTmain信号S3と同様のTmain信号S103並びに、Tsub信号S10と同様のTsub信号S110を生成する。これらのTmain信号S103およびTsub信号S110はAND回路105に入力され、該AND回路105から、それらの信号のANDを取った出力S104がスイッチング素子駆動部13に入力される。
【0032】
ここで、以上説明したパルス状電流のパルス幅やパルス周期等の具体的な数値例を、図8に示す波形図を参照して説明する。図8の例は、図1の調光装置1により調光制御するものとし、また、調光制御の開始時点に対するTsub信号S10の生成タイミングは、前述した図6の(3)に示すように設定されているとした場合ものである。この図8の例では、Tmain信号S3のパルス周期T=50μs、パルス幅t=2.5μsであり、Tsub信号S10のパルス周期=800μsである。なお、図8のグラフではパルス波形と経過時間との関係が分かり難いので、一部の期間(経過時間0~1600μs)について、表2~表4にその関係を数値により示す。この数値表において、Tmain信号S3、Tsub信号S10の「Out」の欄に示す「1」、「0」はそれぞれ、パルスが立ち上がっている状態、立ち上がっていない状態を示している。
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】
【表4】
【0036】
図8の(1)ではデューティ比D=2.5/50=0.05、すなわち調光率5%である。一方、図8の(2)および(3)は、Tmain信号S3の間引き率を1/2として、調光率を2.5%に設定する場合を示している。図8の(3)は、Tmain信号S3を連続する8パルスはそのまま残し、それらに続く8パルスを間引くようにしている。このような間引きは、同図の(4)に示すようにTsub信号S10を利用して、第1の実施形態で説明したのと同様にして行うことができる(図6参照)。
【0037】
一方、図8の(2)は、Tmain信号S3を1パルス置きに間引く場合を示している。本発明においては、先に述べた通り、このようにTmain信号S3を間引いてもよいし、上記の通り連続する複数パルスずつTmain信号S3を間引いてもよい。ただし、Tmain信号S3を1パルス置きに間引くには、上記のようにTsub信号S10を利用する方法は適用できない。そこで、このような間引きを行う場合は、例えば前述した図7の調光装置101を用いて、プログラム処理によって間引きを行うのが望ましい。
【0038】
Tsub信号S10を利用して複数パルスずつTmain信号S3を間引く場合、Tsub信号S10の周期はTmain信号S3の周期の整数倍であることが必要である。またその場合、間引き前のTmain信号S3による調光率に対して、間引き後のTmain信号S3による調光率は、基本的に(y/Y)となる。ここで、yおよびYを共に整数として0≦y≦Yであり、yは上記Tsub信号S10に応じて変化する。一方Yは、上記Dタイプフリップフロップ15a・・・の段数をnとすると2のn乗の値、つまり2、4、8、16・・・となる。具体的な数値を挙げると、Dタイプフリップフロップ15a・・・の段数を1としてY=2であって、y=0、1、2とする場合、調光率はそれぞれ0%(S3を全て間引き)、2.5%(S3を半分間引き)、5%(間引き無し)となる。また、Dタイプフリップフロップ15a・・・の段数を2としてY=4であって、y=0、1、2、3、4とする場合、調光率はそれぞれ0%(S3を全て間引き)、1.25%(S3を3/4間引き)、2.5%(S3を半分間引き)、3.75%(S3を1/4間引き)、5%(間引き無し)となる。それに対して、上記のプログラム処理によって間引きを行う場合は、そのような制約を受けないで、自由に低い調光率を実現可能である。
【0039】
なお、図1の調光装置1においては、Dタイプフリップフロップ15a・・・の段数を多くするほど、調光率5%以下の領域においてより細かく調光率を設定可能となる。例えばこの段数が4の場合は、調光率5%以下の領域において調光率を0.3125%刻みで(16段階)ステップ状に変化させることができる。また上記段数が8の場合は、調光率5%以下の領域において調光率を0.0195%刻みで(256段階)ステップ状に変化させることができる。ただし、この段数を余りに大きくすると、Tmain信号S3とTsub信号S10の周期の差が大きくなり過ぎて(Tmain信号S3の周期が短か過ぎるか、Tsub信号S10の周期が長過ぎるか、またはその両方)、回路の動作設定が難しくなる。
【0040】
Tmain信号S3の周期を長くすると単一の(つまり、Tmain信号S3のみの)バースト調光で、調光率5%以下の領域まで滑らかに調光可能であるが、機器からの異音の発生の恐れがある。Tmain信号S3のパルス周期T≧50μsの領域は、周波数にすると20kHz以下であり、これは可聴周波数帯となる。これよりさらに長い周期(低い周波数)にすると光源のチラツキの問題も起こり得る。そこで、異音発生の恐れを無くすためには、Tmain信号S3のパルス周期Tを50μs未満程度に短くする必要がある。本発明によれば、Tmain信号S3のパルス周期Tをその程度に短くして異音の発生を防止した上で、調光率5%以下の領域まで調光可能となる。
【符号の説明】
【0041】
1、101 調光装置
2 LEDモジュール
3 点灯駆動回路
4 AC電源
5 入力フィルタ部
6 AC/DC変換部
10 調光信号入力部
11 パルス幅変調器
12 AND回路
13 スイッチング素子駆動部
14 MOS・FET
15a、15b、15c・・・Dタイプフリップフロップ
16 矩形波/三角波変換部
17 オペアンプ
18 コンパレータ
102 マイクロコンピュータ
103 A/D変換部
104 プログラム処理部
105 AND回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8