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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022117857
(43)【公開日】2022-08-12
(54)【発明の名称】リガチャー
(51)【国際特許分類】
   G10D 9/02 20200101AFI20220804BHJP
   G10D 7/06 20200101ALI20220804BHJP
【FI】
G10D9/02
G10D7/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021014607
(22)【出願日】2021-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】597041448
【氏名又は名称】株式会社石森管楽器
(74)【代理人】
【識別番号】100134430
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 卓士
(72)【発明者】
【氏名】石森 信二
(57)【要約】
【課題】リードの響きを向上させること。
【解決手段】リードを振動させる楽器において、リードをマウスピースに対して固定するためのリガチャーであって、リードとマウスピースとを巻回する巻回部と、巻回部に取り付けられ、リードに当接して、リードをマウスピースに押圧する力をリードに対して伝えるプレートと、を備え、プレートは、中央から少なくとも3つの方向に延びた少なくとも3つの脚部を備え、脚部のそれぞれの端部がリードに当接するように、中央が凹状に湾曲しているリガチャー。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リードを振動させる楽器において、リードをマウスピースに対して固定するためのリガチャーであって、
リードとマウスピースとを巻回する巻回部と、
前記巻回部に取り付けられ、リードに当接して、リードをマウスピースに押圧する力をリードに対して伝えるプレートと、
を備え、
前記プレートは、中央から少なくとも3つの方向に延びた少なくとも3つの脚部を備え、前記脚部のそれぞれの端部がリードに当接するように、中央が凹状に湾曲しているリガチャー。
【請求項2】
前記プレートを前記リードに対して付勢するためのボルトをさらに有し、
前記巻回部は、前記ボルトと螺合する雌ねじを備えた請求項1に記載のリガチャー。
【請求項3】
前記ボルトの先端に前記プレートをネジ止めするための小ねじをさらに有した請求項2に記載のリガチャー。
【請求項4】
前記巻回部は、
少なくとも1本のワイヤと、
該ワイヤの端部を固定しつつ前記雌ねじを備えた台座と、
を有する請求項2または3に記載のリガチャー。
【請求項5】
前記巻回部は、
前記少なくとも1本のワイヤを通すための穴を備えた少なくとも2本の横木をさらに備えた請求項4に記載のリガチャー。
【請求項6】
前記巻回部は、両端部を有するベルト状部材または紐状部材から形成され、リードとマウスピースとを巻回した状態で前記両端部の間隔を調整する調整部をさらに備えた請求項1に記載のリガチャー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は楽器のマウスピースに取り付けられるリガチャーに関する。
【背景技術】
【0002】
上記技術分野において、特許文献1には、マウスピースに巻きつけたベルトの両端をねじによって締め付けてリードをマウスピースに固定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-275460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記文献に記載の技術では、リードとリガチャーとの接触面積が大きく、リードの響きを抑えてしまう。
【0005】
本発明の目的は、上述の課題を解決する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明にあっては、
リードを振動させる楽器において、リードをマウスピースに対して固定するためのリガチャーであって、
リードとマウスピースとを巻回する巻回部と、
前記巻回部に取り付けられ、リードに当接して、リードをマウスピースに押圧する力をリードに対して伝えるプレートと、
を備え、
前記プレートは、中央から少なくとも3つの方向に延びた少なくとも3つの脚部を備え、前記脚部のそれぞれの端部がリードに当接するように、中央が凹状に湾曲しているリガチャーを提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、リードの響きを向上させるリガチャーを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態に係るリガチャーの構成を示す断面図である。
図2】本発明の第1実施形態に係るリガチャーの構成を示す斜視図である。
図3】本発明の第1実施形態に係るリガチャーの構成を示す斜視図である。
図4】本発明の第2実施形態に係るリガチャーの構成を示す斜視図である。
図5】本発明の第2実施形態に係るリガチャーの構成を示す斜視図である。
図6】本発明の第3実施形態に係るリガチャーの構成を示す斜視図である。
図7】本発明の第3実施形態に係るリガチャーの構成を示す斜視図である。
図8】本発明の第4実施形態に係るリガチャーの構成を示す断面図である。
図9】本発明の第4実施形態に係るリガチャーの構成を示す斜視図である。
図10】本発明の第5実施形態に係るリガチャーの構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態について例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施の形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、本発明の技術範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0010】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態としてのリガチャー100について、図1図3を用いて説明する。リガチャー100は、リード110を振動させる楽器において、リード110をマウスピース120に対して固定するためのものである。図1は、リード110およびマウスピース120に対してリガチャー100を取り付けた状態の横断面図である。
【0011】
リガチャー100は、リード110とマウスピース120とを巻回する巻回部101と、巻回部101に取り付けられ、リード110に当接して、リード110をマウスピース120に押圧する力をリード110に対して伝えるプレート102と、を備える。
【0012】
プレート102は、中央から4つの方向に延びた4つの脚部121を備え、脚部121のそれぞれの端部からリード110に当接するように、中央122が凹状に湾曲している。
【0013】
リガチャー100は、プレート102をリード110に対して付勢するためのボルト103をさらに有する。巻回部101は、ボルト103と螺合する雌ねじ111を備えている。
【0014】
リガチャー100は、ボルト103の先端にプレート102をネジ止めするための小ねじ104をさらに有している。
【0015】
ボルト103を回転させることにより、プレート102に対して、巻回部101の雌ねじ111が離れる方向(図中上方)に移動する。これにより、プレート102は、相対的に、リード110方向に押し付けられる。このとき、中央122が凹状に湾曲しており、脚部121のそれぞれの端部からリード110に当接するので、プレート102とリード110との接触面積は小さく、かつ、少なくとも4箇所でしっかりバランス良くリード110をマウスピース120に押圧することができる。これにより、軽い力でもリード110を包み込むようにホールドでき、マウスピース120に適切な圧で固定できる。また、プレート102が板バネのように機能するため、プレート102のリード110に対する付勢力およびリード110のマウスピース120に対する押圧力が過大にならない。これにより、リード110をしっかりと固定しつつもその響きを容易に向上させることができる。プレート102とリード110との接触面積が小さいため、リード110の上面に凹凸があっても、プレート102がガタついたり、部分的に浮いたりすることはない。さらに、小ねじ104の締め付けを軽くすることにより、プレート102はボルト103に対して一定の自由度をもって係合しているため、リード110の上面に傾きがあっても、その傾きに沿って、プレート102も傾くことができ、非常にバランス良く、リード110を押さえることができる。
【0016】
図2は、リガチャー100の構成を示す斜視図である。プレート102の中央は凹状に凹んでおり、小ねじ104の頭部が見えている。小ねじ104をボルト103の先端に対してねじ込む力を調整することで、プレート102の揺動具合を調整できる。本実施形態では、プレート102の脚部121は4方向に延びているが、3方向でも6方向以上でもよい。
【0017】
本実施形態のプレート102は、長方形の平板の4辺に切り欠き221を設けることで4つの脚部121を形成しているが、中央から4方向に延びた棒状部材が脚部を構成してもよい。プレートの厚みとしては、0.5mm~1mm程度が好適である。プレートの幅は、リードの幅に合わせて、10mm~20mm程度が好適である。
【0018】
図3は、プレート102の湾曲を表現するため、リガチャー100の巻回部101を透過させた図である。図3のようにプレート102が湾曲しているため、脚部121の先端はソフトにリードに接触することができる。
【0019】
本実施形態によれば、リード110の振動を損なうことがなく、楽器としての響きを最大限にすることができる。
【0020】
[第2実施形態]
次に本発明の第2実施形態に係るリガチャーについて、図4図5を用いて説明する。図4は、本実施形態に係るリガチャー400の構成を説明するための図である。図5は、リガチャー400をリード110およびマウスピース120に装着した状態を示す図である。
【0021】
本実施形態に係るリガチャー400は、上記第1実施形態と比べると、巻回部として少なくとも1本のワイヤ401,402と、ワイヤの端部を固定しつつ雌ねじを備えた台座403と、を有する点で異なる。その他の構成および動作は、第1実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0022】
本実施形態では、台座403は、プレート102の形状に合わせて平板X形状としているが、本発明はこれに限定されるものではなく、矩形板形状でもよいし、丸板形状でもよい。
【0023】
台座403は、ワイヤ401、402の端部を通すL字状に曲がった穴431を備えている。穴431は内部でL字に折れ曲がっているため、ワイヤ401、402が抜けにくいというメリットが有る。リガチャー400はさらに、穴431に通したワイヤ401、402の端部を穴431の中で固定するためのねじ404を備えている。穴431およびねじ404は、ワイヤ401、402の両端に設けられてもよいが、一端側のみに設けて、他端をロウ付けとしてもよい。穴431にワイヤの端部を通してねじで固定する構成にすることにより、ワイヤの長さを自由に調整することが可能となる。ひいては、あらゆる太さのマウスピースにリガチャー400を装着できるようになる。
【0024】
なお本実施形態ではワイヤを2本としたが、1本でもよいし、3本以上でもよい。
【0025】
[第3実施形態]
次に本発明の第3実施形態に係るリガチャーについて、図6図7を用いて説明する。図6は、本実施形態に係るリガチャー600の構成を説明するための図である。図7は、リガチャー600をリード110およびマウスピース120に装着した状態を示す図である。
【0026】
本実施形態に係るリガチャー600は、上記第2実施形態と比べると、横木としてのラング601~603を有する点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。ラング601~603は、それぞれ、ワイヤ401,402を通すための2つの穴(または溝)を備えている。ここでは、ワイヤが2本の例を示しているが、ワイヤは1本でも3本以上でもよく、ラング601~603は、ワイヤの本数だけの穴または溝を有する。ラング601~603はそれぞれ同形状であることが好ましく、例えば3-8mmの径を有している。ラングは交換可能である。
【0027】
図7では、図6とは異なり、ワイヤ401,402に4本のラングを取り付ける構成を示しており、2本のラング701~702のみが表されている(残りの2本のラングは、不図示)。
【0028】
ラングの径を変えることにより、ワイヤの長さを変えることなく、リードやマウスピースの太さを変えることが可能になる。つまり小径のマウスピースを装着する場合には大径のラングを用いればよい。またラングの材質(木製、金属製)を変えることにより音色を変化させることもできる。
【0029】
このようにラダー形状のリガチャー600によれば、マウスピースとリガチャーとの接触面積を減らすことにより、マウスピースの響きを向上させることが可能となる。
【0030】
[第4実施形態]
次に本発明の第4実施形態に係るリガチャー800について、図8および図9を用いて説明する。図8は、本実施形態に係るリガチャー800の構成を説明するための断面図である。図9は、リガチャー800の構成を説明するための斜視図である。本実施形態に係るリガチャー800は、上記第1実施形態と比べると、巻回部が、両端部を有するベルト状部材または紐状部材801から形成され、リード110とマウスピース120とを巻回した状態で両端部の間隔を調整する調整部802をさらに備えた点で異なる。その他の構成および動作は、第1実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0031】
さらにリガチャー800は、ボルトを有しない代わりに、小ねじ104に螺合するナット803を有しており、ナット803の締め付けにより、プレート102がベルト状部材801に固定される。
【0032】
本実施の形態によっても、プレート102のX形状により、リード110の振動を損なうことがなく、楽器としての響きを最大限にすることができる。
【0033】
[第5実施形態]
次に本発明の第5実施形態に係るリガチャー1000について、図10を用いて説明する。図10は、本実施形態に係るリガチャー1000の構成を説明するための断面図である。本実施形態に係るリガチャー1000は、上記第1実施形態と比べると、プレート1002の脚部1021が3方向に延びている点で異なる。その他の構成および動作は、第1実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。プレート1002の中央1022は凹状に凹んでおり、小ねじ104の頭部が見えている。本実施形態によっても、リード110の振動を損なうことがなく、楽器としての響きを最大限にすることができる。
【0034】
本実施の形態によっても、プレート102の形状により、リード110の振動を損なうことがなく、楽器としての響きを最大限にすることができる。
【0035】
[他の実施形態]
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明の技術的範囲で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10