(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022117877
(43)【公開日】2022-08-12
(54)【発明の名称】配管の継ぎ手と鍵と接続構造
(51)【国際特許分類】
G01F 1/00 20220101AFI20220804BHJP
G01F 3/22 20060101ALI20220804BHJP
G01F 15/18 20060101ALI20220804BHJP
F16L 37/086 20060101ALI20220804BHJP
【FI】
G01F1/00 G
G01F3/22 Z
G01F15/18
F16L37/086
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021014642
(22)【出願日】2021-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】391045934
【氏名又は名称】株式会社リガルジョイント
(71)【出願人】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102923
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 雄二
(72)【発明者】
【氏名】土井 俊男
(72)【発明者】
【氏名】山本 壮一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 真一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 孝信
【テーマコード(参考)】
2F030
3J106
【Fターム(参考)】
2F030CC13
2F030CE11
2F030CF14
3J106AB01
3J106BA01
3J106BB01
3J106BC04
3J106BD01
3J106CA16
3J106EA03
3J106EB12
3J106EC03
3J106EE02
(57)【要約】
【課題】ガスメータと配管との接続状態を安全に保つ。
【解決手段】継ぎ手本体12には、ロック用のキー26を取り付ける環状のキー溝18が設けられている。ロック用のキー26は、複数のアーム28を備えている。複数のアーム28全体がキー溝18の内部に隠れた状態から、弾力を開放したときにキー溝18の外側にその一部を突き出す状態に変化させる弾力機構32が設けられている。スリーブ14には、継ぎ手本体12を装着後に、複数のアーム28のキー溝18の外側に突き出した部分の、継ぎ手本体12の引き抜き方向の通過を妨げる壁が設けられている。
スリーブ14には、キーによるロックを解除するための鍵を差し込む鍵孔24が、複数個設けられている。複数の鍵孔から鍵を同時に差し込まないとロックを解除できない
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
継ぎ手本体には、スリーブに装着されたときに、継ぎ手本体とスリーブの間をシールするためのオーリングを取り付ける環状のシール溝と、ロック用のキーを取り付ける環状のキー溝とが設けられ、
ロック用のキーは、複数のアームを備え、
複数のアーム全体がキー溝の内部に隠れた状態から、弾力を開放したときにキー溝の外側にその一部を突き出す状態に変化させる弾力機構が設けられ、
スリーブには、継ぎ手本体をスリーブに装着するときに、複数のアームのキー溝の外側に突き出した部分がスリーブの内壁に接する箇所の内径を段階的に狭めて、アームをキー溝の中に押し込むように作用するテーパ孔が設けられ、
さらに、スリーブには、継ぎ手本体を装着後に、複数のアームのキー溝の外側に突き出した部分の、継ぎ手本体の引き抜き方向の通過を妨げる壁が設けられ、かつ、キーによるロックを解除するための鍵を差し込む鍵孔が、複数個、全てのアームのキー溝から突き出した部分に向かうように設けられていることを特徴とする管継ぎ手。
【請求項2】
キー溝は継ぎ手本体の中心軸に垂直な一対の環状の壁に挟まれており、複数のアームは、キー溝の中に、継ぎ手本体の中心軸に対して軸対称に配置され、もしくは、継ぎ手本体の中心軸を通る面に対して面対称に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の管継ぎ手。
【請求項3】
各アームは、キー溝の中に配置された支持軸を中心に回転して開閉することを特徴とする請求項1に記載の管継ぎ手。
【請求項4】
上記アームの支持軸近傍に、周辺の障害物に衝突してアームの回転を制限する顎が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の配管の継ぎ手。
【請求項5】
請求項1に記載の管継ぎ手のロックを解除するためのものであって、鍵孔に挿入される鍵の先端は、弾力に抗してアームの一部を押して、アームをキー溝の中に押し込み、キー溝の縁に衝突してキー溝に入り込まない厚みを有することを特徴とする鍵。
【請求項6】
請求項1に記載の管継ぎ手のロックを解除するためのものであって、スリーブを取り巻いてスリーブに設けられた全ての鍵孔に同時に突起の先端を差し込むように、複数の鍵をブリッジで連結していることを特徴とする鍵。
【請求項7】
ガスメータと複数の配管とを接続する管継ぎ手は、いずれも、一方に請求項1に記載のスリーブを備え、他方に請求項1に記載の継ぎ手本体を備えることを特徴とするガスメータと複数の配管との接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスメータ等と配管とを接続するための配管の継ぎ手及び、ガスメータ等と複数の配管との接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
配管の接続状態を確実に保持するために、ロック構造を備えた管継ぎ手が知られている(特許文献1)(特許文献2)(特許文献3)。これらの管継ぎ手は、継ぎ手本体にロック用のキー(係止片)が設けられており、継ぎ手の着脱時にそのロックを自動的に解除する構造を持つ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許3002168号公報
【特許文献2】特許5424483号公報
【特許文献3】特開2009-58032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、ガスメータと配管とを接続するための配管の継ぎ手は、管理者以外による着脱操作を防止しなければならない。しかし強固な接続構造では作業性が悪い。先行技術文献に記載されたようなロック構造は接続作業が簡便であるがだれでも簡単に着脱できてしまう。本発明はこれらの課題を解決する為になされたもので、ガスメータ等の重要な部材に配管を接続する場合に、ワンタッチで確実に接続作業をすることができる一方で、特殊な工具を使用しなければならないため、特定の技術者以外の者による取り外しを困難にするような、配管の継ぎ手と鍵と接続構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下の構成はそれぞれ上記の課題を解決するための手段である。
【0006】
<構成1>
継ぎ手本体には、スリーブに装着されたときに、継ぎ手本体とスリーブの間をシールするためのオーリングを取り付ける環状のシール溝と、ロック用のキーを取り付ける環状のキー溝とが設けられ、
ロック用のキーは、複数のアームを備え、
複数のアーム全体がキー溝の内部に隠れた状態から、弾力を開放したときにキー溝の外側にその一部を突き出す状態に変化させる弾力機構が設けられ、
スリーブには、継ぎ手本体をスリーブに装着するときに、複数のアームのキー溝の外側に突き出した部分がスリーブの内壁に接する箇所の内径を段階的に狭めて、アームをキー溝の中に押し込むように作用するテーパ孔が設けられ、
さらに、スリーブには、継ぎ手本体を装着後に、複数のアームのキー溝の外側に突き出した部分の、継ぎ手本体の引き抜き方向の通過を妨げる壁が設けられ、かつ、キーによるロックを解除するための鍵を差し込む鍵孔が、複数個、全てのアームのキー溝から突き出した部分に向かうように設けられていることを特徴とする管継ぎ手。
【0007】
<構成2>
キー溝は継ぎ手本体の中心軸に垂直な一対の環状の壁に挟まれており、複数のアームは、キー溝の中に、継ぎ手本体の中心軸に対して軸対称に配置され、もしくは、継ぎ手本体の中心軸を通る面に対して面対称に配置されていることを特徴とする構成1に記載の管継ぎ手。
<構成3>
各アームは、キー溝の中に配置された支持軸を中心に回転して開閉することを特徴とする構成1に記載の管継ぎ手。
<構成4>
上記アームの支持軸近傍に、周辺の障害物に衝突してアームの回転を制限する顎が設けられていることを特徴とする構成1に記載の配管の継ぎ手。
【0008】
<構成5>
構成1に記載の管継ぎ手のロックを解除するためのものであって、鍵孔に挿入される鍵の先端は、弾力に抗してアームの一部を押して、アームをキー溝の中に押し込み、キー溝の縁に衝突してキー溝に入り込まない厚みを有することを特徴とする鍵。
【0009】
<構成6>
構成1に記載の管継ぎ手のロックを解除するためのものであって、スリーブを取り巻いてスリーブに設けられた全ての鍵孔に同時に突起の先端を差し込むように、複数の鍵をブリッジで連結していることを特徴とする鍵。
【0010】
<構成7>
ガスメータと複数の配管とを接続する管継ぎ手は、いずれも、一方に構成1に記載のスリーブを備え、他方に構成1に記載の継ぎ手本体を備えることを特徴とするガスメータと複数の配管との接続構造。
【発明の効果】
【0011】
ガスメータを配管にワンタッチで装着できる。このとき、スリーブを回転させたりガスケットの位置決めをしたりする作業が要らない。この作業に熟練が要らないから簡便で信頼性も確保される。特殊工具を使用しないとガスメータを取り外すことができない。即ち、アームが複数設けられ、複数の鍵孔から鍵を同時に差し込まないとロックを解除できないから、特殊工具が必要になる。さらに、複数の配管を接続したガスメータでは、配管もガスメータも位置が固定されて曲げ伸ばしができないから、全ての配管に同様の特殊工具を装着しないとガスメータを取り外すことができない。これにより、ガスメータと配管との接続状態を安全に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図3】本発明の管継ぎ手の外観とスリーブ単体の斜視図である。
【
図4】本発明の管継ぎ手のテーパ部の作用説明図である。
【
図5】本発明の管継ぎ手の主要部変形例横断面図である。
【
図6】本発明の管継ぎ手のキーの作用説明図である。
【
図7】本発明によるガスメータ等と複数の配管との接続構造説明図である。
【
図8】本発明の管継ぎ手の主要部動作例横断面図である
【
図9】本発明の管継ぎ手の主要部動作例横断面図である
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を実施例毎に詳細に説明する。
【実施例0014】
本発明の管継ぎ手は、
図3(a)に示したような外観をしている。この図のように、スリーブ14と継ぎ手本体12とを接続する。スリーブ14には後で説明するように複数の鍵孔24が設けられている。スリーブ14と継ぎ手本体12とは、接続をすると同時にロックされ、鍵孔24から後で説明する鍵を挿入してロックを解除する。
【0015】
次に、
図2を参照しながら内部構造の説明をする。継ぎ手本体12には、スリーブ14に装着されたときに、継ぎ手本体12とスリーブ14の間をシールするためのオーリング15を取り付ける環状のシール溝16と、ロック用のキー26を取り付ける環状のキー溝18とが設けられている。
【0016】
この構造により、継ぎ手本体12にスリーブ14を装着すると、それだけで、オーリング15により確実にガスシールができる。ロック用のキー26の構造を
図1を参照して説明する。ロック用のキー26は、アーム28と支持軸30と弾力機構32とを備えている。この実施例では、環状のキー溝18の中に、ロック用のキー26の全ての部品が収容されている。これは、構造の簡素化のためである。
【0017】
ロック用のキー26には複数のアーム28が備えられている。この実施例では、アーム28は2本である。アーム28を2本以上設けることも出来る。キー溝18の底面とアーム28の間には、例えば、コイルスプリングのような弾力機構32が挟み込まれている。弾力機構32はコイルスプリングのほかに、板ばねやトーションばね、コイルばね等の任意の部材を使用できる。
【0018】
各アーム28はそれぞれ支持軸30を中心にして開閉する。弾力機構32は、複数のアーム28全体がキー溝18の内部に隠れた状態から、キー溝18の外側にその一部を突き出す状態に変化させるように弾力を作用させている。
【0019】
スリーブ14には、ロック用のキー26によるロックを解除するための鍵を差し込む鍵孔24が複数個設けられている。鍵孔24は、全てのアーム28の、キー溝18から突き出した部分に向かいあうように配置されている。
【0020】
後で説明するように、アーム28の一部がキー溝18から外側に突き出して、ロック機能を発揮する。
図1に示したようにアーム28の一部がキー溝18から突き出しているときに、鍵孔24から後で説明する鍵を差し込んで弾力機構32を縮めると、アーム28をキー溝18の中に押し込む事が出来る。
【0021】
複数のアーム28を設けており、それぞれ別々の鍵孔24から同時に操作をしないと、全てのアーム28をキー溝18の中に押し込む事が出来ない。この操作には後で説明するような特殊な鍵が必要なので、関係者以外が継ぎ手本体12をスリーブ14から容易に抜くことができない。
【0022】
図2には、スリーブ14に継ぎ手本体12を装着してロックがされている状態を示している。継ぎ手本体12のキー溝18から突き出したアーム28の一部がスリーブ14の鍵孔24に嵌まり込んでいる。スリーブ14には、継ぎ手本体12を装着後に、複数のアーム28のキー溝18の外側に突き出した部分の、継ぎ手本体12の引き抜き方向の通過を妨げるロック用の壁22が設けられている。
【0023】
図2に示すように、キー溝18は継ぎ手本体12の中心軸40に垂直な一対の環状の壁に挟まれている。複数のアーム28は、この一対の壁に、大きな隙間を空けないように近接し、かつ、この壁と対向する平行な上下面と、キー溝18の底に対向した内側面と、鍵孔24に対向した外側面を持つ。この説明では、
図2の中心軸40の方向を上下方向にした。アーム28の断面は正方形もしくは長方形をしている。ロックが容易に外れない形状を選択した。
【0024】
図1に示したように、この実施例では、複数のアーム28は、キー溝18の中に、継ぎ手本体12の中心軸40に対して軸対称に配置されている。このキー溝18の中でアーム28が開閉する。
【0025】
これは、球状や棒状のキーを使用した先行技術と大きく相違する点である。アーム28が継ぎ手本体12の中心軸40に対して対称配置されていると、継ぎ手に加わる引き抜き力に対する機械的な強度を、全方向にバランスよく保つことができる。
【0026】
以上のような形状のため、キー溝18の壁に平行な方向以外の方向にはアーム28の動きが制限されるので、
図3に示したようにロックがかかった状態では、曲げ応力に強くがたつきが少なくなる。引き抜き力に対する強度も高まる。
【0027】
次に、
図4を使用して、継ぎ手本体12をスリーブ14に装着するときの作用を説明する。スリーブ14の内壁にはテーパ部20が設けられている。継ぎ手本体12をスリーブ14に装着するときには、複数のアーム28のキー溝18から外側に突き出した部分が、このテーパ部20に接する。キー溝18の外側に突き出した部分の内径が、テーパ部20とこすれあって、段階的に狭められる。これがアーム28をキー溝18の中に押し込むように作用する。
【0028】
即ち、継ぎ手本体12をスリーブ14に装着するときには
図4の(a)、(b)、(c)の順にアーム28が動作する。その結果
図2に示した状態になる。これで、ワンタッチで接続が完了すると同時に、継ぎ手本体12からのスリーブ14の引き抜きが阻止される。